明 細 書 ハロゲン化シクロプロパン誘導体の製造方法 技術分野
本発明は、 優れた活性と安全性とを備えたニューキノ口ン系合成抗菌剤の製造 中間体として有用な光学活性ハロゲン化シクロプロパン誘導体の製造方法に関す るものである。 背景技術
優れた抗菌活性を有するニューキノ口ン系の合成抗菌薬のうち、 キノ口ン骨格 の 1位にフルォロシクロプロピル基が導入された合成抗菌薬は高い抗菌活性と安 全性とを兼ね備えており、 臨床での有用性が期待されている (特開平 2- 231475号公 報) 。 この化合物の製造中間体として、 特定の立体配置(IS, 2S) を有する光学活性 の 2-フルォロシク口プロパンカルボン酸及びその誘導体が重要である。
従来、 (1S, 2S)- 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸は、 ブタジエンにプロモフ ルォロカルベンを付加して 1 -ブロモ -1- フルォロ -2- ビニルシクロプロパンを製造 し、 次いで、 ビニル基を酸化して生成するカルボン酸化合物をエステル化した後 に脱ブロム化し、 得られた反応混合物からシス異性体を蒸留によつて分離した後、 該シス異性体のェステル基を加水分解してカルボン酸に変換し、 得られたカルボ ン酸化合物を光学分割することにより製造される (以下の反応スキーム参照) 。
また、 ビニルハロゲナイ ド類とジァゾ酢酸誘導体とを各種金属触媒の存在下に 反応させた後、 必要に応じて、 さらに脱ハロゲン化反応、 立体異性体の分離、 お
よび光学分割等を行うことによって(1S, 2S)- 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸 を製造する方法も知られている (特開平 6-9499号公報及び特開平 5- 194323号公報) 。 もっとも、 上記の方法では光学活性な配位子を有する金属触媒は用いられていな い。
これらの製造方法は、 ラセミ体の 1, 2-シス- 2- フルォロシクロプロパンカルボ ン酸誘導体を製造した後に(IS, 2S) 配置を有する光学活性の目的化合物を分割する 工程を含んでおり、 ラセミ体中に半量存在する(1R,2R) 異性体を除去して廃棄せざ るを得ないので、 経済的にも工業的にも効率的な方法とはいえない。
本発明の目的は、 光学活性な(IS, 2S)-2-フルォロシク口プロパンカルボン酸又 はその誘導体を製造するために有用な光学活性ハロゲン化シクロプロパン誘導体 を効率的かつ簡便に製造する方法を提供することにある。 より具体的には、 容易 に入手可能な原料から立体選択的な反応によつて上記光学活性ハロゲン化シク口 プ口パン誘導体を製造する方法を提供することが本発明の目的である。 発明の開示
本発明者らは上記の課題を解決すベく鋭意努力した結果、 光学活性な配位子を 有する金属触媒の存在下でジァゾ酢酸誘導体と例えば 1 -フルォロ- 1- クロロェチレ ンとを反応させることにより、 立体選択的かつ高収率に 2-フルォロ- 2- クロロシク 口プロパンカルボン酸誘導体を製造できることを見出した。 また、 本発明者らは、 上記の 2-フルォロ -2- クロロシクロプロパンカルボン酸誘導体を脱ハロゲン化反応 に付することによって、 目的の立体配置(1S. 2S) を有する光学活性 2-フルォロシク 口プロパンカルボン酸誘導体を高収率で合成できることを見出した。 本発明は上 記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち本発明は、 下記一般式(I) :
(上記式中、
X は、 塩素原子、 臭素原子、 又はヨウ素原子を示し ;
R は、 ハロゲン原子若しくは C () (炭素数が 1個から 10個の) アルキルォキシ基 を有することもある 1 () アルキルォキシ基;
置換基を有することもあるァリ一ル基と — 1 () アルキルォキシ基とにより構成され るァラルキルォキシ基;
置換基を有することもあるァリ一ル基を有するァリールォキシ基;
ハロゲン原子を有することもある アルキルチオ基;
置換基を有することもあるァリール基と c () アルキルチオ基とから構成されるァ ラルキルチオ基;
アミノ基;又は
Cl- 10 アルキル基、 置換基を有することもあるァリール基、 置換基を有することも あるァリール基と 1 () アルキル基とから構成されるァラルキル基、 及びァシル基 からなる群から選ばれる置換基を有する置換ァミノ基;
を示し、 ただし、 置換ァリール基の置換基は、 ハロゲン原子、 1 () アルキル基、 Cl-10 ハロゲノアルキル基、 c Q アルキルォキシ基、 置換基を有することもある 力ルバモイル基、 水酸基、 ニトロ基、 シァノ基、 及び置換基を有することもある ァミノ基からなる群から選ばれる置換基である)
で表される化合物の製造方法であって、
8族の遷移金属、 モリブデン、 及び銅からなる群から選ばれる金属原子と、 カル ボン酸系、 アミ ド系、 ホスフィ ン系、 ォキシム系、 スルホン酸系、 1, 3-ジケトン系、 シッフ塩基系、 ォキサゾリ ン系、 及びジァミ ン系からなる群から選ばれる少なく とも 1個の光学活性配位子とを含む触媒の存在下で、 下記式: CH2=CXF (式中、 X は上記と同じである) で表される化合物に対して下記式: NnCHCOR (式中、 R は上 記と同じである) で表される化合物を反応させて、 一般式(I ) の化合物において 1 -位の立体配置が S配置である立体異性体を優先的に生成させることを特徴とする 方法を提供するものである。
上記発明の好ましい態様によれば、 一般式(I ) の化合物において 1-位の立体配 置が S配置の立体異性体であり、 かつ、 - C0Rで示される置換基とフッ素原子とがシ ス配置である立体異性体を優先的に生成させる上記方法;一般式(I ) の化合物にお
いて 1-位の立体配置が S配置の立体異性体であり、 かつ、 - C0Rで示される置換基と フッ素原子とがトランス配置である立体異性体を優先的に生成させる上記方法; X が塩素原子または臭素原子である上記方法; R が C () アルキルォキシ基である 上記方法; R が c^—eアルキルォキシ基である上記方法; R がェトキシ基である上記 方法が提供される。 '
また、 カルボン酸系及びアミ ド系からなる群から選ばれる少なくとも 1個の光 学活性配位子を含む上記触媒の存在下に行う上記方法; カルボン酸系及びアミ ド 系からなる群から選ばれる少なくとも 1個の光学活性配位子と、 ハロゲン系、 ホ スフイ ン系、 ォキシム系、 スルホン酸系、 1, 3-ジケトン系、 シッフ塩基系、 及び一 酸化炭素系からなる群から選ばれる少なくとも 1個の配位子とを含む触媒の存在 下に行う上記方法; カルボン酸系及びアミ ド系からなる群から選ばれる少なく と も 1個の光学活性配位子と、 ハロゲン系、 ホスフィ ン系、 及び一酸化炭素系から なる群から選ばれる少なくとも 1個の配位子とを含む触媒の存在下に行う上記方 法;並びに、 ォキサゾリン系及びジァミ ン系からなる群から選ばれる少なくとも 1個の光学活性配位子を含む上記触媒の存在下に行う上記方法が、 それぞれ上記 発明の好ましい態様として提供される。
