【発明の詳細な説明】
難燃性ゴム変性ポリマー組成物
本発明は難燃性ゴム変性ポリマー組成物に関する。
難燃性樹脂組成物は多くの場合、V−0の難燃性レーティングと高いメルトフ
ローレート(MFR)をもつことが必要とされ、特に非常に薄い区域をもつ成形
部品において必要とされる。V−0の難燃性レーティングを得るために、サブジ
ェクト94、Underwriters Laboratories Test For Flammability of Plastic Materia ls
(以後、UL−94と呼ぶ)に記載されているような基準に合格しなければ
ならない。V−0のレーティングを得るための1つの基準は、規定された炎にさ
らした後に試料から木綿着火液滴が認められないことである。然し、高いメルト
フローレートをもつ樹脂はUL−94難燃性試験のあいだに液滴をもたらす傾向
が大きくなり、低い難燃性レーティングを示す危険がある。
ゴム変性ポリスチレン、スチレン・ブタジエンコポリマー、難燃剤、および5
〜50のメルトフローレートをもつポリオレフィンを含む難燃剤樹脂組成物はケ
ントらによってWO 0801006に記載されている。この組成物はすぐれた
難燃性レーティングをもつが(UL−94難燃性試験を使用してV−0)、この
組成物のメルトフロー値は5.2以下であると報告されている。
US−A−4,219,466(ヨシダらに付与)は、ゴム変性モノビニル芳
香族モノマー、スチレン・ブタジエンブロックコポリマー、無定形α−オレフィ
ンポリマー、ハライド難燃剤、およびアンチモン化合物からなる樹脂組成物を開
示している。然し、これらの組成物は、UL−94難燃性試験中にV−1及びV
−2の難燃性レーティングを得ると報告されており、これは望ましくない。
それ故、UL−94難燃性試験中の液滴生成の傾向が減少した高メルトフロー
レート難燃性樹脂を得ることが依然として非常に望ましい。
本発明は次の諸成分からなることを特徴とする難燃性樹脂組成物である。
A)ビニル芳香族モノマーから誘導されたゴム変性ポリマー 50〜90重量
部、
B)衝撃変性剤 1〜8重量部、
C)0.940g/cm3以上の密度、およびASTM D1238により、
190℃で2.16kg荷重を使用して測定して4未満のメルトフローレートを
もつポリオレフィン 0.5〜5重量部、
D)組成物に7〜14重量部のハロゲンを与えるに十分な量のハロゲン含有難
燃剤、および
E)無機難燃相乗剤 2〜6重量部。
これらのポリマー組成物は、高いフローおよび良好な難燃性を必要とするテレ
ビ・キャビネト及び他の成形物品の製造に有用である。
成分Aはゴム変性ビニル芳香族ポリマーである。好適なポリマーとして次式に
よって代表的に表わされるビニル芳香族モノマーから製造されるポリマーがあげ
られる。
ただしRは水素またはメチルであり、Arは1〜3の芳香環をもつ芳香環構造
であり、アルキル、ハロゲン、またはハロアルキル置換基をもつか又はもたない
。すべてのアルキル基は1〜6の炭素原子を含み、そしてハロアルキルとはハロ
ゲン置換アルキルのことをいう。好ましくはArはフェニルまたはアルキルフェ
ニルであり、フェニルが最も好ましい。使用しうる代表的なビニル芳香族モノマ
ーとして次のものがあげられる。スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ンのすべての異性体とくにパラビニルトルエン、エチルスチレンのすべての異性
体、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアンスラ
センなど、及びそれらの混合物。ビニル芳香族モノマーは他の共重合性モノマー
と組み合わせることもできる。このようなモノマーの例としてアクリル系モノマ
ー、たとえばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メタアクリリ酸、メチ
ルメタアクリレート、アクリル酸、およびメチルアクリレート、無水マレイン酸
、マ
レイミド、およびフェニルマレイミドがあげられるが、これらに限定されない。
ゴム変性ビニル芳香族ポリマーは、ビニル芳香族モノマーを予め溶解したゴム
の存在下に重合することによって製造して衝撃変性の又はグラフト化ゴム含有生
成物とすることができ、その例はUS−A−3,123,655、US−A−3
,346,520、US−A−3,639,522、およびUS−A−4,40
9,369に記載されている。ゴムは代表的にブタジエンまたはイソプレンゴム
、好ましくはポリブタジエンである。好ましくは、ゴム変性ビニル芳香族ポリマ
ーは、高衝撃ポリスチレン(HIPS)またはアクリロニトリル・ブタジエン・
スチレン(ABS)であり、HIPSが最も好ましい。
本発明の組成物に使用されるゴム変性ビニル芳香族ポリマーの量は、代表的に
50重量部以上、好ましくは60重量部以上、更に好ましくは70重量部以上、
そして最も好ましくは72〜90重量部、好ましくは88重量部以下、更に好ま
しくは85重量部以下、そして最も好ましくは82重量部以下である。
成分Bは、衝撃変性剤であり、本発明の組成物の衝撃強度を増大させるもので
