JPH1137304A - 磁性流体を利用した密封装置 - Google Patents

磁性流体を利用した密封装置

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JPH1137304A
JPH1137304A JP9205370A JP20537097A JPH1137304A JP H1137304 A JPH1137304 A JP H1137304A JP 9205370 A JP9205370 A JP 9205370A JP 20537097 A JP20537097 A JP 20537097A JP H1137304 A JPH1137304 A JP H1137304A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密封装置の磁性流体の消耗や劣化の状態を検
知することを可能とし、適切なタイミングでメンテナン
スを行うことにより、シール破損(バースト)を未然に
防止可能とする密封装置を提供する。 【解決手段】 環状隙間4に磁性流体MLを保持するス
テージ部と圧力室を軸方向に複数段配置した密封装置1
であって、圧力室と密封容器の外部とを接続すると共
に、微量の流体を疎通可能とする通気手段(シールリン
グ13,隙間G1及び通気経路G2,G3)を備え、密
封側の圧力室が破損した場合に通気手段を介して微量の
流体を密封容器の内部に導入し圧力変化を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性流体を利用し
た密封装置に関し、密封装置の状態やメンテナンス時期
を検出することを可能とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、界面活性剤等の流体中に磁性
体の粒子を懸濁して存在させ、永久磁石や電磁石等の外
部磁場の磁力により、その粒子が磁気吸引されることで
流体の位置を保持し得る磁性流体の特性を利用した種々
の密封装置がある。
【0003】図6(a)は、このような磁性流体を利用
した一従来例としての密封装置100の断面構成を説明
する図であり、図6(b)は、図6(a)のD101部
の磁場の強さを説明する図、図7は、図6(a)のD1
01部の拡大図である。図6及び図7により密封装置1
00を説明する。
【0004】この密封装置100は、圧力差のある高圧
側H’(この従来例においては大気側)及び低圧側L’
(この従来例においては真空チャンバの容器内)の2領
域間にまたがる回転軸101及び回転軸101の軸受部
103の間に備えられている。
【0005】軸受部103は、回転軸101の保持及び
密封を行う円筒部103aと、円筒部103aの一方の
端部に、内部空間を真空状態(低圧側L’)とする容器
102の開口端部102aにボルトにより取り付けられ
るフランジ部103bを備えている。
【0006】また、軸受部103の円筒部103aと回
転軸101とはベアリングB1,B2により相対回転運
動に対する動的な保持が行われている。
【0007】そして密封性に関しては、軸受部103の
円筒部103a内側に備えられた環状の磁石104によ
り形成される磁気回路MC’に介在させた磁性流体M
L’により行っている。
【0008】磁石104は軸方向に異極(N及びSと図
示される)が配されており、軸方向両側には磁石104
の磁極となる磁極部材105,106(以降の説明にお
いては、磁極部材105を代表させて行う)が備えられ
ている。
【0009】そして、回転軸101の磁極部材105に
対向する部位に複数本の周方向に連続する凹溝107
a,107b,・・・を形成し、磁極部材105の内周
面105aと各凹溝の間の凸条部108a,108b,
・・・の頂面との間隙に磁束が集中するように発生させ
て(すなわち凸条部108a,108b,・・・の頂面
で磁束密度が高まるようにしており、磁性流体ML’が
保持される間隙の領域を複数のステージ部とする。)、
これらの間隙、すなわちステージ部に磁性流体ML’が
保持されて磁性流体シール部を形成するようにしてい
る。
【0010】そして、このように形成された磁性流体シ
ール部は、低圧側L’と高圧側H’との間に複数の室1
09a,109b,・・・を形成し、各室の圧力が各ス
テージ部の耐圧範囲内で変化することにより、密封領域
