JP2000234183A - フィルムラミネート溶接缶用鋼板 - Google Patents

フィルムラミネート溶接缶用鋼板

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JP2000234183A JP3339999A JP3339999A JP2000234183A JP 2000234183 A JP2000234183 A JP 2000234183A JP 3339999 A JP3339999 A JP 3339999A JP 3339999 A JP3339999 A JP 3339999A JP 2000234183 A JP2000234183 A JP 2000234183A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルムをラミネートした溶接缶用鋼板をシ
ーム溶接して缶胴とする場合に、ACR(溶接時に散り
や拡缶試験での溶接剥がれが生じない健全なナゲットが
形成される溶接可能範囲)が大きく、しかも高速で溶接
しても、すり疵などによる不良缶を発生することのな
い、フィルムラミネート溶接缶用鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板の少なくとも一方の表面にすずめっ
き層が形成され、その上層に有機樹脂フィルムからなる
フィルムラミネート層を有する溶接缶用鋼板であって、
前記鋼板の平均表面粗さRaが 0.2〜0.4 μmであり、前
記すずめっき層には、金属すずが 250超〜600 mg/m2
かつ合金すずが 400〜1500 mg/m2の範囲で含まれるよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シーム溶接工程を
経て得られる3ピース溶接缶(以下、単に「溶接缶」と
略記する)に用いられる、フィルムラミネート鋼板に関
し、とくに溶接可能範囲が広く、缶胴への疵付きがない
フィルムラミネート溶接缶用鋼板に関するものである。
なお、本発明は、とくに鋼帯の長手方向を軸方向とする
円筒に成形して溶接缶に仕上げる場合に適用して好適な
鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】缶用鋼板には、鋼板の表面にSn、Cr、Ni
等の各種めっきを施したものがあり、これらは3ピース
缶や2ピース缶に加工されて、飲料缶、食缶等として供
給されている。なかでも、3ピース缶は、上蓋、底蓋お
よびシーム溶接した缶胴の3部品からなり、製造工程が
2ピース缶に比べて単純で、合理的化しやすく、小ロッ
ト多品種の生産に適しているという利点を有している。
【0003】かかる3ピース缶、特にすずめっき素材を
用いた3ピース缶の製造において、最近の大量消費に伴
って生まれた大きな技術的進歩として、使用鋼板の高張
力化、板厚減少による軽量化、シーム溶接の高速化なら
びにフィルムラミネート鋼板(鋼板にポリエチレンテレ
フタレート系フィルム(PET)などの有機樹脂フィル
ムを焼付けた状態のもの)の採用による製缶の合理化と
生産性向上などが挙げられる。
【0004】さて、3ピース缶の製造工程において、缶
胴板のシーム溶接工程は、缶体の品質や生産性などを左
右する重要な役割を担っている。そしてシーム溶接作業
で、一般的に問題になるのが、散り(スプラッシュ)の
発生や、拡缶試験における溶接部の剥がれである。散り
は、基本的には、過電流が流れるために発生し、剥がれ
は必要な電流が鋼板同士の接合面に十分に流れないため
に発生するものである。シーム溶接で、これら両欠陥を
ともに生じさせないための適正電流範囲(溶接可能範
囲、以下単に「ACR」と略記する)が存在し、その範
囲が大きい方がよい。ACRが小さいと、散り発生を防
ぐために電流値を小さくすれば、剥がれが発生しやす
く、逆に剥がれが発生しないように電流値を大きくすれ
ば、散りが発生することになる。このため、溶接缶用鋼
板には基本的にACRが大きい素材が要求される。
【0005】シーム溶接において、3ピース缶体の素材
として、高強度で極薄(板厚0.2 mm以下)の鋼板を用い
