【発明の詳細な説明】
細胞消滅抗原を検出するモノクローナル抗体
本発明の属する分野
本発明はモノクローナル抗体、より詳しくは、細胞消滅(アポトーシス、apopt
osis)を受ける細胞に露出されているミトコンドリアの膜タンパク質(7A6)上の新
規なエピトープに結合するモノクローナル抗体に関する。
発明の背景
生体プログラムに組み込まれた細胞の死を生物学的及び分子的に理解すること
についての研究は最近細胞消滅を制御する遺伝子及びそれらの生成物の同定によ
り活気づけられてきた。細胞消滅は、生理学的または病理学的状態において生じ
る自主的な細胞の死の活性過程を表わす(Clarke他「Anal.Embryol.」181:p.
195〜213,1990年、Boehmer「Immunology Today」13:p.454〜458,1992年、Go
ugeon及びMatagnier他「Science」260:p.1269〜1270,1993年、Thompson 「Sc
ience」267:p.1456〜1462,1995年)。きっかけとなる生体プログラムに組み
込まれた細胞の死への経路は種々の細胞で変わり得るが、細胞消滅の制御は一般
に細胞消滅の間の分子カスケードから開始されるインデューサー及びサプレッサ
ー−シグナルにより仲介される。たとえば、腫瘍壊死/神経成長因子受容体遺伝
子ファミリーのいくつかのメンバーはこれらの分子の混乱状態により細胞消滅(a
poptotic)細胞死を誘導することができ(Trauth他、「Science」245:p.301〜3
05,1989年、Itoh他「Cell」66:p.233〜243,1991年、Oehm他「J.Biol.Chem
.」26
7:p.10709〜10715,1992年)、それらは死を誘導するシグナルを開始すること
、または細胞の生存に必要なシグナルを遮断することのいずれかにより、作用す
ることを示唆する。これに反し、Bcl−2は細胞サイクルの進行に影響を与えな
いようであるが、Bcl−2遺伝子によりコードされるタンパク質は、細胞消滅に
導く経路を遮断することにより細胞の生存を促進できる(Vaux他「Nature」335
:p.440〜442,1988年、Hockenbery他「Nature」248:p.334
,1990年)。生体プログラムに組み込まれた細胞死を制御するこれらの遺伝子及
びそれらの産物の最近の同定は細胞消滅の分子のメカニズムの理解に大いに貢献
し、生体プログラムに組み込まれた細胞死に包含される新規な分子を特徴づける
のに新しい努力目標も再提出する。
細胞消滅は特徴的な形態的変化とヌクレオソーム内(internuclosomal)DNAの
分解を伴う(Kerr他「Br.J.Cancer」26:p.239〜257頁、1972年、Wyllie「Na
ture」284:p.555〜556,1980年)。最近の証拠は、同時または誘導された細胞
消滅における形態的変化及びそれ自身の死の発生前に、細胞は表現型の性質及び
機能的な性質の両方に本質的な変更を受けることを示している。これらはエンド
ヌクレアーゼの活性化(Duke他「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」80:p.6361〜6
365,1983年、Barry及びEastman「Arch.Biochem.Biphys.」300:p.440〜450
,1993年、Peitsch他「EMBO J.」12:p.371〜377,1993年、Zhang他「Cell Im
munol.」165:p.161〜167,1995年)、分子マーカーの発現(Estus他「J.Cel
l.Biol.」127:p.1717〜1727,1994年、Fernandez他「Proc.Natl.Acad.Sci
.USA」91:p.8641〜8645,1994年)及びタンパク質の発現における低下または
増加(Kishimoto他「J.Exp
.Med.」181:p.649〜655,1995年、Casciola-Rosen他「J.Exp.Med.」179:p
.1317〜1330,1994年、Ajmani他「J.Exp.Med.」181:p.2049〜2058,1995
年)を包含する。分子の変更は細胞消滅と密接に関連することを明らかにしたけ
れども、それらの細胞消滅細胞死の過程における正確な役割については、ほとん
ど知られていない。
細胞消滅における分子の変更は細胞膜及び核ばかりでなく、ミトコンドリアに
も認められた。ミトコンドリアのDNAは細胞消滅細胞中で分解されないかもしれ
ないが、その核DNAはエンドヌクレアーゼによりばらばらに分裂した(Murgia他
「J.Biol.Chem.」267:p.10939〜10941,1992年、Tepper及びStudzinski「Ca
ncer Reo.」52:p.3384〜3390,1992年)。しかしながら、ミトコンドリアの異
常な超微細構造及びミトコンドリアの膜電位の低下が細胞消滅を受けている細胞
において見い出された(Vayssiere他「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」91:p.11
752〜11756,1994年、「Zamzami他「J.Exp.Med.」181:p.1661〜11672,1995
年、Steller「Science」267:p.1445〜1449,1995年)。Bcl−2遺伝子産物が
核エンベロープ及び小胞体中にも見い出されるけれども、ミトコンドリアの膜へ
のBcl−2の局在化が、細胞消滅へのミトコンドリアのいくつかの機能的な影響
を密接に結びつけた(Hockenbery他「Nature」248:p.334〜346,1990年、Kraj
ewski他「Cancer Res.」53:p.4701〜4714,1993年)。
