JP2000219940A - エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板 - Google Patents

エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板

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JP2000219940A
JP2000219940A JP2238699A JP2238699A JP2000219940A JP 2000219940 A JP2000219940 A JP 2000219940A JP 2238699 A JP2238699 A JP 2238699A JP 2238699 A JP2238699 A JP 2238699A JP 2000219940 A JP2000219940 A JP 2000219940A
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rolled steel
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Tomoaki Hyodo
知明 兵藤
Tamako Ariga
珠子 有賀
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像の局部的な鮮明度の低下をもたらすスジ
むら等のエッチング不良が発生せず、かつ高精度のエッ
チング加工が可能な電子部品用低熱膨張合金薄板素材の
熱延鋼板を提供する。 【解決手段】 Ni:30〜45mass%を含有する電子部品用F
e-Ni系合金薄板素材の熱延鋼板の圧延方向に対する垂直
断面におけるNiミクロ偏析の板面に対する傾斜角度を3
度未満にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスクや
リードフレーム等の微細なエッチング加工を施す電子部
門に使用される低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板に関
し、特に、コンピューターディスプレイに使用される高
精細用シャドウマスクとして好適なエッチング性に優れ
た低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスクやリードフレーム等の電
子部品は一般にエッチング加工が施されて使用される。
この際に、エッチング速度が速く、かつエッチング後の
孔の端部形状と寸法精度に優れたエッチング性の高い材
料が要求されている。
【0003】以下、シャドウマスクを例にとって説明す
る。シャドウマスクはテレビジョンのブラウン管に使用
されており、電子銃から発射された電子ビームをガラス
体によって支持された蛍光面上の所定の位置に正確に照
射して特定の色調を与えるための多数の細孔を有してい
る。この場合に、発射された電子ビームのうち細孔を通
過して蛍光体に照射されるのは約2割であり、残りの8割
はシャドウマスクに衝突するため、シャドウマスクは蛍
光面を支持するガラス体に比較して高温になる。その
上、シャドウマスク用素材として従来より用いられてき
た低炭素リムド鋼や低炭素アルミキルド鋼等の軟鋼板
は、蛍光面を支持するガラス体に比べて熱膨張率がはる
かに大きいため、これらの間に位置ずれが生じて電子ビ
ームを蛍光面上の所定の位置へ正確に照射することがで
きなくなり、画像が不鮮明になることが多かった。
【0004】画像が不鮮明になることを防止するため
に、シャドウマスクの懸架位置となる支持体の構造を工
夫して、上記位置ずれを補償することも試みられている
が、必ずしも十分とはいえない。さらに近年は、テレビ
ジョン画面の大型化、高品位化や高輝度化に伴って、こ
れらの位置ずれの問題が顕在化してきている。
【0005】そこで、シャドウマスク用素材として、36
mass%のNiを含有するFe-Ni系合金の使用が拡大してい
る。この合金は従来の低炭素鋼に比べて熱膨張係数が約
1/10倍と小さく、高輝度画面における電子ビームの加熱
