JPH11506455A - 生理物質検出のための磁気共鳴画像形成剤 - Google Patents

生理物質検出のための磁気共鳴画像形成剤

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JPH11506455A JP8536795A JP53679596A JPH11506455A JP H11506455 A JPH11506455 A JP H11506455A JP 8536795 A JP8536795 A JP 8536795A JP 53679596 A JP53679596 A JP 53679596A JP H11506455 A JPH11506455 A JP H11506455A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規磁気共鳴画像法の造影剤、及び生理学的シグナル又は物質を検出する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 生理物質検出のための磁気共鳴画像形成剤 発明の分野 本発明は、新規の磁気共鳴画像法の形成剤、及び生理的シグナル又は物質の検 出法に関する。 発明の背景 磁気共鳴画像法(MRI)は、画像を形成するために、巨大で強力な磁石及び高周 波シグナルを使用する、診断及び研究の方法である。生物組織において最も豊富 な分子種は、水である。これは、究極的にはあらゆる画像形成実験においてシグ ナルを生じるような、水のプロトン核の量子力学的“スピン”である。MRI にお いて、画像形成される試料は、強力な静磁場(1〜2テスラ)に置かれ、かつそ のスピンは、高周波(RF)パルス照射により励起され、試料の正味の磁化を生じる 。様々な磁場勾配及び他のRFパルスが、その後これらのスピンに作用し、記録さ れたシグナルに空間に関する情報をコード化する。MRI は、比較的短時間に、3 次元に関する構造情報をもたらすことができる。 磁気共鳴(MR)画像法は、典型的には測定された強度(I)の最も低い部分は黒味 がかった灰色のスケールで、及び最も高い部分は白色で表現される。この測定さ れた強度は、式I=C*M(式中、C はスピン濃度(この場合水の濃度)であり 、及びM は測定時に存在する磁化の測定値である。)で決定される。水濃度(C) の変動はMR画像のコントラストを生じるにもかかわらず、これは、MRI の画像強 度の変動の主な原因である限局的環境でのM の変化率に強く依存している。2種 の特徴的緩和時間が関連している。T1は、縦緩和時間又はスピン格子緩和時間と 定義される(1/T1は、速度定数である。)。T2は、横緩和時間又はスピン−スピ ン機構として公知であり、これはT2へのいくつかの寄与のひとつである(1/T2も 、速度定数である。)。T1及びT2は、画像強度に対し逆の作用を有し、T1の縮み 又はT2の伸びのいずれかにより、画像強度が増す。 シグナル−ノイズ比(SNR)を増すために、典型的なMR画像スキャン(RF及び勾 配パルス系列及びデータ収集)は、あらかじめ定められた時点で、一定速度で反 復され、かつデータが平均化される。いずれか所定のスキャンで記録されたシグ ナル増幅は、前回のスキャンから平衡状態へと減衰するスピンの数に比例してい る。従って、迅速に減衰するスピン(すなわち短いT1値)を伴う領域は、連続す るスキャンの間のシグナル増幅を全て回収するであろう。最終画像におけるそれ らの測定された強度は、それらのスピン密度(すなわち水濃度)を正確に反映す るであろう。スキャン間の時点と比較して長いT1値を伴う領域は、定常状態条件 に達するまで、漸進的にシグナルを喪失し、かつ最終画像においてより暗い領域 として見えるであろう。極端な状況においては、線の幅が非常に太いので、シグ ナルをバックグラウンドノイズから識別できない。臨床での造影において、水の 緩和特性は組織によって異なり、組織の種類を識別できるようなコントラストを 生じる。更にMRI 実験は、短いT1値及び/又は長いT2を伴う試料の領域が、優先 的に強調されるように設定する−いわゆるT1重視(weighted)及びT2重視の画像の 実施計画であることができる。 常磁性造影剤の臨床効果について説明している文献本文が、急激に増加しつつ あり(growing body);現在、少なくとも8種の異なる造影剤が、臨床試験段階で あるか、もしくは使用中である。常磁性造影剤は、T1及び/又はT2を低下するよ うに供される。磁気的には類似しているが組織学的には異なるような領域又は組 織を識別する能力は、これらの薬剤の調製にとって大きい刺激となる。これらの 薬剤は、よりコントラストをもたらし、従ってこの造影剤が認められる部分では 、画像を増強する。例えば、下記に概説された認可された造影剤は、循環器系に 注射し、かつ血管構造及び異常などを可視化するために使用される。 MRI 用薬剤の設計において、コントラスト増強をもたらす能力以外の、生理的 現象に究極的に作用する様々な特性に対しては、厳密な注意が払われるべきであ る。考慮しなければならない2種の基本的特性は、生体適合性及びプロトン緩和 増強である。生体適合性は、毒性、安定性(熱力学及び反応速度論)、薬物動態 学、及び生体分布を含む、いくつかの因子により影響される。プロトン緩和増強 (又は緩和性)は、主に金属の選択、回転相関時間、及び周囲の水分子への金属 の接近のしやすさ(大量の水の迅速な交換)によって管理される。 この造影剤の測定された緩和性は、金属原子の選択によって決まる。常磁性金 属イオンは、その不対電子のために、強力な緩和増強剤として作用する。これら は、スピン(r6依存)近傍のT1緩和時間を減少する。いくつかの常磁性イオンは 、実質的な線の広幅化を起こすことなく、T1を減少する(例えばガドリニウム(I II)、(Gd3+))が、他のものは著しい線の広幅化を引き起こす(例えば超常磁性 酸化鉄)。T1緩和の機序は、一般に、常磁体(不対電子を伴う金属原子)の不対 電子及び該金属内部の配位球体中の水分子(これらの水分子は金属原子に結合し ている。)と迅速に交換するような、大量の水分子(これらの水分子は、該金属 原子に“結合”していない。)の間の、全空間の双極子相互作用によるものであ る。 Gdによるプロトン緩和時間の短縮は、その不対電子及び隣接する水のプロトン の間の双極子相互作用によって仲介される。このGdの磁気双極子の作用は、これ らのプロトンからのその距離の関数として、非常に急速に低下する。その結果、 最も効果的に緩和されるプロトンは、RFパルス及びシグナル検出の間隔の間に、 Gdの第一又は第二の配位球体に侵入することができるものである。例えば、Gd(I II)イオンに会合した領域(水分子の近傍)は、実験における連続的スキャンの 間が短い場合(すなわちT1重視画像)に、通常の水溶液が暗いバックグラウンド として見えるようなMRI 画像において、明るく見える。 超常磁性粒子によって引き起こされた局在化されたT2の短縮は、これらの粒子 の巨大な磁気モーメントに関連した局所的磁場の不均質性に起因していると考え られる。超常磁性酸化鉄粒子に会合した領域は、スピン−エコーパルス系列実験 におけるエコー時間(TE)が長い場合(すなわちT2重視画像)に、通常の水溶液が 高輝度バックグラウンドとして見えるようなMRI 画像において、暗く見える。 ランタニド原子Gd(III)が、高い磁気モーメント(μ2=63BM2)、対称性の電子 基底状態、(S8)、あらゆる元素の最大の常磁性双極子及び最大の常磁性緩和を有 するので、造影剤の金属原子として一般に選択されている。Gd(III)は、いくつ かの物質でキレート化され、錯体を無毒化する。現在では多くのキレート化剤が 使用されていて、これはジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、1,4,7,10- テトラ アザシクロドデカン-N,N',N",N"'- 四酢酸(DOTA)、及びこれらの誘導体を含む。 米国特許第5,155,215 号、第5,087,440 号、第5,219,553 号、第5,188,816 号、 第4,885,363 号、第5,358,704 号、第5,262,532 号、及びMeyer らの論文(Inve st.Radiol.、25:S53頁(1990 年))を参照のこと。 Gd(DTPA)の安定度定数(K)は、非常に高く(logK=22.4)、かつこれは通常生成定 数として公知である(logKが高くなると、錯体はより安定になる。)。この熱力 学的パラメーターは、非結合状態のGd(III)イオンのフラクションが、非常に小 さく、かつ金属の喪失が生じる速度(速度論的安定性)と混同されることはない ことを示している。この水溶性Gd(DTPA)−キレートは、安定であり、無毒であり 、かつ研究及び臨床の造影検査において最も広範に使用されているコントラスト 増強剤の1種である。1988年6月に、成人患者における臨床使用が認可された。 これは、灌流支配法(perfusion dominated process)によって組織に蓄積する細 胞外薬剤である。Gd(DTPA)を用いる画像増強の改善は、多くの用途において良く 説明されていて(Runge らの論文、Magn.Reson.Imag.、3:85頁(1991 年);Russe lらの論文、AJR 、152:813 頁(1989年);Meyer らの論文、Invest.Radiol.、2 5:S53頁(1990年))、これらは、空間を占拠するような病変による血管−脳関 門崩壊の可視化、及び異常な血管分布像の検出を含む。最近は、これは、局所的 な脳血液動力学の定義により、ヒトの視覚皮質の機能写像に使用されている(Be lliveau らの論文、254:719 頁(1991年))。 Gd造影剤において使用される他のキレート化剤は、大環状配位子1,4,7,10- テ トラアザシクロドデカン-N,N',N",N"'- 四酢酸(DOTA)である。このGd-DOTA 錯体 は、動物及びヒトに関する非臨床試験において十分に研究されている。この錯体 は、配座としては硬く(rigid)、非常に高い生成定数を有し(logK=28.5)、かつ 生理学的pH法では非常に緩徐な解離速度を有する。最近フランスにおいて、GdDO TA錯体が、成人及び乳児におけるMRI 用造影剤としての使用が認可され、4500名 以上の患者に投与された。 前述のように、これらのMRI 用造影剤は様々に使用される。しかし、生物又は 他の種類の試料の特異的成分を可視化することができる造影剤は、存在しない。 従って本発明の目的は、動物、組織又は細胞における生理物質の可視化及び検出 ができるようなMRI 用造影剤又は増強剤を提供することである。 発明の要約 前述の目的に従って、本発明は、錯体に結合した常磁性金属イオンを含有する 、MRI 用薬剤を提供する。この錯体は、キレート化剤、及び少なくともこの金属 イオンの第1配位座にブロック成分を有す。