の両側で圧力差がある場合においても効果的な密封性を
発揮し得るようになっている。例えば、全ステージ部で
の耐圧の総和が100KPa(1.0kgf /cm2 )以
上になれば、真空シールとして利用することができる。
【0011】尚、110a,110bはベアリングB
1,B2の間での磁石104及び磁極部材105,10
6の軸方向の位置を定めるスペーサリング、111は円
筒部103aの内側に備えられた各構成部材を封止固定
する固定環部材、112,113は円筒部103aの内
周面側と磁極部材105,106の外周面側との密封性
を維持するOリングである。
【0012】図6(b)は、密封装置100のD101
部の磁場の強さを説明する図である。この図は、図7に
示す磁極部材105と回転軸101の間の軸方向の隙間
G’の磁束の分布を磁場の強さとして模式的に表わした
ものである。
【0013】すなわち、磁石104により形成される磁
気回路MC’の磁束は、磁性体である凸条部108a
(複数の凸条部全てが該当するが、代表して記載する)
に磁束が集中するので、磁束密度の大きい領域と小さい
領域とに分かれて存在する。従って、凸条部108aの
頂面の磁場の強さ120aはその両側の凹溝107a,
107bにおける磁場の強さ121a,121bよりも
強く差分Δfが存在することになる。
【0014】また、磁性流体ML’が凸条部108aに
保持される保持力の強さは、この磁場の強さの差分Δf
により定められると共に、保持力の強さがそれぞれのス
テージ部の耐圧能力に比例することになる。
【0015】このような密封装置100を、例えば10
-7Pa程度の真空度を必要とする機器(例えばスパッタ
リングを行なう真空チャンバ等)の真空シールとして機
能させる場合には、低圧側L’と高圧側H’の圧力がそ
れぞれ約0及び約1.0kgf/cm2 となる。尚、真空
度を必要とする機器としては例えば10-1Pa程度のよ
り低い真空度を必要とする機器においても、低圧側L’
の圧力は約0kgf /cm2 となり、同様に適用すること
が可能である。
【0016】従って、この使用形態においては、それぞ
れの磁極部材105,106における各凸条部108a
・・・の耐圧能力の総和が1.0kgf /cm2 以上とな
るように設計されている。
【0017】例えば、各ステージ部の耐圧能力が0.1
kgf /cm2 の場合には、少なくとも10個のステージ
部と、これらのステージ部により独立的に分割される9
個の室が必要であり、さらに安全係数を考慮した場合に
はステージ部と室を複数個追加して備える構成となって
いる。
【0018】そして、この従来技術においては片側の磁
極部材(磁極部材105または106のいずれか一方)
だけでも真空シールとしての耐圧能力を発揮可能な構成
としている。
【0019】密封装置100の作動開始の際には、低圧
側L’の圧力を真空ポンプ等で序々に低下させることが
行われており、まず低圧側L’と室109aとの間で圧
力差が発生し始め、その圧力差が凸条部108aに対応
するステージ部に存在する磁性流体ML’の耐圧能力以
上の差圧となるとブレーク(圧力均衡化現象)が発生
し、隣接する室109bへと低圧側L’の圧力が序々に
高圧側H’の室へと伝播されていく。
【0020】従って、低圧側L’が完全に真空となった
状態では磁極部材105の各室(109a・・・)の圧
力が段階的に変化して、容器102内と外部(大気側)
の約1.0kgf /cm2 の圧力差を維持しつつ低圧側
L’を密封することが可能となっている。
【0021】尚、高圧側H’の磁極部材106は、磁極
部材105の密封性能が低下した場合に、高圧側H’の
大気が直接容器102へと進入し、低圧側L’の真空度
が低下してしまうことを防止可能としている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】このような密封装置1
00では、装置の作動にともない磁性流体ML’が消耗
及び劣化すると、密封性を維持することができなくなる
ので、定期的な点検を行い、必要であれば磁性流体M
L’の補充や交換(密封装置のメンテナンス)が行われ
ている。
【0023】特に上記のように内部が真空状態となる容
器102内と外部の密封に使用されたり、あるいは高温
にさらされる環境で使用されると、磁性流体ML’の劣
化が促進されることになり点検時期や頻度には注意が払
われ、十分な安全性が確保されるよう密封装置のメンテ
