JPS6358221B2 - - Google Patents

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JPS6358221B2
JPS6358221B2 JP55014091A JP1409180A JPS6358221B2 JP S6358221 B2 JPS6358221 B2 JP S6358221B2 JP 55014091 A JP55014091 A JP 55014091A JP 1409180 A JP1409180 A JP 1409180A JP S6358221 B2 JPS6358221 B2 JP S6358221B2
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JP
Japan
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magnetic
magnetic field
thin plate
amorphous
alloy
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JP55014091A
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Osamu Kawamoto
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Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は非晶質磁性合金材料の熱処理方法に関
するものである。 近年、新しいタイプの軟磁性材料として、非晶
質磁性合金が大きな注目を集め、活発な研究が行
われている。 金属は、通常、固体状態においては原子が規制
配列状態をとる結晶として存在しているものであ
るが、ある種の合金融液を、例えば104〜106℃/
secという大きい速度で冷却凝固させた場合、固
体状態でも溶融状態に類似した原子配例をもつ非
晶質の合金が得られる。この非晶質合金は、X線
回折や電子線回折によつても、結晶構造を示すよ
うな回折像は得られず、結晶質とは構造的に異な
る長範囲規則性をもたない原子配列を有するもの
である。このような非晶質磁性合金からなる磁性
合金は、通常の結晶質とは異なり結晶磁気異方性
を有さず、又、保磁力(Hc)が小さく、すぐれ
た軟磁性が期待され、しかも電気抵抗が大きく、
硬度が高く、薄板加工等の加工性が良好で、製造
方法も容易かつ安価である等の、種々の軟磁性材
料としてのすぐれた特性と使用上の有利さをあわ
せ持つものである。 従来、このような非晶質磁性合金としては、鉄
族元素成分としてFe、Co、Niを含み、これに
Si、B、C、P等のガラス化元素を含むものが知
られている。これらはその組成に応じた特性を有
し、その特性に応じた用途が考えられ、一部実用
化されている。例えば、鉄族元素としてFeを主
成分とするFe系は、磁歪は大きいが、飽和磁束
密度(Bs)が大きく、又コストが安いという点
から、トランス材としての用途に適している。
又、鉄族元素としてCoを主成分とするCo系は、
FeよりもBsは低く、コストが高いが、磁歪零の
組成が得られるので、磁気ヘツド用材料に適して
いる。 しかし、このようなSi、B、C、P等の1種以
上のガラス化元素を含んでなる従来の非晶質磁性
合金は、その軟磁気特性が良好なものでは、結晶
化温度が比較的低く、その特性が活かせず、ある
いはその取扱いが困難であるという欠点がある。 これに対し、最近、ガラス化元素として、Zr
を単独、または他のガラス化元素と併用して含む
非晶質磁性合金材料が提案されている。その代表
的組成を挙げるならば、例えば、(Co0.9Ni0.1
90Zr10や、(Co0.2Fe0.890Zr10等である。このよう
なZrをガラス化元素として含む非晶質磁性合金
は、実用上満足し得るBsを持つ組成が得られ、
又磁歪零の組成が得られ、しかも結晶化温度が従
来のものと比べ格段と高く、上記のような欠点が
改善されたものである。 しかし、このようなガラス化元素としてZrを
含む非晶質磁性合金材料も、そのままの状態で