このブロック成分は、該キレート化 剤と共有結合し、かつ少なくともこの金属イオン錯体の第1配位座における水交 換が変化されるような、標的物質との相互作用が可能である。 本発明は更に、n 配位原子に結合することができる常磁性金属イオンを含有す るMRI 用薬剤を提供する。この金属イオンは、該金属イオンが、金属イオンの(n -1又はn-2)配位座に配位原子を有するように、キレート化剤に結合している。こ のMRI 用薬剤は、更に残りの1配位座又は複数の座での迅速な水交換を妨げ、か つ標的物質と相互作用ができ、その結果残りの1配位座又は複数の座での水交換 が増加するようなブロック成分を有する。 本発明は、更にGd(III)イオンの第8配位座に配位原子を伴うGd(III)イオンを 含有するMRI 用薬剤を含む。このMRI 用薬剤は、更に第9配位座に迅速な水交換 を妨げ、標的物質と相互作用することができ、その結果第9配位座での水分子交 換が増加するようなブロック成分を含む。 本発明は、更に下記式を有する組成物を含むMRI 用薬剤を提供する: この構造において、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及びDy (III)からなる群から選択された常磁性金属イオンである。A 、B 、C 及びD は 、単結合又は二重結合のいずれかである。W 、X 、Y 及びZ は、-OH 、-COO- 、 -CH2OH又は-CH2COO-である。R1-R12は、アルキル、置換されたアルキル、リン部 分、又はブロック成分であり、R1-R12の少なくとも1個はブロック成分で ある。 本発明は、下記式を有するMRI 用薬剤も提供する: この構造において、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及びDy (III)からなる群から選択された常磁性金属イオンである。A 、B 、C 及びD は 、単結合又は二重結合のいずれかである。W 、X 、Y 及びZ は、-OH 、-COO- 、 -CH2OH又は-CH2COO-であり、かつR1-R12は、アルキル、置換されたアルキル、又 はリン部分である。 更に本発明は、下記式を有するMRI 用薬剤を提供する: この構造において、M は、Gd(III)、Fe(III)、Yt(II)、Yt(III)、C(III)及びDy( III)からなる群から選択された常磁性金属イオンである。A 、B 、C 及び D は、単結合又は二重結合のいずれかである。S 、T 、U 及びV は、-OH 、-COO - 、-CH2OH、-CH2COO-又はブロック成分であり、かつR1-R12は、アルキル、置換 されたアルキル、又はリン部分である。更に、S 、T 、U 又はV の少なくとも1 個は、ブロック成分である。 同じく本発明は、下記式を有するMRI 用薬剤を提供する: この構造において、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及びDy (III)からなる群から選択された常磁性金属イオンである。A 、B 、C 及びD は 、単結合又は二重結合のいずれかである。W 、X 、Y 及びZ は、-OH 、-COO- 、 -CH2OH又は-CH2COO-である。R1-R12は、アルキル、置換されたアルキル、リン部 分、又はブロック成分であり、並びにR22、R23及びR24はブロック成分を含み、 かつR23は配位座障壁である。 更に本発明は、下記式を有するMRI 用薬剤を提供する: この構造において、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、C(III)及びDy( III)からなる群から選択された常磁性金属イオンである。A 、B 、C 及び D は、単結合又は二重結合のいずれかである。W 、X 及びY は、-OH 、-COO- 、 -CH2OH又は-CH2COO-であり、R1-R12は、アルキル、置換されたアルキル又はリン 部分である。 更に本発明は、下記式を有するMRI 用薬剤を提供する: この構造において、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及びDy (III)からなる群から選択された常磁性金属イオンである。H 、I 、J 、K 及びL は、-OH 、-COO- 、-CH2OH、-CH2COO-又はブロック成分である。R13-R21は、ア ルキル、置換されたアルキル、リン部分又はブロック成分であり、かつR13-R21 、H 、 I、 J、 K又は Lの少なくとも1個は、ブロック成分である。 同様に本発明は、細胞、組織、実験動物又は患者に本発明のMRI 用薬剤を投与 すること、及びこの細胞、組織、実験動物又は患者の磁気共鳴画像を形成するこ とを含む、細胞、組織、実験動物又は患者の磁気共鳴画像法を提供する。 図面の簡単な説明 図1は、本発明の代表的錯体を示し、ここでブロック成分は、一方の末端のみ がつながっている。このブロック成分は、酵素基質及び配位座障壁を含む。この R 基は、配位座障壁である。 図2は、本発明の代表的錯体を示し、ここでブロック成分は、両端でつながっ ている。このR 基は、配位座障壁である。 図3は、DOTA環に結合した1個のガラクトース部分を有する、Do3a- ヒドロキ シエチル- β- ガラクトースの代表的合成法を示す。 図4は、DOTA環に結合した2個のガラクトース部分を有する、β- ガラクトー ス-DOTA 誘導体の代表的合成法を示す。 図5は、BAPTA-DOTA誘導体の合成法を示す。 図6は、FURA-DOTA誘導体の合成法を示す。 図7は、BAPTA-DTPAの合成法の概略図を示す。 図8は、BAPTA-DTPA誘導体の別の合成法を示す。 図9は、ガラクトピラノース残基のβ−ガラクトシダーゼが触媒した切断時に 認められたT1の変化を示す(n=3)。各対の第一列(1,3,5)は、ガラクトース-DOTA 錯体及びβ−ガラクトシダーゼの混合物の添加直後のT1を表す。第二列は、β− ガラクトシダーゼ存在下の、時間経過後の該溶液のT1を表す。各列は、該錯体の みを含有する対照に対する比として示されている。列1及び2:2.0mM Gd錯体+ 1.7 μM β−ガラクトシダーゼリン酸バッファー(25mM)pH7.3 である。列3及び 4:2.0mM Gd錯体+5.1 μM β−ガラクトシダーゼリン酸バッファー(25mM)pH7. 3 である。列5及び6 :2mM Gd錯体+5.1 μM 加熱して不活性化したβ−ガラク トシダーゼ(80℃10分間)リン酸バッファー(25mM)pH7.3 である。これらの錯体 は、該酵素と共に7日間インキュベートし、HPLCで調べたところ、95%以上が切 断されたことが示された。この実験では、何らかの造影剤−酵素相互作用の影響 の可能性を低下するために、酵素の最小濃度を使用した。T1は、標準反転−回復 系列(inversion-recovery sequence)を用い、26度で、Bruker AMX 500分光計を 用いて実施した。この溶液を、40μl の丸底NMR 用チューブインサート(Wilmad glass)に入れ、d3- クロロホルムが入ったチューブに挿入した。各8回のスキ ャンで16の異なる反転遅延を含む、二次元データファイルを収集した。NMR の生 データを加工し(Felix,BIOSYM/Molecular Simulations、サンディエゴ、CA)、 かつピークの高さを最大まで指数的に上昇するようにし、T1を得た。R 値は、常 に0.999よりも大きかった。 発明の詳細な説明 本発明は、生理物質又は標的物質を検出することができる、磁気共鳴画像の造 影剤を提供する。本発明のMRI 用薬剤は、生理的標的物質が存在しない状態では 、コントラスト増強剤としては比較的不活性であり、かつ生理的標的物質の存在 下では、活性化され、従ってMR画像を変化する。 簡単に述べると、標的物質の存在によって、本発明のMRI 造影剤が“刺激され る”ことによる、この“トリガー”機序は、この造影剤に含まれた常磁性金属イ オンの1個以上の配位座における、水分子の交換速度に作用する、動的平衡を基 にしている。次に、この水分子交換速度は、取り巻く環境中の標的物質の有無に よって決まる。従って、標的物質が存在しない場合は、常磁性イオンをキレート している本発明の金属イオン錯体は、局所的環境の水分子と迅速に交換すること ができる配位座が減少する。このような状況では、配位座は、キレート化剤の配 位原子及び少なくとも1個のブロック成分によって、実質的に占拠又は保護され る。従ってこの常磁性イオンは、本質的にその“内部配位球体”の水分子、すな わち標的物質が存在しない場合は、実際には金属に結合している水分子を有さな い。これは常磁性金属イオンの、配位球体内水分子のプロトンとの相互作用、及 び高い緩和性が認められたこのような水分子の迅速な交換であり、従って常磁性 金属イオンの画像形成作用である。従って、標的物質が存在しないので、この金 属イオン錯体中の金属イオンの全配位座が、水分子以外の基によって満たされた 場合は、本発明の金属イオン錯体によって、画像シグナルの正味の増強はほとん どない。しかし標的物質が存在する場合は、これは、ブロック成分又は金属イオ ン錯体の部分と相互作用し、金属イオン錯体において、球体内配位座の少なくと も1個を、効果的に自由にする。この局所的環境の水分子は、球体内配位座(複 数)を占拠することができ、これは水交換速度、及び該金属イオン錯体の水に対 する緩和性の増加を引き起こし、これによって標的物質の存在を示す画像の増強 がもたらされる。 一般に検出には、画像形成に用いられたMRI シグナルの2〜5%の変化で十分 である。従って標的物質の存在下で、本発明の薬剤が、MRI シグナルを、標的物 質の非存在下で得られるシグナルと比較して、少なくとも2〜5%まで増加する ことが好ましい。ブロック成分と標的物質の相互作用によって得られる各配位座 については、2〜15%のシグナル増強が好ましく、10〜20%がより好ましい。つ まり、ブロック成分が2個以上の配位座を占拠した場合は、このブロック成分の 放出は、1個の配位座と比べて、シグナルの2倍以上の増加を生じることができ る。 例え標的物質が存在しなかったとしても、いずれか特定の配位座で、ブロック 成分の配位原子及び水分子の間で、1個以上の配位座について動的平衡があると 理解される。つまり、たとえ配位原子が該金属に密に結合していたとしても、こ の座でのいくらかの水分子交換は存在する。しかしほとんどの場合、この水分子 交換は、迅速でも、顕著でもなく、かつ画像の著しい増強を生じない。しかし、 標的物質に曝されると、このブロック成分はその配位座から追い出され、水交換 、すなわち迅速な交換が増加し、その結果緩和性の増強が生じ、顕著な画像の増 強を伴う。 本発明の錯体は、キレート化剤及びブロック成分を含有する。本発明の金属イ オン錯体は、キレート化剤及びブロック成分を含有する錯体に結合した常磁性金 属イオンを含んでいる。