JPH11323183A - セラミックコーティング剤およびその製造方法ならびにセラミック皮膜の製造方法 - Google Patents

セラミックコーティング剤およびその製造方法ならびにセラミック皮膜の製造方法

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JPH11323183A
JPH11323183A JP15199598A JP15199598A JPH11323183A JP H11323183 A JPH11323183 A JP H11323183A JP 15199598 A JP15199598 A JP 15199598A JP 15199598 A JP15199598 A JP 15199598A JP H11323183 A JPH11323183 A JP H11323183A
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ceramic coating
ceramic
stabilizer
metal
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JP15199598A
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Kazuto Momiyama
山 数 人 籾
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機接着剤成分を添加することなく、長期間
安定した粘度を有するセラミックコーティング剤を提供
し、さらに、そのようなセラミックコーティング剤の製
造方法およびセラミック皮膜の製造方法を提供する。 【解決手段】 金属アルコキシドまたは金属塩を溶媒中
で部分加水分解し、得られた部分加水分解生成物にその
縮合重合反応を停止させるための安定剤を添加すること
により、セラミックコーティング剤を得る。このように
して得られたセラミックコーティング剤を基材にコーテ
ィングし、焼成することによって、基材上にセラミック
皮膜が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はセラミックコーテ
ィング剤およびその製造方法ならびにセラミック皮膜の
製造方法に関し、特にたとえば、金属,セラミック,ガ
ラスなどの基材の表面にセラミック皮膜を形成するため
のセラミックコーティング剤およびその製造方法ならび
にセラミック皮膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板や金属板などにセラミック皮
膜を形成する方法としては、金属アルコキシドや金属塩
を加水分解して生成される金属水酸化物を縮合重合して
金属酸化物になる反応を利用して、セラミック皮膜の生
成が行われている。具体的には、まず、金属水酸化物を
溶媒中に分散させ、セラミックコーティング剤が作製さ
れる。次に、スピンコート、ディッピング、スプレーな
どによってセラミックコーティング剤を基材にコーティ
ングし、乾燥,焼成を行うことにより、縮合反応を完結
させて金属酸化物のセラミック皮膜が形成される。
【0003】このようにして得られた金属酸化物皮膜
は、たとえば、NOx 、SOx などの大気汚染物質の分
解反応触媒として、またメルカプタン類,脂肪酸類など
の悪臭物質の分解触媒などに応用される。また、環境浄
化用触媒材料としてのみならず、金属の酸化防止皮膜や
強度補強用の構造材としての応用も可能であり、建築,
車両,電子部品,電気機器などの広い分野に応用可能で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】基材にセラミックコー
ティング剤をコーティングする際、セラミックコーティ
ング剤の粘度は、生成するセラミック皮膜の厚みに大き
く影響を及ぼす。特に、セラミック皮膜と基材との熱膨
張係数が異なる場合、焼成の際にセラミック皮膜に欠損
やクラックが発生するなど、セラミック皮膜の接着強度
に影響がある。このように、セラミックコーティング剤
の粘度は、セラミック皮膜の接着強度を向上する上で重
要な指標となる。しかしながら、金属水酸化物を分散さ
せたセラミックコーティング剤は徐々に縮合反応が進行
し、金属酸化物重合体が生成され、均一なゾル状態を長
期間維持することが難しい。
【0005】このような問題点に対して、特開平7−1
87716号公報や特開平9−276706号公報に
は、金属アルコキシドもしくは金属塩溶液に加水分解試
薬を添加するとともに安定剤を加え、加水分解生成物の
縮合重合反応を制御する方法が示されている。これらの
方法では、金属アルコキシドや金属塩の加水分解試薬と
