JP2004010823A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価で、優れた衝撃強度を有すると共に良好な外観を有する成形品を製造する為の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)(ゴム質重合体(B)を除く)100質量部に対して、ゴム質重合体(B)1〜100質量部、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を、ポリテトラフルオロエチレン成分0.0001〜20質量部となる量、および、平均粒子径0.01〜200μmの充填材(D)0.1〜100質量部が配合されていることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)(ゴム質重合体(B)を除く)100質量部に対して、ゴム質重合体(B)1〜100質量部、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を、ポリテトラフルオロエチレン成分0.0001〜20質量部となる量、および、平均粒子径0.01〜200μmの充填材(D)0.1〜100質量部が配合されていることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安価で、優れた衝撃強度を有すると共に、良好な外観を有する成形品を与えることができる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱可塑性樹脂は、機械的性質、化学的性質が優れているので広く各分野に用いられているが、耐衝撃性が低いという欠点を持っている。この欠点を改良するために、硬質樹脂を弾性体で補強したABS樹脂、MBS樹脂またはポリアクリル酸アルキルエステルゴム重合体に、メチルメタクリレート、スチレンおよびアクリロニトリル等の単量体をグラフト重合させた耐衝撃性改質樹脂を、熱可塑性樹脂に配合して、耐衝撃性を付与する方法が提案されている(特開昭57−102940号公報、特開昭60−235854号公報、特開昭58−152039号公報)。しかしながら、これらの方法はコストアップを招いてしまう。また、コストを考慮して安価な充填剤を使用する方法があるが、成形品の外観が低下すること、および耐衝撃性の改良の点において未だ不十分である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した各従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち、本発明の目的は、安価で、優れた衝撃強度を有すると共に良好な外観を有する成形品を与えることができる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に特定の成分を特定量配合することによって、非常に優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂(A)(ゴム質重合体(B)を除く)100質量部に対して、ゴム質重合体(B)1〜100質量部、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を、ポリテトラフルオロエチレン成分が0.0001〜20質量部となる量、および平均粒子径0.01〜200μmの充填材(D)0.1〜100質量部を配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)は、ゴム質重合体(B)以外の樹脂であればよく、従来より知られている各種の熱可塑性樹脂を使用できる。その具体例としては、ポリスチレン(PS)、スチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(SAN)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメチクリレート(PMMA)等のアクリル系ビニル重合体、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)およびその変性品、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)等のポリアミド樹脂(PA)などが挙げられる。これらは2種以上を併せて使用することもできる。
【0007】
本発明に用いるゴム質共重合体(B)の具体例としては、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(MBS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)等のジエン系コアシェル型ゴム質重合体、アクリレート/スチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(ASA樹脂)、アクリレート/メチルメタクリレート共重合体樹脂等のアクリル系コアシェル型ゴム質重合体、シリコーン/アクリレート/メチルメタクリレート共重合体樹脂、シリコーン/アクリレート/アクリロニトリル/スチレン共重合体樹脂等のシリコーン系コアシェル型ゴム質重合体、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体(EPDM)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPE)、およびこれらの無水マレイン酸やグリシジルメタクリレート等による変性品、熱可塑性ポリエステル(TPEs)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イソブテン/イソプレンゴム(IIR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体(NBR)、ブタジエン/スチレン共重合体(SBR)等が挙げられる。これらは2種以上を併せて使用することもできる。
【0008】
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)は、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなる。この粉体(C)中において、ポリテトラフルオロエチレン粒子の粒子径は10μm以下である。すなわち、10μmを超えた凝集体にはなっていない。
【0009】
粉体(C)は、どのように製造されたものでも構わない。例えば、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られる粉体、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で有機系重合体を構成する単量体を重合し、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られる粉体、あるいは、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合し、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られる粉体であることが好ましい。
【0010】
粉体(C)を製造する為に用いる粒子径0.05〜1.0μmポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液は、例えば、含フッ素界面活性剤を用いた乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られる。この乳化重合には、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分を用いることもできる。共重合成分の具体例としては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレート;などを用いることができる。共重合成分の使用量は、共重合体中10質量%以下であることが好ましい。
【0011】
ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液の市販原料としては、旭ICIフロロポリマー社製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業社製のポリフロンD−1、D−2、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン30J等(以上全て商品名)を代表例として挙げることができる。
【0012】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を構成する有機系重合体は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂(A)に配合する際の分散性の観点から、その樹脂との親和性が高い重合体が好ましい。有機系重合体を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;などが挙げられる。これらの単量体は、1種を単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0013】