ナンスは行われている。
【0024】図8は、真空チャンバの軸受部103に使
用された密封装置100の磁性流体ML’の劣化の状態
を模式的に示した図である。図において、各磁極部材1
05,106において、そのステージ部の数はそれぞれ
4個とし、各ステージ部の耐圧能力を0.25kgf /c
2 と設定してあるが、あくまでも磁性流体ML’の劣
化の状態を模式的に説明するために簡単な構成としてい
るものであって、実際の形態を示すものではない。尚、
括弧内の数字はその領域あるいは室の気圧(kgf /cm
2 )が表示されている。
【0025】磁性流体ML’は、同じ温度でも低圧力環
境で使用されると、揮発成分の蒸発が促進され、図8の
(a)→(b)→(c)→(d)のように低圧側L’よ
り劣化が進む。
【0026】この場合に、磁極部材105の低圧側L’
のステージ部に存在する磁性流体ML’が劣化し、その
ステージ部にブレークが発生して耐圧能力が消滅する
と、真空度の維持に関係するステージ部は1つ高圧側
H’にずれることになり、これが順次繰り返され、各ス
テージ部の耐圧能力の総和が1.0kgf /cm2 よりも
下回ると磁性流体シールの破損が発生し(バースト)、
真空度の維持が不可能となる。
【0027】すなわち、密封装置100では、磁極部材
105または106のいずれか一方の磁極部材でも、容
器102内と外部(大気側)の約1.0kgf /cm2
圧力差を維持することが可能であるため、図8(c)の
状態までは、容器102内部の真空度を高真空度(10
-7Pa)に保つことができるが、磁極部材106の磁性
流体ML’まで劣化が進むと(図8(d)の状態)真空
度を維持することができず、ステージ部の耐圧能力の総
和が1.0kgf /cm2 よりも下回り、バーストが発生
して真空度が一気に低下する。
【0028】図9は、図8の磁性流体ML’の劣化状態
(図8(a),(b),(c),(d)を作動時間に対
応させて横軸に表わされている。)に対応する、容器1
02内部の真空度の低下(図では気圧として縦軸に表わ
されている。)の関係を示すものである。
【0029】密封装置100の作動開始T0 からバース
トの発生時Tbまでは高真空度が維持されているが、バ
ーストの発生時Tb以後は真空度を維持することができ
ず、高圧側H’から低圧側L’へ大気が移動し、低圧側
L’の圧力は不連続的に上昇してしまい、容器102内
部は汚染されてしまう。
【0030】従って、このような磁性流体の消耗や劣化
による問題の発生を考慮して、密封装置のメンテナンス
は、図9におけるTmのタイミング、遅くともTm’の
タイミングで行われるように作動時間で管理されてい
る。
【0031】しかしながら、このTm及びTm’は、密
封装置100を特定の条件の下で作動した場合に対して
実験的に求めることは可能であるが、異なる条件で密封
装置100を作動した場合や、容器102内部での化学
反応等により設定したメンテナンスのタイミングよりも
早くTm及びTm’の状態となった場合には、密封装置
100の作動中にバーストが発生してしまう恐れもあ
る。
【0032】また、これを防ごうとすると、安全率を高
く設定して高い頻度でメンテナンスを行うように設定す
る必要があり、作業効率の低下やメンテナンスコストの
上昇を招くことになる。
【0033】本発明は上記従来技術の問題を解決するた
めになされたもので、その目的とするところは、密封装
置の磁性流体の消耗や劣化の状態を検知することを可能
とし、適切なタイミングでメンテナンスを行うことによ
り、シール破損(バースト)を未然に防止可能とする密
封装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、密封容器に備えられた軸孔部と該
軸孔部に挿通される軸との間の環状隙間に、軸方向に複
数段配置され、磁束が通過する環状ステージ部と、前記
複数段の環状ステージ部に保持される磁性流体と、前記
磁性流体により複数段の環状ステージ部の間に形成さ
れ、軸方向に少なくとも1段配置される圧力室と、を備
え、密封容器の内部と外部との間に発生する圧力差を、
前記圧力室により解消しながら該環状隙間を密封する磁
性流体を利用した密封装置において、前記圧力室と密封
容器の外部とを接続すると共に、微量の流体を疎通可能
とする通気手段を備えることを特徴とする。
