JP2004196955A - 粉体塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な方法により得ることができ、粉体塗料中に配合した場合に、加熱減量が少なく、かつ、優れた低温硬化性を得ることができるウレトンイミン結合を分子内に有する硬化剤を含む粉体塗料組成物を提供する。
【解決手段】硬化剤、並びに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含む粉体塗料組成物であって、上記硬化剤は、イソシアネート化合物をカルボジイミド化した後、ウレトンイミン化してポリイソシアネートを製造し、上記得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックして得られるものであり、上記カルボジイミド化は、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基の量が最初の2/3になるまで行われるものであって、かつ、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基の量は、3.2〜4.2mmol/gであることを特徴とする粉体塗料組成物。
【解決手段】硬化剤、並びに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含む粉体塗料組成物であって、上記硬化剤は、イソシアネート化合物をカルボジイミド化した後、ウレトンイミン化してポリイソシアネートを製造し、上記得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックして得られるものであり、上記カルボジイミド化は、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基の量が最初の2/3になるまで行われるものであって、かつ、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基の量は、3.2〜4.2mmol/gであることを特徴とする粉体塗料組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレトンイミン結合を有する硬化剤、並びに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含む粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等をメインバインダーとし、必要により多価カルボン酸、ブロックイソシアネート等の硬化剤を配合しているものが広く知られており、これらは、家電、自動車、建材等の多くの分野で使用されている。その中で、熱硬化性樹脂組成物を主体とする粉体塗料組成物は、一定温度以上、通常は180℃以上の高温での焼付条件が必要とされている。ところが、このような高温焼付は、多量のエネルギーを必要とし、かつ揮発性成分が多く発生することから、環境上あまり好ましくない。
【0003】
硬化剤として一般的に用いられているブロックイソシアネート化合物は、加熱によって、イソシアネート基をブロックしていたブロック剤が脱離することが知られている。しかし、この加熱による減量は、塗膜欠陥につながるおそれがあるとともに、脱離したブロック剤が揮散してしまうと、揮発性有機化合物(VOC)となるため、環境に悪影響を及ぼすという問題点を有している。
【0004】
一方、ウレトンイミン結合は、イソシアネート2分子が結合して生じるカルボジイミド結合に、更にイソシアネート基が付加して生成される結合であり、低温で解離してイソシアネート基が再生することが知られている。
上記の問題を解決すべく、イソシアネート化合物のイソシアネート基がカルボジイミド基によりブロックされたカルボジイミドブロックドイソシアネート化合物よりなるウレタン系塗料用硬化剤、及び、それを配合してなる粉体塗料が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ここに開示の硬化系においては、焼付時に、ウレタン系塗料用硬化剤のカルボジイミド基が解離して、その結果発生したフリーのイソシアネート基が水酸基含有樹脂中の水酸基と反応するに過ぎないため、硬化が不充分であり、得られる塗膜の性能に劣るものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−157588号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡易な方法により得ることができ、粉体塗料中に配合した場合に、加熱減量が少なく、かつ、優れた低温硬化性を得ることができるウレトンイミン結合を分子内に有する硬化剤を含む粉体塗料組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、(1)カルボジイミド基及びウレトンイミン基の反応を制御することによって、従来のブロックイソシアネート化合物に比べ、加熱減量が少なく、また、簡易な方法により、ウレトンイミン結合を有するブロックイソシアネートが得られ、また、粉体塗料用硬化剤として使用した場合に、得られる粉体塗料が従来より低温で硬化させることができること、並びに、(2)ウレトンイミン結合はカルボジイミド結合よりも反応性が低いため、カルボジイミド硬化系では得られなかった塗膜の平滑性を得ることができること、を見いだし、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、硬化剤、並びに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含む粉体塗料組成物であって、上記硬化剤は、イソシアネート化合物をカルボジイミド化した後、ウレトンイミン化してポリイソシアネートを製造し、上記得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックして得られるものであり、上記カルボジイミド化は、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基の量が最初の2/3になるまで行われるものであって、かつ、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基の量は、3.2〜4.2mmol/gであることを特徴とする粉体塗料組成物である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の粉体塗料組成物は、イソシアネート化合物をカルボジイミド化した後、ウレトンイミン化してポリイソシアネートを製造し、上記得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックして得られる硬化剤を含むものである。