る場合には、次のような点で溶接作業が一層困難にな
る。すなわち、極薄の鋼板では接合面の空気抵抗が相対
的に大きくなり、接触抵抗が大きくなる。また、板厚が
薄いと、シーム溶接で発生した熱を、溶接缶体が持ち去
る熱量が少ないために、鋼板の温度が上昇して、電気抵
抗が大きくなる。このような接触抵抗と電気抵抗の増加
は、シーム溶接時の散りの多発を起こしやすくなる。こ
のように、極薄鋼板ではACRが狭くなり、散りと剥が
れの両方とも安定的に回避することがますます困難にな
るので、高速溶接は通常板厚のものよりもますます困難
となる。
【0006】前述したように、缶体素材の極薄化と並ぶ
最近の技術進歩に、缶胴板への塗装・印刷焼き付け法の
変更がある。すなわち、従来は、シート塗装(広幅シー
トによる4〜6条×5〜6列取り)ののち、加熱オーブ
ンにより焼き付ける( 190〜210℃で10〜20分の高温長
時間処理)工程によるものであった。これに代わって開
発されたのがフィルムラミネート法である。この方法
は、予めグラビア印刷したフィルムを缶外面側に、同時
に無地の透明フィルムを缶内面側に、それぞれラミネー
ト( 160〜220 ℃で1分程度の短時間処理)するもの
で、美粧性を付与するとともに、内容物のフレーバー性
をも確保できるという利点がある。鋼板へのラミネート
は、シーム溶接の予定部を残して行われるので、溶接予
定部(スリット材の幅端縁)では金属が露出した状態に
なっている。この方法については、例えば、特開平5-31
868 号公報に、缶胴ブランク材料を巻き付けたコイルか
ら、連続して供給される長尺の缶胴ブランク材料(1缶
の円周長さに相当する幅狭コイル)の両面に、溶接部に
相当する両端縁に金属Crの露出部を残して、フィルムを
熱圧着する方式が開示されている。
【0007】このフィルムラミネート法は、加熱オーブ
ンを使わないので環境に優しいのみでなく、高速通板が
可能であり、多色の場合でも1回の通板で仕上がり、版
替えはフィルムの取り替えだけでよく、しかも短時間加
熱で缶胴板への印刷ができるので、溶接機とフィルムラ
ミネートラインを直結でき、より生産性の向上が期待さ
れる技術である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら最近の
技術を採用して高効率で生産性の高い生産方式を採用し
た場合でも、何らかの欠陥をもつ不良缶が発生したとき
には、操業中での素材の入れ替えや、ラインの修理等に
よる操業停止を招き、期待される効果が十分に発揮され
なくなる。したがって、新しい生産方式では、とりわけ
不良品発生のトラブルを避けることが一層重要になって
くる。
【0009】ところが、現実には、上述した最近の技術
を採用して、板厚0.20mm以下の高強度極薄鋼板の表面
にフィルムをラミネートして高速溶接を行った場合に、
操業開始後数時間程度経過すると、溶接部強度が不足す
る、いわゆる溶接不良が発生しやすくなる。また、缶胴
の外面や内面にすり疵等の外観不良缶が発生するという
問題もおこる。このような不良缶は、溶接速度の増加に
伴って頻発するという傾向もみられた。なお、ラミネー
ト缶の中でも鋼帯長手方向を円筒体の軸方向として円筒
成形する方法は、溶接のための非ラミネート部がスリッ
トコイルの板幅端部に位置するため、ラミネート処理が
容易で生産性が高い。しかし、素材鋼板の幅方向の降伏
強度が一般に高いため、円筒成形に際してのスプリング
バックが大きい。このため、溶接部の重ね代の幅が安定
せず、より溶接不良が発生し易く、問題となっている。
【0010】そこで、本発明の主たる目的は、従来技術
が抱えていたこのような問題を解決することにあり、フ
ィルムをラミネートした溶接缶用鋼板をシーム溶接して
缶胴とする場合に、ACR(溶接時に散りや拡缶試験で
の溶接剥がれが生じない健全なナゲットが形成される溶
接可能範囲)が大きく、高速で溶接を行っても溶接不良
の発生がなく、かつすり疵などによる外観不良缶を発生
することがないフィルムラミネート溶接缶用鋼板を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の課題
を実現するため鋭意研究した結果、従来着目されていな