さらに、 カルボン酸系及びアミ ド系からなる群から選ばれる同一の 2以上の光 学活性配位子を有する触媒の存在下で行う上記方法;配位子としてカルボン酸系 及びァミ ド系からなる群から選ばれる同一の光学活性配位子のみを有する触媒の 存在下で行う上記方法;少なくとも 1個のカルボン酸系光学活性配位子を有する 触媒の存在下で行う上記方法; 同一の 2個以上のカルボン酸系光学活性配位子を 有する触媒の存在下で行う上記方法;配位子として同一のカルボン酸系光学活性 配位子のみを有する触媒の存在下で行う上記方法;少なくとも 1個のァミ ド系光 学活性配位子を有する触媒の存在下で行う上記方法; 同一の 2個以上のアミ ド系 光学活性配位子を有する触媒の存在下で行う上記方法;配位子として同一のァミ ド系光学活性配位子のみを有する触媒の存在下で行う上記方法;金属原子として コバルト、 ロジウム、 イ リ ジウム、 ルテニウム、 パラジゥム、 モリブデン、 銅、 又は鉄を含む上記触媒の存在下に行う上記方法;並びに、 金属原子としてロジゥ ムを含む上記触媒の存在下に行う上記方法が、 それぞれ上記発明の好ましい態様
として提供される。 また、 ォキサゾリン系及びジァミ ン系からなる群から選ばれ る少なくとも 1個の光学活性配位子を含む上記触媒の存在下に行う上記方法;金 属原子として銅を含む上記触媒の存在下に行う上記方法;並びに、 銅の供給源が ト リフルォロメタンスルホン酸銅(I) [Cu0S0<XFo]及びト リフルォロメタンスルホン 酸銅(I I) [Cu(OS02CF3)o]から選ばれる少なくとも 1種である上記方法も、 それぞれ 上記発明の好ましい態様として提供される。 発明を実施するための最良の形態
本発明の方法の第一の態様は、 CH2=CXF で表される一般式(I I)の化合物と NoCHCOR で表される一般式(I I I) の化合物とを反応させて一般式(0 の化合物を製造するに あたり、 上記特定の触媒の存在下に反応を行い、 一般式(I) の化合物のうち 1-位 (本 明細書において、 シクロプロパン環の炭素原子のうち置換基- C0Rの結合する炭素原 子を 1-位の炭素原子とする。 ) の立体配置が S配置の立体異性体を優先的に製造す ることを特徴としている。
本発明の一態様は、 上記の反応に従って、 一般式(I) の化合物のうち 1-位の立 体配置が S配置の立体異性体であつて- C0Rで示される置換基とフッ素原子とがシス 配置 (本明細書において、 「シス配置」 とはシクロプロパン環上の- C0Rで示される 置換基とフッ素原子とがシクロプロパン環平面の同じ側にあることをいう。 ) で ある立体異性体を優先的に生成させることを特徴としている。 また、 本発明の別 の態様は、 上記の反応に従って、 一般式(I) の化合物のうち卜位の立体配置が S配 置の立体異性体であって- C0Rで示される置換基とフッ素原子とがトランス配置であ る立体異性体を優先的に生成させることを特徴としている。
上記の各発明において、 立体異性体が優先的に生成するとは、 目的物である式 (I) の化合物のうち、 所望の立体異性体の生成量が他の立体異性体の生成量を上回 る場合をいう。 本明細書において、 この用語は、 所望の立体異性体の生成量が他 の立体異性体の生成量と完全に同一である場合を除いて、 所望の立体異性体の生 成量が他の立体異性体の生成量を微量でも上回る場合や、 実質的に所望の立体異 性体のみが生成する場合を含めて、 最も広義に解釈されるべきである。
一般式(I) で表される化合物及び一般式(Π)で表される化合物において、 X は塩
素原子、 臭素原子、 又はヨウ素原子を示す。 これらのうち、 X は塩素原子又は臭素 原子であることが好ましく、 上記一般式(I) の化合物としては、 2-クロ口- 2- フル ォロシクロプロパンカルボン酸誘導体又は 2 -ブロモ -2- フルォロシクロプロパン力 ルボン酸誘導体が好ましい。
一般式(I ) 及び一般式(I I I ) の化合物において、 R は、
ハロゲン原子若しくは 1 ()アルキルォキシ基 (好ましくは (^_6アルキルォキシ基) を有することもある (ト 1 ()アルキルォキシ基 (好ましくは アルキルォキシ基) ; 置換基を有することもあるァリール基と 1 ()アルキルォキシ基 (好ましくは <^_6アルキルォキシ基) とにより構成されるァラルキルォキシ基;
置換基を有することもあるァリ一ル基を有するァリールォキシ基;
ハロゲン原子を有することもある アルキルチオ基 (好ましくは C^— アルキル チォ基) ;
置換基を有することもあるァリール基と 1 ()アルキルチオ基 (好ましくは β アルキルチオ基) とから構成されるァラルキルチオ基;
アミノ基;並びに
Cl- 10アルキル基 (好ましくは ci— pアルキル基) 、 置換基を有することもあるァ リール基、 置換基を有することもあるァリール基と アルキル基 (好ましくは アルキル基) とから構成されるァラルキル基、 及びァシル基からなる群から選 ばれる置換基を有する置換ァミノ基;
を示す。
ただし、 上記の定義において、 置換ァリール基の置換基は、 ハロゲン原子、
Cl- 10アルキル基 (好ましくは ci— 6アルキル基) 、 1 ()ハロゲノアルキル基 (好 ましくは 6ハロゲノアルキル基) 、 c ()アルキルォキシ基 (好ましくは — 6 アルキルォキシ基) 、 置換基を有することもある力ルバモイル基、 水酸基、 ニト 口基、 シァノ基、 及び置換基を有することもあるアミノ基からなる群から選ばれ る置換基を示す。
上記 R の定義において、 アルキルォキシ基は直鎖、 分枝鎖、 又は環状のいずれで もよく、 C ()アルキルォキシ基としては、 例えば、 メ トキシ基、 エトキシ基、 n-プロポキシ基、 イソプロポキシ基、 シクロプロポキシ基、 n-ブトキシ基、 sec—
ブトキシ基、 tert- ブトキシ基、 シクロブトキシ基、 n-ペントキシ基、 n-へキソキ シ基、 シクロへキソキシ基、 又は levo-メンチルォキシ基等を用いることができる。 これらの 一 1 ()アルキルォキシ基は、 1個または 2個以上のハロゲン原子 (本明細 書においてハロゲン原子という場合、 特に言及しない場合には、 フッ素原子、 塩 素原子、 臭素原子、 又はヨウ素原子のいずれをも含むものとして用いる。 ) 、 あ るいは 1個または 2個以上の アルキルォキシ基 (例えば上記に例示したもの、 好ましくは アルキルォキシ基) により置換されていてもよい。 R が示すアルキ ルォキシ基としては、 直鎖または分枝鎖の アルキルォキシ基が好ましく、 エト キシ基又はメ トキシ基が特に好ましい。
