JP2004210133A - 空気入りタイヤ、その製造方法および成形金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この空気入りタイヤは、周方向に設けられる縦溝と、この縦溝に交差して周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝13とから成るトレッドパターンを有するトレッド部10を含む。そして、この空気入りタイヤは、横溝13bの寸法を調整することにより、トレッド部10のブロック部14における半径方向の剛性を、少なくとも周方向に配列されるブロック部14相互間にて均一化して形成される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気入りタイヤ、その製造方法および金型に関し、更に詳しくは、空気入りタイヤのトレッド部における剛性を均一化できる空気入りタイヤ、その製造方法および金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤは、周方向に設けられる縦溝と、この縦溝に交差して設けられる横溝とから成るトレッドパターンを、トレッド部に有する。従来の空気入りタイヤでは、この横溝をタイヤの周方向に複数種類のピッチで設けるピッチバリエーション手法を採用する。これにより、タイヤのピッチノイズを広い周波数に分散させて、タイヤの騒音特性を向上させている。かかる従来の空気入りタイヤには、例えば、特許文献1に記載される技術が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−291714号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、空気入りタイヤには、騒音特性に加えて、車体の振動を抑制する振動特性が要求される。かかる振動特性は、タイヤの半径方向に対する圧縮剛性を、その周方向について均一化することにより向上できる。しかしながら、従来の空気入りタイヤは、その製造工程にて半径方向の剛性が不均一となり、現実に振動特性に関する種々の問題点を有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らの研究によれば、タイヤの剛性の不均一は、トレッド部における剛性の不均一に起因するため、トレッド部の剛性を均一化することによりタイヤの振動特性を効果的に向上できることが判明している。また、発明者らの研究によれば、トレッド部の剛性は、主として、▲1▼周方向に配列されるブロック部の大きさが各ブロック部間にて相互に異なること、および、▲2▼トレッド部の押し込まれ量にバラツキがあるため、各ブロック部の厚みが不均一となること、により不均一となることが判明している。▲1▼の要因は、ピッチバリエーション手法を採用するタイヤでは不可避であり、大きなブロック部ほど剛性が強いために必然的に発生する。▲2▼の要因は、タイヤの加硫時にて横溝を形成するにあたり、金型の凸部によるトレッド部の押し込まれ量が不均一となることにより発生する。すなわち、ピッチバリエーション手法を採用するタイヤでは、各ピッチ毎に設けられる横溝の溝長さが、各ピッチ長さの比と同一比にて設けられる。このため、大きなピッチと小さなピッチとでは、押し込まれるゴム部材の量に偏りが生じる。そして、押し込まれたゴム部材は、流動して隣接するブロック部に流れ込むため、ゴム材の押し込まれ量によって各ブロック部の厚さが相互に異なり、剛性に不均一が生ずるものである。なお、この▲2▼の要因は、発明者らの研究による新規の課題である。
【0006】
なお、以下の発明において、周方向および半径方向は、タイヤの周方向および半径方向を意味する。また、ブロック部とは、トレッドパターンを形成する縦溝と横溝とに区切られたトレッド部の部分をいい、区切られて凸状となった部分のみならず、トレッド部と同様の厚みを有する部分をいうものとする。また、溝長さとは、タイヤの周方向に対する横溝の長さをいい、平面的には、横溝の幅として認識される。また、ピッチ長さとは、タイヤの周方向に対する各ピッチの長さをいい、ブロック部の長さおよび溝長さの和が該当する。また、ブロック部の剛性とは、変形に対するブロック部の弾性強さをいい、主として、タイヤの半径方向に対する圧縮剛性を意味する。ブロック部の剛性は、その材質のみならず、ブロック部の加圧面積や表面積によっても見かけ上変化する。
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に設けられる縦溝と、前記縦溝に交差してタイヤ周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝とを有するトレッド部を含む空気入りタイヤであって、
前記横溝の溝断面積を調整することにより、タイヤ半径方向に対する前記トレッド部の剛性をタイヤ周方向に均一化して成る。
【0008】
この発明では、トレッド部の横溝の溝断面積を調整することにより、タイヤ半径方向に対するの剛性をタイヤ周方向に均一化して形成する。これにより、タイヤ一周における半径方向の剛性変化を低減できる利点がある。なお、横溝の溝断面積は、例えば、溝幅、溝角度もしくは溝深さを変更して調整される。ブロック部の剛性とは、接地面からタイヤのベルト部との接合面までの厚みにおける剛性をいう。均一化の程度については、特に限定はなく、横溝の寸法を調整して剛性を均一化していれば本発明に含まれる。具体的には、ピッチ長さ比と同一比にて画一的に横溝を形成する従来の空気入りタイヤと比較して、よりトレッド部の剛性が均一であればよい。なお、横溝の寸法を調整することによりブロック部の剛性を均一化する手法は新規である。また、溝断面積の調整は、横溝の溝長さ、溝角度もしくは溝深さのいずれか1つを単独で調整しても良いし、これらを組み合わせて調整しても良い。