あればいずれのポリマーであってもよい。代表的な衝撃変性剤として、ポリブタ
ジエン、ポリイソプレン、及びビニル芳香族モノマーと共役ジエンとのコポリマ
ー、たとえばスチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマ
ー、(ジブロック及びトリブロックコポリマーを包含する)があげられる。他の
衝撃変性剤として、ビニル芳香族モノマーと水素化ジエンとのコポリマー、エチ
レン−アクリル酸コポリマー及びエチレン−スチレンコポリマーがあげられる。
好ましくは、衝撃変性剤は25〜40重量%のスチレン成分を含むスチレン−ブ
タジエン−スチレンのトリブロックコポリマーである。
本発明の組成物に使用する衝撃変性剤の量は、代表的に1〜8重量部、好まし
くは1〜7重量部、更に好ましくは2〜6重量部、最も好ましくは2〜5重量部
である。
成分CはASTM 1238により190℃で2.16kg荷重を使用して測
定して4g/10分未満の、好ましくは3g/10分未満の、更に好ましくは2
g/10分未満の、そして最も好ましくは1.0g/10分未満のメルトフロー
値をもつポリオレフィンである。代表的なポリオレフィンとして2〜5の炭素原
子を含むオレフィンを重合させることによってえられたポリオレフィンがあげら
れる。好ましくは、ポリオレフィンは、ポリエチレンまたはポリプロピレンポリ
マーであり、更に好ましくはポリエチレンであり、最も好ましくは高密度ポリエ
チレン、たとえば0.940g/cm3以上の密度をもつポリエチレンであり、
エチレンホモポリマーおよびエチレンと高級アルファオレフィンたとえば1−オ
クテン、1−ヘキセン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなど、とのコポ
リマーを包含する。
本発明の組成物に使用するポリオレフィンの量は、代表的に0.5〜5重量部
、好ましくは0.8〜4.5重量部、更に好ましくは0.8〜3重量部、最も好
ましくは0.8〜2重量部である。
成分Dは難燃剤であり、本発明の組成物に難燃抵抗を付与するハロゲン含有化
合物である。好適な難燃剤は当該分野において周知であり、例としてヘキサハロ
ジフェニルエーテル、オクタハロジフェニルエーテル、デカハロジフェニルエー
テル、デカハロジフェニルエーテル、1,2−ビス(トリハロフェノキシ)エタ
ン、1,2−ビス(ペンタハロフェノキシ)エタン、ヘキサハロシクロドデカン
、テトラハロビスフェノール−A、エチレン(N,N’)−ビス−テトラハロフ
タルイミド、テトラハロ無水フタル酸、ヘキサハロベンゼン、ハロゲン化インダ
ン、ハロゲン化ホスフェートエステル、ハロゲン化パラフィン、ハロゲン化ポリ
スチレン、及びハロゲン化ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとのポリマー
、又はそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。好ましくは、難
燃剤は臭素または塩素含有の化合物である。好ましい態様において、難燃剤はデ
カブロモジフェニルエーテルまたはデカブロモジフェニルエーテルとテトラブロ
モビスフェノールAとの混合物である。
本発明の組成物内に存在する難燃剤の量は、使用する特定の難燃剤のハロゲン
含量に応じて変わる。代表的には、難燃剤の量は、7〜14重量部、好ましくは
7〜13重量部、更に好ましくは8〜12重量部、最も好ましくは9〜11重量
部のハロゲンが本発明の組成物中に存在するようにえらばれる。
成分Eは無機難燃相乗剤であり、難燃剤の効果を増強する化合物とくにハロゲ
ン化難燃剤として当該分野に知られている。無機難燃相乗剤として金属酸化物、
たとえば酸化鉄、酸化スズ、酸化亜鉛、三酸化アルミニウム、アルミナ、アルミ
ナ、アンチモントリー及びペントオキシド、ビスマスオキシド、三酸化モリブデ
ン、及び三酸化タングステン、ホウ素化合物、たとえばホウ酸亜鉛、ケイ酸アン
チモニイ、フェロセン、及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定され
ない。
存在する無機難燃相乗剤の量は、代表的に2〜6重量部、好ましくは2〜5、
更に好ましくは2.5〜5、そして最も好ましくは2.5〜4重量部である。
本発明の組成物は少量の代表的な加工助剤、たとえば離型剤、可塑剤、流れ促
進剤、たとえばワックスもしくは鉱油、着色剤、熱安定剤、UV安定剤、酸化防
止剤、充てん剤、たとえばガラスファイバー、ガラスビーズなどを含むこともで
きる。
本発明の組成物は、生成物中にすべての成分をくまなく分散させたほぼ均一な
分散液をもたらす、いずれかのブレンドもしくは混合技術によって製造すること
かできる。装置の例としてバンバリーミキサ、混合ロール、単一スクリュー押出
機、双子スクリュー押出機などがあげられる。また、本発明の組成物の諸成分は
、混合/溶融押出機装置に供給する前にドライブレンダーのような装置で混合す
ることができ、又は2以上の成分を予め混合してから残りの成分のホットメルト
に供給することもできる。