かった溶接時のスパーク挙動が溶接不良およびすり疵の
発生に影響しており、このスパーク挙動を適正化するた
めには金属すずおよび合金化すずの量、さらには鋼板の
表面粗さを適正に制御する必要があることを突き止め
た。また、フィルムラミネート法におけるラミネート処
理条件が従来の印刷塗装焼付条件と異なるために、金属
すずおよび合金化すずの量がスパーク発生に不利な領域
内になり易いことを見出した。すなわち、本発明は、鋼
板の少なくとも一方の表面にすずめっき層が形成され、
その上層に有機樹脂フィルムからなるフィルムラミネー
ト層を有する溶接缶用鋼板であって、前記鋼板の平均表
面粗さRaが 0.2〜0.4 μmであり、前記すずめっき層に
は、金属すずが 200〜600 mg/m2 、かつ合金すずが 400
〜1500 mg/m2の範囲で含まれることを特徴とするフィル
ムラミネート溶接缶用鋼板である。
【0012】なお、上記発明において、平均表面粗さは
0.28〜0.38μm、金属すず量は250超〜500 mg/m2
満、また、合金すず量は 550超〜1100 mg/m2がとくに好
ましい範囲である。また、上記発明においては、とりわ
け、鋼板の表面に、Niの下地めっき層があり、その上層
にリフロー処理したすずめっき層、さらにその上層にク
ロメート層が形成された層構成が好適である。なお、本
発明における鋼板の平均表面粗さは、すずめっき直前に
おける素材表面の値をさす。したがって、Niめっきを行
った場合には、Niめっき後の状態(Niめっき後に拡散処
理を行った場合には拡散処理後の状態)での値である。
【0013】
【発明の実施の形態】はじめに、本発明を開発する端緒
となった研究結果について説明する。板厚0.150 mmの冷
間圧延鋼板に、Ni量80±20mg/m2 でNiめっき後、68
0 ℃の連続焼鈍によりNi拡散処理するか、Ni量200 mg
/m2 でNiめっき後、拡散処理することなく、調質圧延
機で表面粗さRaを約0.3 μm、調質度をT5に調整し
た。次いで、すず目付量1340mg/m2 で平坦に電析させ
た後、直ちに溶すず合金化熱処理(リフロー処理; 230
〜280 ℃に昇温後1秒以内に50〜80℃の水槽に投入)を
施した。さらにその上層に、金属Cr量8mg/m2 、酸化
Cr量6mg/m2 のめっきを行い、薄すず目付鋼板とし
た。このリフロー処理工程で、昇温から水冷までの時間
と到達温度を制御することにより、すずの合金化量と、
金属すず量を種々の範囲に調整した。このめっき鋼板
に、 (1)従来のシートコート法( 210℃×20分)で、ま
た (2)缶内面には無地のPETフィルムを、缶外面には
事前に印刷を施したPETフィルムをそれぞれラミネー
トし、加熱炉( 220℃×1分)で焼き付けたフィルムラ
ミネート法で、それぞれ溶接缶用鋼板に仕上げた。
【0014】これらの溶接缶用鋼板を、缶単位の大きさ
にスリット加工後、溶接速度(銅線送り速度)を 120m
/分とする超高速で連続製缶操業を行い、缶胴めっき面
への疵付性、溶接不良缶の発生状況を詳細に調べた。な
お、缶成形の方向は、鋼帯長手方向を円筒体の軸方向と
した (以下同じ) 。その結果、従来のシートコート法で
仕上げた缶用鋼板では、時間が経過しても溶接不良缶は
発生しなかった。一方、疵は印刷面が硬質のため目立ち
にくいが、よく観察すると、時間の経過とともに発生が
見られた。これに対し、フィルムラミネート法で仕上げ
たものの中には、連続操業時間の経過に従って、検査選
別器で溶接不良缶として自動的に除去されるものが発生
した。また、缶胴めっき面に疵が現れ、早いものでは数
時間で発生するものもあった。
【0015】発明者らは、疵付の発生原因を追求するた
めに、疵付缶の表面、溶接機とその周辺の状況を詳細に
観察した。その結果以下の事実を確認した。 ・フィルムラミネートラインをめっき無地面(めっき・
溶すず処理後ラミネート前の鋼板)で搬送される鋼板端
部に、すずの塊が付着していて、これが疵の原因と関係
があるらしいこと。 ・溶接不良缶として除去された缶を観察、分析・断面顕
微鏡観察等で詳細に調べると、大部分の場合、溶接の接
