JPH11302372A - 熱硬化性組成物およびその硬化方法ならびにその方法により得られる硬化物 - Google Patents

熱硬化性組成物およびその硬化方法ならびにその方法により得られる硬化物

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JPH11302372A
JPH11302372A JP10115276A JP11527698A JPH11302372A JP H11302372 A JPH11302372 A JP H11302372A JP 10115276 A JP10115276 A JP 10115276A JP 11527698 A JP11527698 A JP 11527698A JP H11302372 A JPH11302372 A JP H11302372A
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JP10115276A
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Hidemasa Okamoto
秀正 岡本
Masaru Kunimura
勝 国村
Yoshiyuki Miwa
孔之 三輪
Tsutomu Funakoshi
勉 船越
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、機械的性質、電気的性質、接着
性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性および貯蔵安定性などに
優れ、かつ速硬化性であり、塗料、コーティング剤、接
着剤、電気絶縁材料、半導体封止材料などの用途分野
に、エポキシ樹脂の代替品として有用な新規な硬化物製
造用の熱硬化性組成物、該組成物の硬化方法、およびそ
の方法によって得られる新規な硬化物を提供する。 【解決手段】 本発明は、分子中に1〜4個のオキセタ
ン環を有するオキセタン化合物5〜95重量部と、分子
中に1個以上のオキシラン環を有するオキシラン化合物
95〜5重量部と、これら両化合物の合計100重量部
に対して0.01〜20重量部の熱潜在性カチオン重合
性触媒とを含んでなる熱硬化性組成物、該組成物を50
〜200℃の温度で1分〜50時間加熱し、カチオン重
合反応を行わしめて得られる三次元網目構造を有する新
規な硬化物、および、その製造方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な硬化物製造
用の、オキセタン化合物とオキシラン化合物と熱潜在性
カチオン重合性触媒とを含む熱硬化性組成物、該組成物
の硬化方法、およびその方法によって得られる新規な硬
化物に関する。さらに詳しくは、分子中に1〜4個のオ
キセタン環を有するオキセタン化合物を5〜95重量部
と、分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物を
95〜5重量部と、第四級アンモニウム塩、ホスホニウ
ム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩およびヨードニ
ウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱潜在
性カチオン重合性触媒を前記オキセタン化合物およびオ
キシラン化合物の合計量100重量部に対して0.01
〜20重量部とを含み、加熱することによって新規な硬
化物を製造し得る熱硬化性組成物;該熱硬化性組成物を
50〜200℃の温度で1分〜50時間加熱し、前記オ
キセタン化合物およびオキシラン化合物をカチオン重合
せしめることからなる前記熱硬化性組成物の硬化方法;
および該硬化方法によって製造される新規な硬化物に関
する。
【0002】本発明の熱硬化性組成物は、50〜200
℃の温度に加熱されることにより前記熱潜在性カチオン
重合性触媒から形成されるカチオン性重合触媒の作用を
受けて速硬化反応(前記オキセタン化合物中のオキセタ
ン環および前記オキシラン化合物中のオキシラン環の開
環重合反応)を起こし、不溶不融の三次元網目構造の新
規な硬化物を形成することによって、優れた機械的性質
(引張強さ、硬さなど)、電気的性質(電気絶縁性な
ど)、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などを示すも
のであり、エポキシ樹脂の代替品として、塗料やコーテ
ィング剤、接着剤、電気絶縁材料、ICや超LSI封止
材料、積層板およびその他の電気・電子部品、補強鋼板
の接着、複合材料用途などの分野への使用が大いに期待
できる。
【0003】
【従来の技術】3員環のエーテル化合物であるエポキシ
ド、つまり、オキシランや4員環のエーテル化合物であ
るオキセタンは、炭素−酸素間の結合が分極しているこ
とから高い反応性を示す。最近、カチオン重合における
これらオキシランやオキセタンの高い反応性を利用し、
カチオン性光重合開始剤の存在下でのオキシランおよび
/またはオキセタンの光カチオン重合が幾つか報告され
ている(特開平6−16804号公報、特開平7−53
711号公報、特開平7−62082号公報、特開平7
−173279号公報、特開平8−230348号公
報、特開平8−239623号公報、特開平8−269
392号公報、特開平8−277385号公報および特
開平9−31186号公報など参照)。例えば、特開平
6−16804号公報には、下記一般式(VIII)
【0004】
【化8】
【0005】(式中、R7 は、水素原子、フッ素原子、
1価の炭化水素基、1価のフッ素置換炭化水素基などで
あり、R8 は、線状または分岐状アルキレン基、線状ま
たは分岐状ポリ(アルキレンオキシ)基、2〜4価のケ
イ素含有基、2〜4価の芳香族環含有炭化水素基などの
2〜4価の多価基であり、Zは、酸素原子または硫黄原
子であり、mは、2、3または4である)で示される3
−置換オキセタンモノマーと、トリアリールスルホニウ
ム塩、ジアリールヨードニウム塩などのカチオン性光重
合開始剤との混合物を紫外線に暴露することを特徴とす
る、前記3−置換オキセタンモノマーを含む光硬化性オ
キセタン組成物、これらのオキセタンモノマーの硬化方
法、および該硬化方法によって得られる架橋プロピルオ
キシポリマーが、また、シリコーンエポキシド、ビス環
状脂肪族エポキシド、縮合環の付加歪を欠いたエポキシ
ドなどの分子中に1個以上のオキシラン環を有するモノ
マーと前記カチオン性光重合開始剤との混合物を紫外線
に暴露することが開示されている。
【0006】また、特開平7−53711号公報、特開
平7−62082号公報、特開平7−173279号公
報、特開平8−230348号公報、特開平8−239
623号公報、特開平8−269392号公報、特開平
8−277385号公報および特開平9−31186号
公報などには、分子中に2個以上のオキセタン環を有す
る化合物、分子中に1個以上のオキシラン環を有する化
合物および紫外線、X線、電子線などの活性エネルギー
線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物からな
る活性エネルギー線硬化型組成物が開示されており、さ
らに、該組成物の硬化速度を、用いたオキセタン環を有
する化合物自体の硬化速度と同等ないしそれ以上の優れ
たものとし得る旨の記載がある。
【0007】しかしながら、上記に示すようなカチオン
性光重合開始剤の存在下でオキセタン化合物やオキシラ
ン化合物に活性エネルギー線を照射する光カチオン重合
においては、速硬化するが、活性エネルギー線を照射し
なければ硬化反応が起こらないため、活性エネルギー線
を照射できない大型部品、あるいは活性エネルギー線が
照射できない構造を持つ物品に対しては適用が困難であ
り、また、高価な活性エネルギー線照射装置が必要にな
るなどの問題があった。そこで、これら活性エネルギー
線を照射できない大型部品や活性エネルギー線が照射で
きない構造を持つ物品に対し、貯蔵安定性に優れ、かつ
速硬化するものが熱望されていた。一方、特開平8−2
69391号公報や特開平8−269165号公報に
は、エポキシ基含有化合物と前記第四級アンモニウム
塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩
またはヨードニウム塩などのオニウム塩からなる熱潜在
性カチオン重合性触媒とを少なくとも含んでなる組成物
を加熱硬化せしめることにより塗膜を得ることが記載さ
れているが、前記エポキシ基含有化合物、つまり、オキ
シラン化合物と前記熱潜在性カチオン重合性触媒との熱
硬化反応の速度が遅いために、目的とする硬化物が得ら
れるまでの固化時間が長くなり、生産性の面においてな
お改善の余地があった。
【0008】そこで、本発明者らは、オキセタン環を有
する化合物の新しい反応の開発とその高分子合成への展
開を目的として、前記第四級アンモニウム塩、ホスホニ
ウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩およびヨード
ニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱潜
在性カチオン重合性触媒による、分子中に1〜4個のオ
キセタン環を有するオキセタン化合物の熱カチオン重合
反応について鋭意研究を重ねた結果、前記オキセタン化
合物100重量部あたりに、前記熱潜在性カチオン重合
性触媒0.01〜20重量部を含む混合物が熱による速
硬化性に優れており、かつ該混合物を50〜200℃の
温度で1分〜50時間加熱して、前記オキセタン化合物
の開環カチオン重合を行わしめることにより、貯蔵安定
性に優れた、三次元網目構造を有する不溶不融の硬化物
が得られることを報告した(特願平10−72508号
明細書を参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記オキセタ
ン化合物100重量部と前記熱潜在性カチオン重合性触
媒0.01〜20重量部との混合物からなる熱硬化性オ
キセタン組成物を、50〜200℃の温度で1分〜50
時間加熱することにより、熱カチオン重合せしめて得ら
れる硬化物は機械的性質(引張強度、硬さなど)の面に
おいてなお改善すべき点があった。本発明の目的は、貯
蔵安定性および機械的性質(引張強度、硬さなど)に優
れるとともに、熱により速硬化し得る、オキセタン化合
物、オキシラン化合物および熱潜在性カチオン重合性触
媒からなる熱硬化性組成物、該組成物の硬化方法、およ
びその方法によって得られる新規な硬化物を提供するこ
とである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、前記オキシラン化合物の熱カチオン重
合反応から得られる硬化物の多方面への利用性と前記オ
キセタン化合物の熱カチオン重合反応における速硬化性
とを兼ね備えた硬化物の製造方法について鋭意検討を重
ねた結果、分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオ
キセタン化合物5〜95重量部と、分子中に1個以上の
オキシラン環を有するオキシラン化合物95〜5重量部
と、これらオキセタン化合物およびオキシラン化合物の
合計100重量部あたりに、加熱によりカチオン重合性
触媒を形成する前記熱潜在性カチオン重合性触媒0.0
1〜20重量部とを含んでなる混合物を50〜200℃
の温度で1分〜50時間加熱して、前記オキセタン化合
物およびオキシラン化合物の開環カチオン重合反応を行
わしめることにより、分子間架橋された三次元網目構造
を有する不溶不融の新規な熱硬化物が得られることを見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、請求項1に記載の第1の発明
は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物
(A)の少なくとも1種を5〜95重量部と、分子中に
1個以上のオキシラン環を有する化合物(B)の少なく
とも1種を95〜5重量部と、熱潜在性カチオン重合性
触媒(C)の少なくとも1種を前記化合物(A)および
前記化合物(B)の合計量100重量部に対して0.0
1〜20重量部含んでなる熱硬化性組成物を提供するこ
とで達成できる。請求項2に記載の第2の発明は、分子
中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)の少