に対してもその低膨張性は維持されるため、この材料を
素材として作製されたシャドウマスクでは、熱膨張によ
る色ずれは生じにくい。
【0006】シャドウマスク用Fe-Ni系合金薄板は、通
常、連続鋳造法または造塊法によって合金鋼塊を調整
し、次いで分塊圧延、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を施し
て製造される。この合金薄板にフォトエッチング加工に
より電子ビームの通過孔を形成した後、焼鈍、成型加工
および黒化処理等の各工程を施すことによりシャドウマ
スクが製造される。
【0007】しかし、Fe-Ni系合金薄板を素材とするシ
ャドウマスクは、優れた低熱膨張特性を有する一方で、
エッチング性に劣るため、フォトエッチング加工で良好
な孔形状を得ることは困難であり、エッチング不良によ
り局部的に画像の鮮明度不良を生じることがある。そこ
で、この合金薄板についてエッチング性を改善する試み
がなされている。
【0008】例えば、特公昭59-32859号公報では、フォ
トエッチング加工後の孔形状をシャドウマスク全面にわ
たって均一にするためには、エッチング面の結晶方位の
不揃いを防いで、エッチング速度を一定にする必要があ
るとして{100}結晶面の配向度を35%以上とすることに
よって改善を図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
テレビジョン画面の大型化およびコンピューターのディ
スプレイへの適用拡大にともない画像のきめ細かさや高
輝度化への要求が一段と高まってきており、このために
電子ビームの通過孔をより高輝度に穿孔するようなエッ
チング加工が必要となってきている。
【0010】特に、コンピューターディスプレイに使用
される高精細のシャドウマスクでは主として板厚0.15mm
以下の素材が使用され、例えば直径120μmの孔が270μm
ピッチで穿孔されており、さらなるファインピッチ化も
試行されている。
【0011】このような微細な孔をエッチング画内にお
いて精度よく穿孔するために、エッチング技術の向上と
ともに、素材の材質の向上が図られてきたが、アンバー
合金特有の局部的なエッチング不良に起因する孔形状の
不良が発生しており、画像の局部的な鮮明度不良の一因
となっている。
【0012】このエッチング不良は、マスク部において
合金薄板の圧延方向に沿った微細な線状のむらとして観
察され、「スジむら」と呼ばれている。このスジむらの
多くは数十μm〜数mmの幅を有し、マスク部の一辺から
対辺に達する。
【0013】これまでNiの偏析あるいは不純物の偏析に
よりスジむらが発生することが知られており、スジむら
を抑制するためにいくつかの技術が提案されている。
【0014】例えば、特開平2-54744号公報では、スジ
むらがC、Si、Mn、Cr等の不純物元素の偏析、あるいは
鋳造時の凝固組織により発生するものとし、0.001〜0.0
3 mass%のBを添加するとともに、特定条件でスラブを加
熱することにより偏析を阻止し、柱状晶組織を低減して
スジむらの抑制を図っている。しかし、例えばシャドウ
マスク材料のように微細なエッチング加工と低熱膨張が
要求される材料では、特性を劣化させないためにC、S
i、Mn、Cr等の元素は合計しても1mass%に満たない量に
極力低減しており、このような偏析によるスジむらは生
じ得ず、Fe-36%Ni合金薄板で発生するスジむらを解消す
るものではない。一方で、シャドウマスクの黒化処理で
は0.02mass%を超えてBが存在すると、黒化むらが発生し
て局部的な色ずれが生じる。
【0015】また特開昭60-128253号公報では、スジむ
らの発生原因はNiの成分偏析であり、Fe-Ni系合金鋼塊
を850℃〜融点以下の温度で加熱し、1ヒートまたは2ヒ
ート以上で40%以上の断面減少率で鍛造することによりN
i偏析を改善することで、エッチング孔形状を良くし、
スジむらをなくす方法を提案している。しかし、より微
細なエッチング孔を高密度に穿孔する必要のあるコンピ
ューターディスプレー用のシャドウマスクでは、単に断
面減少率を40%以上とするだけではスジむらを解消でき
ない。