ァラルキルォキシ基はフヱニル基ゃナフチル基等の (置換基を有することもあ る) ァリール基と上記の c ()アルキルォキシ基とから構成される。 ァラルキルォ キシ基としては、 例えば、 ベンジルォキシ基、 ジフエ二ルメチルォキシ基、 トリ フエニルメチルォキシ基等を挙げることができる。 ァラルキルォキシ基が 2個以 上のァリ一ル基を有する場合には、 それらのァリ一ル基は同一でも異なっていて もよい。 ァリールォキシ基のァリール基としては、 置換基を有することもあるァ リール基のいずれでもよく、 例えば、 フヱニル基ゃナフチル基を好適に用いるこ とができる。 ァリールォキシ基としては、 例えば、 フヱノキシ基、 1-ナフトキシ基、 2-ナフ トキシ基等を挙げることができる。
Cl - 10アルキルチオ基及びァラルキルチオ基は、 それぞれ、 上記に説明した
Cl- 10アルキルォキシ基及びァラルキルォキシ基のォキシ基を構成する酸素原子が 硫黄原子に代った置換基である。
R が置換ァミノ基を示す場合、 ァミノ基上の置換基としては、 C ^ JJアルキル 基、 置換基を有することもあるァリール基、 置換基を有することもあるァリール 基と cw()アルキル基とから構成されるァラルキル基、 及び、 ァシル基からなる群 から選ばれる置換基を用いることができる。 ァミノ基上に置換基が 2個存在する 場合には、 それらは同一でも異なっていてもよい。
上記のァミノ基上の置換基について説明すると、 cM()アルキル基としては、 直鎖、 分枝鎖、 又は環状のいずれでもよく、 例えば、 メチル基、 ェチル基、 n-プロ ピル基、 イソプロピル基、 シクロプロピル基、 n-ブチル基、 sec-ブチル基、 tert
- ブチル基、 シクロブチル基、 n-ペンチル基、 n-へキシル基、 シクロへキシル基、 又は 1 -メンチル基等を用いることができる。 ァリール基としてはフヱニル基または ナフチル基等を用いることができ、 ァラルキル基はフヱニル基ゃナフチル基等の
(置換基を有することもある) ァリール基と上記の アルキル基とから構成さ れ、 例えば、 ベンジル基、 ジフヱニルメチル基、 トリフヱニルメチル基等を用い ることができる。 ァシル基としては、 上記 アルキル基とカルボニル基により 構成される脂肪族ァシル基、 又は置換基を有することもあるァリール基とカルボ ニル基により構成される芳香族ァシル基のいずれを用いてもよい。 例えば、 ァセ チル基やベンゾィル基等を用いることができる。
上記に説明した置換基において、 置換ァリール基の置換基としては、 ハロゲン 原子、 上記 C ()アルキル基、 1個若しくは 2個以上のハロゲン原子により置換さ れた 1 ()アルキル基である c ()ハロゲノアルキル基、 上記 d 1 ()アルキルォキ シ基、 置換基を有することもある力ルバモイル基、 水酸基、 ニトロ基、 シァノ基、 及び置換基を有することもあるアミノ基からなる群から選ばれる置換基を用いる ことができる。 ァリール基が 2個以上の置換基を有する場合には、 それらの置換 基は同一でも異なっていてもよい。 ァリール基上の置換基が置換ァミノ基及びノ 又は置換力ルバモイル基である場合、 アミノ基上及び 又は力ルバモイル基上の 置換基としては、 R が置換アミノ基の場合について説明したアミノ基上の置換基を 用いることができる。
本発明の方法では、 式(Π)の化合物及び式(Π Ι) の化合物を反応させるにあたり、 8族の遷移金属、 モリブデン、 及び、 銅からなる群から選ばれる金属原子と、 力 ルボン酸系、 アミ ド系、 ホスフィ ン系、 ォキシム系、 スルホン酸系、 1, 3-ジケ トン 系、 シッフ塩基系、 ォキサゾリ ン系、 及び、 ジァミン系からなる群から選ばれる 少なく とも 1個の光学活性配位子とを含む触媒を用いることを特徴としている。 本明細書において、 触媒の配位子については、 触媒の金属原子と配位している官 能基の種類に応じて配位子を特定し、 例えば、 配位子中のカルボキシル基が金属 原子と配位している場合には、 その配位子をカルボン酸系配位子と呼ぶ。 もっと も、 本明細書において例えばカルボン酸系配位子という場合、 その配位子中に力 ルポキシル基以外の他の官能基 (例えば、 アルキル基、 ァリール基、 ァラルキル
基、 複素環基などの官能基) が存在していてもよい。 アミ ド系、 ホスフィ ン系、 ォキシム系、 スルホン酸系、 1, 3-ジケ トン系、 シッフ塩基系、 ォキサゾリ ン系、 及 び、 ジァミ ン系配位子についても同様である。
本発明の方法に好適に用いられる触媒としては、 上記の構成の触媒のうち、 例 えば、
(a) カルボン酸系及びァミ ド系からなる群から選ばれる少なくとも 1個の光学活性 配位子を含む上記触媒;
(b) カルボン酸系及びァミ ド系からなる群から選ばれる少なくとも 1個の光学活性 配位子と、 ハロゲン系、 ホスフィ ン系、 ォキシム系、 スルホン酸系、 1, 3-ジケ トン 系、 シッフ塩基系、 及び一酸化炭素系からなる群から選ばれる少なく とも 1個の 配位子とを含む触媒;
(c) カルボン酸系及びアミ ド系からなる群から選ばれる少なくとも 1個の光学活性 配位子と、 ハロゲン系、 ホスフィ ン系、 及び一酸化炭素系からなる群から選ばれ る少なくとも 1個の配位子とを含む触媒;並びに
(d) ォキサゾリン系及びジァミン系からなる群から選ばれる少なくとも 1個の光学 活性配位子を含む触媒;
等を好適に用いることができる。
8族の遷移金属としては、 鉄、 ニッケル、 ロジウム、 ノ ラジウム、 コバルト、 イリジウム、 又はルテニウム等を用いることが好適であり、 8族の遷移金属以外 の金属としてモリブデン又は銅を用いることができる。 これらの金属原子の原子 価は、 触媒を構成した際に 2価の状態となっていることが好ましいが、 銅等の金 属を用いる場合には 1価の状態となっていてもよい。 例えば、 ロジウム、 パラジ ム、 コバルト、 イ リ ジウム、 ルテニウム、 モリブデン、 銅、 又は鉄が好ましい金 属原子である。
本発明の方法に用いられる触媒は、 少なくとも 1個の光学活性配位子を有して いることを特徴としている。 光学活性配位子は、 カルボン酸系、 アミ ド系、 ホス フィ ン系、 ォキシム系、 スルホン酸系、 1, 3-ジケ トン系、 シッフ塩基系、 ォキサゾ リ ン系、 及びジァミ ン系の配位子からなる群から選ばれるが、 カルボン酸系、 ァ ミ ド系、 ォキサゾリン系、 及び、 ジアミ ン系の配位子からなる群から選択するこ
とが好ましい。 上記金属上に 2個以上の光学活性配位子が配位する場合には、 そ れらの光学活性配位子は化学構造的及び光学的に同一の配位子であることが好ま しいが、 異なる 2種以上の光学活性配位子が配位していてもよい。