【0010】
上記イソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及び、これらの混合物を用いることができ、具体的には、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0011】
本発明において、出発物質となる上記イソシアネート化合物としては、芳香族系のイソシアネート化合物が好ましく、より好ましくは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIともいう)である。上記MDIは、2,2′体及び2,4′体を数%のレベルで含んでいても構わない。
【0012】
本発明において、最初のステップは上記イソシアネート化合物のカルボジイミド化である。上記カルボジイミド化は、原料であるイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の量が最初の2/3になるまで行われる。2/3未満であると、後のウレトンイミン化が充分に行われず、結果としてブロックされていないフリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が系内に残存することとなり、加熱減量を少なくすることが困難になる。2/3を大きく超えると、カルボジイミド化が進みすぎるため、後のウレトンイミン化の際にゲル化してしまうおそれがある。
【0013】
上記イソシアネート基の量は、滴定によって測定することが可能である。この場合、系内に残存するイソシアネート基の量を滴定により決定する場合、ちょうど2/3でカルボジイミド化を終了させることは実質的に困難である。その場合、イソシアネート基の残存量が4.2〜5.5mmol/gになった時点でカルボジイミド化を終了させることが好ましい。なお、イソシアネート化合物そのものが有するイソシアネート基の量は、上記MDIの場合8mmol/gである。
【0014】
上記カルボジイミド化は、触媒存在下で加熱することにより進行するものであるが、効率的に反応を進行させるためには、ホスホレンオキサイドを触媒とし、120〜170℃で行われることが好ましい。ホスホレンオキサイドを触媒とすることにより、温度制御しやすい範囲でカルボジイミド化を行うことができる。ホスホレンオキサイドとしては、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−ブチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−(N−ピペリジニル)−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−モルフォリノ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−ブチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェノキシ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−スルフィド等が挙げられる。これらの中で、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド等が好ましい。
【0015】
上記ホスホレンオキサイドの量は、原料のイソシアネート化合物に対して1〜30ppmであることが好ましい。1ppm未満であると、カルボジイミド化が充分に進行せず、30ppmを超えると、ウレトンイミン化が進行しない。
上記反応温度が120℃未満であると、カルボジイミド化が充分に進行しないおそれがあるとともに、同時にウレトンイミン化が進行してしまい、目的とする化合物が得られないおそれがある。一方、170℃を超えると、副反応が進行して、目的とする化合物が得られないおそれがある。
【0016】
上記のようにして、カルボジイミド化を行い、原料となるイソシアネート化合物のイソシアネート基の量が2/3になったところで、系を冷却してカルボジイミド化を終了する。この冷却は、ウレトンイミン化反応を進行させるために室温〜100℃になるまで行われることが好ましい。冷却しすぎると、ウレトンイミン化が充分に進行せず、100℃を超えるとカルボジイミド化がさらに進行してしまうおそれがある。好ましい温度範囲は、40〜90℃である。なお、上記カルボジイミド化及びウレトンイミン化には、イソシアネートに対して不活性であり、イソシアネート化合物を溶解する溶剤を用いることも可能であるが、通常、無溶媒で反応が行われる。
上記カルボジイミド化は、IRスペクトルにおける2100cm−1のカルボジイミド基のピークが生成することによって確認することができる。
【0017】
上記ウレトンイミン化反応は、先に生成したカルボジイミド結合に対し、系内に残存しているフリーのイソシアネート化合物のイソシアネート基が付加するものである。このウレトンイミン化は、系内のイソシアネート基の量が3.2〜4.2mmol/gになるまで続けられる。3.2mmol/g未満であると、ゲル化してしまうおそれがあり、4.2mmol/gを超えると、フリーのイソシアネート化合物が多く残存していることになるため、加熱減量を低下させることができない。なお、2分子のイソシアネート化合物間でそれぞれのイソシアネート基同士がカルボジイミド結合により結合し、ここにもう1分子のイソシアネート化合物のイソシアネート基がウレトンイミン結合により結合するのが最も好ましい形態であり、この場合のイソシアネート基量の計算値は、4.2mmol/gとなる。実際には、3分子以上のイソシアネート化合物がカルボジイミド結合で結合したものが生成する等の副反応の進行が予想され、また原料イソシアネート化合物の純度の影響から、最終的なイソシアネート基の量は必ずしも4.2mmol/gになるとは限らないが、本発明の目的を満たすためには、上記範囲の量であればよい。