【0035】この構成によると、通気手段の接続する圧
力室よりも密封側の圧力室が破損した場合に、通気手段
を介して微量の流体が密封容器の内部と疎通可能とな
り、密封容器の内部の圧力を変化させる。この密封容器
の内部の圧力変化を検知することにより、密封装置の通
気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損し
たことを検知することが可能となる。
【0036】前記環状隙間の軸孔部または軸のいずれか
一方に嵌合する嵌め合い部を有し、この嵌め合い部に対
向する側を前記環状ステージ部とする環状磁極部材を備
え、前記通気手段は、圧力室と嵌め合い部を連通させる
通気経路と、前記嵌め合い部に接続する通気経路の密封
側と反密封側にシール手段とを備え、密封側のシール手
段は、反密封側のシール手段よりもシール性に優れるこ
とも好適である。
【0037】この構成によると、通気手段の接続する圧
力室よりも密封側の圧力室が破損した場合に、反密封側
のシール手段から通気経路を介して微量の流体が密封容
器の内部と疎通可能となり、密封容器の内部の圧力を変
化させる。この密封容器の内部の圧力変化を検知するこ
とにより、密封装置の通気手段の接続する圧力室よりも
密封側の圧力室が破損したことを検知することが可能と
なる。また、圧力室の破損の発生していない通常状態で
は、密封側のシール手段が環状磁極部材の嵌め合い部を
シールするので、密封容器の圧力を維持することができ
る。
【0038】また、軸方向に2分割された前記環状磁極
部材と、この2つの前記環状磁極部材の間に配置され、
前記環状ステージ部を通過する磁束を発生させる磁力発
生手段と、を備え、前記通気手段は、接続する圧力室を
2つの環状磁極部材の間の領域とすると共に、通気経路
を環状磁極部材と磁力発生手段の当接面の隙間とするこ
とも好適である。
【0039】この構成により簡易な構成で通気経路を備
えることが可能となる。
【0040】また、前記2つの環状磁極部材は、それぞ
れが真空状態となる密封容器の内部の圧力と大気圧力と
の圧力差を保持可能であり、前記反密封側のシール手段
は、密封側の圧力室が破損した場合に前記密封容器の内
部の真空度を低下させるための、微量の大気を疎通させ
ることも好適である。
【0041】この構成によると、密封側の環状磁極部材
により形成される圧力室が破損しても反密封側の環状磁
極部材により真空状態となる密封容器の内部の圧力を維
持することができる。そして、密封側の環状磁極部材に
より形成される圧力室が破損した際に、反密封側のシー
ル手段から微量の大気が疎通して密封容器の内部の真空
度を低下させる。この密封容器の内部の圧力変化を検知
することにより、密封装置の状態を検知することが可能
となる。
【0042】また、前記反密封側のシール手段は、気体
透過性を備えていることも好適である。
【0043】微量の大気を疎通させるために、シール手
段の気体透過性を利用することが可能であり、シール手
段の材質や形状を特定することにより、所望の圧力変化
を発生させることができる。
【0044】前記通気手段は、密封側の圧力室が破損し
た場合に密封容器の内部の真空度を低下させるための、
微量の大気を疎通させる気体透過性を備えたプラグ状部
材であることも好適である。
【0045】この構成により、取り付け位置の制約が少
なくまた交換も容易であり、簡単に通気手段を備えるこ
とができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)以下に本発明を図示の第1の実施の形
態に基づいて説明する。図1は磁性流体を利用した密封
装置1の要部断面構成説明図であり、 図2は図1のD
1部を拡大した図である。
【0047】この密封装置1は、密封容器として内部を
真空状態にする真空チャンバVCの外部から内部に回転
動力を伝達する回転軸2の回転駆動力導入部VC1に備
えられている。
【0048】真空チャンバVCの運転時には、真空ポン
プ等により内部の真空引きを行うのでその内部圧力は低
下して真空側Lとなり、真空チャンバVCの外部の高圧
側である大気側Hとの間に圧力差が発生する。
【0049】従って、この実施の形態の密封装置1は、
その圧力差のある2領域間を隔て、真空側Lの真空度を
保持しつつ回転軸2により真空チャンバVC内部に回転
動力を導入するために、回転軸2と回転軸2が挿通され