【0009】
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に設けられる縦溝と、前記縦溝に交差してタイヤ周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝とを有するトレッド部を含む空気入りタイヤであって、前記横溝の溝断面積を調整することにより、タイヤ半径方向に対する前記トレッド部の厚みをタイヤ周方向に均一化される。
【0010】
この発明では、トレッド部の横溝の溝断面積を調整することにより、タイヤ半径方向に対するの厚さをタイヤ周方向に均一化して形成する。これにより、タイヤ一周における半径方向の剛性変化を低減できる利点がある。なお、横溝の寸法には、例えば、溝幅、溝角度もしくは溝深さが含まれる。ブロック部の厚みとは、接地面からタイヤのベルト部との接合面までにおけるブロック部の厚みをいう。均一化の程度については、特に限定はなく、横溝の寸法を調整してブロック部の厚みを均一化していれば本発明に含まれる。具体的には、ピッチ長さ比と同一比にて画一的に横溝を形成する従来の空気入りタイヤと比較して、よりトレッド部の厚みが均一であればよい。なお、横溝の寸法を調整することによりブロック部の厚みを均一化する手法は新規である。
【0011】
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記溝断面積が、前記横溝の断面形状から幾何学的に算出した前記横溝の押し込まれ量に基づき調整される。
【0012】
この発明では、溝断面積を、横溝の断面形状から幾何学的に算出した横溝の押し込まれ量に基づき調整する。これにより、幾何学的な単純解析に基づき溝断面積を調整できるので、タイヤの設計を簡略化しつつ、トレッド部の剛性を均一化できる利点がある。
【0013】
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記溝断面積は、前記トレッド部を構成するブロック部の寸法が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第1剛性差と、前記横溝の押し込まれ量が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第2剛性差とが、相互に打ち消し合うように調整される。
【0014】
ブロック部の寸法がピッチ毎に異なる場合には、各ピッチのブロック部がその大きさの相異により相互に異なる剛性を有し、これらのブロック部間には、第1剛性差が発生する。かかる第1剛性差は、トレッド部の圧縮剛性に不均一を生じさせて、タイヤの振動特性を低下させるという問題点がある。一方、ブロック部間には、前記第1剛性差に加えて、横溝の形成時におけるトレッド部の押し込まれ量の相異により、第2剛性差が生じている。そこで、この発明では、各横溝相互間の寸法比を調整することにより、第1剛性差と第2剛性差とが打ち消し合ってバランスするように、トレッド部の押し込まれ量を調整する。これにより、ブロック部相互間の半径方向に対する剛性差を減少できるので、トレッド部の剛性を均一化してタイヤの振動特性を向上させ得る利点がある。
【0015】
なお、横溝の寸法には、例えば、溝幅、溝角度もしくは溝深さが含まれる。
また、横溝相互間の寸法比は、横溝の溝長さ比、溝角度比もしくは溝深さ比のいずれか1つを単独で調整しても良いし、これらを組み合わせて調整しても良い。また、横溝間の寸法比には、周方向に対する溝長さ比の他に、トレッド部を平面的に見たときの溝面積の比や、横溝の凹み量から成る溝体積の比が含まれる。また、ブロック部の剛性とは、接地面からタイヤのベルト部との接合面までの厚みにおける剛性をいう。また、均一化の程度については、特に限定はなく、横溝間の寸法比を調整して剛性を均一化していれば本発明に含まれる。具体的には、ピッチ長さ比と同一比にて画一的に横溝を形成する従来の空気入りタイヤと比較して、よりトレッド部の剛性が均一であればよい。なお、横溝間の寸法比を調整することによりブロック部の剛性を均一化する手法は新規である。
【0016】
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記ピッチのピッチ長さ比が1.0以上かつ1.5以下の場合において、前記溝断面積は、前記横溝の溝長さ比の最大値と最小値との差が0.5[%]以上かつ1.5[%]以下となるように調整される。
【0017】
ピッチバリエーション手法を採る空気入りタイヤでは、一般に、1.0〜1.5の範囲内にピッチ長さ比を有する。そこで、この発明では、かかる一般的なタイヤにおいて、横溝の寸法を、トレッド部の任意の周上における溝長さ比の最大値と最小値との差が0.5[%]以上であって1.5[%]以下となるように調整する。発明者らの研究によれば、横溝の寸法をこのように調整することにより、第1剛性差と第2剛性差とが相殺される。これにより、トレッド部の剛性を均一化できるので、横溝の寸法を画一的に設計できる利点がある。
【0018】
なお、ピッチ長さとは、ピッチが有する周方向の長さをいう。ピッチ長さ比とは、最小のピッチ長さに対する任意のピッチ長さの比をいう。また、溝長さとは、横溝が有する周方向の長さ、すなわち、横溝の幅をいう。また、溝長さ比とは、ピッチ長さに対する溝長さの比をいう。また、タイヤのショルダー部は、振動特性に対する影響が大きいので、この発明は、少なくともタイヤのショルダー部に適用されることが好ましい。これにより、タイヤの振動特性を効果的に向上できる利点がある。
