【発明の詳細な説明】
ベンゾチオフェンカルボン酸アミド誘導体およびそれを含有するPGD2拮抗剤
技術分野
本発明は、ベンゾチオフェンカルボン酸アミド誘導体、その中間体、それを含
有する医薬組成物、PGD2(プロスタグランジンD2)拮抗剤および鼻閉治療剤
に関する。
背景技術
本発明化合物に類似するビシクロ環アミド誘導体の一部のものはトロンボキサ
ンA2(TXA2)拮抗剤として有用であることが記載されている(特公平3−5
3295号明細書)。しかしながら、特公平3−53295号に記載された化合
物については、いずれもTXA2拮抗剤としての有用性が開示されているにすぎ
ず、本発明で明らかにされたPGD2拮抗剤としての用途については、何ら示唆
されていない。また、ビシクロ環スルホンアミド誘導体の中間体として、ビシク
ロ環アミド誘導体が記載されている(特公平5−79060号明細書、特公平6
−23170号明細書およびChem.Pharm.Bull.Vol.37,No.6 1524-1533(1989
))が、本発明化合物とはアミドに結合する置換基が異なっている。また、WO
97/00853に、本発明化合物に類似する化合物の一部のものはPGD2
拮抗剤として有用であることが記載されている。しかし、WO 97/0085
3に開示されている化合物が好酸球浸潤に対する阻害活性を有することは示唆さ
れていない。
TXA2は、その作用として血小板凝集作用、血栓形成作用等があるため、T
XA2拮抗剤は、TXA2に拮抗することで、抗血栓剤、心筋梗塞、喘息の治療剤
として有用であると考えられている。
一方、本発明のPGD2拮抗剤は、PGD2の生産過多に起因する症状の改善、
詳しくは、肥満細胞機能不全が関与する疾患、例えば全身性肥満細胞症及び全身
性肥満細胞活性化障害の治療剤、さらには抗気管収縮剤、抗喘息剤、抗アレルギ
ー性鼻炎剤、抗アレルギー性結膜炎剤、抗蕁麻疹剤、虚血再灌流傷害治療薬、抗
炎症剤、アトピー性皮膚炎として有用である。
PGD2は肥満細胞から産生遊離される最も主要なプロスタノイドであり、免
疫学的あるいは非免疫学的刺激により活性化されたシクロオキシゲナーゼ(cyclo
oxygenase)により、アラキドン酸(arachidonic acid)からPGG2、PGH2
を経て産生される。PGD2は種々の強力な生理的、病的な作用を有する。例え
ば、強い気管収縮を起こし気管支喘息の病態を形づくり、さらに全身性アレルギ
ー状態においては末梢血管を拡張しアナフィラキシーショックの原因となる。と
りわけPGD2をアレルギー性鼻炎の鼻閉症状の発現の原因物質の一つであると
する考えが注目を集めている。そのため、鼻閉症状の軽減を目的とする薬物とし
てPGD2の生合成阻害剤、あるいは受容体拮抗剤の開発が考えられている。P
GD2の生合成阻害剤は他の生体内でのプロスタグランジン類の合成に大きな影
響を及ぼす可能性があることから、PGD2受容体に特異的なPGD2受容体拮抗
剤(遮断薬)の開発が望まれている。
発明の開示
本発明者らは、PGD2受容体に特異的なPGD2受容体拮抗剤(遮断薬)を開
発するために鋭意、研究した結果、下記一般式(I)で示される化合物もしくは
その塩またはそれらの水和物がPGD2受容体拮抗剤として強力な作用を有し、
かつ好酸球浸潤抑制作用を有し、鼻閉治療剤として有用であることを見い出し、
本発明を完成するに至った。なお、PGD2拮抗作用を有する本発明化合物は、
公知のTXA2拮抗作用を有する化合物と比べてその作用点、機序が異なると共
に、適応も異なり、全く異なる性質のものである。
即ち、本発明は式(I):
(式中、
は
を表わし、
Rは水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アシルオキシまたは
置換されていてもよいアリールスルホニルオキシを表わし、Xは水素またはアル
キルを表わし、α鎖の二重結合はE配置またはZ配置を表わす。ただし、式:
(式中、R1aは水素、アルキルまたはアルコキシを表し、Xは前記と同意義であ
り、α鎖の二重結合はE配置またはZ配置を表わす。)で示される化合物を除く
。)で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水和物を
提供する。
本明細書において、式(I)中、基:
(式中、Xは前記と同意義である)
が結合した鎖をα鎖といい、基:
(式中、Rは前記と同意義である)
が結合した鎖をω鎖という。
また、α鎖の二重結合E配置またはZ配置を表わす。
図面の簡単な説明
図1は抗原誘発による鼻腔内好酸球浸潤に対する化合物(IA−a−5)の作
用を示す図である。図中、白いカラムは卵白アルブミンの代わりに生理食塩水を
点鼻した群、黒いカラムは抗原を点鼻し、炎症反応を惹起し、本発明化合物(I
A−a−5)を投与しなかった群、灰色のカラムは抗原を点鼻し、炎症作用を惹
起し、本発明化合物(IA−a−5)を投与した群である。また、**はビークル
群に対してp<0.01であることを示す。
発明を実施するための最良の形態
具体的には、式(IA):
(式中、RおよびXは前記と同意義であり、α鎖の二重結合はE配置またはZ配
置を表わす。ただし、式:
(式中、R1aは水素、アルキルまたはアルコキシを表し、Xは前記と同意義であ
り、α鎖の二重結合はE配置またはZ配置を表わす。)で示される化合物を除く
。)
で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水和物が挙げ
られる。
同様にして、式(IB):
(式中、RおよびXは前記と同意義であり、α鎖の二重結合はE配置またはZ配
置を表わす。)で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれら
の水和物が挙げられる。
さらに詳しくは、式(IA)で示される化合物の具体例として、
(式中、R1はハロゲン、ヒドロキシ、アシルオキシまたは置換されていてもよ
いアリールスルホニルオキシを表し、RおよびXは前記と同意義であり、α鎖の
二重結合はE配置またはZ配置を表わす。)で示される化合物が挙げられる。
好ましくは、式(IA−a)、(IA−b)、(IA−c)、(IA−d)ま
たは(IA−b')で示される化合物が挙げられる。特に、好ましくは、式(I
A
−a)で示される化合物が挙げられる。
同様に式(IB)で示される化合物の具体例として、(式中、RおよびXは前記と同意義であり、α鎖の二重結合はE配置またはZ配
置を表わす。)で示される化合物が挙げられる。
また、好ましくは、(IB−a’)または(IB−b’)で示される化合物が
挙げられる。
さらに別の態様として、式(I)、(IA)、(IB)、(IA−a)、(I
A−b)、(IA−c)、(IA−d)、(IA−b’)、(IB−a’)また
