JPH1180660A - 潤滑塗料 - Google Patents

潤滑塗料

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JPH1180660A
JPH1180660A JP9267838A JP26783897A JPH1180660A JP H1180660 A JPH1180660 A JP H1180660A JP 9267838 A JP9267838 A JP 9267838A JP 26783897 A JP26783897 A JP 26783897A JP H1180660 A JPH1180660 A JP H1180660A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱硬化性合成樹脂潤滑被膜形成に用いられる
潤滑塗料であって、下地と一体となってその表面層を形
成し、優れた低摩擦特性を発揮する潤滑塗料を提供す
る。 【解決手段】 エポキシ樹脂100重量部と、エポキシ
基を有する反応性シリコーンオイル2〜30重量部と、
少なくとも、下記の関係式で算出されるトリアジンチオ
ールW重量部とが有機溶剤に溶解されてなる熱硬化性合
成樹脂潤滑被膜形成に用いられる潤滑塗料。 但し、E1 は使用したエポキシ樹脂のエポキシ当量、E
2 は使用したエポキシ基を有する反応性シリコーンオイ
ルのエポキシ当量、そしてSは1グラム当量のメルカプ
ト基−SHを含むトリアジンチオールのグラム数であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、摺動面部材用の
潤滑塗料に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】潤滑塗料に関しては、
i)油剤をスプレーなどで吹付け湿潤状態で使用するも
の、ii)塗膜形成後、溶剤を飛ばし乾燥被膜として使
用するもの、iii)塗膜を常温あるいは加熱硬化させ
硬化被膜として使用するもの、など様々なものがある。
【0003】このi)およびii)の適用事例は、すべ
り合う二つの部材において、その滑り面に潤滑油剤を供
給するという一種の給油の適用形態である。
【0004】すなわち、これら事例の潤滑被膜は、すべ
り合う部材そのものではなく、いわばすべり面に介在す
るものである。したがって、これらが消耗した場合は、
再び同様の吹き付けなどを行なって潤滑被膜を形成する
ことができる。
【0005】これに反して、iii)の適用事例は、上
記i)、ii)とは趣を異にする。すなわち、すべり合
う二つの部材のいずれか一方または双方の部材の一部、
換言すれば部材の表面層を形成させるということであ
る。
【0006】この表面層、すなわちすべり面を形成する
被膜は、機械的強度にすぐれ、下地との密着性がよく、
外力によって損傷したり摺動時に簡単に摩耗して了った
り、あるいは下地から剥離したりしないことが望まれ
る。
【0007】ここで、被膜への潤滑性の賦与と被膜の機
械的強度および下地との密着性とは裏腹の関係にあり、
潤滑性を向上させようとすれば必然的にこれらの強度や
性能は低下するという問題がある。
【0008】この発明は、熱硬化性合成樹脂潤滑被膜形
成に用いられる潤滑塗料であって、下地と一体となって
その表面層を形成し、優れた低摩擦特性を発揮する潤滑
塗料を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、敍上の問
題、課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、硬化剤の
存在のもとで三次元網状構造を形成して固化する反応性
シリコーンオイルと、下地との接着を司るベース樹脂と
してのエポキシ樹脂と、この二つの成分を同時に硬化さ
せ、かつ下地表面を接着に適した表面として改質せしめ
る機能を併せもつトリアジンチオールの採用が極めて有
効であることを見出すことによりなされたものである。
【0010】この発明によれば、エポキシ樹脂100重
量部と、エポキシ基を有する反応性シリコーンオイル2
〜30重量部と、少なくともトリアジンチオールW重量
部とが有機溶剤に溶解されてなる熱硬化性合成樹脂潤滑
被膜形成に用いられる潤滑塗料が提供される。ここで、
Wは、関係式、 (但し、E1 は使用したエポキシ樹脂のエポキシ当量、
2 は使用したエポキシ基を有する反応性シリコーンオ
イルのエポキシ当量、そしてSは1グラム当量のメルカ
プト基−SHを含むトリアジンチオールのグラム数であ