これらの単量体の中で、スチレン系樹脂との親和性の点からは、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体が好ましい。特に好ましいものとして、スチレン、ブチルアクリレートおよびアクリロニトリルからなる群より選ばれる1種以上の単量体を10質量%以上含有する単量体が挙げられる。
【0014】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)は、例えば、その水性分散液を塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固した後に乾燥するか、あるいはスプレードライにより粉体化することにより、得ることができる。
【0015】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)中に占めるポリテトラフルオロエチレンの含有割合は、0.1〜90質量%であることが好ましく、1〜80質量%であることがより好ましい。
【0016】
通常のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収する工程で100μm以上の凝集体となってしまうので、熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難である。これに対して、本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒子径10μmを超えるドメインを形成していないので、熱可塑性樹脂に対する分散性がきわめて優れている。この結果、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、ポリテトラフルオロエチレンが熱可塑性樹脂中で効率良く繊維化しており、種々の成形性が優れ、かつ表面性にも優れたものとなる。
【0017】
本発明に用いる充填材(D)は、平均粒子径が0.01〜200μmの充填材であればよく、従来より知られる各種の充填剤を使用することができる。その具体例としては、アルミニウム粉、銅粉、鉄粉、シリカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アンチモン、燐酸チタン、臭化ビニル、塩素化パラフィン、デカブロモジフェニール、ヘキサブロモベンゼン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、木粉、紙粉、絹、皮革粉、アラミド繊維、アセテート、重炭酸ソーダ、アゾジカルボソアミド、チタンホワイト、チタンイエロー、ベンガラ、コバルトブルー、カーボンブラックなど、金属粉、金属の酸化物、金属の水酸化物、珪酸または珪酸塩、炭酸塩、炭化珪素、植物性繊維、動物性繊維、合成繊維、無機系発泡剤、有機系発泡剤、難燃剤等の充填剤およびそれらの再生品が挙げられる。これらは2種以上を併せて使用することもできる。
【0018】
本発明において、ゴム質重合体(B)の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、2〜98質量部がより好ましい。これら範囲の下限値は、衝撃強度発現性などの点で意義が有る。
【0019】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン成分が0.0001〜20質量部となる量が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン成分が0.005〜20質量部となる量がより好ましい。これら範囲の下限値は、衝撃強度改良効果など点で意義が有る。また上限値は、表面外観などの点で意義が有る。
【0020】
充填剤(D)の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましい。これら範囲の下限値は、コストなどの点で意義が有る。また上限値は、表面外観、衝撃強度などの点で意義が有る。
【0021】
本発明の樹脂組成物には、本来の目的を損なわない範囲で、各種の添加剤を適宜配合することにより、さらに望ましい物性、特性に調節することができる。添加剤の具体例としては、顔料、染料、ガラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維等の補強剤、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(ミックスド、モノおよびジニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジアステリアルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジニル)等の光安定剤、ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩等の帯電防止剤、エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸等の滑剤、およびテトラブロムフェノールA、デカブロモフェノールオキサイド、テトラブロムフェノールAエポキシオリゴマー、テトラブロムフェノールAポリカーボネートオリゴマー、三酸化アンチモン、トリフェニルフォスフェート(TPP)、リン酸エステル等の難燃剤などが挙げられる。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上説明した各成分の所望量を配合することにより製造できる。例えば、各成分をロール、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機等の従来より知られる混練機で混練して組成物を調製する。通常はペレット状にするのが好ましい。
【0023】
また、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を高濃度に含むマスターバッチを熱可塑性樹脂(A)もしくはゴム質重合体(B)、平均粒子径が1〜200μmの充填材(D)で希釈して本発明の組成物としても良い。具体的には、例えば、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)と、一部の熱可塑性樹脂(A)(ゴム質重合体(B)を除く)および/またはゴム質重合体(B)とを溶融混練してマスターペレット化し、得られたマスターペレットを、残りの熱可塑性樹脂(A)および/またはゴム質重合体(B)と平均粒子径0.01〜200μmの充填材(D)に、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対してポリテトラフルオロエチレン成分が0.0001〜20質量部になるように配合することは、好ましい一形態である。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、様々な成形法により、所望の形状に賦型することができる。その成形体は、衝撃強度が高く、ポリテトラフルオロエチレンのマクロな凝集物がなく、表面性も優れている。成形法は特に制限されず、その具体例としては、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形、押し出し成形、熱成形、発泡成形、溶融紡糸などが挙げられる。成形体も特に制限されず、例えば、射出成型品、シート、フィルム、中空成形体、パイプ、角棒、異形品、熱成形体、発泡体、繊維などが挙げられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各記載中「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。諸物性の測定は、下記の方法により実施した。
(1)固形分濃度:粒子分散液を170℃で30分乾燥して求めた。
(2)粒子径分布および質量平均粒子径:粒子分散液を水で希釈したものを試料液として、動的光散乱法(大塚電子(株)製ELS800、温度25℃、散乱角90度)により測定した。
(3)ゼータ電位:粒子分散液を0.01mol/lのNaCl水溶液で希釈したものを試料液として、電気泳動法(大塚電子(株)製ELS800、温度25℃、散乱角10度)により測定した。
(4)衝撃強度:75t射出成形機を用いて試片を成形し、ASTM D256に基づき評価した(厚み:1/4インチ)。
(5)外観:75t射出成形機を用いて試片を成形し、成形品の表面外観を下記の基準で評価した。
「○」:平滑で外観が良好。
「△」:少し表面の肌荒れが見られる。
「×」:表面の肌荒れがひどく外観が悪い。
【0026】
<参考例1:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)の製造>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに、蒸留水190部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、スチレン100部、クメンヒドロパーオキシド0.5部を仕込み、窒素気流下に40℃に昇温した。次いで、硫酸鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水10部の混合液を加え、ラジカル重合を開始させた。発熱が終了した後、系内の温度を40℃で1時間保持して重合を完了させ、スチレン重合体粒子分散液(P−1)を得た。この分散液(P−1)の固形分濃度は33.3%で、粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子径は96nm、表面電位は−32mVであった。