なくとも1種が5〜95重量部と、分子中に1個以上の
オキシラン環を有する化合物(B)の少なくとも1種が
95〜5重量部と、熱潜在性カチオン重合性触媒(C)
の少なくとも1種が、前記化合物(A)および前記化合
物(B)の合計量100重量部に対して0.01〜20
重量部とからなる混合物を50〜200℃の温度で1分
〜50時間加熱することを特徴とする硬化物の製造方法
を、また、請求項3に記載の第3の発明は、分子中に1
〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)の少なくと
も1種が5〜95重量部と、分子中に1個以上のオキシ
ラン環を有する化合物(B)の少なくとも1種が95〜
5重量部と、熱潜在性カチオン重合性触媒(C)の少な
くとも1種が、前記化合物(A)および前記化合物
(B)の合計量100重量部に対して0.01〜20重
量部とからなる混合物を50〜200℃の温度で1分〜
50時間加熱して得られる硬化物を、それぞれ、提供す
ることで達成できる。
【0012】請求項4に記載の第4の発明は、前記の熱
潜在性カチオン重合性触媒(C)が下記一般式(I)で
示される第四級アンモニウム塩、下記一般式(II)で示
されるホスホニウム塩、下記一般式(III)、(IV)また
は(V)で示されるスルホニウム塩、下記一般式(VI)
で示されるジアゾニウム塩および下記一般式(VII)で示
されるヨードニウム塩からなる群より選ばれる少なくと
も1種のオニウム塩であることを特徴とする前記第1の
発明に係わる熱硬化性組成物を提供することで達成でき
る。
【0013】請求項5に記載の第5の発明は、前記の熱
潜在性カチオン重合性触媒(C)が下記一般式(I)で
示される第四級アンモニウム塩、下記一般式(II)で示
されるホスホニウム塩、下記一般式(III)、(IV)また
は(V)で示されるスルホニウム塩、下記一般式(VI)
で示されるジアゾニウム塩および下記一般式(VII)で示
されるヨードニウム塩からなる群より選ばれる少なくと
も1種のオニウム塩であることを特徴とする前記第2の
発明に係わる硬化物の製造方法を提供することで達成で
きる。そして、請求項6に記載の第6の発明は、前記の
熱潜在性カチオン重合性触媒(C)が下記一般式(I)
で示される第四級アンモニウム塩、下記一般式(II)で
示されるホスホニウム塩、下記一般式(III)、(IV)ま
たは(V)で示されるスルホニウム塩、下記一般式(V
I)で示されるジアゾニウム塩および下記一般式(VII)
で示されるヨードニウム塩からなる群より選ばれる少な
くとも1種のオニウム塩であることを特徴とする前記第
3の発明に係わる硬化物を提供することで達成できる。
【0014】
【化9】
【0015】(一般式(I)中、R1 〜R4 は、それぞ
れ、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜
12のアルケニル基、アリール基、アルカリール基、炭
素原子数1〜20のアルカノール基もしくは炭素原子数
5〜10のシクロアルキル基であり、互いに同一でも異
なっていてもよく、また置換基を有しても有さなくても
よい。また、R1 〜R4 のうち2個は互いに結合して、
N、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成し
てもよい。さらに、Xは、BF4 、PF6 、AsF6 、
SbF6 、SbCl6 、(C6 F5 )4 B、SbF
5 (OH)、HSO4 、p−CH3 C6 H4 SO3 、H
CO3 、H2 PO4 、CH3 COOおよびハロゲン原子
からなる群より選ばれる1価の陰イオンを表わす。)
【0016】
【化10】 (一般式(II)中、R1 〜R4 およびXは、それぞれ、
上記一般式(I)におけるR1 〜R4 およびXと同じで
ある。)
【0017】
【化11】 (一般式(III)中、R1 〜R3 およびXは、それぞれ、
上記一般式(I)におけるR1 〜R3 およびXと同じで
あり、R1 〜R3 のうち2個は互いに結合して、N、
P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成しても
よい。)
【0018】
【化12】 (一般式(IV)中、R1 、R2 およびXは、それぞれ、
上記一般式(I)におけるR1 、R2 およびXと同じで
あり、R1 およびR2 は互いに結合して、N、P、Oま
たはSをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。ま
た、Arは、置換基を有しても有さなくてもよいアリー
ル基を表わす。)
【0019】
【化13】 (一般式(V)中、R1 〜R4 およびXは、それぞれ、
上記一般式(I)におけるR1 〜R4 およびXと同じで
ある。また、Arは、上記一般式(IV)におけるArと
同じである。)
【0020】
【化14】 (一般式(VI)中、ArおよびXは、それぞれ、上記一
般式(IV)におけるArおよび上記一般式(I)におけ
るXと同じである。)
【0021】
【化15】 (一般式(VII)中、Xは、上記一般式(I)におけるX
と同じであり、R5 およびR6 は、互いに同一でも異な
っていてもよく、また置換基を有しても有さなくてもよ
いアリール基である。)
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明の熱硬化性組成物は、分子中に1〜4個のオ
キセタン環を有する化合物であるオキセタン化合物
(A)の少なくとも1種と、分子中に1個以上のオキシ
ラン環を有する化合物であるオキシラン化合物(B)の
少なくとも1種と、後述する熱潜在性チオン重合性触媒
(C)の少なくとも1種との混合物であり、後述する硬
化方法によって本発明の新規な硬化物を製造し得るもの
である。
【0023】そこでまず、本発明の熱硬化性組成物の一
成分である前記オキセタン化合物(A)について述べ
る。本発明に用いられる前記オキセタン化合物(A)
は、上述したように、分子中に1〜4個のオキセタン環
を有する化合物である。分子中に1個のオキセタン環を
有する化合物は、下記一般式(IX)
【0024】
【化16】
【0025】(ただし、式中、R9 は、水素原子または
1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す)で表わ
される化合物である。1〜6個の炭素原子を有するアル
キル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基
およびイソヘキシル基などの直鎖または分岐鎖のアルキ
ル基が挙げられる。分子中に1個のオキセタン環を有す
る化合物としては、前記一般式(IX)においてR9 が水
素原子である3−ヒドロキシメチルオキセタン、R9 が
メチル基である3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキ
セタンおよびR9 がエチル基である3−エチル−3−ヒ
ドロキシメチルオキセタンの使用が好ましく、これらの
中でも3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンお
よび3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンの使
用が特に好ましい。
【0026】一方、分子中に2個のオキセタン環を有す
る化合物は、下記一般式(X)
【0027】
【化17】
【0028】(式中、R10は、前記一般式(IX)におけ
るR9 と同様の基であり、R11は、エチレン基、トリメ
チレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,2−
ブチレン基、1,3−ブチレン基、2,3−ブチレン
基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチ
レン基などの1〜12個の炭素原子を有する線状または
分岐状アルキレン基、プロペニレン基、メチルプロペニ
レン基、ブテニレン基などの1〜12個の炭素原子を有
する線状または分岐状不飽和炭化水素基、下記一般式
(XI)
【0029】
【化18】 で示される芳香族炭化水素基、下記一般式(XII)
【0030】
【化19】 で示される芳香族炭化水素基、下記式
【0031】
【化20】 で示されるカルボニル基、下記一般式(XIII)
【0032】
【化21】 で示されるカルボニル基を含むアルキレン基、下記式
【0033】
【化22】 で示されるカルボニル基含有脂環式炭化水素基、下記式
【0034】
【化23】 で示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基および下
記一般式(XIV)
【0035】
【化24】
【0036】で示される基からなる群から選択される2
価の原子価を持つ基である。そして、R12は、水素原
子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基
およびtert−ブチル基などの1〜4個の炭素原子を
有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ
基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基およびter
t−ブトキシ基などの1〜4個の炭素原子を有するアル
コキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ
素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メル
カプト基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、プロポキシカルボニル基およびブトキシカルボニル
基などの炭素原子数1〜4の低級アルキルカルボキシレ
ート基、カルボキシル基、カルバモイル基、ならびにメ
チルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピル
カルバモイル基およびブチルカルバモイル基などの炭素
原子数1〜4のN−アルキルカルバモイル基からなる群
から選ばれる原子価が1の基であり、R13は、O、S、
CH2 、NH、SO、SO2 、C(CF3)2 またはC
(CH3)2 である。またYは、場合により置換された1
〜12個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレ
ン基、下記式
【0037】
【化25】 あるいは
【化26】 で示される基など、場合により置換された原子価2の脂
環式炭化水素基、または下記式
【0038】
【化27】
【0039】あるいは
【化28】 で示される基などの場合により置換されたアリーレン基
であり、kは、1〜20の整数である)で表わされるビ
スオキセタンである。
【0040】本発明における分子中に2個のオキセタン
環を有する化合物としては、前記一般式(X)におい
て、R10が低級アルキル基のものが好ましく、メチル基
およびエチル基のものがより好ましい。そして、前記一
般式(X)におけるR11としては、1〜12個の炭素原
子を有する線状アルキレン基のものや、前記一般式(X
I)で示される原子価が2の芳香族炭化水素基のものが
好ましく、ヘキサメチレン基、前記一般式(XI)におい
てR12が水素原子である基のものがより好ましい。した
がって、上記の分子中に2個のオキセタン環を有する化
合物の好ましい具体例としては、下記式(1)〜(7)
で示されるビスオキセタンなどが挙げられる。
【0041】
【化29】
【0042】つまり、式(1)〜(4)で示される化合
物は、前記一般式(X)において、R10がエチル基であ
り、R11が、それぞれ、エチレン基、テトラメチレン
基、ヘキサメチレン基およびオクタメチレン基であるビ
スオキセタンである。式(5)で示される化合物は、前
記一般式(X)において、R10がエチル基、R11が前記
一般式(XI)でR12が水素原子であるビスオキセタンで
ある。また、式(6)で示される化合物は、前記一般式
(X)において、R10がエチル基、R11がカルボニル基
であるビスオキセタンである。そして、式(7)で示さ
れる化合物は、前記一般式(X)において、R10がエチ
ル基、R11が式
【0043】
【化30】 で示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基であるビ
スオキセタンである。