ジャコブソン(Jacobson)他は、ミトコンドリアのDNAを欠くヒトの繊維芽細
胞の細胞系統を用いて、増殖因子の撤退による細胞消滅の誘導もBcl−2の抗−
細胞消滅作用もミトコンドリアの呼吸鎖の活性に依存しないようであることを報
告した(「Nature」361:p.365〜369,1993年)。しかしながら、Bcl−2の発
現過剰はミ
トコンドリアの膜電位を高め、細胞消滅細胞死から細胞を救う(Hennet他「Canc
er Res.」53:p.1456〜1460,1993年)。これらの発見と矛盾せずに、ザムザ
ミ(Zamzami)他はミトコンドリアの膜電位の低下が、生体内でのリンパ球の細胞
消滅の初期の逆行できない出来事であること及び細胞消滅のための初期のシグナ
ル経路を遮断することができる、ある医薬剤はミトコンドリアの膜電位の値を効
率的に安定化することを最近明らかにした。これらのデータは、ミトコンドリア
の成分が細胞消滅細胞死にかかわりあっていることを示唆した。
細胞消滅細胞についての分子マーカーを同定するために、死にかかっているジ
ャーカット細胞を用いて、マウスを免疫することによってモノクローナル抗体を
開発した。抗体−7A6と呼ばれる抗体は細胞消滅を受けている細胞と優先的に反
応するが正常な細胞とは反応しないことを見い出した。前記抗体を特徴づける分
子はミトコンドリアの膜に局在化された38KDのタンパク質である。
モノクローナル抗体は正常な細胞から細胞消滅細胞を区別し、細胞消滅のメカ
ニズムを研究し、細胞消滅関連病からの試料を診断するのに、治療養生法の効率
を監視するのに及び細胞消滅を誘導または阻害するのに用いることができる。病
気の発生及び病気の治療における細胞消滅の役割を詳細に記載するトンプソン(
Thompson)による記事に触れる(「Science」267:p.1456〜1462,1995年)。
発明の概要
本発明はモノクローナル抗体またはそれらの免疫反応性断片を特徴とし、それ
らはヒトの細胞集団における正常な細胞と細胞消滅細胞を区別する。モノクロー
ナル抗体は細胞消滅細胞中のミトコンド
リアの膜上の抗原に特異的に結合する。38KDのタンパク質である抗原は、細胞消
滅を受けている細胞で検出できるが、正常な細胞では検出できない。
本発明のモノクローナル抗体は好ましくはマウスであるが、ヒト及びラットま
たはそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されない、他の哺乳動物種
からも由来し得る。好ましい態様では、抗体は細胞消滅ジャーカット細胞で免疫
されたBALB/cマウスから開発されたハイブリッド細胞系統から生産される。こ
のハイブリッド細胞系統はアメリカン・タイプ・カルチュア・コレクションに寄
託され、A.T.C.C.番号HB12065を与えられている。
本発明のモノクローナル抗体は新規な抗原(7A6)を認識し、細胞消滅細胞のミ
トコンドリアの膜上のこの抗原のエピトープに特異的に結合する。これらの抗体
またはそれらの断片は、生物学的試料、たとえば、末梢血液リンパ球、T細胞系
統、B細胞系統、組織球細胞系統及び前骨髄球様細胞系統を包含する、ヒト造血
細胞集団中の、正常細胞及び細胞消滅細胞を区別する方法に用いることができる
。さらに、この抗体の選択性のため、細胞消滅を受けている細胞を検出し、判断
する方法も提供する。
本発明の他の目的、特徴及び利点は、好ましい態様の詳細な説明を、次の説明
のためであって、制限の意味でないと解すべきである図面といっしょに考えた時
、明らかとなるであろう。
図面の簡単な説明
図1A及び1BはAra−C(1−β−D−アラビノフラノシルシトシン)によ
り誘導された、細胞消滅ジャーカット細胞の電子顕微鏡写真を示す。ジャーカッ
ト細胞を、10%のウシ胎児血清を補足したRPMI1640媒体中で10μM Ara−Cの存
在(図1A)または不存在
(図1B)でインキュベートした。両細胞を同じ倍率(×18,000)で透過電子顕
微鏡により検査した。矢印は細胞消滅体の構造を示す。図中の棒は1μを表わす
。
図2A及び2Bは正常な細胞及び細胞消滅ジャーカット細胞に関する抗−7A6
のフローサイトメトリー分析のグラフの図である。ジャーカット細胞をγ線照射
、Ara−Cまたは抗−CD95(Fas/Apo−1)を用いる処理により誘導して、細胞
消滅を受けさせた。細胞消滅ジャーカット細胞または正常なジャーカット細胞は
、フローサイトメトリーのために免疫蛍光を用いて、標識する前にジギトニンに
より透過性を上げなかった(図2A)か、または透過性を上げた(図2B)。陽
性細胞の%を各プロフィルにおいて示す。
図3は正常なジャーカット細胞または細胞消滅ジャーカット細胞から調製され
た細胞溶解物のELISA試験のグラフの図である。細胞溶解物は、γ線照射またはA
ra−C処理により誘導され、ELISAプレート上に下塗りされた。プレートを抗−7
A6またはイソタイプ調和させた対照抗体とインキュベートし、続いてヤギ 抗−
マウスIgG−ペルオキシダーゼ複合体とインキュベートした。酵素反応をオルソ
フェニレンジアミン基質により現像し、ELISA読み取り機を用いて492nMで読み取
った。
図4A及び4Bは精製した7A6+細胞及び7A6−細胞についてのDNA断片化アッ
セイを図示する。正常ジャーカット細胞及びAra−C処理ジャーカット細胞を混
合し、抗−7A6を用いて免疫蛍光のために標識した。次に、7A6−陽性(pc)細胞
及び−陰性細胞(nc)を細胞選別機で選別した(図4A)。両細胞集団からDNA
を単離し、前に記載したように1.5%アガロースゲル電気泳動で分析した(Zhang
他「Cell.Immunol.」165:p.161〜167,1995年)。レーン1は分子量マーカー
としての100bp DNAラダー、レーン2は、7
