JP2000255020A - オフセット印刷方法及び印刷装置 - Google Patents

オフセット印刷方法及び印刷装置

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JP2000255020A
JP2000255020A JP5871799A JP5871799A JP2000255020A JP 2000255020 A JP2000255020 A JP 2000255020A JP 5871799 A JP5871799 A JP 5871799A JP 5871799 A JP5871799 A JP 5871799A JP 2000255020 A JP2000255020 A JP 2000255020A
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plate
ink
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organic compound
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JP5871799A
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Takao Nakayama
隆雄 中山
Nobufumi Mori
信文 森
Takashi Nakamura
隆 中村
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルカリ性現像液を必要とせず、簡易に製版で
きて、かつ印刷面の画像部と非画像部の識別性が改良さ
れた実用レベルの印刷画質を有し、さらに印刷用原板を
反復して使用することも可能なオフセット印刷方法を提
供すること。 【解決手段】光の照射により、あるいは高温に加熱する
ことにより親水性となる特性を有する金属又は金属酸化
物の板を有機化合物と接触させて表面を疎水性化し、次
いで該表面を光で像様照射するか又は高温に像様加熱を
行って、照射部分又は加熱部分を親水性化することによ
って親水性領域と疎水性領域の像様分布を形成させ、疎
水性領域がインキを受け入れた印刷面を形成させて印刷
を行うオフセット印刷方法及び装置。また、印刷済みの
印刷版面上に残存するインクを洗浄除去して、再度その
印刷原版を用いる印刷原板の再使用方法及び装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般軽印刷分野、
とくにオフセット印刷、とりわけ簡易に印刷版を製作で
きる新規なオフセット印刷方法及び印刷原板に関するも
のである。その中でもとくに印刷用原板の反復再生使用
を可能にするオフセット印刷方法、その印刷用原板及び
それらによる印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷法は、数多くの印刷方法
の中でも印刷版の製作工程が簡単であるために、とくに
一般的に用いられてきており、現在の主要な印刷手段と
なっている。この印刷技術は、油と水の非混和性に基づ
いており、画像領域には油性材料つまりインキが、非画
像領域には湿し水が選択的に保持される。したがって印
刷される面と直接あるいはブランケットと称する中間体
を介して間接的に接触させると画像部のインキが転写さ
れて印刷が行われる。
【0003】オフセット印刷の主な方法は、アルミニウ
ム基板を支持体としてその上にジアゾ感光層を塗設した
PS板である。PS板においては、支持体であるアルミ
ニウム基板の表面に砂目立て、陽極酸化、その他の諸処
理を施して画像領域のインキ受容能と非画像部のインキ
反発性を強め、耐刷力を向上させ、印刷面の精細化を図
るなどを行い、その表面に印刷用画像を形成させる。し
たがってオフセット印刷は、簡易性に加えて耐刷力や印
刷面の高精細性などの特性も備わってきている。
【0004】高精細化によってオフセット印刷法の利用
が拡がって一般印刷分野に普及する一方において、オフ
セット印刷法の一層の簡易化が要望され、数多くの簡易
印刷方法が提案されている。
【0005】その代表例がAgfa-Gevaert社から市販され
たCopyrapid オフセット印刷版をはじめ、米国特許35
11656号、特開平7−56351号などでも開示さ
れている銀塩拡散転写法による印刷版作製に基づく印刷
方法であって、この方法は、1工程で転写画像を作るこ
とができて、かつその画像が親油性であるために、その
まま印刷版とすることができるので、簡易な印刷方法と
して実用されている。しかしながら、簡易とはいいなが
らこの方法もアルカリ現像液による拡散転写現像工程を
必要としている。現像液による現像工程を必要としな
い、しかも簡易な印刷方法が要望されている。
【0006】上記の背景から、画像露光を行ったのちの
アルカリ現像液による現像工程を省略した簡易印刷版の
製作方法の開発が行われてきた。現像工程を省略できる
ことから無処理刷版とも呼ばれるこの簡易印刷版の技術
分野では、これまでに主として像様露光による画像記
録面上の照射部の熱破壊による像形成、像様露光によ
る照射部の親油性化による画像形成、同じく照射部の
親油性化であるが、光モード硬化によるもの、ジアゾ
化合物の光分解による表面性質の変化、画像部のヒー
トモード溶融熱転写などの諸原理に基づく手段が提案さ
れている。
【0007】上記の簡易オフセット印刷方法として開示
されている技術には、米国特許第3,506,779
号、同第3,549,733号、同第3,574,65
7号、同第3,739,033号、同第3,832,9
48号、同第3,945,318号、同第3,962,
513号、同第3,964,389号、同第4,03
4,183号、同第4,081,572号、同第4,6
93,958号、同第731,317号、同第5,23
8,778号、同第5,353,705号、同第5,3
85,092号、同第5,395,729号等の米国特
許及び欧州特許第1068号などがある。
【0008】上記のように、製版に際して現像液を必要
としない簡易な印刷方法が数多く考案されているが、親
油性領域と親水性領域との差異が不十分であること、し
たがって印刷画像の画質が劣ること、解像力が劣り、鮮
鋭度の優れた印刷画面が得にくいこと、画像面の機械的
強度が不十分で傷がつきやすいこと、そのために保護膜
を設けるなどによって却って簡易性が損なわれること、
長時間の印刷に耐える耐久性が不十分なことなどのいず
れか一つ以上の欠点を伴っていて、単にアルカリ現像工
程を無くすだけでは実用性は伴わないことを示してい
る。印刷上必要とされる諸特性を具備し、かつ簡易に印
刷版を製作できる印刷版作成方法への強い要望は、上記
の数々の改良にも係わらず、いまだに十分に満たされて
いない。
【0009】上記した無処理型印刷版の技術開発の一つ
として、ジルコニアセラミックが光照射によって親水性
化することを利用した印刷版作製方法が特開平9−16
9098号で開示されている。しかし、ジルコニアの光
感度は不十分であり、かつ疎水性から親水性への光変換
効果が不十分のため画像部と非画像部の識別性が不足し
ており、無処理による簡易化の課題を解決するにいたっ
ていない。
【0010】また、現像液を必要としない簡易性の追求
とともに、コストの低減と廃棄物の軽減の2面から、使
用済みの印刷用原板を簡単に再生して再使用できる再生
技術の開発も要望されている。印刷用原板の再生使用に
は、その再生操作の簡易性が実用価値を左右するが、再
生操作の簡易化は難度の高い課題であり、従来殆ど検討
されきておらず、わずかに上記の特開平9−16909
8号でジルコニアセラミックという特殊な原板用材料に
ついて開示されているに過ぎない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
している課題は、上記事情に鑑みてアルカリ性現像液を
必要とせず、簡易に製版できて、かつ印刷面の画像部と
非画像部の識別性が改良された実用レベルの印刷画質を
有し、さらに印刷用原板を反復して使用することも可能
なオフセット印刷方法を提供することである。本発明の
第2の目的は、上記の印刷方法によって簡易な操作によ
って実用レベルの印刷品質の印刷を行い、かつ印刷原板
を繰り返して使用することのできる印刷装置を提供する
ことである。さらに、本発明では、ネガ型の製版方式で
あって、かつ上記の目的を満たした印刷方法を提供する
ことを意図している。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者たちは、上記の
目的を達成するために、鋭意検討の結果、ある種の金属
酸化物及び金属の表面は、熱の作用によって表面を疎水
性化できることを認め、この性質を版面上への印刷用画
像の形成に利用した印刷用画像形成方式に応用できるこ
とを見いだした。さらに、本発明者たちは、原板表面を
加熱して疎水性化する際に、有機化合物の存在下で加熱
すると疎水性化が促進することも見いだした。これらの
発見に基づく印刷方法は、本発明の上記の目的に対して
効果のある方法であるが、現像液を使用しない簡易性と
優れた印刷品質とを両立させることへの市場の強い要請
に十分答えるには、画像部と非画像部との識別性のさら
なる向上が必要であった。そのため、親水性の照射領域
と疎水性の非照射領域の識別性を向上させる手段をさら
に鋭意研究した結果、意外にも有機化合物の存在による
疎水性化促進作用は、熱による疎水性が発現する温度に
おけるよりは常温における方が大きく、かつ疎水性が発
現する温度での加熱効果とは独立であり、また加熱によ
る疎水性発現特性を持たない物質にも見られることを見
いだし、この発見によって現像液を必要とせず、簡易で
あって、しかも画像部と非画像部との識別性が十分であ
るという本発明の課題を満たすに至った。すなわち、本
発明は、下記の通りである。
【0013】1.光照射されるか、もしくは高温に加熱
することで表面が親水性となる特性を有する金属又は金
属酸化物の板を有機化合物と接触させて表面を疎水性化
し、次いで該表面を光で像様照射するか又は高温に像様
加熱して、照射部分又は加熱部分を親水性化することに
よって親水性領域と疎水性領域の像様分布を形成させ、
疎水性領域を印刷用インキに接触させることによって該
領域がインキを受け入れた印刷面を形成させて印刷を行
うことを特徴とするオフセット印刷方法。
【0014】2.印刷に使用した印刷版面上に残存する
インキを洗浄除去したのち、その印刷版を印刷用原板と
して請求項1に記載の操作を反復して印刷を行うことを
特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【0015】3.有機化合物気体含有雰囲気への暴露に
よって、あるいは液状有機化合物又は有機化合物含有液
体の塗布、噴霧又は浸漬によって、印刷用原板を有機化
合物と接触させることを特徴とする請求項1又は2に記
載のオフセット印刷方法。
【0016】4.印刷原板と接触させる有機化合物が、
温度20℃において少なくとも10mmHg以上の蒸気
圧を有する有機化合物であることを特徴とする請求項1
〜3にいずれか1項に記載のオフセット印刷方法。
【0017】5.印刷原板と接触させる有機化合物が、
温度20℃においてエタノール、アセトン、ベンゾール
及び2,2,4−トリメチルペンタンから選ばれる少な
くとも一つの有機溶剤に少なくとも5wt%溶解する有
機化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
か1項に記載のオフセット印刷方法。
【0018】6.印刷用原板の表面が、周期律表の第3
〜6周期に属していて、かつ0及びVII A族(ハロゲン
元素)族以外の元素から選ばれる金属及び該金属の酸化
物からなる群の少なくとも一つによって構成されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
オフセット印刷方法。
【0019】7.印刷用原板の表面が、TiO2 、RT
iO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、AB2-x x
3-x x 10(Aは水素原子又はアルカリ金属原子、B
はアルカリ土類金属原子又は鉛原子、Cは希土類原子、
Dは周期律表の5A族元素に属する金属原子、Eは同じ
く4A族元素に属する金属原子、xは0〜2の任意の数
値を表す)、SnO2 ,GeO2 ,SiO2 ,Bi2
3 ,Al2 3 ,ZnO及びFeOx (x=1/0〜
1.5)から選ばれる金属酸化物の少なくとも一つによ
って構成されていることを特徴とする請求項1〜6のい
ずれか1項に記載のオフセット印刷方法。
【0020】8.印刷用原板の表面が、アルミニウム、
鉄、銅、ゲルマニウム、ニッケル、亜鉛、錫及び珪素か
ら選ばれる金属又はその合金の少なくとも一つによって
構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
か1項に記載のオフセット印刷方法。
【0021】9.印刷原板を印刷機に装着された状態
で、請求項1に記載の方法によって親水性領域と疎水性
領域の像様分布を形成させ、疎水性領域がインキを受け
入れた印刷面を形成させて印刷を行うことを特徴とする
請求項1〜8に記載のオフセット印刷方法。
【0022】10.請求項1〜9のいずれか1項に記載
の方法に使用するオフセット印刷装置であって、光照射
されるか、もしくは高温に加熱することで表面が親水性
となる特性を有する金属又は金属酸化物の板を装着した