本願明細書において、“常磁性金属イオン”、“常磁性 イオン”又は“金属イオン”は、磁場に対してある程度比例して、磁場に対して 平行又は非平行に磁化された金属イオンを意味している。一般にこれらは、不対 電子を有する金属イオンである;と、当該技術分野においては理解された用語で ある。適当な常磁性金属イオンの例は、ガドリニウムIII(Gd+3又はGd(III))、鉄 III(Fe+3又はFe(III))、マンガンII(Mn+2又はMn(II))、イットリウムIII( Yt+3又はYt(III))、ジスプロシウム(Dy+3又はDy(III))、及びクロム(Cr+3又 はCr(III))であるが、これらに限定されるものではない。好ましい具体例にお いて、この常磁性イオンは、ランタノイド原子Gd(III)であり、これはその磁気 モーメントが高く(u2=63BM2)、対称性の電子基底状態であり(S8)、かつそれが 現在ヒトの診断のための使用が認可されているためである。 本発明の金属イオン錯体は、前記金属イオンに加え、キレート化剤、及びキレ ート化剤に共有結合できるブロック成分を含有する。多くの常磁性イオンは、比 較的毒性が高いので、これらのイオンは、適当なキレート化剤と結合することに よって、生理的システムにおいて無毒となる。従って標的物質の存在下で、水分 子に有利であるように配位座から取り除かれることが可能であるような、該キレ ート化剤の配位座におけるブロック成分の置換は、この金属イオン錯体の解離半 減期を減少することによって、この金属イオン錯体をより毒性にすることがある 。従って好ましい具体例において、1個の配位座のみが、ブロック成分によって 占拠又は保護される。しかし、例えば組織などの分析のような一部の用途におい ては、この金属イオン錯体の毒性は、特に重要なものではない。同様にいくつか の 金属イオン錯体は、非常に安定であり、ブロック成分による1個以上別の配位原 子が置換されて、解離半減期には著しい影響を及ぼすことはない。例えば下記に 説明したDOTAは、Gd(III)と錯体形成した場合に、極めて安定である。従って、D OTAがキレート化剤として提供される場合は、このキレート化剤の配位原子のい くつかは、著しく毒性を増すことなく、ブロック成分と交換される。 更にこのような薬剤は、周囲(bulk)の溶媒と水を迅速に交換するような2個以 上の配位座を有するので、より大きいシグナルを生じる可能性がある。 キレート化金属イオン錯体の選択及び安定性に影響を及ぼす様々な因子があり 、これはエンタルピー及びエントロピー作用(例えば配位基の数、電荷及び塩基 度、配位子場及び配座作用)を含む。 一般にこのキレート化剤は、該金属イオンに結合する配位原子を含む配位座数 を有する。配位座数、従ってキレート化剤の構造は、金属イオンによって決まる 。本発明の金属イオン錯体において使用されたキレート化剤は、好ましくは、金 属イオンが結合できる数(n)よりも、少なくとも1少ない(n-1)配位原子を有し、 これは下記に説明するように、金属イオン錯体に官能性を授けるために、金属イ オン錯体の少なくとも1個の配位座が、ブロック成分によって占拠又は保護され ているためである。従って例えばGd(III)は、8個の強力な会合した配位原子又 は配位子を有し、かつ第9配位子と弱く結合することができる。従ってGd(III) に適したキレート化剤は、9個未満の配位原子を有する。好ましい具体例におい て、Gd(III)キレート化剤は、8個の配位原子を有し、この金属イオン錯体の残 りの座を、ブロック成分が占拠又は保護するであろう。別の具体例においては、 本発明の金属イオン錯体において使用されたキレート化剤は、該金属イオンが結 合できる数 (n)よりも、2少ない(n-2)配位原子を有し、これらの配位座は、1 個以上のブロック成分により占拠される。従って別の具体例では、6又は7個の 配位原子を有するGd(III)キレート化剤を使用することができ、このブロック成 分が残りの座を占拠又は保護する。このキレート化剤及びブロック成分の正確な 構造決定は困難であり、従って配位原子の正確な数は不明であることは、理解さ れるべきである。例えばキレート化剤が、7.5 の配位原子を提供することが可能 であり、これはすなわち第8配位原子が、平均して、該金属イオンに完全には 結合していないことを示す。しかし、この金属イオン錯体は、たとえ第8配位原 子が十分に結合していても、依然として、この座の迅速な水交換を妨害するよう に機能するか、及び/又はこのブロック成分がこの座での迅速な水交換を遅らせ る。 ランタニド及び常磁性イオンのキレートに使用される大環状キレート化剤又は 配位子が、数多く公知である。例えば、本願明細書に参照として引用されている 、Alexander の論文、Chem.Rev.、95:273-342頁(1995年)、及びJackels の論 文、pharm.Med.Imag.、第III 章第20項、645 頁(1990年)であり、これらは、 多数の大環状キレート化剤及びその合成法について記載している。同様に本発明 での使用に適したキレート化剤を開示した多数の特許があり、これは米国特許第 5,155,215 号、第5,087,440 号、第5,219,553 号、第5,188,816 号、第4,885,36 3 号、第5,358,704 号、第5,262,532 号、及びMeyer らの論文、Invest.Radiol. 、25:S53頁(1990 年)であり、これらは全て参照として引用されている。従って 当業者は、いずれか公知の常磁性金属イオンキレート化剤又はタンタニドキレー ト化剤を、この技術を用いて、更に少なくとも1個のブロック成分を有するよう に容易に変更することができることが理解されるであろう。 金属イオンかGd(III)である場合は、好ましいキレート化剤は、1,4,7,10- テ トラアザシクロドデカン-N,N',N",N"'- 四酢酸(DOTA)又は置換されたDOTAである 。DOTAは、下記の構造を有する: 構造1 ここでいう“置換されたDOTA”とは、DOTAが下記のいずれかの位置で置換できる ことを意味する: 構造2 適当なR 置換基は、当業者に理解されるように、広範な種類の基を含む。例え ば適当な置換基は、米国特許第5,262,532 号、第4,885,363 号及び第5,358,704 号において開示されたDOTA及びDOTA型化合物について明らかになった置換基を含 む。これらの基は、水素、アルキル基、置換されたアルキル基、リン部分、及び ブロック成分を含む。当業者に理解されるように、先に定義された各位置は、結 合した2個のR 基を有する(R'及びR")ことができるが、好ましい具体例におい ては、1個のR 基のみがいずれか特定の位置で結合し、かつ更に好ましい具体例 においては、1個を除く全てのR 基が水素であり、残りの基がブロック成分を含 んでいる。 本願明細書において“アルキル基”又は文法的にこれと同等のものは、直鎖又 は分枝鎖のアルキル基を意味し、直鎖のアルキル基が好ましい。分枝鎖である場 合は、1箇所以上の特定されないいずれかの位置で、分枝することができる。更 にこのアルキル基の定義に含まれるのは、C5及びC6環のシクロアルキル基、フェ ニルのような芳香族アリール環、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、イ ンドール及びプリンのようなヘテロ環式芳香環、並びに窒素、酸素、イオウ又は リンを含むヘテロ環である。別の適当なヘテロ環で置換された環は、参照として 引用された、米国特許第5,087,440 号に開示されている。いくつかの具体例にお いて、参照として引用された、米国特許第5,358,704 号に開示されているように 、2個の隣接するR 基が互いに結合し、該キレート化剤の炭素原子と共に環構造 を形成することができる。これらの環構造は、同様に置換される。 このアルキル基は、1個以上の置換基で、置換することができる。例えば、フ ェニル基は、置換されたフェニル基であってよい。適当な置換基は、塩素、臭素 及びフッ素のようなハロゲン、アミン、ヒドロキシ基、カルボン酸、ニトロ基、 カルボニル、又は他のアルキル及びアリール基を含むが、これらに限定されるも のではない。従って、アリールアルキル及びヒドロキシアルキル基も、本発明に おける使用に適している。好ましい置換基は、アルキルアミン及びアルキルヒド ロキシである。 このアルキル基は、約1〜20個の炭素原子を有し(C1-C20)、好ましい具体例 においては、約1〜10個の炭素原子を有し(C1-C10)、かつ約C1から約C5が好ま しい。しかし、一部の具体例、例えばアルキル基が配位座障壁であるような場合 には、アルキル基は、より大きくてよい。 本願明細書において“アルキルアミン”又は文法的にこれと同等のものは、い ずれかの位置でアミン基で置換された、先に定義されたアルキル基を意味する。 これに加え、アルキルアミンは、上記アルキル基の項で概略した、他の置換基を 有することもできる。このアミンは、第1級(-NH2R)、第2級(-NHR2)又は第3級 (-NR3)であることができる。このアミンが、第2級又は第3級アミンである場合 は、適当なR 基は、前述のアルキル基である。好ましいアルキルアミンは、p-ア ミノベンジルである。下記のようにこのアルキルアミンが配位座障壁として供さ れる場合、例えばこのアルキルアミンがピリジン又はピロール環を含むような場 合は、好ましい具体例では、アミンの窒素原子を、配位原子として使用する。 本願明細書において“リン部分”は、PO(OH)(R25)2基を含む部分を意味する。 このリンは、アルキルリンで;例えば、DOTEP は、DOPAの置換基としてのエチル リンを使用する。R25は、アルキル、置換されたアルキル、ヒドロキシであって よい。好ましい具体例は、PO(OH)2R25基を有する。 前述の置換基は、下記のように、水素又はブロック成分であってもよい。 別の具体例において、金属イオンがGd(III)である場合に、好ましいキレート 化剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又は置換されたDTPAである。DPTAは 、下記の構造を有する: 構造3 本願明細書において“置換されたDPTA”とは、DPTAが、下記のいずれかの位置 で置換できることを意味する: 構造4 米国特許第5,087,440 号参照。 適当なR 置換基は、水素、アルキル基、アルキルアミン基、リン部分、および ブロック成分を含み、これらは全て前述のものである。同じく当業者には、先に 定義された各位置に、2個のR 基(R'及びR")が存在できるが、ここに記載した ように、R 基の1個以外は全て、水素であることが好ましい。 別の具体例において、金属イオンがGd(III)であるならば、好ましいキレート 化剤は、1,4,7,10- テトラアザシクロドデカン-N,N',N",N"'- テトラエチルリン (DOTEP)又は置換されたDOTEP である(米国特許第5,188,816 号参照)。