上記ウレトンイミン化は、IRスペクトルにおける2100cm−1のカルボジイミド基のピークが消失し、1700cm−1のウレトンイミン結合のピークが生成することによって確認することができる。
【0018】
上記ウレトンイミン化して製造されたポリイソシアネートは、主に、加熱によりフリーのイソシアネート基を3個有する構造を有することとなると考えられる。
これは、まず、2分子のイソシアネート化合物間でそれぞれのイソシアネート基同士がカルボジイミド化し、更に、こうして生じたカルボジイミド結合に対して、別のイソシアネート化合物のイソシアネート基が付加してウレトンイミン化が進行するものによると考えられる。もちろん、イソシアネート化合物の両末端のイソシアネートがともにカルボジイミド化することや、カルボジイミド化したイソシアネート化合物が有する残存イソシアネート基がウレトンイミン化することが考えられ、これらの副反応により生成したものも上記ポリイソシアネートの中に含まれていると考えられるが、ポリイソシアネートとして、上記範囲の量のイソシアネート基を有していれば特に問題はない。
【0019】
本発明においては、このようにして得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックする。上記活性水素化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノール等のフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトン等の活性メチレン系;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルへキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチル、フルフリルアルコール等のアルコール系;ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド系;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン系等を挙げることができる。
【0020】
好ましくは、上記ラクタム系、オキシム系又はフルフリルアルコールを上記ポリイソシアネートのイソシアネート基の20〜100%に相当する量を用いてブロックし、残存するイソシアネート基がある場合には、残りを1級若しくは2級のアルコール、又は、2級アミン系でブロックすることが好ましい。なお、このブロック化の手法は当業者によく知られており、その公知の方法に基づいて行うことができる。
上記ブロック化は、IRスペクトルにおける2250cm−1のイソシアネート基のピークが消失することによって確認することができる。
【0021】
上記活性水素化合物でブロックして得られる硬化剤は、カルボジイミド基とイソシアネート基とが反応して形成されたウレトンイミン結合を含むものである。
【0022】
上記のようにして得られるウレトンイミン結合を有するブロックイソシアネートは、本発明の粉体塗料組成物において硬化剤として使用される。これは、粉体塗料中に配合した場合、焼付硬化時に、ブロックイソシアネートが解離してフリーのイソシアネート基を生成するとともに、ウレトンイミン結合が解離して、フリーのイソシアネート基とともにカルボジイミド結合が生成し、イソシアネート基及びカルボジイミド結合が、バインダーとして配合された樹脂中の水酸基及びカルボキシル基とそれぞれ低温で反応するため、低温硬化系を構築することができる。更に、ウレトンイミン結合は、カルボジイミド結合よりも反応性が低いため、カルボジイミド硬化系では得られなかった平滑性に優れた塗膜を得ることができる。
【0023】
本発明の粉体塗料組成物は、上記硬化剤のほかに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含むものである。上記バインダー樹脂としては、水酸基及びカルボキシル基を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。
上記バインダー樹脂は、酸価が2〜150mgKOH/g、水酸基価が10〜200mgKOH/gであることが好ましい。これらの値は下限を下回ると、硬化性に劣る結果、膜性能が不充分となる。上限を超えると、得られる塗膜の耐水性に劣る。
【0024】
本発明の粉体塗料組成物を基材に塗布した後の硬化加熱温度としては、100〜230℃、好ましくは140〜200℃のなかから、基材の種類や組み合わせて使用するバインダー樹脂の種類等に応じて、適宜選択することができる。熱に弱い被塗装物の場合には、140〜160℃程度の加熱であっても、良好な硬化塗膜を得ることができる。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定することができる。
本発明の粉体塗料組成物は、高温での焼付け硬化を行うことができないアルミホイール、プラスチック部材等の自動車部品等であっても好適に使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
樹脂製造例1;ポリエステル樹脂の製造
第一段階;ポリエステル樹脂の合成
1,6ヘキサンジオール193.7g、イソフタル酸254.7g、トリメチロールプロパン145.5g、ペンタエリスリトール37.7g、ネオペンチルグリコール170.7g、テレフタル酸454.3g、ジブチルスズオキサイド0.5gを水冷コンデンサーを取り付けたデカンター、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を2Lの反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で180℃まで加熱し、その後、徐々に240℃まで昇温した。190℃を超えた時点で生成した水が留出され始めた。その後、酸価が10mgKOH/g以下になるまで6時間、240℃で保持した。