原板装着部と、該原板を有機化合物と接触させてその表
面を疎水性化する疎水性化処理手段と、該原板に光を像
様照射するか又は高温に加熱することによって、親水性
領域と疎水性領域の像様分布を形成させる描画手段と、
該疎水性領域に印刷用インキを供給して該領域がインキ
を受け入れた印刷面を形成させるインキ供給手段と,該
印刷面を印刷される面と接触させて印刷を行う印刷手段
と、を有することを特徴とするオフセット印刷装置。
【0023】本発明において、「光触媒能を有する物
質」とは、たとえば酸化チタンのように、その物質の表
面に特定波長の光を照射するとその表面が親水性に変化
するという光物性変化を行う物質である。また、このよ
うなこの光物性変化を引き起こす特定波長の光を「活性
光」と呼んでいる。一方、本発明者は、物質の中には、
その清浄な表面が程度の差はあっても本来疎水性である
もののほかに、表面が本来親水性であっても、「疎水性
発現温度」と呼んでいる温度に加熱すると親水性から疎
水性への変化を示すものがあることを見いだしている。
これらの2つのタイプの物質のなかには、さらに高温度
に加熱すると親水性となり、この親水性には履歴効果が
あって常温に戻しても表面の親水性がある程度持続する
性質を持つ物質があることを発見した。以後、加熱して
疎水性から親水性となり、その親水性に履歴効果がある
性質を持つ物質を「高温親水性発現特性を有する物質」
と呼び、親水性が現れる温度を「高温親水性発現温度」
と呼ぶ。
【0024】本発明は、光触媒能又は高温親水性発現特
性を有する物質は、室温で有機化合物と接触すると疎水
性となるというさらなる発見に基づいて行われたもので
あり、その要諦は、有機化合物と接触して疎水性化した
表面に親水性の像様領域を形成させて印刷版とすること
である。
【0025】その印刷方法は、第1段階としてまず上記
の特定の物質の表面に有機化合物を気相で曝すか、又は
液体又は溶液状態で浸漬や塗布などを行ってその表面を
疎水性とし、第2段階として光触媒能を有する物質の場
合は活性光を像様に照射して、また、高温親水性発現特
性物質の物質の場合は、熱源への接触又は光熱変換性の
輻射で像様に加熱して、その表面に親水性領域と疎水性
領域の像様の分布を形成させ、次いで第3段階として疎
水性領域に印刷用インキを、親水性領域に湿し水をそれ
ぞれ保持させてオフセット印刷を行う方法である。さら
に、印刷の終了後に使用済みの印刷版のインキを洗浄除
去すると、その原板は、上記した工程を繰り返して反復
して印刷に用いることができる。
【0026】金属や金属酸化物などの光触媒能又は高温
親水性発現特性を有する物質の表面は、活性光の照射又
は高温親水性発現温度での加熱によって、表面を疎水性
から親水性にすると、その表面は、室温下においても履
歴効果によって実用的に十分な時間その親水性が維持さ
れる。したがって、有機化合物との接触によって疎水性
化を十分に促進させた表面に効果的な親水性領域が実用
的な時間にわたって維持される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 〔印刷用原板材料〕はじめに、本発明に用いることので
きる印刷原板材料について説明する。本発明で用いる活
性光の照射によって親水性となる「光触媒能を有する物
質」は、必ずしも金属酸化物に限定されないが、印刷用
原板としての要件なども考慮すると、好ましい物質は金
属酸化物の中に多く見られる。また、この物質は、セラ
ミックや半導体の中にも見られる。光触媒能を有するセ
ラミックは、複合金属酸化物からなっており、光触媒能
を有する高温親水性発現型半導体の多くは、基底順位と
伝導体が近い真正半導体と不純物準位に依存する酸化バ
ナジウムや酸化銅などの仮性半導体との両方に見られ
る。これらセラミック及び半導体は、本発明が利用する
光触媒能の上では、他の光触媒能を有する金属酸化物と
同様であるので、それらを「光触媒能を有する金属酸化
物」に含めて以下に説明する。
【0028】光触媒能を有する好ましい物質は、周期律
表の第3〜6周期に属していて、かつ0及びVII A族
(ハロゲン元素)族以外の元素から選ばれる金属の酸化
物からなる群の少なくとも一つによって構成されてい
る。その中でもとくに、TiO2 、RTiO3 (Rはア
ルカリ土類金属原子)、AB2-x x 3-x x
10(Aは水素原子又はアルカリ金属原子、Bはアルカリ
土類金属原子又は鉛原子、Cは希土類原子、Dは周期律
表の5A族元素に属する金属原子、Eは同じく4A族元
素に属する金属原子、xは0〜2の任意の数値を表
す)、SnO2 ,Bi2 3 ,ZnO及びFe2 3
ら選ばれる金属酸化物が好ましい。
【0029】これらの金属酸化物は、いろいろの形態の
金属酸化物に見られ、単一の金属酸化物、複合酸化物の
いずれの場合もあり、また後者の場合は、固溶体、混
晶、多結晶体、非晶質固溶体、金属酸化物微結晶の混合
物のいずれからもこの特性を有するものが認められる。
【0030】つぎに、本発明に用いる高温で加熱すると
親水性となり、かつ履歴現象を示す「高温親水性発現特
性を有する物質」は、金属の中に多く見られるが、必ず
しも金属に限定されない。また、光触媒能と高温親水性
発現特性を併せて備えた金属酸化物もある。好ましい高
温親水性発現特性の金属及び金属酸化物は、周期律表の
第3〜6周期に属していて、かつ0及びVII A族(ハロ
ゲン元素)族以外の元素から選ばれる金属及びその金属
の酸化物からなる群の少なくとも一つによって構成され
ている。
【0031】熱応答特性を有する金属は、単一組成の金
属であっても、複合組成つまり合金であっても本発明に
使用することができる。合金の場合は、金属固溶体、金
属間化合物、金属微結晶混合物のいずれでもよい。ま
た、ステンレススチール(以下、SUSと記述する)に
見られるように、表面に不働体性の酸化皮膜が生成して
いてもよい。さらに陽極酸化のように、積極的に酸化皮
膜を形成する処理を施してもよい。また、単一種の金属
や合金の純度に関しては、特別な制約はなく、通常の一
般的な用途に用いられているものであれば、本発明に適
用できる。
【0032】好ましい金属は、アルミニウム、鉄、珪
素、ニッケル、亜鉛、ゲルマニウム、錫及び銅並びにそ
れらの合金である。とくに好ましい金属は、アルミニウ
ムである。アルミニウムを用いる場合は、後に説明する
原板用支持体であるアルミニウム板を直接使用すること
が好ましく、したがって、機械的な砂目立てや電解粗面
化などによって表面の親水性を強化したり、陽極酸化を
施したりしたアルミニウム板が用いられる。
【0033】高温親水性発現特性を有する金属の使用形
態としては、金属板をそのまま使用することもできる
が、また適当なプラスチックフィルムあるいは他の金属
板を支持体としてその上に電気メッキ、貼り合わせなど
によって設けてもよい。支持体上の金属板の厚みは、支
持体よりも薄い任意の厚みを用いることができるが、好
ましい厚みは、0.01mm〜0.4mm程度、より好まし
くは0.02mm〜0.2mmである。
【0034】また、好ましい高温親水性発現特性を有す
る金属酸化物は、TiO2 、RTiO3 (Rはアルカリ
土類金属原子)、AB2-x x 3-x x 10(A,
B,C,D、Eおよびxのそれぞれの記号の意味は前記
したとおりである)、SnO 2 ,SiO2 ,GeO2
Bi2 3 ,Al2 3 ,ZnO及びFeOx (x=
1.0〜1.5)から選ばれる金属酸化物である。
【0035】なお、本発明に用いることのできる光触媒
能又は高温親水性発現特性を有する金属及び金属酸化物
は、印刷版として使用する際に湿し水に対して過度に溶
解してはならないので、水に対する溶解度は、水100
ミリリットルについて10mg以下、好ましくは5mg
以下、より好ましくは1mg以下である。
【0036】光触媒能又は高温親水性発現特性、あるい
はその両方を有する個々の金属酸化物について説明す
る。金属酸化物の中でも、酸化チタンと酸化亜鉛は好ま
しく、これらについてまず説明する。これらは、いずれ
も本発明の印刷用原板材料として利用できる。特に酸化
チタンが感度(つまり表面性の光変化の敏感性)などの
点で好ましい。酸化チタンは、イルメナイトやチタンス
ラグの硫酸加熱焼成、あるいは加熱塩素化後酸素酸化な
ど既知の任意の方法で作られたものを使用できる。ある
いは後述するように金属チタンを用いて印刷版製作段階
で真空蒸着によって酸化物皮膜とする方法も用いること
ができる。
【0037】酸化チタン又は酸化亜鉛を含有する層を原
板の表面に設けるには、たとえば、酸化チタン微結晶
又は酸化亜鉛微結晶の分散物を印刷版の原板上に塗設す
る方法、塗設したのち焼成してバインダーを減量或い
は除去する方法、印刷原板上に蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、CVDなどの方法で酸化チ
タン(又は酸化亜鉛)膜を設ける方法、例えばチタニ
ウムブトキシドのようなチタン有機化合物を原板上に塗
布したのち、焼成酸化を施して酸化チタン層とする方法
など、既知の任意の方法を用いることができる。本発明
においては、真空蒸着又はスパッタリングによる酸化チ
タン層が特に好ましい。
【0038】上記又はの酸化チタン微結晶を塗設す
る方法には、具体的には無定形酸化チタン微結晶分散物
を塗布したのち、焼成してアナターゼまたはルチル型の
結晶酸化チタン層とする方法、酸化チタンと酸化シリコ
ンの混合分散物を塗布して表面層を形成させる方法、酸
化チタンとオルガノシロキサンなどとの混合物を塗布し
てシロキサン結合を介して支持体と結合した酸化チタン
層を得る方法、酸化物層の中に酸化物と共存するできる
ポリマーバインダーに分散して塗布したのち、焼成して
有機成分を除去する方法などがある。酸化物微粒子のバ
インダ−には、酸化チタン微粒子に対して分散性を有
し、かつ比較的低温で焼成除去が可能なポリマーを用い
ることができる。好ましいバインダーの例としては、ポ
リエチレンなどのポリアルキレン、ポリブタジエン、ポ
リアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポ
リ酢酸ビニル、ポリ蟻酸ビニル、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコ
ール、部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリスチレンな
どの疎水性バインダーが好ましく、それらの樹脂を混合
して使用してもよい。
【0039】上記の酸化チタンの真空蒸着を行うに
は、通常真空蒸着装置内の蒸着用加熱の熱源に金属チタ
ンを置き、真空度10-5〜10-8Torrで全ガス圧10-2
〜10 -5Torr、酸素文圧比が30〜90%になるように
しながら、チタン金属を蒸発させると、蒸着面には酸化
チタンの蒸着薄膜が形成される。また、スパッタリング
による場合は、例えばスパッタ装置内にチタン金属ター
ゲットをセットしてAr/O2 比が60/40(モル
比)となるようにガス圧を5×10-3Torrに調整したの
ち、RFパワー200Wを投入してスパッタリングを行
って酸化チタン薄膜を基板上に形成させる。
【0040】一方、本発明に酸化亜鉛層を使用する場
合、その酸化亜鉛層は既知の任意の方法で作ることがで
きる。とくに金属亜鉛板の表面を電解酸化して酸化皮膜
を形成させる方法と、真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング,CVDなどによって酸化亜鉛皮膜を
形成させる方法が好ましい。酸化亜鉛の蒸着膜は、上記
の酸化チタンの蒸着と同様に金属亜鉛を酸素ガス存在下
で蒸着して酸化膜を形成させる方法や、酸素のない状態
で亜鉛金属膜を形成させたのち、空気中で温度を約70
0°Cにあげて酸化させる方法を用いることができる。
そのほか、修酸亜鉛の塗布層やセレン化亜鉛の薄層を酸
化性気流中で加熱しても得られる。
【0041】蒸着膜の厚みは、酸化チタン層、酸化亜鉛
層いずれの場合も1〜100000オングストロ−ムが
よく、好ましくは10〜10000オングストロ−ムで
ある。さらに好ましくは3000オングストロ−ム以下
として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性化作
用を十分に発現させるには厚みが50オングストローム
以上あることが好都合である。
【0042】酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選ぶことによって得られることはよ
く知られている。その場合に無定形の酸化チタンやルチ
ル型酸化チタンが共存してもよいが、アナターゼ型結晶
が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上記の
理由から好ましい。酸化チタンあるいは酸化亜鉛を主成
分とする層における酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積
率は、それぞれ30〜100%であり、好ましくは50
%以上を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸
化物の連続層つまり実質的に100%であるのがよい。
しかしながら、表面の親水性/親油性変化特性は、酸化
亜鉛を電子写真感光層に用いるときのような著しい純度
による影響はないので、100%に近い純度のもの(例
えば98%)をさらに高純度化する必要はない。それ
は、本発明に利用される物性は、導電性とは関係ない膜