A6−細胞から単離されたDNAで、レーン3は7A6+細胞からのDNAである(図4B
)。DNA分子量標準(bp)の相対的移動を示す。
図5は抗−7A6による細胞溶解物の免疫ブロットである。細胞溶解物を正常な
または照射したまたはAra−C処理したジャーカット細胞から調製し、還元条件
下、10%アクリルアミドゲルを含有するSDS−PAGEにかけた。タンパク質をニト
ロセルロース膜に移し、それを抗−7A6とインキュベートし、次いでタンパク質
G−ペルオキシダーゼとインキュベートした。ブロットを増強した化学発光技術
により可視化した。レーン1は照射したジャーカット細胞からの細胞溶解物で、
レーン2はAra−C処理ジャーカット細胞からの細胞溶解物で、レーン3は正常
ジャーカット細胞からの細胞溶解物である。タンパク質分子量標準の相対的移動
が示されている。
図6A〜Fはミトコンドリアの膜への7A6抗原の局在化を示す電子顕微鏡写真
である。Ara−C処理(図6A)または正常ジャーカット細胞(図6B)から調
製された凍結切片を抗−7A6に続いて免疫金複合体で標識し、電子顕微鏡で検査
した。正常なジャーカット細胞には標識は認められなかったのに、Ara−C処理
ジャーカット細胞(矢印)には免疫金複合体粒子のクラスターが見い出された。
抗−7A6の反応性を、パーコールーメトリザミン勾配遠心分離を用いて、正常な
ジャーカット細胞及びAra−C処理ジャーカット細胞から単離されたミトコンド
リアについても試験した(図6C〜F)。ミトコンドリアを、電子顕微鏡のため
に免疫金で標識する前に、ジギトニンで透過性を上げた。図6Cは抗−7A6で染
色した細胞消滅細胞からのミトコンドリアを示す(×35,000、原物の倍率)。図
6Dは図6Cと同様であるかより高い倍率(×72,000)で検査した試料を示す。
認められた金の粒子はミトコンドリア(m)の内膜(矢印)の表面に局在化され
ていた。図6Eは抗−7A6で染色された
正常細胞からのミトコンドリアを示し、図6Fはイソタイプ調和対照抗体で染色
された、細胞消滅細胞を示す。図中の棒は0.5μを表わす。
図7A〜DはHIV−感染ドナーからの末梢血液リンパ球のフローサイトメトリ
ー分析のグラフ図である。図7AはCD3で活性化されたHIV−感染細胞の対照抗
体を用いた、サイトメトリー分析を描く。図7BはPMAで活性化したHIV感染細胞
の対照抗体を用いるサイトメトリー分析を描く。図7CはCD3で活性化したHIV
−感染細胞の抗−7A6を用いるサイトフローメトリー分析を描く。図7DはPMAで
活性化したHIV−感染細胞の抗−7A6を用いるサイトメトリー分析を描く。
好ましい態様の説明
抗−7A6と呼ぶ、細胞消滅細胞上に露出された特有のエピトープを特徴づける
、モノクローナル抗体を本発明により提供する。フローサイトメトリーによって
分析すると、抗−7A6は正常な、ジギトニンで透過性を上げたヒト末梢血液リン
パ球及び試験した多数のヒト細胞系統を染めることができない。反対に、その抗
体は、その細胞がジギトニンにより透過性を上げたかどうかにかかわらず、細胞
消滅を受けている細胞を標識する。トリトンX−100溶解緩衝液中で調製された
細胞溶解物を用いる、ELISA及び免疫ブロットも抗−7A6は細胞消滅ジャーカット
細胞と反応するが正常な細胞とは反応しないことを示した。抗−7A6により特徴
づけられる抗原はミトコンドリアの膜に局在化する38KDのタンパク質である。こ
れらの発見は、7A6が細胞消滅を受けている細胞上に露出した新規なエピトープ
であることを示す。増加していく数の分子の出来事が細胞消滅による細胞死を制
御することが分かった。細胞消滅の誘導は、DNAの
ヌクレオソームのサイズの断片への分解の原因である、エンドヌクレアーゼを活
性化すると信じられている(Duke他「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」80:p.636
1〜6365,1983年、Barry及びEastman「Arch.Biochem.Biophys.」300,p.440
〜450,1993年、Peitsch他「EMBO J.」12,p.371〜377,1993年)。ヌクレア
ーゼタンパク質のトリプレットが最近同定され、それは細胞消滅を受けているジ
ャーカット細胞で活性化され、その分子の特徴及び酵素の要求により、DNアーゼ
I及びDNアーゼIIから区別できるようである(Zhang他「Cell Immunol.」165,
p.161〜167,1995年)。
細胞消滅で、破裂した核に加えて、ミトコンドリアのDNAの断片化は細胞消滅
を受けている細胞に必要ではないかもしれないけれども、ミトコンドリアは、細
胞消滅の初期の段階で始まる損傷を有する細胞の標的であることも見い出された
(Murgia他「J.Biol.Chem.」267,p.10939〜10941,1992年、Tepper及びStud
zinski「Cancer Res.」52,p.3384〜3390,1992年、Yoneda他「Biophys.Res
.Comm.」209,p.723〜729,1995年)。実際に、いくつかの細胞消滅−誘導剤
はミトコンドリアの完全な状態の喪失及び細胞死に導びくその機能不全を引き起
こすことが分かった(Vukmanovic他「Biochem.J.」289,p.587〜592,1993年
)。反対に、細胞消滅のための経路を遮断することによって細胞の生存を促進す
るタンパク質である、Bcl−2の過剰の活動はトランスフェクトした細胞のミト
コンドリアの膜電位の値を増加させ、細胞消滅によるミトコンドリアの膜電位の
喪失を防ぐことが分かった(Hennet他「Cancer Res.」53,p.1456〜1460,199