このポリエステル樹脂は、酸価10mgKOH/g、水酸基価90mgKOH/g、数平均分子量4000であった。
第二段階;3級カルボキシル基の導入
上記樹脂を150℃に降温し、2,2−ジメチルコハク酸無水物(DMSAN)91.3gを添加して3時間保持した。このポリエステル樹脂は、酸価50mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g、数平均分子量4100であった。
【0027】
樹脂製造例2;ポリエステル樹脂の製造
1,6ヘキサンジオール227.7g、イソフタル酸260.6g、トリメチロールプロパン82.2g、ペンタエリスリトール21.3g、ネオペンチルグリコール200.7g、テレフタル酸467.8g、ジブチルスズオキサイド0.5gを水冷コンデンサーを取り付けたデカンター、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を2Lの反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で180℃まで加熱し、その後、徐々に240℃まで昇温した。190℃を超えた時点で生成した水が留出され始めた。その後、酸価が15mgKOH/g以下になるまで6時間、240℃で保持した。
このポリエステル樹脂は、酸価15mgKOH/g、水酸基価53mgKOH/g、数平均分子量4200であった。
【0028】
硬化剤製造例1;
水冷コンデンサー、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を装備した1Lの反応容器にメチルイソブチルケトン300g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250g、1−フェニル−3−メチルホスホレン−1−オキサイド5mg仕込み、窒素雰囲気下、120℃に昇温し3時間保持した。
イソシアネート当量331になった時点で50℃まで降温し、6時間反応させウレトンイミンを得た。目的物の確認は、赤外線吸収スペクトルで1700cm−1のウレトンイミン結合の吸収を確認することにより行なった。
得られたウレトンイミン化合物は、減圧で溶剤除去することで粉体塗料用硬化剤とした。
【0029】
硬化剤製造例2;
水冷コンデンサー、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を装備した1Lの反応容器にメチルイソブチルケトン300g、イソオロンジイソシアネート222g、1−フェニル−3−メチルホスホレン−1−オキサイド4.4mg仕込み、窒素雰囲気下、120℃に昇温し3時間保持した。イソシアネート当量289になった時点で50℃まで降温し、6時間反応させウレトンイミンを得た。目的物の確認は、赤外線吸収スペクトルで1700cm−1のウレトンイミン結合の吸収を確認することにより行なった。
得られたウレトンイミン化合物は、減圧で溶剤除去することで粉体塗料用硬化剤とした。
【0030】
実施例1
ポリエステル樹脂、硬化剤を下記表1中に記載した割合で混合し、表面調整剤(アクロナール4F、BASF社製)0.85g、ベンゾイン0.85g、酸化チタン(タイペークCR−90、石原産業社製)40gをヘンシェルミキサー(三井三池製作所社製)にて乾式混合し、次いでコニーダーPR−46(スイス:ブス社製)にて溶融分散し、冷却後ハンマーミルにて粉砕し、150メッシュの金網で分級して、平均体積粒子径35μmの粉体白色塗料を得た。
【0031】
実施例2〜4、比較例1,2
下記表1中に記載した配合にて樹脂及び硬化剤を使用した以外は、実施例1と同じ方法で粉体白色塗料を得た。下記表1に記載した配合で硬化剤としてプリミドXL−552を使用した以外は、実施例1と同じ方法で比較例1及び2の粉体白色塗料を得た。
【0032】
【表1】
【0033】
上記の実施例及び比較例の白色粉体塗料を、コロナ帯電パウダーガン「GX−106N」(日本パーカライジング社製)を用いて、それぞれリン酸亜鉛処理鋼板に塗布した後、160℃で20分間焼き付けを行い、塗膜を得た。
得られた塗膜を下記評価方法によって評価した。結果を表2に示す。
【0034】
外観;目視評価により、塗膜表面が均一でブツ等の無いものを○、ブツ等の異常の有るものを×とした。
硬化性;メチルエチルケトンを染み込ませた布を用いて、得られた塗装鋼板の表面を20回ラビングした。変化が無いものを○、塗膜の一部が剥がれたり布に付着したものを×とした。耐衝撃性;Dupont式により重さ500g、直径1/2φの鋼球を、得られた塗膜の上5cm、10cm、15cm、20cmの高さからそれぞれ落下し、塗膜にワレ・クラックの発生がなかったときの落下の高さを調べた。
耐水性;焼付けた後の塗膜を室温で1週間、水道中に浸漬し変化が無いものを○、塗膜表面にブリスター等の発生したものを×とした。
【0035】
【表2】
【0036】
上記結果から、実施例の粉体塗料は、外観、硬化性、耐衝撃性、耐水性試験のすべての項目において良好な物性を有するものであることが明らかになった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の粉体塗料組成物においては、硬化剤が、従来のブロックイソシアネート化合物に比べて加熱減量が少ないため、揮発性有機化合物を減少させるとともに、塗膜欠陥を防止することができる。これは、硬化剤中において、主にイソシアネート化合物3分子がウレトンイミン結合で結合しており、ブロックされたイソシアネート基を3個有する構造を有していると考えられる。このブロックイソシアネートは加熱により、通常のブロックイソシアネートが解離してフリーのイソシアネート基を生成するとともに、ウレトンイミン結合が解離して、フリーのイソシアネート基とともにカルボジイミド結合が生成する。カルボジイミド結合自体は、主としてカルボキシル基と反応するため、このブロックイソシアネートは5官能の硬化剤として機能するものと考えられる。この5個の反応性官能基のうち、2つは脱離を伴わずに反応するため、従来のブロックイソシアネート化合物に比べて加熱減量が少ないと推定される。