【0019】
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記溝断面積が、ゴム部材の流動によりタイヤ加硫工程時にて生ずる流動誤差を加味して調整される。
【0020】
発明者らの研究によれば、グリーンタイヤの状態では、トレッド部を構成するゴム部材が流動性を有するため、横溝の形成にあたり押し込まれたゴム部材が流動して周囲のブロック部に流れ込む。このため、幾何学的な単純解析に基づき横溝の寸法を調整しても、各ブロック部の厚さに流動誤差が生じてトレッド部の剛性を均一化できないという問題点が生ずる。そこで、この発明では、溝断面積の調整にあたり、ゴム部材の流動によりタイヤ加硫工程時にて生ずる流動誤差を考慮する。これにより、より高い精度にて、トレッド部の剛性を均一化できる利点がある。
【0021】
なお、流動誤差の考慮にあたっては、例えば、各ピッチ間における横溝の寸法もしくは寸法比の偏差対し、実験的な数値による流動化係数Sを乗じて、上記幾何学的解析による横溝の寸法を補正する手段が含まれる。また、この補正にあたっては、さらに、ブロック部剛性に寄与する実験的な数値による修正係数γを加味しても良い。これらにより、より実測値に近い調整が可能となる利点がある。
【0022】
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記溝断面積は、形状効果に起因する前記ブロック部の圧縮弾性係数の変動を補正する補正式を加味して調整される。
【0023】
この発明では、溝断面積の調整にあたり、形状効果に起因する前記ブロック部の圧縮弾性係数の変動を補正する補正式を考慮する。これにより、より高い精度にて、トレッド部の剛性を均一化できる利点がある。なお、かかる補正式には、例えば、服部らの提案によるトレッドゴムブロックの圧縮弾性係数にかかる補正式が含まれる(日本ゴム協会誌23、194(1950)参照)。
【0024】
また、この発明にかかる空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ周方向に設けられる縦溝と、前記縦溝に交差してタイヤ周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝とを有するトレッド部を含む空気入りタイヤの製造方法であって、前記横溝の溝断面積を調整することにより、タイヤ半径方向に対する前記トレッド部の厚みをタイヤ周方向に均一化される。
【0025】
また、この発明にかかる空気入りタイヤの製造方法は、前記溝断面積は、前記トレッド部を構成するブロック部の寸法が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第1剛性差と、前記横溝の押し込まれ量が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第2剛性差とが、相互に打ち消し合うように調整される。
【0026】
また、この発明にかかる空気入りタイヤ成形金型は、タイヤ周方向に設けられる縦溝と、前記縦溝に交差してタイヤ周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝とを空気入りタイヤのトレッド部に形成する凸部を有し、且つ、前記凸部は、タイヤ半径方向に対する前記トレッド部の厚みをタイヤ周方向に均一化させる断面積を有する。
【0027】
また、この発明にかかる空気入りタイヤ成形金型は、前記凸部は、前記トレッド部を構成するブロック部の寸法が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第1剛性差と、前記横溝の押し込まれ量が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第2剛性差とを、相互に打ち消す断面積を有する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。
【0029】
<実施の形態1>
図1は、この発明の実施の形態1にかかる空気入りタイヤの要部を示す平面図である。この空気入りタイヤ1は、トレッドパターンを形成する縦溝11、12および横溝13を、トレッド部10に有する。トレッド部10は、これらの縦溝11、12および横溝13により区切られて成るブロック部14を有する。ここで、これらのブロック部14は、空気入りタイヤ1が採用するッチバリエーション手法により、タイヤの周方向に対して複数種類のピッチA、B、Cにより、周期的に配列される。すなわち、横溝13は、これらのピッチA、B、C毎に異なる間隔で形成される。
【0030】
図2は、図1に記載した横溝を示す周方向の断面図である。同図において、(a)は、ピッチA、B、Cのうち最も短いピッチ(以下、最小ピッチという。)にかかる断面図を示し、(b)は、横溝の寸法の調整対象であるピッチ(以下、対象ピッチという。)にかかる断面図を示す。また、これらの図では、便宜上、各ピッチA、B、Cの中央に横溝13を配置する。図2(a)において、最小ピッチは、周方向に対するピッチの長さL(以下、ピッチ長さLという。)と、厚さH1とを有する。この厚さH1は、ブロック部14の接地面からタイヤのベルト部15までの距離である。また、最小ピッチの横溝13aは、周方向に対する溝の長さD(以下、溝長さDという。)と、ブロック部14の接地面の法線に対する溝の傾斜角θ(以下、溝角度θという。)と、この接地面からの溝の深さW(以下、溝深さWという。)とにより、周方向断面の寸法を規定される。