る)で算出された値である。ここで、エポキシ当量と
は、1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂また
は反応性シリコーンオイルのグラム数である。
【0011】すなわち、この発明は、エポキシ樹脂10
0重量部と、エポキシ基を有する反応性シリコーンオイ
ル2〜30重量部と、少なくともこの二成分のエポキシ
基を開環重合させるに十分な量のトリアジンチオールと
が有機溶剤に溶解されてなる熱硬化性合成樹脂潤滑被膜
形成に用いられる潤滑塗料を提供する。
【0012】またこの発明は、上記の合成樹脂潤滑被膜
の改質を目的として、上述した成分組成のものに加え
て、無機及び有機充填材粉末2〜15重量部のうちの少
なくとも一方と、油及びロウ状物質0.5〜5重量部の
うちの少なくとも一方とのうちの少なくとも一方が有機
溶剤に分散溶解されてなる熱硬化性合成樹脂潤滑被膜形
成に用いられる潤滑塗料を提供する。
【0013】そしてまたこの発明は、上述した成分組成
のうちトリアジンチオールの一部が、ポリアミン、酸無
水物、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂またはメルカプ
タン系化合物で置き換えられてなる熱硬化性合成樹脂潤
滑被膜形成に用いられる潤滑塗料を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明のエポキシ樹脂として
は、汎用のものが使用でき、たとえば油化シエルエポキ
シ社製のビスフェノールA型の液状または固形タイプの
エポキシ樹脂「エピコート(商品名)」が挙げられる。
エポキシ樹脂は、この発明の合成樹脂潤滑被膜の母体を
なすものであり、また下地との接着剤として機能するも
のである。
【0015】エポキシ基を有する反応性シリコーンオイ
ルは、リニア構造を有する油状物質であるが、硬化剤を
配合することによりエポキシ基が開環重合し三次元網状
構造を呈して固化する。この三次元網状構造化したもの
はもはや油状ではないが、潤滑性は保持されている。
【0016】そして分子構造的にエポキシ樹脂とともに
網状構造を構成し互いに絡み合っているので、油状物質
のようにすべり面から絞り出されたり、潤滑膜の破断を
きたすこともない。
【0017】このエポキシ基を有する反応性シリコーン
オイルは、ポリシロキサンの両末端にエポキシ基を有す
るもの、またその側鎖にエポキシ基を有するものがあ
り、そのいずれも使用し得るが、この発明ではとくにポ
リシロキサンの側鎖にエポキシ基を有するものが好まし
い。たとえば、信越化学工業社製エポキシ変性シリコー
ンオイル「KF−102(商品名)」が挙げられる。
【0018】このものは、比重0.97、粘度4,00
0センチストークス(いずれも25℃において)を有す
る無色透明の粘稠な油状物である。因みに、これを硬化
剤と反応させると、ほとんどねばりのないゼリー状の半
固形物となる。これが三次元網状構造化した状態のもの
である。
【0019】このエポキシ基を有する反応性シリコーン
オイルは、概ね1重量部前後の配合で効果が出始める
が、2重量部以上の配合でその効果は顕著となる。
【0020】しかし、30重量部の配合では被膜強度の
低下が大きくなるが、摺動条件によっては有効に使用し
得る。もっとも好ましい配合量は5〜20重量部であ
る。
【0021】この発明において使用するトリアジンチオ
ールは、この発明の構成成分であるエポキシ樹脂および
エポキシ基を有する反応性シリコーンオイルの両者に対
しての共通の硬化剤としての機能に加えて、下地に作用
してこれを接着に適した表面に改質するという機能を併
せ有するものである。
【0022】トリアジンチオールは、下記式(1)に示
す構造式を有し、置換基Rがメルカプト基−SH、ジブ
チルアミノ基−N(C4 9 2 、そしてアニリノ基−
NHC6 5 からなるものが、三協化成株式会社から商
品名ジスネットとして市販されている。
【0023】
【化1】
【0024】トリアジンチオールは、従来とくにゴムや
塩化ビニルの架橋剤として、または金属とゴムの接着剤
として、そして金属の表面処理剤としても用いられてい
る。きわめて反応性に富み、金属との反応のほか合成樹
脂、ゴムなどの官能基または不飽和基との反応が知られ
ている。
【0025】この発明では、Rがジブチルアミノ基−N
(C4 9 2 を有するトリアジン、すなわち2−ジブ
チルアミノ−4、6−ジチオール−S−トリアジンを使