DOTEP は、下記の構造を有する: 構造5 DOTEP は、前述と同様のR 置換基を有することができる。 別の適当なGd(III)キレート化剤は、前述のAlexander の論文、前述のJacKels の論文、米国特許第5,155,215 号、第5,087,440 号、第5,219,553 号、第5,188, 816 号、第4,885,363 号、第5,358,704 号、第5,262,532 号、及びMeyerらの論 文、Invest.Radiol.、25:S53頁(1990年)などに記載されている。 常磁性イオンがFe(III)である場合は、Fe(III)は6個の配位原子と結合するこ とができるので、適当なキレート化剤は、6個未満の配位原子を有する。Fe(III )の適当なキレート化剤は、当該技術分野において周知であり、例えばLauffer らの論文、J.Am.Chem.Soc.、109:1622頁(1987年);Lauffer の論文、Chem.Re v.、87:901-927頁(1987年);及び米国特許第4,885,363 号、第5,358,704 号及 び第5,262,532 号を参照でき、これらは全てFe(III)に適したキレート化剤につ いて記載している。 常磁性イオンがMn(II)(Mn+2)である場合は、Mn(II)は6又は7個の配位原子と 結合することができるので、適当なキレート化剤は、5又は6個未満の配位原子 を有する。Mn(II)イオンの適当なキレート剤は、当該技術分野において周知であ り、例えばLauffer の論文、Chem.Rev.、87:901-927頁(1987年)及び米国特許 第4,885,363 号、第5,358,704 号及び第5,262,532 号を参照できる。 常磁性イオンがYt(III)である場合は、Yt(III)は8又は9個の配位原子と結合 することができるので、適当なキレート化剤は、7又は8個未満の配位原子を有 する。Yt(III)イオンの適当なキレート剤は、DOTA及びDPTA並びにこれらの誘導 体(Moi らの論文、J.Am.Chem.Soc.、110:6266-6267 頁(1988年)参照)、並び に前述の米国特許第4,885,363 号などに記載されたキレート化剤を含むが、これ らに限定されるものではない。 常磁性イオンがDy+3(Dy(III))である場合は、Dy(III)は8又は9個の配位原 子と結合することができるので、適当なキレート化剤は、7又は8個未満の配位 原子を有する。前述のように、適当なキレート化剤が、当該技術分野において公 知である。 好ましい具体例において、キレート化剤及びブロック成分は共有結合され;す なわち、ブロック成分は、キレート化剤の置換基である。この具体例において、 置換されたキレート化剤は、結合した金属イオンと共に、標的物質が存在しない 場合は、可能性のある占拠又は保護された配位座を全て有する;すなわち配位的 に飽和されているような金属イオン錯体を含む。 別の具体例において、キレート化剤及びブロック成分は、共有結合していない 。この具体例においては、ブロック成分は、標的物質が存在しない状態で、迅速 な水分子交換を妨げるのに十分な金属イオンに対する親和性を有している。しか し、この具体例において、ブロック成分は、該金属イオンに対してよりも、標的 物質に対してより高い親和性を有する。 従って、標的物質が存在する場合は、このブロック成分は、該金属イオンから 離れて、標的物質と相互作用する傾向があり、その結果、該金属イオン錯体の配 位座が自由になり、かつ迅速な水交換及び緩和性の上昇をもたらす。 重要なことは、該金属イオン、キレート化剤及びブロック成分を含む金属イオ ン錯体は、ブロック成分が金属イオンの内部配位球体中にある場合には、迅速な 水分子交換が容易ではなく、その結果標的物質が存在しないと、画像増強は少な いか、もしくはほとんどないことである。 本願明細書において“ブロック成分”又は文法的にこれと同等のものは、標的 物質と相互作用することができ、かつ特定の環境下で該金属イオン錯体の金属イ オンの少なくとも1個の配位座内で水交換を実質的に保護することができるよう な、本発明のキレート化金属イオン錯体に会合した官能基を意味する。例えば、 このブロック成分は、本発明の金属イオン錯体と結合又は会合した場合は、標的 物質が存在しない状態では、金属イオンの少なくとも1個の配位座を占拠又は保 護する。従ってこの金属イオンは、標的物質の存在しない状態で、該キレート剤 及び1個又は複数のブロック成分で配位的に飽和される。 ブロック成分は、いくつかの成分を含むことができる。このブロック成分は、 下記に説明するように、標的物質と相互作用することが可能な、官能部分を有す る。この官能部分は、該ブロック成分の配位原子(複数)を提供することも、し ないこともできる。これに加え、ブロック成分は、1個以上の連結基を含み、該 ブロック成分成分の正確な間隔及び結合をもたらすことができる。更にブロック 成分の官能基が配位原子に寄与しないような具体例において、このブロック成分 は、配位座障壁を含むことができ、これは、配位座原子を提供するか、もしくは 配位座での迅速な水交換を立体的に阻害するかのいずれかをもたらし;すなわち 、この配位座障壁は、配位座を占拠もしくは保護することができる。 本願明細書における“標的物質と相互作用することが可能”とは、該ブロック 成分が、標的物質に親和性を有することを意味し、その結果該ブロック成分は、 標的物質が存在する状態で、該金属イオン錯体の配位座の少なくとも1個を保護 又は占拠することを止めるであろう。従って、前述のように、このブロック成分 は、標的物質の存在しない状態では、この金属イオンの少なくとも1個の配位座 を保護又は占拠する。しかし、標的物質が存在する状態では、このブロック成分 は、標的物質と会合又は相互作用し、かつ金属イオンとの会合から離され、従っ て金属イオンの配位座の少なくとも1個を自由にし、その結果この部位で迅速な 水交換を生じることができ、画像の増強をもたらす。 前述のブロック成分及び標的物質の相互作用の性質は、MRI によって検出又は 可視化される標的物質によって決まる。例えば適当な標的物質は、酵素;タンパ ク質;ペプチド;Ca+2、Mg+2、Zn+2、Cl- 及びNa+ のようなイオン;cAMP;細胞 表面受容体のような受容体及び配位子;ホルモン;抗原;抗体;ATP ;NADH;NA DPH;FNNH2;FADH2;補酵素A(アシルCoA 及びアセチルCoA);並びにビオチン などを含むが、これらに限定されるものではない。 いくつかの具体例において、この相互作用の性質は不可逆的であり、その結果 該ブロック成分は、配位座を保護又は占拠するために再会合することはなく;こ れは例えばブロック成分が、標的酵素に曝された際に切断されるような酵素基質 を含む場合である。あるいは、相互作用の性質は可逆的であり、その結果該ブロ ック成分は、該錯体と再会合し、水交換を妨げ;これは例えばブロック成分が、 前述のようなイオン配位子を含む場合である。 対応するブロック成分は、酵素基質又は阻害剤、受容体リガンド、抗体、抗原 、イオン結合化合物などであろう。 好ましい具体例において、標的物質は酵素であり、かつブロック成分は酵素基 質である。この具体例においてブロック成分は、本発明の金属イオン錯体により 切断され、該金属イオン錯体の少なくとも1個の配位座において水交換をもたら す。この具体例は、標的物質の1個の分子が、多くの活性化された金属イオン錯 体、すなわちブロック成分がもはや金属イオンの配位座を占拠又は保護していな いような金属イオン錯体を生じることができるので、画像増強の増幅をもたらす 。 当業者に理解されるように、可能性のある酵素標的物質は、非常に広範である 。この標的物質酵素は、例えば診断を目的として、疾患状態との相関を基にして 選択することができる。あるいは、本発明の金属イオン錯体は、このような相関 を確立するために使用することができる。 適当な酵素の種類は、プロテアーゼ、炭水化物分解酵素、リパーゼのような加 水分解酵素;ラセミ化酵素、エピメラーゼ、互変異性酵素又はムターゼのような 異性化酵素;転移酵素;リン酸基転移酵素及びリン酸化酵素を含むが、これらに 限定されるものではない。 当業者に理解されるように、適当な酵素標的である可能性のあるリストは、非 常に膨大である。循環システム内の細動脈硬化の斑及び病巣、炎症、創傷、免疫 応答、腫瘍の発生又は維持に関連した酵素類は、本発明を用いて検出することが できる。ラクターゼ、マルターゼ、スクラーゼ又はインベルターゼ、α−アミラ ーゼ、アルドラーゼ、グリコーゲンホスホリラーゼ、ヘキソキナーゼのようなリ ン酸基転移酵素、セリン、システイン、アスパルチルのようなプロテアーゼ、及 びメタロプロテアーゼも検出することができ、これはトリプシン、キモトリプシ ン、及び他の治療に関連したセリンプロテアーゼ、例えばtPA、及び他の血栓崩 壊カスケードのプロテアーゼ;カテプシンB 、L 、S 、H 、J 、N 及びO を含む カテプシン;及びカルパインを含むが、これらに限定されるものではない。同様 に、細菌及びウイルス感染症を、特徴的な細菌及びウイルスの酵素により検出す ることができる。当該技術分野において理解されるように、このリストは限定を 意味するものではない。 一旦標的酵素が同定されかつ検出されると、酵素基質のブロック成分は、酵素 基質に特異的な周知のパラメーターを用いて設計することができる。 例えば、酵素標的基質がプロテアーゼである場合は、このブロック成分は、標 的プロテアーゼによって切断されるペプチド又はポリペプチドであることができ る。本願明細書の“ペプチド”又は“ポリペプチド”は、ペプチド結合によって 共有結合された約2〜約15個のアミノ酸残基を有する化合物を意味している。好 ましい具体例は、約2〜約8個のアミノ酸のポリペプチドを用い、約2〜約4個 が最も好ましい。好ましくはこのアミノ酸は、天然に生じるアミノ酸であるが、 アミノ酸アナログ及び模倣ペプチド構造も有用である。特定の環境下では、この ペプチドは、1個のアミノ酸残基のみであることができる。 同様に、前記酵素標的物質が、炭水化物分解酵素である場合は、このブロック 成分は、標的炭水化物分解酵素によって切断が可能である炭水化物基であろう。 例えば、この酵素標的が、ラクターゼ又はβ−ガラクトシダーゼである場合は、 この酵素基質ブロック成分は、ラクトース又はガラクトースである。 同様に酵素/ブロック成分の対は、スクラーゼ/ショ糖、マルターゼ/マルト ース、及びα−アミラーゼ/アミロースを含む。 このブロック成分それ自身は、この金属イオンの少なくとも1個の配位座を、 保護又は占拠することができる。すなわち、酵素基質の1個以上の原子(又は下 記のように生理物質と相互作用する部分)が、それ自身配位原子を提供するか、 さもなければ立体障害によって金属イオンへの接近を阻害することである。