【0027】
一方、ポリテトラフルオロエチレン系粒子分散液として、市販の旭ICIフロロポリマーズ社製商品名フルオンAD936を用いた。この分散液(AD936)の固形分濃度は63.0%であり、ポリテトラフルオロエチレン100部に対して5部のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含むものである。また、分散液(AD936)の粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子径は290nm、表面電位は−20mVである。
【0028】
このポリテトラフルオロエチレン系粒子分散液(AD936)833部に、蒸留水1167部を添加し、固形分濃度26.2%のポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)を得た。この分散液(F−1)は、25%のポリテトラフルオロエチレン粒子と1.2%のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを含むものである。
【0029】
ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)160部[ポリテトラフルオロエチレン40部]と、スチレン重合体粒子分散液(P−1)181.8部[ポリスチレン60部]とを、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下に室温で1時間攪拌した。その後、系内を80℃に昇温し、1時間保持した。一連の操作を通じて固形物の分離は見られず、均一な粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分濃度は29.3%で、粒子径分布は比較的ブロードで、質量平均粒子径は168nmであった。
【0030】
この粒子分散液341.8部を、塩化カルシウム5部が含まれる85℃の熱水700部に投入し、固形物を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)98部を得た。
【0031】
このポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)を、250℃でプレス成形機により短冊状に賦形し、ミクロトームで超薄切片としたものを、無染色のまま透過型電子顕微鏡で観察した。ポリテトラフルオロエチレンは暗部として観察されるが、10μmを超える凝集体は観察されなかった。
【0032】
<参考例2:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−2)の製造>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコに、参考例1で用いたポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)160部[ポリテトラフルオロエチレン40部]、ドデシルベンゼンスルホン酸1.0部、蒸留水70部を仕込み、窒素気流下に80℃に昇温した。次いで、硫酸鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水10部の混合液を加え、その後n−ブチルアクリレート20部、スチレン40部、ターシャリーブチルペルオキシド0.3部の混合液を滴下ロートより90分間で滴下し、ラジカル重合を進行させ、滴下終了後、内温を80℃で1時間保持した。一連の操作を通じて固形物の分離は見られず、均一な粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分濃度は33.2%、粒子径分布は比較的ブロードで、質量平均粒子径は248nmであった。
【0033】
この粒子分散液301.5部を、塩化カルシウム5部が含まれる85℃の熱水700質量部に投入し、固形物を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−2)98部を得た。
【0034】
このポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−2)98部を用いて、参考例1と同様にして超薄切片としたものを透過型電子顕微鏡で観察したところ、ポリテトラフルオロエチレンは暗部として観察されるが、10μmを超える凝集体は観察されなかった。
【0035】
<参考例3:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)の製造>
ドデシルメタクリレート75部とメチルメタクリレート25部の混合液に、アゾビスジメチルバレロニトリル0.1部を溶解させた。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部と蒸留水300部の混合液を添加し、ホモミキサーにて10000rpmで4分間攪拌し、ホモジナイザーに30MPaの圧力で2回通し、安定なドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート予備分散液を得た。これを、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下で内温を80℃に昇温して3時間攪拌してラジカル重合させ、ドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体粒子分散液(P−2)を得た。この分散液(P−2)の固形分濃度は25.1%で、粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子径は198nm、表面電位は−39mVであった。
【0036】
参考例1で用いたポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)160部[ポリテトラフルオロエチレン40部]と、ドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体粒子分散液(P−2)159.4部[ドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体40部]とを、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下に室温で1時間攪拌した。その後、系内を80℃に昇温し、硫酸鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水10部の混合液を加え、その後メチルメタクリレート20部とターシャリーブチルペルオキシド0.1部の混合液を30分かけて滴下した。滴下終了後、内温を80℃で1時間保持してラジカル重合を完了させた。一連の操作を通じて固形物の分離は見られず、均一な粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分濃度は28.5%で、粒子径分布は比較的ブロードで、質量平均粒子径は248nmであった。
【0037】
この粒子分散液349.7部を、塩化カルシウム5部が含まれる75℃の熱水600部に投入し、固形物を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)97部を得た。
【0038】
このポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)を、220℃でプレス成形機により短冊状に賦形し、ミクロトームで超薄切片としたものを、無染色のまま透過型電子顕微鏡で観察した。ポリテトラフルオロエチレンは暗部として観察されるが、10μmを超える凝集体は観察されなかった。
【0039】
<参考例4:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−1)の製造>
ポリアミド(東レ(株)社製CM1017)100部に対して、参考例3で用いたテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)を10部配合してハンドブレンドし、その後30mm二軸押出機を用いて、バレル温度280℃、スクリュー回転速度100rpmにて溶融混練してペレット状に賦形し、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−1)を得た。
【0040】
<参考例5:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−2)の製造>