は、透磁率あるいは磁気損失の点では、未だ充分
満足できる特性を得るには至つていない。 ところで、透磁率あるいは磁気損失は、その材
料に対する処理の履歴によつて変化することが知
られている。 従来行われてきた非晶質磁性合金材料に対する
処理法の一つとして、熱処理焼鈍がある。この熱
処理焼鈍は、液相から超急冷して非晶質磁性合金
材料を得た後に施すものであり、熱処理として
は、無磁場中で、合金のキユリー点(Tc)以上、
結晶化温度(Tcry)未満の温度に加熱保持した
後冷却し、これにより、超急冷による薄板製造の
際の内部歪を除去するとともに、透磁率を高める
ものである。しかし、この熱処理は、Tc>Tcry
の合金に対しては施すことができないという欠点
がある。この場合、特に、ガラス化元素として
Zrを含む非晶質磁性合金材料においては、例え
ば高保磁力記録媒体に対する記録用磁気ヘツドに
最低限必要とされるBs=10KG以上の組成では
Tc>Tcryとなつてしまい、高Bs材の透磁率向上
のための技術とはなり得ないことになる。一方、
Zr系の合金であつてもTc<Tcryのものはあり、
それは実用材料として使用可能なものではある
が、そのような材料について、このような熱処理
焼鈍を施したとき、確かに透磁率は向上するもの
ではあるが、熱処理後急冷したり、複雑な冷却温
度コントロールを行つたりしなければならず、冷
却時に内部歪が生起し、このため特に初透磁率
は、格段すぐれた値が得られるわけではない。 これに対し、超急冷法によつて得られた薄板
を、磁場中で熱処理する技術が、特開昭51−
73925号公報、同52−114421号公報等に開示され
ており、この磁場中の熱処理により、最大透磁率
μmが格段と向上する旨が記載されている。この
場合、熱処理温度は結晶化温度以下であり、磁界
は静磁界として一定の磁界軸方向のみから印加さ
れている。このように、熱処理にあたり一定方向
から磁界を印加すれば、非晶質磁性合金薄板中に
は磁界印加方向を容易軸とする一軸性の誘導磁気
異方性が生起する。このようなとき、誘起された
磁化容易軸に磁化は配向しやすく、このため残留
磁束密度(Br)は大きくなる。そこで、このと
き逆方向に磁界を印加すると磁化と磁界のエネル
ギーを減少させるため、180゜磁壁の移動により、
容易に磁化反転がおこり、保磁力(Hc)は小さ
いものとなる。従つて、上記のごとく残留磁束密
度(Br)は大きくなるので、静磁化特性として
の最大透磁率μmBr/Hcが増大するのは当然
のことである。しかし、Zr系の非晶質磁性合金
材料に対し、このような磁場中熱処理を施し、磁
気特性を測定したところ、交流下での透磁率は減
少することが確認された。すなわち、10mOe程
度の磁場下の透磁率(μ10)、すなわち実効透磁率
も大きくは増大しないのである。又、磁気損失も
さして減小しない。 本発明はこのような実状に鑑みなされたもので
あつて、ガラス化元素としてZrを含む非晶質磁
性合金材料に対し、その透磁率、すなわちその動
的および静的特性値が向上し、又その磁気損失を
減少せしめることができ、Zr系非晶質合金材料
を実用材料として使用可能としうる熱処理方法を
提供することを主たる目的とする。 本発明者は、このような目的につき鋭意研究を
行つた結果、ガラス化元素としてZrを含む非晶
質磁性合金材料に対し、所定の磁場中熱処理を施
して、合金材料中に多軸磁気異方性を付与せしめ
たとき、このような目的が実現することを見出
し、本発明をなすに至つたものである。 すなわち、本発明は、下記式で示される組成を
有する非晶質磁性合金材料に対し、キユリー点お
よび結晶化温度より低い温度に保持した状態で、
磁場を印加または誘起せしめ、その際、この印加
または誘起される磁場を変化させ、材料内に多軸
磁気異方性を有せしめることにある。 式 MpTq(ZrkYlr ここに、MはFe、CoおよびNiから選択された
1種以上であり、Tは鉄族以外の遷移元素の1種
以上であり、Yはガラス化元素の1種以上であ
る。又、p、q、r、kおよびlは、p+q+r
=100at%、k+l=100%、O≦q≦10at%、5
≦r≦30at%、O<k≦100%、なる関係を有す