安定剤とが同時に添加されるため、セラミックコーティ
ング剤の粘度調整のためには、分散溶媒量、反応試薬
量、反応条件などを厳しく管理しなければならないなど
の制約がある。
【0006】また、このような加水分解試薬と安定剤と
を同時に添加する方法では、セラミックコーティング剤
中に含まれる金属化合物は、加水分解生成物である水酸
化物である場合が多く、金属酸化物セラミック皮膜を形
成するためには、高温の焼成が必要であることが難点と
なっている。このような高温での焼成を行った場合、ヒ
ートショックのためにセラミック皮膜の接着強度が低下
する場合が多い。この対策として、珪素化合物、ホウ素
化合物に代表される無機接着剤成分が添加されるが、こ
れらの無機接着剤は、比表面積の低下などに起因する表
面化学反応の反応活性の低下を引き起こす。このよう
に、従来の技術には解決すべき点が多く存在する。
【0007】それゆえに、この発明の主たる目的は、無
機接着剤成分を添加することなく、長期間安定した粘度
を有するセラミックコーティング剤を提供することであ
り、さらに、そのようなセラミックコーティング剤の製
造方法およびセラミック皮膜の製造方法を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、金属アルコ
キシドまたは金属塩の部分加水分解生成物と、前記部分
加水分解生成物の縮合重合反応を停止させるための安定
剤とを含む、セラミックコーティング剤である。このセ
ラミックコーティング剤において、金属アルコキシドま
たは金属塩を構成する金属としては、Ti、Zn、S
i、Zr、Co、Mn、Ba、Sr、Ca、Fe、N
i、V、Alの中の少なくとも1種類を用いることがで
きる。また、安定剤としては、β−ジケトン類、アルカ
ノールアミン類、ポリオール類、アルキルシラン類の中
の少なくとも1種類を用いることができる。この方法で
得られるセラミックコーティング剤において、部分加水
分解生成物の含有量は0.5〜20重量%であることが
望ましい。また、この発明は、金属アルコキシドを溶媒
中で酸触媒を用いて部分加水分解して部分加水分解生成
物を作製するステップと、部分加水分解生成物にその縮
合重合反応を停止させるための安定剤を添加するステッ
プとを含む、セラミックコーティング剤の製造方法であ
る。さらに、この発明は、金属塩を溶媒中で部分加水分
解して部分加水分解生成物を作製するステップと、部分
加水分解生成物にその縮合重合反応を停止させるための
安定剤を添加するステップとを含む、セラミックコーテ
ィング剤の製造方法である。これらのセラミックコーテ
ィング剤の製造方法において、金属アルコキシドまたは
金属塩を構成する金属としては、Ti、Zn、Si、Z
r、Co、Mn、Ba、Sr、Ca、Fe、Ni、V、
Alの中の少なくとも1種類を用いることができる。ま
た、安定剤としては、β−ジケトン類、アルカノールア
ミン類、ポリオール類、アルキルシラン類の中の少なく
とも1種類を用いることができる。このセラミックコー
ティング剤の製造方法において、セラミックコーティン
グ剤中の部分加水分解生成物の含有量が0.5〜20重
量%となるようにすることが望ましい。さらに、この発
明は、上述のいずれかのセラミックコーティング剤を基
材にコーティングするステップと、セラミックコーティ
ング剤をコーティングした基材を焼成するステップとを
含む、セラミック皮膜の製造方法である。
【0009】金属アルコキシドに酸触媒を用いることに
より、または金属塩に必要に応じて塩基触媒を用いるこ
とにより、部分加水分解反応を進行させ、反応活性の高
い水酸基をもった金属酸化物が得られる。ここに、安定
剤を加えることにより、反応活性の高い水酸基の水素原
子と安定剤との交換反応によりキャッピングが行われ
る。それにより、活性水酸基を反応基とする縮合重合反
応が停止し、粘度上昇の防止、粗大な金属酸化物粒子の
沈降によるセラミックコーティング剤の劣化を防止でき
るものと考えられる。セラミックコーティング剤中の部
分加水分解生成物の含有量が0.5重量%未満の場合、
均質なセラミック皮膜を得ることができない。また、セ
ラミックコーティング剤中の部分加水生成物の含有量が
20重量%を超えると、セラミックコーティング剤の長
期間の安定性が劣化し、また成形されたセラミック皮膜
の接着強度が著しく低下し、焼成時のクラック発生や皮
膜の剥離などが発生する場合がある。このようなセラミ
ックコーティング剤を基材にコーティングして焼成する
ことにより、接着強度の大きいセラミック皮膜を得るこ
とができる。
【0010】この発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳
細な説明から一層明らかとなろう。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明のセラミックコーティン
グ剤は、金属アルコキシドまたは金属塩の部分加水分解
生成物と、この部分加水分解生成物の縮合重合反応を停
止させるための安定剤とを含む。ここで用いられる金属
アルコキシドまたは金属塩の金属としては、たとえば、
マグネシウム、アンチモン、錫、インジウム、ランタ
ン、クロム、鉛、ジルコニウム、銅、チタン、亜鉛、シ
リコン、コバルト、マンガン、バリウム、ストロンチウ
ム、カルシウム、鉄、ニッケル、バナジウムおよびアル
ミニウムの中の少なくとも1種類が用いられる。もちろ
ん、ここで示されていない金属を用いることも可能であ
る。しかしながら、セラミックコーティング剤の安定性
や得られるセラミック皮膜の密着性などから、チタン、
亜鉛、シリコン、コバルト、マンガン、バリウム、スト
ロンチウム、カルシウム、鉄、ニッケル、バナジウムお
よびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種類を
用いることが好ましい。なお、2種以上の金属アルコキ
シドを用いる場合は、単に混合して使用することも可能
であるが、加水分解、縮合重合の反応速度が、金属の種
類やアルコキシドの種類によって異なるため、複合の金
属アルコキシドを用いることが好ましい。また、金属塩
としては、酢酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アンモニ
ウム塩などが用いられるが、特に限定されるものではな
く、加水分解可能な塩であれば、全ての金属塩に適用可
能である。
【0012】金属アルコキシドを用いる場合、分散溶媒
中で部分加水分解を行うために、酸触媒が添加される。
酸触媒は、金属アルコキシドを加水分解するために、p
H=3を目安に添加される。なお、反応速度が異なる金
属アルコキシドの場合には、複合化した金属アルコキシ
ドに適用することが望ましい。このような酸触媒として
は、たとえば硝酸,塩酸,硫酸,燐酸などの無機酸のみ
ならず、安息香酸、酢酸などのような有機酸の使用も可
能であり、フタル酸、マレイン酸などの2塩基有機酸も
使用可能である。また、金属塩を用いる場合、分散溶媒
中で部分加水分解を行うために、必要に応じて塩基触媒
が添加される。塩基触媒は、金属塩を加水分解するため
に、pH=11を目安に添加される。このような塩基触
媒としては、たとえばアンモニア、水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを使用できるが、
pH=11程度にすることが可能な塩基であれば、本発
明に適用可能であり、特に限定されない。
【0013】金属アルコキシドまたは金属塩の部分加水
分解反応および縮合反応が進行し、活性な水酸基をもっ
た高分子金属酸化物が生成して、溶液粘度が20〜20
0cPに達した時点で、安定剤が添加される。安定剤
は、生成した活性な高分子金属酸化物の縮合重合反応を
停止させるために、金属アルコキシドまたは金属塩1m
olに対して0.01mol以上添加される。安定剤と
しては、たとえばβ−ジケトン類、アルコールアミン
類、ポリオール類、アルキルシラン類などを用いること
ができる。このような安定剤を加えることにより、縮合
重合反応を起こす活性な反応基が安定剤によってキャッ
ピングされ、縮合重合反応が進行せず、長期間にわたっ
て粘度変化の少ないセラミックコーティング剤を得るこ
とができる。また、高分子酸化物の重合度をコントロー
ルすることができるため、高い分子量をもつ粒径の大き
い粒子の生成による金属酸化物の沈殿が発生しない、長
期間にわたって安定なセラミックコーティング剤を得る
ことができる。
【0014】この発明において、安定剤を添加する条件
は、安定剤の種類や金属酸化物の種類によって異なる
が、室温〜100℃の範囲で行うことが多い。しかしな
がら、特に限定されるものではなく、安定剤が活性な高
分子金属酸化物と十分に反応可能な温度であればよい。
また、反応方法についても、特に限定されるものではな
く、反応速度の速い安定剤の場合では混合のみで十分な
効果を得ることができ、還流操作を行うことにより、反
応速度の遅い安定剤にも適用可能である。
【0015】安定剤として用いられるβ−ジケトン類と
しては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベ
ンゾイルメタン、ベンゾイルトリフルオルアセトン、フ
ロイルアセトンおよびトリフルオルアセチルアセトンな
どが例示されるが、特にアセチルアセトン、ベンゾイル
アセトン、ベンゾイルトリフルオルアセトンを用いるこ
とが好ましい。また、β−ジケトン類の添加量は、金属
アルコキシドまたは金属塩のモル数に対して、1:0.