用し好結果を得ている。このものは、融点137℃以
上、無臭の白色微粉末として入手し得る。
【0026】トリアジンチオールの配合量は、使用した
エポキシ樹脂およびエポキシ基を有する反応性シリコー
ンオイルの二成分をともに硬化させる量である。
【0027】詳述すれば、使用したエポキシ樹脂のエポ
キシ当量E1 とエポキシ基を有する反応性シリコーンオ
イルのエポキシ当量E2 とに応じた量であって、エポキ
シ樹脂使用量を100重量部としたとき以下の関係式で
算出されるW重量部でなければならない。
【0028】
【0029】ここでSは、1グラム当量のメルカプト基
−SHを含むトリアジンチオールのグラム数である。例
えばトリアジンチオールとして、下記式(2)で示す2
−ジブチルアミノ−4、6−ジチオール−S−トリアジ
ンを使用した場合は、1分子中に2個のメルカプト基−
SHを有しているので、その分子量272の2分の1の
量、すなわち136グラムということになる。
【0030】
【化2】
【0031】E1 、E2 は、それぞれの銘柄によって異
なる。
【0032】因みに、エポキシ樹脂の基本液状タイプの
グレード828と表示される銘柄(油化シエルエポキシ
社製)は、E1 が184〜194と表示されている。ま
た、エポキシ基を有する反応性シリコーンオイルKF−
102(信越化学工業社製)は、E2 が3,600と表
示されている。
【0033】上述した関係式を用いて、この事例につい
てトリアジンチオール(2−ジブチルアミノ−4・6−
ジチオール−S−トリアジン)の必要配合量を算出する
と、約70〜75重量部となる。
【0034】この配合量は、この発明のエポキシ樹脂お
よびエポキシ基を有する反応性シリコーンオイルの硬化
反応を進めるための最低必要量を示す値であり、従って
これ以下の配合量では硬化が円滑に進行しない。
【0035】トリアジンチオールは硬化剤としての機能
を有するものであるが、上述したように他の機能もあ
る。すなわち、被膜の下地との反応により合成樹脂の接
着に好ましい下地表面を作る働きである。微視的には下
地上のトリアジンチオールの分子膜を介しての接着とい
うことになる。しかもこのトリアジンチオールは使用し
ている合成樹脂とも化学結合を生じており、かくして極
めて強固な被膜が形成される。さらに、このトリアジン
チオールは、このもの同志の自己結合も生じ下地上に分
子膜が形成されるとの報告もある。
【0036】したがって、このような種々の観点からト
リアジンチオールの配合量は、硬化に必要な量に加え
て、かなり多量に配合し得るものである。
【0037】ただし、種々実験の結果、このようにすぐ
れた多機能性を有するトリアジンチオールにも若干の問
題がある。それは得られた硬化被膜の靭性が低下すると
いう問題である。
【0038】これは、メルカプト基−SHによるもの
か、硬化剤としてのトリアジンチオールの分子の長さに
原因するのか定かでないが、このような点が被膜として
問題となる場合は、このトリアジンチオールの一部を従
来からエポキシ樹脂の硬化剤として用いられているもの
と置き換えることは有効な手段である。例えば、ポリア
ミン、酸無水物、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、メ
ルカプタン系化合物が挙げられる。さらに、これら硬化
剤とともに、三級アミン、イミダゾール誘導体、フッ化
ホウ素錯塩類等の硬化促進剤を併用してもよい。
【0039】これら硬化剤と置き換えることができる最
大量は、使用したエポキシ樹脂のほぼ全量を硬化させる
に必要な量までとすることができる。
【0040】ポリアミンには、脂肪族ポリアミン、脂環
族ジアミン、芳香族ジアミンおよびこれらを変性したも
のが含まれ、具体例としては、油化シエルエポキシ社製
の変性脂肪族ポリアミン「エピキュアT(商品名)」、
変性脂環族ジアミン「エピキュア113(商品名)」、
変性芳香族ジアミン「エピキュアW(商品名)」が挙げ
られる。
【0041】酸無水物としては、脂肪族、脂環族、芳香
族、ハロゲン系のものが含まれ、具体例としては、油化
シエルエポキシ社製の「エピキュア134A(商品
名)」が挙げられる。
【0042】また、メルカプタン系化合物とは、分子構
造式の両端にメルカプト基−SHを有する脂肪族多硫化
重合物のことであり、それ単独ではエポキシ樹脂と反応
しないため、前記ポリアミンや三級アミンとの併用が必
要である。メルカプタン系化合物の具体例としては、油
化シエルエポキシ社製「カップキュア3800(商品
名)」が挙げられる。