例え ば、下記実施例において概説されたガラクトースブロック成分の1種以上の原子 は、Gd(III)金属イオンへの直接の配位原子であるように見える。同様にプロテ アーゼ標的に対するペプチドをベースにしたブロック成分は、配位原子に寄与す る。 別の具体例において、このブロック成分は更に、1個以上の酵素基質ブロック 成分によって、該錯体に共有的に繋がれた“配位座障壁”を含む。この具体例に おいて、配位座障壁は、標的酵素物質が存在しない状態で、金属イオンの少なく とも1個の配位座を保護又は占拠する。配位座障壁は、配位原子がブロック成分 の官能部分、すなわち該標的物質と相互作用するブロック成分成分によってもた らされない場合に、使用される。酵素基質部分(複数)は、配位座障壁の金属イ オン錯体への、繋がり、共有結合として供される。酵素標的が存在する場合には 、この酵素は、酵素基質の1個以上を、基質内、又は金属イオンへの結合点のい ずれかで切断し、その結果配位座障壁が自由になる。この1配位座又は複数の座 はもはや保護されず、かつ周囲の水が自由になり、該金属イオンの配位座で迅速 に 交換し、その結果画像を増強する。 ある具体例において、配位座障壁は、金属イオン錯体に、図1に示されたよう に、一方の端で結合している。この酵素標的が、基質ブロック成分を切断する場 合は、この配位座障壁は、完全に放出される。別の具体例において、配位座障壁 は、図2に示された2個の結合のように、金属イオン錯体に、1個より多い基質 ブロック成分で結合している。この酵素標的は、一方のみを切断し、その結果配 位座障壁を取り除き、かつこの配位座で水交換をもたらすが、金属イオン錯体に 結合した配位座障壁を残す。あるいは、この酵素は、金属イオン錯体から完全に 配位座障壁を切断することができる。 好ましい具体例において、配位座障壁は、金属イオンの配位座の少なくとも1 個を占拠する。すなわち配位座障壁は、少なくとも1個の配位原子を金属イオン に供するような原子を、少なくとも1個有する。この具体例において、配位座障 壁は、先に定義した、アルキルピリジン、アルキルピロリン、アルキルピロリジ ン及びアルキルピロールを含むアルキルアミン基、もしくはカルボキシル基又は カルボニル基であってよい。配位原子に寄与しないような配位座障壁の部分は、 連結基とみなすこともできる。好ましい配位座障壁を、図2に示した。 別の具体例において、配位座障壁は、配位座を直接占拠しないが、かわりにこ の部位を立体的に保護する。この具体例において、配位座障壁は、先に定義した アルキル又は置換された基、もしくはペプチド又はタンパク質のような他の群で あってよい。 この具体例においては、配位座障壁は、該金属イオン錯体の両側に2個の酵素 基質を介して連結されることが好ましく、効果的には、図2に示されたように、 配位座障壁を、該金属イオン錯体の1配位座又は複数の座を越えて“伸ばす”。 いくつかの具体例において、配位座障壁は、一方では酵素基質を介して“伸び ”、金属イオン錯体に共有結合し、かつ他方では下記のような連結部位である。 別の具体例において配位座障壁は、一方で1個の酵素基質を介して連結され;す なわち、配位座障壁の金属イオン錯体への親和性は、水への親和性よりも高く、 その結果配位座障壁及び酵素基質を含むブロック成分は、標的酵素が存在しない 状態で、利用できる配位座を保護又は占拠する。 別の具体例において、ブロック成分は、酵素阻害剤であってよく、酵素の存在 下では、この阻害剤ブロック成分は、金属イオン錯体から解離し、該酵素と相互 作用もしくは結合し、その結果金属イオンの内部配位球体を、水との相互作用の ために自由にする。前述のように、この酵素阻害剤は、酵素標的基質、及び酵素 の対応する公知の特性を基に選択される。 好ましい具体例において、標的物質は、生理物質である。酵素/基質の具体例 として、生理物質は金属イオン錯体のブロック成分と相互作用し、そのため該生 理物質の存在下では、金属イオン錯体の少なくとも1個の内部球体配位座におい て、迅速な水交換が生じる。従って、標的物質は生理的活性イオンであり、かつ ブロック成分はイオン結合配位子である。例えば実施例に示すように、標的物質 はCa+2イオンであってよく、かつブロック成分は、当該技術分野で公知であるよ うなカルシウム結合配位子であってよい(Grynkiewicz らの論文、J.Biol.Chem. 、260(6):3440-3450頁(1985年);Haugland R.P.の論文、Molecular Probes H andbook of Fluorescent Probes and Research Chemical 、(1989-1991年)を参 照)。他の適当な標的イオンは、Mn+2、Mg+2、Zn+2、Na+ 及びCl- である。 Ca+2が標的物質である場合は、好ましいブロック成分は、Tsien の論文、Bioc hem.、19:2329-2404頁(1980年)に記載されたような、ビス(o- アミノ- フェノ キシ)エタン-N,N,N',N'- 四酢酸(BAPTA)、エチレングリコールビス(β−アミノ エチルエーテル)-N,N,N',N'- 四酢酸(EGTA);エチレンジアミン四酢酸(EDTA); 及びこれらの誘導体の酢酸基を含むが、これらに限定されるものではない。Ca+2 及び他の2価のイオンのその他の公知のキレート化剤は、クイン2(quin2)(2-[[2 -[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-5-メチルフェノキシ]メチル-6- メトキシ -8-[ビス (カルボキシメチル)アミノ]キノリン;フラ-1、フラ-2、フラ-3 、スチル-1、スチル-2及びインド-1(前掲のGrynkiewick の論文を参照)などで ある。 酵素/基質の具体例について、この代謝物質が、動物の特定の疾患及び状態に 関連付けられている。例えば下記に概説するように、BAPTA-DOTA誘導体は、アル ツハイマー疾患及び他の神経疾患の診断に使用することができる。 いくつかの具体例において、本発明の金属イオン錯体は、1個の会合又は結合 したブロック成分を有する。このような具体例において、1個のブロック成分は 、少なくとも1個の配位座において、水分子交換を妨げる。あるいは、下記に記 載したように、1個のブロック成分は、1より多い配位座で、水分子交換を妨げ る。 別の具体例において、2個以上のブロック成分が、1個の金属イオン錯体に会 合し、少なくとも1個以上の配位座での水分子交換を妨げている。 本発明のブロック成分は、官能性ブロック成分に加え、連結基を更に含むこと が理解されなければならない。つまりブロック成分は、連結基及び/又は配位座 障壁と組合わせられた官能性ブロック成分を含み得る。 連結基は、該金属イオン錯体の立体的問題点を最適化するために使用されるで あろう。つまり、ブロック成分の金属イオンとの相互作用を最適化するために、 連結基が導入され、官能性ブロック成分に配位座を保護又は占拠させる。一般に 、この連結基は、構造的柔軟度をもたらすように選択される。例えばこのブロッ ク成分が、錯体から切断されるブロック成分を生じないような生理物質と相互作 用する場合には、この連結基は、このブロック成分を該錯体からいくらか移動し なければならず、その結果少なくとも1個の配位座での水交換が増加する。 一般に適当な連結基は、先に定義されたアルキル基、及び先に定義されたアル キルアミン基を含むが、これらに限定されるものではない。好ましい連結基は、 p-アミノベンジル、置換されたp-アミノベンジル、ジフェニル及び置換されたジ フェニル、ベンジルフランのようなアルキルフラン、カルボキシ、及び炭素の長 さが1〜10の直鎖のアルキル基を含む。特に好ましい連結基は、p-アミノベンジ ル、メチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、酢酸、プロピオン酸、アミノブチル 、p-アルキルフェノール、4-アルキルイミダゾールである。連結基の選択は、一 般に、周知の分子モデル法を用いて行い、金属イオンの1配位座又は複数の座の 妨害を最適化する。 このブロック成分は、金属イオン錯体に様々な方法で結合している。好ましい 具体例においては、前述のように、ブロック成分は、連結基を介して金属イオン に結合している。あるいはブロック成分は、金属イオン錯体に直接結合し;例え ば下記に説明したように、ブロック成分は、キレート化剤の置換基であることが できる。 このブロック成分は、様々なパラメーターを用いて、選択しかつ設計される。 配位座障壁を用いる、すなわちブロック成分の官能基が配位原子を提供せず、か つこの配位座障壁が両側で固定されるか又は確保されるような具体例において、 このブロック成分の配位座障壁の金属イオン錯体に対する親和性は、これはその 場で繋がれるので大きい必要はない。つまりこの具体例において、錯体は、標的 物質が存在しない状態では、“オフ”である。しかしブロック成分が、いくらか の回転又は柔軟性をブロック成分にもたらすような方法で錯体に連結している場 合、例えば一方のみで連結しているような具体例においては、ブロック成分は、 大半の時間、配位座を占拠するように設計されなければならない。従って、例え ばこの実施例のガラクトース-DOTA 構造は、ガラクトシダーゼの存在下では、シ グナルのおおよそ20%の増加をもたらし、その結果ガラクトースブロック成分が 、配位座の保護又は占拠、及び溶液中の自由な回転との間で、平衡であることを 示している。 図1に示したように、ブロック成分が両側で共有的に繋がっていない場合は、 ブロック成分及び配位座障壁は、該錯体の少なくとも1個の配位座での迅速な水 交換を妨げるために、ブロック成分を十分に錯体に会合させる、3種の基本的な 相互作用を最大にするように選択されることを理解しなければならない。第一に 、ブロック成分及び金属イオンの間には、ブロック成分を該錯体に会合させる、 静電気相互作用が存在する。第二に、ファンデルワールス力及び双極子相互作用 が存在する。第三に、配位子相互作用、すなわちブロック成分の1個以上の官能 基を、金属に対する配位原子として供することができる。更に連結基は、特定の 立体配座を強いるか又は支持し、会合したブロック成分に対し平衡化するように 選択される。同様に、該分子における自由度の除去は、特定の立体配座を有利に する。従って、例えばブロック成分がW 、X 、Y 又はZ に結合された場合の、構 造6のR9からR12位までに等価の位置での、アルキル基、特にメチル基の追加は 、ブロック成分が、保護位を支持するようにすることができる。当業者が理解す るように、同様の制限が、別の具体例においても行われる。 可能性のあるブロック成分は、それが官能性であるか;すなわちこれらが、迅 速な水交換を妨げるために、該錯体の適当な1配位座又は複数の座を十分に占拠 又は保護しているかどうかであるを知るために、容易に試験することができる。 従って、例えば錯体類は、可能性のあるブロック成分を持つように生成され、次 に画像形成実験において、このブロック成分がないキレート化剤と比較される。 