JPH11256238A - エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金およびその製造方法 - Google Patents

エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金およびその製造方法

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JPH11256238A
JPH11256238A JP7861798A JP7861798A JPH11256238A JP H11256238 A JPH11256238 A JP H11256238A JP 7861798 A JP7861798 A JP 7861798A JP 7861798 A JP7861798 A JP 7861798A JP H11256238 A JPH11256238 A JP H11256238A
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rolling
ingot
alloy
etching
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JP7861798A
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English (en)
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Tomoaki Hyodo
知明 兵藤
Tamako Ariga
珠子 有賀
Kentaro Mori
健太郎 森
Hiroshi Awajiya
浩 淡路谷
Masami Komatsu
政美 小松
Takashi Ariizumi
孝 有泉
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像の局部的な鮮明度の低下をもたらすスジ
むら等のエッチング不良が発生せず、かつ高精度のエッ
チングが可能な電子部品用低熱膨張合金およびその製造
方法を提供すること。 【解決手段】 Ni:30〜45wt%を含有するFe
−Ni系合金またはNi:20〜40wt%、Co:7
wt%以下を含有し、かつNi+Coが27〜40wt
%であるFe−Ni−Co系合金からなり、造塊法で溶
製された鋼塊または連続鋳造法により溶製されたスラブ
を、その断面図から求められる中心部の等軸晶の厚さa
のスラブ全厚bに対する比率a/bがa/b<0.2の
とき圧下率40%以上、a/b=0.2〜0.5のとき
圧下率20%以上、a/b>0.5のとき圧下率5%以
上となるように分塊圧延または鍛造した後、熱間圧延お
よび冷間圧延を行い電子部品用低熱膨張合金を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスクや
リードフレーム等の微細なエッチング加工を施す電子部
品に使用される低熱膨張合金に関し、特に、コンピュー
ターディスプレイに使用される高精細用シャドウマスク
として好適な、エッチング性に優れた低熱膨張合金およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスクやリードフレーム等の電
子部品は一般にエッチング加工が施されて使用される。
この際に、エッチング速度が速く、かつエッチング後の
孔の端部形状と寸法精度に優れたエッチング性の高い材
料が要求されている。
【0003】以下、シャドウマスクを例にとって説明す
る。シャドウマスクはテレビジョンのブラウン管に使用
されており、電子銃から発射された電子ビームをガラス
体によって支持された蛍光面上の所定の位置に正確に照
射して特定の色調を与えるための多数の細孔を有してい
る。この場合に、発射された電子ビームのうち細孔を通
過して蛍光体に照射されるのは約2割であり、残りの8
割はシャドウマスクに衝突するため、シャドウマスクは
蛍光面を支持するガラス体に比較して高温になる。その
上、シャドウマスク用素材として従来より用いられてき
た低炭素リムド鋼や低炭素アルミキルド鋼等の軟鋼板
は、蛍光面を支持するガラス体に比べて熱膨張率がはる
かに大きいため、これらの間に位置ずれが生じて電子ビ
ームを蛍光面上の所定の位置へ正確に照射することがで
きなくなり、画像が不鮮明になることが多かった。
【0004】画像が不鮮明になることを防止するため
に、シャドウマスクの懸架位置となる支持体の構造を工
夫して、上記位置ずれを補償することも試みられている