は(IB−b’)において、α鎖の二重結合がE配置である化合物が挙げられる
。
同様にして、式(I)、(IA)、(IB)、(IA−a)、(IA−b)、
(IA−c)、(IA−d)、(IA−b’)、(IB−a’)または(IB−
b’)において、α鎖の二重結合がZ配置である化合物が挙げられる。
同様にして、式(I)、(IA)、(IB)、(IA−a)、(IA−b)、
(IA−c)、(IA−d)、(IA−b’)、(IB−a’)または(IB−
b’)において、Rが臭素、フッ素、ヒドロキシ、アセトキシまたはフェニルス
ルホニルオキシであり、Xが水素である化合物が挙げられる。
同様にして、式(I)、(IA)、(IB)、(IA−a)、(IA−b)、
(IA−c)、(IA−d)、(IA−b’)、(IB−a’)または(IB−
b’)において、Rが水素、メチルまたはメトキシであり、Xが水素である化合
物が挙げられる。
また中間体として、式(V):
(式中、Y環およびRは前記と同意義である)で示される化合物が挙げられる。
さらに別の中間体として、式(VI):
(式中、Y環およびRは前記と同意義である)で示される化合物が挙げられる。
さらに別の中間体として、式(IIIa):
(式中、R2はアシルオキシまたは置換されていてもよいアリールスルホニルオ
キシを表し、R3はヒドロキシまたはハロゲンを表す。)で示される化合物が挙
げられる。
好ましくは、式(IIIb):
(式中、R2およびR3は前記と同意義である。)または、式(IIIc):
(式中、R2およびR3は前記と同意義である。)で示される化合物が挙げられる
。
特に好ましくは、R3がヒドロキシ、R2がフェニルスルホニルオキシまたはア
セチルオキシである式(IIIa)、式(IIIb)および式(IIIc)で示
される化合物が挙げられる。
さらに別の態様として、式(I)で示される化合物を含有する医薬組成物、P
GD2拮抗剤が挙げられ、特に鼻閉治療剤として有用である。本発明のPGD2拮
抗剤は、炎症性細胞の組織への浸潤をも抑制する。「炎症性細胞」とは、全ての
リンパ球、好酸球、好中球およびマクロファージを含み、好ましくは好酸球であ
る。
本発明の化合物(I)はPGD2受容体と結合することによるPGD2拮抗作用
を示し、PGD2の生産過多に起因する肥満細胞機能不全と関連した疾患の治療
剤として有用である。例えば全身性肥満細胞症や全身性肥満細胞活性化障害の治
療剤、抗気管収縮剤、抗喘息剤、抗アレルギー性鼻炎剤、抗アレルギー性結膜炎
剤、抗蕁麻疹剤、虚血再灌流傷害治療薬、抗炎症剤、アトピー性皮膚炎として用
いることができる。また、本発明化合物(I)は、炎症性細胞の浸潤抑制作用を
示す。特に、本発明化合物(I)は鼻閉症の治療剤として有用である。
本明細書において用いる各種語句の定義は、以下の通りである。
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
「アシルオキシ」における「アシル」とは、脂肪族カルボン酸由来のC1〜C
9のアシルを意味し、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、
バレリル等が挙げられる。「アシルオキシ」とは、前記の「アシル」から誘導さ
れるアシルオキシを意味し、例えば、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリ
ルオキシ、バレリルオキシ等が挙げられる。
「アリール」とは、C6〜C14の単環または縮合環を意味し、例えば、フェ
ニル、ナフチル(例えば、1−ナフチル、2−ナフチル)、アンスリル(例えば
、1−アンスリル、2−アンスリル、9−アンスリル)等が挙げられる。アリー
ルの置換基としては、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ等が挙げら
れる。
「アルキル」とは、C1〜C6の直鎖状または分枝状のアルキルを意味し、例
えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル
、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、t−
ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
「アルコキシ」とは、C1〜C6のアルコキシを意味し、例えば、メトキシ、
エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ等が挙げられる。
一般式(I)の化合物の塩としては、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナ
トリウム塩もしくはカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、(例えば、カルシウ
ム塩等)、有機塩基(例えば、トロメタミン、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、2−アミノブタン、t−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、n−
ブチルメチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−イ
ソプロピルシクロヘキシルアミン、フルフリルアミン、ベンジルアミン、メチル
ベンジルアミン、ジベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2−ク
ロロベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、1−ナフチルメチルアミン
、ジフェニルベンジルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン、1−
アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、デヒドロアビエチルアミン、N
−メチルモリホリンもしくはピリジン)との塩、またはアミノ酸塩(例えば、リ
ジン塩もしくはアルギニン塩等)を挙げることができる。
一般式(I)の化合物の水和物は、本発明化合物(I)と任意の割合で配位して
いてもい。
本発明化合物は、一般式(I)で示され、可能な立体配置を表わし、α鎖中の
二重結合はE配置またはZ配置であることを表わし、ビシクロ環に結合する結合
手はR配置またはS配置であることを表わし、その全ての立体異性体(ジアステ
レオマー、エピマー、エナンチオマーなど)、ラセミ体又はそれらの混合物を含
む。
本発明化合物の一般的調製法を以下に示す。尚、障害となる置換基を有する基