例えば、 上記金属上の全ての配位子をカルボン酸系及びアミ ド系の配位子から 選択される光学活性配位子とすることもできるが、 例えば、 上記金属上の配位子 のうち 1又は 2以上の光学活性配位子をカルボン酸系及びァミ ド系の配位子から なる群から選択し、 残りの 1以上の配位子を、 ハロゲン系、 ホスフィ ン系、 ォキ シム系、 スルホン酸系、 1, 3-ジケトン系、 シッフ塩基系、 及び一酸化炭素系からな る群、 好ましくは、ノ、ロゲン系、 ホスフィ ン系、 及び一酸化炭素系からなる群か ら選択することも可能である。 この場合、 カルボン酸系及びアミ ド系の配位子以 外の上記配位子が光学活性配位子であつてもよい。
光学活性なカルボン酸系の配位子を供給するための化合物としては、 例えば、 1個若しくは 2個以上の不斉炭素を有する光学活性ァミノ酸類又は光学活性力ル ボン酸類を用いることができる。 光学活性アミノ酸類としては、 例えば、 それぞ れ!) -又は L-型のァラニン、 アルギニン、 ァスパラギン、 ァスパラギン酸、 システィ ン、 シスチン、 ヒスチジン、 ヒ ドロキシリ シン、 ヒ ドロキシプロリ ン、 イソロイ シン、 ロイシン、 リ シン、 メチォニン、 フエ二ルァラニン、 プロリ ン、 セリ ン、 トレオニン、 チロキシン、 ト リプトファン、 チロシン、 ノくリ ン、 アミ ノ酪酸、 シ トルリ ン、 シスタチォニン、 フエニルグリ シン、 メチォニン、 ノルロイシン、 ノ ルバリ ン、 グルタ ミ ン酸、 グルタ ミ ン、 ぺニシラミ ン、 ピペコリ ン酸、 3, 5-ジブ口 モチロシン、 又は 3, 5 -ジョ一ドチロシン等を用いることができる。
また、 光学活性カルボン酸類としては、 例えば、 2-クロ口プロピオン酸、 2 -ブ ロモプロピオン酸、 2-ァセ トキシプロピオン酸、 2, 3-ジアミ ノプロピオン酸、 2 - フエニルプロピオン酸、 2-クロロ- 3- フエニルプロピオン酸、 2-ヒ ドロキシ- 3- フエニルプロピオン酸、 2- (6-メ トキシ- 2- ナフチル) プロピオン酸、 3-ァセチル チォ- 2- メチルプロピオン酸、 2-ァミノ- 3- グァニジノプロピオン酸、 3 -ァセチル チォイソ酪酸、 2-クロ口酪酸、 2-クロ口- 3- メチル酪酸、 3-ヒ ドロキシ酪酸、 1, 4 -ジァミ ノ酪酸、 2 -メチル酪酸、 2 -フヱニル酪酸、 3 -フヱニル酪酸、 2-クロロ- 3 - メチル吉草酸、 2-クロ口- 4- メチル吉草酸、 メ ン トキシ酢酸、 2 -メ トキシフヱ二
ル酢酸、 2-メ トキシ -2- トリフルォロメチルフヱニル酢酸、 フエニルコハク酸、 シ キミ酸、 カンファ一酸、 マンデル酸、 へキサハイ ドロマンデル酸、 モノメ ンチル フタレー ト、 N- ( α - メチルベンジル) フタル酸モノアミ ド、 2 -ォキソチアゾリジ ン- 4- カルボン酸、 3-フヱニル乳酸、 乳酸、 4-ヒ ドロキシピロリ ン、 ピログルタミ ン酸、 リ ンゴ酸、 2-メチルリ ンゴ酸、 2-ベンズアミ ドシクロへキサンカルボン酸、 3-メチルアジピン酸、 又は酒石酸等を用いることができる。
上記の光学活性ァミ ノ酸類又は光学活性カルボン酸類に存在する官能基のうち、 金属原子と配位するためのカルボキシル基以外の官能基 (例えばアミ ノ基等) は 当業者に利用可能な保護基によって保護されていてもよい。 例えば、 ァミ ノ基の 保護基としては、 マレイン酸無水物、 2, 3-ジクロロマレイン酸無水物、 フタル酸無 水物、 3, 6 -ジクロ口フタル酸無水物、 4, 5-ジクロロフタル酸無水物、 3, 6-ジフルォ 口フタル酸無水物、 4, 5-ジフルオロフタル酸無水物、 3, 4, 5, 6-テトラクロロフタル 酸無水物、 3, 4, 5, 6-テトラフルオロフタル酸無水物、 へキサハイ ドロフタル酸無水 物、 1,2, 3,6-テ卜ラハイ ドロフタル酸無水物、 グルタル酸無水物、 3-メチルダルタ ル酸無水物、 ィタコン酸無水物、 1, 8-ナフタル酸無水物、 コハク酸無水物、 テトラ フルォロコハク酸無水物、 3, 4, 5, 6-テトラハイ ドロコハク酸無水物、 シ トラコン酸 無水物、 1 -シクロペンテン- 1, 2- ジカルボン酸無水物、 シス—エン ド- 5- ノルボル ネン- 2, 3- ジカルボン酸無水物、 ビシクロ [2. 2. 1]ヘプ卜- 5- ェン- 2, 3- ジカルボ ン酸無水物、 ホルミル基、 ァセチル基、 ベンゾィル基、 ト リフルォロアセチル基、 ベンジルォキシカルボニル基、 メ トキシカルボニル基、 第 3級ブトキシカルボ二 ル基、 ト リフルォロメタンスルホニル基、 又は ρ-トルエンスルホニル基等を用いる ことができる。
光学活性なアミ ド系配位子を供給するための化合物としては、 例えば、 3-ァセト アミ ドピロリジン、 卜ベンゾィル -2- 第三級プチル- 3- メチル -4- ィ ミダゾリジノ ン、 1 -第 3級ブトキシカルボニル -2- 第三級ブチル -3- メチル -4- ィ ミダゾリジノ ン、 4 -アミ ノ- 3- イソキサゾリ ドン、 1, 5 -ジメチル -4- フエニル- 2- ィ ミダゾリジ ノ ン、 Ν- (3, 5-ジニトロべンゾィル) -卜フヱニルェチルァミ ン、 5- ( ドロキシメ チル) - 2 -ピロリジノン、 4 -イソプロピル- 2- ォキサゾリジノ ン、 4-メチル -5- フエ ニル -2- ォキサゾリジノン、 2 -ォキソチアゾリジン- 4- カルボン酸、 4 -フエニルォ
キサゾリジン- 2- オン、 プロリ ンアミ ド、 プロリ ン- 2- ナフチルアミ ド、 ピログル タ ミ ン酸ェチルエステル、 又はピログルタミ ン酸- 2- ナフチルアミ ド等を例示する ことができる。
光学活性なォキサゾリ ン系配位子を供給するための化合物としては、 例えば以 下に示す化合物を挙げることができる。
(式中、 R1は炭素数 1〜5の低級アルキル基または置換されていてもよいフエニル 基を表し、 Ι?Δは水素原子またはメチル基を表す。 )
光学活性なォキサゾリン系配位子を供給するための具体化合物としては、 例え ば 2,2' - メチレンビス [(4S)-4- tert -プチル- 2- ォキサゾリ ン] 、 2,2'- イソプロ ピリデンビス [(4S)- 4- tert-ブチル -2- ォキサゾリン] 、 2、 2、 - メチレンビス [(4S) -4 - イソプロピル- 2- ォキサゾリ ン] 、 2,2'- イソプロピリデンビス [(4S)-4- イソプロピル- 2- ォキサゾリ ン] 、 2,2'- イソプロピリデンビス [(4S)- 4- ベンジ ル- 2- ォキサゾリン] 等が挙げられる。
光学活性なジアミ ン系配位子を供給するための化合物としては、 例えば以下に 示す化合物を挙げることができる。
(式中、 R3はべンジル基、 2,4, 6-トリメチルフエニルメチル基、 またはジフエ二ル メチル基を表す。 )