る。 本発明によれば、合金材料中には、多軸磁気異
方性が付与される結果、透磁率の動的特性値、特
に初透磁率や実効透磁率の減少が阻止されるのみ
ならず、逆に格段と向上し、又その静的特性値も
格段と向上し、しかも磁気損失も格段と減少する
ものである。又、磁歪零組成や、高Bs組成のTc
>TcryのZr系合金についても本発明を適用する
ことができ、そのとき、きわめて大きい透磁率の
向上と磁気損失の減少を図ることができる。この
ため、磁歪が小さく、高飽和密度で高透磁率を有
する等、磁気ヘツド用材料等の実用材料としてき
わめてすぐれた特性を得ることができる。更に
Tc<TcryのZr系合金についても、Tc以下の比
較的低い温度における加熱処理が可能となり、し
かも加熱処理後の徐冷が可能となり、その際に
も、透磁率と磁気損失を格段と向上せしめること
ができる。 以下本発明の処理方法を詳細に説明する。 本発明を適用する非晶質磁性合金材料は、ガラ
ス化元素として、Zrを単独または他のガラス化
元素と併用して含むものであり、上記の式で示さ
れる組成を有するものである。 上式における各記号の示す意味は上記のとおり
であるが、少なくとも1種の鉄族以外の第1〜第
3遷移系列中の元素Tとしては、Nb、Mo、Ti、
V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ta、W、Au、Ag、Pd、
Rh、Ru等の1種以上をその代表的な例として挙
げることができる。この場合、Tの原子比bは、
0〜5at%であることが好ましい。 一方、Yで表わされる1種以上のガラス化元素
としては、Si、B、P、C、Ge、Sn、Ga、In、
Sb、Al等の1種以上を挙げることができ、特に
Si、P、Bのうちの1種以上であることが好まし
い。この場合、この他のガラス化元素とZrとか
らなるガラス化成分中の他のガラス化元素比l
は、0%以上100%未満の範囲で広範囲の数値の
中から適宜選択することができるが、概ね0〜90
%であることが好ましい。このような範囲におい
ては、Tcryが十分高く、高いTcryに起因する利
点を亭受することができるからである。 なお、ガラス化成分の原子比rとしては、5〜
30at%であるが、8〜30at%であることがより好
ましい。このようなとき、合金の非晶質化度が良
好となり、又Tcが十分大となるからである。そ
して、このとき、MはFe、CoおよびNiの1〜3
種からなり、その組成比は種々の組成比であつて
よい。 このような組成からなる非晶質磁性合金材料
は、細線あるいは薄膜であつてもよいが、通常は
5〜200μmの厚さを有する薄板である。 一方、このような非晶質磁性合金材料は、後述
の本発明の熱処理を施すことにより、多軸の磁気
異方性を有し、特にその薄板の場合は、薄板面内
において、多軸異方性を有するものである。従つ
て、常法に従い、トルク曲線を測定して0〜180゜
の回転角内のピークの数を測定したり、あるいは
そのフーリエ解折を行つたり、更には強磁性共鳴
の印加磁場による角度依存性測定を行つたりすれ
ば、2つ以上の磁化容易軸の存在が明白であり、
多軸の磁気異方性が観察されるものである。この
場合、通常の強磁性共鳴の測定(9.34GHz、
1300Oe程度)を行い、薄板面内の共鳴磁界の角
度依存性を測定すると、各容易軸方向の異方性磁
界Haと固有共鳴磁界Hoとの比Ha/Hoは概ね1
%以上、特に5%以上となる。これに対し、一軸
静磁界中での熱処理後の薄板では、明瞭な一軸性
の磁気異方性が観察されるものであり、又、急冷
直後の薄板では、通常弱い一軸性の磁気異方性が
観察されても、本発明のように多軸磁気異方性を
持ち、複数の磁化容易軸の存在が明瞭に観察され
るようになることはない。又、トルク磁力計を用
い、試料薄板の面内トルク曲線を測定し、回転角
0〜180゜内におけるピーク数を観察したときに
は、本発明による場合のみに2つ以上の明瞭なピ
ークが現われ、一方急冷直後、無磁場中での熱処
理後、あるいは静磁界中での熱処理後におけるそ
れぞれの場合には、測定誤差範囲内において、1
本のピークが現われるか、あるいは全くピークが
現われないのかのいずれかである。 従つて、このような通常のトルク曲線あるい