シリコーン/アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンS2001)100部に対して、参考例3で用いたテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)を50部配合してハンドブレンドし、その後30mm二軸押出機を用いて、バレル温度200℃、スクリュー回転速度100rpmにて溶融混練してペレット状に賦形し、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−2)を得た。
【0041】
<実施例1〜22、比較例1〜22>
実施例1〜22においては、表1に示すように、熱可塑性樹脂100質量部に対して、ゴム質重合体、各参考例で得たテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)〜(C−3)またはマスターペレット(M−1)〜(M−2)、平均粒子径0.01〜200μmの充填材を、所定のダイス温度で押出機により押し出し、ペレットを調製した。このペレットを用いて、所定のシリンダ温度で75t射出成形機を用いて成形し、アイゾット衝撃強度および成形外観を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
一方、比較例1〜22においては、表2に示すように、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加せずに押し出しこと、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー(旭ICI社製CD123)を添加して押し出しこと、あるいは、粒子径が1〜200μmの範囲外の充填剤を用いたこと以外は、同様にしてペレットを調製し、成形し、評価した。結果を表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
表1および表2中の各成分として具体的には以下のものを使用した。
【0045】
[熱可塑性樹脂(A)]
「PS」:ポリスチレン(住友化学(株)製、商品名スミブライトM140)
「SAN」:スチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(旭化成(株)製、商品名AP789)
「PMMA」:ポリメチルメチクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名アクリペットVH)
「PVC」:ポリ塩化ビニル樹脂(信越化学(株)製、商品名TK700)100部、安定剤および滑剤としてジオクチル錫メルカプチド3部、三菱レイヨン(株)製メタブレンP−550を2部、三菱レイヨン(株)製メタブレンP−710を1部、ヘンシェルミキサーで110℃になるまで10分間混合してなるポリ塩化ビニル樹脂組成物
「PP」:ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名ノバッテクFY−6H)
「PC」:ポリカーボネート樹脂(三菱エンプラ(株)製、商品名ノバレックス7022A)
「PPE」:(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル[還元粘度(ηsp/c)=0.59dl/g]
「PBT」:ポリブチレンテレフタレート(三菱レイヨン(株)製、商品名タフペットN1000)
「PET」:ポリエチレンテレフタレート(三菱レイヨン(株)製、商品名KR582)
「PA6」:ポリアミド(東レ(株)製、商品名CM1017)
「HIPS」:ハイインパクトポリスチレン(住友化学(株)製、商品名スミブライトE580)。
【0046】
「ゴム質重合体(B)」
「MBS」:メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(MBS樹脂)(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンC223A)
「SAS」:シリコーン/アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンSX006)
「AR」:アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンW450A)
「SiR」:シリコーン/アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンS2001)
「EPR」:エチレン/プロピレン共重合体(三井化学(株)製、商品名タフマーP0680)
「SEBS」:スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体(シェル化学(株)製、商品名クレイトンG1650)
「ABS」:アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)(三菱レイヨン(株)製、商品名R−40)。
【0047】
[ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)]
「C−1」:参考例1のポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)[ポリテトラフルオロエチレン40部、ポリスチレン60部]
「C−2」:参考例2のポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−2)[ポリテトラフルオロエチレン40部、ポリブチルアクリレート20部、ポリスチレン40部]
「C−3」:参考例3のポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)[ポリテトラフルオロエチレン40部、ドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体40部、ポリメチルメタクリレート20部]
「M−1」:参考例4のポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−1)[注1:ポリアミド(東レ(株)社製CM1017)100部、テトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)10部]
「M−2」:参考例5のポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−2)[注2:シリコーン/アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンS2001)100部、テトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)50部]
「CD123」:ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー(旭ICI社製、商品名CD123)。
【0048】
[充填剤(D)]
「炭酸カルシウムA」:白石工業(株)製、商品名白艶華CCR(平均粒子径60μm)
「炭酸カルシウムB」:機械粉砕のホワイチング(平均粒子径250μm)
「水酸化マグネシウム」:神島化学工業(株)製、商品名マグシーズN−1(平均粒子径50μm)
「タルク」:日本タルク(株)製、商品名タルクM(平均粒子径30μm)
「木粉」:カジノ(株)製#100(平均粒子径100μm)
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いれば、安価で、優れた衝撃強度を有すると共に、良好な外観を有する成形品を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、安価で、優れた衝撃強度を有すると共に、良好な外観を有する成形品を与えることができる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱可塑性樹脂は、機械的性質、化学的性質が優れているので広く各分野に用いられているが、耐衝撃性が低いという欠点を持っている。この欠点を改良するために、硬質樹脂を弾性体で補強したABS樹脂、MBS樹脂またはポリアクリル酸アルキルエステルゴム重合体に、メチルメタクリレート、スチレンおよびアクリロニトリル等の単量体をグラフト重合させた耐衝撃性改質樹脂を、熱可塑性樹脂に配合して、耐衝撃性を付与する方法が提案されている(特開昭57−102940号公報、特開昭60−235854号公報、特開昭58−152039号公報)。しかしながら、これらの方法はコストアップを招いてしまう。また、コストを考慮して安価な充填剤を使用する方法があるが、成形品の外観が低下すること、および耐衝撃性の改良の点において未だ不十分である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した各従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち、本発明の目的は、安価で、優れた衝撃強度を有すると共に良好な外観を有する成形品を与えることができる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に特定の成分を特定量配合することによって、非常に優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂(A)(ゴム質重合体(B)を除く)100質量部に対して、ゴム質重合体(B)1〜100質量部、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を、ポリテトラフルオロエチレン成分が0.0001〜20質量部となる量、および平均粒子径0.01〜200μmの充填材(D)0.1〜100質量部を配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)は、ゴム質重合体(B)以外の樹脂であればよく、従来より知られている各種の熱可塑性樹脂を使用できる。