更に、本発明の粉体塗料組成物においては、硬化剤から加熱硬化時に生成したイソシアネート基及びカルボジイミド結合が、バインダーとして配合された樹脂中の水酸基及びカルボキシル基とそれぞれ反応する複合硬化となるため、形成される網目が小さくなり、低温硬化系を構築することができる。また、ウレトンイミン結合自体は、従来使用されてきたカルボジイミド硬化系よりも反応性が低いため、平滑性に優れた塗膜を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレトンイミン結合を有する硬化剤、並びに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含む粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等をメインバインダーとし、必要により多価カルボン酸、ブロックイソシアネート等の硬化剤を配合しているものが広く知られており、これらは、家電、自動車、建材等の多くの分野で使用されている。その中で、熱硬化性樹脂組成物を主体とする粉体塗料組成物は、一定温度以上、通常は180℃以上の高温での焼付条件が必要とされている。ところが、このような高温焼付は、多量のエネルギーを必要とし、かつ揮発性成分が多く発生することから、環境上あまり好ましくない。
【0003】
硬化剤として一般的に用いられているブロックイソシアネート化合物は、加熱によって、イソシアネート基をブロックしていたブロック剤が脱離することが知られている。しかし、この加熱による減量は、塗膜欠陥につながるおそれがあるとともに、脱離したブロック剤が揮散してしまうと、揮発性有機化合物(VOC)となるため、環境に悪影響を及ぼすという問題点を有している。
【0004】
一方、ウレトンイミン結合は、イソシアネート2分子が結合して生じるカルボジイミド結合に、更にイソシアネート基が付加して生成される結合であり、低温で解離してイソシアネート基が再生することが知られている。
上記の問題を解決すべく、イソシアネート化合物のイソシアネート基がカルボジイミド基によりブロックされたカルボジイミドブロックドイソシアネート化合物よりなるウレタン系塗料用硬化剤、及び、それを配合してなる粉体塗料が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ここに開示の硬化系においては、焼付時に、ウレタン系塗料用硬化剤のカルボジイミド基が解離して、その結果発生したフリーのイソシアネート基が水酸基含有樹脂中の水酸基と反応するに過ぎないため、硬化が不充分であり、得られる塗膜の性能に劣るものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−157588号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡易な方法により得ることができ、粉体塗料中に配合した場合に、加熱減量が少なく、かつ、優れた低温硬化性を得ることができるウレトンイミン結合を分子内に有する硬化剤を含む粉体塗料組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、(1)カルボジイミド基及びウレトンイミン基の反応を制御することによって、従来のブロックイソシアネート化合物に比べ、加熱減量が少なく、また、簡易な方法により、ウレトンイミン結合を有するブロックイソシアネートが得られ、また、粉体塗料用硬化剤として使用した場合に、得られる粉体塗料が従来より低温で硬化させることができること、並びに、(2)ウレトンイミン結合はカルボジイミド結合よりも反応性が低いため、カルボジイミド硬化系では得られなかった塗膜の平滑性を得ることができること、を見いだし、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、硬化剤、並びに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含む粉体塗料組成物であって、上記硬化剤は、イソシアネート化合物をカルボジイミド化した後、ウレトンイミン化してポリイソシアネートを製造し、上記得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックして得られるものであり、上記カルボジイミド化は、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基の量が最初の2/3になるまで行われるものであって、かつ、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基の量は、3.2〜4.2mmol/gであることを特徴とする粉体塗料組成物である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の粉体塗料組成物は、イソシアネート化合物をカルボジイミド化した後、ウレトンイミン化してポリイソシアネートを製造し、上記得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックして得られる硬化剤を含むものである。
【0010】
上記イソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及び、これらの混合物を用いることができ、具体的には、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0011】
本発明において、出発物質となる上記イソシアネート化合物としては、芳香族系のイソシアネート化合物が好ましく、より好ましくは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIともいう)である。上記MDIは、2,2′体及び2,4′体を数%のレベルで含んでいても構わない。
【0012】