光学活性なジァミ ン系配位子を供給するための具体化合物としては、 例えば (1R,2R) - 1,2-ジフヱニル- Ν,Ν'-ビス [2, 4, 6-卜リメチルフヱニルメチル] エチレン ジァミ ン、 (1R,2R)- 1,2-ジフヱニル- Ν, Ν'-ビスべンジルエチレンジァミ ン等を挙げ ることができる。
なお、 ハロゲン系配位子、 ホスフィ ン系配位子、 ォキシム系配位子、 スルホン
酸系配位子、 1, 3-ジケトン系配位子、 シッフ塩基系配位子、 又は一酸化炭素系配位 子は、 いずれも当業者に周知の配位子であり、 適宜選択可能である。
本発明の方法に好適に用いられる触媒の例として、 2価のロジウムとカルボン 酸系の光学活性配位子とを含む触媒を以下に示すが、 本発明の方法に用いられる 触媒は下記のものに限定されることはない。
o o
【Rh ( Ph. X ) 2] [ Rh ( Ph ) 2 ]:
"CO, COa
また、 本発明の方法に好適に用いられる触媒の別な例として、 アミ ド系の光学 活性配位子を有する触媒を以下に示すが、 本発明の方法に用いられる触媒は下記 のものに限定されることはない。
上記の触媒は、 例えば、 クロ口ベンゼン中、 ロジウム(I I)アセテートダイマーと 過剰のカルボン酸またはアミ ド化合物を加え、 還流した後に生成物を精製する方 法により製造することができる (Callot, H. J. and Mets, F., Tetrahedron, 41, 4495, 1985) 。 また、 塩化ロジウム(Π) 3水和物、 カルボン酸化合物、 及び炭酸水 素ナトリゥムの混合物を無水エタノール中で不活性ガス下に還流した後、 生成物 を精製する こ とによつても製造することができる(Demoncean, A. , et al. , Tetrahedron, 46, 3889, 1990)。 なお、 本発明の方法に使用される触媒は、 上記の
7/0 . 製造方法により製造されたものに限定されることはない。 また、 上記各文献に記 載された方法の反応条件や試薬等に適宜の改変や修飾を加えることにより、 上記 の触媒を適宜製造できることはいうまでもない。
さらに、 本発明に好適に用いられる触媒のうち、 ォキザゾリン系配位子または ジァミン系配位子と銅を有する触媒としては、 例えば、 2, 2 ' - イソプロピリデンビ ス [(4S)-4- tert-ブチル - 2- ォキサゾリン] と トリフルォロメタンスルホン酸銅(I) とから得られる触媒; 2, 2 ' - イソプロピリデンビス [(4S)- 4- tert-ブチル -2- ォキ サゾリ ン] と トリフルォロメタンスルホン酸銅(Π )とから得られる触媒 ; 2, 2 - イソプロピリデンビス [(4S)- 4- tert-ブチル -2- ォキサゾリ ン] 、 ト リフルォロメ タンスルホン酸銅(11)、 及びフエニルヒ ドラジンから得られる触媒; 2,2 ' - メチレ ンビス [(4S)-4- tert-ブチル - 2- ォキサゾリ ン] とトリフルォロメタンスルホン酸 銅(I I)とから得られる触媒; (1R, 2R)- 1, 2-ジフヱニル- Ν, Ν' -ビス [2, 4, 6 -トリメチ ルフヱニルメチル] エチレンジァミ ン、 トリフルォロメタンスルホン酸銅(11)、 及 びフエニルヒ ドラジンから得られる触媒などを挙げることができるが、 本発明の 方法に用いられる触媒はこれらに限定されることはない。
本発明の方法は、 例えば、 以下のようにして実施することができる。 式(I I I) で示されるジァゾ酢酸誘導体は、 当業者に周知の方法で製造することができる。 例えば、 ジァゾ酢酸エステル及びジァゾ酢酸アミ ドは、 それぞれアミ ノ基を有す る対応の化合物をジァゾ化反応に付することによって容易に製造することができ る。 式(I I)で示される卜フルォロ -1- ハロエチレンは一般的に低沸点物質であり、 低温下で液化させるかまたは有機溶媒に溶解して用いればよいが、 必要に応じて 加圧下で用いることもできる。 反応は、 式(Π)のエチレン化合物又はその溶液に必 要量の上記触媒を加え、 ついで式(I I I) の化合物を添加する方法;あるいは、 式(Π) のエチレン化合物又はその溶液に式(I I I) の化合物を加え、 その後に必要量の上記 触媒を加える方法などを採用することができる。
上記反応は溶媒の存在下又は非存在下に行うことができる。 溶媒を使用する場 合、 溶媒の種類はそれ自体が反応において不活性であれば特に限定されることは ない。 例えば、 非プロ トン性の溶媒を使用することができ、 脂肪族炭化水素類、 ハロゲン化炭化水素類、 エーテル類等を好適に使用することができる。 より具体
的には、 n-へキサン、 n-ヘプタンおよびシクロへキサンなどの脂肪族炭化水素類; ジクロロメタンゃ 1, 2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;又はジェチルエー テルゃテトラヒ ドロフラン等のエーテル類を用いることができる。 これらのうち、 ジクロロメタン、 n-ヘプタン及びシクロへキサンを使用するのが最も一般的である。 触媒の量はとくに限定されず、 一般的には、 いわゆる触媒量の範囲内で適宜選 択すればよい。 例えば、 一般式(I I I) の化合物のモル数に対して上記触媒を約 10 ¾ 以下のモル数で用いることができ、 好ましくは約 0. 01 〜1. 0%程度の範囲のモル 数で用いればよい。 反応は冷却下、 室温下、 あるは加温下のいずれで行ってもよ いが、 例えば、 約— 100 °C〜100 °C程度、 好ましくは約— 50X:〜 50°C程度の温度範 囲で行うことができる。 反応時間は、 一般的には、 約 30分〜約 48時間の範囲、 通常 は約 1時間〜 24時間の範囲である。 なお、 反応をオートォクレーブ等の密封容器を 使用して加圧下に行ってもよい。
上記本発明の方法において、 使用する触媒の種類などを適宜選択することによ り、 1-位の立体配置が S配置の立体異性体であって- C0Rで示される置換基とフッ素 原子とがシス配置である立体異性体、 あるいは、 1-位の立体配置が S配置の立体異 性体であつて- C0Rで示される置換基とフッ素原子と力 トランス配置である立体異性 体のいずれかを、 優先的に生成させることが可能である。 本明細書を参照するこ とによりこのような触媒の選択を適宜なしうることは当業者に容易に理解されよ 上記本発明の方法に従って製造される一般式(I) の化合物の立体異性体を脱ハ ロゲン化反応 (この反応については、 「ハロゲン」 からフッ素原子を除く) に付 して置換基 X を水素原子で置換することにより、 2-フルォロシクロプロパンカルボ ン酸誘導体に容易に変換することができる。 従って、 本発明の別の態様により、 (IS, 2S)- 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸誘導体の製造方法であつて、 上記の 方法に従い一般式(I) の化合物の立体異性体を製造する工程;及び、 得られた上記 立体異性体を脱ハ口ゲン化反応に付して、 (IS, 2S)- 2-フルォロシクロプロパンカル ボン酸誘導体を製造する工程を含む方法;並びに、 上記反応に従って製造される 一般式(I) の化合物の立体異性体を単離若しくは精製することなく脱ハ口ゲン化反 応に付して、 (lS, 2S)-2-フルォロシクロプロパンカルボン酸誘導体を製造する方法