である場合には、予め保護し、望ましい段階でその保護基を除去すれば良い。製造法1 (式中、Y環、XおよびRは前記と同意義であり、α鎖の二重結合はE配置また
はZ配置を表わす)
一般式(I)で示される化合物は、上記反応式で示されるごとく、一般式(II
)で示されるアミノ化合物に一般式(III)で示されるカルボン酸またはその
反応性誘導体を反応させることにより製造することができる。
本反応法における原料化合物(II)中、
が
である化合物は、特公平6−23170号明細書に記載されている。また、
が
である化合物は、特開昭61−49号明細書および特開平2−180862号明
細書に記載されている。
一般式(III)で示されるカルボン酸とは、4−ブロモベンゾ[b]チオフ
ェン−3−カルボン酸、5−ブロモベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸、
6−ブロモベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸、7−ブロモベンゾ[b]
チオフェン−3−カルボン酸、5−フルオロベンゾ[b]チオフェン−3−カル
ボン酸、6−フルオロベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸、4−ヒドロキ
シベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸、5−ヒドロキシベンゾ[b]チオ
フェン−3−カルボン酸、6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボ
ン酸、7−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸、5−アセトキ
シベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸、ベンゾ[b]チオフェン−3−カ
ルボン酸、5−ベンゾスルホニルオキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン
酸、5−メチルベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸、6−メチルベンゾ[b]
チオフェン−3−カルボン酸、5−メトキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボ
ン酸、6−メトキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸である。これらのカ
ルボン酸は、それぞれ前記定義の置換基を有することができる。
これらのカルボン酸は、日本化学雑誌88巻、7号、758-763(1967)、日本化学
雑誌86巻、10号、1067-1072(1965)、J.Chem.Soc(c)1899-1905(1967)、J.Het
erocycle.Chem.10巻、679-681(1973)、J.Heterocycle.Chem.19巻、1131-113
6(1982)、J.Med.Chem.29巻、1637-1643(1986)記載の方法に準じて合成できる
ものである。
一般式(III)で示されるカルボン酸の反応性誘導体とは、対応する酸ハロ
ゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、沃化物)、酸無水物(例えば、ぎ酸もしく
は酢酸との混合酸無水物)、活性エステル(例えば、スクシンイミドエステル)
などを意味し、通常アミノ基のアシル化に使用するアシル化剤を包含する。例え
ば、酸ハロゲン化物とするときは、ハロゲン化チオニル(例えば、塩化チオニル)
、ハロゲン化リン(例えば、三塩化リン、五塩化リン)、ハロゲン化オギザリル(
例えば、塩化オギザリル)等と公知の方法(例えば、新実験化学講座14巻17
87頁(1978);Synthesis 852-854(1986);新実験化学講座22巻
115頁(1992))に従って反応させればよい。
反応は通常のアミノ基のアシル化反応の条件に従って行えばよく、例えば、酸
ハロゲン化物による縮合反応の場合、溶媒としてエーテル系溶媒(例えば、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、ベンゼン系溶媒(例えば、
ベンゼン、トルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、ジクロ
ロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)、その他、酢酸エチル、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルおよびそれらの含水溶媒な
どを使用し、要すれば塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジ
メチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンなどの有機塩基、あるいは水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基)の存在下、冷却下
ないし室温あるいは加熱下、好ましくは−20℃ないし氷冷下あるいは室温ない
し反応系の加熱還流温度で、数分ないし数10時間、好ましくは0.5時間ない
し24時間、より好ましくは1時間ないし12時間実施すればよい。また、カル
ボン酸を反応性誘導体とはせずに、遊離のまま使用する場合には、アミンとカル
ボン酸の縮合反応に使用する縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド
(DCC)、1−エチル−3−(3−メチルアミノプロピル)カルボジイミド、
N,N’−カルボニルジイミダゾール)の存在下に反応させる。
また、本発明化合物(I)は以下の方法でも製造することができる。製造法2 (式中、Y環、RおよびXは前記と同意義であり、α鎖の二重結合はE配置また
はZ配置を表わす。)
(第1工程)
本工程は、一般式(IV)で示されるアミノ化合物に一般式(III)で示さ
れるカルボン酸またはその反応性誘導体を反応させ、一般式(V)で示される化
合物にする工程であり、製造法1と同様にして製造することができる。尚、一般
式(IV)で示されるアミノ化合物の一部については、その製造方法がChem.Pha
rm.Bull.Vol.37,No.6 1524-1533(1989)に記載されている。
(第2工程)
本工程は、一般式(V)で示される化合物を酸化し、一般式(VI)で示され
るアルデヒド化合物にする工程である。本工程は、酸化剤として、クロム酸系の
酸化剤、例えばジョーンズ試薬、コリンズ試薬、ピリジニウム・クロロクロメー