合ラップ部にすずの塊が挟まれていること。 (なお、少
数ながらすずに代わり鉄主体の塊が挟まれているものも
あった) ・溶接機の電極輪周辺を詳細に観察すると、Zバーやシ
リンダーの周辺に白い粉末が見られ、その中には除去缶
で確認されたものと同じ大きさの白い塊 (錫の塊) が付
着しており、この塊が何らかの理由で落下して、溶接接
合部に付着したときに溶接不良缶になること。なお、Z
バーとは、溶接する両端部を電極輪の位置まで誘導する
ための、断面が略Z字型のガイド棒で、その先端は電極
輪付近まで伸びている。
【0016】そこで、すず目付量とリフロー処理条件を
種々の範囲で変化させ、上記と同様のフィルムラミネー
ト法で製造した缶用鋼板について、溶接前の鋼板の金属
すず量と不良缶発生傾向との関係を調査した。その結果
を図1に示す。図1から、不良缶を発生させないために
は、金属すず量を 200〜600 mg/m2、好ましくは 250
超〜500 未満mg/m2 の範囲にすることが必要であるこ
とがわかる。200 mg/m2 以下の範囲ではACRの範囲
外(強溶接)となり十分な溶接部が得られなくなるとと
もに、ちりが多発した。一方、600 mg/m2 を超えると
溶接不良缶が多発する。以下に述べる調査により、溶接
不良缶発生の原因は、600 mg/m2 を超えるすず量にな
るとスパーク発生が著しくなり、スパークにより飛散し
た主にすずからなる粒子がZバー等に積もって塊まりと
なり、自重に耐えられなくなり、操業中の振動によって
溶接接合部に落下して付着する結果、溶接が不十分とな
ることによることを知見した。
【0017】缶用鋼板の抵抗溶接においては、スパー
ク、すなわち放電(短絡電流)による(溶けた)金属粒
子の飛散は従来から観測されているが、このように飛散
した粒子は赤い火の玉状をなしており、とくに溶接不良
やすり疵等の缶品質への影響はほとんど問題視されてい
ない(なお、スパークは、溶融した溶接金属が圧力によ
り飛散する散りとは異なる現象である)。しかし、本発
明者らは、上述したすずの白い塊も、スパークに起因す
るものではないかと推定し、高速度ビデオカメラで溶接
状況を撮影した。その結果、肉眼で観察できる赤い火の
玉状の粒子の他に、白い粉末状の粒子もスパークにより
飛散していることを突き止めた。これらの粒子を採取し
て分析した結果、赤い火の玉状の粒子は50〜300 μmφ
の中空球状で、鉄を主体としたものであり、一方白い粉
末状の粒子は、大きさが30μmφ以下の球状で、すずを
主体としたものであることが分かった。鉄主体の火の玉
状のスパーク粒子は飛散距離も大きく、多くは溶接機の
床に散在するため、電極輪周辺にはあまり付着せず、そ
のため従来あまり問題とされなかったのである。ただ
し、今回の調査では溶接不良の原因となっているものが
若干例見られ、必ずしも問題がないわけではないことが
分かった。これは、鉄スパーク中にも多少すずが混在し
ており、この付着性の高いすずのために鉄スパークも部
分的に電極輪周辺に付着するためと思われる。一方、す
ず主体の白い粉末状のスパーク粒子はZバー等、電極輪
周辺に多く付着しており、その結果、堆積して塊状にま
で成長しているものもあった。このような塊が振動や自
重により落下し、その落下位置が溶接予定部である場合
に溶接を阻害し、溶接不良をもたらすものであると考え
られた。
【0018】無地面(めっき後ラミネート前の鋼板)へ
の疵つきが金属すず量が多くなると増加した理由も、こ
れらのスパークによるものと考えられた。すなわち、従
来もスパーク粒子の一部が缶体にも付着していたと推測
されるが、塗装印刷後の鋼板(表面は比較的硬質)であ
るため、目立つような疵が発生しなかったものと考えら
れる。一方、ラミネート缶の場合は表面に軟質な金属す
ずが相当量存在するため、疵が深く、かつ太くなり、概
観上問題となるレベルのすり疵等となったものと思われ
る。なお、ラミネート缶の製造工程においては、フィル
ムラミネーター入側にて素材鋼板であるスリット板を板
送りするに際して超硬プレート上を搬送されることが多
く、これもラミネート缶において疵発生が顕著となる一
因と思われる。
【0019】このような原因による不良缶を発生させな