O 97/ 1 が提供される。
本発明の方法に従って、 1-位の立体配置が S配置の立体異性体であつて- C0Rで 示される置換基とフッ素原子とがシス配置である立体異性体を製造した場合には、 脱ハロゲン化反応として立体保持反応を行うことにより、 (1S, 2S)-2 -フルォロシク 口プロパンカルボン酸を製造することができる。 一方、 1-位の立体配置が S配置の 立体異性体であって - C0Rで示される置換基とフッ素原子とがトランス配置である立 体異性体を製造した場合には、 脱ハロゲン化反応として立体反転反応を行うこと により、 (1S, 2S)- 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸を製造することができる。 脱ハロゲン化の方法は特に限定されないが、 例えば、 水素気流及び塩基存在下 でラネ一ニッケル触媒により加水素分解することが好適である (特開平 7-97353 号公報) 。 この脱ハロゲン化反応は立体保持により進行するので、 本発明の方法 に従って卜位の立体配置が S配置の立体異性体であつて- C0Rで示される置換基とフ ッ素原子とがシス配置である式(I) の化合物を製造した場合には、 この脱ハロゲン 化反応を採用することが好適である。
生成した 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸誘導体の光学純度は、 例えば、 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸誘導体をエステル体に変換した後、 光学活性 キヤビラリ一カラムを用いたガスクロマ トグラフィ一法による分析などによって 容易に検定可能である。 あるいは、 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸誘導体を 光学活性なアミ ド体、 例えば 1-フヱニルェチルアミ ド体に変換した後に、 液体クロ マ トグラフィ一等による分析を行ってもよい。 実施例
以下、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、 本発明の範囲はこれ らに限定されることはない。
例 1 : (IS, 2S)-2-フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチルエステル
ジクロロメタン 10 mlを二頸フラスコに入れて零下約 60°Cに冷却し、 1-クロ口- 1 - フルォロエチレンを吹き込んで 4. 5 g を溶解させた。 この溶液にテ 卜ラキス (N -(3, 6- ジクロロフタロイル) -L-フヱニルァラニン) ジロジウム(I I ) 84 mgを加え て、 反応液の温度が零下 40°Cとなるように冷却した。 ジァゾ酢酸ェチル 5 mmol
相当をジクロロメタンに溶解し、 得られた溶液をドライアイス一ァセトンで冷却 して約 30分かけて上記の反応液に滴下した。 滴下終了後、 反応混合物をガスクロマ トグラフィ一で分析したところ、 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸 ェチルエステルが 86%の生成率で生成し、 シス体と トランス体の生成比は 1.46 : 1 であった。
これらの生成物の物理化学的性状は次の通りであつた。
"H-NMR 400MHz(CDClo) δ ppm:
シス体: 1.30C3H, t, J=7.3 Hz), 1.69C1H, td, J=7.3, 9.3 Hz), 2.24(1H, td, J=7.8, 16.1 Hz), 2.38(1H, ddd, J=l.0, 7.8, 10.0 Hz), 4.22 (2H, q, J=7.3 Hz) トランス体: 1.3K3H, t, J=7.3 Hz), 1.83-1.94C2H, m), 2.54(1H, m), 4.23 (2H, q, J=7.3 Hz)
ガスクロマ トグラフィ一分析保持時間 〔カラム : TC-WAX(GLSciences) 30 m x 0.25 mm 0 ; カラム温度: 70°C; インジヱクタ一温度: 200°C;検出器温度: 200°C; キャ リア一ガス : ヘリウム〕 :
シス体: 6.7 分
トランス体: 6.2 分
得られた 2-クロロ- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルエステルをォー トクレーブに入れ、 さらにラネ一ニッケル 0,5 ml 及びエタノール 5 ml を加えた 後、 1,2-ジアミ ノエタン 0.54 g を加えて 50 Kgf cm2 の水素雰囲気下に室温で 24 時間撹拌した。 反応終了後、 ラネ一ニッケルを濾去した反応液をガスクロマトグ ラフィ一により分析した結果、 定量的に 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチ ルエステルが生成しており、 (1S,2S)- 2-フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチル エステルの光学純度は 21% e. e. であった。
また、 生成物の分析データは次の通りであった。
½-NMR 400MHz(CDCl3) δ ppm:
シス体: 1.11-1.18C1H, m), 1.29C3H, t, J=7.1 Hz), 1.75 - 1.84(2H, m), 4.20 (2H, q, J=7.1 Hz), 4.73(1H, dm, J=65.1 Hz)
トラ ンス体: 1.24-1.34C1H, m), 1.27C3H, t, J=7.1 Hz), 1.41-1.49(1H, m), 2.04-2.1K1H, m), 4.14(2H, q, J=7.1 Hz), 4.80C1H, dm, J=63.5 Hz)
ガスクロマ卜グラフィ一分析保持時間 〔カラム : CP-Cyclodex- 3 - 236M 25 ra x 0. 25 mm 0 ; 力ラム温度: 75°C ; インジヱクタ一温度: 200°C;検出器温度: 200°C ; キャ リアーガス : ヘリウム〕 :
(1S, 2S)-2-フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチルエステル : 9. 8 分