ト、ピリジニウム・ジクロメート等を用い、塩素化炭素水素系のクロロホルム、
ジクロロメタン、エーテル系のエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはアセ
トン、ベンゼン等の溶媒中、冷却下または室温で数時間実施すればよい。この工
程は、適当な活性化剤とジメチルスルホキシドの組合せを用いることにより達成
される。活性化剤としては、例えばトリフロロ酢酸無水物、塩化オキサリル等を
用いればよい。必要に応じてトリエチルアミン、ジエチルアミンのような有機塩
基を加えてもよい。
(第3工程)
本工程は、一般式(VI)で示されるアルデヒド化合物のα鎖を構築し、一般
式(I)で示される化合物にする工程である。本工程は、一般式(VI)で示さ
れるアルデヒド化合物にα鎖の残余部分に対応するイリド化合物をウィッティッ
ヒ(Wittig)反応の条件に従って反応させ製造すればよい。また、α鎖の残余部
分に対応するイリド化合物は、対応するハロゲン化アルカン酸もしくはそのエス
テル誘導体、エーテル誘導体、アミド誘導体とトリフェニルホスフィンとを塩基
の存在下、公知の方法に従い反応させ合成することができる。
他の反応性誘導体あるいは遊離の酸とアミン(II)または(IV)との反応
においても、各反応性誘導体あるいは遊離酸の性質に応じて、公知の方法に従い
、反応条件を定めればよい。反応生成物は通常の精製法、例えば、溶媒抽出、ク
ロマトグラフィー、再結晶法などにより、精製することができる。
本発明目的化合物(I)において、所望により、対応するエステル誘導体とす
ることもできる。例えば、エステル誘導体はカルボン酸を公知の方法に従いエス
テル化することにより製造することができる。また、所望により、反応条件によ
って、E体、Z体またはそれらの混合物が生成する。
本発明の化合物(I)を治療に用いるには、通常の経口又は非経口投与用の製
剤として製剤化する。本発明の化合物(I)を含有する医薬組成物は、経口及び
非経口投与のための剤形をとることができる。即ち、錠剤、カプセル剤、顆粒剤
、散剤、シロップ剤などの経口投与製剤、あるいは、静脈注射、筋肉注射、皮下
注射などの注射用溶液又は懸濁液、吸入薬、点眼薬、点鼻薬、坐剤、もしくは軟
膏剤などの経皮投与用製剤などの非経口製剤とすることもできる。
これらの製剤は当業者既知の適当な担体、賦形剤、溶媒、基剤等を用いて製造
することができる。例えば、錠剤の場合、活性成分と補助成分を一緒に圧縮又は
成型する。補助成分としては、製剤的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例、
トウモロコシでん粉)、充填剤(例、ラクトース、微結晶性セルロース)、崩壊
剤(例、でん粉グリコール酸ナトリウム)又は滑沢剤(例、ステアリン酸マグネ
シウム)などが用いられる。錠剤は、適宜、コーティングしてもよい。シロップ
剤、液剤、懸濁剤などの液体製剤の場合、例えば、懸濁化剤(例、メチルセルロ
ース)、乳化剤(例、レシチン)、保存剤などを用いる。注射用製剤の場合、溶
液、懸濁液又は油性もしくは水性乳濁液の形態のいずれでもよく、これらは懸濁
安定剤又は分散剤などを含有していてもよい。吸入剤として使用する場合は吸入
器に適応可能な液剤として、点眼剤として使用する場合も液剤又は懸濁化剤とし
て用いる。特に鼻閉症治療のための点鼻薬として用いる場合、通常の製剤化の方
法に従って、液剤、懸濁化剤として用いるか、あるいは粉末化剤(例、ヒドロキ
シプロピルセルロース、カーボポール)等を加え、粉末剤として鼻孔に加える。
あるいは、低沸点の溶媒とともに特殊な容器に充填し、噴射剤として用いること
ができる。
化合物(I)の投与量は、投与形態、患者の症状、年令、体重、性別、あるい
は併用される薬物(あるとすれば)などにより異なり、最終的には医師の判断に
委ねられるが、経口投与の場合、体重1kgあたり、1日0.01〜100mg、好
ましくは0.01〜10mg、より好ましくは0.01〜1mg、非経口投与の場合
、体重1kgあたり、1日0.001〜100mg、好ましくは0.001〜1mg、
より好ましくは0.001〜0.1mgを投与する。これを1〜4回に分割して投
与すればよい。
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、これらは単なる例示であり
本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例中における略語の意味を示す。
Me メチル
Ac アセチル
Ph フェニル参考例1 5−ベンゼンスルホニルオキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボニルクロリ ド (3)の製造 5−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン-3-カルボン酸(1)(M.Martin-Smit
hetal.J.Chem.Soc(C),1899-1905(1967)8.63g(44.4mmol))を80
%含水テトラヒドロフラン(160ml)と1N水酸化ナトリウム(44ml)に溶解
し、氷冷攪拌下に0.56N水酸化ナトリウム(87ml)とベンゼンスルホニルクロ
リド(6.2ml,48.4mmol)をpH11−12に保ち同時に滴下した。反応終
了後、水で希釈、アルカリ性にしてトルエン洗浄した。水層を攪拌下に濃塩酸を
加え弱酸性とし析出結晶を濾過、水洗、乾燥し5−ベンゼンスルホニルオキシベ
ンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸(2)を14.33g得た。
mp 202−203℃IR(Nujol):3102,2925,2854,2744,2640,2577,1672,1599,1558,1500,1460,1451 cm-1
元素分析(C15H10O5S2として)
計算値(%):C,53.88;H,3.01:S,19.18
実測値(%):C,53.83;H,3.03;S,19.04
前記で得た5−ベンゼンスルホニルオキシベンゾ[b]チオフェン−3−カル
ボン酸(2)(5.582g,16.7mmol)はジメチルホルムアミド(1滴)
、
塩化チオニル(3.57ml,50mmol)、トルエン(22ml)と1.5時間還流
後、溶媒を減圧で濃縮し目的化合物(3)を5.89g得た。参考例2 5−アセトキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボニルクロリド(5)の製造 前記で得た5−ベンゼンスルホニルオキシベンゾ[b]チオフェン−3−カル
ボン酸(2)(100mg,0.3mmol)を1N水酸化ナトリウム水溶液(1.