3年、Smets他「Blood」5,p.1613〜1619,1994年)。ミトコンドリアの膜への
7A6抗原の特異的な局在化及びその細胞消滅細胞への制限された発現は、7A6抗原
は細胞消滅の分子カスケードに関係することを示す。
7A6抗原の発現は細胞消滅細胞に優先的に検出されるが、正常な細胞の表面ま
たはジギトニンで透過性を上げた細胞には検出されない。さらにマイトジェンに
よるジャーカット細胞の活性化は7A6抗原の発現に影響を与えない。フローサイ
トメトリーのプロフィルは、細胞消滅の初期段階で検出されるべき7A6抗原をも
示し、さらに、7A6抗原の発現は、死んだ細胞の最終的な産物というよりもむし
ろ細胞消滅の初期の出来事を表わすことを示した。モノクローナル抗体技術を用
いて、ロッテロ(Rotello)他は、これらの抗原のいくつかは同様に壊死の細胞に
発現されることを発見したけれども(Fernandez他「Proc.Natl.Acad.Sci.US
A」91,p.8641〜8645,1994年)、鶏の胚の発育の間に、細胞消滅により死につ
つある細胞が、アポジェン(apogen)と呼ばれる、特異的な抗原を発現すること
を報告した(「Development」120,p.1421〜1431,1994年)。面白いことに、
正常な細胞内のいくつかの細胞内分子は細胞消滅の間に細胞の表面に露出される
ことが分かった(Casciola-Rosen他、「J.Exp.Med.」179,p.1317〜1330,19
94年、Koopman他「Blood」184,p.1415〜1420,1994年)。反対に、7A6はフロ
ーサイトメトリーにより、ジギトニンで透過性を上げた正常細胞中に、または免
疫ブロットによりこれらの細胞の溶解物中に検出できないから、7A6は細胞消滅
細胞の細胞の表面に発現されるありきたりの細胞内タンパク質ではないようであ
る。
本発明のモノクローナル抗体を生産し、抗原を特徴づけるのに用いられる方法
及び材料を下記に詳しく記載する。要するに、モノクローナル抗体のパネルを、
細胞消滅ジャーカット細胞を有するマウスを免疫することにより、死につつある
細胞に対して生じさせた。これらの抗体の1つである、抗−7A6は細胞消滅細胞
と反応することが見い出された。フローサイトメトリーとELISAにより決定され
たように、正常またはジギトニンで透過性を上げたヒト末梢血液リンパ球及び試
験されたすべてのリンパ球において、抗−7A6の反応性は認められなかった。し
かしながら、この抗体は、放射線照射または細胞消滅誘導剤での処理により細胞
消滅を受けるように誘導された時、これらの細胞と強く反応した。細胞の選択及
びDNA断片化実験は、7A6+細胞(7A6−細胞はそうでないが)は、細胞消滅を受け
る細胞の明らかなDNA断片特性を有したことを明らかにした。還元条件下の免疫
ブロットにより、抗−7A6は細胞消滅細胞から調製された細胞溶解物中に38KDの
タンパク質のバンドを検出した。免疫電子鏡検法は、7A6抗原は細胞消滅ジャー
カット細胞中のミトコンドリアの膜に局在化することを示した。これらの結果は
、抗−7A6は細胞消滅を受けている細胞に露出されているミトコンドリアの膜タ
ンパク質にある新規なエピトープを特徴づけることを示し、その7A6分子は細胞
消滅細胞死の分子カスケードに関係するかもしれないことを示す。
本明細書に記載された方法または当業者に周知の方法は、下記に発表した例に
記載の抗−7A6の特性を備えた追加のモノクローナル抗体を生じさせるのに用い
ることができる。所望の特性を有する抗体を同定するスクリーニング手順も本明
細書に記載されている。さらに、本発明の範囲内の抗体及びそれらの免疫反応性
断片の同定は、ATCC受託番号HB12065と呼ばれるハイブリッド細胞系統により提
供される抗−7A6抗体を用いて、当業者に公知の標準的競合結合アッセィを用い
て達成できる。
抗−7A6抗体分子の抗原結合ドメインの少なくとも機能的な部分を含む、抗体
断片及び誘導体も、本発明の範囲内に包含される。
その分子の結合ドメインを含有する抗体断片は、公知の技術により生じさせる
ことができる。たとえば、上記断片は、抗体分子のペ
プシン消化によって生産し得るF(ab')2断片、F(ab')2断片のジスルフィド橋
を還元することにより生じさせることができるFab’断片並びに抗体分子をパパ
イン及び還元剤で処理することにより生じさせることができるFab断片を包含す
るが、これらに限定されない。たとえば、ナショナル インスティテュート.オ
ブ.ヘルスの「免疫学における1つの現在のプロトコル(1 Current Protocol
s In Immunology)」コリガン(Coligan他)編、2.8,2.10(Wiley Interscienc
e,1991年)参照。抗体断片は、Fv断片、すなわち、その中に一定の領域のアミ
ノ酸残基がない抗体産物も包含する。上記断片は、たとえば、米国特許第4,642,
334号に記載のように生産することができる。
モノクローナル抗体の開発 抗体及び他の試薬
モノクローナル抗体、抗−7A6を、マウスのミエローマP3-X63-Ag.8.653(Kea
rney他「J.Immunol.」123,p.1548〜1550,1979年)と細胞消滅ジャーカット
細胞全体で免疫したマウスからの脾臓細胞とを融合させることにより生じたハイ
ブリドーマからスクリーンし、クローン化した。雌のBALB/cマウスを4回、皮
下または腹膜内に、3〜4週間隔で、抗−代謝物剤である、1−β−D−アラビ
ノフラノシルシトシン(Ara−C)により細胞消滅を受けるように誘導されたジャ
ーカット細胞で免疫した。細胞融合の3日前に、そのマウスを細胞状抗原(細胞
消滅ジャーカット細胞)を腹膜内注射することにより、上昇させた。免疫された
マウスからの脾臓細胞を前に記載の方法(K6hler及びMilstein「Nature」256,p