いためには、スパークの発生、とくにすず主体の白いス
パーク粒子の発生を少なくする必要がある。このために
は、既に述べたように金属すずの量の適正化が重要であ
るが、発明者らの調査により、さらに合金化すずの量お
よび表面粗さの適正化も必要であることがわかった。ま
ず、金属すずの量については、既に図1を示して述べた
ように、上限を600mg/m2以下とすることが必要であ
る。600 mg/m2以下では溶接不良・すり疵ともあまり発
生しないが、600 mg/m2を超えると、すず主体の白いス
パークが多量に発生し、溶接不良およびすり疵の発生が
増加する。また、表面の金属すず量の増加に伴う表面軟
質化によっても、すり疵が増加する。なお、図1に示す
如く、金属すずの量を500 mg/m2未満とすることによ
り、溶接不良およびすり疵の発生をほぼ零とすることが
できる。なお、金属すずの量は200 mg/m2以上は必要で
ある。金属すず量が200 mg/m2以上では溶接不良の発生
はかなり少ないが、200 mg/m2未満になると、電極輪と
の接触面積が小さく、溶接電流が局部集中するため、A
CRが小さくなり、溶接不良が多発する。とくに溶接発
熱での軟質化の程度が小さい場合には、電極輪とのなじ
みが悪くなり、接触面積が一層小さくなるので悪影響が
大きい。また、金属すず量が少なすぎると、溶接発熱の
うち缶体自体が持ち去る熱量が少なくなり、溶接機が高
温となり、電気抵抗(固有抵抗)が大きくなるため、こ
の点からも溶接性は低下する。なお、金属すず量を250
mg/m2超えとすることにより、溶接不良の発生はほぼ零
となる。よって、金属すずの量は200 mg/m2〜600 mg/
m2の範囲とし、好ましい上限は500 mg/m2未満、また好
ましい下限は250 mg/m2超えとする。
【0020】なお、図1において、ACR要因の溶接不
良の「多い」は10%程度、「少ない」は1%程度、「か
なり少ない」は 0.2%程度の発生を指し、「無し」は発
生率が 0.1%を下回ることを指す。また、スパーク要因
の溶接不良はほぼ同等の経時効果評価で代用し、Zバー
等の手入れ(スパーク粒子除去)作業を必要とするまで
の操業時間について、「多い」は30分程度、「少ない」
は120 分程度、「かなり少ない」は240 分程度を指すも
のとし、「無し」は300 分を超える操業でも手入れを必
要としない程度とした。また、すり疵については、目視
で一見して疵が分かる程度に多いものを「多い」、多少
探すことで発見できる程度を「少ない」、肉眼では容易
に分からない程度以下のものを「無し」とした。
【0021】次に、合金すずの溶接性への影響につい
て、金属すずとの関係をまとめて図2に示す。◎、○、
△、×の評価基準は図1の場合と同様である。合金すず
は、金属すずほど敏感に影響しないものの、やはり多量
に存在するとすず含有スパークの発生が増加し、溶接不
良を発生させ易くする。このため、合金すずの量の上限
を1500mg/m2とする。1500mg/m2を超えて合金すずが存
在すると、スパーク起因の溶接不良が多発し、またすり
疵も発生し易くなる。なお、合金すずの量を1500mg/m2
以下とすると溶接不良はあまり発生しなくなり、1300mg
/m2以下でははとんど発生せず、1100mg/m2以下でほぼ
発生が零となる。一方、合金すず量が少なすぎる場合
は、ACR領域不足による溶接不良とスパークによる溶
接不良の間の金属すず量の好適範囲が狭まる傾向に有
り、やはり溶接不良が増加傾向にある。このため、合金
すず量の下限は400 mg/m2とする。なお、550mg/m2
えとすると、溶接不良の発生がほぼ零となり、とくに好
適である。なお、合金すず量が少ない場合に溶接不良が
発生し易くなる理由は、金属すずの場合と同様に溶接機
が高温となり電気抵抗が増大することが関係するものと
推測される。
【0022】めっき中の金属すずの量と合金すずの量を
上記の適性範囲に制御するには、すずめつき後のリフロ
ー処理の条件を主として調整すればよい。とくに、印刷
塗装処理に比べてラミネート処理は低温あるいは短時間
となることが多く、すずの合金化が進行しにくいことを
考慮し、塗装処理材に比べて金属すずを少なめに調整