2ml)に溶解し、40℃で8時間攪拌した。1N塩酸水溶液(1.2ml)を
加え、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥し5−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェ
ン−3−カルボン酸(1)を58mg得た。収率96.6%。
mp262−263℃。
前記で得た5−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸(1)(
1,140mg)を無水酢酸(2ml)、ピリジン(4ml)に溶解し、3時間
後水を加え氷中冷却下1.5時間撹拌を続けた。析出した結晶を濾過、水洗、乾
燥し5−アセトキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸(4)を1,34
9mg得た。収率97.3%。
mp239−240℃。
前記で得た5−アセトキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸(4)(
1,349mg)はジメチルホルムアミド(1滴)、塩化チオニル(1.22m
l,17.13mmol)、トルエン(25ml)と1.5時間還流後、溶媒を
減圧
で濃縮し目的化合物(5)を1,454mg得た。参考例3 (1R,2S,3S,5S)−2−(2−アミノ−6,6−ジメチルビシクロ[ 3.1.1]ヘプト−3−イル)エタノール(IVA−b−1)および(1R, 2R,3S,5S)−2−(2−アミノ−6,6−ジメチルビシクロ[3.1. 1]ヘプト−3−イル)エタノール(IVA−c−1)の製造 化合物(6)(Chem.Pharm.Bull.Vol.37,No.6 1524-1533(1989)に記載)を前
記文献記載の方法に従ってナトリウム還元後、化合物(IVA−a−1)を安息
香酸塩として除いた母液79gを酢酸エチル(150ml)に懸濁1N−塩酸(2
60ml)を加え攪拌した。その2層を分液し、水層を4N−水酸化ナトリウム(
65ml)で塩基性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥後、減圧で溶媒を留去した。得られた油状物(30g)の内6
.7gを90%メタノール(40ml)に溶解し、イオン交換樹脂Amberlite CG-5
0(NH4 +)typeI(500ml)に吸着、水(2.2L)、1N−アンモニア水(2
.2L)を用いグラジエント法で溶出した。一画分(300ml)。薄層クロマト
グラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール:濃アンモニア水=90:1
0:1)で各画分を追跡した。画分3−8を集め、減圧で溶媒を留去し残留物を
ヘキサンから結晶化後、再結晶するとmp117−118℃の針状結晶が538
mg得られた。
IR(Nujol):339l,3293,3108,2989,2923,2869,2784,2722,2521,160l,1489,1466cm- 1
[α]D 23-2.5°(c=1.02,CH3OH)
元素分析(C11H21NOとして)
計算値(%):C,72.08;H,11.55;N,7.64
実測値(%):C,72.04;H,11.58;N,7.58
エックス線結晶解析から構造式は(1R,2R,3S,5S)−2−(2−ア
ミノ−6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト−3−イル)エタノール
(IVA−c−1)と決定された。
ヘキサン再結晶した母液(2.9g)を酢酸エチル(15ml)に溶解し、安息
香酸(1.93g)を含む酢酸エチルに溶液(30ml)を加えた。析出結晶を
ろ過によって集め、化合物(IVA−a−1)の安息香酸塩が2.93g得られ
た。mp182−183℃
画分10−17を集め、減圧で溶媒を留去し残留物(2.66g)を酢酸エチ
ル(15ml)に溶解し、安息香酸(1.77g)を含む酢酸エチルに溶液(11
ml)を加えた。析出結晶をろ過によって集め、針状結晶が4.08g得られた。
mp 160−161℃IR(Nujol):3320,2922,2854,2140,1628,1589,1739,1459,1389cm-1
[α]D 23-31.8°(c=1.01,CH3OH)
元素分析(C18H27NO3として)
計算値(%):C,70.79;H,8.91;N,4.59
実測値(%):C,70.63;H,8.86;N,4.58
エックス線結晶解析から構造式は(1R,2S,3S,5S)−2−(2−ア
ミノ−6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト−3−イル)エタノール
(IVA−b−1)と決定された。実施例1 (5Z)−7−{(1R,2R,3S,5S)−2−(5−ヒドロキシベンゾ[ b]チオフェン−3−イル−カルボニルアミノ)−6,6−ジメチルビシクロ[ 3.1.1]ヘプト−3−イル}−5−ヘプテン酸ナトリウム(IA−a−6) の製造 (第1工程)
特公平6−23170号明細書記載の化合物(IIA−a−1)(1,450
mg,5.2mmol)をテトラヒドロフラン(25ml)に溶解し、トリエチル
アミン(2.6ml,18.7mmol)と参考例1で得た5−アセトキシベン
ゾ[b]チオフェン−3−カルボニルクロリド(3)(1,454mg,1.1
mmol)を加え1.5時間撹拌した。反応混合物は水で希釈し、トルエン抽出
した。有機層を希塩酸、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃
縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル 9:1
)
で精製して化合物(IA−a−10)を2,481mg得た。収率96.1%。
[α]D23+48.0°(c=1.01%,CH3OH)
元素分析(C28H35NO5S・0.1H2Oとして)
計算値(%):C,67.34;H,7.10;N,2.80;S,6.42
実測値(%):C,67.23;H,7.12;N,2.86;S,6.59
(第2工程)
前記で得た化合物(IA−a−10)(2,357mg,4.73mmol)を
メタノール(25ml)に溶解し、4N−水酸化ナトリウム(4.1ml,16
.4mmol)を加えた。6時間撹拌後、1N−塩酸(17ml)で中和し水で
