JPH1150145A - 偏析抑制効果と酸化層抑制効果に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板の製造方法 - Google Patents

偏析抑制効果と酸化層抑制効果に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板の製造方法

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JPH1150145A
JPH1150145A JP9222023A JP22202397A JPH1150145A JP H1150145 A JPH1150145 A JP H1150145A JP 9222023 A JP9222023 A JP 9222023A JP 22202397 A JP22202397 A JP 22202397A JP H1150145 A JPH1150145 A JP H1150145A
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JP9222023A
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Tomoaki Hyodo
知明 兵藤
Katsuhisa Yamauchi
克久 山内
Tamako Ariga
珠子 有賀
Masaki Omura
雅紀 大村
Tomohiko Uchino
知彦 内野
Daisuke Ozaki
大介 尾崎
Naoichi Yamamura
直一 山村
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏析を有効に防止して、画像の局部的な鮮明
度の低下をもたらすスジむら等のエッチング不良を防止
することができ、かつ高精度のエッチングが可能であ
り、しかも酸化スケールおよびサブスケールを抑制する
ことができる電子部品用低熱膨張合金薄板の製造方法を
提供すること。 【解決手段】 Ni:30〜50wt%を含有するFe
−Ni系合金またはNi:20〜40wt%、Co:7
wt%以下を含有し、かつNi+Coが27〜40wt
%であるFe−Ni−Co系合金からなり、造塊法で溶
製された鋼塊または連続鋳造法により溶製されたスラブ
に対して1200℃以上の加熱温度でトータル20時間
以上の均熱処理を行い、鋼塊またはスラブの最終均熱後
に10%以上の圧下率で分塊圧延あるいは鍛造し、その
後熱間圧延および冷間圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスクや
リードフレーム等の微細なエッチング加工を施す電子部
品に使用される低熱膨張合金薄板に関し、特に、コンピ
ューターディスプレイに使用される高精細用シャドウマ
スクとして好適な、偏析抑制効果と酸化層抑制効果に優
れた低熱膨張合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスクやリードフレーム等の電
子部品は一般にエッチング加工が施されて使用される。
この際に、エッチング速度が速く、かつエッチング後の
孔の端部形状と寸法精度に優れたエッチング性の高い材
料が要求されている。
【0003】以下、シャドウマスクを例にとって説明す
る。シャドウマスクはテレビジョンのブラウン管に使用
されており、電子銃から発射された電子ビームをガラス
体によって支持された蛍光面上の所定の位置に正確に照
射して特定の色調を与えるための多数の細孔を有してい
る。この場合に、発射された電子ビームのうち細孔を通
過して蛍光体に照射されるのは約2割であり、残りの8
割はシャドウマスクに衝突するため、シャドウマスクは
蛍光面を支持するガラス体に比較して高温になる。その
上、シャドウマスク用素材として従来より用いられてき
た低炭素リムド鋼や低炭素アルミキルド鋼等の軟鋼板
は、蛍光面を支持するガラス体に比べて熱膨張率がはる
かに大きいため、これらの間に位置ずれが生じて電子ビ
ームを蛍光面上の所定の位置へ正確に照射することがで
きなくなり、画像が不鮮明になることが多かった。
【0004】画像が不鮮明になることを防止するため
に、シャドウマスクの懸架位置となる支持体の構造を工
夫して、上記位置ずれを補償することも試みられている
が、必ずしも十分とはいえない。さらに近年は、テレビ
ジョン画面の大型化、高品位化や高輝度化に伴って、こ
れらの位置ずれの問題が顕在化している。
【0005】そこで、シャドウマスク用素材として、低
熱膨張材料である36wt%Niを含有するFe−Ni
系合金の使用が拡大している。この合金は従来の低炭素