【0031】
また、図2(b)において、対象ピッチのピッチ長さは、αLである。このαは、最小ピッチのピッチ長さLを基準としたピッチ長さの比(以下、ピッチ長さ比という。)であり、一般のタイヤでは、1.2〜1.5程度の値が用いられる。また、この対象ピッチでは、ブロック部14の厚さをH2、溝長さをβDにより示す。このβは、最小ピッチの溝長さDを基準とした溝長さの比(以下、溝長さ比という。)であり、後述する幾何学的な解析式により算出される。なお、他の溝角度θおよび溝深さWについては、最小ピッチのもの同一なので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
ここで、トレッド部10の横溝13は、グリーンタイヤの加硫成型時にて、金型の凸部(図示省略)をトレッド部10に押しつけて形成される。そして、ピッチバリエーション手法を採用するタイヤでは、一般に、この横溝13の寸法がピッチ毎に異なるため、横溝13形成時におけるトレッド部10の押し込まれ量が、各ピッチ毎に異なる。しかしながら、従来の空気入りタイヤでは、横溝の溝長さ比を、ピッチ長さ比と同一比に、画一的に定めていた。例えば、最小ピッチに対して、対象ピッチのピッチ長さがαLであれば、その溝長さもαDであった(図示省略)。このため、トレッド部10の押し込まれ量の相異により、ブロック部14の厚さH1、H2に不均一が生じていた。
【0033】
そこで、この実施の形態1では、理論的に好ましい溝長さ比βを、以下の幾何学的な解析手法により算出し、この算出結果を用いて横溝13の寸法を調整する。まず、図2(a)において、最小ピッチのブロック部14の厚さH1は、
H1=(H0L+DW−W2tanθ)/L
である。また、図2(b)において、対象ピッチにおけるブロック部14の厚さH2は、
H2=(H0αL+βDW−W2tanθ)/αL
である。これらの差ΔHは、
ΔH= H2−H1
={(β−α)DW+(α−1)W2tanθ}/αL
である。そして、ΔH=0となるβを求めると、
β=α+{(1−α)Wtanθ}/D
となる。すなわち、この溝長さ比βは、ブロック部14の厚さH2、H1を理論的に均一にする値であり、この溝長さ比βを用いて横溝13の寸法を調整することにより、トレッド部10全周の厚みを略均一にできる利点がある。特に、かかる幾何学的な単純解析に基づき横溝の寸法を調整することとすれば、タイヤの設計を簡略化できると共に、トレッド部10の剛性を均一化して、主として半径方向にかかるタイヤの振動特性を向上できる利点がある。
【0034】
ただし、かかる単純解析による溝長さ比βでは、均一性の程度が若干低いという問題点がある。グリーンタイヤの状態では、トレッド部10のゴム部材が流動性を有するため、押し込まれたゴム部材が隣接するブロック部14に流れ込み、ブロック部14の厚さH2、H1が上記の解析結果と異なるためである。そこで、上記解析結果に対して、さらに、ゴムの流動性による影響を考慮した補正を加えても良い。以下に、溝長さ比βを補正する式を示す。
βa={S(α−β)/α}×γ
この補正式において、Sは、流動化係数であり、この実施の形態1では、0.3〜0.5の値が用いられる。また、γは、修正係数であり、この実施の形態1では、発明者らの実験値である1.01〜1.05の値が用いられる。これらの流動化係数Sおよび修正係数γは、一般に実験値により求められるため、一義的でない。したがって、タイヤの仕様、材質等を考慮しつつ、当業者自明の範囲内で適宜変更することが好ましい。
【0035】
図3は、この実施の形態1にかかる空気入りタイヤの振動特性を示すグラフである。このグラフは、上記補正式により補正した溝長さ比βaを用いて空気入りタイヤ1を形成し、その全周について、半径方向に対する力の変動差(RFV:ラジアル・フォース・バリエーション)を測定した結果を示している。このグラフに示すように、この実施の形態1にかかる空気入りタイヤ1は、従来技術と比較して、優れた振動特性を有する。詳細には、この実施の形態1の空気入りタイヤ1では、RFVが約10[N]であるのに対し、従来技術では、35[N]である。これは、トレッド部10の剛性を3倍以上も均一化できたことを意味する。また、自動車におけるRFVの規格が、タイヤ全体に対して78[N]であることを考慮すれば、著しく振動特性が向上されたと言える。また、発明者らが目標とするRFVは、約20[N]である。
【0036】
なお、この実施の形態1において、ブロック部14の厚みの均一化とは、実際に製造されたタイヤのブロック部14の厚みが、タイヤの全周において略同一寸法であることを意味しない。空気入りタイヤ1は、ゴム、スチールコード、繊維などから成る複合材料製品であり、内部剛性、寸法、重量分布などのタイヤ周上での不均一は、タイヤの構造およびその製造工程の面から、不可避だからである。この点において、この実施の形態1にかかる空気入りタイヤは、ピッチ長さ比と同一比にて画一的に横溝を形成する従来の空気入りタイヤと比較して、よりトレッド部10の厚みもしくは剛性が均一である点に特徴を有する。したがって、均一化とは、かかる従来の空気入りタイヤと比較して、トレッド部10の厚みもしくは剛性が均一化されることをいうものとする。
【0037】