【0044】本発明に用いられる分子中に3または4個
のオキセタン環を有する化合物は、下記一般式(XV)
【0045】
【化31】
【0046】(式中、R14は、前記一般式(IX)におけ
るR9 と同様の基であり、R15は、炭化水素基、置換さ
れた炭化水素基、下記一般式(XVI)
【0047】
【化32】 で示される基、および下記一般式(XVII)
【0048】
【化33】
【0049】で示される基からなる群より選択される原
子価が3または4の多価基であり、nは、3もしくは4
である。なお、上記一般式(XVI)および上記一般式(XV
II)において、Z1 およびZ2 は、いずれも場合により
置換されている原子価が3または4の脂肪族、脂環式ま
たは芳香族炭化水素基であり、pおよびqは、共に3も
しくは4である。)で表わされる化合物である。
【0050】前記3または4価の炭化水素基、あるい
は、置換された3または4価の炭化水素基としては、下
記式(8)〜(10)で示される多価基などの炭素原子
数1〜12の分岐状アルキレン基を例示することができ
る。
【0051】
【化34】
【0052】上記式(8)において、R16は、水素原
子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基あるいはtert−ブチル基などの1〜4個の炭
素原子を有する低級アルキル基である。
【0053】また、前記一般式(XVI)において、場合に
より置換されている3または4価の炭化水素基であるZ
1 としては、下記式
【0054】
【化35】
【0055】で示される3価の芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。さらにまた、前記一般式(XVII)にお
いて、場合により置換されている3または4価の炭化水
素基であるZ2 としては、下記式
【0056】
【化36】
【0057】あるいは
【化37】 で示される3価の脂環式または芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。
【0058】そして、本発明に用いられる分子中に3ま
たは4個のオキセタン環を有する化合物として、具体的
には、前記一般式(XV)において、R14が低級アルキル
基であり、R15が前記式(8)で示される原子価が3で
炭素原子数1〜12の分岐状アルキレン基や、前記一般
式(XVI)で示される基であるものが好ましい。さらに
は、前記一般式(XV)において、R14がエチル基であ
り、R15が、前記式(8)でR16がエチル基であるも
の、または、前記一般式(XVI)でZ1 が下記式
【0059】
【化38】 で示される芳香族炭化水素基、かつpが3であるものが
より好ましい。
【0060】本発明に用いられる上述したような分子中
に1〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)は、次
のようにして製造され得る。例えば、前記一般式(IX)
で示される分子中に1個のオキセタン環を有する化合物
は、下記式(11)のように、パティソン(Pattison)
(J.Am.Chem.Soc.,1957,79を参照)の方法により、
1,3−ジオールから合成することができる。
【0061】
【化39】
【0062】具体的には、前記一般式(IX)においてR
9 がエチル基である3−エチル−3−ヒドロキシメチル
オキセタンは、トリメチロールプロパンと炭酸ジエチル
から上記パティソンの方法により得られる。
【0063】前記一般式(X)において、R11が1〜1
2個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレン
基、1〜12個の炭素原子を有する線状または分岐状不
飽和炭化水素基、あるいは前記一般式(XI)もしくは前
記一般式(XII)で示される芳香族炭化水素基である分子
中に2個のエーテル基を含むビスオキセタン化合物は、
前述のパティソンの方法により合成された3−エチル−
3−ヒドロキシメチルオキセタンと、ジハライドとか
ら、下記化学式(12)のように合成することができ
る。
【0064】
【化40】
【0065】前記の化学式(12)において、R
11a は、1〜12個の炭素原子を有する線状または分岐
状アルキレン基、1〜12個の炭素原子を有する線状ま
たは分岐状不飽和炭化水素基、あるいは前記一般式(X
I)もしくは前記一般式(XII)で示される芳香族炭化水
素基であり、X1 は、臭素原子、塩素原子またはヨウ素
原子である。また、前記一般式(X)において、R
11が、前記一般式(XIII)でkが1〜6の整数であるカ
ルボニル基を含むアルキレン基または前述の式
【0066】
【化41】 などで示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基であ
る分子中に2個のエステル基を含むビスオキセタン化合
物は、前述のパティソンの方法により合成された3−エ
チル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと、ジエステル
化合物とから、米国特許第3278554号明細書に記
載されているように、エステル交換反応を用いて次式
(13)のように調製することができる。
【0067】
【化42】
【0068】なお、前記式(13)において、R17は、
1〜6個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレ
ン基、または下記式
【0069】
【化43】
【0070】で示される芳香族炭化水素基であり、R18
は、場合により置換された脂肪族、脂環式あるいは芳香
族炭化水素基である。また、前記一般式(XV)におい
て、nが3または4である、すなわち、分子中に3また
は4個のオキセタン環を有する化合物は、前述のビスオ
キセタン化合物と同様にして調製することができる。例
えば、前記式(12)においてR11a が3または4個の
置換可能基を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基で
あるときに、適当な前記一般式(XV)で表わされる化合
物が合成され得る。
【0071】本発明では、前記熱硬化性組成物を構成す
る分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物
(A)として、前述の分子中に1個のオキセタン環を有
する化合物、分子中に2個のオキセタン環を有するビス
オキセタン化合物、あるいは分子中に3または4個のオ
キセタン環を有する化合物から選ばれる1種類が単独使
用されてもよく、また、これらの2種類以上が併用され
たものであってもよい。
【0072】次に、本発明の熱硬化性組成物を構成する
第2成分である分子中に1個以上のオキシラン環を有す
る化合物、すなわち、オキシラン化合物(B)は、分子
中に1個以上の下記式
【0073】
【化44】
【0074】で示される1,2−エポキシドであり、通
常、エポキシ樹脂として用いられているものであれば、
モノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれも使用可
能である。オキシラン化合物(B)の具体例としては、
従来公知の脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂お
よび芳香族エポキシ樹脂が挙げられる。なお、以下、エ
ポキシ樹脂とは、モノマー、オリゴマーまたはポリマー
を意味する。
【0075】脂肪族エポキシ樹脂として好ましいものと
しては、下記一般式(XVIII)
【0076】
【化45】
【0077】(式中、R19およびR20は、独立に、水素
原子または1〜20個の炭素原子を含むヒドロカルビル
である)で表わされる分子内に1個のエポキシ基を含む
オキシラン化合物が挙げられる。代表的なものとして
は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,
2−エポキシブタン、シス2,3−エポキシブタン、ト
ランス2,3−エポキシブタン、ブタジエンモノオキサ
イド、エポキシヘキサン、エポキシオクタン、エポキシ
デカン、エポキシドデカン、エポキシヘキサデカン、エ
ポキシオクタデカンなどのアルキレンオキサイド、エポ
キシヘキセン、エポキシオクテンなどのエポキシ基と二
重結合不飽和基を有する化合物、グリシジルメチルエー
テル、グリシジルイソプロピルエーテル、グリシジルブ
チルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメ
タクリレート、脂肪族高級アルコールのモノグリシジル
エーテルなどのグリシジル基を有する化合物などの分子
内に1個のエポキシ基を含む化合物、および、脂肪族多
価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体
のジまたはポリグリシジルエーテルなどの分子内に2個
以上のエポキシ基を有するオキシラン化合物が挙げられ
る。この分子内に2個以上のエポキシ基を有するオキシ
ラン化合物の代表例としては、ジエポキシブタン、ジエ
ポキシオクタン、各種エポキシ基を両末端に有するオリ
ゴマー、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、
1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテルまたは
1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルなど
のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、テト
ラエチレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセ
リンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまた
はトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンの
トリグリシジルエーテルなどの多価アルコールのポリグ
リシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそ
のアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレン
オキサイド付加体のジグリシジルエーテルなどのポリア
ルキレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド
付加体のジグリシジルエーテルなどが挙げられる。ここ
で、アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオ
キサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイド他上述のアルキレンオキサイドを好適に挙げる
ことができる。
【0078】脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも
1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環などのシ
クロアルケン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸な
どの適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られ
る、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオ
キサイド含有化合物が好ましく、具体例としては、下記
式
【0079】
【化46】
【0080】などで示される分子内に1個のエポキシ基
を含む脂環族オキシラン化合物の他、分子内に2個のエ
ポキシ基を含む脂環族オキシラン化合物として、下記式
【0081】
【化47】
【0082】で示される3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシ
レート、下記式
【0083】
【化48】
【0084】などで示されるケイ素含有脂環族オキシラ
ン化合物(ただし、式中、n0 は0〜100の整数であ
る)、および、下記式
【0085】
【化49】
【0086】などで示される脂環族オキシラン化合物な
どが挙げられる。
【0087】そして、芳香族エポキシ樹脂として好まし