鋼に比べて熱膨張係数が約1/10と小さく、高輝度画
面における電子ビームの加熱に対してもその低膨張性は
維持されるため、この材料を素材として作製されたシャ
ドウマスクでは、熱膨張による色ずれは生じにくい。
【0006】シャドウマスク用Fe−Ni系合金薄板
は、通常、連続鋳造法または造塊法によって合金鋼塊を
調整し、次いで分塊圧延、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を
施して製造される。この合金薄板にフォトエッチング加
工により電子ビームの通過孔を形成した後、焼鈍、成型
加工および黒化処理等の各工程を施すことによりシャド
ウマスクが製造される。
【0007】しかし、Fe−Ni系合金薄板を素材とす
るシャドウマスクは、優れた低熱膨張特性を有する一方
で、エッチング性に劣るため、フォトエッチング加工で
良好な孔形状を得ることは困難であり、エッチング不良
により局部的に画像の鮮明度不良を生じることがある。
そこで、このFe−Ni系合金薄板についてエッチング
性を改善する試みがなされている。
【0008】例えば、特公昭59−32859号公報で
は、フォトエッチング加工後の孔形状をシャドウマスク
全面にわたって均一にするためには、エッチング面の結
晶方位の不揃いを防いで、エッチング速度を一定にする
必要があるとして{100}結晶面の配向度を35%以
上とすることによって改善を図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
テレビジョン画面の大型化およびコンピューターのディ
スプレイへの適用拡大にともない画像のきめ細かさや高
輝度化への要求が一段と高まってきており、このために
電子ビームの通過孔をより高輝度に穿孔するようなエッ
チング加工が必要となってきている。
【0010】特に、コンピューターディスプレイに使用
される高精細のシャドウマスクでは主として板厚0.1
5mm以下の素材が使用され、例えば直径120μm
の孔が270μmピッチで穿孔されており、さらなるフ
ァインピッチ化も試行されている。
【0011】このような微細な孔をエッチング面内にお
いて精度よく穿孔するために、エッチング技術の向上と
ともに、素材の材質の向上が図られてきたが、依然とし
て局部的なエッチング不良に起因する孔形状の不良が発
生しており、画像の局部的な鮮明度不良の一因となって
いる。
【0012】このエッチング不良は、マスク部において
合金薄板の圧延方向に沿った微細な線状のむらとして観
察され、「スジむら」と呼ばれている。このスジむらの
多くは数十μm〜数mmの幅を有し、マスク部の一辺か
ら対辺に達する。これまでNiの偏析あるいは不純物の
偏析によりスジむらが発生することが知られており、ス
ジむらを抑制するために均熱による偏析拡散処理に関し
ていくつかの技術が提案されている。
【0013】例えば、特開平2−54744号公報で
は、スジむらがC、Si、Mn、Cr等の不純物元素の
偏析、あるいは鋳造時の凝固組織により発生するものと
し、0.001〜0.03wt%のBを添加するととも
に、特定条件でスラブを加熱することにより偏析を阻止
し、柱状晶組織を低減してスジむらの抑制を図ってい
る。しかし、実際には、例えばシャドウマスクのように
微細なエッチング加工と低熱膨張が要求される材料で
は、特性を劣化させないためにC、Si、Mn、Cr等
の元素は合計しても1wt%に満たない量に極力低減し
ており、このような偏析によるスジむらは生じ得ず、こ
の技術はFe−36%Ni合金薄板で発生するスジむら
を解消するものではない。一方で、シャドウマスクの黒
化処理では0.02wt%を超えてBが存在すると、黒
化むらが発生して局部的な色ずれが生じる。
【0014】また特開昭60−128253号公報で
は、スジむらの発生原因はNiの成分偏析であり、Fe
−Ni系合金鋼塊を850℃〜融点以下の温度で加熱
し、1ヒートまたは2ヒート以上で40%以上の断面減
少率で鍛造することによりNi偏析を改善することで、
エッチング孔形状を良くし、スジむらをなくす方法を提
案している。しかし、より微細なエッチング孔を高密度
に穿孔する必要のあるコンピューターディスプレー用の
シャドウマスクでは、このように単に断面減少率を40
%以上とするだけではスジむらを解消することができ
ず、また高温での均熱を長時間行うためスラブ表面に酸
化スケールおよびNiが濃化した合金層であるサブスケ
ールが発生し、スラブ手入れに多大な時間が必要であ
る。
【0015】また特公平6−68128号公報では、ス
ジむらの発生原因は成分偏析が最も支配的であるとし、
1350℃以下の温度範囲でlogt≧8.28−6.