また、この実施の形態1では、補正式として、ピッチ長さ比αと溝長さ比βとの差をピッチ長さで割って、これに流動化係数Sと修正係数γとを乗じた式を用いたが(図2参照)、かかる補正式によれば、好適な実験結果を得られる点で好ましい(図3参照)。しかし、これに限らず、他の補正式を用いてもよい。また、上記補正式を変形したに過ぎない式、単に流動化係数Sもしくは修正係数γを変更したに過ぎない式、その他上記補正式と等価な式は、この実施の形態1の範囲に含まれる。
【0038】
また、この実施の形態1において、さらに、ブロック部14における見かけ上の弾性係数の変化に対する補正式を加味して、横溝13の寸法を調整しても良い。すなわち、横溝13の寸法を変更すれば、ブロック部14の加圧断面積や全表面積に変動が生じるが、従来から、かかる形状効果によりブロック部14の圧縮弾性係数に変動が生じることが知られている。したがって、横溝の寸法を調整するにあたり、かかる変動を考慮すれば、より的確にトレッド部10の剛性を均一化できる利点がある。なお、かかる補正式には、例えば、服部らの提案によるトレッドゴムブロックの圧縮弾性係数に関する補正式が含まれる(日本ゴム協会誌23、194(1950)参照)。例えば、ブロック部14が角柱である場合には、
E=E0(1+2.19ξ2)
を用いてもよい。Eは、ブロック部14における見かけの圧縮弾性係数であり、E0は、ゴム部材のヤング率であり、ξは、加圧断面積/全表面積により定義される値である。
【0039】
また、この実施の形態1では、トレッド部10に配列されたいずれのブロック部14群にて、上記横溝13の寸法の調整を行うか限定していないが、トレッド部10全面にかかるブロック部14にて調整を行うことが好ましい。しかし、これに限らず、横溝13の寸法の調整は、少なくともタイヤのショルダー部にて行われればよい。これにより、トレッド部10全面に調整を施した場合と比較して、略80%程度の効果を得られる利点がある。これは、ショルダー部の振動特性に対する影響が大きいためである。
【0040】
<変形例1>
図4は、実施の形態1の変形例1にかかる空気入りタイヤを示す説明図である。なお、同図において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図4において、(a)は、最小ピッチにかかる断面図を示し、(b)は、対象ピッチにかかる断面図を示す。同図に示すように、対象ピッチにおける横溝13cの寸法は、実施の形態1の場合と比較して、溝長さ比がピッチ長さ比αと同一であり、溝角度θ’が最小ピッチの溝角度θと異なる。すなわち、この変形例1では、ブロック部14の剛性を、横溝13の溝長さ比ではなく溝角度θ’を調整して均一化する。この溝角度θ’は、以下の幾何学的な単純解析により求められる。まず、図4(a)において、最小ピッチのブロック部14の厚さH1は、
H1=(H0L+DW−W2tanθ)/L
である。また、図4(b)において、対象ピッチにおけるブロック部14の厚さH2は、
H2=(H0αL+αDW−W2tanθ’)/αL
である。これらの差ΔHは、
ΔH= H2−H1
= W2(αtanθ−tanθ’)/αL
である。そして、ΔH=0となるθ’を求めると、
θ’= tan−1(αtanθ)
となる。横溝13の寸法の調整にあたり、上記幾何学的な単純解析により算出された溝角度θ’を用いれは、タイヤの設計を簡略化できると共に、トレッド部10全周の厚みを略均一にできる利点がある。
【0041】
また、溝角度θ’に対して、さらに、ゴムの流動性による影響を考慮した補正を加えても良い。以下に、溝角度θ’を補正する式を示す。
θa={S(θ’−θ)+θ}×γ
この補正式において、Sが流動化係数であり、γが修正係数である。これらの係数は、上記実施の形態1と同じ数値が用いられる。これらの流動化係数Sおよび修正係数γは、一般に実験値により求められ、一義的ではない。したがって、タイヤの仕様、材質等を考慮しつつ、当業者自明の範囲内で適宜変更することが好ましい。
【0042】
<変形例2>
図5は、実施の形態1の変形例2にかかる空気入りタイヤを示す説明図である。同図において、(a)は、最小ピッチにかかる断面図を示し、(b)は、対象ピッチにかかる断面図を示す。なお、同図において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、対象ピッチにおける横溝13dの寸法は、実施の形態1の場合と比較して、溝長さ比がピッチ長さ比αと同一であり、溝深さW’が最小ピッチの溝深さWと異なる。すなわち、この変形例2では、ブロック部14の剛性を、横溝13の溝長さ比ではなく溝深さW’を調整して均一化する。この溝深さW’は、以下の幾何学的な解析式により算出される。まず、図5(a)において、最小ピッチのブロック部14の厚さH1は、
H1=(H0L+DW−W2tanθ)/L
である。また、図5(b)において、対象ピッチにおけるブロック部14の厚さH2は、
H2=(H0αL+αDW’−W’2tanθ)/αL
である。これらの差ΔHは、
ΔH= H2−H1
= (−W’2tanθ+αDW’+αW2tanθ−αDW)/L
である。そして、ΔH=0となるW’を求めると、
【数1】
となる。横溝13の寸法の調整にあたり、上記幾何学的な単純解析により算出された溝深さW’を用いれは、タイヤの設計を簡略化できると共に、トレッド部10全周の厚みを略均一にできる利点がある。
【0043】
また、溝深さW’に対して、さらに、ゴムの流動性による影響を考慮した補正を加えても良い。以下に、溝深さW’を補正する式を示す。
Wa={S(W’−W)+W}×γ’