いものは、フェノールのモノグリシジルエーテル、クレ
ゾールのモノグリシジルエーテル、エポキシプロピルベ
ンゼンおよびスチレンオキシドなどの分子内に1個のエ
ポキシ基を含む芳香族オキシラン化合物、および、少な
くとも1個の芳香核を有する多価フェノールあるいはそ
のアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンと
の反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエー
テルなどの分子内に2個以上のエポキシ基を有する芳香
族オキシラン化合物である。この分子内に2個以上のエ
ポキシ基を有する芳香族オキシラン化合物としては、例
えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイ
ド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加
ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付
加体のジまたはポリグリシジルエーテル、およびノボラ
ック型エポキシ樹脂などが挙げられる。ここで、アルキ
レンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドと
しては、前記脂肪族エポキシ樹脂の場合と同様、前述し
たアルキレンオキサイドを好適に挙げることができる。
【0088】本発明では、前記熱硬化性組成物を構成す
る分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物
(B)として、上述の脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポ
キシ樹脂および芳香族エポキシ樹脂から選ばれる1種類
が単独使用されてもよく、また、これらの2種類以上が
併用されたものであってもよい。
【0089】また、本発明において、前記化合物(B)
の配合量は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の合
計量100重量部に対して5〜95重量部であり、好ま
しくは5〜90重量部、より好ましくは10〜80重量
部である。前記化合物(B)の配合量が95重量部を越
える場合は、以下に詳述する硬化反応の速度、すなわ
ち、前記化合物(A)および前記化合物(B)と熱潜在
性カチオン重合性触媒(C)との熱カチオン重合反応の
速度を増加せしめ、硬化物が得られるまでの固化時間を
早めるという本発明の効果の発現が十分ではない。ま
た、5重量部に満たない前記化合物(B)の配合量とし
ても、この硬化反応における速硬化性のそれ以上の向上
は望めないばかりか、得られる硬化物の機械的性質(引
張強度および硬さなど)が低下するので好ましくない。
なお、これらの好ましくない現象の発現を確実に防止す
るためには、前記化合物(B)の配合量は、上述の好ま
しい範囲内、さらには上述のより好ましい範囲内とする
方がよいことは言うまでもない。
【0090】一方、本発明の熱硬化性組成物の残りのも
う一つの構成成分である前記熱潜在性カチオン重合性触
媒(C)は、前述したように、加熱することによってカ
チオン重合性触媒を形成し、前記分子中に1〜4個のオ
キセタン環を有する化合物(A)中のオキセタン環、お
よび、前記分子中に1個以上のオキシラン環を有する化
合物(B)中のオキシラン環の開環カチオン重合による
硬化反応を触媒するものである。すなわち、前記オキセ
タン化合物(A)およびオキシラン化合物(B)に配合
して室温に放置する限りにおいては長期間にわたって安
定であるが、熱の作用で掛金が外されると、直ちにカチ
オン重合性触媒を形成し、前記硬化反応を開始、促進せ
しめる、いわゆる潜在性硬化剤である。
【0091】前記熱潜在性カチオン重合性触媒(C)と
しては、具体的には、以下に示すような各種オニウム塩
を挙げることができる。例えば、下記一般式(I)で示
される第四級アンモニウム塩、下記一般式(II)で示さ
れるホスホニウム塩および下記一般式(III)、(IV)ま
たは(V)で示されるスルホニウム塩などがある。
【0092】
【化50】
【0093】(ただし、一般式(I)中、R1 〜R
4 は、それぞれ、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭
素原子数3〜12のアルケニル基、アリール基、アルカ
リール基、炭素原子数1〜20のアルカノール基もしく
は炭素原子数5〜10のシクロアルキル基であり、互い
に同一でも異なっていてもよく、また置換基を有しても
有さなくてもよい。また、R1 〜R4 のうち2個は互い
に結合して、N、P、OまたはSをヘテロ原子とする複
素環を形成してもよい。さらに、Xは、BF4 、P
F6 、AsF6 、SbF6 、SbCl6 、(C6 F5 )
4 B、SbF5 (OH)、HSO4 、p−CH3 C6 H
4 SO3 、HCO3 、H2 PO4 、CH3 COOおよび
ハロゲン原子からなる群より選ばれる対イオン、すなわ
ち、1価の陰イオンを表わす。)
【0094】
【化51】
【0095】(ただし、一般式(II)中、R1 〜R4 お
よびXは、それぞれ、上記一般式(I)におけるR1 〜
R4 およびXと同じである。)
【0096】
【化52】
【0097】(ただし、一般式(III)中、R1 〜R3 お
よびXは、それぞれ、上記一般式(I)におけるR1 〜
R3 およびXと同じであり、R1 〜R3 のうち2個は互
いに結合して、N、P、OまたはSをヘテロ原子とする
複素環を形成してもよい。)
【0098】
【化53】
【0099】(ただし、一般式(IV)中、R1 、R2 お
よびXは、それぞれ、上記一般式(I)におけるR1 、
R2 およびXと同じであり、R1 およびR2 は互いに結
合して、N、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環
を形成してもよい。また、Arは、置換基を有しても有
さなくてもよいアリール基を表わす。)
【0100】
【化54】
【0101】(ただし、一般式(V)中、R1 〜R4 お
よびXは、それぞれ、上記一般式(I)におけるR1 〜
R4 およびXと同じである。また、Arは、上記一般式
(IV)におけるArと同じである。)
【0102】ここで、前記一般式(I)〜(V)におい
て、R1 、R2 、R3 またはR4 としての前記炭素原子
数1〜20のアルキル基としては、置換基を有しても、
有さなくてもよい直鎖または分岐を有するアルキル基が
挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチ
ル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル
基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシ
ル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テト
ラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタ
デシル基、ノナデシル基およびエイコシル基などが挙げ
られる。また、前記R1 、R2 、R3 またはR4 として
の炭素原子数3〜12のアルケニル基としては、置換基
を有しても、有さなくてもよい直鎖または分岐を有する
アルケニル基が含まれ、例えば、n−プロペニル基、n
−ブテニル基、sec−ブテニル基、tert−ブテニ
ル基、n−ペンテニル基、sec−ペンテニル基、ヘキ
セニル基、n−ヘプテニル基、sec−ヘプテニル基、
オクテニル基、ノネニル基、デセニル基およびウンセニ
ル基などが挙げられる。
【0103】前記R1 、R2 、R3 またはR4 としての
アリール基としては、例えば、置換または非置換のフェ
ニル基、ナフチル基またはアントラセン基が含まれ、特
に、フェニル基が好ましい。前記R1 、R2 、R3 また
はR4 としてのアルカリール基としては、前述の炭素原
子数1〜20のアルキル基およびアリール基で構成され
るものが挙げられる。また、前記R1 、R2 、R3 また
はR4 としての炭素原子数1〜20のアルカノール基と
しては、置換基を有しても、有さなくてもよい直鎖また
は分岐を有するアルカノール基が含まれ、例えば、エタ
ノール基、n−プロパノール基、イソプロパノール基、
n−ブタノール基、sec−ブタノール基、tert−
ブタノール基、n−ペンタノール基、sec−ペンタノ
ール基、1−ヘキサノール基、1−ヘプタノール基、1
−オクタノール基、1−ノナノール基、1−デカノール
基、1−ウンデカノール基、1−ドデカノール基、1−
トリデカノール基、1−テトラデカノール基、1−ペン
タデカノール基、1−ヘキサデカノール基、1−ヘプタ
デカノール基、1−オクタデカノール基、1−ノナデカ
ノール基および1−エイコサノール基などが挙げられ
る。さらにまた、前記R1 、R2 、R3 またはR4 とし
ての炭素原子数5〜10のシクロアルキル基としては、
置換基を有しても、有さなくてもよい分岐を有すること
のあるシクロアルキル基が含まれ、例えば、シクロペン
チル基、2−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル
基およびシクロヘプチル基などが挙げられる。一方、前
記一般式(IV)および(V)において、Arとしての置
換基を有しても有さなくてもよいアリール基としては、
置換または非置換のフェニル基またはナフチル基が挙げ
られる。
【0104】なお、前記一般式(I)〜(V)におい
て、前記置換基としては、例えば、フッ素原子などのハ
ロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネ
オペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−
ヘプチル基およびn−オクチル基などの炭素原子数1〜
8のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基
およびシクロヘプチル基などの炭素原子数5〜7のシク
ロアルキル基、またはメトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ
基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペン
チルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチ
ルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ
基、ヘプチルオキシ基およびオクチルオキシ基などの炭
素原子数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
【0105】前記一般式(I)で示される第四級アンモ
ニウム塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウム
テトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘ
キサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウム
ハイドロゲンサルフェート、テトラエチルアンモニウム
テトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp
−トルエンスルホネート、N,N−ジメチル−N−ベン
ジルアニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチ
ル−N−ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素、N,N
−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチ
モン、N,N−ジエチル−N−ベンジルトリフルオロメ
タンスルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキ
シベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N
−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニ
ウム六フッ化アンチモンなどを挙げることができる。前
記一般式(II)で示されるホスホニウム塩の具体例とし
ては、例えば、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ
化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アン
チモンなどを挙げることができる。
【0106】そして、前記一般式(III)、(IV)または
(V)で示されるスルホニウム塩としては、例えば、ト
リフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニル
スルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホ
ニウム六フッ化砒素、トリ(4−メトキシフェニル)ス
ルホニウム六フッ化砒素、ジフェニル(4−フェニルチ
オフェニル)スルホニウム六フッ化砒素、アデカオプト
ンSP−150(旭電化工業社製、対イオン:P
F6 )、アデカオプトンSP−170(旭電化工業社
製、対イオン:SbF6 )、アデカオプトンCP−66
(旭電化工業社製、対イオン:SbF6 )、アデカオプ
トンCP−77(旭電化工業社製、対イオン:Sb
F6 )、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製、
対イオン:SbF6)、サンエイドSI−80L(三新
化学工業社製、対イオン:SbF6 )、サンエイドSI
−100L(三新化学工業社製、対イオン:Sb
F6 )、CYRACURE UVI−6974(ユニオ
ン・カーバイド社製、対イオン:SbF6 )、CYRA
CURE UVI−6990(ユニオン・カーバイド社
製、対イオン:PF6 )、UVI−508(ゼネラル・
エレクトリック社製)、UVI−509(ゼネラル・エ
レクトリック社製)、FC−508(ミネソタ・マイニ
ング・アンド・マニファクチュアリング社製)、FC−
509(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチ
ュアリング社製)、CD−1010(サートマー社
製)、CD−1011(サートマー社製)およびCIシ
リーズ(日本曹達社製、対イオン:PF6 、SbF6 )
などを挙げることができる。
【0107】さらに、本発明では、前記熱潜在性カチオ
ン重合性触媒(C)として、下記一般式(VI)で示され
るジアゾニウム塩や下記一般式(VII)で示されるヨード
ニウム塩も使用することができる。
【0108】
【化55】
【0109】(ただし、一般式(VI)中、ArおよびX
は、それぞれ、前記一般式(IV)におけるArおよび前
記一般式(I)におけるXと同じである。)
【0110】
【化56】
【0111】(ただし、一般式(VII)中、Xは、前記一
般式(I)におけるXと同じであり、R5 およびR
6 は、互いに同一でも異なっていてもよく、また置換基
を有しても有さなくてもよいアリール基である。)
【0112】ここで、前記一般式(VI)および(VII)に
おいて、Arとしての置換基を有しても有さなくてもよ
いアリール基、および、Xとしての1価の陰イオンの具
体例としては前述の通りである。また、R5 およびR6
としての置換基を有しても有さなくてもよいアリール基
としては、例えば、置換または非置換のフェニル基、ナ
フチル基またはアントラセン基が挙げられ、特に、フェ
ニル基が好ましい。置換基としては、例えば、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原
子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチ
ル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル
基およびn−オクチル基などの炭素原子数1〜8のアル
キル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシ
クロヘプチル基などの炭素原子数5〜7のシクロアルキ
ル基、またはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、se
c−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキ
シ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ
基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘプチ
ルオキシ基およびオクチルオキシ基などの炭素原子数1
〜8のアルコキシ基が挙げられる。
【0113】前記一般式(VI)で示されるジアゾニウム
塩の具体例としては、アメリカン・キャン社製のAME
RICURE(対イオン:BF4 )および旭電化工業社
製のULTRASET(対イオン:BF4 、PF6 )な
どを挙げることができる。また、前記一般式(VII)で示
されるヨードニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨ
ードニウム六フッ化砒素、ジ4−クロロフェニルヨード
ニウム六フッ化砒素、ジ4−ブロムフェニルヨードニウ
ム六フッ化砒素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨ
ードニウム六フッ化砒素、ゼネラル・エレクトリック社
製のUVEシリーズ、ミネソタ・マイニング・アンド・
マニファクチュアリング社製のFCシリーズ、東芝シリ
コーン社製のUV−9310C(対イオン:SbF6 )
およびローヌプーラン社製のPhotoinitiator2074
(対イオン:(C6 F5 )4 B)などを挙げることがで
きる。
【0114】本発明において、前記熱潜在性カチオン重
合性触媒(C)は、前記分子中に1〜4個のオキセタン
環を有する化合物(A)および前記分子中に1個以上の
オキシラン環を有する化合物(B)の合計量100重量
部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜
10重量部の量で使用される。前記熱潜在性カチオン重
合性触媒(C)の使用量が前記化合物(A)および前記
化合物(B)の合計量100重量部あたり0.01重量
部より少ないと、前記化合物(A)、前記化合物(B)
および前記触媒(C)の混合物の加熱によるカチオン重
合反応が十分に進行せず、本発明の目的とする架橋度の
高い硬化物を高収率で得ることができない。また、前記
熱潜在性カチオン重合性触媒(C)の使用量を前記化合
物(A)および前記化合物(B)の合計量100重量部
あたり20重量部より多くしても、該触媒(C)を多量
に用いることによる好ましいカチオン重合反応促進効果
の向上はほとんど認められないので経済性の面からは好
ましくないばかりか、得られる硬化物の耐湿性や耐薬品
性などが低下したり、変色が起こったりするので好まし
くない。なお、これらの好ましくない現象の発現を確実
に防止するには、前記熱潜在性カチオン重合性触媒
(B)の使用量は、上述の好ましい範囲内とすべきであ
ることは言うまでもない。
【0115】したがって、本発明の一つの態様である前
記熱硬化性組成物は、前述したように、前記分子中に1
〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)の少なくと
も1種と前記分子中に1個以上のオキシラン環を有する
化合物(B)の少なくとも1種と前記熱潜在性カチオン
重合性触媒(C)の少なくとも1種とを上述したような
割合で配合してなる混合物である。
【0116】次に、本発明のもう一つの態様である硬化
方法は、上記熱硬化性組成物を加熱し、熱カチオン重合
させることにより硬化せしめることを特徴とするもので
あり、詳細は、以下に述べる通りである。本発明の硬化
方法における硬化反応機構は、後述する方法による加熱
によって前記熱潜在性カチオン重合性触媒(C)から形
成されるカチオン重合性触媒から発生するカチオン種あ
るいはルイス酸が、前記化合物(A)中のオキセタン基
の酸素原子もしくは前記化合物(B)中のオキシラン
基、つまり、エポキシ基の酸素原子を攻撃してこれらを
開環せしめ、次いでこの開環反応が連続的に進行するこ
とによって一気に自己重合し、三次元網目構造の硬化物
を形成していくものと推定される。本発明において、上
述の硬化反応は、通常無溶媒状態下で行われるが、反応
溶媒中で行ってもよい。反応溶媒を用いる場合、前記化
合物(A)および前記化合物(B)の前記熱潜在性カチ
オン重合性触媒(C)による熱カチオン重合反応が後述
するように高温下で行われるため、本発明の反応溶媒
は、高沸点であることが望ましく、さらに前記化合物
(A)および前記化合物(B)の少なくとも一方を溶解
もしくは膨潤する作用を有し、かつ、これら化合物
(A)、化合物(B)および熱潜在性カチオン重合性触
媒(C)と反応性を有しないものが用いられ得る。
【0117】上記反応溶媒としては、N,N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミ
ド(DMAC)およびヘキサメチルリン酸トリアミド
(HMPA)などのアミド化合物、ジエチレングリコー
ルエチルエーテル、ジグライム(ジエチレングリコール
ジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリ
コールジメチルエーテル)、アニソールおよびフェネト
ールなどのエーテル化合物、o−ジクロロベンゼン、m
−ジクロロベンゼンおよび3,4−ジクロロトルエンな
どのハロゲン化芳香族炭化水素、ニトロベンゼン、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、テトラメ
チル尿素およびN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、あるいはこれらの溶媒の2種以上の混合物など、
無極性もしくは極性の低い溶媒から極性の高い溶媒まで
種々の溶媒を好適に用いることができるが、これらの中
でもDMF、DMAC、HMPA、DMSOおよびNM
Pなどの使用が好ましい。
【0118】反応溶媒の使用量は、前記化合物(A)お
よび/または前記化合物(B)を溶解もしくは膨潤する
に足る量以上であればよく、使用される反応溶媒の種類
はもちろんのこと、前記化合物(A)および前記化合物
(B)の仕込み量、前記熱潜在性カチオン重合性触媒
(C)の種類と使用量、反応温度および反応時間などの
熱カチオン重合反応、すなわち、硬化反応の条件、さら
には、該反応に際して、前記化合物(A)および/また
は前記化合物(B)を反応溶媒中に溶解するのか、それ
とも反応溶媒で膨潤するのかにより異なるので、一概に
規定することは困難である。したがって、例えば、前記
反応溶媒としてHMPA、DMSO、DMACおよびN
MPなどの極性溶媒を使用する場合、反応溶媒の使用量
は、前記オキセタン化合物(A)および前記化合物
(B)の合計量に対して1〜10倍量(容量/重量比)
が好ましい。該使用量が1倍量未満では、前記化合物
(A)および/または前記化合物(B)の上記極性反応
溶媒への溶解が十分ではなく、反応が不均一系で進行す
るようになるので、均一なカチオン重合反応が行われ
ず、得られる硬化物の品質にばらつきが生じることがあ
る。一方、10倍量を越える上記極性反応溶媒を使用し
ても、前記化合物(A)および/または前記化合物
(B)を溶解もしくは膨潤してカチオン重合反応を均一
系で進行せしめるという反応溶媒の効果はすでに達成さ
れてしまっているので、それ以上の効果は期待できない
ばかりか、所望により硬化物から反応溶媒を除去・回収
することが必要となる場合は、反応溶媒の反応系からの
回収に必要以上のエネルギーを消費するなど、採算上好
ましくない。
【0119】本発明の硬化方法においては、前記化合物
(A)および前記化合物(B)の前記熱潜在性カチオン
重合性触媒(C)によるカチオン重合反応、すなわち、
硬化反応を無溶媒状態下で行う場合は、前記硬化反応の
進行中、前記化合物(A)および/または前記化合物
(B)を溶融状態に維持すべきである。一方、前記硬化
反応を反応溶媒中、均一系で行う場合、前記化合物
(A)および/または前記化合物(B)を、前記反応溶
媒中に溶解した状態で、あるいは、前記反応溶媒で膨潤
させた状態で前記硬化反応を行う必要があり、そのため
には、前記硬化反応の進行中、前記反応溶媒を液体状態