【0016】また特公平7-78270号公報では、等軸晶率
が30%以下の連続鋳造スラブでは1100℃以上で1時間以上
の加熱を、等軸晶率が30%未満ならば950℃以上で1時間
以上加熱することで、スジむらをなくす方法を提案して
いる。しかし、等軸晶率の大小によって加熱条件を変更
するだけでは、より微細なエッチング孔を高密度に穿孔
する必要のあるコンピューターディスプレー用のシャド
ウマスクにおいて、スジむらを解消することは不可能で
ある。
【0017】以上述べたように、上記いずれの技術を用
いてもFe-36%Ni合金薄板で発生するようなエッチング加
工によるスジむらを克服することができず、むしろ画像
の高品位化に伴って、スジむら等のエッチング不良は増
加する傾向にあり、その対策が求められている。また、
Ni偏析改善のためには1250℃以上の高温かつ20時間以上
の長時間の均熱処理が必要であり、省コストと省エネル
ギーの点からも問題があった。
【0018】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、画像の局部的な鮮明度の低下をもたらすスジ
むら等のエッチング不良が発生せず、かつ高精度のエッ
チング加工が可能な電子部品用低熱膨張合金薄板素材の
熱延鋼板を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Fe-Ni系
低熱膨張合金薄板のエッチング性について種々検討を行
った結果、上述のスジむらをはじめとするエッチング不
良が、主に熱間圧延および冷間圧延によって延ばされた
鋼板内部の凝固組織の形態に起因して発生することを見
いだした。
【0020】図1に鋼塊およびスラブの断面における凝
固組織の模式図を示す。凝固後の鋼塊(造塊法)または
スラブ(連続鋳造法)の凝固組織は、凝固速度が大きい
場合(例えば連続鋳造スラブ)では、(a)のように完
全柱状晶組織であり、凝固速度が小さい場合(例えば鋼
塊ボトム部)では、(b)のように表層〜1/4t(但
し、t:鋼塊厚さ)が柱状晶組織で1/4t〜1/2tが等軸
晶組織の混合した凝固組織となる。
【0021】均熱処理を実施しない場合の熱間圧延およ
び冷間圧延後の柱状晶組織の模式図を図2に示す。等軸
晶の有無にかかわらず柱状晶組織が存在する場合には、
この柱状晶組織が熱間圧延および冷間圧延によって延ば
され、薄い板状の偏析組織が積み重ねられた板状組織に
変化する。
【0022】この板状組織は元の柱状晶組織における樹
枝でありFeが濃化しているのに対して、板状組織の間は
元の柱状晶組織では樹間に相当しNiが濃化している。板
状組織と板状組織の間はNi濃度に差があり両者のエッチ
ング溶解量が異なるため孔界面に凹凸を生じ、透過光の
反射状態が変化してスジむらに見える。(a)のように
柱状晶組織(樹枝:Fe濃化部)が板厚方向に斜めに延び
て存在する場合にはスジむらとして認識されやすくな
り、一方、(b)のように柱状晶組織が板面に対して平
行となる場合にはスジむらとして認識されにくくなる。
【0023】シャドウマスクのエッチング孔界面の模式
図を図3に示す。透過光によるスジむら評価試験では孔
界面の一部が見える。板厚方向に斜めに延びた柱状晶組
織の場合には周囲のエッチング孔界面の同一深さ部に樹
枝間隔と同一間隔でスジむらの濃淡が観察される。薄い
板状組織が板面に平行に存在する場合には、孔界面の同
一深さ部に偏析が存在しても、周囲の孔での溶解状態は
同程度となり、スジむらによる濃淡は認められなくな
る。
【0024】凝固後の鋼塊またはスラブの断面組織に柱
状晶組織と等軸晶組織が混合する場合にも板厚方向に斜
めに延びた柱状晶組織が存在すると板厚0.10〜0.15mmの
薄板でスジむらが認められる。柱状晶組織が含まれない
完全等軸晶組織の場合には、熱間圧延と冷間圧延により
延びた板状組織は存在しなくなるが、10トン単重以上の
工業的規模での溶解によって完全等軸晶組織を得ること
は、大規模な電磁撹拌設備あるいは超音波振動設備が必
要となり設備化の点で難しい。
【0025】Ni偏析が存在するにもかかわらずスジむら
を見られなくするためには、冷間圧延後の板状組織が板