表面の親水性/親油性の性質変化特性、すなわち界面物
性の変化特性であることからも理解できることである。
【0043】しかしながら、熱の作用によって表面の親
水性が変化する性質を増進させるためにある種の金属を
ドーピングすることは有効な場合があり、この目的には
イオン化傾向が小さい金属のドーピングが適しており、
Pt,Pd,Au,Ag,Cu,Ni,Fe,Co又は
Crをドーピングするのが好ましい。また、これらの好
ましい金属を複数ドーピングしてもよい。ドーピングを
行った場合も、その注入量は酸化亜鉛や酸化チタン中の
金属成分に対して5モル%以下である。
【0044】一方、体積率が低いと層の表面の親水性/
親油性の熱応答挙動の敏感度が低下する。したがって、
層中の酸化物の体積率は、30%以上であることが望ま
しく、とくに実質的に100%であることが好ましい。
【0045】次に、本発明に用いることができる別の化
合物である一般式RTiO3 で示したチタン酸金属塩に
ついて記す。一般式RTiO3 において、Rはマグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリ
ウムなどの周期律表のアルカリ土類元素に属する金属原
子であり、とくにストロンチウムとバリウムが好まし
い。また、2種以上のアルカリ土類金属原子をその合計
が上記の式に化学量論的に整合する限り共存することが
できる。
【0046】次に、一般式AB2-x x 3-x x 10
で表される化合物について説明する。この一般式におい
て、Aは水素原子及びナトリウム、カリウム、ルビジウ
ム、セシウム、リチウムなどのアルカリ金属原子から選
ばれる1価原子で、その合計が上記の式に化学量論的に
整合する限りそれらの2種以上を共存してもよい。B
は、上記のRと同義のアルカリ土類金属原子又は鉛原子
であり、同様に化学量論的に整合する限り2種以上の原
子が共存してもよい。Cは希土類原子であり、好ましく
は、スカンジウム及びイットリウム並びにランタン、セ
リウム、プラセオジウム、ネオジウム、ホルミウム、ユ
ウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ツリウム、イ
ッテルビウム、ルテチウムなどのランタノイド系元素に
属する原子であり、また、その合計が上記の式に化学量
論的に整合する限りそれらの2種以上を共存してもよ
い。Dは周期律表の5A族元素から選ばれた一種以上
で、バナジウム、ニオブ、タンタルが挙げられる。ま
た、化学量論関係を満たす限り、2種以上の5A族の金
属原子が共存してもよい。Eは同じくチタン、ジルコニ
ウム、ハフニウムなどの4A族元素に属する金属原子で
あり、また、2種以上の4A族の金属原子が共存しても
よい。xは0〜2の任意の数値を表す。
【0047】RTiO3 、一般式AB2-x x 3-x
x 10で表される上記化合物、SnO2 ,Bi2 3
FeOx (x=1〜1.5)で示される酸化鉄系の化合
物のいずれの薄膜形成にも、酸化チタン及び酸化亜鉛を
設ける前記の方法を用いることがでる。すなわち、金
属酸化物の微粒子の分散物を印刷版の原板上に塗設する
方法、塗設したのち焼成してバインダーを減量或いは
除去する方法、印刷版の原板上に上記酸化物を各種の
真空薄膜法で膜形成する方法、例えば金属元素のアル
コレートのような有機化合物を原板上に塗布したのち、
加水分解させ、さらに焼成酸化を施して適当な厚みの金
属薄膜とする方法、上記金属元素の塩酸塩、硝酸塩な
どの水溶液を加熱スプレーする方法など、既知の任意の
方法を用いることができる。
【0048】例えば、上記、の塗設方法によってチ
タン酸バリウム微粒子を塗設するには、チタン酸バリウ
ムとシリコンの混合分散物を塗布して表面層を形成させ
る方法、チタン酸バリウムとオルガノポリシロキサンま
たはそのモノマ−との混合物を塗布する方法などがあ
る。また、酸化チタンの項で述べたように、酸化物層の
中に酸化物と共存できるポリマーバインダーに分散して
塗布した後、焼成して酸化物層とすることもできる。酸
化物微粒子のバインダ−として好ましいポリマーの例
は、酸化チタン層の項で述べたものと同じである。この
方法によって、チタン酸バリウム以外にチタン酸マグネ
シウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム
又はそれらの分子間化合物、混合物も同様に薄膜形成可
能である。
【0049】同様にして上記、の塗設方法によって
CsLa2 NbTi2 10微粒子を塗設することも可能
である。CsLa2 NbTi2 10微粒子は、その化学
量論に対応するCs2 CO3,La2 3,NbO5,TiO
2 を乳鉢で微粉砕して、白金るつぼに入れ、130°C
で5時間焼成し、それを冷却してから乳鉢に入れて数ミ
クロン以下の微粒子に粉砕する。このCsLa2 NbT
2 10微粒子を前記のチタン酸バリウムと同様にバイ
ンダーの中に分散し、塗布して薄膜を形成した。この方
法は、CsLa2 NbTi2 10型微粒子に限らず、H
Ca1.5 La0. 5 Nb2.5 Ti0.5 10,HLa2 Nb
Ti2 10など前述のAB2-x x 3- x x 10
(0≦x≦2)に適用される。
【0050】上記の真空薄膜形成法を用いた光触媒能
又は高温親水性発現特性を有する金属酸化物層の形成方
法としては、一般的にはスパッタリング法あるいは真空
薄膜形成法が用いられる。スパッタリング法では、あら
かじめ単一もしくは複合型の酸化物ターゲットを準備す
る。例えば、チタン酸バリウムターゲットを用いて蒸着
膜用の支持体の温度を450°C以上に保ち、アルゴン
/酸素混合雰囲気中でRFスパッタリングを行うことに
よりチタン酸バリウム結晶薄膜が得られる。結晶性の制
御には必要に応じてポストアニーリングを300〜90
0°Cで行えばよい。本方法は前述のRTiO3 (Rは
アルカリ土類金属原子)をはじめ他の前記した金属酸化
物にも、結晶制御に最適な基板温度を調整すれば同様の
考え方で薄膜形成が可能である。例えば酸化錫薄膜を設
ける場合には基板温度120°C、アルゴン/酸素比5
0/50の混合雰囲気中でRFスパッタリングを行うこ
とにより酸化錫結晶の本目的に沿う薄膜が得られる。
【0051】上記の金属アルコレートを用いる方法
も、バインダーを使用しないで目的の薄膜形成が可能な
方法である。チタン酸バリウムの薄膜を形成するにはバ
リウムエトキシドとチタニウムブトキシドの混合アルコ
ール溶液を表面にSiO2 を有するシリコン基板上に塗
布し、その表面を加水分解したのち、200°C以上に
加熱してチタン酸バリウムの薄膜を形成することが可能
である。本方式の方法も前述した他のRTiO3 (Rは
アルカリ土類金属原子)、AB2-x x 3-x x 10
(A,B,C,D,Eはそれぞれ前記の定義の内容を表
す)、SnO2 ,SiO2 ,Bi2 3 及びFeO
x (x=1〜1.5)で示される酸化鉄系の化合物の薄
膜形成に適用することができる。
【0052】上記によって金属酸化物薄膜を形成させ
る方法も、バインダーを含まない系の薄膜の形成が可能
である。SnO2 の薄膜を形成するにはSnCl4 の塩
酸水溶液を200°C以上に加熱した石英又は結晶性ガ
ラス表面に吹きつけて薄膜を生成することができる。本
方式も、SnO2 薄膜のほか,前述したRTiO3 (R
はアルカリ土類金属原子)、AB2-x x 3-x x
10(A,B,C,D,Eはそれぞれ前記の定義の内容を
表す)、Bi2 3 及びFeOx (x=1〜1.5)で
示される酸化鉄系の化合物のいずれの薄膜形成にも適用
することができる。
【0053】金属酸化物薄膜の厚みは、上記のいずれの
場合も1〜100000オングストロ−ムがよく、好ま
しくは10〜10000オングストロ−ムである。さら
に好ましくは3000オングストロ−ム以下として光干
渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性化作用を十分に
発現させるには厚みが50オングストローム以上あるこ
とが好都合である。
【0054】バインダーを使用した場合の上記光触媒能
又は高温親水性発現特性を有する金属酸化物の薄層にお
いて、金属酸化物の体積率は50〜100%であり、好
ましくは90%以上を酸化物が占めるのがよく、さらに
好ましくは酸化物の連続層つまり実質的に100%であ
るのがよい。
【0055】そのほか、ZnO,TiO2 ,SnO2
Al2 3 ,FeOx (x=1〜1.5)で示される酸
化鉄系の化合物は、それぞれの金属板の表面を陽極酸化
して得ることもできる。とくにZnO,TiO2 ,Al
2 3 は、陽極酸化によって容易に光触媒能又は高温親
水性発現特性或いはその両方をもつ酸化物皮膜として支
持体付きの形で得られる。陽極酸化の方法は、たとえ
ば、特開平6−35174号公報の3〜5頁に詳記され
ている方法、その中に引用されている方法、特開昭52
−37104号公報に記載の方法及び本発明の印刷原板
用のアルミニウム支持体の陽極酸化方法として後述する
方法など、公知の適当な方法や、それに準じた方法で行
われる。陽極酸化によって原板材料を作る場合には、そ
の酸化皮膜の厚みは、上記した厚みでもよいが、さらに
厚くてもよく、2.0ミクロン以下、好ましくは1.0
ミクロン以下で用いられる。
【0056】印刷原板の高温親水性発現特性を高めるに
は、断熱層を画像形成層の下層に設けることが有効であ
る。光熱変換による描画を行う場合には、その光に対し
て機能性表面が透明である場合には下層に光熱変換層を
設けてもよい。以上で本発明に用いる光触媒能又は高温
親水性発現特性あるいはその両方を有する物質、とくに
その中でも好ましい金属及び金属酸化物についての説明
を終わる。
【0057】〔印刷用原板の形態〕次に本発明に使用す
る印刷用原板の形態について述べる。本発明に係わる印
刷原板は、いろいろの形態と材料を用いることができ
る。例えば、光触媒能又は高温親水性発現型物質の薄層
を印刷機の版胴の基体表面に蒸着、浸漬あるいは塗布す
るなど上記した方法で直接設ける方法、支持体に担持さ
れた高温親水性発現型物質や、あるいは支持体を持たな
い上記物質の薄板を版胴の基体に巻き付けて印刷版とす
る方法などを用いることができる。また、勿論版胴上で
製版する上記形態以外に、一般的に行われているよう
に、製版を行った印刷版を輪転式あるいは平台式印刷機
に装着する形態を採ってもよい。
【0058】光触媒能又は高温親水性発現特性を有する
画像形成層が支持体上に設けられる場合、使用される支
持体は、高温親水性発現温度でも熱分解せず、寸度的に
も安定な板状物であり、アルミニウム板、SUS鋼板、
ニッケル板、銅板などの金属板が好ましく、特に可撓性
(フレキシブル)の金属板を用いることが好ましい。ま
た、ポリエステル類やセルローズエステル類などのフレ
キシブルなプラスチック支持体も用いることが出来る。
防水加工紙、ポリエチレン積層紙、含浸紙などの支持体
上に酸化物層を設けてもよく、それを印刷版として使用
してもよい。このような支持体は、光触媒能を有する物
質が支持体上に設けられる場合にも、好ましく使用され
る。
【0059】具体的には、紙、プラスチックシート(例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等のシ
ート)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅、ステンレス等)、プラスチックフィ
ルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セ
ルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネー
ト、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィ
ルム等が挙げられる。
【0060】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、ポリイミドフィルム、アルミニウム、又は印刷版上
で腐食しにくいSUS板であり、その中でも寸法安定性
がよく、比較的安価であるアルミニウム板と、製版工程
における加熱操作に対して安定性の高いポリイミドフィ
ルムは特に好ましい。
【0061】好適なポリイミドフィルムは、ピロメリッ
ト酸無水物とm−フェニレンジアミンを重合させたの
ち、環状イミド化したポリイミド樹脂フィルムであり、
このフィルムは市販されている(例えば、東レ・デュポ
ン社製の「カプトン」を挙げることができる)。
【0062】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしく
は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニ
ウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガ
ン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッ
ケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高
々10重量%以下である。本発明において特に好適なア
ルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板
を適宜に利用することができる。本発明で用いられる金
属支持体の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ま
しくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm
〜0.3mmであり、プラスチックや加工紙などその他の
支持体の厚みはおよそ0.1mm〜2.0mm程度、好まし
くは0.2mm〜1.0mmである。
【0063】アルミニウム支持体を用いる場合は、表面
を粗面化して用いることが好ましい。その場合、所望に
より、粗面化に先立って表面の圧延油を除去するため
の、例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶
液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表
面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例え
ば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解
粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方
法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨
法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの
公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な
粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または
直流により行うなど公知の方法を利用することができ
る。また、粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じ
てアルカリエッチング処理および中和処理された後、所
望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸
化処理が施される。陽極酸化の電解質の濃度は電解質の
種類によって適宜決められる。
【0064】陽極酸化の処理条件は、用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電
解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間
10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜
の量が1.0g/m2より少ないと、耐刷性が不十分であっ
たり、平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印
刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」
が生じ易くなる。
【0065】以上で本発明の印刷方法に使用する光触媒
能又は高温親水性発現特性あるいはその両方を有する物
質を使用したネガ型方式の印刷原板の構成について説明
したので、次に光触媒能又は高温親水性発現特性を有す
る物質の表面の有機化合物との接触による疎水性化につ
いて説明する。
【0066】〔全面疎水性化〕原板と接触することによ
って、その表面を疎水性化する効果をもつ好ましい有機
化合物は、温度400℃における蒸気圧が少なくとも1
mmHgで、かつ蒸気圧が1mmHgとなる温度におい
て安定な有機化合物である。つまり、この程度の蒸気圧
を有している有機化合物が原板に接触できる状態で存在
すると親水性と疎水性の識別性の向上が引き起こされ
る。より好ましくは、温度300℃における蒸気圧が少
なくとも1mmHgで、かつ蒸気圧が1mmHgとなる
温度において安定な有機化合物である。さらに好ましく
は、沸点が30〜400℃にあって、かつ30〜400
℃の温度範囲で安定な有機化合物である。その中でも好
ましい沸点範囲は50〜350°Cである。別の観点か
らは、20℃において少なくとも10mmHgの蒸気圧
を持つ有機化合物が好ましい。また、固体化合物におい
ては、エタノール、アセトン、ベンゾールあるいは2、
2、4−トリメチルペンタンのような有機溶媒に溶解す
るものが、溶液の状態で原板に適用できるので好まし
い。この温度範囲の沸点をもつ有機化合物は、具体的に
は脂肪族及び芳香族炭化水素、脂肪族及び芳香族カルボ
ン酸、脂肪族及び芳香族アルコール、脂肪族及び芳香族
エステル、脂肪族及び芳香族エーテル、有機アミン類、
有機珪素化合物、また、効果は大きくはないが印刷用イ
ンキに添加できることが知られている各種溶剤や可塑剤
類の中に見られる。
【0067】好ましい脂肪族炭化水素は、炭素数8〜3
0の、より好ましくは炭素数8〜20の脂肪族炭化水素
であり、好ましい芳香族炭化水素は、炭素数6〜40
の、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素で
ある。好ましい脂肪族アルコールは、炭素数2〜30
の、より好ましくは炭素数2〜18の脂肪族アルコール
であり、好ましい芳香族アルコールは、炭素数6〜30
の、より好ましくは炭素数6〜18の芳香族アルコール
である。好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数2〜24
の脂肪族カルボン酸であり、より好ましくは炭素数2〜
20の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数4〜12の脂肪
族ポリカルボン酸であり、また、好ましい芳香族カルボ
ン酸は、炭素数6〜30の、より好ましくは炭素数6〜
18の芳香族カルボン酸である。好ましい脂肪族エステ
ルは、炭素数2〜30の、より好ましくは炭素数2〜1
8の脂肪酸エステルであり、好ましい芳香族エステル
は、炭素数8〜30の、より好ましくは炭素数8〜18
の芳香族カルボン酸エステルである。好ましい脂肪族エ
ーテルは、炭素数8〜36の、より好ましくは炭素数8
〜18の芳香族エーテルであり、好ましい芳香族エーテ
ルは、炭素数7〜30の、より好ましくは炭素数7〜1
8の芳香族エーテルである。そのほか、炭素数7〜30
の、より好ましくは炭素数7〜18の脂肪族あるいは芳
香族アミドも用いることができる。
【0068】具体例としては、2,2,4−トリメチル
ペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、
n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチル
ヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオク
タンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシ
レン、クメン、ナフタレン、アントラセン、スチレンな
どの芳香族炭化水素;ドデシルアルコール、オクチルア
ルコール、n−オクタデシルアルコール、2−オクタノ
ール、ラウリルアルコールなどの1価アルコール;プロ
ピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコー
ル、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール;ベ
ンジルアルコール、4−ヒドロキシトルエン、フェネチ
ルアルコール、1−ナフトール、2−ナフトール、カテ
コール、フェノールなどの芳香族アルコール;酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン
酸、カプリン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪
族1価カルボン酸;しゅう酸、琥珀酸、アジピン酸、マ
レイン酸、グルタール酸などの多価脂肪族カルボン酸;
安息香酸、2−メチル安息香酸、4−メチル安息香酸な
どの芳香族カルボン酸;酢酸エチル、酢酸イソブチル、
酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸
エチル、酪酸メチル、アクリル酸メチル、しゅう酸ジメ
チル、琥珀酸ジメチル、クロトン酸メチルなどの脂肪族
エステル;安息香酸メチル、2−メチル安息香酸メチル
などの芳香族カルボン酸エステル;イミダゾール、トリ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、シクロヘキシ
ルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレンテ
トラミン、アニリン、オクチルアミン、アニリン、フェ
ネチルアミンなどの有機アミン;アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゾフェノンな
どのケトン類、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、
メトキシトルエン、ラウリルメチルエーテル、ステアリ
ルメチルエーテルなどのエーテル及びステアリルアミ
ド、ベンゾイルアミド、アセトアミドなどのアミド類が
挙げられる。
【0069】また、印刷用インキの成分であるアマニ
油、大豆油、けし油、サフラワー油などの油脂類、燐酸
トリブチル、燐酸トリクレシル、フタール酸ジブチル、
ラウリン酸ブチル、フタール酸ジオクチル、パラフィン
ワックスなどの可塑剤も挙げられる。
【0070】そのほか、沸点が前記の好ましい範囲にあ
るエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキ
サノン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソ
ルブアセテート、1,4−ジオキサン、ジメチルホルム
アミド、アクリロニトリルなどの有機溶剤も使用するこ
とができる。
【0071】好ましい有機珪素化合物は、ジメチルシリ
コーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどで
代表されるオルガノポリシロキサン化合物であり、とく
に重合度が12以下のオルガノポリシロキサン類であ
る。これらの好ましいオルガノポリシロキサンはシロキ
サン結合単位当たり1〜2個の有機基が結合しており、
その有機基は、炭素数が1〜18のアルキル基及びアル
コキシ基、炭素数が2〜18のアルケニル基及びアルキ
ニル基、炭素数が6〜18のアリール基、炭素数が7〜
18のアラルキル基、炭素数が5〜20の脂環式基であ
る。また、これらの有機置換基には、さらにハロゲン原
子、カルボキシル基、ヒドロキシ基が置換してもよい。
また、上記のアリール基、アラルキル基、脂環式基に
は、上記の炭素数の範囲でメチル基、エチル基又はプロ
ピル基などの低級アルキル基がさらに置換していてもよ
い。
【0072】本発明に使用できる好ましい有機珪素化合
物の具体例は、下記の化合物であるが、本発明はこれら
に限定されるものではない。好ましいポリオルガノシロ
キサン類としては、炭素数1〜5のアルキル基を有す
るジアルキルシロキサン基、炭素数1〜5のアルコキ
シ基を有するジアルコキシシロキサン基、炭素数1〜
5のアルコキシ基とフェニル基を有するアルコキシフェ
ニルシロキサン基及びエトキシメトキシシロキサン基
又はメトキシエトキシシロキサン基のうち、少なくとも
一つを繰り返し単位として含み、重合度が2〜12、よ
り好ましくは2〜10のポリオルガノシロキサンであ
る。また、その端末基は、炭素数1〜5のアルキル基、
アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のヒドロキアル
キル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基である。より好
ましい端末基は、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メ
トキシ基及びエトキシ基である。
【0073】その中でも好ましいシロキサン化合物は、
重合度が2〜10のジメチルポリシロキサン、重合度が
2〜10のジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキ
サン共重合物、重合度が2〜8のジメチルシロキサン−
ジフェニルシロキサン共重合物、重合度が2〜8のジメ
チルシロキサン−モノメチルシロキサン共重合物でこれ
らのポリシロキサン化合物の端末はトリメチルシラン基
である。そのほか、1,3−ビス(3−アミノプロピ
ル)テトラメチルジシロキサン、1,5−ビス(3−ア
ミノプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、1,3−
ジブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン、1,5−ジブチル−1,1,3,3,5,5−ヘキ
サエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘ
キサエチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、3−
(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,1,3,
3,5,5,5−ヘプタメチル−トリシロキサン、デカ
メチルテトラシロキサンなどが挙げられる。
【0074】特に好ましいシロキサン化合物として、市