この補正式において、Sは、流動化係数であり、上記実施の形態1と同じ数値が用いられる。また、γ’は、修正係数であり、この変形例2では、発明者らの実験値である0.99〜0.95の数値が用いられる。これらの流動化係数Sおよび修正係数γは、一般に実験値により求められるため、一義的でない。したがって、タイヤの仕様、材質等を考慮しつつ、当業者自明の範囲内で適宜変更することが好ましい。
【0044】
なお、上記変形例1および変形例2においても実施の形態1と同様に、さらに、ブロック部14における見かけ上の弾性係数の変化に対する補正式を加味して、横溝13の寸法を調整しても良い。これにより、より的確にトレッド部10の剛性を均一化できる利点がある。なお、かかる場合における補正式は、既知のものを用いてもよいし、当業者自明の範囲内で適宜案出しても良い。
【0045】
また、上記実施の形態1、変形例1および変形例2では、溝長さ比、溝角度もしくは溝深さを単独で用いて横溝13の寸法を調整したが、これに限らず、これらの組み合わせにより寸法を調整しても良い。これにより、調整の幅が広がると共に、より的確にトレッド部10の剛性を均一化できる利点がある。
【0046】
<実施の形態2>
図6は、この発明の実施の形態2にかかる空気入りタイヤの特徴を示す説明図である。また、図7および図8は、図6に記載した空気入りタイヤに対する比較例を示す説明図である。これらの図の上段図は、トレッド部20、100、110のうち、周方向に配列される横溝21、101、111群およびブロック部22、102、112群の一部のみを示している。トレッド部20、100、110は、左側から、ピッチ長さの小さい順に、小ピッチ2つ、中ピッチ2つ、大ピッチ2つが配列される。かかるトレッド部20、100、110では、ブロック部22、102、112の剛性が、小ピッチでは相対的に小さく、大ピッチでは相対的に大きくなる。すなわち、ブロック部22、102、112の剛性差は、単純に大きさの差により定まる。図6〜図8において、上段図下方のブロック剛性差分では、ブロック部の剛性差を、正負記号により概念的に示している。なお、このブロック部の大きさにより生ずる剛性差は、ピッチバリエーション手法を採用する空気入りタイヤにおいて、必然的に存在する。また、この剛性差は、図6〜図8に記載されたいずれのトレッド部20、100、110においても、ほぼ共通である。
【0047】
また、図6〜図8の中段図は、上段図に記載したトレッド部20、100、110の側面断面図、ならびに、横溝21、101、111の形成にあたり押し込まれたゴム部材の押し込まれ量を概念的に示している。具体的には、横溝21、101、111の凹み分が、中段図の下方に半円となって表示されている。また、下段図は、上段図に記載したトレッド部20、100、110の振動特性をRFV波形として概念的に示している。具体的には、このRFV波形の凹凸により、トレッド部20、100、110の厚さもしくは剛性の均一性を、概念的に把握し得る。以下に、比較例である図7および図8から先に説明し、その後に、この実施の形態2にかかる空気入りタイヤの特徴を、図6を用いて説明する。
【0048】
図7に記載されたトレッド部100は、従来の空気入りタイヤのものであり、ピッチ長さ比と同一比の溝長さ比を有する。すなわち、ピッチ長さ比がA:B:Cであれば、溝長さ比もA:B:Cである。かかるトレッド部100では、横溝101におけるゴム部材の押し込まれ量が、大ピッチほど多い(中段図参照)。したがって、ブロック部102は、大ピッチでは相対的に厚くなり、小ピッチでは相対的に薄くなる。このため、押し込まれ量による剛性は、大ピッチ程大きくなり(正符号)、小ピッチ程小さくなる(負符号)(中段図参照)。そして、▲1▼ブロック部の大きさの差による剛性差分と、▲2▼横溝101の押し込まれ量の差による剛性差分とを足し合わせると、結果として、大ピッチでは剛性が相対的に高くなり(RFV波形が凸)となり、小ピッチでは剛性が相対的に小さくなる(RFV波形が凹)。このため、トレッド部100の剛性に不均一が生じて、タイヤの振動特性が低下するという問題点がある。なお、かかる問題点の提起は、発明者の研究による新規なものである。
【0049】
また、図8に記載されたトレッド部110は、ピッチ長さ比に関わらず、同一の溝長さ比を有する。すなわち、小ピッチ、中ピッチおよび大ピッチのいずれのピッチにおいても、横溝111の溝長さは、小ピッチの溝長さと同一である。かかるトレッド部110では、横溝111におけるゴム部材の押し込まれ量が、小ピッチほど多い(中段図参照)。これは、小ピッチの方が、横溝111の形成間隔が狭いためである。このため、押し込まれ量による剛性は、小ピッチ程大きくなり(正符号)、大ピッチ程小さくなる(負符号)(中段図参照)。そして、▲1▼ブロック部の大きさの差による剛性差分と、▲2▼横溝101の押し込まれ量の差による剛性差分とを足し合わせると、結果として、小ピッチでは剛性が相対的に高くなり(RFV波形が凸)となり、大ピッチでは剛性が相対的に小さくなる(RFV波形が凹)。このため、かかるトレッド部110でも、剛性に不均一が生じて、タイヤの振動特性が低下するという問題点がある。
【0050】
ここで、図7に記載したトレッド部100と、図8に記載したトレッド部110とでは、RFV波形の位相が反転しており、したがって、この中間にて最適なRFV波形が得られる範囲があると考えられる。発明者らの研究によれば、RFV波形は、最終的に、横溝101、111における押し込まれ量により左右されるため、この押し込まれ量を調整することにより、RFV波形を最適化できると考えられる。また、もう一つの要素であるピッチ長さ比は、自動車に用いられるタイヤでの通常使用範囲が、1〜1.5の範囲にほぼ限られているという実状がある。そこで、発明者らは、以下のトレッド部20を有する空気入りタイヤを提案する。