.495〜497,1975年)により、ポリエチレングリコールを用いて、ミエローマ細
胞と融合した。抗−7A6を細胞消滅を受けている細胞に対してスクリーンした。
市販の抗体イソタイプ試薬を用いて、それがIgG
1サブクラスであることを明らかにした(Amersham Life Science,イリノイ州
アーリントン・ハイト)。抗−7A6のための腹水をマウス中で生産し、タンパク
質Aアフィニティカラム(Pharmacia,ニュージャージー州,ピスカタウェイ)に
より腹水液から、前記抗体を精製した。
抗−7Cll(IgM)は、CD95(Fas/Apo−1)抗原(Robertson他「Leuk.Lymphoma
」17,p.51〜58,1995年)と反応性のマウスのモノクローナル抗体で、ロバー
トソン博士から提供された。フローサイトメトリーのためのアフィニティ精製さ
れたヤギ 抗−マウスIgG−FITC及び電子鏡検法のためのヤギ 抗−マウスIgG−
金複合体はジャクソン・イムノリサーチ・ラボラトリース(ペンシルベニア州ウ
ェスト・グローブ)及びアマシャム・ライフ・サイエンス(イリノイ州 アーリ
ングトン・ハイト)から得た。モノクローナルマウス 抗−α−チューブリン(I
gG1)Ara−C及び他のすべての化学試薬は、示されていなければシグマ・イムノ
ケミカルス(ミズーリ州 セトンルイス)から得た。
細胞培養及び細胞消滅の誘導
ヒトT細胞系統(ジャーカット、CEM,Molt−4及びHT−102)、B細胞系統(Raj
i,Daudi及びRamos)、組織球細胞系統(U−937)及び前骨髄球様細胞系統(HL
−60)をこの研究で用いた。すべての細胞系統を、10%ウシ胎児血清、0.45mMピ
ルビン酸及び2mM L−グルタミンを補足したRPMI1640媒体中に維持した。ヒト
末梢血液リンパ球を健康なドナーまたは、HIV感染ドナーから、Frcoll-Hypaque
(Pharmacia,ニュージャージー州,ピスカタウェイ)上で密度勾配遠心分離によ
り単離した。
細胞培養における細胞消滅の誘導のために、ジャーカット細胞を、前に記載し
たように(Zhang他「Cell.Immunol.」165,p.161
〜167)、Ara−Cまたは抗−CD95(Fas/Apo−1)で処理した。ヒト末梢血液リン
パ球、ジャーカット細胞及び他のすべての細胞系統における細胞消滅の誘導もγ
線照射に続いて37℃で1晩インキュベートすることによって行なった。放射量は137
Cs源を備えたGamma Cell-1000(Atomic Energy of Canada Limited,カナダ
国 オンタリオ州)を用いて、細胞内で1000〜3000ラドに変化させた。放射線照
射または細胞消滅誘導剤による細胞消滅細胞死はDNA断片化及び細胞形態学によ
って確認された。
ジギトニンにより細胞透過性を上げること及びフローサイトメトリーのための 免疫蛍光染色
ヒト末梢血液リンパ球または細胞系統を、前に記載した方法(Fiskum他「Proc
.Natl.Acad.Sci.USA」77,p.3430〜3434,1980年、Anderson他「J.Immuno
l.」143,p.1899〜1904)に小さな変更を加えて透過性を上げた。簡単に言う
と、氷上でPBS中の1%ホルマリンで20分間細胞を固定し、PBSで2回洗浄した。
次に細胞をジギトニン(Aldrich,ウイスコンシン州,ミルウォーキー)を用いて
氷上で5分間インキュベートすることにより透過性を上げた。ジギトニンの10mg
/mlの貯蔵溶液をジメチルスルホキシドに溶解することによって調製し、PBSを
用いて貯蔵溶液から希釈した最終濃度10μg/mlのものを細胞の透過性を上げる
ために用いた。ジギトニンにより細胞の透過性を上げたことは、トリパンブルー
の取り込みで確認した。透過性を上げることに続いて、細胞を洗浄し、免疫蛍光
染色のためにPBSに再懸濁した。
ジギトニンで透過性を上げたまたは上げない細胞を間接的免疫蛍光染色により
フローサイトメトリーのために抗体で標識した。100μlのモノクローナル抗体
上清または希釈された腹水を用いて氷上で40分間インキュベートした後、細胞(
約1×106細胞/試料)を
0.1%ウシ血清アルブミン及び0.01%のNaN3を含有するPBSで3回洗浄した。ア
フィニティ精製したヤギ 抗−マウスIgG−FITC複合体(1:500)を用いて更に4
0分間インキュベートした後、細胞を上記緩衝液中で3回洗浄し、フローサイト
メトリー分析のためにPBS中の1%ホルマリンで固定した。
細胞選択のための免疫蛍光標識化のため、2×107正常ジャーカット細胞及び
4×107 Ara−C処理ジャーカット細胞の混合物を抗−7A6に続いて、ヤギ 抗
−マウスIgG−FIFC複合体で染色した。インキュベート及び洗浄後、細胞をペレ
ット化し、次いで、1%ホルマリン中での固定の代りにPBS中に再懸濁した。Epi
cs V細胞選別機を用いて、試料を7A6−陽性及び陰性細胞集団について選択した
。分離された7A6−陽性及び陰性細胞の純度はフローサイトメトリーにより測定
されたものの98%より大きく、選択後の細胞亜集団をトリパンブルー排除により
調べた。次いで、7A6−陽性または陰性細胞を洗浄し、ペレット化し、DNA断片化
アッセイに用いた。
細胞溶解物の調製
正常細胞またはγ線照射もしくはAra−C処理ジャーカット細胞により引き起
こされた細胞消滅細胞を細胞培養から収集し、遠心分離によりPBSで2回洗浄し
た。細胞のペレットを、0.5%のトリトンX−100,50mMのTris−HCl(pH7.6),14
0mMのNaCl,5mMのEDTA,1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル及び2μg/m