(1R, 2R)- 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルエステル : 9. 4 分 例 2 : (IS, 2S)- 2-フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチルエステル
例 1 と同様にして、 卜クロ口- 1- フルォロエチレン 3. 7 gのジクロロメタン溶液 5 ml にテ トラキス (N-ベンジルォキシカルボニル- L- プロリ ン) ジロジウム(I I ) 30 mgを加えた。 ジァゾ酢酸ェチル 2. 5 mmol 相当を含む冷ジクロロメ タン溶液を 上記の溶液に約 30分かけて滴下した。 滴下終了後、 反応液をガスクロマトグラフィー で分析したところ、 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルエステ ルが 73% の生成率で生成しており、 シス体と トランス体の生成比は 1. 39 : 1 であ つた。 得られた 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルエステルを、 例 1 と同様の手法により 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルエステルに変 換したところ、 反応転化率は 100% であり、 (IS, 2S)- 2-フルォロシクロプロパン力 ルボン酸ェチルエステルの光学純度は 19¾ e. e. であった。 例 3 : (IS, 2S) -2-フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチルエステル
例 1 と同様にして、 1-クロロ- 1- フルォロエチレン 7. 7 gのジクロ口メタン溶液 10 mlにテトラキス [ (-) -シス- 2- ベンズァミ ドシク口へキサンカルボキシレー ト] ジロジウム(Π) 60 mgを加えた。 ジァゾ酢酸ェチル 5 mmol 相当を含む冷ジクロ口 メタン溶液を上記の溶液に約 30分かけて滴下した。 滴下終了後、 反応液をガスクロ マ 卜グラフィ一で分析したところ、 2-クロロ- 2- フルォロシクロプロパンカルボン 酸ェチルエステルが 71¾ の生成率で生成しており、 シス体と トランス体の生成比は 1. 25 : 1 であった。 得られた 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェ チルエステルを、 例 1 と同様の手法により 2-フルォロシクロプロパンカルボン酸ェ チルエステルに変換したところ、 反応転化率は 100% であり、 (1S,2S)- 2 -フルォロ シクロプロパンカルボン酸ェチルエステルの光学純度 18% e. e. であった。
例 4 : 2-クロロ- 2- フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチル
オー トクレーブにシクロへキサン 76.6 g、 2,2'- イソプロピリデンビス [(4S) -4-tert-ブチル - 2- ォキサゾリ ン] 64.8 mg (0.22 mmol) 、 ト リフルォロメタンス ルホン酸銅(Π) 72.1 mg (0.20 mmol)を入れた後、 1-クロ口- 1- フルォロエチレン 76.8 g (0.95 mol)を圧入した。 この混合溶液を 10°Cに冷却した後、 95% ジァゾ酢 酸ェチル 12.0 g (100 匪 ol)とシクロへキサン 50 g からなる混合溶液を 5時間か けて圧入した。 次いでシクロへキサン 20 mlを圧入して、 同温度で 1時間攪拌を続 けた後、 内圧をパージすることにより、 2 -クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカル ボン酸ェチルのシクロへキサン溶液 179.3 gを得た。 この溶液をガスクロマトグラ フィ一で分析したところ、 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチル の含量は 6.52%であり (ジァゾ酢酸ェチル基準収率 70.1%) 、 シス体/トランス体 比は 64.4/35.6 であった。
得られた反応混合物の一部からシクロへキサンを減圧留去後、 20 mmHg で減圧 蒸留することにより 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルを得た。 これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、 シス体の光学純度は 99% e.e. (IS, 2R)であり、 トランス体の光学純度は 91% e.e. (IS, 2S)であった。
ガスクロマトグラフィ一分析保持時間 〔含量分析及びシス/トランス比分析; 力 ラム : HR- 20M (信和加工) 0.25 mm φ x30 m, カラム温度: 50°C(0分) → + 5 V/ 分— 200 °C(0分), インジヱクタ一温度: 200 V' 検出器温度: 250 °C, キャリア一 ガス : ヘリウム 65 ml /分, スプリ ッ ト比: 1:50〕 :
シス体 : 15.0分
トランス体: 14.6分
ガスク ロマ トグラフィ一分析保持時間 〔光学活性体分析 ; カラム : CP- Cyclodextrine- 3-236M-19 (クロマトパック社製) 0.25 mm ø x50 m, カラム温 度: 85°C(20 分) — + 10°C 分— 200 °C(10 分) , インジヱクタ一温度: 250 °C, 検出器温度: 250 °C, キャ リアーガス : ヘリウム 70 ml'分, スプリ ッ ト比: 1:100 ] :
(1R, 2R) 体 : 21.7分
(IS, 2S) 体 + (1R,2S) 体: 21. 9分
(IS, 2R) 体 : 22. 2分 例 5 : 2 -ク口口- 2- フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチル
オートクレーブにシクロへキサン 76. 6 g、 2, 2 '- ィソプロピリデンビス [(4S) -4- tert-ブチル - 2- ォキサゾリン] 75. 8 mg (0. 26腿 ol) 、 トリフルォロメタンス ルホン酸銅(I) ベンゼン錯体 58. 3 mg (0. 23 mmol)を入れた後、 1-クロ口- 1- フル ォロエチレン 78. 9 g (0. 98 mol)を圧入した。 この混合溶液を 10°Cに冷却した後、 95¾ ジァゾ酢酸ェチル 12. 0 g (100 mmol)とシクロへキサン 50 g の混合溶液を 5 時間かけて圧入した。 次いでシクロへキサン 20 mlを圧入し、 同温度で 1時間反応 を続けた後、 内圧をパージすることにより、 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパン カルボン酸ェチルのシクロへキサン溶液 170. 0 gを得た。 2-クロ口- 2- フルォロシ クロプロパンカルボン酸ェチルの含量は 6. 45% であり (ジァゾ酢酸ェチル基準収率 65. 6%)、 シス体/トランス体比は 64. 6/35. 4 であった。 また、 シス体の光学純度は 99% e. e. (IS, 2R) であり、 トランス体の光学純度は 92!¾ e. e. (IS, 2S) であった。 例 6 : 2 -クロ口- 2- フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチル
オートクレープに、 シクロへキサン 76. 6 g、 2, 2 '- イソプロピリデンビス [(4S) - 4- tert-ブチル -2- ォキサゾリン] 500 mg (1. 7 mmol) 、 トリフルォロメタンスル ホン酸銅(Π) 360 mg (1. 0 mmol)を入れて、 — 30°C以下に冷却した後、 1-クロ口- 1- フルォロエチレン 80 g (1. 0 mol) を圧入した。 この混合物にフヱニルヒ ドラ ジン 0. 11 g (1. 0 mmol)を圧入して 30°Cに昇温し、 その後、 97. 6% ジァゾ酢酸ェチ ル 11. 69 g (lOOmmol) とシクロへキサン 50 g の混合溶液を 5時間かけて圧入した。 次いでシクロへキサン 20 mlを圧入し、 同温度で 1時間攪拌を続けた後、 内圧をパー ジすることにより、 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルのシク 口へキサン溶液 166. 7 gを得た。 含量は 3. 95%であり (ジァゾ酢酸ェチル基準収率 39. 5%)、 シス体 Zトランス体比は 65. 0/35. 0 であった。 また、 シス体の光学純度は 98¾ e. e. (1S,2R)以上であり、 トランス体の光学純度は 94% e. e. (IS, 2S)であった。
例 7 : 2-クロ口- 2- フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチル
オー トク レーブに、 n-ヘプタン 38. 3 g 、 2, 2 ' - ィソプロピリデンビス [ (4S) -4-tert-ブチル -2- ォキサゾリ ン] 162 rag (0. 55 mmol)、 ト リフルォロメタンスル ホン酸銅(I I ) 180 mg (0. 50 mmol) を入れた後、 1 -クロ口- 1- フルォロエチレン 40 g (0. 50 mol)を圧入した。 この混合物を 30°Cに昇温した後、 95% ジァゾ酢酸ェ チル 6. 0 g (50 誦 ol)と n-ヘプタン 25 g の混合溶液を 5 時間かけて圧入した。 次 いで n-ヘプタン 20 mlを圧入し、 同温度で 1 時間攪拌を続けた後、 内圧をパージす ることにより、 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルの n-ヘプ夕 ン溶液 90. 0 g を得た。 2 -クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルの 含量は 3. 73% であり (ジァゾ酢酸ェチル基準収率 40. 3%)、 シス体/トランス体比は 64. 0/36. 0 であった。 また、 シス体の光学純度は 98¾ e. e. (1S,2R) であり、 トラン ス体の光学純度は 86% e. e. (IS, 2S) であった。 例 8 : 2-ク口口- 2- フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチル
オー トクレーブに、 シクロへキサン 76. 6 g 、 2, 2 '- メチレンビス [(4S)- 4- tert -ブチル- 2- ォキサゾリ ン] 293 mg (1. 1 mmol) 、 ト リフルォロメタンスルホン酸 銅(Π) 361 mg (1. 0 mmol)を入れた後、 1-クロ口- 1- フルォロエチレン 80 g (1. 0 mol) を圧入した。 この混合物を 30°Cに昇温した後、 95% ジァゾ酢酸ェチル 12. 01 g (100 mmol) とシクロへキサン 50 g の混合溶液を 5時間かけて圧入した。 次いでシクロへキサン 20 mlを圧入し、 同温度で 1時間攪拌を続けた後、 内圧をパ一 ジすることにより、 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン酸ェチルのシク 口へキサン溶液 183. 86 g を得た。 2-クロ口- 2- フルォロシクロプロパンカルボン 酸ェチルの含量は 4. 92%であり (ジァゾ酢酸ェチル基準収率 54. 3»、 シス体/トラ ンス体比は 59· 5/40. 5 であった。 また、 シス体の光学純度は 71¾ e. e. (IS, 2R) であ り、 トランス体の光学純度は 19% e. e. (IS, 2S) であった。 例 9 : 2-クロ口- 2- フルォロシク口プロパンカルボン酸ェチル
オー トクレープに、 ジクロロメタン 38 g 、 (1R, 2R) - 1, 2 -ジフヱニル- Ν,Ν '-ビス [2, 4, 6-トリメチルフヱニルメチル] エチレンジァミ ン 715 rag (1. 5 腿 ol)、 トリ
フルォロメタンスルホン酸銅(I I) 180 mg (0. 5 mmol)を入れた後、 1-クロ口-卜フ ルォロエチレン 40 g (500 mmol)を圧入した。 この混合物を 30°Cに昇温した後、 95% ジァゾ酢酸ェチル 6. 00 g (50 mmol) とジクロロメタン 50 mlの混合溶液を 5 時間かけて圧入した。 次いでジクロロメタン 20 mlを圧入し、 同温度で 1時間攪拌 を続けた後、 内圧をパージすることにより、 2 -クロ口- 2- フルォロシクロプロパン カルボン酸ェチルのシクロへキサン溶液 106. 31 g を得た。 2-クロロ- 2- フルォロ シクロプロパンカルボン酸ェチルの含量は 3. 62¾ であり (ジァゾ酢酸ェチル基準収 率 46. 2%) 、 シス体/トランス体比は 62. 4/37. 6 であった。 また、 シス体の光学純 度は 75% e. e. (1S. 2R) であり、 トランス体の光学純度は 73¾ e. e. (IS, 2S) であった。 産業上の利用可能性
本発明の方法によれば、 光学活性な(1S,2S)- 2-フルォロシクロプロパンカルボ ン酸を製造するために有用な光学活性ハロゲン化シクロプロパン誘導体を立体選 択的かつ効率的に製造することができる。