【0051】
図6に記載したトレッド部20は、▲1▼与えられたピッチ長さ比により各ブロック部22が必然的に有する剛性差(上段図参照)と、▲2▼横溝21にかかる押し込まれ量の差による剛性差(中段図参照)とが、打ち消し合ってバランスするように、▲2▼の押し込まれ量の差による剛性差を調整する。この剛性差の調整は、各横溝21の溝長さを調整することより、これらの溝長さ比を調整して行う。これにより、RFV波形が平坦となり(下段図参照)、各ブロック22相互間の剛性が均一化されてタイヤの振動特性を向上できる利点がある。なお、この実施の形態2では、押し込まれ量の差による剛性差を調整するにあたり、溝長さ比を調整したが、これに限らず、溝深さもしくは溝体積により、または、これらの組み合わせにより、剛性差を調整しても良い。
【0052】
また、溝長さ比の調整は、具体的には、ピッチ長さに対する溝長さの百分率(以下、溝長さ率という。)を算出し、その最大値と最小値との差(以下、溝長さ率差という。)を所定の範囲内に収めることにより行う。すなわち、この溝長さ率差により、押し込まれ量による剛性差を概略的に把握できるので、タイヤのピッチ長さ比に画一的に当てはめることにより、RFV波形を簡易に平坦化できる利点がある。詳細には、例えば、ピッチ長さ比が、タイヤの通常使用範囲である1〜1.5の範囲内にある場合には、溝長さを調整して、溝長さ率差を、0.5〜1.5[%]の範囲内に収める。
【0053】
図9〜図12は、タイヤの一周の半径方向の剛性変化を示すグラフであり、図9は、溝長さ率差が0.5[%]の場合を、図10は、溝長さ率差が1.5[%]の場合を、図11は、溝長さ率差が0[%]の場合を、図12は、溝長さ率差が2.3[%]の場合を、それぞれ示している。これらの図は、RFV[N]と、ピッチ長さ比と、溝長さ率差[%]とを縦軸にとり、これらの変動をタイヤの全周角[deg]について示している。なお、これらの図において、ピッチ長さ比は、すべてタイヤの通常使用範囲内である1〜1.5の範囲内にある。また、図6〜図7に記載した説明図との関係では、図9および図10のグラフが、図6の説明図に対応する。すなわち、図9および図10のグラフは、この実施の形態2にかかる空気入りタイヤの振動特性を示すグラフである。また、図11のグラフが図7の説明図に対応し、図12のグラフが図8の説明図に対応する。すなわち、図11および図12のグラフは、比較対照にかかるグラフである。
【0054】
図9および図10に示すように、溝長さ率差が0.5[%]および1.5[%]の場合には、RFV波形が、いずれも余裕を持って20「N」以内に収まっている。なお、この20[N]という数値は、発明者らが振動特性の目標とする値である。一方、図11および図12に示すように、溝長さ率差が0[%]および2.3[%]の場合には、RFV波形が、35[N]および40[N]となっている。したがって、図6〜図8の説明図と総合すれば、溝長さ比がタイヤの通常使用範囲である1〜1.5の範囲内にある場合には、溝長さを調整して溝長さ率差を0.5〜1.5[%]の範囲内に収めれば、タイヤの振動特性を好適に調整できることが判る。なお、発明者らの研究によれば、溝長さ率差が0.5〜1.5[%]の範囲内では、RFV波形がいずれも20[N]以下に収められ、0.5[%]以下では、RFV波形が徐々に0[%]の場合に近づき、また、1.5[%]以上では、RFV波形が徐々に2.3[%]の場合に近づくことが判明している(図示省略)。
【0055】
また、図13は、タイヤの通常使用範囲におけるピッチ長さ比と適正な溝長さ率差との関係を示すグラフである。同図に示すように、溝長さ率差を0.5〜1.5[%]の範囲内に収めれば、画一的に通常使用されるタイヤに適用できる利点がある。ただし、この溝長さ率差の範囲は、ピッチのサイズ、溝深さ、デザイン等により変化するため、より最適な範囲は、タイヤの仕様等に応じて、当業者自明の範囲内で適宜設計変更することが好ましい。なお、通常のタイヤのピッチ長さ比が1.5[%]を上限に設定されるのは、ピッチ長さ比が1.5を越えると、タイヤの偏摩耗の原因となるためである。
【0056】
また、この実施の形態2では、トレッド部20に配列されたいずれのブロック部22群にて、上記横溝21の寸法比の調整を行うか限定していないが、トレッド部20全面にかかるブロック部22にて調整を行うことが好ましい。しかし、これに限らず、横溝21の寸法の調整は、少なくともタイヤのショルダー部にて行えばよい。これにより、トレッド部20全面に調整を施した場合と比較して、略80%程度の効果を得られる利点がある。これは、ショルダー部の振動特性に対する影響が大きいためである。
【0057】
また、この実施の形態2では、押し込み量にかかる剛性差を調整するにあたり、横溝21の溝長さ比を調整したが、これに限らず、横溝21の溝長さもしくは溝深さ、またはこれらの組み合わせにより調整しても良いし、横溝21の断面積比や体積比により調整しても良い。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかる空気入りタイヤによれば、トレッド部の横溝の寸法を調整することにより、ブロック部における半径方向の剛性を、少なくとも周方向に配列されるブロック部相互間について均一化して形成するので、トレッド部の周方向に対する剛性を均一化でき、主として半径方向にかかるタイヤの一周の半径方向の剛性変化を減少できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる空気入りタイヤの要部を示す平面図である。