その具体例としては、ポリスチレン(PS)、スチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(SAN)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメチクリレート(PMMA)等のアクリル系ビニル重合体、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)およびその変性品、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)等のポリアミド樹脂(PA)などが挙げられる。これらは2種以上を併せて使用することもできる。
【0007】
本発明に用いるゴム質共重合体(B)の具体例としては、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(MBS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)等のジエン系コアシェル型ゴム質重合体、アクリレート/スチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(ASA樹脂)、アクリレート/メチルメタクリレート共重合体樹脂等のアクリル系コアシェル型ゴム質重合体、シリコーン/アクリレート/メチルメタクリレート共重合体樹脂、シリコーン/アクリレート/アクリロニトリル/スチレン共重合体樹脂等のシリコーン系コアシェル型ゴム質重合体、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体(EPDM)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPE)、およびこれらの無水マレイン酸やグリシジルメタクリレート等による変性品、熱可塑性ポリエステル(TPEs)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イソブテン/イソプレンゴム(IIR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体(NBR)、ブタジエン/スチレン共重合体(SBR)等が挙げられる。これらは2種以上を併せて使用することもできる。
【0008】
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)は、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなる。この粉体(C)中において、ポリテトラフルオロエチレン粒子の粒子径は10μm以下である。すなわち、10μmを超えた凝集体にはなっていない。
【0009】
粉体(C)は、どのように製造されたものでも構わない。例えば、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られる粉体、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で有機系重合体を構成する単量体を重合し、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られる粉体、あるいは、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合し、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られる粉体であることが好ましい。
【0010】
粉体(C)を製造する為に用いる粒子径0.05〜1.0μmポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液は、例えば、含フッ素界面活性剤を用いた乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られる。この乳化重合には、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分を用いることもできる。共重合成分の具体例としては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレート;などを用いることができる。共重合成分の使用量は、共重合体中10質量%以下であることが好ましい。
【0011】
ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液の市販原料としては、旭ICIフロロポリマー社製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業社製のポリフロンD−1、D−2、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン30J等(以上全て商品名)を代表例として挙げることができる。
【0012】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を構成する有機系重合体は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂(A)に配合する際の分散性の観点から、その樹脂との親和性が高い重合体が好ましい。有機系重合体を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;などが挙げられる。これらの単量体は、1種を単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0013】
これらの単量体の中で、スチレン系樹脂との親和性の点からは、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体が好ましい。特に好ましいものとして、スチレン、ブチルアクリレートおよびアクリロニトリルからなる群より選ばれる1種以上の単量体を10質量%以上含有する単量体が挙げられる。
【0014】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)は、例えば、その水性分散液を塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固した後に乾燥するか、あるいはスプレードライにより粉体化することにより、得ることができる。
【0015】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)中に占めるポリテトラフルオロエチレンの含有割合は、0.1〜90質量%であることが好ましく、1〜80質量%であることがより好ましい。
【0016】
通常のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収する工程で100μm以上の凝集体となってしまうので、熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難である。これに対して、本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒子径10μmを超えるドメインを形成していないので、熱可塑性樹脂に対する分散性がきわめて優れている。この結果、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、ポリテトラフルオロエチレンが熱可塑性樹脂中で効率良く繊維化しており、種々の成形性が優れ、かつ表面性にも優れたものとなる。
【0017】
本発明に用いる充填材(D)は、平均粒子径が0.01〜200μmの充填材であればよく、従来より知られる各種の充填剤を使用することができる。その具体例としては、アルミニウム粉、銅粉、鉄粉、シリカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アンチモン、燐酸チタン、臭化ビニル、塩素化パラフィン、デカブロモジフェニール、ヘキサブロモベンゼン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、木粉、紙粉、絹、皮革粉、アラミド繊維、アセテート、重炭酸ソーダ、アゾジカルボソアミド、チタンホワイト、チタンイエロー、ベンガラ、コバルトブルー、カーボンブラックなど、金属粉、金属の酸化物、金属の水酸化物、珪酸または珪酸塩、炭酸塩、炭化珪素、植物性繊維、動物性繊維、合成繊維、無機系発泡剤、有機系発泡剤、難燃剤等の充填剤およびそれらの再生品が挙げられる。これらは2種以上を併せて使用することもできる。