lのアプロチニンを含有する溶解緩衝液中で溶解化した。氷上で40分間のインキ
ュベーション後、試料を4℃,14,000rpmで15分間遠心分離し、上清を下記のよ
うにELISA及び免疫ブロットのために収集した。
抗体の検出のためのELISA
標的抗原として細胞溶解物を用いるELISAアッセイを前記の方法(Cobbold及び
Waldmann.「J.Immunol.Meth.」44,p.125〜13
3,1981年)の変更により行った。ELISAプレートを、ポリ−L−リシン及びグル
タルアルデヒドを用いて、平底の、ポリスチレンFalconミクロ試験プレート(Be
cton Dickinson Labware,ニュージャージー州,リンカンパーク)のウェル上に
細胞タンパク質を付着させることにより調製した。1時間ポリ−L−リシンで処
理すると、プレートに、50μlの、1ウェル当り2.5×105細胞に等しい希釈され
た細胞溶解物を塗布した。室温で1時間インキュベートした後、プレートに50μ
lの新しく調製した0.2%のグルタルアルデヒドを満たし、15分間インキュベー
トした。プレートを空にし、PBSで1回洗浄した。100mMのグリシン及び0.1%の
ウシ血清アルブミンを含有する阻止緩衝液を加え、30分間インキュベートした。
次にプレートを0.2%のゼラチンで満たし、4℃で1晩インキュベートした。こ
のアッセイに用いたすべての溶液は正規のPBS(pH7.4)で調製した。試験抗体及
びヤギ 抗−マウスIgG−ペルオキシダーゼ(Jackson Immuno Research Laborat
ories,ペンシルベニア州ウエスト・グローブ)の希釈は10%正常ヤギ血清のPBS
溶液で行なった。
ELISA試験のために、モノクローナル抗体の種々の希釈(25μl/ウェル)を
下塗りされたプレートに加え、各抗体希釈物を3回試験した。マウス抗−α−チ
ューブリン及びイソタイプ調和−非反応性抗体をそれぞれ陽性対照、陰性対照と
して用いた。室温で1時間インキュベートした後、プレートを0.1%ゼラチン溶
液で3回洗浄し、10%の正常ヤギ血清を10分間インキュベートし、非特異的結合
を阻止した。次にプレートをヤギ 抗−マウスIgG−ペルオキシダーゼと30分間
インキュベートした。PBS中の0.5%Tween−20で洗浄後、プレートを室温で45分
間基質溶液(10mlの100mMクエン酸塩緩衝液、pH4.5に溶解した30mgのオルソ−フ
ェニレンジアミン及び4μlの30%過酸化水素)とインキュベートすることによ
り酵素反
応を進展させ、各ウェルに50μlの2.5M硫酸を加えることにより停止させる。
プレートを自動ELISA読み取り機(Dynatech Laboratories,Inc.バージニア州
アレキサンドリア)を用いて、492nMで読み取った。
免疫ブロットアッセイ
正常または細胞消滅細胞から調製された細胞溶解物をSDS−PAGE上で分離し、
ニトロセルロース膜(Schleicher & Schuell,ニューハンプシャー州,キーン)
上に移した。非特異的結合部位をブロックするために、PBS中の3%のウシ血清
アルブミンとインキュベートした後、膜を抗−7A6とインキュベートし、続いて
タンパク質−G−ペルオキシダーゼ複合体(Bio−Rad,カリフォルニア州リッチモ
ンド)とインキュベートした。各インキュベート後に、膜を0.05%のTween−20及
び0.1%のゼラチンを含有するTris−HCl緩衝液、pH7.6で4回洗浄した。免疫ブ
ロットを製造者の指示に従って、増強した化学発光(Amersham,イリノイ州,ア
ーリントン・ハイト)により検出した。
ミトコンドリアの単離
正常またはAra−Cにより誘導された細胞消滅ジャーカット細胞を洗浄し、10m
M HEPES(pH7.5),1.5mMのMgCl2,5mMのKCl及び250mMのスクロースを含有する氷
冷緩衝液に再懸濁し、次いでB型乳棒を用いるDounce均質化(Wheaton,ニュージ
ャージー州ミルビル)により破砕した。細胞オルガネラを含有する後−核の(po
st-nuclear)上清を1300gで5分間の遠心分離により収集した。ペレットを250m
Mのスクロース溶液に再懸濁し、再び遠心分離して上清を収集した。再遠心分離
からの上清をプールし、ミトコンドリアの単離に用いた。
ミトコンドリアをストリー(Storrie)とマデン(Madden)により
記載されたパーコール−メトリザミド(Percoll-metrizamide)(「In Methods i
n Enzymology」Vol.182,p.203〜225,1990年)を用いて、後−核の上清から単
離した。簡単に言うと、底層上に35%メトリザミド、第2層上に17%メトリザミ
ド、続いて6%パーコールを積載した遠心管中に、不連続の密度勾配を調製した
。
すべての勾配溶液を250mMスクロース中で調製した。細胞オルガネラを含有す
る後−核の上清をパーコール層の一番上に載せた。4℃で、20,000rpmで、20分
間の遠心分離後、ミトコンドリアは17%と35%のメトリザミド層の境界面に富化
された。生じたミトコンドリアを洗浄し、遠心分離によりペレット化した。
電子鏡検法のための免疫金染色
正常またはAra−C処理ジャーカット細胞を、前記のように(Griffiths及びHo
ppeler「J.Histochem.Cytochem.」34,p.1389〜1398,1986年)、固定化し
、凍結切片のために準備した。切片を抗−7A6またはイソタイプ調和した対照抗
体で標識化し、次いで、ヤギ 抗−マウスIgGと複合化して10nMの金粒子とした
。洗浄及び処理後、試料を電子顕微鏡で検査した。
細胞または正常及びAra−C処理ジャーカット細胞から単離されたミトコンド