販のいわゆるシリコーンオイルがあり、ジメチルシリコ
ーンオイル(市販品では、例えばシリコーンKF96
(信越化学工業(株)製)、メチルフェニルシリコーン
オイル(市販品では、例えばシリコーンKF50(信越
化学工業(株)製)、メチルハイドロジェンシリコーン
オイル(市販品では、例えばシリコーンKF99(信越
化学工業(株)製)が挙げられる。
【0075】そのほか、n−デシルトリメトキシシラ
ン、n−デシルトリ−t−ブトキシシラン、n−オクタ
デシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエト
キシシラン、ジメトキシジエトキシシランなどのシラン
化合物も挙げらることができる。
【0076】上記の有機化合物のうち、とくに好ましい
化合物は、シリコーンオイル、脂肪酸、そのグリセリン
エステル及びそのアミド、及び炭素数6以上の脂肪族ア
ルコールである。また、別の分類観点からは、有機概念
図における有機性が80〜1200(ポリマーの場合は
繰り返し単位当たり)、好ましくは100〜600(ポ
リマーの場合は繰り返し単位当たり)であり、その有機
性/無機性の比が0.8〜無限大(すなわち無機性が
0)、好ましくは1.0〜10の範囲に入る有機化合物
である。有機概念図については、田中善生著「有機概念
図」(三共出版社、1983年初版刊行)の1〜31頁
に詳記されている。有機概念図上の上記の範囲の有機化
合物が疎水性化を促進する作用を持つ理由は不明である
が、この範囲の化合物は中程度の極性を有し、かつ有機
性が比較的大きい化合物であり、その適度の極性が、原
板への吸着力をもたらし、その比較的大きな有機性が原
板表面の吸着面を疎水性にするものと推定している。
【0077】有機化合物を原板表面に接触させる好まし
い方法は、低沸点の有機化合物の場合は、蒸気曝気用の
外套を設けてその中に化合物充填容器を置いて、有機化
合物の蒸気を外套内に存在させて、外套内の原板が蒸気
に曝される状態にするのがよい。また、有機化合物を含
浸させた紙、布、ゼオライト、珪草土などを外套内に挿
入するのもよい。
【0078】有機化合物が液体の場合は、上記の外套の
中に、有機化合物の液体を塗布、噴霧又は浸漬する装置
を設けて原板表面に有機化合物を直接接触させる。ま
た、固体有機化合物の場合は、適当な有機溶剤、たとえ
ばメタノール、アセトン、ベンゾール、2、2、4−ト
リメチルペンタン又は前記した本発明に好ましい有機化
合物から液体のものを選んでその中に溶解して溶液とし
て上記した方法で接触させてもよい。以上で疎水性化の
方法及び操作の説明を終わり、このようにして疎水性化
した表面への活性光の像様照射又は高温親水性発現温度
での像様加熱による印刷用画像の付与について説明す
る。
【0079】〔像様親水性化〕印刷用原板が光触媒能を
有する材料で作られている場合は、その表面に活性光を
像様に照射して親水性領域を形成させる。その光源は、
光触媒能を有する物質の感光域の波長の光、すなわち光
吸収域に相当する波長の光を発する光源である。例えば
光触媒能を有する物質が酸化チタンの場合では、アナタ
ーゼ型が387nm以下,ルチル型が413nm以下、
酸化亜鉛は387nm以下に、その他の多くの金属酸化
物の場合も250〜390nmの紫外部に感光域を有し
ており、また、酸化亜鉛の場合は、固有吸収波長域(紫
外線領域)のほかに、既知の方法で分光増感を行って適
用できる活性光の波長領域を拡げることもでき、したが
って使用される光源は、これらの波長領域の光を発する
光源であり、主として紫外線を発する光源といえる。活
性光の光触媒作用によって親水性領域の像様の分布を形
成させる手段には、面露光方式、走査方式のいずれでも
よい。
【0080】面露光方式の場合は、一様な光をマスク画
像(例えば印刷原稿を現像したリスフィルム)を通して
原板上に照射して、照射領域の表面を親水性化する方式
である。支持体が透明である場合は、支持体の裏側から
支持体とマスク画像を通して露光することもできる。面
露光方式で活性光の照射を行うのに適した光源は、水銀
灯、タングステンハロゲンランプ、その他のメタルハラ
イドランプ、キセノン放電灯などである。その露光時間
は、上記の露光強度が得られるように露光照度を勘案し
て決定される。
【0081】好ましい照射光の強さは、光触媒型金属酸
化物の画像形成層の性質によって異なり、また活性光の
波長、分光分布及び光触媒能を有する高温親水性発現型
物質の光吸収率によっても異なるが、通常はマスク画像
(例えば現像済みリスフィルム)で変調する前の面露光
強度が0.05〜100joule/cm2 ,好ましく
は0.05〜10joule/cm2 ,より好ましくは
0.05〜5joule/cm2 である。また、光触媒
反応には相反則が成立することが多く、例えば10mW
/cm2で100秒の露光を行っても、1W/cm2
1秒の露光を行っても、同じ効果が得られる場合も多
く、このような場合には、活性光を発光する光源の選択
の幅は広くなる。
【0082】後者、すなわち走査式露光の場合には、画
像マスクを使用する代わりにレーザービームを画像で電
気的に変調して原板上を走査する方式が行われる。レー
ザー光源は、活性光のビームを発振する公知のレーザー
を用いることができる。例えば、励起光として発振波長
を325nmに有するヘリウムカドミウムレーザー、発
振波長を351.1〜363.8nmに有する水冷アル
ゴンレーザー、330〜440nmに有する硫化亜鉛/
カドミウムレーザーなどを用いることができる。さら
に、紫外線レーザー、近紫外線レーザー発振が確認され
ている発振波長を360〜440nmに有する窒化ガリ
ウム系のInGaN系量子井戸半導体レーザー、及び発
振波長を360〜430nmに有する導波路MgO−L
iNb03反転ドメイン波長変換型のレーザーを使用す
ることもできる。レーザー出力が0.1〜300Wのレ
ーザーで照射をすることができる。また、パルスレーザ
ーを用いる場合には、ピーク出力が1000W、好まし
くは2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。支
持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通
して露光することもできる。
【0083】一方、印刷用原板が高温親水性発現特性を
有する材料で作られている場合には、疎水性化した表面
を高温親水性発現温度で像様加熱して親水性領域を付与
する。その加熱手段には、一つには赤外線を放射する固
体レーザー、又は赤外線域や可視域の光を放射する半導
体レーザー、赤外線灯、キセノン放電灯、大容量コンデ
ンサーからの放電によってフラッシュ光を発する光・熱
変換描画機構などの光加熱方式と、他の一つには熱融解
型及び昇華型感熱色素転写による熱記録ヘッド等の接触
加熱方式が用いられる。加熱温度を高温親水性発現温度
の範囲に調節するには、加熱に用いる光の強度を制御し
たり、あるいは熱記録用の加熱ヘッドへの供給電力を制
御するなどの方法が取られる。
【0084】光加熱方式の像様加熱は、面露光方式、走
査方式のいずれでもよい。前者の場合は、赤外線照射方
式や、キセノン放電灯の高照度の短時間光をマスク画像
を通して原板上に照射して光・熱変換によって熱を発生
させる方式である。赤外線灯などの面露光光源を使用す
る場合には、その照度によっても好ましい露光量は変化
するが、通常は、印刷用画像で変調する前の面露光強度
が0.1〜10J/cm2の範囲であることが好ましく、
0.3〜1J/cm2 の範囲であることがより好ましい。支
持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体とマ
スク画像を通して露光することもできる。その露光時間
は、0.01μsec〜10msec、好ましくは0.
1μsec〜1msecの照射で上記の露光強度が得ら
れるように露光照度を選択するのが好ましい。照射時間
が長い場合には、熱エネルギーの生成速度と生成した熱
エネルギーの拡散速度の競争関係から露光強度を増加さ
せる必要が生じる。
【0085】後者、すなわち走査方式の場合には、赤外
線レーザー光源を使用して、レーザービームを画像で変
調して原板上を走査する方式が行われる。レーザー光源
の例として、近赤外線、赤外線の成分の多い半導体レー
ザー、ガスレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、Y
AGレーザーを挙げることができる。レーザー出力が
0.1〜300Wのレーザーで照射をすることができ
る。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピーク出
力が1000W、好ましくは2000Wのレーザーを照
射するのが好ましい。支持体が透明である場合は、支持
体の裏側から支持体を通して露光することもできる。光
で加熱する場合は、例えば印刷原板に光熱変換層を設け
て、その層に光エネルギーを吸収させ、熱を発生させる
ことができる。あるいは、高温親水性発現型物質それ自
体が光を吸収して自ら発熱することにより加熱すること
もできる。
【0086】接触加熱方式では、公知の任意の接触型熱
記録装置、例えば熱融解型及び昇華型感熱色素転写法の
熱記録ヘッドが用いられる。それらは、単一の熱記録素
子を二次元に駆動させる方式、熱記録素子を線状に配列
したアレイを直角方向に走査して描画する方式あるいは
二次元配列した記録素子を用いる高速描画方式など公知
の熱記録素子を用いることができる。なお、本明細書で
感熱記録と加熱記録は、同義でともに像様記録に関して
用いている。
【0087】以上で本発明における印刷原板の疎水性及
び像様親水性発現挙動をよびそれらを利用した印刷用画
像形成方法について説明した。つぎにこの原板を装着し
て行う印刷方法および装置について説明する。
【0088】〔印刷〕印刷用原板は、その表面にネガモ
ードの親油性・親水性の画像状分布を形成させたのち、
現像処理することなく、そのままオフセット印刷工程に
送ることができる。従って通常の公知の平版印刷法に比
較して簡易性を中心に多くの利点を有する。すなわち上
記したようにアルカリ現像液による化学処理が不要であ
り、それに伴うワイピング、ブラッシングの操作も不要
であり、さらに現像廃液の排出による環境負荷も伴わな
い。また、上記したような簡易な画像記録手段から容易
に印刷を行うことも利点である。
【0089】平版印刷版の非画像部は、十分に親水性化
しているが、所望により、水洗水、界面活性剤等を含有
するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂
化液で後処理してもよい。本発明の画像記録材料を印刷
用版材として使用する場合の後処理としては、これらの
処理を種々組み合わせて用いることができる。その方法
としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿に
て、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバッ
ト中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーター
による塗布などが適用される。また、塗布した後でスキ
ージー、あるいは、スキージーローラーで、その塗布量
を均一にすることは、より好ましい結果を与える。整面
液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥重量)
が適当である。この様な処理によって得られた平版印刷
版は、オフセット印刷機等にかけられ、あるいは印刷機
上で製版され、多数枚の印刷に用いられる。
【0090】次に印刷を終えた印刷版の再生工程につい
て記す。 〔印刷用原板の再生〕印刷終了後の印刷版は疎水性の石
油系溶剤を用いて付着しているインキを洗い落とす。溶
剤としては市販の印刷用インキ溶解液として芳香族炭化
水素、例えばケロシン、アイソパ−などがあり、そのほ
かベンゾール、トルオール、キシロール、アセトン、メ
チルエチルケトン及びそれらの混合溶剤を用いてもよ
い。画像物質が溶解しない場合には、布などを用いて軽
く拭き取る。また、トルエン/ダイクリーンの1/1混
合溶媒を用いるとよいこともある。
【0091】この過程でも、有機化合物が接触して原板
表面の疎水性化は行われるが、必ずしも十分ではないの
で、疎水性化にはそれに適した有機溶剤を選択して行う
のが好ましい。疎水性化には、有機概念図上の前記した
範囲にある適当な大きさの有機性と有機性/無機性比と
を具備した化合物がよい。インキ洗浄剤に含まれる溶剤
は、アセトンやメタノールのようにそれ自体の無機性の
比率が高すぎて、水への溶解性が高いので、疎水性を発
現しにくい溶剤や、逆にトルオールやケロシンなどのよ
うに有機性の比率が高すぎて、かつ極性が低い(無機性
が低い)溶剤が用いられていて、疎水性化の目的には必
ずしも適切ではない。
【0092】インキを洗浄除去した印刷版は、前記した
方法で疎水性化を行い、版面全体にわたって均一に疎水
性を回復する。この疎水性化操作は、印刷インキを洗浄
除去してから次の製版作業において活性光の像様照射を
行うまでの間の任意の時期に行ってもよいが、その原板
を次の製版工程に再使用する際に行うのが原板の保管中
の履歴の影響を排除できる点で好ましい。
【0093】本発明に係わる印刷原板の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく反面の除去不能な汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0094】〔装置の態様〕本発明における印刷原板の