このブロック成分が“保護するもの”として十分であることが一旦示されると、 標的物質が添加され、かつ標的物質との相互作用が、水交換を増加し、その結果 画像が増強されることを示すために、この実験が繰り返される。 従って前述のように、本発明の金属イオン錯体は、キレート化剤及び少なくと も1個のブロック成分に結合した常磁性金属イオンを含む。好ましい具体例にお いては、この金属イオン錯体は、構造6に示した式を有する: 構造6 この具体例において、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及び Dy(III)からなる群から選択された常磁性金属イオンである。A 、B 、C 及びD は、単結合又は二重結合のいずれかである。R1からR12基は、アルキル基、先に 定義した置換されたアルキル基、リン基、又は先に定義したブロック成分である 。R1からR12の少なくとも1個は、ブロック成分である。 A 、B 、C 又はD のいずれか又は全ては、単結合又は二重結合であることがで きる。これらの結合の1個以上が二重結合である場合には、この二重結合の炭素 に結合した置換基が1個のみであることが理解される。例えば、A が二重結合で ある場合は、それぞれの炭素に結合した1個のR1基及び1個のR2基のみであり; 好ましい具体例においては、下記のように、このR1及びR2基は、水素である。好 ましい具体例において、A は単結合であり、それぞれの炭素に2個のR1基及び2 個のR2基を有することが可能である。好ましい具体例において、これらの基は、 1個のブロック成分以外は、全て水素であるが、別の具体例においては、同じ又 は異なる2個のR 基を用いる。つまり、R1位は、水素及びブロック成分、並びに R2位は、2個の水素、2個のアルキル基、もしくは水素及びアルキル基が結合す ることができる。 W、X 、Y 及びZ 基の正確な組成は、金属イオンの存在によって決まると理解 される。すなわち金属イオンが存在しない場合には、W、X 、Y 及びZ は、-OH、 -COOH 、-CH2OH又は-CH2COOHであるが;しかし金属イオンが存在する場合には、 -OH 、-COO- 、-CH2OH又は-CH2COO-である。 DOTAに利用する場合は、DOTA環の4個の窒素、及び W、X 、Y 及びZ 基は、常 磁性金属イオンに対して、8個の配位原子を提供する。第9配位原子は、R1から R12位のいずれか1個所で置換されたブロック成分によって提供される。好まし い具体例において、別のR 基は、水素又はメチルであり;特に好ましい具体例に おいては、キレート化剤はGd-MCTA であり、これはDOTA環に1個のメチル基を有 する (Meyer らの論文、Invest.Radiol.、25:S53頁(1990年)参照)。 好ましい具体例において、この組成物は、構造7に示された式を有する: 構造7 この具体例において、金属イオン錯体に1個のブロック成分が結合している。 すなわちR 基は、1個以外は全て水素である。このブロック成分は、R 位のいず れかの位置であることが理解されなければならない。 好ましい具体例において、磁気共鳴画像法の造影剤は、Ca+2イオンの検出に使 用され、下記構造を有する: 構造8 この具体例において、ブロック成分は、連結基及びBAPTA 分子を含むが、これ らのフラ型Ca+2配位子のいずれかは、置換され得る。理論裏付けられたものでは ないが、このBAPTA 部分のカルボキシ基の1個は、Ca+2が存在しない場合には、 配位原子をもたらすように見える。しかしCa+2が存在する場合は、このカルボキ シ基は、Ca+2とキレート形成し、そのため配位基として使用することができず、 その結果迅速な水交換がもたらされる。好ましくは、この金属イオンはGd(III) であり、R 基は全て水素であり、かつW 、X 、Y 及びZ 基は、カルボキシ基であ る。 別の具体例において、金属イオン錯体は、構造9に示した式を有する: 構造9 この具体例において、R22、R23及びR24は、ブロック成分を含み、R23は、配位原 子に寄与するような配位座障壁である。R22及びR24基は、R1からR12位のいずれ かで結合できることが理解される。好ましいR23基は、前掲の化合物及び図2に 示されたものを含むが、これらに限定されるものではない。R22及びR24は、同様 に、先に定義し、かつ下記構造10で示された連結基を含む。好ましいR22及びR24 基は、炭水化物分解酵素及びペプチドのような、酵素に曝されると切断されるよ うな酵素基質を含む。従って標的物質かβ−ガラクトシダーゼのような炭水化物 分解酵素である場合は、この組成物は構造10に示された式を有する: 構造10 この具体例において、ブロック成分は、2個の連結基、2個の炭水化物分解酵 素、及び1配位座障壁を含む。この炭水化物分解酵素は、ラクトース又はβ−ガ ラクトシダーゼによって認識されるようなβ(1,4)連結のような、炭水化物分解 酵素によって認識される連結を介して、錯体に結合している。このR22基は、炭 水化物分解酵素が存在しない場合は配位原子を提供し、この錯体において、迅速 な水交換は存在しない。β−ガラクトシダーゼのような炭水化物分解酵素に曝さ れた場合は、1個又は両方の炭水化物分解酵素のブロック成分を切断し、配位原 子を取り除き、迅速な水交換をもたらす。好ましくは、R 基は水素であり、並び にW 、X 、Y 及びZ はカルボキシ基である。あるいはブロック成分は、プロテア ーゼ標的物質に対するペプチドを含むことができる。 別の具体例では、構造10の炭水化物分解酵素の代わりにペプチドを用いる。す なわち、2〜5個のアミノ酸を有するペプチド又はアナログは、該錯体の一方の 側から他方へと“伸び”、かつ連結基を使用することもしないこともできる。 別の具体例においては、金属イオン錯体は、構造11で示された式を有する: 構造11 S 、T 、U 及びV は、-OH、-COO、-CH2OH、-CH2COO-、又はブロック成分である 。この具体例において、DOTA環の4個の窒素、及びS 、T 、U 又はV の中の3個 は、常磁性金属イオンに、7個の配位原子を提供する。残りの配位原子は、ブロ ック成分によって提供される。S 、T 、U 又はV 位のひとつで置換されたブロッ ク成分によって提供される。あるいは、これらの配位座は、S 、T 、U 又はV 基 によって提供された配位原子によって満たされるか、もしくは、S 、T 、U 又は V 構造によって保護されるか、もしくはこれら両方である。 好ましい具体例において、この組成物は、構造12に示された式を有する: 構造12 この具体例において、金属イオン錯体に結合した1個のブロック成分がある。 このブロック成分が、S 、T 、U 又はV 位のいずれかであると理解されなければ ならない。同様に1個のブロック成分は、DTPAに結合することができる。 好ましい具体例において、磁気共鳴画像法の造影剤は、構造13で示された式を 有する: 構造13 この具体例において、ブロック成分は、ラクトース又はβ−ガラクトシダーゼ によって認識されるようなβ(1,4)連結を介して該錯体に結合した、連結基及び 炭水化物を含む。理論的裏付けはないが、ガラクトース部分は、配位原子を提供 し、β−ガラクトシダーゼが存在しない状態では、該錯体において迅速な水交換 が生じないように見える。β−ガラクトシダーゼに曝された場合は、この炭水化 物ブロック成分は切断され、配位原子を取り除き、かつ迅速な水交換を生じる。 好ましくはR 基は水素であり、W 、X 、Y 及びZ 基はカルボキシである。 更なる具体例において、構造14に示された式を有する金属イオン錯体を利用す る: 構造14 前述のように、H 、I 、J 、K 及びL 基の正確な組成は、この金属イオンの存 在によって決まると理解される。つまり、該金属イオンが存在しない場合は、H 、I 、J 、K 及びL は、-OH 、-COOH 、-CH2OH又は-CH2COOHであるが;該金属イ オンが存在する場合は、-OH 、-COO、-CH2OH又は-CH2COO-である。 この具体例においてR13からR21は、アルキル、置換されたアルキル、リン部分 又はブロック成分であり、これらは全て先に定義したものである。好ましい具体 例において、R12からR21は水素である。R13からR21、H 、I 、J 、K 及びL の少 なくとも1個は、先に定義したブロック成分である。 これに加え、本発明の錯体及び金属イオン錯体は、更に1個以上の標的部分を 有する。つまり、標的部分は、R 位のいずれかに結合することができるが、好ま しい具体例においては、この標的部分は、配位原子とは置換されない。本願明細 書において“標的部分”とは、錯体を、特定の配置又は会合へと向かわせるか又 は指向する官能基を意味する。従って例えば抗体、細胞表面受容体配位子及びホ ルモン、脂質、糖及びデキストラン、アルコール、胆汁酸、脂肪酸、アミノ酸及 びペプチドが、特定の部位に、この造影剤を局在するか又は向かわせるように結 合することができる。 好ましい具体例において、本発明の金属イオン錯体は、水溶性、又は水性溶液 中において可溶性である。本願明細書中において“水性溶液中において可溶性” とは、このMRI 用薬剤が、水性溶液並びに他の生理的緩衝液及び溶液中で、かな りの溶解度を有すると理解される。溶解度は様々な方法で測定できる。ある具体 例において、溶解度は、米国薬局方の溶解度分類を用いて測定され、この金属イ オン錯体は、極めて溶けやすい(溶質1部に溶媒1部未満が必要)、かなり溶け やすい(溶質1部に溶媒1〜10部必要)、溶けやすい(溶質1部に溶媒10〜30部 必要)、やや溶ける(溶質1部に溶媒30〜100 部必要)、又はわずかに溶ける( 溶質1部に溶媒100 〜1000部必要)のいずれかである。 特定の金属イオン錯体が、水溶液に溶解するかどうかの試験は、日常的なもの であることは、当業者に理解されるであろう。例えば、MRI 用薬剤1部を溶解す るのに必要な溶媒の部を測定するか、又はg/mlの溶解度を決定する。 本発明の錯体は、一般に周知の方法で合成される。例えば、前掲のMoi らの論 文;前掲のTsien らの論文;Broch らの論文、J.Am.Chem.Soc.、2987頁(1971年 );前掲のAlexander の論文(1995年);前掲のJackels の論文(1990年);米 国特許第5,155,215 号、第5,087,440 号、第5,219553 号、第5,188,816 号、第4 ,885,363 号、第5,358,704 号、第5,262,532 号;前掲のMeyer らの論文(1990 年);前掲のMoi らの論文(1988年);及びMcMurrayらの論文、Bioconjugate C hem.、3(2):108-117 頁(1992年)を参照。 DOTA誘導体については、合成は、サイクレン環主鎖の窒素置換又は炭素置換の いずれが望ましいかによって決まる。