リアも、予備包埋標識化アッセイ(pre-embedding labeling assay)を用いて電
子顕微鏡により免疫金粒子について検査した。上記のように固定され、ジギトニ
ンにより透過性を上げた後、細胞または単離されたミトコンドリアを第1段階試
薬として抗−7A6または対照抗体で染色し、第2試薬として、ヤギ 抗−マウスI
gG−金複合体で染色した。インキュベート及び洗浄後、試料を遠心分離によりペ
レット化し、ゼラチン媒体中に包埋した。試料を超ミクトトームで切片にし、電
子顕微鏡で調べた。
放射線照射、Ara-Cまたは抗−CD95(Fas/Apo−1)を用いる 処理により誘導された、細胞消滅細胞、及び正常な細胞と抗−7A6との反応性
抗−7A6は照射、Ara−Cまたは抗−CD95(Fas/Apo−1)を用いる処理により
誘導された細胞消滅細胞と反応するが、正常な細胞と反応することができないこ
とが分かった。
マウスのIgG1イソタイプの抗体である抗−7A6を、腫瘍細胞系統である、Ara
−C処理ジャーカット細胞で免疫されたマウスの脾臓細胞に由来するハイブリド
ーマから、スクリーンし、クローン化した。Ara−Cは、微モル濃度で効果的に
ジャーカット細胞に細胞消滅細胞死を受けさせる、抗−代謝剤である。Ara−C
の存在で培養すると、ジャーカット細胞は、細胞消滅の特徴である、DNAのヌク
レオソーム内断片への切断を示す。形態学的には、これらの細胞は、表面微絨の
喪失、細胞質の凝縮、核の崩壊及び細胞消滅体を示す(図1A)。正常細胞に対
比して、Ara−C誘導細胞消滅により死につつある細胞は著しく縮み、同じ倍率
を用いて電子顕微鏡で測定した時、その大きさは20〜30%減少していた(図1)
。
抗−7A6とジャーカット細胞との反応性を最初に間接的蛍光染色技術を用いて
、フローサイトメトリーによって試験した。図2は、透過性を上げなかったが、
ジギトニンで透過性を上げた、正常な及び細胞消滅細胞に対する、7A6抗原のフ
ローサイトメトリープロフィルを示す。図2Aから分かるように、正常細胞では
抗−7A6の反応性は検出されなかった。これに対して、細胞をジギトニンにより
透過性を上げなかった時ですら、抗−7A6は、γ−線照射、Ara−Cまたは抗−CD
95(Fas/Apo−1)による処理により誘導された細胞消滅を受けているジャーカ
ット細胞を染色することが見い出された。
しかしながら、この抗体は、Con−AまたはPMAを包含するマイ
トジェンにより活性化されたジャーカット細胞を標識することができなかった。
さらに抗−7A6の反応性を確認するために、正常または細胞消滅ジャーカット細
胞をジギトニンで細胞の透過性を上げ、抗体で染色し、その後免疫蛍光フローサ
イトメトリーを行った(図2B)。正常または細胞消滅ジャーカット細胞のいず
れにも反応性を示さない、イソタイプ調和した対照抗体と比較して、抗−7A6は
、時間経過に依存するような風に、Ara−C処理ジャーカット細胞と反応したが
、ジギトニンによって細胞の透過性を上げた時ですら、未処理ジャーカット細胞
とは反応しなかった。予想したように、モノクローナル抗−チューブリンは、ジ
ギトニンで透過性を上げた後の正常及び細胞消滅ジャーカット細胞を染色した。
図2参照。
HIV感染した末梢血液リンパ球中の細胞消滅細胞を検出し、定量する、抗−7A6
の能力も試験した。感染したドナーからのPBLを、T細胞の活性化を誘導する薬
剤である、CD3またはPMAのいずれかで処理した。次に、対照抗体または抗−7A6
を用いて活性化された細胞にサイトメトリー分析を行なった。対照に比較して、
抗−7A6は細胞消滅を受けているHIV感染したPBLを検出及び定量することが見い
出された。図7A−7D参照。
ヒト末梢血液リンパ球及び細胞系統と抗−7A6との反応性を下記表1に要約し
た。フローサイトメトリーによって測定したように、抗−7A6は、ジギトニンで
細胞の透過性を上げたかどうかにかかわらず、試験した正常なヒト末梢血液リン
パ球及びすべての細胞系統を染色できなかった。しかしながら、細胞がγ−線照
射またはAra−C処理により細胞消滅を受けるように誘導された時、7A6−陽性細
胞のパーセントは種々の細胞系統で変化したけれども、抗−7A6は広くこれらの
細胞と反応した。
表 1
ヒト造血細胞*との抗−7A6の反応性 *ジギトニンで透過性を上げたもしくは上げない正常細胞または3000ラドでγ
−線照射により誘導された細胞消滅細胞を抗−7A6で標識した。抗−7A6の反応性
をフローサイトメトリーにより測定した。
結果を次のように示す:− =バックグラウンド対照よりも
<5%陽性細胞。
+ =10〜50%及び
++ =>50%。
**nt=試験せず。
更に抗−7A6の特異性を試験するために、標的抗原として細胞溶解物を用いて
、ELISAを実施した(図3)。抗−7A6は、照射またはAra−C処理ジャーカット
細胞から調製した溶解物と反応することが見い出された。細胞消滅ジャーカット
細胞からの細胞溶解物については、抗−7A6についてのELISA吸収値はイソタイプ
調和した陰性の対照抗体のそれよりも少なくとも4倍大きかったのに対し、正常
細胞溶解物についての抗−7A6に対する吸収値はほぼ陰性の対照抗体のそれと同
じ位低かった。細胞消滅及び正常細胞から調製された細胞溶解物についてのヤギ
抗−チューブリンについてのELISA吸収値には顕著な差は認められなかった。
DNA 断片化分析
精製された7A6+細胞は、細胞消滅を受けている細胞のDNA断片化特性を示した
が、7A6−細胞は示さなかった。
DNA断片化は細胞消滅の普通の特徴であって、細胞消滅で死につつある細胞の
検出のための分子マーカーとして役に立つ。7A6+細胞が優先的にDNA断片化を受
けているかどうかを試験するために、抗−7A6及び細胞選別機を用いる特異的細