希釈、酢酸エチル抽出した。有機層を水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後
、減圧で濃縮した。残渣を酢酸エチル/n−ヘキサンから再結晶しプリズム状結
晶(IA−a−5)を1,859mg得た。収率86.5%。
mp 142−143℃
[α]D23+47.6°(c=1.01%,CH3OH)
元素分析(C25H31NO4Sとして)
計算値(%):C,68.00;H,7.08;N,3.17:S,7.26
実測値(%):C,67.93;H,7.08;N,3.19;S,7.24
(第3工程)
前記で得た化合物(IA−a−5)(203mg,0.46mmol)をメタ
ノール(3ml)に溶解し1N−水酸化ナトリウム(0.42ml,0.42m
mol)を加え溶媒を減圧で濃縮した。残渣を少量の酢酸エチルに溶かしn-ヘキ
サンで希釈した。不溶物をメタノールに溶かし減圧乾固して目的化合物(IA−
a−6)を210mg得た。
収率98.5% [α]D25+38.9°(c=1.00%,CH3OH)
元素分析(C25H30NO4SNa・0.5H2Oとして)
計算値(%):C,63.54;H,6.61;N,2.96;S,6.78;Na,4.86
実測値(%):C,63.40;H,6.69;N,3.13;S,6.73;Na,4.68実施例2 (5Z)−7−[(1R,2S,3R,5S)−2−(5−ヒドロキシベンゾ[ b]チオフェン−3−カルボニルアミノ)−6,6−ジメチルビシクロ[3.1 .1]ヘプト−3−イル]−5−ヘプテン酸(IA−b−1)の製造 (第1工程)
(1R,2S,3S,5S)−2−(2−アミノ−6,6−ジメチルビシクロ
[3.1.1]ヘプト−3−イル)エタノール(IVA−b−1)の安息香酸塩
(916mg,3mmol)を水(3ml)に懸濁し1N塩酸(3.1ml)を
加え析出した安息香酸は酢酸エチルで抽出した。水層を無水炭酸ナトリウム(7
00mg)を加えpH10.5とし5−ベンゼンスルホニルオキシベンゾ[b]チ
オフェン−3−カルボニルクロリド(3)(1.06g,3mmol)のテトラヒドロフラン
溶液(6ml)を滴下した。1.5時間後、反応溶液を水で希釈、トルエン抽出
した。有機層を水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で溶媒を留去した。
得られた残留物(1.5g)をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エ
チル1:1)で精製して化合物(VA−b−1)を1.497g得た。収率99
.8%
[α]D 23-31.1°(c=1.00,CH3OH)
元素分析(C26H29NO5S2・0.2H2Oとして)
計算値(%):C,62.05;H,5.89;N,2.78:S,12.74
実測値(%):C,62.03;H,5.93;N,2.79:S,12.72
(第2工程)
ジメチルスルホキシド(0.61ml,8.6mmol)の1,2−ジメトキ
シエタン(9.7ml)溶液を−60℃に冷却、オキサリルクロリド(0.37
ml,4.3mmol)を滴下した。15分後、前記で得た化合物(VA−b−
1)(1.427g,2.9mmol)の1,2−ジメトキシエタン(11ml
)溶液を同温度で加えた。30分攪拌後、トリエチルアミン(1.2ml)を加
え更に30分攪拌し、徐々に室温に戻した。反応溶液を水で希釈、トルエン抽出
した。有機層を水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で溶媒を留去した。
得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル6:4)
で精製して化合物(VIA−b−1)を1.338g得た。収率94.1%
[α]D 24-29.1°(c=1.01,CH3OH)
元素分析(C26H27NO5S2・0.4H2Oとして)
計算値(%):C,61.85;H,5.55;N,2.77:S,12.70
実測値(%):C,61.92;H,5.60;N,2.79;S,12.88
(第3工程)
4−カルボキシトリフェニルホスホニウム ブロミド(1.72g,3.9m
mol)とカリウムt-ブトキシド(1.016g,9mmol)をテトラヒドロ
フラン(9ml)に懸濁し氷冷下、1時間攪拌した。その反応混合物へ前記で得
た化合物(VIA−b−1)(1.288g,2.6mmol)のテトラヒドロ
フラン溶液(4ml)を6分で加え同温度で2時間攪拌を続けた。反応物を水(
15ml)で希釈、1N塩酸でpH10.5としトルエン(15ml)で2回洗浄
した。水層は1N塩酸でpH8.0に調整した後、無水塩化カルシウム(1.1
5g,10.4mmol)を加え酢酸エチル(15ml)で2回抽出した。有機
層を水(16ml)で希釈、水層を1N塩酸でpH2−3に調整し酢酸エチルで抽
出した。有機層を水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で溶媒を留去し化
合物(IA−b−1’)を1.44g得た。収率95.5%精製することなしに
次の反応にそのまま使用した。
(第4工程)
前記で得た化合物(IA−b−1’)(1.44g,2.6mmol)をジメ
チルスルホキシド(2.8ml)に溶解し、4N−水酸化ナトリウム(3.9m
l)を加え55℃で3時間加温攪拌した。反応物を水で希釈、トルエン(15m
l)で2回洗浄した。水層は1N塩酸で酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。
有機層を水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で溶媒を留去し目的化合物
(IA−b−1)を1.097g得た。収率95.9%
[α]D 25-43.0°(c=1.01,CH3OH)
元素分析(C25H31NO4S−0.2H2Oとして)
計算値(%):C,67.45;H,7.11;N,3.15;S,7.20
実測値(%):C,67.51;H,7.15;N,3.38;S,6.96実施例3 (5E)−7−[(1R,2R,3S,5S)−2−(5−ヒドロキシベンゾ[ b]チオフェン−3−イル−カルボニルアミノ)−6,6−ジメチルビシクロ[ 3.1.1]ヘプト−3−イル]−5−ヘプテン酸(IA−a−17)の製造 (5Z)−7−[(1R,2R,3S,5S)−2−(5−ヒドロキシベンゾ
[b]チオフェン−3−イル−カルボニルアミノ)−6,6−ジメチルビシクロ
[3.1.1]ヘプト−3−イル]−5−ヘプテン酸(IA−a−5)(11.