は、強磁性共鳴の測定を行えば、それらは多軸異
方性を有しているか否かの確認手段となるもので
あり、本発明の熱処理を施したZr系非晶質磁性
合金材料は、この点で従来のものとは異なるもの
である。 なお、上記において、磁化容易軸は2〜6本、
薄板面内等に存在し、2〜6軸の磁気異方性をも
つことが好ましい。又薄板面内において、各容易
軸は互いにπ/n(nは2以上の整数)の角度を
もつて交叉し、面内において対称となることが好
ましく、更に、それぞれの容易軸方向の磁気異方
性定数はほぼ等しい量であることが好ましい。こ
のような異方性定数は、常法に従い、トルク曲線
をフーリエ解折すれば容易に求めることができ
る。 次に、本発明の非晶質磁性合金材料の熱処理方
法は、通常以下のようにして実施される。 先ず、非晶質磁性合金を、対応する組成を有す
る材料を液相または気相から超急冷することによ
り、実質的に非晶質の薄板または薄膜等として得
る。 液相から超急冷して非晶質磁性合金薄板を得る
には、対応する組成の合金を溶融して融液とな
し、この融液を溶融状態から概ね104℃/sec以
上、通常104〜106℃/secの冷却速度で超急冷し、
冷却凝固されることによればよい。溶融状態の合
金融液を超急冷するには、公知の双ロール法、片
ロール法、あるいはインサイドインジエクシオン
法等種々の方式に従えばよい。従つて、合金の溶
融条件、合金融液の噴出条件、噴出の際のノズル
の形状、寸法等、双ロール等の冷却体の形状、寸
法、材質等は公知の超急冷法における条件範囲の
中から適宜決定すればよい。又、合金の溶融に際
しては、アルゴン等の不活性ガス中で行うか、あ
るいは不活性ガスを流入させながら行うことが好
ましいが、この融液の噴出は、不活性ガスあるい
は空気のいずれかの雰囲気に対して行つてもよ
い。この場合、得られる薄板は、一般に5〜
200μm、特に20〜60μmの厚さである。 一方、後述の処理を施される非晶質磁性合金
は、気相から超急冷され薄板として形成されたも
のであつてもよい。気相から超急冷するには、
種々の基板、例えば石英ガラス、アルミナ、岩塩
等の上に、スパツタリングにより非晶質磁性合金
薄板を形成すればよい。スパツタリングにおける
諸条件は、公知の条件における中から適宜決定し
て用いればよい。これにより、基板上には、厚さ
500Å〜2mm程度の非晶質磁性合金薄板が形成さ
れる。 このようにして得られる薄膜は、次の工程にお
いてそのまま用いることができるが、場合によつ
ては薄膜を基板から剥離して用いることもでき
る。 この後、このようにして得られた薄板または薄
膜等を、そのキユリー点以下でしかも結晶化温度
以下の温度に保持、加熱した状態で、磁場を印加
し、あるいは誘起せしめ、しかもこの印加または
誘起せしめられた磁場を、所定時間毎に所定角度
ずつ回転させ、しかる後冷却する。 この場合、このような磁場中熱処理を施す非晶
質磁性合金材料は、上に述べたようにして得られ
た長尺の連続薄板であつてもよく、又、所定長に
裁断され、あるいは所定形状となした薄板や薄膜
であつてもよく、更には薄板から筒状に巻かれ、
例えば巻磁心として形成した後の薄板であつても
よく、その被処理時の形態は種々のものが可能で
ある。 本発明におけるこのような磁場中熱処理の温度
としては、上に述べた方法によつて得られた薄板
または薄膜状等の非晶質磁性合金の結晶化温度よ
り低い温度に保持しなければならない。非晶質磁
性合金としての軟磁気特性が失われてしまうため
である。同時に、その保持温度は、キユリー点よ
り低い温度でなければならない。キユリー点以上
では自発磁化が発生せず、誘導磁気異方性が発生
しないからである。一方、保持温度の下限として
は、一般に100℃以上、より好ましくは150℃以上
とすることが好ましい。又、保持時間は、一般に
500時間以内、好ましくは1分〜500時間程度であ
る。加熱方式としては、抵抗型の電気炉中で行う
他、高周波加熱や赤外線加熱を施したり、その他
種々の方式が可能である。 このような温度保持の条件下で、薄板または薄
膜には磁場を印加または誘起せしめる。この場
合、印加または誘起せしめる磁場は、その磁場強
度が直流状である場合であつても、又交流的に変