胞精製を行って、正常及びAra−C処理ジャーカット細胞の混合物から、7A6−陽
性細胞及び陰性細胞を選別した(図4A)。選別後、トリパンブルーで染色した
時、7A6+細胞は染料を遮断する能力を失ったが、7A6−細胞は失なわなかった。
DNAを両細胞集団から調製し、アガロースゲル電気泳動により分析した。4図に
示すように、7A6に陽性の細胞はアガロースゲル上にはしご模様のDNA断片を有す
ることが見い出された。それに対して、7A6−細胞集団にはDNAの断片化は検出さ
れなかった。
抗原の分子特性
抗−7A6は細胞消滅ジャーカット細胞から調製された細胞溶解物
に38KDのタンパク質を検出する。7A6抗原の分子特性を決定するために、ジャー
カット細胞溶解物を用いる免疫ブロットアッセイを行なった。細胞溶解物をトリ
トンX−100溶解緩衝液への溶解化により、正常、γ−線照射またはAra−C処理
ジャーカット細胞から調製した。細胞溶解物中のタンパク質を還元条件下でSDS
−ポリアクリルアミドゲル上に分離し、抗−7A6でブロットしたニトロセルロー
ス膜に移した。図5に示すように、抗−7A6は、照射またはAra−C処理により誘
導された、細胞消滅ジャーカット細胞から調製された、細胞溶解物中にほぼ38KD
の分子量の特異的タンパク質のバンドを検出した(レーン1及び2)。これに対
し、同じ実験条件下で正常なジャーカット細胞からの溶解物中に前記38KDのタン
パク質のバンドは検出されなかった。さらに、抗−7A6は、溶解緩衝液を含有す
るSDS中に調製された正常細胞溶解物から、前記38KDのタンパク質のバンドを検
出することができなかった。
抗−7A6により特徴づけられる分子は、ミトコンドリアの膜に局在化するよう である
抗−7A6を用いるジギトニンで透過性を上げた細胞の免疫金標識化を用いる、
電子鏡検法は、Ara−Cによって処理したジャーカット細胞のミトコンドリアの
オルガネラ上に抗原のとぎれとぎれの分布を明らかにした。凍結した切片への免
疫反応性は抗−7A6がミトコンドリアを標識するが、他のオルガネラに関連する
タンパク質を標識しないことを示した(図6A及び6B)。しかしながら、最も
顕著な抗−7A6の標識化は単離されたミトコンドリアに認められた(図6C及び
6D)。ミトコンドリアは正常またはAra−C誘導細胞消滅ジャーカット細胞か
らパーコール−メトリザミド勾配遠心分離により単離され、免疫金標識化前にジ
ギトニンにより透過性を上げた。抗−7A6は、細胞消滅ジャーカット細胞から単
離されたミト
コンドリアの膜に沿って抗原を標識することが見い出された(図6C)。より高
い倍率の電子顕微鏡写真では、7A6の免疫標識はミトコンドリアの内膜上に直接
に重なるが、ミトコンドリアのマトリックス内には重ならないように見えること
が認められた(図6D)。これに対し、抗−7A6は、正常のジャーカット細胞か
ら単離されたミトコンドリアと反応性を示さなかった(図6E)。イソタイプ調
和対照抗体を同じ条件下で用いた時、細胞消滅ジャーカット細胞から単離された
ミトコンドリア上に免疫金標識は認められなかった(図6F)。
抗−7A6は、その発現が細胞消滅を受けている細胞に制限されているように見
える、ミトコンドリアの膜タンパク質上に露出されたエピトープを同定する。本
発明のモノクローナル抗体及び免疫反応性断片は、正常細胞から細胞消滅細胞を
区別し、細胞消滅の分子メカニズムを研究し、細胞消滅関連病からの試料を診断
し、そして、細胞消滅の新規なアゴニストまたはアンタゴニストを同定するのに
用いることができる。
病因における細胞消滅の役割及び病気の治療を詳しく記載する、トンプソンに
よる記事(「Science」267,p.1456〜1462,1995年)に触れる。トンプソンに
言及されるように、ホメオスタシスは、細胞増殖と細胞死の間のバランスによっ
て、維持されている。生理的細胞死は「細胞自殺」または「細胞消滅」によって
、主として起こる。細胞生存における改変は、がん、ウイルス感染、自己免疫病
、神経変性疾患及びAIDS(後天性免疫欠損症候群)を包含する多数のヒトの病気
の病因に貢献し、したがって、細胞消滅の閾値を特異的に変更するように設計さ
れた治療は、これらの関連する病気の自然の進行を変える可能性があり得る。
特に、がんは細胞消滅の阻止に関係するのに対し、AIDSは増加し
た細胞消滅に関連することが公知である。抗体(抗−7A6)が、がん及びAIDSの両
方についての診断的な用途において、細胞消滅細胞を検出し、区別し、監視また
は定量する方法に用いることができることは本発明の範囲内である。
更に、本発明の抗体は、細胞消滅を阻止または誘導する新規な薬剤をスクリー
ンするアッセイに用いることができる。たとえば、本発明の抗−7A6抗体を用い
て、治療または治療されていない腫瘍の試料における細胞消滅細胞のレベルを比
較するインビトロアッセイを用いて、発がん性細胞に細胞消滅を誘導する薬剤を
、同定できる。同様に、本発明の抗体は、たとえば、活性化されたHIV感染PBLの
細胞消滅を阻止する薬剤を同定するのにも用いることができる。
寄託
抗−7A6モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞の培養を、アメリ
カン・タイプ・カルチュア・コレクション(A.T.C.C.)、米国,20852,メリー
ランド州ロックヒル・パークローンドライブ12301に1996年3月14日に寄託し、A
.T.C.C.番号HB−12065号を与えられた。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
G01N 33/577 C12N 5/00 B
(72)発明者 チャン,チョンハイ
アメリカ合衆国,マサチューセッツ
02146,ブルックリン,チェストナット
ストリート 91