る軸孔部3との間の環状隙間4に備えられている。
【0050】軸孔部3は、回転軸2の保持及び密封を行
う円筒部3aと、円筒部3aの一方の端部に、真空チャ
ンバVCの回転駆動力導入部VC1に取り付けられるフ
ランジ部3bを備えている。
【0051】密封装置1において、軸孔部3と回転軸2
とはベアリング5a,5bにより相対回転運動に対する
動的な保持が行われている。そして密封性に関しては、
軸孔部3の円筒部3a内側に備えられた磁力発生手段と
しての磁石6により形成される磁気回路MCに介在させ
た磁性流体MLにより行っている。
【0052】磁石6は軸方向に異極が配されており、軸
方向両側には磁石6に当接して磁極となる環状の磁極部
材7a,7bが備えられている。
【0053】回転軸2には、周壁面2aから磁極部材7
a,7bに対向するそれぞれの部位に、複数本(この実
施の形態では5本)の周方向に連続する環状の凸条8
a,8b・・・が突出して形成され、凸条8a,8b・
・・の外周面をステージ部9a,9b,・・・としてい
る。
【0054】ステージ部9a,9b,・・・には、磁気
回路MCの磁束が収束しており、磁性流体MLが保持さ
れている。そして、軸方向に複数段(この実施の形態で
は磁極部材7a,7bのそれぞれに4段)の圧力室PD
a,PDb,・・・,PDf,PDg,・・・が形成さ
れる。尚、磁極部材7a,7bの間の領域も圧力室PD
sとみなしている。
【0055】10は磁極部材7bとベアリング5bとの
間隔を保つスペーサリング、11は円筒部3aの内側に
備えられた各構成部材を封止固定する固定環部材であ
る。
【0056】12,13は、磁極部材7a,7bの嵌め
合い部としての外周面側と円筒部3aの内周面側との密
封性を維持するシール手段としてのOリングである。
【0057】14は、磁極部材7aの真空側Lの軸方向
端面と軸孔部3のスラスト面部3cを封止するシール手
段としての金属シールである。
【0058】尚、図2において円筒部3aと磁極部材7
a,7bの嵌め合い部としての外周面側との間に隙間G
1が記載されているが、実際にはこの図のような大きな
隙間G1が存在するものではなく、所定の嵌め合い代
(すきまばめ)の存在を模式的に表現したものである。
【0059】従って、円筒部3aの内周面側と円筒部3
aに装填される各構成部材との嵌め合い部には微小な隙
間G1が通気手段として存在することになるが、Oリン
グ12,13及び金属シール14により密封されてい
る。
【0060】また、隙間G1と圧力室PDsは、磁石6
と磁極部材7a,7bとの当接面の微細な凹凸による隙
間G2,G3を通気経路として連通している。
【0061】ここで、Oリング12,13は、フッ素ゴ
ムを材料とするものであり、金属シール14は銅ガスケ
ットを採用している。従って、磁極部材7a側に備えら
れたOリング12と金属シール14によるシール性は、
磁極部材7bのOリング13単体によるシール性よりも
優れていることになる。
【0062】このような構成を備えた密封装置1による
と、磁極部材7a,7bの全てのステージ部に保持され
ている磁性流体MLが、全く劣化の発生していない状態
における通常運転時には、周壁面2a側を磁性流体ML
で密封し、隙間G1側をOリング12,13及び金属シ
ール14により密封する。
【0063】そして、このような磁性流体MLの劣化の
ない状態では、真空チャンバVCの真空度を高める(1
-7〜10-9(Pa)程度)ことができる。
【0064】真空チャンバVCの稼動時間の経過と共に
真空側Lのステージ部9aから、順次磁性流体MLの劣
化や蒸発に伴うブレークが発生した場合には、圧力室も
圧力室PDa,PDb・・・と順次破損していく。
【0065】図2は、磁極部材7a側の圧力室が全て破
損した状態である。尚、磁極部材7a,7bは、いずれ
か1つでも真空側Lと大気側Hとの圧力差を維持するこ
とが可能であるので、図2のように磁極部材7aの圧力
室が破損した状態となっても、磁極部材7bにより、周
壁面2a側の密封を維持することができる。
【0066】しかし、圧力室PDsと真空側Lが連通し
た状態では、隙間G1を密封するシール手段がOリング
13のみとなってしまい、Oリング13を透過した空気
が隙間G2,G3を経て真空側Lへと侵入する。そし
て、真空チャンバVC内部の真空度を通常時の10-7
10-9(Pa)から磁性流体が劣化したときの10-5
10-6(Pa)と低下させる。