構成材料及び製版操作について説明した。次にこの原板
を装着して印刷を行う方法及び装置を、図によって説明
する。光触媒能を有する熱応答型物質を表面にもつ印刷
用原板は、版胴の構成部材として固定されていてもよ
く、また着脱自在であってもよい。以下図1以降の説明
では、本発明の簡易性を顕著に発揮する前者を例に、す
なわち版胴上に印刷原板が固定されている例について説
明する。
【0095】図1は、本発明の第1の実施形態の一例に
よるオフセット印刷装置の構成を示す図である。図1に
示すように本発明の一つの実施形態によるオフセット印
刷装置は、酸化チタンや酸化亜鉛など前記した光触媒能
を有する熱応答型物質を表面に有する版胴1と、版胴1
に対して有機化合物による疎水性化処理を行って原板表
面を全面疎水性化する疎水性化処理部2と、全面疎水性
化された版胴1に対して活性光の像様照射を行って親水
性・疎水性の像様分布を形成する活性光照射部5と、そ
の版胴1にインキおよび湿し水を供給するインキ・湿し
水供給部3と、印刷終了後に版胴1に残存するインキを
除去するインキ洗浄部4と、版胴1に保持されたインキ
を用紙に転写するための中間体としてのブランケット6
と、ブランケット6とともに給送された用紙を保持する
圧胴7とを備え、これらの部材が本体8内に収容されて
なるものである。なお、本体8には、後述するように印
刷原稿を焼き付けて現像済みのリスフィルム9を供給す
るためのフィルム供給部10が設けられている。
【0096】図2は、疎水性化処理部2の態様の一つを
示したもので、液状有機化合物又は有機化合物を溶解し
た溶液を版胴1に巻き付けられた原板表面に塗布して有
機化合物の塗膜を形成させるように組み立てられた疎水
性化処理部である。処理部の外套40の内部には、有機
化合物液体27を満たした容器41、その容器内に充填
された液体に下部が浸されて液体を付着させて取り出す
ディップローラー42、ディップローラーに対向して取
り出された液体を適量だけ受け入れるリバースローラー
43、リバースローラー43に付着している液体を転着
して、それを原板表面に転写塗布するコーティングロー
ラー44から成っている。各ローラーの表面は、液体を
適量保持できるように吸液性の被覆が成されている。
【0097】図3は、疎水性化処理部2の別の態様を示
したもので、有機化合物の蒸気を発生させて、その蒸気
を含んだ雰囲気中で印刷用原板表面を疎水性化を促進で
きるように、有機化合物蒸気供給手段を設けた疎水性化
処理部である。
【0098】図3において、有機化合物蒸気供給手段2
9では、空気取り入れ口24より空気が取り入れられ
て、内径約30mmの分液ろ斗タイプの硝子管を横向き
に配置した蒸発室26にコック25を経て導かれる。蒸
発室には有機化合物27(斜線で示す)が容積率が例え
ば50%になるように満たされていて、有機化合物27
の内部及び表面を空気が通過する間に必要量の有機化合
物の蒸発気体を取り込んでから、版胴1上の印刷用原板
表面に導かれ、この空気・蒸発気体の混合雰囲気中で描
画が行われる構造となっている。
【0099】疎水性化処理部2の外套の内部は、蒸発室
26、蒸発を促進するために必要であれば使用するため
の電熱ヒーター30及び蒸発室26と外套内部空間にそ
れぞれ配した温度センサー33、32と外套内部温度を
室温付近の適温に制御する温度制御部34が配されてい
る。
【0100】有機化合物27の蒸気の取り込み量は、印
刷用原板の疎水性を強化できる量であり、その量になる
ように温度制御部34によって蒸発室26の温度が設定
される。蒸発室の温度は、例えば、揮発し易い低沸点の
有機化合物(例えば、メチルエチルケトンやエチルエー
テル)の場合は、蒸発室の下部に有機化合物27を満た
すだけで加熱する必要はないが、それでは不十分の沸点
のやや高い化合物(例えば、ヘキシルアルコール)の場
合には、空隙率の大きい硅草土、シリカ粒子、沸石粒子
などを有機化合物27とともに蒸発室内に入れて取り入
れた空気と有機化合物との接触度を高める措置が取られ
る。また、有機化合物27がナフタレンのような昇華性
の固形物の場合は、蒸発室26に適当な空隙率で充填さ
れる。さらに沸点が高い有機化合物の場合には、温度制
御部34、電熱ヒーター30及び温度センサー33によ
って蒸発室26内部の温度を蒸発に適した温度に調節で
きる機構となっている。
【0101】なお、図3には示してないが、当然のこと
ながら蒸気を含んだ空気は、屋外排気される。また、必
要があれば、排気の前に空気浄化も行われる。疎水性化
処理部2において表面の疎水性化が行われた原板には、
活性光照射部5で活性光の像様照射が行われる。
【0102】図1に戻って、本形態では活性光照射部5
に光源として水銀灯を用いているが、キセノン放電灯、
高照度ハロゲン・タングステンランプなどの紫外線成分
を含む他の光源であってもよい。版胴の回転方向に対し
て直角方向に配したスリットによって、版胴の回転に伴
って版胴表面に設けた画像マスクすなわちリスフィルム
9を通してスリット光による全面走査露光が施される。
スリットの幅は必ずしも狭い必要はなく、活性光照射部
5を通過中に原板表面に像様の親水性・疎水性分布が形
成されるように照度とスリット幅及び版胴の回転速度が
きめられる。スリットの代わりに版胴の幅に合わせた照
射幅をもついわゆるがんどう型のランプハウスを用いて
もよい。
【0103】活性光照射部5の別の態様としては、図1
に示したフィルム供給部10から供給される現像済みリ
スフィルム9を画像マスクとして用いる代わりに、画像
情報を担持したレーザー光を活性光として照射する方式
も用いられる。図4は、その例で画像情報を担持したレ
ーザー光による描画の例の構成例である。活性光照射部
17(図1では、5)は、レーザー光を出射して版胴1
に照射するレーザー光源18と、編集・レイアウトW/
S20において印刷すべき画像から信号化されて記録部
に入力される画像信号Sに基づいて、レーザー光源18
を駆動してレーザー光を変調させて版胴1の表面に描画
を行うためのレーザー光源駆動部19とからなる。光源
18は出射されるレーザー光を版胴1の回転軸方向に版
胴1に対して相対的に移動して版胴1上を走査するよう
構成されており、版胴1が回転することにより、版胴1
の表面が変調されたレーザー光により露光され、版胴1
におけるレーザー光が照射されなかった部分が疎水性の
画像領域とされ、レーザー光が照射された部分が親水性
の非画像領域とされて、ネガ型方式による描画がなされ
るものである。
【0104】レーザー光は、紫外域、可視域又は近赤外
域に発振波長をもち、画像信号によって変調されてい
る。本実施形態では、ヘリウムカドミウムレーザーを搭
載して、そのビーム光が直接版胴の表面に照射される。
この活性光の照射による光反応によって表面が親水性化
する。レーザービーム幅は、概略30μm、エネルギー
強度は10mW〜10Wが望ましい。一般に強度が強い
とそれだけ短時間に照射が終わるので実用的には望まし
い。なお、レーザーは、活性光を発振するものであれ
ば、半導体レーザー、固体レーザーそのほか任意のレー
ザーを用いることが出来る。
【0105】なお、ここではレーザーを直接変調する方
式を示したが、レーザーと音響光学素子のような外部変
調素子との組み合わせによっても同様に描画できること
はもちろんである。
【0106】上記した態様は、印刷用原板の材料として
光触媒能を有する物質を使用し、像様の親水性化を活性
光の照射によって行う態様であるが、他方、印刷用原板
の材料として高温親水性発現特性を有する物質を使用す
る場合には、上記の態様における活性光照射部5が、高
温の像様加熱記録部5に置き代わり、現像済みリスフィ
ルム9とその供給部10が不要である以外は、上記と同
じ態様の装置を用いることができる。以下の記述では、
図1を使用して、その活性光照射部5を、高温加熱記録
部5と読みかえて説明する。この場合には、上記の印刷
装置において活性光照射部5において像様の光の照射に
よって行う親水性化が、高温加熱記録部5で高温親水性
発現温度の像様加熱によって行う親水性化に置き変わ
る。
【0107】高温加熱記録部5では、感熱記録ヘッドを
用いる態様が好ましいが、その他の公知の任意の接触加
熱描画装置を用いてもよい。感熱記録ヘッドを用いる形
態は図示はしないが、好ましい形態はタンタル・シリカ
発熱抵抗体上にサイアロン耐磨耗保護層を設けたサーマ
ルヘッドを版胴の回転方向に対して直角方向に配列させ
た熱記録ユニットを用いて、版胴の回転に伴って版胴表
面の原板に加熱描画を行う。サーマルヘッドは、20m
sec通電によって450°に達するので、高温親水性
発現温度での描画が可能である。接触加熱による描画方
式には、本形態の一次元ユニットの直角方向走査による
二次元描画のほか、加熱素子の二次元走査方式や一次元
ブロックユニットの利用などの方法も採用できる。
【0108】高温加熱記録部5の別の態様としては、感
熱記録ヘッドなどの接触加熱記録方式の代わりに、光熱
変換性の輻射線に画像情報を担持させて原板表面を照射
する方式が用いられる。この方式でとくに好ましいの
は、赤外線レーザー光によるヒートモード描画方式であ
る。図5は、その例で画像情報を担持した赤外線レーザ
ー光による描画の例の構成例である。高温加熱記録部
(図1の5)は、赤外線レーザー光を出射して版胴1に
照射する赤外線レーザー光源21と、編集・レイアウト
W/S20において印刷すべき画像から信号化されて記
録部に入力される画像信号Sに基づいて、赤外線レーザ
ー光源21を駆動して赤外線レーザー光を変調させて版
胴1の表面に描画を行うためのレーザー光源駆動部22
とからなる。光源21は出射される赤外線レーザー光を
版胴1の回転軸方向に版胴1に対して相対的に移動して
版胴1上を走査するよう構成されており、版胴1が回転
することにより、版胴1の表面が変調された赤外線レー
ザー光により露光され、版胴1における赤外線レーザー
光が照射されなかった部分が疎水性の非画像領域とさ
れ、赤外線レーザー光が照射された部分が親水性の画像
領域とされて、ネガ型方式による描画がなされるもので
ある。なお、レーザーは、赤外線を発振するものであれ
ば、半導体レーザー、固体レーザーそのほか任意のレー
ザーを用いることが出来る。また、言うまでもなく照射
を受ける原板が、光熱変換性の光吸収物質を含有してい
ることが望ましい。
【0109】なお、ここでは赤外線レーザーを直接変調
する方式を示したが、赤外線レーザーと音響光学素子の
ような外部変調素子との組み合わせによっても同様に描
画できることはもちろんである。
【0110】次いで、第1の実施形態の動作について像
様の親水性化領域の形成を活性光照射部5で行う場合と
高温加熱部5で行う場合とを併せて説明する。まず、疎
水性温度に加熱する疎水性化処理部2を回転しながら通
過する版胴1の表面部分は、親油性となる。疎水性化処
理部の温度は、室温でよく、通常20〜50℃の範囲で
あり、温度制御部34によって制御されている。全面が
疎水性化した版胴は、活性光照射部5で、画像マスクを
経ることにより、又は画像情報で変調させることによ
り、像様分布が付与された活性光の照射を受けて、照射
を受けた領域が親水性で、照射を受けなかった領域は親
油性を有する親水性・親油性の画像状分布が得られる。
あるいは活性光照射部5の代わりに高温加熱部5におい
て感熱記録ユニットによる接触加熱により、又は画像情
報で変調された赤外線レーザーの照射によって加熱を受
けた領域が親水性で、加熱を受けなかった領域は親油性
を有する親水性・親油性の画像状分布が得られる。活性
光の照射又は加熱による描画が終了すると、インキ・湿
し水供給部3よりインキおよび湿し水が版胴1に供給さ
れる。これにより、版胴1の親油性の画像領域にはイン
キが保持され、親水性の非画像領域にはインキが保持さ
れることなく湿し水が保持される。
【0111】その後、ブランケット6と圧胴7との間に
矢印Aに示すように用紙を供給し、版胴1に保持された
インキをブランケット5を介して用紙に転写することに
よりオフセット印刷が行われる。
【0112】印刷終了後、インキ洗浄部4により版胴1
に残存するインキを除去する。その後、版胴1を疎水性
化処理部2を通して疎水性化することにより、版胴1の
像様の親水性領域は消去されて、親水性領域を形成する
像様の活性光の照射または像様の加熱を行う前の状態に
戻る。
【0113】このように、本発明によるオフセット印刷
装置によれば、全面疎水性の均一表面の形成と活性光に
よる像様照射又は高温親水性発現温度での像様の加熱の
みで版胴1にネガ型方式の印刷画面を形成することがで
き、これにより現像が不要でかつ印刷面の鮮鋭性が保た
れたオフセット印刷を行うことができる。また、版胴1
を洗浄して再度全面加熱することにより元の状態に戻す
ことができるため、版胴1を反復使用することができ、
これにより印刷物を低コストで提供することができるこ
ととなる。さらに、印刷装置から版胴1を取り外す必要
がないため、従来のPS版のように印刷装置に組み込む
際にゴミなどが付着することもなくなり、これにより、
印刷品質を向上させることができる。
【0114】また、印刷用原板として版胴1を使用し、
版胴1の周囲に疎水性温度での疎水性化処理部2、イン
キ・湿し水供給部3、インキ洗浄部4および活性光照射
部5又は高温加熱部5を配設することにより、単に版胴
1を回転させるのみで、原板の全面疎水性化、活性光に