面に平行である必要があり、そのためには、その素材で
ある熱延鋼板の板状組織が板面に対してほぼ平行になっ
ていることが必要であることを本発明者らは見出した。
更に、本発明者等は、熱間圧延板の圧延方向に対して垂
直断面における板状組識を観察することにより、冷間圧
延しエッチングした後のスジむらの発生を予測できるこ
とを見出した。
【0026】例えば、分塊圧延方向が鋼塊またはスラブ
の長手方向の中心線に対して斜め方向に分塊圧延するこ
と(以下、斜め分塊圧延)、あるいは予め分塊圧延を幅
方向と長手方向の2段階に分けて行うこと(以下、クロ
ス分塊圧延)、あるいは50%圧下率以上の大圧下量の分
塊圧延を行うこと(以下、大圧下分塊圧延)によって、
柱状晶組織を倒れ込ませ板面に平行にでき、分塊圧延の
ための鋼塊およびスラブの加熱のみで長時間の均熱処理
を行わなくともスジむらが認められにくいFe-Ni系合金
薄板およびFe-Ni-Co系合金薄板が得られる。
【0027】前述した斜め分塊圧延方法の模式図を図4
に示す。鋼塊またはスラブの長手方向の中心線に対して
15〜45度の角度をなすように分塊圧延する。また、クロ
ス分塊圧延方法の模式図を図5に示す。第1段階で、鋼
塊あるいはスラブの幅方向に分塊圧延し、第2段階で長
手方向に分塊圧延する。また、大圧下分塊圧延の模式図
を図6に示す。鋼塊またはスラブを50%以上の圧下量で
分塊圧延する。
【0028】しかし、鋼塊またはスラブを前記のように
分塊圧延しても、鋼塊およびスラブにおけるNiミクロ偏
析の濃度変動が大きく、熱間圧延板の圧延方向に対する
垂直断面で、Niミクロ偏析の幅が100μmを超えると、最
終製品におけるエッチング孔界面においてNi濃度変化に
起因した凹凸が大きくなりエッチング不良が生じる場合
がある。Niミクロ偏析の幅が100μm以下である場合に
は、最終製品における板厚方向のNi濃度変化ピッチが小
さくなりエッチング不良とはならない。従って、Niミク
ロ偏析の幅が100μm以下の場合に、エッチング加工に優
れたFe-Ni系およびFe-Ni-Co系合金薄板素材として好適
である。
【0029】冷間圧延板におけるNiミクロ偏析の幅は、
鋼塊またはスラブのデンドライトアーム間隔に対応して
いる。鋼塊またはスラブの冷却速度を5℃/分以上に大き
くすることで、鋼塊またはスラブのデンドライトアーム
間隔を狭めることが出来るため、熱間圧延板の垂直断面
におけるNiミクロ偏析の幅を100μm以下とすることがで
きる。
【0030】Niミクロ偏析の幅は、熱間圧延後の圧延直
角方向の断面について、10%塩化第二鉄溶液で30秒程度
腐食し、板状組識の幅を測定することで得られる。この
Niミクロ偏析の幅が大きいと板状組織が平行であっても
スジむらが顕著になりやすい。
【0031】本発明はこれらの知見に基づいて完成され
たものであり、第1に、Ni:30〜45mass%を含有する電
子部品用Fe-Ni系合金薄板素材の熱延鋼板であって、前
記熱延鋼板の圧延方向に対する垂直断面におけるNiミク
ロ偏析の板面に対する傾斜角度が3度未満であることを
特徴とするエッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合
金薄板素材の熱延鋼板を提供するものである。
【0032】第2に、Ni:20〜40mass%、Co:7mass%以
下を含有し、かつNi+Coが27〜40mass%である電子部品用
Fe-Ni-Co系合金薄板素材であって、前記熱延鋼板の圧延
方向に対する垂直断面におけるNiミクロ偏析の板面に対
する傾斜角度が3度未満であることを特徴とするエッチ
ング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延
鋼板を提供するものである。
【0033】第3に、Ni:30〜45mass%を含有する電子
部品用Fe-Ni系合金薄板素材であって、前記熱延鋼板の
圧延方向に対する垂直断面におけるNiミクロ偏析の板面
に対する傾斜角度が3度未満であり、断面内のNiミクロ
偏析の幅が100μm以下であることを特徴とするエッチン
グ性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼
板を提供するものである。
【0034】第4に、Ni:20〜40mass%、Co:7mass%以
下を含有し、かつNi+Coが27〜40mass%である電子部品用
Fe-Ni-Co系合金薄板素材であって、前記熱延鋼板の圧延
方向に対する垂直断面におけるNiミクロ偏析の板面に対
する傾斜角度が3度未満であり、断面内のNiミクロ偏析
の幅が100μm以下であることを特徴とするエッチング性
に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板を
提供するものである。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に説明す
る。
【0036】本発明においては、電子部品の性能を低下
させる寸法変化や位置ずれが生じないような十分な低熱
膨張性を得るために、Niを30〜45mass%を含有するFe-Ni
系合金を用いる。このような合金を用いることにより、
室温〜100℃の平均熱膨張係数が2.0×10-6/℃以下であ
るような低熱膨張合金薄板が実現される。
【0037】また、本発明の他の形態においては、7mas
s%以下のCoを添加したFe-Ni-Co系合金を用いる。この場
合には、Ni:20〜40mass%、Co:7mass%以下を含有し、
かつNi+Coが27〜40mass%である。このような組成の合金
を用いることにより、上記Fe-Ni系合金と同様の低熱膨
張性を得ることが出来る。Coが7mass%を超えるとエッチ
ング性が著しく低下するため、Co量の上限を7mass%とす
る。
【0038】本発明の合金は、上記元素の他に、本発明
の効果が損なわれない範囲であれば、Si、Mn、B、N、O
を含有しても良いが、Si≦0.07mass%、Mn≦0.5mass%、B
≦0.02mass%、N≦0.005mass%、O≦0.002mass%の範囲に
制限することが望ましい。
【0039】これらの元素のうち、Siは溶鋼の脱酸元素
として使用することができるが、過剰に存在すると黒化
処理において板表層に濃化し、均質で黒色の酸化膜形成
を阻害するため0.07mass%以下であることが好ましい。M
nは良好な熱間加工性を確保する上で有用であるが、過
剰に存在するとエッチング性を低下させ、また黒化処理
において板の表層に濃化し均質で黒色の酸化膜形成を阻
害するため、0.5mass%以下とすることが望ましい。Bは
熱間加工性の向上やスケール生成を抑制する効果がある
が、過剰に存在すると黒化処理において板の表層に濃化
し、均質で黒色の酸化膜形成を阻害するため0.02mass%
以下とすることが望ましい。Nはプレス加工性の劣化や
エッチング性の劣化をもたらすため、0.005mass%とする
ことが望ましい。Oはプレス前の軟質化焼鈍時に結晶粒
の成長を阻害し、プレス成型性を劣化させるので、0.00
2mass%以下であることが望ましい。
【0040】上記成分組成の低熱膨張合金薄板を得るた
めに、本発明においては、まず上記成分組成の合金を転
炉または電気炉で溶解し、連続鋳造法あるいは造塊法で
スラブ(連続鋳造法の場合)または鋼塊(造塊法の場
合)を製造する。この場合に、連続鋳造法によりΔT≦2
0℃での低温鋳造(但し、ΔT=タンディッシュの溶鋼温
度−本発明で規定したFe-Ni合金の液相線温度)および
電磁撹拌装置(EMS)による溶湯撹拌を行うと、鋼塊ま
たはスラブの中央に等軸晶組織が得られる。造塊法で等
軸晶組織を得るためには低温鋳造および電磁撹拌の代わ
りに超音波振動が必要となる。一方、ΔT>20℃での高
温鋳造を行うと連続鋳造法および造塊法のいずれにおい
ても完全柱状晶組織となる。
【0041】次いで、前記で得た鋼塊又はスラブを分塊
圧延する。分塊圧延に先立つ加熱条件は分塊圧延時の焼
き割れを防止できる条件であれば充分で、加熱温度1100
℃以上、保持時間1時間以上でよく、従来行われていた
ようなNi偏析改善のための1250℃以上の高温でかつ20時
間以上の長時間の均熱処理が不要である。
【0042】分塊圧延に際しては、熱間圧延後に圧延方
向に対する垂直断面におけるNiミクロ偏析の板面に対す