【0067】従って、真空チャンバVCに備えられてい
る真空計により、真空度が1〜3桁程度低下したタイミ
ングを検知することにより、密封装置1の劣化状態を知
ることが可能となり、このタイミングでメンテナンスや
補修・交換を行なうことにより、真空チャンバVCの真
空度を大きく低下させるシール破損(バースト)を未然
に防止することが可能となる。
【0068】尚、真空度の低下は、真空計を通常稼動時
の真空度よりも1〜2桁低下した場合にアラームがなる
ようにセットすることで、確実に検知することができ
る。
【0069】また、真空度の低下の度合いは、Oリング
13の気体透過性により依存するので、Oリングの材質
や形状・表面処理等を適宜に選定及び設定することが重
要であり、好適な形態とすることで真空度の低下の度合
いを所望の値に設定することが可能である。
【0070】但し、Oリング13の気体透過性が低過ぎ
たり全くない(気密性能が良好である)と、真空チャン
バVCの真空度を1〜3桁程度低下させることができず
に、いきなりシール破損(バースト)となってしまうの
で注意が必要である。
【0071】Oリング12,13の材質は、フッ素ゴム
の他にブチルゴムやニトリルゴムを採用することも可能
であるが、フッ素ゴムに比較して耐熱性、耐薬品性に劣
ることを考慮する必要がある。
【0072】また、金属シール14はこの実施の形態で
は、所定のスラスト荷重を受けることにより非常に高い
気密性を発揮すると共に、入手性と取扱性の容易さや量
産性、信頼性及び経済性に優れる銅ガスケットを採用し
た。
【0073】その他には、無酸素銅ワイヤを圧接により
リング状に形成したメタルOリングや、コイルスプリン
グを内蔵する金属性Oリング状のガスケットであるヘリ
コフレックス(CEFILA社の商品名)、金属環を使
用したOリングでシール性を高めるために表面に銀やニ
ッケル等の金属を被覆したメタル中空Oリング、金属O
リングのO形断面の一部を取り除き「C」形断面とした
Cシール(イーグル工業の商品名)等も適宜採用するこ
とが可能である。
【0074】(実施の形態2)図3は、第2の実施の形
態を説明する図である。この実施の形態の密封装置21
においては、第1の実施の形態の金属シール14に代え
て、Oリング12,13より気体透過性の劣る(気密性
の高い)ゴム状弾性材からなるOリング14Bを備え
た。
【0075】その他の構成及び作用・効果は第1の実施
の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】(実施の形態3)図4は、第3の実施の形
態を説明する図である。この実施の形態の密封装置31
においては、第1の実施の形態から磁極部材の真空側L
のスラスト面部を封止する金属シール14が除かれた構
成である。
【0077】この実施の形態において、Oリング12B
は、Oリング13と同じものでも良いが、磁性流体ML
が劣化していない状態の真空度を高めるために、より気
密性の高いものを使用することが望ましい。
【0078】その他の構成及び作用・効果は第1及び第
2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略す
る。
【0079】(実施の形態4)図5(a)は、第4の実
施の形態を説明する図である。この実施の形態の密封装
置41においては、通気手段としての通気プラグ42を
円筒部3aの磁石6に対向する位置に設けられた貫通す
る取り付けネジ孔3dにねじ込み固定している。
【0080】通気プラグ42はボルト形状を呈してお
り、微量の大気(空気)を疎通させる軸方向に貫通する
オリフィス42aを備えている。
【0081】オリフィス42aのボルトの頭側は、拡径
されており大気の疎通量の調整及び異物の侵入を防止す
る目的で、フィルター部材42bが備えられている。4
3は、通気プラグ42のネジ部とネジ孔3dとの隙間を
シールするワッシャ状シールである。
【0082】この実施の形態におけるOリング12C,
13Cは、気体透過性を考慮することなく、シール性能
の高いものを採用することが可能である。
【0083】このような構成の密封装置41で、磁極部
材7a側の圧力室が全て破損した状態となり、圧力室P
Dsと真空側Lが連通した状態では、通気プラグ42か
ら微量の大気がオリフィス42a、隙間G2,G3を通
過して真空チャンバVCの真空度を低下させる。