化する場合であつてもよく、更には連続的に発生
してもパルス的に発生するものであつてもよい。
又、印加または誘起せしめる磁場は、その磁場発
生源が2つ以上あり、その2つ以上の発生源から
の磁場の合成磁場が非晶質磁性合金材料に印加ま
たは誘起せしめられるようにしてもよい。一方、
印加または誘起せしめる磁場、あるいはこれが2
つ以上あるときにはその合成磁場は、後述の磁場
の間けつ回転にあたり、薄板または薄膜の上面ま
たは下面の面方向とほぼ平行とすることが効率そ
の他の点から一般的である。ただ、このような磁
場はこの上面または下面における面方向成分を有
すればよいので、磁場としてはこれらに対し傾斜
して印加してもよい。ただし、面方向と直角にし
たときには、面方向成分が存在しないので、所定
の効果を期待することはできない。又、誘起また
は印加せしめる磁場、あるいはこれらの合成磁場
の強度としては、一般に、磁性合金をその長手方
向においてほぼ飽和させる200Oe程度またはそれ
以上を実効的に印加することがよい。ただ、薄板
巾方向においてはこれ以下の磁場で飽和し、又そ
の長手方向においては、薄板または薄膜の厚み
や、その表面に存在する凹凸に基づく反磁界が存
在するので、概ね500Oe以上、より好ましくは
1000Oe程度以上とすることが好ましい。 なお、磁場発生源としては、公知の電磁石、ヘ
ルムホルツコイル、ソレノイドコイル、永久磁石
等の外部磁界の1つまたは2つ以上を用いる他、
薄板等に電流を通ずることにより磁場を誘起せし
める等の方法が可能である。 本発明においては、上に述べた印加または誘起
による磁場、あるいはそれらの合成磁場の、薄板
または薄膜の面方向、すなわち薄板または薄膜の
上面または下面と平行な面方向における成分を、
上述の加熱温度に実質的に保持されている状態に
おいて、間けつ的に少なくとも180゜回転させ、誘
導磁気異方性を多軸性にする。この回転は、所定
時間に所定角度ずつ間けつ回転するように行うの
が通常であり、磁場の面方向成分が全体で少なく
とも1回転しさえすれば、磁界の面方向成分が一
定方向のみに所定角ずつ間けつ回転する磁場のみ
ならず、正逆アトランダムに間けつ回転変化し、
結果として少なくとも180゜回転するような場合で
あつてもよい。すなわち、印加または誘起される
磁場あるいはそれらの合成磁場が間けつ的に少な
くとも半回転すれば、結果として誘導磁気異方性
軸は間けつ的に1回転し、その間けつ回転の結果
誘導磁気異方性が多軸的となり、このため正逆ア
トランダムに回転させてもその目的は達せられる
からである。ただ用いる装置の構成の簡易さとい
う点では、一定方向に間けつ回転するように構成
した方がよく、そのとき加熱保持中における上記
180゜を単位とする回転数としては1回以上ならど
うであつてもよい。 このような間けつ回転は、所定時間毎に所定角
度ずつ回転させることによつて行う。この場合、
間けつ回転におけるこの所定角は、互いに異なつ
ていてもよいが、前述のようにn(nは2以上の
整数)本の磁化容易軸が互いに等しい角度(π/
n)で交叉して存在し、対称多軸磁気異方性を有
するようにすることが好ましいので、π/nとす
ることが好ましい。他方、このような所定角度ず
つの間けつ回転を行うにあたつては、所定のごと
く設定された所定角度毎において、静磁場保持
が、所定時間、通常一定時間行われさえすればよ
い。従つて、この保持時間の間の磁場の回転移動
に際しては、その間磁場が印加ないし誘起せしめ
られていてもよく、又そうでなくてもよい。そし
て、磁場保持時間の間の回転移動に際して、磁場
が印加されているようなときには、その回転移動
時間を、保持時間に対して一定程度以下に小とす
る必要がある。 このような所定時間毎の所定角度ずつの磁場の
間けつ回転を行うには、印加または誘起される磁
場、あるいはそれらの合成磁場を間けつ的に回転
させてもよく、又薄板等の材料を間けつ的に回転
させてもよく、更には両者を回転させつつ、その
うちの少なくとも一方を間けつ的に回転させても
よい。この場合、薄板等の面に対する印加磁場の
入射角は、通常この回転に際し、一定に保持する
ことになるが、場合によつては入射角を回転に際