る傾斜角度を3度未満にするために、斜め分塊圧延又は
クロス分塊圧延又は大圧下分塊圧延を行う。斜め分塊圧
延の場合、鋼塊またはスラブの長手方向の中心線に対し
て15〜45度の角度をなすように分塊圧延する。分塊圧延
角度が15度未満では柱状晶を倒れ込ませ平行にする効果
がなく、また分塊圧延角度が45度を超える場合には分塊
圧延幅が広くなりすぎるため圧延ロールおよび熱延加熱
炉など幅制約を受けハンドリングが困難となる問題点が
生ずる。なお、斜め分塊圧延は分塊圧延率が25%以上と
なるように実施すれば十分で、残りの分塊圧延を長手方
向に平行に分塊圧延すると、熱延板および冷間圧延後の
合金板の板状組織は板面に平行な組織となる。大圧下分
塊圧延の場合は、鋼塊またはスラブを50%以上の圧下量
で分塊圧延する。
【0043】クロス分塊圧延の場合、分塊圧延率が10〜
60%となるようにまず幅方向に分塊圧延し、次いで所定
の鋼塊またはスラブの厚さまで長手方向に分塊圧延す
る。なお、幅方向の分塊圧延と引き続き行う長手方向の
分塊圧延との間には新たな加熱を必要としない。幅方向
の分塊圧延率が10%未満では柱状晶を倒れ込ませ板面に
平行にする効果がなく、また幅方向の分塊圧延率が60%
超えでは分塊圧延幅が広くなりすぎるためハンドリング
が困難となり、縦2条にスラブ切断する必要が生ずる。
【0044】その後、必要があれば1050〜1320℃で30分
間以上の加熱を施し、熱間圧延により厚さ2〜4mmの熱延
鋼板を得る。前述の分塊圧延を行うことによって、熱間
圧延後、圧延方向の垂直断面において板状組識(断面で
は線状に見える)の板面に対する傾斜角度を3度未満に
できる。なお、3度以上では、板状組識に起因するスジ
むらが発生する。図7は、斜めに残存する板状組識と平
行な板状組識の代表例を示す断面ミクロ組識の顕微鏡写
真である。
【0045】この熱延鋼板について、冷間圧延と750℃
以上での焼鈍を1回以上行い、板厚0.08〜0.25mmの薄板
を製造する。この際に、鋼塊から薄板までの累積圧下率
は99%以上とする。これにより、目的とする電子部品用
低熱膨張合金薄板が得られる。
【0046】本発明は、エッチング加工される電子部品
用の合金薄板全般を対象とするが、特に高精度のエッチ
ング加工と低熱膨張性が要求されるエッチング加工によ
る孔ピッチが300μm以下のシャドウマスク用素材の製造
方法として好適である。本発明における低熱膨張特性を
有するFe-Ni系またはFe-Ni-Co系合金薄板を素材とする
シャドウマスクは熱膨張による位置ずれが少ないので、
これを用いたブラウン管の画像は一段と鮮明になる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の合金薄板をシャドウマスク用
素材として使用する場合の実施例について説明する。
【0048】表1に本実施例で用いた鋼の化学成分組成
を示す。ここではシャドウマスク用素材として必要な低
熱膨張特性、黒化処理性およびプレス成形性が得られる
A〜Cの3種類を溶製した。
【0049】
【表1】
【0050】これらの鋼を溶製して得た鋼塊およびスラ
ブに対して、1150〜1250℃で1〜8時間の加熱を施し、分
塊圧延を行った後熱間圧延して厚さ2.0〜4.0mmの熱延鋼
板を得た。さらに冷間圧延と700℃以上の温度での焼鈍
を1〜4回行い、板厚0.08〜0.25mmの表2に示す薄板No.1
〜17を製造した。なお、No.1〜14が本発明例であり、N
o.15〜17が比較例である。
【0051】これらNo.1〜17の薄板を製造した際の、分
塊圧延条件を表2に示す。柱状晶が斜めに存在するかど
うかを、倒れ込み角度が明瞭である熱延板で評価した。
すなわち板状組織の熱延板の圧延方向に対する垂直断面
を10wt%塩化第二鉄溶液で腐食し角度により評価した。
これらの熱延板を使用して製造した薄板についてエッチ
ング不良の有無を評価した。また、熱延鋼板断面のNi偏
析変動幅を断面ミクロ組識写真から調査した。その結果
も表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】エッチング性の評価は電子ビーム通過孔の