【0084】従って、第1の実施の形態と同様に、真空
チャンバVCに備えられている真空計により、真空度が
1〜3桁程度低下したタイミングを検知することによ
り、密封装置41の劣化状態を知ることが可能となり、
このタイミングでメンテナンスや補修・交換を行なうこ
とにより、真空チャンバVCの真空度を大きく低下させ
るシール破損(バースト)を未然に防止することが可能
となる。
【0085】図5(b)は、疎通させる大気量を調整す
ることを可能とする通気プラグ45の断面構成説明図で
ある。
【0086】通気プラグ45は、軸方向に連なるオリフ
ィス45a、絞り部45b、ネジ孔部45cを備え、ネ
ジ孔部45cから絞りニードル46aを有する調整プラ
グ46をねじ込み、絞り部45bの絞り量を変えること
で、疎通する大気量を調整することを可能としている。
47は、シート状のエアフィルタである。
【0087】
【発明の効果】上記実施の形態により説明された本発明
の磁性流体を利用した密封装置によると、通気手段の接
続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損した場合に、
通気手段を介して微量の流体が密封容器の内部と疎通可
能となり、密封容器の内部の圧力を変化させる。この密
封容器の内部の圧力変化を検知することにより、密封装
置の通気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が
破損したことを検知することが可能となり、密封装置の
磁性流体の消耗や劣化の状態を検知でき、適切なタイミ
ングでメンテナンスを行うことにより、シール破損(バ
ースト)を未然に防止可能とする。
【0088】通気経路とシール手段を備えた通気手段に
よると、反密封側のシール手段から通気経路をを介して
微量の流体が密封容器の内部と疎通可能となり、密封容
器の内部の圧力を変化させる。この密封容器の内部の圧
力変化を検知することにより、密封装置の通気手段の接
続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損したことを検
知することが可能となる。また、圧力室の破損の発生し
ていない通常状態では、密封側のシール手段が環状磁極
部材の嵌め合い部をシールするので、密封容器の圧力を
維持することができる。
【0089】通気経路を環状磁極部材と磁力発生手段の
当接面の隙間とすることにより、簡易な構成で通気経路
を備えることが可能となる。
【0090】2つの環状磁極部材のそれぞれが真空状態
となる密封容器の内部の圧力と大気圧力との圧力差を保
持可能であり、反密封側のシール手段は、密封側の圧力
室が破損した場合に前記密封容器の内部の真空度を低下
させるための、微量の大気を疎通させることで、密封側
の環状磁極部材により形成される圧力室が破損しても反
密封側の環状磁極部材により真空状態となる密封容器の
内部の圧力を維持することができる。そして、密封側の
環状磁極部材により形成される圧力室が破損した際に、
反密封側のシール手段から微量の大気が疎通して密封容
器の内部の真空度を低下させる。この密封容器の内部の
圧力変化を検知することにより、密封装置の状態を検知
することが可能となる。
【0091】微量の大気を疎通させるために、シール手
段の気体透過性を利用することが可能であり、シール手
段の材質や形状を特定することにより、所望の圧力変化
を発生させることができる。
【0092】通気手段をプラグ状部材とすることによ
り、取り付け位置の制約が少なくまた交換も容易であ
り、簡単に通気手段を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を適用した密封装置の断面構成説
明図。
【図2】図2は第1の実施の形態のステージ部近傍の断
面構成説明図。
【図3】図3は第2の実施の形態のステージ部近傍の断
面構成説明図。
【図4】図4は第3の実施の形態のステージ部近傍の断
面構成説明図。
【図5】図5は第4の実施の形態のステージ部近傍の断
面構成説明図と、通気手段としてのプラグ形状を説明す
る図。
【図6】図6は従来の密封装置の断面構成説明図と磁場
の強さを説明する図。
【図7】図7は図6のD101部の拡大図。
【図8】図8は磁性流体の劣化状態を説明する図。
【図9】図9は磁性流体の劣化状態と真空度の低下の関
係を示す図。
【符号の説明】