本発明の組成物のメルトフローレートはASTM D1238により200℃
で5kg荷重を使用して測定して、代表的に6〜30g/10分、好ましくは7
〜25、更に好ましくは10〜22、そして最も好ましくは13〜20g/10
分である。代表的に、高メルトフローレート組成物は、組成物中に高メルトフロ
ーレートHIPS樹脂を含有させることによって、又は可塑剤たとえは鉱油、シ
リコーン油、低分子量ポリスチレンもしくは可塑剤として働く難燃剤たとえばテ
トラブロモビスフェノールAを含有させることによって、製造することができる
。
本発明の組成物は射出成形の用途に使用してTVキャビネット、コンピュータ
モニタ、プリンターハウジングなどの製造に使用することができる。
このような射出成形の用途に使用する組成物は、代表的にすぐれた難燃レーテ
ィングをもつことを必要とする。難燃性レーティングは、一定の試験試料の一定
の炎への特定時間の露出を必要とするUL−94のもとでの試験によってえられ
る。V−0、V−1及びV−2のレーティングは、炎にさらす時間、処理後(ア
フターグロー)の時間、及び綿・着火液滴を包含する多数の基準によりえられる
。最も望ましいレーティングであるV−0を得るための1つの基準は、綿・着火
液滴の不在である。綿・着火液滴は、試験中試験試料の下の一定距離に配置した
綿を着火する液滴である。然し、いずれかの液滴が生ずると、綿の着火の可能性
は増大し、これはV−2より低いレーティングとなりうる。それ故、UL−94
試験法のあいだ液滴生成の傾向の減少した組成物を作ることが有利である。好ま
しくは、本発明の組成物は綿・着火をもたらす傾向の減少した組成物であり、更
に好ましくは組成物は綿・着火液滴をもたらさず、そして最も好ましくは、本発
明の組成物はUL−94試験中液滴を作らない。
本発明の材料に使用される試験は、実際の着火条件下のこれらの材料または他
の材料によって示される危険を反映することを意図していない。
次の実施例により本発明を具体的に説明する。これらの実施例は本発明を限定
するものではなく、またそのように解釈すべきではない。他に特別の記載のない
限り、量は重量%である。実施例1
スタイロン(styronTM)478、ザ ダウ ケミカル カンパニーから
入手しうるHIPS樹脂、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフ
ェノールA、三酸化アンチモニイ、ベクター8508D、デェキシコ ポリマー
ズから入手しうるスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー、カ
ーボンブラック濃縮物、これは60重量%のポリエチレンキャリヤー(20のメ
ルトインデックスをもつポリエチレン)中に分散された40重量%カーボンブラ
ックである、及び表1に示すポリエチレン、をポリエチレンバック中で振とうブ
レンドし、単一供給物として共回転の30mm双子スクリューミキサに加え、次
いで排気つき38mm単一押出機に供給した。ポリマー溶融物を2穴ダイに通し
、ポリマーストランドを水浴中で冷却し、ペレットに切断した。
樹脂を次いで射出成形して5つの試験試料を製造した。燃焼性試験をUL−9
4の垂直燃焼試験法により1.6mm厚さの試験試料を使用して行った。結果を
表IIに示す。
SBS=スチレン−ブタジエン−スチレン(衝撃変性剤)
PE=ポリエチレン
*使用したポリエチレンを表IIおよびIIIに示す。 PE MFR=2.16kg荷重を使用して190℃でASTM D1238
により測定したときのポリエチレンのメルトフローレート。
組成物のMFR=5kg荷重を使用して200℃でASTM D−1238に
より測定したときのメルトフローレート。
*は比較例
LDPE=低密度ポリエチレン
HDPE=高密度ポリエチレン
組成物2−5において、染料のいずれも綿・着火液滴を作らなかった。然し、
組成物4の5試料からの組成物2および3の試料は液滴を作ったが、組成物(3
および5)の試料は液滴を全く作らなかった。実施例2
追加の組成物を表Iに示すように実施例1と同様にして製造した。各組成物の
10個の試料(1.6mm厚さ)を、射出成形により製造し、UL−94の方法
で難燃性を試験し、それらの結果を表IIIに示す。 VDPE=低密度ポリエチレン
HDPE=高密度ポリエチレン
PE MFR=2.16kg荷重を使用して190℃でASTM−D1238
により測定したときのポリエチレンのメルトフローレート
Comp.M=5kg荷重を使用して120℃でASTM D1238により
測定したときの組成物のメルトフローレート
*比較例
4未満のメルトフローレートをもつ高密度ポリエチレンを含む組成物の試料(
F、G及びH)は、UL−04の燃焼試験のあいだ液滴を生じない。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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(72)発明者 ネルブ,ロバート ジー ザ セカンド
アメリカ合衆国 ミシガン州 48640 ミ
ドランド ウッドバリー コート 5610