に維持すべきである。したがって、反応温度、すなわ
ち、加熱温度は、前記硬化反応を無溶媒状態下に行う場
合、前記化合物(A)および/または前記化合物(B)
が溶融状態であるような温度範囲にあるべきであり、少
なくとも、前記化合物(A)の融点および前記化合物
(B)の融点のいずれか低い方の温度以上であるべきで
ある。一方、前記硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合
には、少なくとも前記化合物(A)および/または前記
化合物(B)が前記反応溶媒中に溶解した状態、あるい
は、前記反応溶媒で膨潤された状態となるような温度に
すべきである。そこで、本発明における加熱温度は、こ
のような温度として少なくとも50℃以上である必要が
ある。しかしながら、上記の場合、加熱温度が200℃
を越えると、前記触媒(C)や本発明の硬化方法によっ
て得られる硬化物の望ましくない熱分解反応を併発する
ようになるので、本発明の硬化反応における加熱温度
は、50〜200℃、好ましくは60〜160℃の範囲
であることが好ましい。
【0120】本発明の硬化方法における前記化合物
(A)および前記化合物(B)の前記熱潜在性カチオン
重合性触媒(C)によるカチオン重合反応において、反
応圧力は特に制限されるものではなく、減圧、常圧およ
び加圧のいずれの状態下においても実施可能である。し
かし、加圧下で実施する場合は、製造設備に耐圧性能が
要求されるし、また、減圧下で実施する場合には、減圧
設備が必要になるなど、経済性の面からは常圧下で実施
するのが好ましい。しかし、前記反応溶媒中で前記化合
物(A)および前記化合物(B)の前記熱潜在性カチオ
ン重合性触媒(C)によるカチオン重合反応、すなわ
ち、硬化反応を行う場合は、前述したように、該硬化反
応の進行中、前記反応溶媒が液体状態を維持し得るよう
な圧力条件が保持されなければならない(したがって、
前記硬化反応が加圧条件下で行われる場合もあり得る)
ことは言うまでもない。また、前記硬化反応は、高温で
ある程反応速度が速いので、得られる硬化物の架橋度を
高める必要がある場合、加熱温度は、前述の範囲内でで
きるだけ高温にした方がよい。しかしながら、前記硬化
反応の反応時の温度が高すぎると、反応が不均一にな
り、得られる硬化物の熱的性質や機械的性質などの品質
に悪影響が生じたり、使用するオキセタン化合物
(A)、オキシラン化合物(B)、熱潜在性カチオン重
合性触媒(C)および反応溶媒などが熱的に不安定とな
ったりする恐れがある。したがって、このような場合
は、反応系を減圧にして、前記反応温度を低めに維持す
ることが好ましい。
【0121】本発明の硬化方法における反応時間、すな
わち、加熱時間についても、前記化合物(A)および前
記化合物(B)の仕込み量、前記熱潜在性カチオン重合
性触媒(C)の種類および使用量、無溶媒状態下で熱カ
チオン重合反応を行うか否か、反応溶媒を使用した場合
は前記反応溶媒の種類および使用量、ならびに、加熱温
度などの硬化反応の条件によって異なるが、通常1分〜
50時間であり、好ましくは5分〜10時間、より好ま
しくは10分〜5時間であることが望ましい。加熱時間
が1分より短いと、前記硬化反応を触媒する活性を発揮
し得るカチオン重合性触媒が前記熱潜在性カチオン重合
性触媒(C)から十分形成されず、したがって、前記化
合物(A)および前記化合物(B)のカチオン重合反応
がほとんど進行しないため、得られる硬化物の硬化性は
低下する。また、加熱時間が50時間より長くなると、
得られる硬化物が長時間の熱履歴を受けて、熱劣化によ
る品質の低下を招く恐れがあり好ましくない。なお、こ
れらの好ましくない現象の発現を確実に防止するために
は、加熱時間は、上述の好ましい範囲、さらにはより好
ましい範囲にすべきである。
【0122】また、本発明の硬化方法における前記化合
物(A)および前記化合物(B)のカチオン重合反応
は、得られる硬化物の望ましくない酸化などによる劣化
を防止するために、不活性ガス雰囲気下に行われること
が好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスの他、アル
ゴンガスやヘリウムガスなどの希ガスが好適に使用され
得る。
【0123】そして、本発明では、前記化合物(A)お
よび前記化合物(B)のカチオン重合反応による硬化物
の製造方法、すなわち、硬化方法は、特に限定されるも
のではなく、常法に従って行えばよい。例えば、所定量
の前記化合物(A)および前記化合物(B)を、所望に
より所定量の前記反応溶媒に溶解もしくは膨潤した後、
必要に応じて適当な加熱装置を備えた反応容器に供給
し、さらに、所定量の前記熱潜在性カチオン重合性触媒
(C)を添加し、常圧、あるいは、所定の減圧または加
圧下に所定温度に加熱し、所定時間反応を行えばよい。
【0124】本発明の硬化方法では、以上のようにし
て、前記化合物(A)の少なくとも1種と前記化合物
(B)の少なくとも1種と前記熱潜在性カチオン重合性
触媒(C)の少なくとも1種との混合物である前記熱硬
化性組成物を適切な形状の離型性のある反応容器に充填
し、無溶媒状態下、あるいは前記反応溶媒中、前述した
反応温度で前述した反応時間加熱することにより、前記
化合物(A)および前記化合物(B)と前記触媒(C)
によるカチオン重合反応、すなわち、硬化反応を行わし
めた後、空冷、水冷などの常法により常温まで冷却して
得られた反応混合物を前記反応容器から取り出し、場合
によっては続いて、熱風乾燥、真空乾燥および凍結乾燥
などの公知の方法により100℃以下の温度で2〜16
時間乾燥すればよい。これにより、本発明のもう一つの
態様である三次元網目構造を有する不溶不融の新規な硬
化物が成形品として得られるのである。また、前記熱硬
化性組成物を金属、ゴム、プラスチック、成形部品、フ
ィルム、紙、木、ガラス布、コンクリートおよびセラミ
ックなどの基材に塗布した後、所定温度で所定時間加熱
することにより、上記硬化物を皮膜とする基材を得るこ
ともできる。なお、前記化合物(A)および前記化合物
(B)の前記熱潜在性カチオン重合性触媒(C)による
硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合は、該硬化反応の
終了後、得られた反応混合物から前記反応溶媒を蒸発せ
しめ、次いで常温まで冷却し、場合によっては続けて前
記乾燥を行うことにより、上記硬化物を得てもよいし、
また、前記硬化反応の終了後、得られた反応混合物を常
温まで冷却し、前記反応溶媒を含んだままの柔軟性のあ
る硬化物として使用してもかまわない。
【0125】本発明の熱硬化性組成物は、使用に際し、
本発明の効果を損なわない範囲内であれば、公知の各種
添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤
(熱安定剤、耐候性改良剤など)、増量剤、粘度調節
剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤、
抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑
剤、発泡剤、離型剤などを添加・混合することができ
る。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性
染料、金属錯塩染料などの染料、カーボンブラック、酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機顔料お
よびカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン
系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン
系などの有機顔料などが挙げられる。また、上記安定剤
としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リ
ン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキ
ザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙げられ
る。さらにまた、上記無機充填剤としては、ガラス繊
維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ
繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホ
ウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊
維、ホウ素繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、チ
タン、銅、真鍮、マグネシウムなどの無機質および金属
繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス
鋼、アルミニウム、金および銀などの金属粉末、木粉、
マグネシア、カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウ
ム、ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属
の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホ
ウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸
塩、塩基性炭酸塩およびその他の塩基性塩、ガラス中空
球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化
アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、
およびフライアッシュやミクロシリカなどの廃棄物など
が挙げられる。
【0126】
【実施例】次に、実施例および比較例を述べて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例およ
び比較例によって何ら限定を受けるものではない。な
お、以下の実施例および比較例において、原料の、分子
中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物
(以下単に「オキセタン化合物」という)および分子中
に1個以上のオキシラン環を有する化合物(以下単に
「オキシラン化合物」という)と所定の熱潜在性カチオ
ン重合性触媒とを所定の割合で混合した熱硬化性組成物
(以下単に「原料混合物A」という)、オキセタン化合
物と所定の熱潜在性カチオン重合性触媒とを所定の割合
で混合した熱硬化性オキセタン組成物(以下単に「原料
混合物B」という)、オキシラン化合物と所定の熱潜在
性カチオン重合性触媒とを所定の割合で混合した熱硬化
性オキシラン組成物(以下単に「原料混合物C」とい
う)、および、生成物の三次元網目構造を有する硬化物
(以下単に「硬化物」という)の特性は、それぞれ、下
記の方法によって求めた。
【0127】(1)原料混合物Aの赤外線吸収スペクト
ル(IR) (株)パーキン−エルマー製1750型フーリエ赤外分
光光度計を用い、微量の原料混合物の液体試料をKBr
結晶板上に塗布して測定した。
【0128】(2)硬化物の赤外線吸収スペクトル(I
R) (株)パーキン−エルマー製1750型フーリエ赤外分
光光度計を用い、予め60℃で10時間以上減圧乾燥し
て水分を除いた硬化物の試料1mgをKBr(Merc
k社製)150mgに混合し、60℃で10時間以上減
圧乾燥して水分を除去した後、加圧錠剤を形成して測定
した。
【0129】(3)原料混合物A、BおよびCの反応速
度 (株)東洋精機製作所製ゲルタイムテスターを使用して
原料混合物A、BおよびCの硬化反応開始点をそれぞれ
測定することによって求めた。すなわち、原料混合物
A、BまたはCの約0.25gを所定温度に設定した前
記ゲルタイムテスターの試料台に加えると同時に、原料
混合物A、BまたはCの試料にかかる張力の測定を開始
した。硬化反応の進行とともに前記試料の粘度が増加す
るために張力が上昇するが、この張力が初期の値(ほと
んどの場合ゼロである)より1g上昇した時点を硬化反
応開始点とした。
【0130】(4)原料混合物の固化時間 所定量の原料混合物A、BまたはCが入った蓋付ガラス
容器を所定温度に設定されたオイルバス中に浸漬し、軽