04g,25mmol)、1−メチルテトラゾール−5−イルジスルフィド(M.Naris
ada,Y,Terui,M,Yamakawa,F,Watanabe,M.Ohtani,and H.Miyazaki,J.Org.Che
m.,50 2794-2796(1985)記載の化合物4.32g,18.8mmol)、2,2’
−アゾビス(イソブチロニトリル)(2.84g,17.3mmol)をベンゼ
ン(1.1L)と8時間還流攪拌した。反応混合物を0.4N水酸化ナトリウム
(400ml)で2回抽出、水層を塩酸で酸性として析出沈殿物を濾過した。得ら
れた沈殿物(11.08g)をシリカゲルクロマトグラフィ(クロロホルム:メ
タノール 10:1)で精製した。得られた化合物(6.93g)をジメトキシ
エタン(69ml)に溶解4−メトキシベンジルアミン(2.15g)を加え引き
続きエーテル(120ml)で希釈し水冷下攪拌した。析出物を濾取し結晶性沈殿
物を7.45g得た。これを更にイソプロピルアルコール/酢酸エチル/エーテル
(2/10/5)で再結晶して精製した。
mp 108−111℃
[α]D 23+18.9°(c=1.00,CH3OH)
得られた4−メトキシベンジルアミン塩の異性体の純度をHPLCにより分析した
結果(E体):(Z体)=98.4:1.6であった。
[HPLC条件]カラム:YMC-pack AM-303-10(10μm.120A.ODS)(4.6mmΦX250mm);
流量:1ml/min;検出:UV 254nm;移動相:酢酸/水/アセトニトリル=0.1/52/48
;保持時間:(E−体)21分、(Z体)23分
精製して得られた4−メトキシベンジルアミン塩(1.6g)を水(25ml)
に懸濁、1N塩酸(25ml)で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗
、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で溶媒を留去して目的化合物(IA−a
−17)を1.21g得た。
[α]D 24+14.4°(c=1.01,CH3OH)
元素分析(C25H31NO4S・0.1H2Oとして)
計算値(%):C,67.72;H,7.09;N,3.16;S,7.23
実測値(%):C,67.59;H,7.26;N,3.35;S,7.39
上記実施例と同様にして製造した化合物および物性値を以下の表1〜14に示
す。
表1
表2表3表4表5表6表7表8表9表10表11表12表13表14 上記実施例で得た化合物につき、以下の実験例に示す方法で、インビボ及びイ
ンビトロ活性を試験した。実験例1
PGD2受容体の結合実験
試験材料及び試験方法
(1)ヒト血小板膜画分の調製
健常人(成人男性及び女性)の静脈より3.8%クエン酸ナトリウムの入った
プラスチック製シリンジにて採血した血液をプラスチック製試験管に入れ、軽く
転倒混和した後、室温で、1800rpm、10分間遠心分離し、上清の多血小板血漿[
PRP(Platelet rich plasma)]を採取した。このPRPをさらに室温、2300rpm、22
分間の遠心分離に付し、血小板を得た。得られた血小板はhomogenizer(Ultra-T
urrax)を用いてホモジナイズした後、4℃、20000rpm、10分間遠心分離を3
回行い、血小板膜画分を得た。膜画分は蛋白定量後、2mg/mlとし、結合実験に
供するまで−80℃で冷凍保存した。
(2)PGD2受容体の結合実験
結合反応液(50mM Tris/HCl,pH7.4,5mM MgC12)0.2mlに、
ヒト血小板膜画分(0.1mg)及び5nM[3H]PGD2(115Ci/mmol)を加
え、4℃で90分間反応させた。反応後ガラス繊維濾紙を用いて濾過し、冷生理
食塩水で数回洗浄し、濾紙に残った放射活性を測定した。特異的結合量は全結合
量から非特異的結合量(10μM PGD2存在下で、同様にして求めた放射活性
量)を差し引いた値とした。各化合物の結合阻害活性は、化合物非存在下での結
合量を100%とし、各化合物存在下での結合量(%)を求めて置換曲線を作成
することにより、50%抑制濃度(IC50値)を算出した。結果を表15に示す
。
表15
実験例2 ヒト血小板を使ったPGD2受容体の拮抗活性
あらかじめ1/9量のクエン酸−デキストロース液を添加したシリンジで健常
人から末梢血を採取し、180gで10分間遠心した後、上清(PRP:platele
t rich plasma)を採取する。得られたPRPを洗浄バッファーで3回遠心洗浄
した後、血小板数をミクロセルカウンターでカウントする。最終濃度5×108
個/mlとなるように調製した血小板浮遊液を37℃に加温後、3−イソブチル−
1−メチルキサンチン(0.5mM)で5分間前処置し、種々の濃度に希釈した化
合物を添加し、その10分後に0.1μMのPGD2を添加して反応を惹起した
。その2分後に塩酸を加えて反応を停止し、超音波ホモジナイザーにて血小板を
破壊し、遠心後その上清中のcAMPを放射アッセイにて定量する。薬物のPGD2
受容体拮抗活性はPGD2添加によって増加するcAMP量に対する抑制率を各濃度
で求め、50%の阻害を示す薬物濃度を算出して評価した。結果を表16に示す
。
表16
実験例3 鼻閉モデルによる実験
モルモットを用いる鼻腔抵抗の測定及び抗鼻閉作用の評価の方法を以下に示す
。1%卵白アルブミン(OVA)溶液を超音波ネブライザーでエアロゾル化し、
これをハートレイ(Hartley)系雄性モルモットに1週間隔で2回、各10分間
吸入させて感作し、その7日後に抗原を暴露して反応を惹起した。ペントバルビ
タール(30mg/kg,i.p.)麻酔下にモルモットの気管を切開して鼻腔側と肺側
にそれぞれカニューレを装着し、肺側には毎分60回、1回4mlの空気を送気す
る人工呼吸器を接続した。ガラミン(2mg/kg,i.v.)でモルモットの自発呼吸を
停止させた後、鼻腔側のカニューレより人工呼吸器を用いて毎分70回、1回4
mlの空気を送り、この送気に必要な空気圧を側枝に装着したトランスデューサー
を介して測定し、鼻腔抵抗の指標とした。抗原の暴露は3%OVA溶液のエアロ
ゾルを鼻腔内に3分間暴露することにより行った。被検薬物(10mg/kg)は抗
原暴露の60分前に経口投与した。成績は抗原暴露直後から30分後までの鼻腔
抵抗を連続的に測定し、その30分間のAUC(縦軸に鼻腔抵抗(cm H2O)、
横軸に時間(0〜30分間))を指標に、ビークルに対する抑制率として表示し
た。結果を表17に示す。
表17
実験例4 抗原誘発による鼻腔内好酸球浸潤に対する作用
ハートレイ系雄性モルモットにサイクロフォスファミド(30mg/kg)を
腹腔内注射し、2日後に卵白アルブミン(OVA)1mgと水酸化アルミニウム
100mgを含む懸濁液1mlを腹腔内注射した。その3週間後に追加免疫とし
てOVA 10μgと水酸化アルミニウム100mgを含む懸濁液1mlを腹腔
内注射して全身的に感作した。その3週間後から局所感作として1% OVAを
10μlずつ両鼻腔に2−4日間隔で4回点鼻し、最終点鼻感作5−7日後に抗
原誘発を行った。抗原誘発の5時間後、無麻酔下で点鼻し、モルモットを放血致