01〜3.5の範囲で添加した場合に効果が現れ、特
に、金属アルコキシドまたは金属塩のモル数に対して、
1:0.5〜2.5の範囲で添加することが好ましい。
【0016】また、安定剤として用いられるアルカノー
ルアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタ
ノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N.N
−ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミ
ンなどがある。アルカノールアミン類の安定剤の添加量
は、金属アルコキシドまたは金属塩のモル数に対して、
1:0.5〜4の範囲で効果があり、特に、金属アルコ
キシドまたは金属塩のモル数に対して、1:0.7〜3
の範囲で添加することが好ましい。
【0017】さらに、安定剤として用いられるポリオー
ル類としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレンオキシドなどがあるが、特にポ
リエチレングリコールを用いることが好ましい。ポリオ
ール類の添加量は、金属アルコキシドまたは金属塩のモ
ル数に対して、1:0.005以上の添加により効果が
得られる。ポリオール類は、単独で添加することにより
長期間粘度変化の少ない透明なセラミックコーティング
剤を作製することができるが、単独で安定剤として添加
した場合は、ポリオール類の分子量がセラミックコーテ
ィング剤の分散性および粘度に影響を及ぼすことがある
ため、少なくとも2種類以上の安定剤を混合して添加す
ることが好ましい。
【0018】また、安定剤として用いられるアルキルシ
ラン類としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)ア
セトアミド、O,N−ビス(トリメチルシリル)トリフ
ルオロアセトアミド、1,1,1,3,3,3−ヘキサ
メチルジシラザン、N−メチル−N−トリメチルシリル
アセトアミド、N−メチル−N−トリメチルトリフルオ
ロアセトアミド、トリメチルクロルシラン、N−(トリ
メチルシリル)ジエチルアミン、N−(トリメチルシリ
ル)ジメチルアミン、N−(トリメチルシリル)イミダ
ゾール、t−ブチルメチルクロルシラン、N−(t−ブ
チルジメチルシリル)−N−メチルトリフルオロアセト
アミド、ジメチルクロルシラン、ジメチル(2,3−ジ
メチル−2−ブチル)クロロシラン、(クロロメチル)
ジメチルクロロシランなどがあるが、アルキルシラン化
の反応の速度から、1,1,1,3,3,3−ヘキサメ
チルジシラザン、トリメチルクロルシラン、ジメチルク
ロルシランを用いることが好ましい。アルキルシラン類
の添加量としては、金属アルコキシドまたは金属塩のモ
ル数に対して、1:0.01〜3の範囲において効果が
得られる。
【0019】安定剤を添加する条件は、特に限定される
ものではないが、たとえばスピンコート法でセラミック
コーティング剤をコーティングする場合、セラミックコ
ーティング剤の粘度が200cP以上では均一なセラミ
ック皮膜の形成が難しくなる。また、ディッピング法に
よるコーティングの場合、セラミックコーティング剤の
粘度が500cP以上では、形成されるセラミック皮膜
の膜厚が厚くなり、焼成時の剥離や皮膜接着強度の極端
な低下が生じる。このような理由により、金属アルコキ
シドまたは金属塩の部分加水分解生成物の溶液の粘度が
20〜200cPであるときに安定剤を添加することが
好ましい。しかしながら、この範囲外の粘度のときに安
定剤を添加した場合でも、セラミックコーティング剤の
長期間にわたる粘度の安定性については、何ら影響を及
ぼすものではない。
【0020】また、セラミックコーティング剤中におけ
る金属アルコキシドまたは金属塩の部分加水分解生成物
の含有量は、0.5〜20重量%であることが好まし
い。なぜならば、部分加水分解生成物の含有量が0.5
重量%未満である場合、均質なセラミック皮膜が形成さ
れないからである。また、部分加水分解生成物の含有量
が20重量%を超えると、セラミックコーティング剤の
長期間の安定性が劣化するばかりでなく、成形されたセ
ラミック皮膜の接着強度が著しく低下し、焼成時におけ
るクラックの発生やセラミック皮膜の剥離などが発生す