【図2】図1に記載した横溝を示す周方向の断面図である。
【図3】この実施の形態1にかかる空気入りタイヤの振動特性を示すグラフである。
【図4】実施の形態1の変形例1にかかる空気入りタイヤを示す説明図である。
【図5】実施の形態1の変形例2にかかる空気入りタイヤを示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2にかかる空気入りタイヤの特徴を示す説明図である。
【図7】図6に記載した空気入りタイヤに対する比較例を示す説明図である。
【図8】図6に記載した空気入りタイヤに対する比較例を示す説明図である。
【図9】タイヤの一周の半径方向の剛性変化を示すグラフである。
【図10】タイヤの一周の半径方向の剛性変化を示すグラフである。
【図11】タイヤの一周の半径方向の剛性変化を示すグラフである。
【図12】タイヤの一周の半径方向の剛性変化を示すグラフである。
【図13】タイヤの通常使用範囲におけるピッチ長さ比と適正な溝長さ率差との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
10 トレッド部
13、13a、13b、13c、13d 横溝
14 ブロック部
α、β、βa 溝長さ比
θ、θ’、θa 溝角度
W、W’、Wa 溝深さ
20 トレッド部
21 横溝
22 ブロック部
Claims (11)
- タイヤ周方向に設けられる縦溝と、前記縦溝に交差してタイヤ周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝とを有するトレッド部を含む空気入りタイヤであって、
前記横溝の溝断面積を調整することにより、タイヤ半径方向に対する前記トレッド部の剛性をタイヤ周方向に均一化して成る空気入りタイヤ。 - タイヤ周方向に設けられる縦溝と、前記縦溝に交差してタイヤ周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝とを有するトレッド部を含む空気入りタイヤであって、
前記横溝の溝断面積を調整することにより、タイヤ半径方向に対する前記トレッド部の厚みをタイヤ周方向に均一化される空気入りタイヤ。 - 前記溝断面積は、前記横溝の断面形状から幾何学的に算出した前記横溝の押し込まれ量に基づき調整される請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記溝断面積は、前記トレッド部を構成するブロック部の寸法が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第1剛性差と、前記横溝の押し込まれ量が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第2剛性差とが、相互に打ち消し合うように調整される請求項1〜3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ピッチのピッチ長さ比が1.0以上かつ1.5以下の場合において、
前記溝断面積は、前記横溝の溝長さ比の最大値と最小値との差が0.5[%]以上かつ1.5[%]以下となるように調整される請求項4に記載の空気入りタイヤ。 - 前記溝断面積は、ゴム部材の流動によりタイヤ加硫工程時にて生ずる流動誤差を加味して調整される請求項1〜5のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記溝断面積は、形状効果に起因する前記ブロック部の圧縮弾性係数の変動を補正する補正式を加味して調整される請求項1〜6のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ周方向に設けられる縦溝と、前記縦溝に交差してタイヤ周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝とを有するトレッド部を含む空気入りタイヤの製造方法であって、
前記横溝の溝断面積を調整することにより、タイヤ半径方向に対する前記トレッド部の厚みをタイヤ周方向に均一化される空気入りタイヤの製造方法。 - 前記溝断面積は、前記トレッド部を構成するブロック部の寸法が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第1剛性差と、前記横溝の押し込まれ量が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第2剛性差とが、相互に打ち消し合うように調整される請求項8に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- タイヤ周方向に設けられる縦溝と、前記縦溝に交差してタイヤ周方向に複数種類のピッチ毎に設けられる横溝とを空気入りタイヤのトレッド部に形成する凸部を有し、且つ、
前記凸部は、タイヤ半径方向に対する前記トレッド部の厚みをタイヤ周方向に均一化させる断面積を有する空気入りタイヤ成形金型。 - 前記凸部は、前記トレッド部を構成するブロック部の寸法が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第1剛性差と、前記横溝の押し込まれ量が前記ピッチ毎に異なることにより生ずる前記ブロック部間の第2剛性差とを、相互に打ち消す断面積を有する請求項8に記載の空気入りタイヤ成形金型。
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