し、ラミネート処理後に適正量が残るようにすることが
好ましい。よって、合金すずの量は400 〜1500mg/m2
範囲とし、好ましい上限は1300mg/m2、より好ましくは
1100mg/m2、また好ましい下限は550 mg/m2超えとす
る。
【0023】次に、表面粗さのスパーク発生への影響
を、図3に示す。スパークの「大」は30分程度、「中」
は180 分程度での手入れを要するレベルを指し、「小」
は300分を超える操業でも手入れを必要としない程度と
した。表面粗さ(板面粗度)が0.2 μm未満の場合、す
ず主体の白いスパークが多発している。これは、低粗度
では鋼板表面積が小さくなるために相対的に金属すずの
被覆面積が増大し、すずのスパークが発生し易くなるも
のと考えられる。また、表面粗さが小さくなると、相対
的に疵が目立つため、すり疵の発生も増加する。このた
め、表面粗さは0.2 μm以上とする必要がある。なお、
表面粗さを0.2μm以上とすることによりスパークの発
生はかなり低減されるが、0.28μm以上とすると溶接不
良及びすり疵への影響がほとんど観測されないレベルま
で低減することができる。一方、表面粗さが0.4 μmを
超えると、より影響の少ない鉄スパークが主体ではある
ものの、スパークの発生が増大する。これは、接触面積
の低減により電気抵抗が増大するためと思われるが、鋼
板表面積が大きくなるために鉄の露出が生じている可能
性もある。いずれにせよ、表面粗さを 0.4μm以下とす
ることにより、スパークの発生はかなり低減される。な
お、0.38μm以下とすると溶接不良及びすり疵への影響
がほとんど観測されないレベルまで低減することができ
る。よって、表面粗さは 0.2〜0.4 μmの範囲とし、よ
り好ましい範囲は 2.8〜3.8 μmとする。
【0024】次に、この発明の缶用鋼板の製造方法の具
体例を説明する。缶用鋼板の素材としては、従来から缶
用鋼板の素材として使用されているC:0.1wt%以下の低
炭素アルミキルド連鋳鋼あるいは、C:0.004wt%以下の
極低炭素アルミキルド連鋳鋼を用いるのが好ましい。こ
の素材を常法により熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延して
製造した冷延鋼帯を、連続焼鈍した後、潤滑油を使用し
ないドライ調質圧延(全圧下率は3%以下)を2基のス
タンドで行う。調質圧延機の前段スタンドと後段スタン
ドの圧延ロールの表面粗さを適宜調整して調質圧延す
る。ドライ調質圧延は2基のスタンドのほか、1基のス
タンドで行うことも、場合によっては3基以上のスタン
ドで行うこともできる。圧延ロールの表面粗さの形成法
は、砥石で研磨する方法、ロール表面を研磨した後に微
細な超硬質な鋼粉を高速でロールに噴射する方法、放電
ダル加工による方法、レーザーダル加工による方法等、
いずれの方式でもよい。
【0025】本発明の缶用鋼板を製造するに当たり、よ
り一層良好な溶接性を具備させるためには、すずめっき
層のすずが島状に分布したものとすることが望ましい。
このような分布を達成するためには、すずめっきの前に
おけるめっき素材の下地処理として、Niめっきを行い、
続いてNi拡散処理を施し、さらにすずめっき後にリフロ
ー処理することが必要となる。また、耐食性の一層改善
をはかるため、上記リフロー処理を行ったすずめっき層
の上層にクロメート処理を施すことも望ましい。すなわ
ち、本発明の層構成は、鋼板の表面に、Niの下地めっき
CAL拡散層があり、その上層にリフロー処理したすず
めっき層、さらにその上層に金属Crと酸化Crからなるク
ロメート層が形成されたものがとくに好適である。上述
したように、すずめっき工程の前に、Niめっきによる下
地処理を行った場合、本発明でいう鋼板の平均表面粗さ
は、すずめっき直前の状態、すなわちNiめっき後(Niめ
っき後に拡散処理を行った場合には拡散処理後)に測定
される平均表面粗さの値をさす。
【0026】
【実施例】次に、この本発明を実施例に基づいて、具体
的に説明する。缶用鋼板として一般的に使用されている
低炭素アルミキルド連鋳鋼または極低炭素アルミキルド