【0018】
本発明において、ゴム質重合体(B)の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、2〜98質量部がより好ましい。これら範囲の下限値は、衝撃強度発現性などの点で意義が有る。
【0019】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、ポリテトラフルオロエチレン成分が0.0001〜20質量部となる量が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン成分が0.005〜20質量部となる量がより好ましい。これら範囲の下限値は、衝撃強度改良効果など点で意義が有る。また上限値は、表面外観などの点で意義が有る。
【0020】
充填剤(D)の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましい。これら範囲の下限値は、コストなどの点で意義が有る。また上限値は、表面外観、衝撃強度などの点で意義が有る。
【0021】
本発明の樹脂組成物には、本来の目的を損なわない範囲で、各種の添加剤を適宜配合することにより、さらに望ましい物性、特性に調節することができる。添加剤の具体例としては、顔料、染料、ガラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維等の補強剤、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(ミックスド、モノおよびジニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジアステリアルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジニル)等の光安定剤、ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩等の帯電防止剤、エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸等の滑剤、およびテトラブロムフェノールA、デカブロモフェノールオキサイド、テトラブロムフェノールAエポキシオリゴマー、テトラブロムフェノールAポリカーボネートオリゴマー、三酸化アンチモン、トリフェニルフォスフェート(TPP)、リン酸エステル等の難燃剤などが挙げられる。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上説明した各成分の所望量を配合することにより製造できる。例えば、各成分をロール、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機等の従来より知られる混練機で混練して組成物を調製する。通常はペレット状にするのが好ましい。
【0023】
また、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を高濃度に含むマスターバッチを熱可塑性樹脂(A)もしくはゴム質重合体(B)、平均粒子径が1〜200μmの充填材(D)で希釈して本発明の組成物としても良い。具体的には、例えば、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)と、一部の熱可塑性樹脂(A)(ゴム質重合体(B)を除く)および/またはゴム質重合体(B)とを溶融混練してマスターペレット化し、得られたマスターペレットを、残りの熱可塑性樹脂(A)および/またはゴム質重合体(B)と平均粒子径0.01〜200μmの充填材(D)に、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対してポリテトラフルオロエチレン成分が0.0001〜20質量部になるように配合することは、好ましい一形態である。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、様々な成形法により、所望の形状に賦型することができる。その成形体は、衝撃強度が高く、ポリテトラフルオロエチレンのマクロな凝集物がなく、表面性も優れている。成形法は特に制限されず、その具体例としては、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形、押し出し成形、熱成形、発泡成形、溶融紡糸などが挙げられる。成形体も特に制限されず、例えば、射出成型品、シート、フィルム、中空成形体、パイプ、角棒、異形品、熱成形体、発泡体、繊維などが挙げられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各記載中「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。諸物性の測定は、下記の方法により実施した。
(1)固形分濃度:粒子分散液を170℃で30分乾燥して求めた。
(2)粒子径分布および質量平均粒子径:粒子分散液を水で希釈したものを試料液として、動的光散乱法(大塚電子(株)製ELS800、温度25℃、散乱角90度)により測定した。
(3)ゼータ電位:粒子分散液を0.01mol/lのNaCl水溶液で希釈したものを試料液として、電気泳動法(大塚電子(株)製ELS800、温度25℃、散乱角10度)により測定した。
(4)衝撃強度:75t射出成形機を用いて試片を成形し、ASTM D256に基づき評価した(厚み:1/4インチ)。
(5)外観:75t射出成形機を用いて試片を成形し、成形品の表面外観を下記の基準で評価した。
「○」:平滑で外観が良好。
「△」:少し表面の肌荒れが見られる。
「×」:表面の肌荒れがひどく外観が悪い。
【0026】
<参考例1:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)の製造>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに、蒸留水190部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、スチレン100部、クメンヒドロパーオキシド0.5部を仕込み、窒素気流下に40℃に昇温した。次いで、硫酸鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水10部の混合液を加え、ラジカル重合を開始させた。発熱が終了した後、系内の温度を40℃で1時間保持して重合を完了させ、スチレン重合体粒子分散液(P−1)を得た。この分散液(P−1)の固形分濃度は33.3%で、粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子径は96nm、表面電位は−32mVであった。
【0027】
一方、ポリテトラフルオロエチレン系粒子分散液として、市販の旭ICIフロロポリマーズ社製商品名フルオンAD936を用いた。この分散液(AD936)の固形分濃度は63.0%であり、ポリテトラフルオロエチレン100部に対して5部のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含むものである。また、分散液(AD936)の粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子径は290nm、表面電位は−20mVである。
【0028】
このポリテトラフルオロエチレン系粒子分散液(AD936)833部に、蒸留水1167部を添加し、固形分濃度26.2%のポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)を得た。この分散液(F−1)は、25%のポリテトラフルオロエチレン粒子と1.2%のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを含むものである。
【0029】
ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)160部[ポリテトラフルオロエチレン40部]と、スチレン重合体粒子分散液(P−1)181.8部[ポリスチレン60部]とを、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下に室温で1時間攪拌した。その後、系内を80℃に昇温し、1時間保持した。一連の操作を通じて固形物の分離は見られず、均一な粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分濃度は29.3%で、粒子径分布は比較的ブロードで、質量平均粒子径は168nmであった。
【0030】
この粒子分散液341.8部を、塩化カルシウム5部が含まれる85℃の熱水700部に投入し、固形物を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)98部を得た。
【0031】
このポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)を、250℃でプレス成形機により短冊状に賦形し、ミクロトームで超薄切片としたものを、無染色のまま透過型電子顕微鏡で観察した。ポリテトラフルオロエチレンは暗部として観察されるが、10μmを超える凝集体は観察されなかった。