よる像様照射およびインキと湿し水の供給、さらには印
刷終了後のインキ洗浄を行うことができるため、装置を
コンパクトに構成することができ、これにより省スペー
ス化を図ることができる。
【0115】さらに、ネガ型の簡易な製版方式の中で
も、ほぼ室温で有機化合物によって全面疎水性化してか
ら像様の親水性領域を形成する本発明が、疎水性化操作
を行わないで直接活性光の像様照射を行う方式に比較し
て、均一性の高い疎水性表面が得られること、原板
材料に適した有機化合物を選択できて、高度に疎水性化
できること、履歴に影響されず、再現性がよいことな
どの利点を有している。その結果、画像領域と非画像領
域の識別性の高い印刷版を再現性よく製作することがで
きるという利点がある。
【0116】
【実施例】〔実施例1〕上記実施形態1による実施例を
示す。99.5重量%アルミニウムに、銅を0.01重
量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量%、ケ
イ素を0.1重量%含有するJISA1050アルミニ
ウム材の厚み0.30mm圧延板を、400メッシュのパ
ミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と、回
転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用いてそ
の表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。これを1
5重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム4.5
重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2
になるようにエッチングした後、流水で水洗した。更
に、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝酸水溶
液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極時電圧
10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形波交番
波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5796
号公報実施例に記載されている電流波形)を用いて16
0クローン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行
った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリウム水
溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2になる
ようにエッチングした後、水洗した。次に、50℃、3
0重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットした後、
水洗した。
【0117】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、
70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間
浸漬処理し、水洗乾燥した。以上のようにして得られた
アルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計
で測定した反射濃度は0.30で、中心線平均粗さは
0.58μmであった。
【0118】次いでこのアルミニウム支持体を真空蒸着
装置内に入れて、全圧1.5x10 -4Torrになるように
分圧70%の酸素ガスの条件下でチタン金属片を電熱加
熱して、アルミニウム支持体上に蒸着して酸化チタン薄
膜を形成した。この薄膜の結晶成分はX線解析法によっ
て無定型/アナターゼ/ルチル結晶構造の比が1.5/
6.5/2であり、TiO2薄膜の厚さは900オングスト
ロームであった。これを版胴1の基体に巻き付けて機上
印刷用の原板とした。
【0119】図2に示した態様の疎水性化処理部2を使
用し、有機化合物用の容器にはベンジルアミン(有機概
念図における有機性140、無機性85)を充填して、
コーティングローラーによって液膜の厚みが10ミクロ
ンになる条件で原板表面にベンジルアミンを塗布して疎
水性表面を形成させた。原板表面の水に対する接触角を
Contact Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)を
用いて空中水滴法で表面の水に対する接触角を測定した
ところ、いずれの部分も68〜71度の間にあった。
【0120】次いで、図4の活性光照射部5に、US1
0焼き付け用光源装置ユニレックURM600形式GH
60201X(ウシオ電気工業(株)製)を用いて光強
度100mW/cm2 のもとで通過時間が15秒となる
回転速度で版胴を回転させた。フィルム供給装置10か
ら供給された現像済みフィルムを通して原板表面に像様
の活性光露光が行われた。照射後の原板表面の水に対す
る接触角をContact Angle Meter CA-D(協和界面科学
(株)製)を用いて空中水滴法で表面の水に対する接触
角を測定したところ、いずれの照射領域も7〜9度の間
にあった。
【0121】この版胴1をサクライ社製オリバー52片
面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給部3において
湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業社製Newc
hampion Fグロス85墨を用いて1000枚オフセット
印刷を行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得
られ、版胴1の損傷も認められなかった。
【0122】次いで洗浄部4において、版胴1の表面を
印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;大日本イ
ンキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液をウエスに
しみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去した。再び疎
水性化処理部2においてベンジルアミンの液膜を前記と
同様にして形成させ、前回と同じ方法で接触角を測定し
た。版表面のどの部分も68〜72度の間にあった。
【0123】次いで、この版胴1の表面に上記と同一の
条件で像様露光を行った。この版胴1をサクライ社製オ
リバー52片面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給
部3において湿し水を純水、インキを大日本インキ化学
工業社製Newchampion Fグロス85墨を用いて1000
枚オフセット印刷を行った。スタートから終了まで鮮明
な印刷物が得られ、版胴1の損傷も認められなかった。
【0124】以上の繰り返しを5回実施したところ、活
性光照射後の接触角の値、加熱による接触角の回復スピ
ード及び印刷面の画像の鮮明さの変化は認められなかっ
た。この結果から、酸化チタン層をアルミニウム支持体
上に設けた印刷原板を使用し、実施形態1の印刷装置を
用いて活性光の像様照射と疎水性発現温度への加熱によ
ってネガ方式の製版による印刷が可能であり、しかもイ
ンキの洗浄除去のみで印刷原板を反復再生使用できるこ
とが示された。
【0125】〔実施例2〕真空蒸着装置中に100ミク
ロン厚みのSUS板をセットして全圧5×10-3Torrの
真空下でセレン化亜鉛を1000オングストロームの厚
みに蒸着した。これを空気中600°Cで2時間酸化処
理してSUS板の片面に酸化亜鉛の薄膜を形成させた。
この酸化亜鉛皮膜付き100ミクロンSUS板を実施例
1と同じく、実施形態1の印刷装置の版胴1の基体に巻
き付けて機上製版型の原板とした。
【0126】図3に示した態様の疎水性化処理部2を使
用し、有機化合物の蒸発室にはシクロヘキサノン(有機
概念図における有機性120、無機性65)を容積率5
0%に充填して、空気と接触させ、蒸発気体を原板表面
に暴気させて疎水性表面を形成させた。原板表面の水に
対する接触角をContact Angle Meter CA-D(協和界面科
学(株)製)を用いて空中水滴法で表面の水に対する接
触角を測定したところ、いずれの部分も62〜67度の
間にあった。
【0127】次いで、実施例1と同じユニレックURM
600形式GH60201Xを用いて同じ条件で、現像
済みフィルムを通して原板表面に活性光の像様照射を行
った。照射後の原板表面の水に対する接触角をContact
Angle Meter CA-Dを用いて空中水滴法で表面の水に対す
る接触角を測定したところ、いずれの照射領域も10〜
13度の間にあった。
【0128】この版胴1をサクライ社製オリバー52片
面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給部3において
湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業社製Newc
hampion Fグロス85墨を用いて1000枚オフセット
印刷を行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得
られ、版胴1の損傷も認められなかった。
【0129】次いで洗浄部4において、版胴1の表面を
印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;大日本イ
ンキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液をウエスに
しみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去した。再び疎
水性化処理部2において上記と同じ条件で全面疎水性化
した後、前と同様の方法で接触角を測定した。版表面の
どの部分も62〜67度の間にあった。
【0130】次いで、実施例1と同じユニレックURM
600形式GH60201Xを用いて同じ条件で、現像
済みフィルムを通して原板表面に活性光の像様照射を行
った。照射後の原板表面の水に対する接触角をContact
Angle Meter CA-Dを用いて空中水滴法で表面の水に対す
る接触角を測定したところ、いずれの照射領域も10〜
13度の間にあった。
【0131】この版胴1をサクライ社製オリバー52片
面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給部3において
湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業社製Newc
hampion Fグロス85墨を用いて1000枚オフセット
印刷を行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得
られ、版胴1の損傷も認められなかった。
【0132】この結果から、酸化亜鉛層をSUS支持体
上に設けた印刷原板を使用し、態様1の印刷装置を用い
て活性光にとる全面照射とヒートモード印字によって印
刷が可能であり、しかもインキの洗浄除去のみで印刷原
板を反復再生使用できることが示された。
【0133】〔実施例3〕実施例1と同様にして陽極酸
化処理したアルミニウム支持体をCsLa2 NbTi2
10の化学量論比に相当するセシウムエトキシド、チタ
ンブトキシド、ランタンイソブトキシド、ニオブエトキ
シドを含む20%のエタノール溶液に浸漬して表面を加
水分解したのち280°Cに加熱してアルミニウム支持
体表面にCsLa2 NbTi2 10の厚み1000オン
グストロームの薄膜を形成させた。
【0134】この複合金属酸化物薄膜付きアルミニウム
支持体を版胴の基体に巻き付けて原板とした以外は、実
施例1と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷を
行った。疎水性領域の水に対する接触角は、1回目及び
2回目とも55〜61度であり、また、活性光の照射領
域の接触角は、10〜14度であった。印刷面の品質も
1回目及び2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像
領域の識別性も十分であった。
【0135】〔実施例4〕厚み100ミクロンのポリイ
ミド(無水ピロメリット酸・m−フェニレンジアミン共
重合物)フィルム(商品名;カプトン、東レ・デュポン
社製)を真空蒸着装置内にセットし、二酸化チタンを熱
応答性金属酸化物とした原板を作製した。すなわち、上
記ポリイミド支持体をスパッタリング装置内にセット
し、全圧1.5×10-4Torrで酸素分圧70%の条件下
でチタン金属片を加熱して二酸化チタン薄膜を蒸着形成
した。この薄膜の結晶成分は、X線解析法によれば、無
定型、アナターゼ、ルチルの各結晶の構造比が15/
6.5/2であった。また、二酸化チタン薄膜の暑さは
900オングストロームであった。これを版胴の基体に
巻き付けて原板として使用したことと、活性光の光源と
してタングステン・ハロゲンランプを使用した以外は、
実施例1と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷
を行った。使用したタングステン・ハロゲンランプは、