窒素置換については、実施例のガラクトー ス-DOTA 構造によって例示されるように、この合成は、当業者には周知のサイク レン又はサイクレン誘導体で始まり;米国特許第4,885,363 号及び第5,358,704 号を参照。図3及び4は、ガラクトース-DOTA 誘導体によって例示された窒素置 換を示している。 炭素置換については、実施例のBAPTA-DOTA構造によって例示されるような、周 知の技術を用いる。例えば前掲のMoi らの論文、及び前掲のGansowの論文を参照 のこと。図5及び6は、BAPTA-DOTA型誘導体によって例示された炭素置換を示し ている。 本発明の造影剤は、当業者には公知のように、適当な金属イオンと錯体形成し ている。ここでこの構造は、全て金属イオンを含んでいるにもかかわらず、本発 明の造影剤は、最初に金属イオンの存在を必要とはしないと理解される。金属イ オンは、酸化物の形状又はハロゲン化物の形状で、水に添加することができ、か つ等モル数の造影剤組成物で処理される。この造影剤は、水性の溶液又は懸濁液 として添加することができる。中性のpHを維持するために必要であるならば、希 釈した酸又は塩基を添加することができる。温度100 ℃程度での加熱が、必要な こともある。 本発明の錯体は、例えばHPLCシステムを用いて、単離し、かつ精製することが できる。 この造影剤の医薬として許容できる塩を含有する医薬組成物は、この錯体は溶 液中にある状態で中和されるよう、同じく塩基を用いて調製することができる。 この錯体の一部は、形態的には変化せず、かつ対イオンが不要である。 本発明の金属イオン錯体は、一旦合成されると、磁気共鳴画像法の造影剤又は 増強剤として使用される。特に本発明の機能的MIR 用薬剤には、いくつかの重要 な用途がある。第一にこれらは、下記に概説するように、脳の疾患の診断に使用 される。第二にこれらは、心筋梗塞対虚血の同時検出及び鑑別に使用することが できる。第三にこれらは、腫瘍の位置に関する抗原及び免疫細胞化学の研究にお いて、in vivo、すなわち全生体において、使用することができる。第四にこれ らは、毒物及び薬剤の結合部位の同定及び局在化に使用することができる。これ らに加え、薬物療法に対する生理学的反応を迅速に追跡するために使用すること ができる。 本発明の金属イオン錯体は、公知のガドリニウムMRI 用薬剤と類似の方法で使 用することができる。例えば前掲のMeyer らの論文;米国特許第5,155,215 号及 び第5,087,440 号;Margerstadt らの論文、Magn.Reson.Med.、3:808 頁(1986 年);Runge らの論文、Radiology、166:835 頁(1988年);及びBousquetらの 論文、Radiology、166:698 頁(1988年)を参照。この金属イオン錯体は、当該 技術分野において公知であるように、細胞、組織、又は患者に投与される。本発 明の目的に関して“患者”とは、ヒト、並びに実験動物のような他の動物及び生 物の両方を含んでいる。従って、この方法は、ヒトの治療及び獣医学の用途の両 方で利用できる。これに加え、本発明の金属イオン錯体は、組織又は細胞の画像 形成に使用することができ;例えばAguayoらの論文、Nature、322:190 頁(1986 年)を参照のこと。 一般に、本発明の造影剤錯体の滅菌水溶液を、経口的、経くも膜的及び特に経 静脈的方法を含む様々な方法で、濃度0.003 〜1.0 モルで、患者に投与するが、 好ましい用量は、体重1kg 当たり0.03、0.05、0.1 、0.2 及び0.3 ミリモルであ る。用量は、画像形成される構造によって決まる。類似の錯体の適量については 、米国特許第4,885,363 号及び第5,358,704 号に概説されている。 これに加え、本発明の造影剤は、例えばリポソーム(Navon の論文、Magn.Res on.Med.、3:876-880 頁(1986年)参照)又はミクロスフェアのような、特定の 送達システムにより送達され、様々な臓器によって選択的に取り込まれる(米国 特許第5,155,215 号参照)。 いくつかの具体例においては、本発明のMRI 用薬剤の血中クリアランス時間( 又は半減期)が増すことが望ましい。これは、例えばこのキレート化剤に、炭水 化物の高分子を添加することによって達成される(米国特許第5,155,215 号参照 )。従って、ある具体例は、本発明の組成物の置換基R として、多糖類を使用す る。 好ましい具体例は、血液−脳関門を通過する錯体を利用する。従って当該技術 分野において公知であるように、中性DOTA誘導体を形成するために、アルコール によってカルボン酸が置換されたDOTA誘導体は、血液−脳関門を通過することが 示されている。従って例えば、Ca+2イオンを検出するブロック成分を有する、血 液−脳関門を通過する中性錯体が設計されている。これらの化合物は、アルツハ イマー症を含む、様々な神経学的疾患のMRI において使用される。現在、アルツ ハイマー症を正確に診断することは困難であり、例えば抑鬱、又は他の治療可能 な臨床症状から、アルツハイマー症を鑑別するための、生理学的基礎を得るため には有用であろう。 下記の実施例は、前述の本発明を用いる方法を、より詳細に説明するため、更 には本発明の各種態様を実行するために意図された最善の態様を詳述するための ものである。これらの実施例は、本発明の範囲を制限することはなく、むしろ詳 細に説明する目的で提示される。本願明細書に引用された参照は、参照として明 確に組込まれている。 実施例実施例1 ガラクトース-DOTA 誘導体の合成及び特徴 Do3a- ヒドロキシエチル- β- ガラクトースガドリニウム錯体合成(図4): アセチル基で保護された臭化- ガラクトース(Aldrich社)を、ブロモエタノール と反応した。アセチルガラクトースのα−及びβ−ブロモエチルエーテルの様々 な比が、良い収量で得られた。これらの異性体は、シリカゲルクロマトグラフィ ーを用いて分離し、かつアセチルブロック成分を加水分解することによって、そ れらの帰属を作成し、プロトンNMR 結合定数を、公知の化合物と比較した。最近 、X-線構造解析により、これらの帰属の確認を行った(データは示さず)。 β−異性体を、クロロホルム還流下で、サイクレンと反応し、TLC で反応を追 跡した。アセテートの加水分解は、TEA/MCOH/H2Oで、一晩で達成され、かつ低圧 で溶媒を除去した。得られた生成物を、直接ブロモ酢酸と反応し、その後pHが一 定を維持するようになるまで、pH10-10.5 に維持した。可能性のある生成物は全 て、酢酸アンモニウム緩衝液中で異なる電荷を有し、従って陰イオン交換クロマ トグラフィーによって分離した。FPLC陰イオン交換時に、酢酸アンモニウム緩衝 液勾配を用いて、所望の化合物を溶離し、218nm で検出した。80℃の水を溶媒と する酸化ガドリニウムを用いて、この錯体に金属イオンを挿入した。この反応は 、蛍光分光計を用いて追跡した。この生成物を、HPLC逆相クロマトグラフィーで 精製し、検出のために蛍光分光計を用い、かつこの構造を、高解像質量分析計を 用いて確認した。この本質的に1容器合成である全体の収量は、25%以上であっ た。 アセト-1- エチルブロモ- β- ガラクトース合成(図3):1-ブロモエタン-2- オールを、2,3,4,6-アセト-1-a- ブロモ- ガラクトースと反応し、アセト-1- エチルブロモ- β- ガラクトースのα及びβアノマーの混合物(10/90)を生成し 、収率は68%(8.3g)であった。フラッシュクロマトグラフィーを用いて、精製さ れたβアノマー得た。立体化学的帰属は、このβアノマーのX-線結晶構造解析に より行った。 アセト-1- エチルブロモ- β- ガラクトースを、シクレン(Aldrich Chemical Co.)と反応し、1置換生成物を得た。この酢酸ブロック成分を切断し、かつブロ モ酢酸を用いて、pH10.5で、3カルボン酸置換基を添加した。この生成物を、蛍 光分光計で観察しながら、陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー(FPLC)で単 離し、収率は37%であった。Gd+3又はTb+3をこの錯体に挿入し、かつ逆相HPLC分 析C18カラム上で、溶離液として水/アセトニトリル勾配(0〜10%)を用い、検 出のために蛍光(励起274nm 及び発光315nm)を用い、反復収集を行い精製し、 収率70%を得た。この固形物の高解像質量分析は、補正した正確な質量及び予測 同位体比を示す示す(M+Na)の親分子イオンを提供した。 別の合成経路:Do3aメチルエーテルを、文献の方法で合成した。Do3aメチルエ ーテルを、D2O/d4メタノール中で、記載されたように得られたアセチルガラクト ースのβ−ブロモエチルエーテルと、この反応を塩基性pHに維持しながら、反応 した。この反応は、NMR で追跡した。まずメチル酢酸エステルを切断し、かつメ タノールを蒸発させることによって判定されるように、この糖は可溶性となった 。次にこのメチルエステルを切断のために吸収し、かつ最後にpH10付近で、糖Do 3aの形成に一致するシフトを認めた。 DO2a- ヒドロキシエチル- ジ- β- ガラクトースの合成のまとめ:クロロホル ムを溶媒とした、アセチルガラクトースのβ−ブロモエチルエーテルと、シクレ インの反応を行った。この反応混合物を、シリカゲルクロマトグラフィーを用い て精製した。α異性体は、1置換のみをもたらす一方で、図5に示されたβ異性 体では、2置換生成物が得られた。酢酸に由来する腕を、前述の1置換化合物に ついて記されたように添加し、FPLC陰イオン交換で、酸性水勾配を用いて精製し た。個々の分画は、TLC 斑点分析で検出した。 特徴付け:β−ガラクトシダーゼが、GadGalからガラクトピラノサルブロック 成分を取り除く能力を、HPLCで試験した。この切断反応は、該錯体及びガラクト ピラノース残基を伴わない錯体の、明確な保持時間を用いて、モニタリングした 。天然のβ−ガラクトシダーゼと共にインキュベーションすると、溶離時間15分 で、ピークが出現し、これはガラクトピラノースを有さない錯体に相当していた 。対照実験では、熱で不活性化したβ−ガラクトシダーゼを用い、このピークの 保持時間が、一定に保たれた。従って、このHPLC実験は、天然であるが、熱処理 していない酵素によって、該錯体が酵素的に処理されることを確認した。 前記錯体の水交換速度に対する、ガラクトピラノサル残基の存在の作用を、水 /酸化ジュウテリウム混合物を溶媒とするテルビウム(Tb+3)誘導体の蛍光スペク トル(545nm)を測定することによって試験した。テルビウムは、キレート化され た場合には、より強度の蛍光シグナル及びより長い寿命を示すので、Gdと交換し た。テルビウム錯体の蛍光は、H2O では消光したが、D2O ではしなかった。この 作用は、テルビウムの励起状態は、OH振動子とは結合するが、OD振動子とはしな いために生じた。