が、必ずしも十分とはいえない。さらに近年は、テレビ
ジョン画面の大型化、高品位化や高輝度化に伴って、こ
れらの位置ずれの問題が顕在化している。
【0005】そこで、シャドウマスク用素材として、低
熱膨張材料である36wt%Niを含有するFe−Ni
系合金の使用が拡大している。この合金は従来の低炭素
鋼に比べて熱膨張係数が約1/10と小さく、高輝度画
面における電子ビームの加熱に対してもその低膨張性は
維持されるため、この材料を素材として作製されたシャ
ドウマスクでは、熱膨張による色ずれは生じにくい。
【0006】シャドウマスク用Fe−Ni系合金薄板
は、通常、連続鋳造法または造塊法によって合金鋼塊を
調整し、次いで分塊圧延、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を
施して製造される。この合金薄板にフォトエッチング加
工により電子ビームの通過孔を形成した後、焼鈍、成型
加工および黒化処理等の各工程を施すことによりシャド
ウマスクが製造される。
【0007】しかし、Fe−Ni系合金薄板を素材とす
るシャドウマスクは、優れた低熱膨張特性を有する一方
で、エッチング性に劣るため、フォトエッチング加工で
良好な孔形状を得ることは困難であり、エッチング不良
により局部的に画像の鮮明度不良を生じることがある。
そこで、このFe−Ni系合金薄板についてエッチング
性を改善する試みがなされている。
【0008】例えば、特公昭59−32859号公報で
は、フォトエッチング加工後の孔形状をシャドウマスク
全面にわたって均一にするためには、エッチング面の結
晶方位の不揃いを防いで、エッチング速度を一定にする
必要があるとして{100}結晶面の配向度を35%以
上とすることによって改善を図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
テレビジョン画面の大型化およびコンピューターのディ
スプレイへの適用拡大にともない画像のきめ細かさや高
輝度化への要求が一段と高まってきており、このために
電子ビームの通過孔をより高輝度に穿孔するようなエッ
チング加工が必要となってきている。
【0010】特に、コンピューターディスプレイに使用
される高精細のシャドウマスクでは主として板厚0.1
5mm以下の素材が使用され、例えば直径120μm
の孔が270μmピッチで穿孔されており、さらなるフ
ァインピッチ化も試行されている。
【0011】このような微細な孔をエッチング面内にお
いて精度よく穿孔するために、エッチング技術の向上と
ともに、素材の材質の向上が図られてきたが、依然とし
て局部的なエッチング不良に起因する孔形状の不良が発
生しており、画像の局部的な鮮明度不良の一因となって
いる。
【0012】このエッチング不良は、マスク部において
合金薄板の圧延方向に沿った微細な線状のむらとして観
察され、「スジむら」と呼ばれている。このスジむらの
多くは数十μm〜数mmの幅を有し、マスク部の一辺か
ら対辺に達する。これまでNiの偏析あるいは不純物の
偏析によりスジむらが発生することが知られており、ス
ジむらを抑制するために均熱による偏析拡散処理に関し
ていくつかの技術が提案されている。
【0013】例えば、特開平2−54744号公報で
は、スジむらがC、Si、Mn、Cr等の不純物元素の
偏析、あるいは鋳造時の凝固組織により発生するものと
し、0.001〜0.03wt%のBを添加するととも
に、特定条件でスラブを加熱することにより偏析を阻止
し、柱状晶組織を低減してスジむらの抑制を図ってい
る。しかし、実際には、例えばシャドウマスクのように
微細なエッチング加工と低熱膨張が要求される材料で
は、特性を劣化させないためにC、Si、Mn、Cr等
の元素は合計しても1wt%に満たない量に極力低減し
ており、このような偏析によるスジむらは生じ得ず、こ
の技術はFe−36%Ni合金薄板で発生するスジむら
を解消するものではない。一方で、シャドウマスクの黒
化処理では0.02wt%を超えてBが存在すると、黒
化むらが発生して局部的な色ずれが生じる。
【0014】また特開昭60−128253号公報で
は、スジむらの発生原因はNiの成分偏析であり、Fe
−Ni系合金鋼塊を850℃〜融点以下の温度で加熱
し、1ヒートまたは2ヒート以上で40%以上の断面減
少率で鍛造することによりNi偏析を改善することで、
エッチング孔形状を良くし、スジむらをなくす方法を提
案している。しかし、より微細なエッチング孔を高密度
に穿孔する必要のあるコンピューターディスプレー用の
シャドウマスクでは、このように単に断面減少率を40