【0032】
<参考例2:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−2)の製造>
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコに、参考例1で用いたポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)160部[ポリテトラフルオロエチレン40部]、ドデシルベンゼンスルホン酸1.0部、蒸留水70部を仕込み、窒素気流下に80℃に昇温した。次いで、硫酸鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水10部の混合液を加え、その後n−ブチルアクリレート20部、スチレン40部、ターシャリーブチルペルオキシド0.3部の混合液を滴下ロートより90分間で滴下し、ラジカル重合を進行させ、滴下終了後、内温を80℃で1時間保持した。一連の操作を通じて固形物の分離は見られず、均一な粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分濃度は33.2%、粒子径分布は比較的ブロードで、質量平均粒子径は248nmであった。
【0033】
この粒子分散液301.5部を、塩化カルシウム5部が含まれる85℃の熱水700質量部に投入し、固形物を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−2)98部を得た。
【0034】
このポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−2)98部を用いて、参考例1と同様にして超薄切片としたものを透過型電子顕微鏡で観察したところ、ポリテトラフルオロエチレンは暗部として観察されるが、10μmを超える凝集体は観察されなかった。
【0035】
<参考例3:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)の製造>
ドデシルメタクリレート75部とメチルメタクリレート25部の混合液に、アゾビスジメチルバレロニトリル0.1部を溶解させた。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部と蒸留水300部の混合液を添加し、ホモミキサーにて10000rpmで4分間攪拌し、ホモジナイザーに30MPaの圧力で2回通し、安定なドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート予備分散液を得た。これを、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下で内温を80℃に昇温して3時間攪拌してラジカル重合させ、ドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体粒子分散液(P−2)を得た。この分散液(P−2)の固形分濃度は25.1%で、粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子径は198nm、表面電位は−39mVであった。
【0036】
参考例1で用いたポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)160部[ポリテトラフルオロエチレン40部]と、ドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体粒子分散液(P−2)159.4部[ドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体40部]とを、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下に室温で1時間攪拌した。その後、系内を80℃に昇温し、硫酸鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水10部の混合液を加え、その後メチルメタクリレート20部とターシャリーブチルペルオキシド0.1部の混合液を30分かけて滴下した。滴下終了後、内温を80℃で1時間保持してラジカル重合を完了させた。一連の操作を通じて固形物の分離は見られず、均一な粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分濃度は28.5%で、粒子径分布は比較的ブロードで、質量平均粒子径は248nmであった。
【0037】
この粒子分散液349.7部を、塩化カルシウム5部が含まれる75℃の熱水600部に投入し、固形物を分離させ、濾過、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)97部を得た。
【0038】
このポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)を、220℃でプレス成形機により短冊状に賦形し、ミクロトームで超薄切片としたものを、無染色のまま透過型電子顕微鏡で観察した。ポリテトラフルオロエチレンは暗部として観察されるが、10μmを超える凝集体は観察されなかった。
【0039】
<参考例4:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−1)の製造>
ポリアミド(東レ(株)社製CM1017)100部に対して、参考例3で用いたテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)を10部配合してハンドブレンドし、その後30mm二軸押出機を用いて、バレル温度280℃、スクリュー回転速度100rpmにて溶融混練してペレット状に賦形し、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−1)を得た。
【0040】
<参考例5:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−2)の製造>
シリコーン/アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンS2001)100部に対して、参考例3で用いたテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)を50部配合してハンドブレンドし、その後30mm二軸押出機を用いて、バレル温度200℃、スクリュー回転速度100rpmにて溶融混練してペレット状に賦形し、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−2)を得た。
【0041】
<実施例1〜22、比較例1〜22>
実施例1〜22においては、表1に示すように、熱可塑性樹脂100質量部に対して、ゴム質重合体、各参考例で得たテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)〜(C−3)またはマスターペレット(M−1)〜(M−2)、平均粒子径0.01〜200μmの充填材を、所定のダイス温度で押出機により押し出し、ペレットを調製した。このペレットを用いて、所定のシリンダ温度で75t射出成形機を用いて成形し、アイゾット衝撃強度および成形外観を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
一方、比較例1〜22においては、表2に示すように、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加せずに押し出しこと、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー(旭ICI社製CD123)を添加して押し出しこと、あるいは、粒子径が1〜200μmの範囲外の充填剤を用いたこと以外は、同様にしてペレットを調製し、成形し、評価した。結果を表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
表1および表2中の各成分として具体的には以下のものを使用した。
【0045】
[熱可塑性樹脂(A)]
「PS」:ポリスチレン(住友化学(株)製、商品名スミブライトM140)
「SAN」:スチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(旭化成(株)製、商品名AP789)
「PMMA」:ポリメチルメチクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名アクリペットVH)
「PVC」:ポリ塩化ビニル樹脂(信越化学(株)製、商品名TK700)100部、安定剤および滑剤としてジオクチル錫メルカプチド3部、三菱レイヨン(株)製メタブレンP−550を2部、三菱レイヨン(株)製メタブレンP−710を1部、ヘンシェルミキサーで110℃になるまで10分間混合してなるポリ塩化ビニル樹脂組成物
「PP」:ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名ノバッテクFY−6H)
「PC」:ポリカーボネート樹脂(三菱エンプラ(株)製、商品名ノバレックス7022A)