し連続的に変化させてもよい。 このような磁場中熱処理を施すには種々の態様
によることができる。例えば、薄板を所定長ある
いは所定形状となし、これに薄板面とほぼ平行な
磁場軸を有する外部磁場を印加しつつ、薄板を間
けつ的に回転したり、更には両者を併用したりす
ることもできる。あるいは、通常直交する2つの
外部磁場中を、長尺の連続薄板を連続的に移動せ
しめ、その際2つの外部磁場の大きさを所定のご
とく変えることによつて、2つの外部磁場の合成
磁界の向きを間けつ的に回転させる等の方法によ
つてもよい。又、薄板から巻磁心を形成したの
ち、例えば巻磁心および外部磁場相方を回転さ
せ、上記のような間けつ回転を行つたり、例えば
巻磁心に巻線を施し、同時に巻磁心に通電し、巻
線または巻磁心に通電する電流を変化させ、この
巻線による印加磁場と通電によつて誘起される磁
場との合成磁場を間けつ的に回転させる等の方法
によつてもよい。更には、薄板を巻磁心となし、
巻磁心に巻線を施し、又巻線を施した巻磁心を外
部磁場中に配置し、巻線通電電流と外部磁場との
少なくとも一方を所定のごとく変化させ、巻線に
より発生する磁場と、外部磁場との合成磁場を間
けつ的に回転させる方法によることもできる。 以上、詳述したようにして、加熱保持状態にお
いて磁場処理を行つた後、薄板または薄膜等は冷
却される。この冷却は磁場印加を停止した後行つ
てもよいが、上に述べた磁場中で行うことが好ま
しい。又、冷却速度としては種々変更可能である
が、一般に徐冷とすることが好ましい。 なお、以上詳述したような磁場中熱処理は真空
中で行つても、又不活性ガス中で行つても、更に
は空気中で行つてもよい。又、処理を施す試料薄
板または薄膜の形状、寸法には種々変更が可能で
あるが、処理効率という点からは形状異方性の少
ない形状、例えば円板、巻磁心形状等とすること
が好ましい。 以上詳述した磁場中熱処理に用いる装置の好ま
しい1例が第1図に示される。第1図において非
晶質磁性合金材料、すなわちその薄板または薄膜
1は架台5上に載置される。架台5は、図示しな
いモーターにより、図矢印a方向に所定角度毎に
間けつ回転可能とされている。一方、架台5は電
気炉4中に収納され、電気炉4により架台5上の
非晶質磁性合金材料1は一定の温度に加熱保持可
能となしてある。更に、電気炉4外部には電磁石
の磁極21,23が配置され、非晶質磁性合金1
の面方向に磁場印加可能となしてある。このよう
な構成において、電気炉4に通電し、非晶質磁性
合金1を所定の温度に加熱保持し、しかも架台5
を矢印a方向に所定角度毎に保持が行われるよう
にして間けつ的に回転しつつ、所定時間電磁石2
1,23により磁場を印加する。この後、電気炉
を断となし冷却すれば、非晶質磁性合金中に誘起
される磁気異方性は、上記間けつ回転における所
定角度に対応して多軸性になり、本発明所定の効
果が実現することになる。 一方、第2図には更に別の例が示される。第2
図に示される例は、非晶質磁性合金材料として、
長尺の連続薄板15を用い、これに対し、上述し
た本発明の磁場中熱処理を連続的に施す場合であ
る。第2図において、ソレノイドコイル26と、
ヘルムホルツコイル251,252とが図示のよ
うに配置されている。一方、この両コイル26;
251,252内には電気炉4が配置され、この
電気炉4内を連続薄板15が図矢印b方向に連続
的に移動するようにされている。このような構成
により、電気炉4内を連続的に通過する長尺の薄
板15の面内巾方向には、ヘルムホルツコイル2
51,252により磁場H1が、又薄板15面内
長手方向には、ソレノイドコイル26により磁場
H2が、それぞれ連続的に印加されることになる。
この場合、磁場H1およびH2は、それぞれパルス
磁場であり、例えば第4図に示されるようにして
連続薄板に対し印加する。従つて、電気炉4、ヘ
ルムホルツコイル251,252およびソレノイ
ドコイル26に通電し、連続薄板15を図矢印b
方向に連続的に移送し、電気炉4内を通過する薄
板15を所定の温度に加熱すれば、電気炉4内に
おいて所定のごとく加熱される薄板15の所定部
分には、第4図に示されるような磁場が連続的に
印加され、薄板の所定部分に印加される磁場は、
薄板15の移送に従い90゜づつ間けつ回転するこ