%以上とするだけではスジむらを解消することができな
い。
【0015】また特公平7−78270号公報では、等
軸晶率が30%以下の連続鋳造スラブでは1100℃以
上で1時問以上の加熱を、等軸晶率が30%未満ならば
950℃以上で1時間以上加熱することで、スジむらを
なくす方法を提案している。しかし、等軸晶率の大小に
よって加熱条件を変更するだけでは、より微細なエッチ
ング孔を高密度に穿孔する必要のあるコンピユーターデ
ィスブレー用のシャドウマスクにおいて、スジむらを解
消することは不可能である。
【0016】以上述べたように、上記いずれの技術を用
いてもFe−36%Ni合金薄板で発生するようなエッ
チング加工によるスジむらを有効に防止することができ
ず、むしろ、画像の高品位化に伴って、スジむら等のエ
ッチング不良は増加する傾向にあり、その対策が求めら
れている。
【0017】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、画像の局部的な鮮明度の低下をもたらすスジ
むら等のエッチング不良が発生せず、かつ高精度のエッ
チングが可能な電子部品用低熱膨張合金およびその製造
方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Fe−N
i系低熱膨張合金薄板のエッチング性について種々検討
を行った結果、上述のスジむらをはじめとするエッチン
グ不良が、Niミクロ偏析の濃度変動量だけでなく、熱
間圧延および冷間圧延によって延ばされた鋼板内部の凝
固組織の形態にも影響されることを見出した。
【0019】すなわち、凝固後の鋼塊(造塊法)または
スラブ(連続鋳造法)の断面組織が全て柱状晶組織であ
る場合には、鋼塊またはスラブの圧下率が20%で分塊
圧延し、1250℃×40時間の均熱処理を行い、熱間
圧延し冷間圧延と焼鈍を繰り返し製造した板厚0.12
mmの薄板のエッチング加工でスジむらが発生するのに
対して、圧下率が75%で分塊圧延する場合には分塊圧
延の圧下率以外同一条件で製造した薄板のエッチング加
工でスジむらは発生しなかった。したがって、柱状晶組
織の場合には、分塊圧延あるいは鍛造における圧下率に
よって同一加熱条件であってもスジむらの発生率が異な
る。
【0020】一方、凝固後の鋼塊またはスラブの断面組
織に柱状晶組織と等軸晶組織が混合する場合には、等軸
晶率が増加するほど、分塊圧延あるいは鍛造における圧
下率のスジむらに及ぼす影響は小さく、等軸晶率が50
%以上では分塊圧延による圧下を加えなくとも良いこと
が明らかとなった。
【0021】これは、柱状晶組織では、熱間圧延および
冷間圧延と焼鈍を経て、柱状晶が薄い板状の偏析組織が
積み重ねられたものとして存在することに起因する。柱
状晶の樹枝はFe濃化で樹間はNi濃化であり、エッチ
ングの溶解量が異なり孔界面に凹凸を生じ、透過光の反
射状態が変化するため、偏析状態によってスジむらに見
える。分塊圧延および鍛造の圧下率が小さいと、柱状晶
組織が板厚方向に斜めに延びて存在するためスジむらと
して認識されやすくなる。分塊圧延および鍛造時の圧下
率が大きい場合には、柱状晶組織は平行となってスジむ
らと認められにくくなる。
【0022】一方、等軸晶組織では、熱延以降の冷間圧
延と焼鈍を経ても、等軸晶は線状に延ばされるだけで板
状に延ばされてはいないため、圧下率が小さくとも凝固
組織が板厚方向に斜めに延びて存在することはなく、ス
ジむら発生に及ぼす圧下率の影響は小さい。すなわち、
均熱条件のみならず、柱状晶組織と等軸晶組織の混合状
態に対応して、用いる鋼塊またはスラブの圧下率を制御
する必要がある。
【0023】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたものであり、第1に、Ni:30〜45wt%を含
有するFe−Ni系合金からなり、造塊法で溶製された
鋼塊または連続鋳造法により溶製されたスラブを、その
断面図から求められる中心部の等軸晶の厚さaのスラブ
全厚bに対する比率a/bに対応して以下に示すような
圧下率で分塊圧延または鍛造した後、熱間圧延および冷
間圧延を行うことを特徴とする、エッチング性に優れた
電子部品用低熱膨張合金の製造方法を提供するものであ
る。 a/b<0.2 圧下率40%以上 a/b=0.2〜0.5 圧下率20%以上 a/b>0.5 圧下率5%以上
【0024】第2に、Ni:20〜40wt%、Co:
7wt%以下を含有し、かつNi+Coが27〜40w
t%であるFe−Ni−Co系合金からなり、造塊法で
溶製された鋼塊または連続鋳造法により溶製されたスラ