「PPE」:(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル[還元粘度(ηsp/c)=0.59dl/g]
「PBT」:ポリブチレンテレフタレート(三菱レイヨン(株)製、商品名タフペットN1000)
「PET」:ポリエチレンテレフタレート(三菱レイヨン(株)製、商品名KR582)
「PA6」:ポリアミド(東レ(株)製、商品名CM1017)
「HIPS」:ハイインパクトポリスチレン(住友化学(株)製、商品名スミブライトE580)。
【0046】
「ゴム質重合体(B)」
「MBS」:メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(MBS樹脂)(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンC223A)
「SAS」:シリコーン/アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンSX006)
「AR」:アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンW450A)
「SiR」:シリコーン/アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンS2001)
「EPR」:エチレン/プロピレン共重合体(三井化学(株)製、商品名タフマーP0680)
「SEBS」:スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体(シェル化学(株)製、商品名クレイトンG1650)
「ABS」:アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)(三菱レイヨン(株)製、商品名R−40)。
【0047】
[ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)]
「C−1」:参考例1のポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−1)[ポリテトラフルオロエチレン40部、ポリスチレン60部]
「C−2」:参考例2のポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−2)[ポリテトラフルオロエチレン40部、ポリブチルアクリレート20部、ポリスチレン40部]
「C−3」:参考例3のポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)[ポリテトラフルオロエチレン40部、ドデシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体40部、ポリメチルメタクリレート20部]
「M−1」:参考例4のポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−1)[注1:ポリアミド(東レ(株)社製CM1017)100部、テトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)10部]
「M−2」:参考例5のポリテトラフルオロエチレン含有粉体のマスターペレット(M−2)[注2:シリコーン/アクリル系ゴム質重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンS2001)100部、テトラフルオロエチレン含有粉体(C−3)50部]
「CD123」:ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー(旭ICI社製、商品名CD123)。
【0048】
[充填剤(D)]
「炭酸カルシウムA」:白石工業(株)製、商品名白艶華CCR(平均粒子径60μm)
「炭酸カルシウムB」:機械粉砕のホワイチング(平均粒子径250μm)
「水酸化マグネシウム」:神島化学工業(株)製、商品名マグシーズN−1(平均粒子径50μm)
「タルク」:日本タルク(株)製、商品名タルクM(平均粒子径30μm)
「木粉」:カジノ(株)製#100(平均粒子径100μm)
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いれば、安価で、優れた衝撃強度を有すると共に、良好な外観を有する成形品を得ることができる。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂(A)(ゴム質重合体(B)を除く)100質量部に対して、
ゴム質重合体(B)1〜100質量部、
粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)を、ポリテトラフルオロエチレン成分が0.0001〜20質量部となる量、および、
平均粒子径0.01〜200μmの充填材(D)0.1〜100質量部
を配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)と、一部の熱可塑性樹脂(A)(ゴム質重合体(B)を除く)および/またはゴム質重合体(B)とを溶融混練してマスターペレット化し、
得られたマスターペレットを、残りの熱可塑性樹脂(A)および/またはゴム質重合体(B)と平均粒子径0.01〜200μmの充填材(D)に、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対してポリテトラフルオロエチレン成分が0.0001〜20質量部になるように配合してなる請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。 - ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)が、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるものである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)が、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で有機系重合体を構成する単量体を重合し、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるものである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(C)が、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合し、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるものである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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|---|---|---|---|---|
| JPWO2005017026A1 (ja) * | 2003-08-14 | 2006-10-12 | 三菱レイヨン株式会社 | ゴム質重合体含有材料、この製造方法、これを配合してなる熱可塑性樹脂 |
| JP2009504882A (ja) * | 2005-08-19 | 2009-02-05 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド | 改善された外観のプロピレン重合体組成物 |
| US20180201809A1 (en) * | 2017-01-18 | 2018-07-19 | Ventec Electronics (Suzhou) Co., Ltd. | Fluorinated Vinyl Polymer Resin Composition, Prepreg and Laminate Materials Containing the same |
-
2002
- 2002-06-10 JP JP2002168501A patent/JP2004010823A/ja active Pending
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| JP4739956B2 (ja) * | 2003-08-14 | 2011-08-03 | 三菱レイヨン株式会社 | ゴム質重合体含有材料、この製造方法、これを配合してなる熱可塑性樹脂 |
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| US10421855B2 (en) * | 2017-01-18 | 2019-09-24 | Ventec Electronics (Suzhou) Co., Ltd. | Fluorinated vinyl polymer resin composition, prepreg and laminate materials containing the same |
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