本発明において、最初のステップは上記イソシアネート化合物のカルボジイミド化である。上記カルボジイミド化は、原料であるイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の量が最初の2/3になるまで行われる。2/3未満であると、後のウレトンイミン化が充分に行われず、結果としてブロックされていないフリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が系内に残存することとなり、加熱減量を少なくすることが困難になる。2/3を大きく超えると、カルボジイミド化が進みすぎるため、後のウレトンイミン化の際にゲル化してしまうおそれがある。
【0013】
上記イソシアネート基の量は、滴定によって測定することが可能である。この場合、系内に残存するイソシアネート基の量を滴定により決定する場合、ちょうど2/3でカルボジイミド化を終了させることは実質的に困難である。その場合、イソシアネート基の残存量が4.2〜5.5mmol/gになった時点でカルボジイミド化を終了させることが好ましい。なお、イソシアネート化合物そのものが有するイソシアネート基の量は、上記MDIの場合8mmol/gである。
【0014】
上記カルボジイミド化は、触媒存在下で加熱することにより進行するものであるが、効率的に反応を進行させるためには、ホスホレンオキサイドを触媒とし、120〜170℃で行われることが好ましい。ホスホレンオキサイドを触媒とすることにより、温度制御しやすい範囲でカルボジイミド化を行うことができる。ホスホレンオキサイドとしては、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−ブチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−(N−ピペリジニル)−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−モルフォリノ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−ブチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェノキシ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−スルフィド等が挙げられる。これらの中で、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド等が好ましい。
【0015】
上記ホスホレンオキサイドの量は、原料のイソシアネート化合物に対して1〜30ppmであることが好ましい。1ppm未満であると、カルボジイミド化が充分に進行せず、30ppmを超えると、ウレトンイミン化が進行しない。
上記反応温度が120℃未満であると、カルボジイミド化が充分に進行しないおそれがあるとともに、同時にウレトンイミン化が進行してしまい、目的とする化合物が得られないおそれがある。一方、170℃を超えると、副反応が進行して、目的とする化合物が得られないおそれがある。
【0016】
上記のようにして、カルボジイミド化を行い、原料となるイソシアネート化合物のイソシアネート基の量が2/3になったところで、系を冷却してカルボジイミド化を終了する。この冷却は、ウレトンイミン化反応を進行させるために室温〜100℃になるまで行われることが好ましい。冷却しすぎると、ウレトンイミン化が充分に進行せず、100℃を超えるとカルボジイミド化がさらに進行してしまうおそれがある。好ましい温度範囲は、40〜90℃である。なお、上記カルボジイミド化及びウレトンイミン化には、イソシアネートに対して不活性であり、イソシアネート化合物を溶解する溶剤を用いることも可能であるが、通常、無溶媒で反応が行われる。
上記カルボジイミド化は、IRスペクトルにおける2100cm−1のカルボジイミド基のピークが生成することによって確認することができる。
【0017】
上記ウレトンイミン化反応は、先に生成したカルボジイミド結合に対し、系内に残存しているフリーのイソシアネート化合物のイソシアネート基が付加するものである。このウレトンイミン化は、系内のイソシアネート基の量が3.2〜4.2mmol/gになるまで続けられる。3.2mmol/g未満であると、ゲル化してしまうおそれがあり、4.2mmol/gを超えると、フリーのイソシアネート化合物が多く残存していることになるため、加熱減量を低下させることができない。なお、2分子のイソシアネート化合物間でそれぞれのイソシアネート基同士がカルボジイミド結合により結合し、ここにもう1分子のイソシアネート化合物のイソシアネート基がウレトンイミン結合により結合するのが最も好ましい形態であり、この場合のイソシアネート基量の計算値は、4.2mmol/gとなる。実際には、3分子以上のイソシアネート化合物がカルボジイミド結合で結合したものが生成する等の副反応の進行が予想され、また原料イソシアネート化合物の純度の影響から、最終的なイソシアネート基の量は必ずしも4.2mmol/gになるとは限らないが、本発明の目的を満たすためには、上記範囲の量であればよい。
上記ウレトンイミン化は、IRスペクトルにおける2100cm−1のカルボジイミド基のピークが消失し、1700cm−1のウレトンイミン結合のピークが生成することによって確認することができる。
【0018】
上記ウレトンイミン化して製造されたポリイソシアネートは、主に、加熱によりフリーのイソシアネート基を3個有する構造を有することとなると考えられる。
これは、まず、2分子のイソシアネート化合物間でそれぞれのイソシアネート基同士がカルボジイミド化し、更に、こうして生じたカルボジイミド結合に対して、別のイソシアネート化合物のイソシアネート基が付加してウレトンイミン化が進行するものによると考えられる。もちろん、イソシアネート化合物の両末端のイソシアネートがともにカルボジイミド化することや、カルボジイミド化したイソシアネート化合物が有する残存イソシアネート基がウレトンイミン化することが考えられ、これらの副反応により生成したものも上記ポリイソシアネートの中に含まれていると考えられるが、ポリイソシアネートとして、上記範囲の量のイソシアネート基を有していれば特に問題はない。
【0019】