連鋳鋼を素材とし、この素材を、熱間圧延(仕上げ温度
900±30℃)し、塩酸酸洗後、冷間圧延して各種板厚の
冷延鋼帯とし、一部は連続焼鈍ライン入側でNiめっき量
が片面当たり20〜500 mg/m2 、Ni/(Ni+Fe)の重量
比が0.01〜0.30、Ni+Fe合金層の厚みが10〜4000Åの範
囲のNiめっきを施し、連続焼鈍加熱炉および均熱炉で拡
散処理を行った。焼鈍の熱サイクルは680 〜760 ℃×10
秒、雰囲気はHNXガス雰囲気(10%H2 +90%N2
とした。他の一部は、すずめっきライン入側でNiめっき
を施し、拡散処理を施さなかった。
【0027】これらの下地処理鋼板を、表面粗さをRa:
0.2 〜0.6 μmのワークロールによる調質圧延(圧延油
なし)によって、Ra:0.1 〜0.6 μmの表面粗さに調整
した。これらの鋼板に、全すず量が770 〜2100mg/m2
の範囲でめっきし、リフロー処理の温度と時間を操作し
て、合金すず量を変化させた。その際、フラックスを使
って、金属すずの形状を凸状のものも作った。引き続
き、金属Cr量が1〜30mg/m2 の範囲、酸化Cr量が1〜
30mg/m2 の範囲でクロメート処理を行った。次に、ラ
ミネート処理をした。ラミネートの処理条件は、PET
フィルムをラミネート後、すずの融点より低温(190 〜
230 ℃)で1分以下の加熱とした。なお、缶外面用のフ
ィルムには事前に印刷を施し、内面用には無地のままラ
ミネートを行った。
【0028】Niめっき、すずめっきに用いた各めっき
浴、リフローおよびクロメート処理の各条件は以下のと
おりである。
【0029】得られた供試材から、分析サンプルを採取
し、全すず量;蛍光X線法、金属すず量;電解剥離法、
合金すず量=全すず量−金属すず量、Ni量;蛍光X線
法、金属Cr量;電解剥離法、全Cr量;蛍光X線法、酸化
Cr量=全Cr量−金属Cr量の各方法により求めた。また、
ラミネートラインでの無地素材表面への疵付を調査し評
価した。さらに、銅ワイヤー型・電気抵抗加熱シーム溶
接機(商用機)を用いて下記条件でn数1000個の溶接を
行い、溶接部へのスパーク粒子の落下、付着による溶接
不良缶の発生状況を調査するとともに、溶接後に190 g
飲料缶胴について2段ネックイン加工→フランジ加工後
の割れ発生状況を調査し、高速溶接性を評価した。ま
た、散りが発生しない上限電流値とピール溶接強度(溶
接部の一端に切り込みを入れ、溶接部を缶胴から引き剥
がすピールテストにより、溶接部の全長が引きちぎれる
ものが強度が十分と判定、引き剥がしの途中で接合面が
剥離する場合を強度不十分と判定する)が得られる下限
電流値の差を溶接可能範囲ACRとして求めた。この値
が5A以上、好ましくは6A以上あれば高速溶接の工程
化が可能であるとして判断し、溶接性を評価した。な
お、ピールテストにおいて、切り込みを入れる前に、缶
の内外面を肉眼観察してスパーク塊の付着による溶接不
良缶の評価および、疵付性も確認した。
【0030】これらの調査結果を総合的に評価して、疵
付性および溶接不良缶発生について評価した。庇付性
は、図1と同様の基準で無地面および缶内外面を評価
し、いずれかで「多い」判定となったものを×、「多
い」はないがいずれかで「少ない」判定となったものを
○、全て「無し」判定となったものを◎とした。また、
溶接不良缶については、明らかな溶接不良を有するも
の、フランジ加工に際し溶接部に割れ(剥離)が見られ
るもの、ピールテストにおいて溶接部のスパークによる
塊によると思われるピール不良が発生するもののいずれ
も×と評価した。また、品質上の問題は示さなかった
が、溶接部にスパークによる粒子の付着が明らかに認め
られるものは長時間使用を考慮し○とした。これらのい
ずれにも該当しないものは◎と評価した。
【0031】溶接条件 ・缶型; 190g飲料缶胴、 350g飲料缶胴 ・銅ワイヤー径;1.3 mmφ ・通板速度;120 m/分 ・溶接圧力;40kg ・周波数 ;700 Hz ・溶接ラップ代;0.5 mm
【0032】得られた研究結果を表1にまとめて示す。
この表から分かるように、発明例は板幅方向に巻いて円
筒にしたにもかかわらず、すべて疵付きが無く、スパー