ブを、その断面図から求められる中心部の等軸晶の厚さ
aのスラブ全厚bに対する比率a/bに対応して以下に
示すような圧下率で分塊圧延または鍛造した後、熱間圧
延および冷間圧延を行うことを特徴とする、エッチング
性に優れた電子部品用低熱膨張合金の製造方法を提供す
るものである。 a/b<0.2 圧下率40%以上 a/b=0.2〜0.5 圧下率20%以上 a/b>0.5 圧下率5%以上
【0025】第3に、上記第1の製造方法により製造さ
れたエッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金を提
供するものである。
【0026】第4に、上記第2の製造方法により製造さ
れたエッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金を提
供するものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明においては、電子部品の性能を低下させる
寸法変化や位置ずれが生じないような十分な低熱膨張性
を得るために、Niを30〜45wt%を含有するFe
−Ni系合金を用いる。このような合金を用いることに
より、室温〜100℃の平均熱膨張係数が2.0×10
-6/℃以下の低熱膨張が実現される。
【0028】また、本発明の他の形態においては、7w
t%以下のCoを添加したFe−Ni−Co系合金を用
いる。この場合には、Ni:20〜40wt%、Co:
7wt%以下を含有し、かつNi+Coが27〜40w
t%とする。このような組成の合金を用いることによ
り、上記Fe−Ni系合金と同様の低熱膨張性を得るこ
とができる。Coが7wt%を超えるとエッチング性が
著しく低下するため、Co量の上限を7wt%とする。
【0029】本発明において適用される合金は、上記元
素の他に、本発明の効果が損なわれない範囲であればS
i、Mn、B、N、O等を含有してもよいが、Si≦
0.07wt%、Mn≦0.5wt%、B≦0.02w
t%、N≦0.005wt%、O≦0.002wt%の
範囲に制限することが望ましい。
【0030】これらの元素のうち、Siは溶鋼の脱酸元
素として使用することができるが、過剰に存在すると黒
化処理において板表層に濃化し、均質で黒色の酸化膜形
成を阻害するため0.07wt%以下であることが望ま
しい。Mnは良好な熱間加工性を確保する上で有用であ
るが、過剰に存在するとエッチング性を低下させ、また
黒化処理において板の表層に濃化し、均質で黒色の酸化
膜形成を阻害するため、0.5wt%以下であることが
望ましい。Bは熱間加工性の向上やスケール生成を抑制
する効果があるが、過剰に存在すると黒化処理において
板の表層に濃化し、均質で黒色の酸化膜形成を阻害する
ため、0.02wt%以下とすることが望ましい。Nは
プレス加工性の劣化やエッチング性の劣化をもたらすた
め、0.005wt%以下とすることが望ましい。Oは
プレス前の軟質化焼鈍時に結晶粒の成長を阻害し、プレ
ス成形性を劣化させるので、0.002wt%以下であ
ることが望ましい。
【0031】上記成分組成の低熱膨張合金薄板を得るた
めに、本発明においては、まず、上記成分組成の合金を
転炉または電気炉で溶解し、連続鋳造法あるいは造塊法
でスラブ(連続鋳造法の場合)または鋼塊(造塊法の場
合)を製造する。この場合に、スラブまたは鋼塊に対
し、図1に示す断面図においてa/bで表される等軸晶
率が0.2未満では40%以上の圧下率、等軸晶率が
0.2〜0.5では20%以上の圧下率、等軸晶率が
0.5以上では5%以上の圧下率となるような分塊圧延
または鍛造を行って厚さ120〜300mmとする。
【0032】ここで、等軸晶組織は、連続鋳造法では△
T=20℃以下での低温鋳造(△T:タンディッシユの
測温温度−本発明に係るFe‐Ni合金の液相線温度)
および電磁攪件装置(EMS)による溶湯攪件によって
得られる。造塊法では低温鋳造および電磁攪件の代わり
に超音波振動によって得られる。一方、柱状晶組織は△
T>20℃での高温鋳造によって得られる。本発明は等
軸晶率に対応して圧下率を規定するものであるから、等
軸晶率自体を規定する必要はない。電磁攪件条件あるい
は超音波振動条件を変化させることにより所定の等軸晶
率が得られる。
【0033】分塊圧延または鍛造に先だって、ミクロ偏
析拡散の観点から均熱処理を行うことができる。その際
の条件は加熱温度1000℃以上、保持時間1時間以上
である。
【0034】図2はエッチング加工の孔ピッチが300
μm以下の薄板について、造塊法によって溶製された鋼