く振盪した後静置してから蓋付ガラス容器内の原料混合
物が流動しなくなるまでの時間を測定することにより求
めた。
【0131】(5)原料混合物の着色状況等および硬化
物の最終状態 原料混合物A、BおよびCのそれぞれについて、固化直
後の着色状況等を目視により観察した。また、オイルバ
ス中での加熱を停止することによって最終的に得られた
硬化物の最終状態を目視により観察した。
【0132】また、以下の実施例および比較例において
用いた試薬は、それぞれ、下記の通りである。 (a)オキセタン化合物 3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(分子
量:116.13、以下「EHO」と略記)および1,
4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)
メチル〕ベンゼン(分子量:334.45、無色液体、
以下「XDO」と略記)は、それぞれ、宇部興産(株)
製および東亜合成(株)製の市販品を使用した。
【0133】(b)オキシラン化合物(エポキシ樹脂) ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、油化シェルエ
ポキシ(株)製の市販品(商品名:エピコート828、
分子量:約380、エポキシ当量:190、粘稠液体、
以下「EP828」と略記)を使用した。また、脂環式
エポキシ樹脂として、ダイセル化学工業(株)製の市販
品(商品名:セロキサイド2021P、エポキシ当量:
131、粘度:231cp/25℃、以下「2021
P」と略記)を使用した。
【0134】(c)熱潜在性カチオン重合性触媒 サンエイドSI−100L(以下「SI−100L」と
略記)は、三新化学工業(株)製の市販品を使用した。
【0135】実施例1 内容積30mlの蓋付ガラス容器に、表1に示すよう
に、5.0g(15ミリモル)のXDOと5.0g(1
3ミリモル)のEP828に、熱潜在性カチオン重合性
触媒(以下単に「触媒」という)として0.2gのSI
−100Lを加え、十分にかき混ぜた後、内部を窒素ガ
スで置換し密栓した。したがって、原料の仕込み比は、
SI−100L/(XDO+EP828)=2/100
(重量比)かつXDO/EP828=50/50(重量
比)であった。次いで、100℃に設定されたオイルバ
ス中に前記蓋付ガラス容器を浸漬して軽く振盪した後、
静置した。前記蓋付ガラス容器内の混合液は、7分30
秒後に固化し褐色に着色したが、前記蓋付ガラス容器を
前記オイルバス中に浸漬後合計5時間加熱を続けた。
【0136】この間の硬化反応の確認は、IRスペクト
ルの変化を追跡することにより行った。すなわち、該硬
化反応の確認のために、混合直後のSI−100L/
(XDO+EP828)=2/100(重量比)からな
る原料混合物Aおよび上記オイルバス中に浸漬後5時間
を経過した反応生成物(硬化物)のIRスペクトルをそ
れぞれ測定した。そこで、上記原料混合物AのIRスペ
クトルを図1に、そして上記硬化物のIRスペクトルを
図2にそれぞれ示す。図1と図2を比較した結果、図1
におけるXDOのオキセタン環に帰属される980cm
-1の吸収強度、およびEP828のオキシラン環に帰属
される920cm-1の吸収強度はどちらも非常に強い
が、図2における980cm-1のオキセタン環に基づく
吸収強度、およびEP828のオキシラン環に基づく9
20cm -1の吸収強度は共に非常に弱く、前記硬化反応
が十分に進行し、本発明の目的とする硬化物が得られた
ことが分かった。また、反応速度を測定した結果、上記
SI−100L/XDO/EP828=2/50/50
(重量比)からなる原料混合物Aの反応開始点は、表3
に示すように、4分30秒(4.5分)であった。な
お、原料混合物Aの固化時間、固化直後の着色状況等、
および得られた硬化物の最終状態(以下単に「原料混合
物Aの反応性」という。以下において同じ)は、表4に
示す通りであった。
【0137】実施例2 原料のXDOとEP828の使用量をXDO;5.0g
(15ミリモル)およびEP828;5.0g(13ミ
リモル)に変えて、XDO;2.5g(7.5ミリモ
ル)およびEP828;7.5g(19.7ミリモル)
にしたこと、したがって、原料の仕込み比におけるXD
O/EP828の比(重量比)を50/50に変えて2
5/75にしたこと以外は、実施例1と全く同様の操作
を行ったところ、固化時間は10分であり、褐色の固化
物が得られた。なお、その他、原料混合物Aの反応性
は、表4に示す通りであった。また、反応速度を測定し
た結果、原料混合物Aの反応開始点は、表3に示す如
く、11分であった。
【0138】実施例3および4 原料のXDOとEP828の使用量をXDO;5.0g
(15ミリモル)およびEP828;5.0g(13ミ
リモル)に変えて、実施例3ではXDO;7.5g(2
2.4ミリモル)およびEP828;2.5g(6.6
ミリモル)、そして実施例4ではXDO;1.0g
(3.0ミリモル)およびEP828;9.0g(2
3.7ミリモル)にしたこと以外は、実施例1と全く同
様の操作を行った。したがって、原料の仕込み比は、実
施例3の場合がSI−100L/XDO/EP828=
2/75/25(重量比)、そして実施例4の場合がS
I−100L/XDO/EP828=2/10/90
(重量比)であった。反応速度を測定した結果、原料混
合物Aの反応開始点は、表3に示す如く、実施例3の場
合が59秒(0.98分)、そして実施例4の場合が4
4.8分であった。また、原料混合物Aの反応性は、そ
れぞれ、表4に示す通りであった。
【0139】実施例5 原料としてのXDO;2.5g(7.5ミリモル)に代
えて、EHO;2.5g(21.5ミリモル)を用いた
こと、よって、原料の仕込み比がSI−100L/EH
O/EP828=2/25/75(重量比)であったこ
と以外は、実施例2と全く同様の操作を行った。原料混
合物Aの固化時間は8分15秒であり、褐色の固化物が
得られた。また、原料混合物Aのその他の反応性は表4
に示す通りであった。
【0140】実施例6〜8 原料のEHOとEP828の使用量をEHO;2.5g
(21.5ミリモル)およびEP828;7.5g(1
9.7ミリモル)に変えて、実施例6ではEHO;7.
5g(64.6ミリモル)およびEP828;2.5g
(6.6ミリモル)、実施例7ではEHO;5.0g
(43.0ミリモル)およびEP828;5.0g(1
3ミリモル)、そして実施例8ではEHO;1.0g
(8.6ミリモル)およびEP828;9.0g(2
3.7ミリモル)にしたこと以外は、実施例5と全く同
様の操作を行った。したがって、原料の仕込み比は、実
施例6の場合がSI−100L/EHO/EP828=
2/75/25(重量比)、実施例7の場合がSI−1
00L/EHO/EP828=2/50/50(重量
比)、そして実施例8の場合がSI−100L/EHO
/EP828=2/10/90(重量比)であった。得
られた結果として、実施例6〜8についてそれぞれ、原
料混合物Aの反応性を表4に示す。
【0141】実施例9 原料としてのEP828;5.0g(13ミリモル)に
代えて、2021P;5.0gを用いたこと、よって、
原料の仕込み比がSI−100L/XDO/2021P
=2/50/50(重量比)であったこと以外は、実施
例1と全く同様の操作を行ったところ、固化時間は8分
30秒であり、黄色に着色した固化物が得られた。ま
た、反応速度の測定結果としての原料混合物Aの反応開
始点は、表3に示す如く、73秒(1.21分)であっ
た。
【0142】比較例1 実施例1と同様、内容積30mlの蓋付ガラス容器に、
表1に示すように、10.0gのEP828(26.3
ミリモル)に、熱潜在性カチオン重合性触媒として0.
2gのSI−100Lを加え、十分にかき混ぜた後、内
部を窒素ガスで置換し密栓した。したがって、原料の仕
込み比は、SI−100L/EP828=2/100
(重量比)であった。次いで、100℃に設定されたオ
イルバス中に前記蓋付ガラス容器を浸漬して軽く振盪し
た後、静置した。前記蓋付ガラス容器内の混合液は、3
時間30分後に流動性がなくなりほぼ固化したが、さら
に1時間30分加熱後冷却したものでもまだ少しタック
性があり、固化状態は不十分であった。なお、上記SI
−100L/EP828=2/100(重量比)からな
る原料混合物Cの反応性を表4に示す。また、反応速度
を測定した結果、上記原料混合物Cの反応開始点は、表
3に示すように、100分と非常に遅かった。
【0143】比較例2 10.0gのEP828(26.3ミリモル)に代え
て、10.0gのXDO(30ミリモル)を用いたこ
と、よって、原料の仕込み比がSI−100L/XDO
=2/100(重量比)であったこと以外は、比較例1
と全く同様の操作を行ったところ、5分20秒加熱後に
固化し、薄黄色に着色した。しかし、得られた固化物
は、固化直後にヒビ割れが発生した。なお、上記SI−
100L/XDO=2/100(重量比)からなる原料
混合物Bの反応性は表4に示す通りであった。また、原
料混合物Bの反応開始点は、表3に示すように、45秒
(0.75分)であった。
【0144】比較例3 10.0gのEP828(26.3ミリモル)に代え
て、10.0gのEHO(86ミリモル)を用いたこ
と、よって、原料の仕込み比がSI−100L/EHO
=2/100(重量比)であったこと以外は、比較例1
と全く同様の操作を行ったところ、30分加熱後によう
やく固化し、黒褐色に着色した。なお、上記SI−10
0L/EHO=2/100(重量比)からなる原料混合
物Bの反応性は表4に示す通りであり、最終的に得られ
た硬化物は熱時において軟質のものであった。
【0145】比較例4 10.0gのEP828(26.3ミリモル)に代え
て、10.0gの2021Pを用いたこと、よって、原
料の仕込み比がSI−100L/2021P=2/10
0(重量比)であったこと以外は、比較例1と全く同様
の操作を行ったところ、6分加熱後に黄緑色に着色して
固化した。得られた固化物は、比較例1の場合のSI−
100L/EP828=2/100(重量比)からなる
原料混合物Cの硬化反応により得られた硬化物と同程度
の硬さであった。また、前記原料混合Cの反応開始点
は、表3に示すように、12.6分であった。
【0146】実施例10および11 オイルバスの設定温度、すなわち、加熱温度を100℃
に変えて、表2に示すように、実施例10では70℃、
そして実施例11では120℃にしたこと以外は、実施
例3と全く同様の操作を行った。反応速度を測定した結
果、原料混合物Aの反応開始点は、表3に示す如く、実
施例10の場合が29.1分、そして実施例11の場合
が16秒(0.27分)であった。
【0147】実施例12および13 オイルバスの設定温度、すなわち、加熱温度を100℃
に変えて、実施例12では70℃、そして実施例13で
は120℃にしたこと以外は、実施例1と全く同様の操
作を行った。反応速度を測定した結果、原料混合物Aの
反応開始点は、表3に示す如く、実施例12の場合が4
1分、そして実施例13の場合が90秒(1.5分)で
あった。
【0148】実施例14および15 オイルバスの設定温度、すなわち、加熱温度を100℃
に変えて、実施例14では120℃、そして実施例15
では160℃にしたこと以外は、実施例2と全く同様の
操作を行った。反応速度を測定した結果、原料混合物A
の反応開始点は、表3に示す如く、実施例14の場合が
2.5分、そして実施例15の場合が33秒(0.55
分)であった。
【0149】実施例16および17 オイルバスの設定温度、すなわち、加熱温度を100℃
に変えて、実施例16では120℃、そして実施例17
では160℃にしたこと以外は、実施例4と全く同様の
操作を行った。反応速度を測定した結果、原料混合物A
の反応開始点は、表3に示す如く、実施例16の場合が
15.2分、そして実施例17の場合が2.6分であっ
た。
【0150】実施例18 オイルバスの設定温度、すなわち、加熱温度を100℃
に変えて120℃にしたこと以外は、実施例9と全く同
様の操作を行った。反応速度を測定した結果、原料混合
物Aの反応開始点は、表3に示す如く、18秒(0.3
分)であった。
【0151】比較例5および6 オイルバスの設定温度、すなわち、加熱温度を100℃
に変えて、比較例5では120℃、そして比較例6では
160℃にしたこと以外は、比較例1と全く同様の操作
を行った。反応速度を測定した結果、原料混合物Cの反
応開始点は、表3に示す如く、比較例5の場合が43.