死させ、鼻腔内を10mlの生理食塩水で洗浄して液を回収した。回収した洗浄
液を遠心し、細胞を100μlの生理食塩水に再懸濁後、チュルク染色して総細
胞数をカウントした。その後、塗抹標本を作製し、メイグリュンワルド-ギムザ
染色を施した後細胞分類を行い、好酸球の割合を調べ総細胞数を掛けて細胞数を
求めた。尚、被験薬物(IA−a−5)は0.5%メチルセルロースに溶解し、
それぞれ1mg/kg、3mg/kg、10mg/kgとなるように、抗原誘発
の1時間前に経口投与した。結果を添付の図1に示す。
上記実験例1および2より、本発明化合物は強いPGD2拮抗作用を有し、実
験例4より、本発明化合物は好酸球の浸潤を有意に抑制し、実験例3より本発明
化合物は鼻閉に有用であることがわかる。
産業上の利用可能性
本発明は、PGD2拮抗剤、好酸球浸潤抑制剤、肥満細胞機能不全が関与する疾
患、全身性肥満細胞症及び全身性肥満細胞活性化障害の治療剤、さらには抗気管
収縮剤、抗喘息剤、抗アレルギー性鼻炎剤、抗アレルギー性結膜炎剤、抗蕁麻疹
剤、虚血再灌流傷害治療薬、抗炎症剤、アトピー性皮膚炎として有用である化合
物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水和物を提供する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年12月1日(1998.12.1)
【補正内容】
請求の範囲
1.式(I):
(式中、
は
を表わし、
Rは水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アシルオキシまたは
置換されていてもよいアリールスルホニルオキシを表わし、Xは水素またはアル
キルを表わし、α鎖の二重結合はE配置またはZ配置を表わす。ただし、式:
(式中、R1aは水素、アルキルまたはアルコキシを表し、Xは前記と同意義であ
り、α鎖の二重結合はE配置またはZ配置を表わす。)で示される化合物を除く
。)で示される化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水和物。
2.(補正後)が
である請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水
和物。
3.(補正後)
が
である請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水
和物。
4.(補正後)
が
であり、R1がハロゲン、ヒドロキシ、アシルオキシまたは置換されていてもよ
いアリールスルホニルオキシである請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許
容される塩またはそれらの水和物。
5.(補正後)が
である請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水
和物。
6.(補正後)
が
である請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水
和物。
7.(補正後)
が
である請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水
和物。
8.(補正後)
が
である請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水
和物。
9.(補正後)
が
である請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水
和物。
10.(補正後)
が
である請求項1記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水
和物。
11. α鎖の二重結合がE配置である請求項1〜10のいずれかに記載の化合
物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水和物。
12. α鎖の二重結合がZ配置である請求項1〜10のいずれかに記載の化合
物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水和物。
13. Rが臭素、フッ素、ヒドロキシ、アセトキシまたはフェニルスルホニル
オキシであり、Xが水素である請求項1〜12のいずれかに記載の化合物もしく
はその製薬上許容される塩またはそれらの水和物。
14. Rが水素、メチルまたはメトキシであり、Xが水素である請求項1〜3
または5〜10のいずれかに記載の化合物もしくはその製薬上許容される塩また
はそれらの水和物。
15. 式(V):(式中、Y環およびRは前記と同意義である。)で示される化合物。
16. 式(VI):
(式中、Y環およびRは前記と同意義である。)で示される化合物。
17. 式(IIIa):
(式中、R2はアシルオキシまたは置換されてもよいアリールスルホニルオキ
シを表わし、R3はヒドロキシまたはハロゲンを表わす。)で示される化合物。
18.(補正後)式(IIIb):
(式中、R2およびR3は前記と同意義である。)で示される請求項17記載の化
合物。
19.(補正後)式(IIIc):
(式中、R2およびR3は前記と同意義である。)で示される請求項17記載の化
合物。
20. R3がヒドロキシである請求項17〜19のいずれかに記載の化合物。
21. R2がフェニルスルホニルオキシまたはアセチルオキシである請求項1
7〜20のいずれかに記載の化合物。
22. 請求項1〜14のいずれかに記載の化合物もしくはその製薬上許容され
る塩またはそれらの水和物を含有する医薬組成物。
23. 請求項1〜14のいずれかに記載の化合物もしくはその製薬上許容され
る塩またはそれらの水和物を含有するPGD2拮抗剤。
24. 炎症性細胞の浸潤を抑制する、請求項1〜14のいずれかに記載の化合
物もしくはその製薬上許容される塩またはそれらの水和物を含有するPGD2拮
抗剤。
25. 炎症性細胞が好酸球である請求項24記載のPGD2拮抗剤。
26. 請求項1〜14のいずれかに記載の化合物もしくはその製薬上許容され
る塩またはそれらの水和物を含有する鼻閉治療剤。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 37/08 A61P 37/08
43/00 112 43/00 112
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M
W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM
,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E
S,FI,GB,GE,GH,GM,HU,ID,IL
,IS,JP,KE,KG,KR,KZ,LC,LK,
LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M
N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,
TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z
W