とになる。この後、移送に従い薄板15は電気炉
4を出て冷却され、この結果、薄板15中には2
軸性の磁気異方性が付与され、本発明所定の効果
が実現することになる。 なお、上記において、パルス磁場H1,H2の大
きさを所定のごとく変化させ、しかも両者を所定
のごとく同期させれば、所望の3軸以上の磁気異
方性が薄板15内に導入されることになる。 更に、第3図には、長尺の連続薄板15を、例
えば巻磁心として長手方向に、例えば円輪状に巻
き、一度に大量の処理を施す別の例が示される。
この場合、円輪状に巻かれた薄板15は、電磁石
21,23内に配置され、電磁石21,23には
パルス電流i1を通電し、これにより薄板15に対
し、例えば第4図に示されるような磁場H1を、
薄板巾方向、すなわち巻き軸と平行に印加する。
他方、円輪状に巻かれた薄板15には被覆導線か
らなる巻線3が施され、巻線3にはやはりパルス
電流i2を通電し、これにより、薄板長手方向に
は、例えば第4図に示されるようなパルス磁場
H2が印加されるようにする。更に薄板15全体
は電気炉4内に配置されている。このような構成
において、電気炉4に通電し、薄板15を所定の
温度に加熱保持し、同時にi1およびi2を通電する
と、電磁石21,23に流れるi1により、第4図
の外部磁界H1が薄板1巾方向に印加され、一方、
巻線3に流れるi2により、薄板15長手方向に第
4図の磁界H2が発生する。これにより、薄板に
印加される磁場は、90゜毎に一定時間保持されつ
つ、間けつ的に回転する。一定時間後電気炉4の
通電を切り、冷却すれば、非晶質磁性合金薄板1
5に誘起される磁気異方性は2軸性となり、本発
明所定の効果が実現する。 以上詳述したきた本発明によつて得られる非晶
質磁性合金は、磁気ヘツド、各種磁心用の材料と
して、あるいはその他の用途に用いてきわめてす
ぐれた特性を発揮する。 以下本発明の実施例を掲げ、本発明を更に詳細
に説明する。 実施例 1 (Co0.9Ni0.190Zr10の組成となるように各原料
をそれぞれ秤量し、タンマン炉にて、アルゴンガ
ス気流中で溶解した。この溶解した合金を石英管
で吸上げ、急冷し母合金を調製した。 次いで、この母合金を溶融後、106℃/sec程度
の冷却速度で急冷して、厚さ30μm、巾3cmの長
尺薄板を作成した。この薄板についてX線回析お
よび電子線回析を行つたところ、結晶構造を示す
回析像は全く検出されなかつた。又、この薄板の
結晶化温度(Tcry)は490℃、キユリー点(Tc)
は550℃であり、そのBsは9.8KGであつた。 次に、得られた薄板を超硬合金の金型により、
20mmφの円板状に打抜いた。この打抜円板に対
し、第1図に示される装置を用い、本発明の磁場
中熱処理を施した。すなわち、装置全体は
10-1Torrの真空下におき、磁極21,23によ
り10KOeの磁場を印加しつつ、円板状の薄板1
を60rpmで間けつ的に回転した。この場合、間け
つ回転にあたつては、π/n(nは2、3、4ま
たは6)毎に2分間保持されるようにした。この
ような間けつ回転を施しつつ、電気炉4により薄
板1を350℃に加熱保持した。この温度に40分保
持後、電気炉4のみを断として、真空中で間けつ
回転磁場を印加しながら徐冷を行つた。 このようにして得た本発明の薄板円板4種(試
料A〜D)に対し、トルク磁力計を用い、トルク
曲線を測定した。その結果、それらは回転角π/
nに対し、2、3、4または6軸の磁化容易軸を
有する多軸異方性を有していることが確認され
た。 次いで、以上のように磁場処理を施した円板か
らエツチングにより、内径5mmφ、外径15mmφの
リングを得、このリングを30枚用い、層間絶縁を
行い積層した。次いで、得られた4種の試料につ
き、磁気特性を測定した。すなわち積分型BHル
ープトレーサーを用い、保磁力(Hc)および残
留磁束密度(Br)を、又、マクスウエル・ブリ
ツジを用い1KHzでの磁場10mOe下の実効透磁率
μeをそれぞれ測定した。結果を表1に示す。 これに対し、比較のため、急冷直後の薄板(試
料E)につき、上記と同様にして、トルク曲線を
測定し、次いで各磁気特性を測定した。この場合
試料Eでは弱い、1軸性の磁化容易軸が観察され