5分、そして比較例6の場合が7.9分であった。
【0152】比較例7 オイルバスの設定温度、すなわち、加熱温度を100℃
に変えて70℃にしたこと以外は、比較例2と全く同様
の操作を行った。反応速度を測定した結果、原料混合物
Bの反応開始点は、表3に示す如く、27分であった。
【0153】比較例8 オイルバスの設定温度、すなわち、加熱温度を100℃
に変えて120℃にしたこと以外は、比較例4と全く同
様の操作を行った。反応速度を測定した結果、原料混合
物Cの反応開始点は、表3に示す如く、39秒(0.6
5分)であった。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】ここで、表3によれば、加熱温度が100
℃である実施例1〜4と比較例1、加熱温度が120℃
である実施例11、13、14および16と比較例5、
そして加熱温度が160℃である実施例15および17
と比較例6のそれぞれを比べてみると、オキセタン化合
物であるXDOとオキシラン化合物であるビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂のEP828と熱潜在性カチオン重
合性触媒とからなる本発明の熱硬化性組成物(原料混合
物A)は、EP828と熱潜在性カチオン重合性触媒と
からなる熱硬化性オキシラン組成物(原料混合物C)に
比べて、極めて迅速に硬化反応が進行し、また、XDO
の配合割合が多い原料混合物Aである程硬化反応の速度
が速いことが分かる。さらに、加熱温度が100℃であ
る実施例9と比較例4、および、加熱温度が120℃で
ある実施例18と比較例8のそれぞれを比べてみると、
オキセタン化合物であるXDOとオキシラン化合物であ
る脂環式エポキシ樹脂の2021Pと熱潜在性カチオン
重合性触媒とからなる本発明の熱硬化性組成物(原料混
合物A)もまた、2021Pと熱潜在性カチオン重合性
触媒とからなる熱硬化性オキシラン組成物(原料混合物
C)に比べて、極めて迅速に硬化反応が進行することが
分かる。
【0159】一方、同じく表3によれば、加熱温度が7
0℃である実施例10および12と比較例7、ならびに
加熱温度が100℃である実施例1〜4と比較例2のそ
れぞれを比べてみると、オキセタン化合物であるXDO
と熱潜在性カチオン重合性触媒とからなる熱硬化性オキ
セタン組成物(原料混合物B)は、XDOとオキシラン
化合物であるEP828と熱潜在性カチオン重合性触媒
とからなる本発明の熱硬化性組成物(原料混合物A)よ
りも硬化反応の速度が速いことが分かる。しかしなが
ら、表4からも明らかなように、比較例2および3で得
られた硬化物は、ヒビ割れが観察されたり、また、熱時
に軟質のものであったり、機械的性質において必ずしも
満足の行くものではない。
【0160】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、特
定のオキセタン化合物と特定のオキシラン化合物と特定
の熱潜在性カチオン重合性触媒とを特定の割合で含む新
規な硬化物製造用の熱硬化性組成物、および、該熱硬化
性組成物を加熱することによって製造され、優れた機械
的性質、電気的性質、接着性、耐熱性、耐湿性および耐
薬品性などを示し、かつ、三次元網目構造を有する不溶
不融の新規な硬化物が得られる。また、本発明によれ
ば、上記熱硬化性組成物を加熱することによって、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂と前
記熱潜在性カチオン重合性触媒とからなる従来の熱硬化
性オキシラン組成物の場合に比べて、オキセタン化合物
およびオキシラン化合物のカチオン重合反応を極めて迅
速に行わしめることができ、よって、上記新規な硬化物
を効率よく高収率で製造し得る硬化方法を提供すること
ができる。したがって、本発明の新規な硬化物は、上述
の特性を利用して塗料やコーティング剤、接着剤、電気
絶縁材料、ICや超LSI封止材料、積層板およびその
他の電気・電子部品、補強鋼板の接着、注型用化合物、
織物被覆剤および含浸テープなどのエポキシ樹脂の代替
品としての用途が大いに期待され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いられた原料混合物A〔SI−1
00L/XDO/EP828=2/50/50(重量
比)の熱硬化性組成物〕のIRスペクトルを示した図で
ある。
【図2】実施例1で得られた硬化物〔SI−100L/
XDO/EP828=2/50/50(重量比)〕のI
Rスペクトルを示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船越 勉 大阪府堺市築港新町3−1 宇部興産株式 会社堺工場

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種を5〜95重量部と、
    分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物(B)
    の少なくとも1種を95〜5重量部と、熱潜在性カチオ
    ン重合性触媒(C)の少なくとも1種を前記化合物
    (A)および前記化合物(B)の合計量100重量部に
    対して0.01〜20重量部含んでなる熱硬化性組成
    物。
  2. 【請求項2】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種が5〜95重量部と、
    分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物(B)
    の少なくとも1種が95〜5重量部と、熱潜在性カチオ
    ン重合性触媒(C)の少なくとも1種が、前記化合物
    (A)および前記化合物(B)の合計量100重量部に
    対して0.01〜20重量部とからなる混合物を50〜
    200℃の温度で1分〜50時間加熱することを特徴と
    する硬化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種が5〜95重量部と、
    分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物(B)
    の少なくとも1種が95〜5重量部と、熱潜在性カチオ
    ン重合性触媒(C)の少なくとも1種が、前記化合物
    (A)および前記化合物(B)の合計量100重量部に
    対して0.01〜20重量部とからなる混合物を50〜
    200℃の温度で1分〜50時間加熱して得られる硬化
    物。
  4. 【請求項4】 前記熱潜在性カチオン重合性触媒(C)
    が下記一般式(I)で示される第四級アンモニウム塩、
    下記一般式(II)で示されるホスホニウム塩、下記一般
    式(III)、(IV)または(V)で示されるスルホニウム
    塩、下記一般式(VI)で示されるジアゾニウム塩および
    下記一般式(VII)で示されるヨードニウム塩からなる群
    より選ばれる少なくとも1種のオニウム塩であることを
    特徴とする請求項1に記載の熱硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 前記熱潜在性カチオン重合性触媒(C)
    が下記一般式(I)で示される第四級アンモニウム塩、
    下記一般式(II)で示されるホスホニウム塩、下記一般
    式(III)、(IV)または(V)で示されるスルホニウム
    塩、下記一般式(VI)で示されるジアゾニウム塩および
    下記一般式(VII)で示されるヨードニウム塩からなる群
    より選ばれる少なくとも1種のオニウム塩であることを
    特徴とする請求項2に記載の硬化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱潜在性カチオン重合性触媒(C)
    が下記一般式(I)で示される第四級アンモニウム塩、
    下記一般式(II)で示されるホスホニウム塩、下記一般
    式(III)、(IV)または(V)で示されるスルホニウム
    塩、下記一般式(VI)で示されるジアゾニウム塩および
    下記一般式(VII)で示されるヨードニウム塩からなる群
    より選ばれる少なくとも1種のオニウム塩であることを
    特徴とする請求項3に記載の硬化物。 【化1】 (一般式(I)中、R1 〜R4 は、それぞれ、炭素原子
    数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜12のアルケ
    ニル基、アリール基、アルカリール基、炭素原子数1〜
    20のアルカノール基もしくは炭素原子数5〜10のシ
    クロアルキル基であり、互いに同一でも異なっていても
    よく、また置換基を有しても有さなくてもよい。また、
    R1 〜R4 のうち2個は互いに結合して、N、P、Oま
    たはSをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。さ
    らに、Xは、BF4 、PF6 、AsF6 、SbF6 、S
    bCl6 、(C6 F5 )4 B、SbF5 (OH)、HS
    O4 、p−CH3 C6 H4 SO3 、HCO3 、H2 PO
    4 、CH3 COOおよびハロゲン原子からなる群より選
    ばれる1価の陰イオンを表わす。) 【化2】 (一般式(II)中、R1 〜R4 およびXは、それぞれ、
    上記一般式(I)におけるR1 〜R4 およびXと同じで
    ある。) 【化3】 (一般式(III)中、R1 〜R3 およびXは、それぞれ、
    上記一般式(I)におけるR1 〜R3 およびXと同じで
    あり、R1 〜R3 のうち2個は互いに結合して、N、
    P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成しても
    よい。) 【化4】 (一般式(IV)中、R1 、R2 およびXは、それぞれ、
    上記一般式(I)におけるR1 、R2 およびXと同じで
    あり、R1 およびR2 は互いに結合して、N、P、Oま
    たはSをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。ま
    た、Arは、置換基を有しても有さなくてもよいアリー
    ル基を表わす。) 【化5】 (一般式(V)中、R1 〜R4 およびXは、それぞれ、
    上記一般式(I)におけるR1 〜R4 およびXと同じで
    ある。また、Arは、上記一般式(IV)におけるArと
    同じである。) 【化6】 (一般式(VI)中、ArおよびXは、それぞれ、上記一
    般式(IV)におけるArおよび上記一般式(I)におけ
    るXと同じである。) 【化7】 (一般式(VII)中、Xは、上記一般式(I)におけるX
    と同じであり、R5 およびR6 は、互いに同一でも異な
    っていてもよく、また置換基を有しても有さなくてもよ
    いアリール基である。)
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