1 密封装置 2 回転軸 2a 周壁面 3 軸孔部 3a 円筒部 3b フランジ部 3c スラスト面 4 環状隙間 5a,5b ベアリング 6 磁石(磁力発生手段) 7a,7b 磁極部材 8a,8b 凸条 9a,9b ステージ部 10 スペーサリング 11 固定環部材 12,13 Oリング(シール手段) 14 金属シール(シール手段) 42,45 通気プラグ(通気手段) G1 隙間 G2,G3 隙間(通気経路) H 大気側 L 真空側 MC 磁気回路 ML 磁性流体 PDa,PDb・・・PDs 圧力室 VC 真空チャンバ(密封容器) VC1 回転駆動力導入部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密封容器に備えられた軸孔部と該軸孔部
    に挿通される軸との間の環状隙間に、 軸方向に複数段配置され、磁束が通過する環状ステージ
    部と、 前記複数段の環状ステージ部に保持される磁性流体と、 前記磁性流体により複数段の環状ステージ部の間に形成
    され、軸方向に少なくとも1段配置される圧力室と、 を備え、密封容器の内部と外部との間に発生する圧力差
    を、前記圧力室により解消しながら該環状隙間を密封す
    る磁性流体を利用した密封装置において、 前記圧力室と密封容器の外部とを接続すると共に、微量
    の流体を疎通可能とする通気手段を備えることを特徴と
    する磁性流体を利用した密封装置。
  2. 【請求項2】 前記環状隙間の軸孔部または軸のいずれ
    か一方に嵌合する嵌め合い部を有し、この嵌め合い部に
    対向する側を前記環状ステージ部とする環状磁極部材を
    備え、 前記通気手段は、圧力室と嵌め合い部を連通させる通気
    経路と、前記嵌め合い部に接続する通気経路の密封側と
    反密封側にシール手段とを備え、 密封側のシール手段は、反密封側のシール手段よりもシ
    ール性に優れることを特徴とする請求項1に記載の磁性
    流体を利用した密封装置。
  3. 【請求項3】 軸方向に2分割された前記環状磁極部材
    と、 この2つの前記環状磁極部材の間に配置され、前記環状
    ステージ部を通過する磁束を発生させる磁力発生手段
    と、を備え、 前記通気手段は、接続する圧力室を2つの環状磁極部材
    の間の領域とすると共に、通気経路を環状磁極部材と磁
    力発生手段の当接面の隙間とすることを特徴とする請求
    項2に記載の磁性流体を利用した密封装置。
  4. 【請求項4】 前記2つの環状磁極部材は、それぞれが
    真空状態となる密封容器の内部の圧力と大気圧力との圧
    力差を保持可能であり、 前記反密封側のシール手段は、密封側の圧力室が破損し
    た場合に前記密封容器の内部の真空度を低下させるため
    の、微量の大気を疎通させることを特徴とする請求項3
    に記載の磁性流体を利用した密封装置。
  5. 【請求項5】 前記反密封側のシール手段は、気体透過
    性を備えていることを特徴とする請求項2乃至4のいず
    れか1項に記載の磁性流体を利用した密封装置。
  6. 【請求項6】 前記通気手段は、密封側の圧力室が破損
    した場合に密封容器の内部の真空度を低下させるため
    の、微量の大気を疎通させる気体透過性を備えたプラグ
    状部材であることを特徴とする請求項1に記載の磁性流
    体を利用した密封装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010065714A (ja) * 2008-09-08 2010-03-25 Eagle Ind Co Ltd 磁性流体を利用した密封装置
JP2012505361A (ja) * 2008-10-09 2012-03-01 リガク イノベイティブ テクノロジーズ インコーポレイテッド 圧縮可能リングによりベアリングとシャフトを中心に配置する磁性流体封止装置
CN112648382A (zh) * 2020-12-31 2021-04-13 清华大学 磁性液体密封装置
CN114251369A (zh) * 2021-11-25 2022-03-29 广西科技大学 一种轴承用磁流体密封装置

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