孔径が120μmφ、孔ピッチ250μmであるフォトマスクを
使用してフォトエッチング穿孔試験を行い、加工後のシ
ャドウマスクの外観を観察し、エッチング不良の発生状
況、すなわちスジむらの有無と加工精度の良否を判定し
た。このときのフォトエッチングは、液温60℃、47ボー
メ濃度の塩化第二鉄水溶液をスプレー圧3.0kgf/cm2でス
プレー処理する条件で行った。エッチング不良の有無
は、一方向光源を用いた透過光および反射光による目視
観察によって判定した。
【0054】表2に示すように、本発明例であるNo.1〜
14では、スジむらが発生しない低熱膨張合金薄板が得ら
れた。
【0055】これに対して、比較例であるNo.15,No.16
は板状組織に起因するスジむらを生じた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱延鋼板
を素材として製造した電子部品用低熱膨張合金薄板は、
エッチングによるスジむらが発生しない。本発明の熱延
鋼板は、特に高精度の加工が必要なコンピューターディ
スプレイに使用されるシャドウマスク用素材として好適
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼塊およびスラブの断面における凝固組織の模
式図。
【図2】均熱処理を実施しない場合の熱間圧延および冷
間圧延後の柱状晶組織の模式図。
【図3】シャドウマスクのエッチング孔界面の模式図。
【図4】斜め分塊圧延方法を説明する図。
【図5】幅方向および長手方向の分塊圧延方法を説明す
る図。
【図6】大圧下分塊圧延方法を説明する図。
【図7】板状組識が斜めに残存する熱延板と板状組識が
平行に残存する熱延板の圧延垂直断面におけるミクロ組
識の顕微鏡写真。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:30〜45mass%を含有する電子部品用F
    e-Ni系合金薄板素材の熱延鋼板であって、前記熱延鋼板
    の圧延方向に対する垂直断面におけるNiミクロ偏析の板
    面に対する傾斜角度が3度未満であることを特徴とする
    エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材
    の熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 Ni:20〜40mass%、Co:7mass%以下を含
    有し、かつNi+Coが27〜40mass%である電子部品用Fe-Ni-
    Co系合金薄板素材であって、前記熱延鋼板の圧延方向に
    対する垂直断面におけるNiミクロ偏析の板面に対する傾
    斜角度が3度未満であることを特徴とするエッチング性
    に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 Ni:30〜45mass%を含有する電子部品用F
    e-Ni系合金薄板素材であって、前記熱延鋼板の圧延方向
    に対する垂直断面におけるNiミクロ偏析の板面に対する
    傾斜角度が3度未満であり、断面内のNiミクロ偏析の幅
    が100μm以下であることを特徴とするエッチング性に優
    れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板。
  4. 【請求項4】 Ni:20〜40mass%、Co:7mass%以下を含
    有し、かつNi+Coが27〜40mass%である電子部品用Fe-Ni-
    Co系合金薄板素材であって、前記熱延鋼板の圧延方向に
    対する垂直断面におけるNiミクロ偏析の板面に対する傾
    斜角度が3度未満であり、断面内のNiミクロ偏析の幅が
    100μm以下であることを特徴とするエッチング性に優れ
    た電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板。
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