る場合がある。
【0021】この発明のセラミックコーティング剤を基
材にコーティングする際には、スピンコート法,ディッ
ピング法,スプレー法などの方法を採用することができ
るが、基材に均一にコーティングできる方法であれば、
他の方法であっても採用することができる。なお、金属
アルコキシドまたは金属塩の部分加水分解生成物の含有
量およびセラミックコーティング材の粘度は、種々の条
件に対応させることが可能であり、コーティング方法に
よって選択することができる。
【0022】この発明のセラミックコーティング剤を用
いれば、350℃以下の焼成においても、接着強度の大
きい堅固なセラミック皮膜を形成することができる。し
たがって、接着強度を大きくするために、無機接着剤成
分を添加する必要がない。さらに、このセラミックコー
ティング剤は、金属のみならず、ガラス基材やセラミッ
ク基材などにもコーティング可能であり、これらの基材
にも簡単にセラミック皮膜を形成することができる。
【0023】この発明のセラミックコーティング剤を用
いて形成されるセラミック皮膜は、10オングストロー
ムから1000μmであるのが一般的であるが、200
オングストローム以上の膜厚において均一でむらのない
セラミック皮膜を形成することができる。また、100
μm以下の膜厚において、クラックのない均質なセラミ
ック皮膜の形成が可能である。
【0024】この発明のセラミックコーティング剤を用
いたセラミック皮膜は、ガラス基板やセラミック基板な
どの基材にも形成することができ、これらの基材表面に
おいて、NOx やSOx などの環境汚染物質の分解触媒
として、またメルカプタン類や脂肪酸類などの悪臭物質
の分解触媒などに応用可能である。また、環境浄化用触
媒としてのみならず、さまざまな基材にセラミック皮膜
を形成し、建築素材,車両,電子材料などとして、種々
の応用が可能である。
【0025】このように、長期間にわたり安定なセラミ
ックコーティング剤を得ることができるが、この効果の
発現機構については、必ずしも明らかではない。たとえ
ば、反応開始時に安定剤と加水分解触媒とを同時に添加
する場合には、金属アルコキシドまたは金属塩の反応速
度が異なるために、粘度の調整が難しい。そして、安定
剤成分の反応性が高い場合には、縮合重合が進まず、低
い重合度の金属酸化物皮膜しか得ることができない。ま
た、安定剤成分の反応性が低い場合、徐々に縮合重合が
進行し、粗大な粒子が沈降して、セラミックコーティン
グ剤の長期間の安定性が損なわれる。発明者は、このよ
うな問題の発現機構を考察し、第1成分である金属アル
コキシドまたは金属塩を第2成分である酸触媒または塩
基触媒を用いて部分加水分解し、生成した反応活性な高
分子金属酸化物を第3成分である安定剤を用いて反応を
停止することにより、長期間安定なセラミックコーティ
ング剤が得られると考えた。
【0026】具体的には、金属アルコキシドに酸触媒を
用いることにより、または金属塩に必要に応じて塩基触
媒を用いることにより、部分加水分解反応を進行させ、
反応活性の高い水酸基をもった金属酸化物が得られる。
ここに、安定剤を加えることにより、反応活性の高い水
酸基の水素原子と安定剤との交換反応によりキャッピン
グが行われる。それにより、活性水酸基を反応基とする
縮合重合反応が停止し、粘度上昇の防止、粗大な金属酸
化物粒子の沈降によるセラミックコーティング液の劣化
を防止できるものと考えられる。
【0027】
【実施例】(実施例1)安定剤であるトリメチルクロル
シラン60mlをフラスコにとり、イソプロパノール5
0mlと蒸留水50mlを加え、2時間攪拌して反応液
(I)を作製した。次に、チタンイソプロポキシド2
8.4gを70gのイソプロパノールで希釈混合した溶
液をフラスコに入れ、よく攪拌しながら0.1mol/
lの硝酸を5ml添加した。この溶液をアルゴン雰囲気
下40℃で加熱還流を行い、部分加水分解反応を進行さ
せ、30分ごとに溶液粘度の測定を行った。そして、溶
液粘度が100cPになった時点で加熱をやめて反応液
(II)を得た。反応液(I)をフラスコにとり、反応
液(II)を滴下し、室温でさらに60分間攪拌を行っ
て、セラミックコーティング剤(A)を得た。
【0028】(実施例2)チタンイソプロポキシド2