本発明においては、このようにして得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックする。上記活性水素化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノール等のフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトン等の活性メチレン系;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルへキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチル、フルフリルアルコール等のアルコール系;ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド系;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン系等を挙げることができる。
【0020】
好ましくは、上記ラクタム系、オキシム系又はフルフリルアルコールを上記ポリイソシアネートのイソシアネート基の20〜100%に相当する量を用いてブロックし、残存するイソシアネート基がある場合には、残りを1級若しくは2級のアルコール、又は、2級アミン系でブロックすることが好ましい。なお、このブロック化の手法は当業者によく知られており、その公知の方法に基づいて行うことができる。
上記ブロック化は、IRスペクトルにおける2250cm−1のイソシアネート基のピークが消失することによって確認することができる。
【0021】
上記活性水素化合物でブロックして得られる硬化剤は、カルボジイミド基とイソシアネート基とが反応して形成されたウレトンイミン結合を含むものである。
【0022】
上記のようにして得られるウレトンイミン結合を有するブロックイソシアネートは、本発明の粉体塗料組成物において硬化剤として使用される。これは、粉体塗料中に配合した場合、焼付硬化時に、ブロックイソシアネートが解離してフリーのイソシアネート基を生成するとともに、ウレトンイミン結合が解離して、フリーのイソシアネート基とともにカルボジイミド結合が生成し、イソシアネート基及びカルボジイミド結合が、バインダーとして配合された樹脂中の水酸基及びカルボキシル基とそれぞれ低温で反応するため、低温硬化系を構築することができる。更に、ウレトンイミン結合は、カルボジイミド結合よりも反応性が低いため、カルボジイミド硬化系では得られなかった平滑性に優れた塗膜を得ることができる。
【0023】
本発明の粉体塗料組成物は、上記硬化剤のほかに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含むものである。上記バインダー樹脂としては、水酸基及びカルボキシル基を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。
上記バインダー樹脂は、酸価が2〜150mgKOH/g、水酸基価が10〜200mgKOH/gであることが好ましい。これらの値は下限を下回ると、硬化性に劣る結果、膜性能が不充分となる。上限を超えると、得られる塗膜の耐水性に劣る。
【0024】
本発明の粉体塗料組成物を基材に塗布した後の硬化加熱温度としては、100〜230℃、好ましくは140〜200℃のなかから、基材の種類や組み合わせて使用するバインダー樹脂の種類等に応じて、適宜選択することができる。熱に弱い被塗装物の場合には、140〜160℃程度の加熱であっても、良好な硬化塗膜を得ることができる。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定することができる。
本発明の粉体塗料組成物は、高温での焼付け硬化を行うことができないアルミホイール、プラスチック部材等の自動車部品等であっても好適に使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
樹脂製造例1;ポリエステル樹脂の製造
第一段階;ポリエステル樹脂の合成
1,6ヘキサンジオール193.7g、イソフタル酸254.7g、トリメチロールプロパン145.5g、ペンタエリスリトール37.7g、ネオペンチルグリコール170.7g、テレフタル酸454.3g、ジブチルスズオキサイド0.5gを水冷コンデンサーを取り付けたデカンター、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を2Lの反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で180℃まで加熱し、その後、徐々に240℃まで昇温した。190℃を超えた時点で生成した水が留出され始めた。その後、酸価が10mgKOH/g以下になるまで6時間、240℃で保持した。
このポリエステル樹脂は、酸価10mgKOH/g、水酸基価90mgKOH/g、数平均分子量4000であった。
第二段階;3級カルボキシル基の導入
上記樹脂を150℃に降温し、2,2−ジメチルコハク酸無水物(DMSAN)91.3gを添加して3時間保持した。このポリエステル樹脂は、酸価50mgKOH/g、水酸基価50mgKOH/g、数平均分子量4100であった。
【0027】
樹脂製造例2;ポリエステル樹脂の製造
1,6ヘキサンジオール227.7g、イソフタル酸260.6g、トリメチロールプロパン82.2g、ペンタエリスリトール21.3g、ネオペンチルグリコール200.7g、テレフタル酸467.8g、ジブチルスズオキサイド0.5gを水冷コンデンサーを取り付けたデカンター、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を2Lの反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で180℃まで加熱し、その後、徐々に240℃まで昇温した。190℃を超えた時点で生成した水が留出され始めた。その後、酸価が15mgKOH/g以下になるまで6時間、240℃で保持した。
このポリエステル樹脂は、酸価15mgKOH/g、水酸基価53mgKOH/g、数平均分子量4200であった。
【0028】
硬化剤製造例1;