塊および連続鋳造法によって溶製されたスラブの等軸晶
率と、分塊圧延あるいは鍛造の際の圧下率が、製造した
シャドウマスクのスジむらの発生の有無に及ぼす影響を
示す図である。この際の製造条件の詳細は後述する実施
例の表2に示されている。
【0035】図2から、等軸晶率が0.2未満では圧下
率が40%以上の範囲、等軸晶率が0.2〜0.5では
圧下率が20%以上の範囲、等軸晶率が0.5を超える
範囲では圧下率が5%以上の範囲内が、板厚0.09〜
0.25mmの薄板からエッチングされたシャドウマス
クにおいてスジむらが発生しない領域であることが明ら
かである。
【0036】このように、等軸晶率が0.2未満の柱状
晶が支配的な凝固組織において圧下率が40%以上で良
好な結果が得られるのは、40%未満では柱状晶が冷間
圧延後も板厚方向に対して斜めに存在し、スジむらが発
生しやすくなるのに対し、圧下率が40%以上では柱状
晶がつぶされ、このようなことが生じないからである。
【0037】等軸晶率が0.2〜0.5では、図1に示
すように凝固組織中央部が等軸晶となり、圧下率が20
%以上で良好な結果が得られる。これは、柱状晶組織が
冷間圧延後も板厚方向に対して斜めに存在しても、板厚
中央部に等軸晶組織が残存するため柱状晶の影響は小さ
くなり、等軸晶率が0.2未満の場合よりも斜めの柱状
晶が目立たないことによる。しかし圧下率20%未満で
は柱状晶の板厚方向に対する傾斜角度が大きくなり、ス
ジむらが発生しやすくなる。圧下率が20%以上ではこ
のようなことは生じない。
【0038】等軸晶率が0.5以上の等軸晶が支配的な
凝固組織では、スジむら発生の有無に圧下率は影響しな
くなる。しかし、5%未満の圧下率では酸化スケールお
よびサブスケールによる鋼塊およびスラブの手入れ量が
増加して作業性および生産性が劣る。したがって、5%
以上の圧下率で分塊圧延あるいは鍛造を行う。これによ
り酸化スケールおよびサブスケールに亀裂を入れ、これ
らを剥離させて、手入れ量を低減させる。5%未満の圧
下率では粒界酸化部が合金内部に長く伸びており、また
粒界酸化部に割れが発生しにくいため、手入れ量が増加
する。
【0039】本発明の趣旨からは必ずしも圧下率の上限
は規定する必要はないが、設備的制約から90%程度が
ほぼ上限となる。
【0040】その後、1000℃以上で1時間以上の熱
処理を施し、熱間圧延により厚さ2〜4mmの熱延鋼板
を得る。この熱延鋼板について、冷間圧延と750℃以
上での焼鈍を1回以上行い、板厚0.09〜0.25m
mの薄板を製造する。この際に、鋼塊またはスラブから
薄板までの累積圧下率は99.9%以上とする。これに
より、目的とする電子部品用低熱膨張合金薄板が得られ
る。
【0041】本発明は、エッチング加工される電子部品
用の合金薄板全般を対象とするが、特に高精度のエッチ
ング加工と低熱膨張性が要求されるエッチング加工によ
る孔ピッチが300μm以下のシャドウマスク用素材の
製造方法として好適である。本発明における低熱膨張特
性を有するFe−Ni系またはFe−Ni−Co系合金
薄板を素材とするシャドウマスクは、熱膨張による位置
ずれが少ないので、これを用いたブラウン管の画像は一
段と鮮明になる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の合金薄板をシャドウマスク用
素材として使用する場合の実施例について説明する。表
1に本実施例で用いた鋼の化学成分組成を示す。ここで
はシャドウマスク用素材として必要な低熱膨張特性、黒
化処理性およびプレス成形性が得られるA〜Dの4種類
を溶製した。
【0043】
【表1】
【0044】これらの鋼を溶製した鋼塊およびスラブに
対して、一部については1100〜1300℃で5〜5
0時間の熱処理を施し、その後分塊圧延または鍛造を行
った。引き続き1000〜1200℃で30分間〜5時
間の熱処理を行い、その後熱間圧延して厚さ2.0〜
4.0mmの熱延鋼板を得た。さらに冷間圧延と700
℃以上の温度での焼鈍を1〜4回行い、板厚0.09〜
0.25mmの表2に示す薄板No.1〜25を製造し
た。なお、No.1〜20が本発明例であり、No.2
1〜25が比較例である。
【0045】これらNo.1〜25の薄板を製造した際
の、鋼塊およびスラブの均熱条件および圧下率を表2に
示す。これらの鋼塊およびスラブを使用して製造した薄
板についてエッチング不良の有無を評価した。その結果
も表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】エッチング性の評価は電子ビーム通過孔の