ク塊などの付着等による溶接不良缶も無く、適正溶接電
流範囲も5A以上、好ましくは6A以上と大きく、板厚
が0.150 mmの高強度、極薄鋼板であるにもかかわらず
高速溶接を安定して行うことができる。これらの効果
は、めっき前の板面粗さと、溶接直前の金属すず量およ
び合金すず量を適切に設定したことにより得られたもの
である。これに対して、比較例のNo. 2、3では、残存
金属すず量が多いため溶接不良缶が発生し、すり疵も多
発した。No. 4、5は、逆に金属すず量が少な過ぎるた
め、散りの発生によるACRの狭域化が生じた。また、
No. 8、10では、板面粗さが小さいため、また、No.
6、9では逆に板面粗さが大きいため、疵付き性が悪
く、溶接不良缶およびすり疵の発生が見られた。また、
No. 1、7では、合金すずの量が過剰または不足し、い
ずれも溶接不良缶が発生した。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高速で溶接を行っても、すり疵、スパーク塊による不良
缶が発生せず、しかも、広い溶接可能範囲を有するフィ
ルムラミネート溶接缶用鋼板を提供できる。このような
効果は、より条件的に厳しい高強度、極薄鋼板の場合に
発揮され、3ピース缶の高品質、高生産性に大きく寄与
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】残存金属すず量が不良缶発生に及ぼす影響を示
すグラフである。
【図2】残存金属すず量と合金すず量と溶接性、耐錆性
などの特性との関係を示すグラフである。
【図3】鋼板の表面粗さが耐錆性および缶胴表面への疵
付に及ぼす影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久々湊 英雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 古主 泰子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 岡崎 達之 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 3E061 AA16 AB07 AB13 BA02 DA02 DB04 DB20 4K024 AA03 AA07 AB01 AB02 BA03 BB24 DA01 DB01 DB02 DB04 DB10 GA14 4K044 AA02 AB02 BA02 BA10 BA15 BB03 BC08 CA16 CA17 CA18 CA42 CA44 CA48 CA67

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の少なくとも一方の表面にすずめっき
    層が形成され、その上層に有機樹脂フィルムからなるフ
    ィルムラミネート層を有する溶接缶用鋼板であって、前
    記鋼板の平均表面粗さRaが 0.2〜0.4 μmであり、前記
    すずめっき層には、金属すずが 200〜600 mg/m2 、かつ
    合金すずが 400〜1500 mg/m2の範囲で含まれることを特
    徴とするフィルムラミネート溶接缶用鋼板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002339081A (ja) * 2001-05-18 2002-11-27 Kawasaki Steel Corp ポリエステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板
JP2006274324A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Jfe Steel Kk 溶接缶用錫めっき鋼板の製造方法と溶接缶用錫めっき鋼板の溶接特性判定方法
JP2010100866A (ja) * 2008-10-21 2010-05-06 Jfe Steel Corp 錫めっき鋼板およびその製造方法

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