8.4gを100mlのイソプロパノールで希釈混合し
た溶液をフラスコにとり、よく攪拌しながら0.1mo
l/lの硝酸5mlを添加した。この溶液をアルゴン雰
囲気下40℃で加熱還流を行い、部分加水分解反応を進
行させ、30分ごとに溶液粘度の測定を行った。そし
て、溶液粘度が150cPになった時点で加熱をやめ
て、反応液を得た。この反応液に1,1,1,3,3,
3−ヘキサメチルジシラザン50mlを加え、30分間
室温で攪拌し、さらにイソプロパノールで希釈した5%
トリエタノールアミン溶液50mlを添加し、30分
間、60℃で還流攪拌を行って、セラミックコーティン
グ剤(B)を得た。
【0029】(実施例3)チタンイソプロポキシド2
8.4gを180mlのイソプロパノールで希釈混合し
た溶液をフラスコにとり、よく攪拌しながら0.1mo
l/lの硝酸5mlを添加した。この溶液をアルゴン雰
囲気下40℃で加熱還流を行い、部分加水分解反応を進
行させ、30分ごとに溶液粘度の測定を行った。そし
て、溶液粘度が50cPになった時点で加熱をやめて、
反応液を得た。この反応液にイソプロパノールに希釈し
た分子量5000のポリエチレングリコール5%溶液2
0mlを添加し、さらに室温で60分間攪拌混合して、
セラミックコーティング剤(C)を得た。
【0030】(比較例1)チタンイソプロポキシド2
8,4gをフラスコにとり、0.1mol/lの硝酸お
よびイソプロパノールで希釈した5%トリエタノールア
ミン溶液50mlを添加した。この溶液を室温で攪拌
し、粘度が50cPになった時点で攪拌をやめて、セラ
ミックコーティング剤(D)を得た。
【0031】(比較例2)チタンイソプロポキシド2
8,4gをフラスコにとり、0.1mol/lの硝酸お
よびイソプロパノールで希釈した分子量5000のポリ
エチレングリコール5%溶液20mlを添加した。この
溶液を室温で60分間攪拌し、セラミックコーティング
剤(E)を得た。
【0032】(実施例4)硫酸チタニール24.0gを
ビーカに秤量し、蒸留水を加えて200mlに希釈し
た。この混合溶液をフラスコにとり、アンモニア水でp
Hを9に調整し、よく攪拌しながら、室温で加水分解反
応を進行させた。30分ごとに粘度の測定を行い、粘度
が100cPになった時点で1,1,1,3,3,3−
ヘキサメチルジシラザン25mlを加え、さらに30分
間加熱を続けた。さらに、80℃で30分間加熱し、透
明なセラミックコーティング剤(F)を得た。
【0033】(実施例5)安定剤であるトリメチルクロ
ルシラン60mlをフラスコにとり、エタノール50m
lと蒸留水50mlを加え、室温で2時間攪拌して反応
液(III)を作製した。硫酸チタニール24.0gを
ビーカに秤量し、蒸留水を加え200mlに希釈した。
この混合溶液をフラスコにとり、よく攪拌しながら60
℃で加水分解反応を進行させた。30分ごとに粘度の測
定を行い、粘度が100cPになった時点で反応液(I
II)を滴下し、80℃でよく攪拌、還流しながら1時
間反応させ、セラミックコーティング剤(G)を得た。
【0034】(比較例3)硫酸チタニール24.0gを
ビーカに秤量し、蒸留水を加えて200mlに希釈し
た。この混合溶液をフラスコにとり、よく攪拌しながら
60℃で1時間、加水分解反応を進行させた。さらに、
80℃で加熱還流して、セラミックコーティング剤
(H)を得た。
【0035】(実施例6)安定剤であるトリメチルクロ
ルシラン60mlをフラスコにとり、エタノール50m
lと蒸留水50mlを加え、室温で2時間攪拌して、反
応液(III)を作製した。次に、テトラエチルオルト
珪酸20.8gを70gのエタノールで希釈混合した溶
液をフラスコに入れ、よく攪拌しながら1mol/lの
塩酸を10ml、蒸留水8mlを添加した。この溶液を
40℃で加熱還流を行い、部分加水分解反応を進行さ
せ、30分ごとに溶液粘度の測定を行い、溶液粘度が1
00cPになった時点で加熱をやめ、反応液(IV)を
得た。フラスコに入れた反応液(III)に反応液(I
V)を滴下し、60℃で1時間攪拌反応させて、セラミ
ックコーティング剤(I)を得た。
【0036】(実施例7)テトラエチルオルト珪酸2
0.8gをフラスコにとり、エタノールを150ml加
え、よく混合した。さらに、1mol/lの塩酸10m
lおよび蒸留水8mlを添加した。この混合溶液を40