従って、この蛍光シグナルの寿命は、H2O よりもD2O のほうが 長かった。H2O の%に対する1/寿命をプロットし、錯体によって迅速に交換され る水分子の数q.の計算が可能になった(Kumar らの論文、Pure and Appl.Chem. 、65:515-520頁(1993年);Lie らの論文、J.Am.Chem.Soc.、117:8123-8138 頁 (1995年);Zhangらの論文、Inorg.Chem.、31:5597-5600頁(1992年))。本 発明のテルビウム錯体のq 値は、ガラクトピラノースの存在及び非存在において 、それぞれ0.7 及び1.2 であった。従って、蛍光分析により、ガラクトピラノー スブロック成分が、迅速な水交換を妨げることが確認された。 前記錯体のT1に対するガラクトピラノースの酵素的切断の作用を、NMR 分光法 を用いて評価した。これらのT1値に関連したモル量は、緩和R である。500MHzで のR 値は、該錯体プラスガラクトース(1800mMs-1)及びマイナスガラクトース(24 00mMs-1)について測定し、並びに関連した種Prohance(2700mMs-1)のそれと比較 した。認められた緩和の差異は、錯体についてのT1測定値から得られた結果に対 応した。蛍光分光学的実験により示された水交換の増加は、この薬剤の溶液のT1 が、酵素処理に応じて減少することを示していた。β−ガラクトシダーゼの存在 及び非存在下で測定されたT1値の20%の差異は、この予測を確証した。2種の異 なる濃度のβ−ガラクトシダーゼに曝されたこの錯体は、この溶液のT1の同一か つ顕著な低下を示した。認められたT1の20%の変化は、該錯体からのガラクトピ ラノースの切断を伴い、蛍光測定で得られた、測定された水和数q の変化と一致 した。熱で不活性化した酵素を入れた該錯体の対照溶液は、低下を示さず:実際 には、T1は、わずかに上昇したように見えた。該錯体のガラクトースの存在及び 非存在の間で認められたT1の差異が、MRI 造影剤として提供されるのに十分であ るかどうかを試験するために、MRI 顕微鏡を用いた。標準の反転回復系列を 用いて得られた画像は、酵素的処理によって生じたT1の変化が、MR画像において 可視化できることを明らかにした(図9)。この錯体を、β−ガラクトシダーゼ が入っている又は入っていないのいずれかの1.5 〜1.8mm のキャピラリーチュー ブに入れた。図9に示された画像は、T1が介在したコントラストは、β−ガラク トースの作用により変化し、予測された画像のコントラストの強化が得られたこ とを示した。実施例2 BAPTA-DTPA及びBAPTA-DOTA誘導体の合成 図7及び8に、BAPTA-DTPA誘導体合成の2種の代表的合成経路を示した。図7 (好ましい方法)においては、構造1を、発表された方法(前掲のTsien らの論 文)を変更し、無水メタノールを溶媒とするNaCNBrH3を用いて、ヘキサメチレン ジアミンと結合して調製した。使用した反応物の比は、6:1:0.6(ジアミン:BAP TA アルデヒド:NaCNBrH3)であった。この反応は、濃HCl の添加により消光し 、かつこの生成物を、HPLC(II)で精製した。この物質を、BAPTA の左側のブロッ ク成分を有するDTPAのモノ(又はビス)無水物と反応し、その後Gd(III)Cl3又は Gd2O3を添加した(上昇したpH、発熱)。最終生成物は、イオン交換HPLCで精製 した。 図8は、DTPAモノ無水物を調製し、ビスアルキルアミン(例えばNH2(CH2)6(NH2 ))と反応した。この物質を、イオン交換HPLCで精製し、アルゴン注入口及び均圧 ロートを備えた丸底フラスコに入れた。無水メタノールを溶媒とするBAPTA アル デヒドを、無水メタノールを溶媒とするアルキルアミン-DTPA 溶液に滴下し、か つHCl:MeOHの6当量を添加した。この反応混合物を、HPLCで精製し、かつ前述の ようにGd(III)を加え、かつ文献に記載された方法で、ブロック成分を取り除い た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 フレイザー スコット アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92660 ニューポート ビゾン アベニュ ー 720 (72)発明者 ジェイコブス ラッセル アメリカ合衆国 カリフォルニア州 91006 アルカディア サウス エイス アベニュー 2100

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.錯体に結合した常磁性金属イオンを含有し: a)キレート化剤;及び b)前記金属イオンの少なくとも第1の配位座で結合し、かつ少なくとも第1配 位座において水交換が増加するような、標的物質との相互作用が可能であるよう な、前記キレート化剤に共有結合したブロック成分を含む、MRI 用薬剤。 2.前記キレート化剤が、DOTAである、請求の範囲第1項記載のMRI 用薬剤。 3.前記キレート化剤が、DPTAである、請求の範囲第1項記載のMRI 用薬剤。 4.前記常磁性金属イオンが、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)又 はDy(III)からなる群から選択される、請求の範囲第1項記載のMRI 用薬剤。 5.前記常磁性金属イオンが、Gd(III)である、請求の範囲第1項記載のMRI 用 薬剤。 6.下記成分を含む、MRI 用薬剤: a)n 配位原子との結合が可能な常磁性金属イオンで、ここでこの金属イオンが 、該金属イオンの(n-1)又は(n-2)配位座に配位原子を有するようにキレート化剤 に結合している、金属イオン;及び b)残りの1配位座又は複数の座で、迅速な水交換を妨げるような、前記キレー ト化剤に共有結合したブロック成分で、 ここでこのブロック成分は、標的物質と相互作用することが可能であり、その 結果残りの1配位座又は複数の座での水交換が増加する、薬剤。 7.請求の範囲第6項記載のMRI 用薬剤: a)Gd(III)イオンの8個の配位座に配位原子を有する、Gd(III)イオン;及び b)第9配位座で迅速な水交換を妨げる、ブロック成分を含み、 ここでこのブロック成分は、標的物質との相互作用が可能であり、その結果第 9配位座での水交換が増加する、薬剤。 8.8個の配位原子を有するキレート化剤に結合したGd(III)イオンを含む、請 求の範囲第6項記載のMRI 用薬剤。 9.下記式を有する、MRI 用薬剤: (式中、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及びDy(III)か らなる群から選択された常磁性金属イオンであり; A 、B 、C 及びD は、単結合又は二重結合のいずれかであり; W 、X 、Y 及びZ は、-OH 、-COO- 、-CH2OH又は-CH2COO-であり; R1-R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、リン部分、又はブロック成 分であり;ここでR1-R12の少なくとも1個は、ブロック成分である。)。 10.下記式を有する、請求の範囲第9項記載のMRI 用薬剤: (式中、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及びDy(III) からなる群から選択された常磁性金属イオンであり; A 、B 、C 及びD は、単結合又は二重結合のいずれかであり; W 、X 、Y 及びZ は、-OH 、-COO- 、-CH2OH又は-CH2COO-であり;及び R1-R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、又はリン部分である。)。 11.下記式を有する、MRI 用薬剤: (式中、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、C(III)及びDy(III)から なる群から選択された常磁性金属イオンであり; A 、B 、C 及びD は、単結合又は二重結合のいずれかであり; S 、T 、U 及びV は、-OH 、-COO- 、-CH2OH、-CH2COO-又はブロック成分であ り; R1-R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、又はリン部分であり;ここ でS 、T 、U 又はV の少なくとも1個は、ブロック成分である。)。 12.下記式を有する、請求の範囲第11項記載のMRI 用薬剤: (式中、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及びDy(III) からなる群から選択された常磁性金属イオンであり; A 、B 、C 及びD は、単結合又は二重結合のいずれかであり; W 、X 、Y 及びZ は、-OH 、-COO- 、-CH2OH又は-CH2COO-であり;及び R1-R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、リン部分、又はブロック成 分であり;並びに R22、R23及びR24は、ブロック成分を含み、R23は配位座障壁である。)。 13.下記式を有する、請求の範囲第11項記載のMRI 用薬剤: (式中、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、Cr(III)及びDy(III)か らなる群から選択された常磁性金属イオンであり; A 、B 、C 及びD は、単結合又は二重結合のいずれかであり; W 、X 及びY は、-OH 、-COO- 、-CH2OH又は-CH2COO-であり;及び R1-R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、又はリン部分である。)。 14.下記式を有する、MRI 用薬剤: (式中、M は、Gd(III)、Fe(III)、Mn(II)、Yt(III)、C(III)及びDy(III)から なる群から選択された常磁性金属イオンであり; H 、I 、J 、K 及びL は、-OH 、-COO- 、-CH2OH、-CH2COO-又はブロック成分 であり; R13-R21は、水素、アルキル、置換されたアルキル、リン部分、又はブロック 成分であり; ここでR13-R21、H 、I 、J 、K 又はL の少なくとも1個は、ブロック成分で ある。)。 15.前記ブロック成分が、酵素基質を含む、請求の範囲第9、11、12又は14項記 載の組成物。 16.請求の範囲第1項記載のMRI 用薬剤を、細胞、組織又は患者に投与すること 、及びこの細胞、組織又は患者の磁気共鳴画像を形成することを含む、細胞、組 織又は患者の磁気共鳴画像法。
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