09×10-3T(ただしtは保定時間(hr)、Tは材
料温度)で熱処理することを提案している。しかし、こ
の技術のように単に高温で長時間の均熱を施すだけで
は、スラブ表面に酸化スケールおよびサブスケールが発
生し、スラブ手入れに多大な時間を要し、生産性が低下
する。
【0016】以上述べたように、上記いずれの技術を用
いてもFe−36%Ni合金薄板で発生するようなエッ
チング加工によるスジむらを有効に防止することができ
ず、また、高温および長時間の均熱処理により酸化スケ
ール等が発生する。そして、画像の高品位化に伴って、
スジむら等のエッチング不良は増加する傾向にあり、偏
析改善のための均熱処理は一層高温かつ長時間化する傾
向にある。これに伴って酸化スケール等の発生が増加す
る傾向にあり、表面疵防止のためのグラインダー手入れ
量が増加することに対する対策が求められている。
【0017】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、偏析を有効に防止して、画像の局部的な鮮明
度の低下をもたらすスジむら等のエッチング不良を防止
することができ、かつ高精度のエッチングが可能であ
り、しかも酸化スケールおよびサブスケールを抑制する
ことができる電子部品用低熱膨張合金薄板の製造方法を
提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Fe−N
i系低熱膨張合金薄板のエッチング性について種々検討
を行った結果、上述のスジむらはNi偏析に起因して発
生し、Ni偏析を改善するためには1200℃以上の加
熱温度でトータル20時間以上の均熱処理を行うことが
必要なこと、およびスラブの手入れ量を減少するには酸
化スケールおよびサブスケールに亀裂を入れるために鋳
塊およびスラブの最終均熱後に10%以上の圧下率で分
塊圧延あるいは鍛造することが有効であることを見出し
た。
【0019】図1は、Fe−36wt%Ni合金材(ア
ンバー材)において、鋼塊あるいはスラブの均熱条件
と、その中のNi偏析度との関係を示した図である。加
熱温度が高いほど加熱時間が長いほどNi偏析度は小さ
くなることが示されている。
【0020】一方、Fe−Ni合金を高温で酸化すると
表面には酸化鉄が層状に成長し、合金内部には金属/酸
化物混合部と粒界酸化部からなるサブスケールが成長す
る(引用文献 松野二三朗,錦田俊一:鉄と鋼,Vo
l.68(1982)P109〜116,草開清志,土
岐浩之,石黒隆義、大岡耕之:鉄と鋼,Vol.74
(1988)P119〜126)。
【0021】図2にスラブにおける酸化鉄とサブスケー
ルの模式図を示す。表面の酸化鉄は次工程の熱間圧延で
剥離するが、サブスケールは熱延鋼板に埋め込まれ島状
に点在し、冷間圧延時に合金とサブスケールの伸び率の
差が生じて表面疵となるため、グラインダー研削や酸洗
によるスラブ手入によって、サブスケールを除去する必
要があることがわかる。
【0022】図3に均熱後の圧下率とサブスケール厚の
関係を示す。粒界酸化部が鋼板内部に最も伸びるが、圧
下率が大きくなるほどサブスケール厚(粒界酸化部の厚
さ)が薄くなることが示されている。最終の均熱後10
%以上の圧下を加えることによって均熱処理により伸び
た粒界酸化部を曲げるとともに、金属/酸化物混合部あ
るいは金属部と粒界酸化部との伸び率が異なり亀裂を生
ずるため、サブスケールが割れやすくなり、スラブ手入
れの負荷が軽減される。
【0023】本発明はこのような知見に基づいて完成さ
れたものであり、第1に、Ni:30〜50wt%を含
有するFe−Ni系合金からなり、造塊法で溶製された
鋼塊または連続鋳造法により溶製されたスラブに対して
1200℃以上の加熱温度でトータル20時間以上の均
熱処理を行い、鋼塊またはスラブの最終均熱後に10%
以上の圧下率で分塊圧延あるいは鍛造し、その後熱間圧
延および冷間圧延することを特徴とする、偏析抑制効果
と酸化層抑制効果に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板
の製造方法を提供するものである。
【0024】また、第2に、Ni:20〜40wt%、
Co:7wt%以下を含有し、かつNi+Coが27〜
40wt%であるFe−Ni−Co系合金からなり、造
塊法で溶製された鋼塊または連続鋳造法により溶製され
たスラブに対して1200℃以上の加熱温度でトータル
20時間以上の均熱処理を行い、鋼塊またはスラブの最
終均熱後に10%以上の圧下率で分塊圧延あるいは鍛造
し、その後熱間圧延および冷間圧延することを特徴とす
る、偏析抑制効果と酸化層抑制効果に優れた電子部品用
低熱膨張合金薄板の製造方法を提供するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明においては、電子部品の性能を低下させる
寸法変化や位置ずれが生じないような十分な低熱膨張性
を得るために、Niを30〜45wt%を含有するFe
−Ni系合金を用いる。このような合金を用いることに
より、室温〜100℃の平均熱膨張係数が2.0×10
-6/℃以下の低熱膨張が実現される。
【0026】また、本発明の他の形態においては、7w
t%以下のCoを添加したFe−Ni−Co系合金を用