【0043】一般に、これら硬化剤には、トリアジンチ
オールと異なり、下地と反応して接着に好ましい表面を
形成せしめるとか、このもの自体が互いに反応して被膜
を作るなどという機能は持たないから、混用するとして
もこの点に留意する必要がある。
【0044】以上述べたエポキシ樹脂、エポキシ基を有
する反応性シリコーンオイル、そしてトリアジンチオー
ルの三成分に加え、必要に応じて第四成分として無機及
び有機充填材粉末2〜15重量部のうちの少なくとも一
方と、油及びロウ状物質0.5〜5重量部のうちの少な
くとも一方とのうちの少なくとも一方を配合することが
できる。
【0045】無機及び有機充填材粉末としては、黒鉛、
窒化ホウ素などの無機質粉末、四ふっ化エチレン樹脂な
どの有機質粉末を例として挙げることができ、配合効果
の観点から2重量部以上、そして塗膜形成の作業性など
の観点から15重量部以下とする。
【0046】無機質粉末は被膜に耐荷重性、耐摩耗性の
賦与をはかるものであり、四ふっ化エチレン樹脂粉末は
被膜の自己潤滑性を補うためのものである。
【0047】また、油及びロウ状物質としては、鉱油、
動植物油、合成潤滑油などの油状物質、そして石油ワッ
クス、高級脂肪酸、高級脂肪酸の塩、エステルなどのロ
ウ状物質を例示し得る。
【0048】これら第四成分の中で、油、ロウ状物質は
合成樹脂に配合すると自己潤滑性の賦与、低摩擦化に寄
与するが、合成樹脂の機械的強度やその接着性によい影
響を与えるものではないことについてはすでに述べたと
おりである。
【0049】この発明のエポキシ樹脂、エポキシ基を有
する反応性シリコーンオイル、そしてトリアジンチオー
ルからなるものに、上述した油、ロウ状物質を5重量部
以下配合しても、機械的強度や接着性に及ぼす影響は極
めて僅かであることが分かった。
【0050】さて、この発明による潤滑塗料を用いて形
成された合成樹脂潤滑皮膜を有するすべり部材は、これ
に相対する部材として合成樹脂との摺接において、卓越
した低摩擦特性を発揮する。例えば、四ふっ化エチレン
樹脂を主成分とするものとの摺接においては、負荷が1
00〜400kgf/cm2 の重負荷領域において、動
摩擦係数0.02〜0.03という極めて低い摩擦係数
を示す。
【0051】上述した油、ロウ状物質の第四成分として
の配合は、軽負荷領域において、動摩擦係数を下げる効
果がある。その効果は0.5重量部の配合から現れる。
配合上限はすでに述べたように5重量部である。
【0052】つぎに、潤滑塗料の調製に供される溶剤と
しては、有機溶剤、たとえば、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンな
どのケトン類、イソプロピルアルコール、n−ブタノー
ル等のアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素系溶剤、テトラヒドロフランなどをあげること
ができる。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用さ
れる。
【0053】塗料の濃度はその取り扱いの観点から固形
分30〜40重量部とすることが好ましい。この場合の
粘度は常温でおおむね100〜200センチストークス
程度である。
【0054】この発明の潤滑塗料の適用は、従来普通に
行われている吹付けなどの塗膜形成手段を採ることがで
きる。
【0055】塗膜形成に供される下地材料が金属である
場合は、通常の前処理を行っておく。合成樹脂やセラミ
ックスのような材料の場合は、被着面を平滑にし、かつ
清浄にしておく。
【0056】塗膜形成後の硬化処理条件は、どのような
硬化剤を用いるかで様々な条件をとりうる。一例とし
て、トリアジンチオールの他に脂環族ジアミンを硬化剤
として用いた場合を挙げると、塗膜形成後、自然乾燥に
よるか80℃で30分程予備乾燥を行って溶剤を飛ば
し、ついで、180℃で30分加熱焼付けを行うと所望
の硬化被膜が得られる。
【0057】固形分35重量部の潤滑塗料を用い、鋼板
上に吹付けを行い、上述した条件で焼付け硬化を行って
得た被膜の厚さは約30μmであった。
【0058】固形分含有量を減じて吹付けを行えば、さ
らに薄い被膜厚さのものが得られ、また重ね塗りを行う
ことによって、より厚い被膜厚さのものを得ることがで
きる。
【0059】このようにして、被膜厚さ5〜100μm
のものが容易に得られるが、潤滑被膜としては10〜5
0μm、とくに20〜40μm程度のものが望ましい。