水冷コンデンサー、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を装備した1Lの反応容器にメチルイソブチルケトン300g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250g、1−フェニル−3−メチルホスホレン−1−オキサイド5mg仕込み、窒素雰囲気下、120℃に昇温し3時間保持した。
イソシアネート当量331になった時点で50℃まで降温し、6時間反応させウレトンイミンを得た。目的物の確認は、赤外線吸収スペクトルで1700cm−1のウレトンイミン結合の吸収を確認することにより行なった。
得られたウレトンイミン化合物は、減圧で溶剤除去することで粉体塗料用硬化剤とした。
【0029】
硬化剤製造例2;
水冷コンデンサー、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を装備した1Lの反応容器にメチルイソブチルケトン300g、イソオロンジイソシアネート222g、1−フェニル−3−メチルホスホレン−1−オキサイド4.4mg仕込み、窒素雰囲気下、120℃に昇温し3時間保持した。イソシアネート当量289になった時点で50℃まで降温し、6時間反応させウレトンイミンを得た。目的物の確認は、赤外線吸収スペクトルで1700cm−1のウレトンイミン結合の吸収を確認することにより行なった。
得られたウレトンイミン化合物は、減圧で溶剤除去することで粉体塗料用硬化剤とした。
【0030】
実施例1
ポリエステル樹脂、硬化剤を下記表1中に記載した割合で混合し、表面調整剤(アクロナール4F、BASF社製)0.85g、ベンゾイン0.85g、酸化チタン(タイペークCR−90、石原産業社製)40gをヘンシェルミキサー(三井三池製作所社製)にて乾式混合し、次いでコニーダーPR−46(スイス:ブス社製)にて溶融分散し、冷却後ハンマーミルにて粉砕し、150メッシュの金網で分級して、平均体積粒子径35μmの粉体白色塗料を得た。
【0031】
実施例2〜4、比較例1,2
下記表1中に記載した配合にて樹脂及び硬化剤を使用した以外は、実施例1と同じ方法で粉体白色塗料を得た。下記表1に記載した配合で硬化剤としてプリミドXL−552を使用した以外は、実施例1と同じ方法で比較例1及び2の粉体白色塗料を得た。
【0032】
【表1】
【0033】
上記の実施例及び比較例の白色粉体塗料を、コロナ帯電パウダーガン「GX−106N」(日本パーカライジング社製)を用いて、それぞれリン酸亜鉛処理鋼板に塗布した後、160℃で20分間焼き付けを行い、塗膜を得た。
得られた塗膜を下記評価方法によって評価した。結果を表2に示す。
【0034】
外観;目視評価により、塗膜表面が均一でブツ等の無いものを○、ブツ等の異常の有るものを×とした。
硬化性;メチルエチルケトンを染み込ませた布を用いて、得られた塗装鋼板の表面を20回ラビングした。変化が無いものを○、塗膜の一部が剥がれたり布に付着したものを×とした。耐衝撃性;Dupont式により重さ500g、直径1/2φの鋼球を、得られた塗膜の上5cm、10cm、15cm、20cmの高さからそれぞれ落下し、塗膜にワレ・クラックの発生がなかったときの落下の高さを調べた。
耐水性;焼付けた後の塗膜を室温で1週間、水道中に浸漬し変化が無いものを○、塗膜表面にブリスター等の発生したものを×とした。
【0035】
【表2】
【0036】
上記結果から、実施例の粉体塗料は、外観、硬化性、耐衝撃性、耐水性試験のすべての項目において良好な物性を有するものであることが明らかになった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の粉体塗料組成物においては、硬化剤が、従来のブロックイソシアネート化合物に比べて加熱減量が少ないため、揮発性有機化合物を減少させるとともに、塗膜欠陥を防止することができる。これは、硬化剤中において、主にイソシアネート化合物3分子がウレトンイミン結合で結合しており、ブロックされたイソシアネート基を3個有する構造を有していると考えられる。このブロックイソシアネートは加熱により、通常のブロックイソシアネートが解離してフリーのイソシアネート基を生成するとともに、ウレトンイミン結合が解離して、フリーのイソシアネート基とともにカルボジイミド結合が生成する。カルボジイミド結合自体は、主としてカルボキシル基と反応するため、このブロックイソシアネートは5官能の硬化剤として機能するものと考えられる。この5個の反応性官能基のうち、2つは脱離を伴わずに反応するため、従来のブロックイソシアネート化合物に比べて加熱減量が少ないと推定される。
更に、本発明の粉体塗料組成物においては、硬化剤から加熱硬化時に生成したイソシアネート基及びカルボジイミド結合が、バインダーとして配合された樹脂中の水酸基及びカルボキシル基とそれぞれ反応する複合硬化となるため、形成される網目が小さくなり、低温硬化系を構築することができる。また、ウレトンイミン結合自体は、従来使用されてきたカルボジイミド硬化系よりも反応性が低いため、平滑性に優れた塗膜を得ることができる。
Claims (4)
- 硬化剤、並びに、水酸基及びカルボキシル基を含有するバインダー樹脂を含む粉体塗料組成物であって、
前記硬化剤は、イソシアネート化合物をカルボジイミド化した後、ウレトンイミン化してポリイソシアネートを製造し、前記得られたポリイソシアネートを活性水素化合物でブロックして得られるものであり、
前記カルボジイミド化は、前記イソシアネート化合物のイソシアネート基の量が最初の2/3になるまで行われるものであって、かつ、前記ポリイソシアネートのイソシアネート基の量は、3.2〜4.2mmol/gである
ことを特徴とする粉体塗料組成物。 - イソシアネート化合物は、芳香族系のイソシアネート化合物である請求項1記載の粉体塗料組成物。
- 芳香族系のイソシアネート化合物は、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項2記載の粉体塗料組成物。
- カルボジイミド化は、ホスホレンオキサイドを触媒とし、120〜170℃で行われるものである請求項1、2又は3記載の粉体塗料組成物。
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