いる。この場合には、Ni:20〜40wt%、Co:
7wt%以下を含有し、かつNi+Coが27〜40w
t%である。このような組成の合金を用いることによ
り、上記Fe−Ni系合金と同様の低熱膨張性を得るこ
とができる。Coが7wt%を超えるとエッチング性が
著しく低下するため、Co量の上限を7wt%とする。
【0027】本発明の合金は、上記元素の他に、本発明
の効果が損なわれない範囲であればSi、Mn、B、
N、Oを含有してもよいが、Si≦0.07wt%、M
n≦0.5wt%、B≦0.02wt%、N≦0.00
5wt%、O≦0.002wt%の範囲に制限すること
が望ましい。
【0028】これらの元素のうち、Siは溶鋼の脱酸元
素として使用することができるが、過剰に存在すると黒
化処理において板表層に濃化し、均質で黒色の酸化膜形
成を阻害するため0.07wt%以下であることが望ま
しい。Mnは良好な熱間加工性を確保する上で有用であ
るが、過剰に存在するとエッチング性を低下させ、また
黒化処理において板の表層に濃化し、均質で黒色の酸化
膜形成を阻害するため、0.5wt%以下であることが
望ましい。Bは熱間加工性の向上やスケール生成を抑制
する効果があるが、過剰に存在すると黒化処理において
板の表層に濃化し、均質で黒色の酸化膜形成を阻害する
ため、0.02wt%以下とすることが望ましい。Nは
プレス加工性の劣化やエッチング性の劣化をもたらすた
め、0.005wt%以下とすることが望ましい。Oは
プレス前の軟質化焼鈍時に結晶粒の成長を阻害し、プレ
ス成形性を劣化させるので、0.002wt%以下であ
ることが望ましい。
【0029】上記成分組成の低熱膨張合金薄板を得るた
めに、本発明においては、まず、上記成分組成の合金を
転炉または電気炉で溶解し、連続鋳造法あるいは造塊法
でスラブ(連続鋳造法の場合)または鋼塊(造塊法の場
合)を製造する。これを1200℃以上でトータル20
時間以上の熱処理条件で均熱処理し、最終均熱後、10
%以上の圧下率で分塊圧延あるいは鍛造を行って厚さ1
20〜300mmとする。
【0030】このように、上記成分組成の鋼塊またはス
ラブに対し1200℃以上の加熱温度でトータル20時
間以上の均熱処理を行うのは、均熱処理の加熱温度が1
200℃未満あるいはトータルの加熱時間が20時間未
満では、Ni偏析の拡散効果が小さく、スジむら等のエ
ッチング不良が発生しやすくなり、画像の局部的な鮮明
度の低下をもたらすからである。
【0031】また、最終均熱後に10%以上の圧下率で
分塊圧延あるいは鍛造を行うのは、これにより酸化スケ
ールおよびサブスケールに亀裂を入れ、これらを剥離さ
せて、スラブ手入れ量を低減させるためである。10%
未満の圧下率では粒界酸化部が合金内部に長く伸びてお
り、また粒界酸化部に割れが発生しにくいため、スラブ
手入れ量が増加する。
【0032】その後、1050〜1250℃で30分間
以上の熱処理を施し、熱間圧延により厚さ2〜3mmの
熱延鋼板を得る。この熱延鋼板について、冷間圧延と7
50℃以上での焼鈍を2回以上繰り返し、板厚0.10
〜0.25mmの薄板を製造する。この際に、鋼塊から
薄板までの累積圧下率は99.9%以上とする。これに
より、目的とする電子部品用低熱膨張合金薄板が得られ
る。
【0033】なお、本発明においては、最終均熱処理の
後に、スケールを剥離させるために必ず10%以上の圧
下率で分塊圧延または鍛造を行うものであり、このよう
な条件を満たしている限り、その形態は問わず、最初の
均熱処理の後の形状制御のための分塊圧延または鍛造に
このような機能をもたせてもよい。しかし、一回目の均
熱処理の後、1回または複数回の形状制御のための分塊
圧延または鍛造を行い、その後最終均熱処理を施し、最
後にスケール剥離のための分塊圧延または鍛造を行うよ
うにすることが好ましい。
【0034】本発明は、エッチング加工される電子部品
用の合金薄板全般を対象とするが、特に高精度のエッチ
ング加工と低熱膨張性が要求されるエッチング加工によ
る孔ピッチが300μm以下のシャドウマスク用素材の
製造方法として好適である。本発明における低熱膨張特
性を有するFe−Ni系またはFe−Ni−Co系合金
薄板を素材とするシャドウマスクは、熱膨張による位置
ずれが少ないので、これを用いたブラウン管の画像は一
段と鮮明になる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の合金薄板をシャドウマスク用
素材として使用する場合の実施例について説明する。表
1に本実施例で用いた鋼の化学成分組成を示す。ここで
はシャドウマスク用素材として必要な低熱膨張特性、黒
化処理性およびプレス成形性が得られるA〜Dの3種類
を溶製した。
【0036】
【表1】
【0037】これらの鋼を溶製した鋼塊およびスラブに
対して1100〜1300℃で5〜60時間の均熱処理
を施し、その後最終均熱後の圧下率が10%以上となる
ように分塊圧延あるいは鍛造を行った。引き続き105
0〜1150℃で1〜5時間の熱処理を行い、その後熱
間圧延して厚さ2.0〜4.0mmの熱延鋼板を得た。
さらに冷間圧延と700℃以上の温度での焼鈍を2から
4回行い、板厚0.10〜0.25mmの表2に示す薄