【0060】このようにして得られた被膜は、下地と強
固に結び付いており、ゴバン目試験においては被膜の剥
離は認められなかった。
【0061】また、被膜の接着強度を圧縮剪断強さを測
定することによって詳価した結果は、30〜100kg
f/cm2 であり、通常この種の摺動を目的とした用途
において、圧縮剪断強さとして20〜30kgf/cm
2 であれば問題ないと言われている範囲を大きく上廻る
ものであった。
【0062】これは、この発明による潤滑塗料が下地表
面に塗着され、予備乾燥および硬化の過程で先ずトリア
ジンチオールによる下地との反応が生じ、さらにエポキ
シ樹脂成分がシリコン成分に優先してこのトリアジンチ
オールの反応面に移行して接着が行われる結果と考えら
れる。
【0063】また、接着強度の低下をもたらす油分やロ
ウ状物質が接着界面に移行したり界面を覆ってしまうこ
とが防止される結果と考えられる。
【0064】したがって、網状構造化したシリコン成分
や油、ロウ状物質は被膜の表面側すなわちすべり面側に
多く分布するという好ましい態様の被膜が形成される。
【0065】この発明の潤滑塗料は、軸受や橋梁構築物
あるいは建物などに使用される支承など、すべりを必要
とする部材に被膜として適用され、優れた低摩擦、耐摩
耗性を有するすべり面を形成する。
【0066】これは、すべり合う二つの部材のいずれの
側のすべり面に適用してもよい。すなわち、軸受側のす
べり面、支承などにおいてはベアリングプレート側のす
べり面に施されてもよく、これに相対する相手材、すな
わち軸受においては軸または摺動子側、支承においては
上沓または下沓のすべり面としてもよい。
【0067】
【実施例】 1.摺動部材 (A)ガラス繊維粉末として、直径10μm、平均長さ
63μmの旭ファイバグラス社製「MF06JB1−2
0(商品名)」15重量%、ポリイミド樹脂粉末とし
て、Lenzing社製「P84(商品名)」2重量
%、残部三井デュポンフロロケミカル社製四ふっ化エチ
レン樹脂「テフロン7AJ(商品名)」からなる樹脂組
成物の成形物。直径10mm、高さ14mmのロッド状
のものの端面をすべり面とした。 (B)上記ポリイミド樹脂粉末20重量%、残部上記四
ふっ化エチレン樹脂からなる樹脂組成物の成形物。直径
10mm、高さ14mmのロッド状のものの端面をすべ
り面とした。
【0068】2.相手部材 巾40mm、長さ280mm、厚さ10mmのプレート
状の機械構造用炭素鋼S45Cを裏材とし、ショットブ
ラスト、脱脂処理を施した面に表1に示す成分および表
2および表3に示す配合割合の潤滑塗料を吹付け、80
℃で30分間予備乾燥を行って溶剤を飛ばしたのち18
0℃で30分間焼付けを行い、被膜厚さ30μmの各種
試験片を得た。表3に示した比較例の試験片についても
同様の条件で作製した。各成分は重量部で示した。 (以下余白)
【0069】
【表1】 潤滑塗料中の固形分35重量部。鉱油は固形分と見倣
す。 (以下余白)
【0070】
【表2】 (以下余白)
【0071】
【表3】
【0072】3.試験機 エアシリンダーによって上下方向に負荷をかけることが
できる加圧部と、サーボモーターによって所定のモード
の水平方向の押し引きができる可動水平支持台とが組合
わされていて、上下方向に所定の負荷をかけながら水平
方向の押し引きによってすべりを行わせる往復動試験
機。 上下方向最大負荷 500kgf 水平方向最大ストローク 30cm 水平方向最大速度 80cm/sec
【0073】4.試験方法 直径10mm、高さ14mmの摺動部材を直径方向に1
0mm長さにわたって把持し、その4mmを下方に突出
させて試験機の加圧部に取付けた。一方、水平支持台に
相手部材を締具によって取付け固定した。試験条件は以
下のとおりで、図1に試験速度波形のモデルを示した。 (試験条件) 速度 1cm/sec〜50cm/sec 荷重 20kgf/cm2 〜400kgf/cm2 試験ストローク 220mm 試験速度波形 台形波
【0074】5.試験結果 表4、表5および表6は、摺動部材(A)、(B)とこ
の発明の潤滑塗料を用いて形成した被膜a〜kを有する
相手部材との組合わせのものについて、すべり速度を1
cm/secと一定とし、荷重を20〜400kgf/
cm2 の範囲で変えた場合における動摩擦係数について
示したものである。
【0075】エポキシ基を有する反応性シリコーンオイ
ルKF−102の配合量が2重量部を越えると摩擦係数
に及ぼす効果は顕著であることが分かる。しかしこの配
合量が30重量部の事例A−k、B−kでは、被膜の機