市販の写真撮影用500Wスタジオランプである。疎水
性領域の水に対する接触角は、1回目及び2回目とも5
0〜56度であり、また、活性光の照射領域の接触角
は、10〜15度であった。印刷面の品質も1回目及び
2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別
性も十分であった。
【0136】〔実施例5〕実施例1において、活性光の
像様照射をユニレックスURM600によって行う代わ
りにアルゴンレーザーを使用し、また現像済みリスフィ
ルムを画像マスクとする代わりにレーザー光ビームを画
像情報で変調して照射することによって像様の分布を与
えたこと以外は、実施例1と同じ方法で印刷版を製作し
て印刷を行い、かつ印刷版の反復再使用も行った。レー
ザー光の照射条件は、発振波長が0.35μmで、ビー
ム径を30μmで走査した。また、その強度は50mW
であった。レーザー照射による親水性化領域の水に対す
る接触角は、1回目及び2回目とも9〜11度であり、
また、印刷面の品質も1回目及び2回目とも地汚れはな
く、画像領域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0137】〔実施例6〕実施例5において、活性光照
射部においてアルゴンレーザービームの活性光の像様照
射を行う代わりに、活性光照射部を高温加熱記録部に代
えて、親水性発現温度での像様加熱による親水性化を行
った以外は、実施例5と同じ方法で印刷版を製作して印
刷を行い、かつ印刷版の反復再使用も行った。
【0138】高温感熱記録部5では、Ta-SiO2 発熱抵抗
体上にサイアロン耐磨耗保護層を設けた150μmx1
50μmのサーマルヘッドを250μm間隔に並べた発
熱体アレイを用いて、酸化チタン表面層と接触させて昇
温印字を行った。使用したサーマルヘッドは、2mse
c通電によって220°Cに、5msec通電によって
490°Cに達するが、熱伝導度の低い陽極酸化皮膜表
面を2.5m/secで走査しながら連続通電する場合
には、その表面はほぼ480°Cに保たれることを別途
温度測定を行って確認した。記録速度は、2.5m/s
ecで行った。このとき、サーマルヘッドによる印字記
録後の原板表面の水に対する接触角をContact Angle Me
ter CA-D(協和界面科学(株)製)を用いて空中水滴法
で表面の水に対する接触角を測定したところ、サーマル
ヘッドが一様に面状に走査した領域では、9〜11度の
間にあった。高温加熱による親水性化領域の水に対する
接触角は、1回目及び2回目とも9〜11度であり、ま
た、印刷面の品質も1回目及び2回目とも地汚れはな
く、画像領域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0139】〔実施例7〕実施例1で使用したものと同
じ粗面化処理と陽極酸化処理を施したアルミニウム支持
体を使用してチタン酸バリウムを光触媒能を有する熱応
答性金属酸化物とした原板を作製した。すなわち、上記
アルミニウム支持体をスパッタリング装置内にセット
し、5.0×10-7Torrまで真空排気したのち、支持体
を200°Cに加熱し、Ar/O2 が90/10(モル
比)となるようにガス圧を5×10-3Torrに設定し、S
iO2 のターゲットにRFパワー200Wを投入してS
iO2の1μmの薄層を形成した。続いてArのガス圧
を5×10-3Torrに設定し、SiのターゲットにRFパ
ワー200Wを投入してSiの3μmの薄膜を形成し
た。続いてArのガス圧を5×10-3Torrに設定し、6
インチφのチタン酸バリウムの焼結ターゲットにRFパ
ワー200Wを投入して膜厚1000Åのチタン酸バリ
ウム薄膜を形成した。X線解析法によれば、この薄膜は
多結晶体であった。
【0140】このチタン酸バリウム薄膜付きアルミニウ
ム支持体を版胴の基体に巻き付けて原板として使用した
ことと、親水性の像様領域を形成するのに、赤外線レー
ザーのヒートモード照射を行ったこと以外は、実施例1
と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷を行っ
た。赤外線レーザー装置は、最大出力500mWの固体
赤外線レーザー装置で、ビーム幅を45ミクロンに絞っ
て走査露光によって描画を行った。この場合、照射した
赤外線光をSiが吸収するので、この薄層が光エネルギ
ーを熱エネルギーに変換する役目を果たす。すなわち、
赤外線を照射することで、Si層が発熱するのでチタン
酸バリウム層を加熱できる。加熱温度を親水性発現温度
領域に調節するには、レーザー出力の制御によった。赤
外線レーザー光照射後の原板表面の水に対する接触角
は、1回目及び2回目とも70〜76度であり、紫外線
照射による親水性化領域の水に対する接触角は、1回目
及び2回目とも12〜16度であり、また、印刷面の品
質も1回目及び2回目とも地汚れはなく、画像領域と非
画像領域の識別性も十分であった。
【0141】
【発明の効果】本発明の光触媒能又は高温親水性発現特
性を有する物質、とくに金属及び金属酸化物、を画像形
成層とした印刷用原板に有機化合物を接触させてその表
面を疎水性として、その表面に活性光を像様照射又は高
温親水性発現温度で像様加熱して、親水性と疎水性の像
様分布を形成させて印刷版を作成する印刷方法は、現像
などの処理を必要とせず、直接印刷版を作成することが
でき、かつ印刷終了後、印刷版のインキを除去して印刷
原板を再生して反復使用することができる。また、原板
を印刷機の版胴に装着し、印刷機上で、親水性化、ヒー
トモード描画、インキ・湿し水供給及び印刷後の原板再
生を行う印刷装置を用いて簡易で安価なオフセット印刷
を行うことができる。この方法及び装置は、ネガ型の製
版方式であって、かつ有機化合物によって実質的に室温
で効果的に疎水性化されるので、疎水性化の処理を行わ
ないで像様の親水性領域を形成させる印刷・製版方法
や、単純に疎水性発現領域に加熱して疎水性化してから
活性光の像様照射を行う製版・印刷方法に比べて、画像
領域と非画像領域との識別性が高く、印刷品質を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる酸化チタン表面の温度・接触角
の関係を示す図である。
【図2】有機化合物の供給・適用手段を設けた疎水性化
処理部の一態様の構成を示す図である。
【図3】有機化合物蒸気の供給・適用手段を設けた疎水
性化処理部の一態様の構成を示す図である。
【図4】活性光照射部の一態様の構成を示す図である。
【図5】高温加熱記録部の一態様の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 版胴 2 疎水性化処理部 3 インキ・湿し水供給部 4 インキ洗浄部 5 親水性領域描画部(活性光照射部又は高温加熱記
録部) 6 ブランケット 7 圧胴 8 本体 17 活性光照射部 18 レーザー光源 19 レーザー光源駆動部 20 編集・レイアウトW/S 21 赤外線レーザー光源 22 赤外線レーザー光源駆動部 24 空気取り入れ口 25 コック 26 蒸発室 27 有機化合物 29 有機化合物供給手段 30 電熱ヒーター 32 温度センサー 33 温度センサー 34 温度制御部 40 外套 41 容器 42 ディップローラー 43 リバースローラー 44 コーティングローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 隆 神奈川県足柄上郡開成町宮台798 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA00 AB03 AC01 AC08 AD01 AD03 BH03 DA18 FA03 2H084 AA14 AA30 AA32 AE05 BB02 BB13 CC05 2H096 AA06 AA08 BA16 BA20 CA20 EA02 EA04 2H113 AA01 AA05 BA05 DA04 DA07 DA33 EA02 FA07 FA09 FA10 2H114 AA04 AA22 AA23 AA24 BA01 BA06 DA04 DA08 DA32 DA73 DA78 EA03 EA05 FA16 GA03 GA09 GA33 GA34 GA35 GA36

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光照射されるか、もしくは高温に加熱す
    ることで表面が親水性となる特性を有する金属又は金属
    酸化物の板を有機化合物と接触させて表面を疎水性化
    し、次いで該表面を光で像様照射するか又は高温に像様
    加熱を行って、照射部分又は加熱部分を親水性化するこ
    とによって親水性領域と疎水性領域の像様分布を形成さ
    せ、疎水性領域を印刷用インキに接触させることによっ
    て該領域がインキを受け入れた印刷面を形成させて印刷
    を行うことを特徴とするオフセット印刷方法。
  2. 【請求項2】 印刷に使用した印刷版面上に残存するイ
    ンキを洗浄除去したのち、その印刷版を印刷用原板とし
    て請求項1に記載の操作を反復して印刷を行うことを特
    徴とする請求項1に記載の印刷方法。
  3. 【請求項3】 有機化合物気体含有雰囲気への暴露によ
    って、あるいは液状有機化合物又は有機化合物含有液体
    の塗布、噴霧又は浸漬によって、印刷用原板を有機化合
    物と接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載
    のオフセット印刷方法。
  4. 【請求項4】 印刷原板と接触させる有機化合物が、温
    度20℃において少なくとも10mmHg以上の蒸気圧
    を有する有機化合物であることを特徴とする請求項1〜
    3にいずれか1項に記載のオフセット印刷方法。
  5. 【請求項5】 印刷原板と接触させる有機化合物が、温
    度20℃においてエタノール、アセトン、ベンゾール及
    び2,2,4−トリメチルペンタンから選ばれる少なく
    とも一つの有機溶剤に少なくとも5wt%溶解する有機
    化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1項に記載のオフセット印刷方法。
  6. 【請求項6】 印刷用原板の表面が、周期律表の第3〜
    6周期に属していて、かつ0及びVII A族(ハロゲン元
    素)族以外の元素から選ばれる金属及び該金属の酸化物
    からなる群の少なくとも一つによって構成されているこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオ
    フセット印刷方法。
  7. 【請求項7】 印刷用原板の表面が、TiO2 、RTi
    3 (Rはアルカリ土類金属原子)、AB2-x x
    3-x x 10(Aは水素原子又はアルカリ金属原子、B
    はアルカリ土類金属原子又は鉛原子、Cは希土類原子、
    Dは周期律表の5A族元素に属する金属原子、Eは同じ
    く4A族元素に属する金属原子、xは0〜2の任意の数
    値を表す)、SnO2 ,GeO2 ,SiO2 ,Bi2
    3 ,Al 2 3 ,ZnO及びFeOx (x=1/0〜
    1.5)から選ばれる金属酸化物の少なくとも一つによ
    って構成されていることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載のオフセット印刷方法。
  8. 【請求項8】 印刷用原板の表面が、アルミニウム、
    鉄、銅、ゲルマニウム、ニッケル、亜鉛、錫及び珪素か
    ら選ばれる金属又はその合金の少なくとも一つによって
    構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載のオフセット印刷方法。
  9. 【請求項9】 印刷原板を印刷機に装着された状態で、
    請求項1に記載の方法によって親水性領域と疎水性領域
    の像様分布を形成させ、疎水性領域がインキを受け入れ
    た印刷面を形成させて印刷を行うことを特徴とする請求
    項1〜8に記載のオフセット印刷方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    方法に使用するオフセット印刷装置であって、 光照射されるか、もしくは高温に加熱することで表面が
    親水性となる特性を有する金属又は金属酸化物の板を装
    着した原板装着部と、 該原板を有機化合物と接触させてその表面を疎水性化す
    る疎水性化処理手段と、 該原板に光を像様照射するか又は高温に像様加熱するこ
    とによって、親水性領域と疎水性領域の像様分布を形成
    させる描画手段と、 該疎水性領域に印刷用インキを供給して該領域がインキ
    を受け入れた印刷面を形成させるインキ供給手段と,該
    印刷面を印刷される面と接触させて印刷を行う印刷手段
    と、を有することを特徴とするオフセット印刷装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106903787A (zh) * 2017-03-24 2017-06-30 北京恒通创新赛木科技股份有限公司 覆膜装置以及增强纤维水泥挤出墙板的生产设备

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