℃で加熱還流し、部分加水分解反応を進行させた。そし
て、30分ごとに溶液粘度の測定を行い、溶液粘度が1
00cPになった時点で1,1,1,3,3,3−ヘキ
サメチルジシラザン35mlを加え、さらに60℃で3
0分間加熱還流を行い、セラミックコーティング剤
(J)を得た。
【0037】実施例1〜実施例3,比較例1および比較
例2は、金属アルコキシドとしてチタンイソプロポキシ
ドを用いた例であり、実施例4,実施例5および比較例
3は、金属塩として硫酸チタニールを用いた例であり、
実施例6および実施7は、チタン以外の金属アルコキシ
ドとして、テトラエチル珪酸を用いた例である。これら
の例について、得られたセラミックコーティング剤を室
温で放置し、製造時からの時間と粘度との関係を測定
し、その結果を図1に示した。
【0038】また、セラミックコーティング剤の製造時
から200時間後および480時間後のセラミックコー
ティング剤の外観を表1に示した。さらに、セラミック
コーティング剤の製造時から480時間後に、スプレー
法によって厚さ0.5mmのアルミナ基板にセラミック
コーティング剤をコーティングし、20分間、80℃で
乾燥したのち、300℃で1時間焼成を行い、セラミッ
ク皮膜を得た。得られたセラミック皮膜について、JI
S−K5400に規定されるXカットテープ法によるセ
ラミック皮膜の密着性試験を行い、セラミック皮膜の密
着性を測定した。なお、表2中の評価欄の数値は、JI
S−K5400による判定結果を示す数値であり、この
数値が大きいほど接着強度が強いと判断されるものであ
る。また、目視によって、セラミック皮膜の形状を観察
した。そして、これらの結果を表2に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】図1から、本発明のセラミックコーティン
グ剤は、粘度の時間変化が少ないものであることがわか
る。また、表1からわかるように、比較例1では、24
0時間以上経過すると、粘度が大きくなりすぎて、測定
機器による粘度の測定が困難となった。さらに、比較例
2では、200時間程度で白濁の沈降物の生成が認めら
れ、280時間以上経過すると、沈降物と上澄み液の2
層に分離した状況となった。また、比較例3では、20
0時間程度で白濁の沈降物の生成が認められた。それに
対して、この発明の方法で作製したセラミックコーティ
ング剤では、粘度の変化は観察されず、製造時と同様の
安定なセラミックコーティング剤を保っていた。
【0042】さらに、表2からわかるように、比較例1
では、セラミックコーティング剤が硬化し、基板にコー
ティングすることができなかった。また、比較例2で
は、セラミック膜の接着強度が低く、基板からのセラミ
ック皮膜の剥離が観察された。さらに、比較例3では、
セラミック皮膜の接着強度が低く、脆弱なセラミック皮
膜となった。それに対して、この発明のセラミックコー
ティング剤を用いた場合、得られたセラミック皮膜の接
着強度が高く、セラミック皮膜の剥離はほとんど観察で
きなかった。
【0043】このように、この発明のセラミックコーテ
ィング剤は、長期間にわたって粘度の変化が少なく、取
扱いに便利である。また、この発明のセラミックコーテ
ィング剤を用いれば、接着強度の高いセラミック皮膜を
得ることができる。
【0044】
【発明の効果】この発明によれば、長期間にわたって、
粘度の変化が少ないセラミックコーティング剤を得るこ
とができる。そのため、粘度調整やコーティングなどの
作業が簡単になり、取扱いの便利なセラミックコーティ
ング剤とすることができる。また、この発明のセラミッ
クコーティング剤を基材にコーティングし、焼成するこ
とによって、接着強度の高いセラミック皮膜を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例3
で得られたセラミックコーティング剤について、製造時
からの時間の経過と粘度との関係を示すグラフである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属アルコキシドまたは金属塩の部分加
    水分解生成物と、前記部分加水分解生成物の縮合重合反
    応を停止させるための安定剤とを含む、セラミックコー
    ティング剤。