械的強度の低下が現れ始めている。すなわち、重負荷領
域において、動摩擦係数が上昇する兆しが見られる。
【0076】したがって、この試験結果からエポキシ基
を有する反応性シリコーンオイルの配合量は、2〜30
重量部、とくに5〜20重量部とすることが好ましいこ
とが分かる。 (以下余白)
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】なお、表4のA−f、表5のB−f、A−
gおよびB−gにおいて、fおよびgは第四成分として
充填材を配したもので、鉱油を2.5重量部含むもので
あるが、鉱油を含まない他の事例と比較して、軽負荷領
域での摩擦係数が低いことが分かる。
【0081】表7および表8は、摺動部材(A)と相手
部材との各組合わせのものについて、荷重を200kg
f/cm2 と一定とし、すべり速度を10〜50cm/
secの範囲で変えた場合における動摩擦係数について
示したものである。速度の増加にともなって、動摩擦係
数は右肩上がりの上昇を示す。
【0082】これは、本発明例、比較例ともに認められ
るが、本発明例のものはその傾向が僅かであった。ま
た、動摩擦係数の値が極めて小さいという特徴がある。 (以下余白)
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】図2は、本発明例A−cの組合わせのもの
と、比較例A−nの組合わせのものについて、荷重を3
00kgf/cm2 、すべり速度1cm/secの条件
で、その荷重保持時間が動摩擦係数μk、静摩擦係数μ
sに及ぼす影響についてプロットしたものである。図2
の横軸は対数目盛で表してある。
【0086】図2からも明らかなように、本発明例のも
のはμs、μkともにその値が小さく、しかも両者は接
近しており、さらに保持時間がμs、μkに及ぼす影響
は極めて僅かであった。
【0087】一方、比較例のものはμsの値が0.1以
上と大きく、μsとμkの差も大きい。また、保持時間
がμs、μkに及ぼす影響も認められる。
【0088】このμs、μkの差が大きいということ
は、すべり時にスティックスリップを生じ易く、音の発
生の原因ともなる。本発明例のものはこのようなことは
全く生じない。
【0089】なお、被膜の摩耗については、本発明例の
ものは比較例と比べて、いずれも数十分の一から数百分
の一と極めて僅かであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の試験に使用した往復動試験機の試験
速度波形のモデルを示したもののである。
【図2】試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
μs 静摩擦係数 μk 動摩擦係数
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 161:06) (C09D 163/00 183:06 177:00)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂100重量部と、エポキシ
    基を有する反応性シリコーンオイル2〜30重量部と、
    少なくとも、下記の関係式で算出されるトリアジンチオ
    ールW重量部とが有機溶剤に溶解されてなる熱硬化性合
    成樹脂潤滑被膜形成に用いられる潤滑塗料。 但し、E1 は使用したエポキシ樹脂のエポキシ当量、E
    2 は使用したエポキシ基を有する反応性シリコーンオイ
    ルのエポキシ当量、そしてSは1グラム当量のメルカプ
    ト基−SHを含むトリアジンチオールのグラム数であ
    る。
  2. 【請求項2】 無機及び有機充填材粉末2〜15重量部
    のうちの少なくとも一方と、油及びロウ状物質0.5〜
    5重量部のうちの少なくとも一方とのうちの少なくとも
    一方が更に有機溶剤に分散溶解されてなる熱硬化性合成
    樹脂潤滑被膜形成に用いられる請求項1に記載の潤滑塗
    料。
  3. 【請求項3】 トリアジンチオールW重量部の一部がポ
    リアミン、酸無水物、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂
    またはメルカプタン系化合物によって置き換えられてな
    る請求項1または2に記載の潤滑塗料。
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