た。又、リングに抜き、磁気特性を測定したとこ
ろ、表1に示される結果を得た。 更に比較のため、上記急冷直後の薄板を上記同
様のリングに抜き、巻線を施し、真空中でリング
の周方向に20Oeの磁場を印加しつつ、350℃、40
分間熱処理を施し、その後徐冷した薄板(試料
F)につき、それらを前記同様積層して各磁気特
性を測定した。各磁気特性の測定結果は表1に併
記される。又、このように静磁場処理を施したリ
ング(試料F)につき、リングからエツチングに
より5mmφの円板を抜き、そのトルク曲線を測定
したところ、明瞭な一軸性磁気異方性が観察され
た。
【表】 表1の結果から、多軸磁気異方性を有する本発
明による非晶質磁性合金薄板は、実効透磁率が格
段と高く、きわめてすぐれた特性を発揮すること
がわかる。 実施例 2 (Co0.2Fe0.890Zr10の組成の30μm厚の非晶質磁
性合金の薄板を実施例1と同様にして作成した。
この合金のBsは15.7KG、Tcは380℃、Tcryは
490℃であつた。 次いで、この合金から実施例1と全く同様に5
種の円板試料薄板(H〜L)および1種のリング
薄板試料(M)を得、このうち1つはそのまま
(試料L)、又他の5種(H〜KおよびM)につい
ては、300℃、60分間の真空中の加熱処理を施し、
次いで徐冷した。この場合、この加熱処理は、試
料H〜Kについては、実施例1同様10KOe、又
試料Mについては実施例1と同様に20Oeの磁場
中で行つた。この際、試料Mについては、磁場は
リング周方向の静磁場である。一方、試料H、
I、JおよびKについては、第1図に示される装
置にて、薄板1を60rpmで回転しつつ、それぞれ
π/2、π/3、π/4およびπ/6の所定角度
毎に2分間づつ保持した。このような試料H〜K
につき、そのトルク曲線を測定したところ、それ
ぞれ2、3、4および6軸性の磁気異方性の存在
が確認された。一方試料Mから円板を抜きトルク
曲線を測定したところ、一軸性の磁気異方性が確
認された。 次いで、これら5種の円板(H〜L)から実施
例1と同様にして、リング状の薄板を抜き、又試
料Mについてはそのまま、これらそれぞれの30枚
を用い積層して磁気特性を測定した。磁気特性と
して、磁気損失W、BrおよびHcの結果を表2に
示す。 表2の結果から、磁気損失の点で、本発明によ
る場合が最もすぐれていることがわかる。
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図、第2図および第3図は、それぞれ発明
における1態様において用いる装置の1例を示す
概略図であり、第4図は、例えば第2図および第
3図に示される装置において、発生せしめる2つ
の外部磁場H1,H2の磁場強度(H)の時間(t)に
対する変化の1例を示す線図である。 1,15……非晶質磁性合金材料。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 下記式で示される組成を有する非晶質磁性合
    金材料に対し、キユリー点および結晶化温度より
    低い温度に保持した状態で、磁場を印加または誘
    起せしめ、その際当該印加または誘起される磁場
    を変化させ、下記式で示される組成を有し、しか
    も多軸磁気異方性を有する非晶質磁性合金材料を
    得ることを特徴とする非晶質磁性合金材料の熱処
    理方法。 式 MpTq(ZrkYlr 〔式中、MはFe、CoおよびNiから選択された1
    種以上であり、Tは鉄族以外の遷移元素の1種以
    上であり、Yはガラス化元素の1種以上である。
    又、p、q、r、kおよびlは、p+q+r=
    100at%、k+l=100%、O≦q≦10at%、5≦
    r≦30at%、O<k≦100%なる関係を有する。〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5935431B2 (ja) * 1979-02-20 1984-08-28 松下電器産業株式会社 非晶質合金の熱処理法
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