板No.1〜20を製造した。なお、No.1〜15が
本発明例であり、No.16〜20が比較例である。
【0038】これらNo.1〜20の薄板を製造した際
の、鋼塊およびスラブの均熱条件の均熱条件および圧下
率を表2に示す。これらの鋼塊およびスラブを使用して
製造した薄板について粒界酸化部の深さ、スラブ手入れ
負荷、Ni偏析度およびエッチング不良の有無を評価し
た。その結果を表3に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】エッチング性の評価は電子ビーム通過孔の
孔径が110μmφ、孔ピッチ250μmであるフォト
マスクを使用してフォトエッチング穿孔試験を行い、加
工後のシャドウマスクの外観についてスジむら等のエッ
チング不良の有無と加工精度を判定した。このときのフ
ォトエッチングは、液温60℃、47ボーメ濃度の塩化
第二鉄水溶液をスプレー圧2.0kgf/cm2でスプ
レー処理する条件で行った。エッチング不良の有無は、
一方向光源を用いた透過光および反射光による目視観察
によって判定した。
【0042】表3に示すように、本発明例であるNo.
1〜15ではスラブ手入れ負荷が小さく、スジむらが微
小の低熱膨張合金薄板が得られた。これに対して、比較
例であるNo.16,19はいずれもNi偏析に伴うス
ジむらを生じた。また比較例であるNo.17,18,
20はいずれも粒界酸化部の厚さが大きく、スラブ手入
れ負荷が大きかった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特定組成のFe−Ni系合金またはFe−Ni−Co系
合金を素材として用い、均熱処理条件と最終均熱処理後
の圧下率を所定の範囲に規定することにより、スジむら
等のエッチング不良を防止することができるとともに、
酸化スケールおよびサブスケールを抑制することができ
る電子部品用低熱膨張合金の製造方法が提供される。本
発明の方法によって製造された電子部品用低熱膨張合金
薄板は、特に高精度の加工が必要なコンピューターディ
スプレイに使用されるシャドウマスク用素材として好適
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−36wt%Ni合金材(アンバー材)に
おいて、鋼塊あるいはスラブの均熱条件と、その中のN
i偏析度との関係を示した図。
【図2】Fe−Ni合金スラブにおける酸化鉄とサブス
ケールの模式図。
【図3】Fe−Ni合金スラブの均熱後の圧下率とサブ
スケール厚さ(粒界酸化部深さ)との関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大村 雅紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 内野 知彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 尾崎 大介 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山村 直一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:30〜50wt%を含有するFe
    −Ni系合金からなり、造塊法で溶製された鋼塊または
    連続鋳造法により溶製されたスラブに対して1200℃
    以上の加熱温度でトータル20時間以上の均熱処理を行
    い、鋼塊またはスラブの最終均熱後に10%以上の圧下
    率で分塊圧延あるいは鍛造し、その後熱間圧延および冷
    間圧延することを特徴とする、偏析抑制効果と酸化層抑
    制効果に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 Ni:20〜40wt%、Co:7wt
    %以下を含有し、かつNi+Coが27〜40wt%で
    あるFe−Ni−Co系合金からなり、造塊法で溶製さ
    れた鋼塊または連続鋳造法により溶製されたスラブに対
    して1200℃以上の加熱温度でトータル20時間以上
    の均熱処理を行い、鋼塊またはスラブの最終均熱後に1
    0%以上の圧下率で分塊圧延あるいは鍛造し、その後熱
    間圧延および冷間圧延することを特徴とする、偏析抑制
    効果と酸化層抑制効果に優れた電子部品用低熱膨張合金
    薄板の製造方法。
JP9222023A 1997-08-05 1997-08-05 偏析抑制効果と酸化層抑制効果に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板の製造方法 Pending JPH1150145A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016011451A (ja) * 2014-06-30 2016-01-21 新報国製鉄株式会社 極低熱膨張合金及びその製造方法
JP2022189053A (ja) * 2021-06-10 2022-12-22 日本製鉄株式会社 鋼板の製造方法

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