  2. 【請求項2】 前記金属アルコキシドまたは前記金属塩
    を構成する金属は、Ti、Zn、Si、Zr、Co、M
    n、Ba、Sr、Ca、Fe、Ni、V、Alの中の少
    なくとも1種類である、請求項1に記載のセラミックコ
    ーティング剤。
  3. 【請求項3】 前記安定剤は、β−ジケトン類、アルカ
    ノールアミン類、ポリオール類、アルキルシラン類の中
    の少なくとも1種類である、請求項1または請求項2に
    記載のセラミックコーティング剤。
  4. 【請求項4】 セラミックコーティング剤中の前記部分
    加水分解生成物の含有量が0.5〜20重量%である、
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセラミック
    コーティング剤。
  5. 【請求項5】 金属アルコキシドを溶媒中で酸触媒を用
    いて部分加水分解して部分加水分解生成物を作製するス
    テップと、前記部分加水分解生成物にその縮合重合反応
    を停止させるための安定剤を添加するステップとを含
    む、セラミックコーティング剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属塩を溶媒中で部分加水分解して部分
    加水分解生成物を作製するステップと、前記部分加水分
    解生成物にその縮合重合反応を停止させるための安定剤
    を添加するステップとを含む、セラミックコーティング
    剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属アルコキシドまたは金属塩を構
    成する金属は、Ti、Zn、Si、Zr、Co、Mn、
    Ba、Sr、Ca、Fe、Ni、V、Alの中の少なく
    とも1種類である、請求項5または請求項6に記載のセ
    ラミックコーティング剤の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記安定剤は、β−ジケトン類、アルカ
    ノールアミン類、ポリオール類、アルキルシラン類の中
    の少なくとも1種類である、請求項5ないし請求項7の
    いずれかに記載のセラミックコーティング剤の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 セラミックコーティング剤中の前記部分
    加水分解生成物の含有量が0.5〜20重量%である、
    請求項5ないし請求項8のいずれかに記載のセラミック
    コーティング剤の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項4のいずれかに
    記載のセラミックコーティング剤を基材にコーティング
    するステップと、前記セラミックコーティング剤をコー
    ティングした前記基材を焼成するステップとを含む、セ
    ラミック皮膜の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302637A (ja) * 2001-01-30 2002-10-18 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 親水性塗膜形成用組成物、それを用いる複合材料の製造方法及び複合材料
JP2007063375A (ja) * 2005-08-30 2007-03-15 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 無機膜形成用塗布液
JP2010020939A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Toyo Seikan Kaisha Ltd 逆電子防止層形成用コーティング液
WO2025052665A1 (ja) * 2023-09-08 2025-03-13 大阪瓦斯株式会社 塗料組成物の製造方法、イットリア安定化ジルコニア層、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物電解セル

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