孔径が120μmφ、孔ピッチ270μmであるフォト
マスクを使用してフォトエッチング穿孔試験を行い、加
工後のシャドウマスクの外観についてスジむら等のエッ
チング不良の有無と加工精度を判定した。このときのフ
ォトエッチングは、液温60℃、47ボーメ濃度の塩化
第二鉄水溶液をスプレー圧2.0kgf/cm2でスプ
レー処理する条件で行った。エッチング不良の有無は、
一方向光源を用いた透過光および反射光による目視観察
によって判定した。
【0048】表2に示すように、本発明例であるNo.
1〜20では鋼塊あるいはスラブの手入れ負荷が小さ
く、スジむらが微小の低熱膨張合金薄板が得られた。
【0049】これに対して、比較例であるNo.21、
No.23は粒界酸化部の厚さが大きく、スラブ手入れ
負荷が大きく、Ni偏析に伴うスジむらを生じた。N
o.22、No.24は手入れ負荷は小さいがNi偏析
に伴うスジむらを生じた。No.25はスジむらは微小
であるがスラブの手入れ負荷が過大であった。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特定組成のFe−Ni系合金またはFe−Ni−Co系
合金を素材として用い、造塊鋼塊および連続鋳造スラブ
の手入れ負荷が小さく、エッチング不良が発生し難い電
子部品用低熱膨張合金およびその製造方法が提供され
る。本発明の方法によって製造された電子部品用低熱膨
張合金は、特に高精度の加工が必要なコンピューターデ
ィスプレイに使用されるシャドウマスク用素材として好
適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−Ni合金の凝固組織を示す模式図。
【図2】等軸晶率および圧下率がエッチング性および製
造性に及ぼす影響を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 淡路谷 浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小松 政美 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 有泉 孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:30〜45wt%を含有するFe
    −Ni系合金からなり、造塊法で溶製された鋼塊または
    連続鋳造法により溶製されたスラブを、その断面図から
    求められる中心部の等軸晶の厚さaのスラブ全厚bに対
    する比率a/bに対応して以下に示すような圧下率で分
    塊圧延または鍛造した後、熱間圧延および冷間圧延する
    ことを特徴とする、エッチング性に優れた電子部品用低
    熱膨張合金の製造方法。 a/b<0.2 圧下率40%以上 a/b=0.2〜0.5 圧下率20%以上 a/b>0.5 圧下率5%以上
  2. 【請求項2】 Ni:20〜40wt%、Co:7wt
    %以下を含有し、かつNi+Coが27〜40wt%で
    あるFe−Ni−Co系合金からなり、造塊法で溶製さ
    れた鋼塊または連続鋳造法により溶製されたスラブを、
    その断面図から求められる中心部の等軸晶の厚さaのス
    ラブ全厚bに対する比率a/bに対応して以下に示すよ
    うな圧下率で分塊圧延または鍛造した後、熱間圧延およ
    び冷間圧延することを特徴とする、エッチング性に優れ
    た電子部品用低熱膨張合金の製造方法。 a/b<0.2 圧下率40%以上 a/b=0.2〜0.5 圧下率20%以上 a/b>0.5 圧下率5%以上
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された製造方法により製
    造されたエッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合
    金。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載された製造方法により製
    造されたエッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合
    金。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022189053A (ja) * 2021-06-10 2022-12-22 日本製鉄株式会社 鋼板の製造方法

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