JP2004231925A - 熱水可溶性ポリエステル組成物およびそれからなる繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱水への溶解性が極めて高く、特に各種成形品の溶出成分として好適なポリエステルを提供する。
【解決手段】スルホイソフタル酸金属塩を7〜20モル%共重合し、かつ数平均分子量6万以上のポリアルキレンオキサイドを1〜20重量%含有し、100℃の熱水中に浸漬した時に60分以内で完全に溶解する熱水可溶性ポリエステル組成物、またはアルカリ金属の塩を5nm以上、1μm以下の平均粒径の粒子としてポリマー中に含有する熱水可溶性ポリエステル組成物。
【選択図】なし
【解決手段】スルホイソフタル酸金属塩を7〜20モル%共重合し、かつ数平均分子量6万以上のポリアルキレンオキサイドを1〜20重量%含有し、100℃の熱水中に浸漬した時に60分以内で完全に溶解する熱水可溶性ポリエステル組成物、またはアルカリ金属の塩を5nm以上、1μm以下の平均粒径の粒子としてポリマー中に含有する熱水可溶性ポリエステル組成物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱水可溶性ポリエステル組成物およびそれからなる繊維に関するものである。詳しくは、スルホイソフタル酸金属塩を共重合し、かつ特定分子量のポリアルキレンオキサイドを含有することを特徴とする熱水可溶性ポリエステル組成物およびそれからなる繊維に関するものである。上記熱水可溶性ポリエステル組成物は熱水に対する溶解性が高いために、溶出成分として用いた場合に高次工程での工程通過性が良好になることや溶出時間の短縮によるコストの低減につながるため、成形品や繊維製品に好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステルを水溶性化あるいは親水性化する技術は公知であり、従来技術として比較的多量のスルホイソフタル酸金属塩を共重合したり、ポリアルキレングリコールや陰イオン界面活性剤を含有させることが知られている(例えば特許文献1〜2参照)。また、テレフタル酸の代わりにイソフタル酸を共重合することでポリエステルの分子構造を疎にし、水溶性や熱水可溶性を向上させる試みもなされている(例えば特許文献3〜8参照)。しかしながら、特許文献1〜8ではスルホン酸金属塩だけでなく、比較的低分子量のポリアルキレングリコールを多量に共重合あるいは配合し、場合によってはイソフタル酸等も共重合しているために得られるポリマーが冷水に対しても溶出しやすい。このため重縮合反応後の溶融ポリマーは吐出後、通常の水を用いた冷却によるシート化やガット化にあたって水中にポリマーの一部が溶出してしまい、チップ化が難しい。また、熱水への溶出速度も遅いといった問題があった。そこでこれまでの問題を解決するために本願発明者らが鋭意検討した結果、特定量のスルホイソフタル酸金属塩を共重合し、かつ比較的高い分子量のポリアルキレンオキサイドを含有するポリエステル組成物を用いると、冷水に対する溶出を抑制でき、かつ熱水への溶解性が著しく向上することを見出した。
【0003】
【特許文献1】
特開昭55−7865号公報(第2頁)
【0004】
【特許文献2】
特開昭58−37028号公報(第2頁)
【0005】
【特許文献3】
特開昭61−296120号公報(第3頁)
【0006】
【特許文献4】
特開昭63−152624号公報(第3頁)
【0007】
【特許文献5】
特開昭63−159525号公報(第2頁)
【0008】
【特許文献6】
特開平8−109521号公報(第3頁)
【0009】
【特許文献7】
特開2001−123331号公報(第3頁)
【0010】
【特許文献8】
特開平8−134730号公報(第4頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記問題点を解消することにあり、生産効率を低下させることなくポリエステルに十分な熱水可溶性を付与し得るポリエステル組成物およびそれからなる繊維を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題は、スルホイソフタル酸金属塩を7〜20モル%共重合し、かつ数平均分子量6万以上のポリアルキレンオキサイドを1〜20重量%含有することを特徴とする熱水可溶性ポリエステル組成物およびそれからなる繊維によって達成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル組成物はスルホイソフタル酸金属塩を7〜20モル%共重合していることが必要である。ここで言うスルホイソフタル酸金属塩としては、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ホスホニウム塩、さらにそれらの誘導体のことを指し、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびその誘導体、5−カリウムスルホイソフタル酸およびその誘導体、5−リチウムスルホイソフタル酸およびその誘導体、5−(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸およびその誘導体等が挙げられが、好ましくは5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびその誘導体である。
【0014】
スルホイソフタル酸金属塩の共重合量が7モル%未満の場合には十分な熱水可溶性をポリエステルに付与することができず、20モル%を越えると重合後のポリマーを吐出する際に冷却水中に溶け出しやすく、またチップ化しにくくなる。好ましいスルホイソフタル酸金属塩の共重合量としては8〜15モル%であり、さらに好ましくは10〜13モル%である。
【0015】
本発明のポリエステル組成物は数平均分子量6万以上のポリアルキレンオキサイドを1〜20重量%含有することが必要である。ここでいうポリアルキレンオキサイドとは、実質的にポリエステルと共重合せず、ポリエステルに対して非相溶な比較的高分子量のものを指す。ポリエステルと実質的に共重合しないことで繊維等に成形して熱水処理した際にポリエステルに非相溶状態で存在しているポリアルキレンオキサイドが溶出し、成形体が熱水に接触できる表面積を増大させることで特異的に溶解度が向上するという効果が得られる。ポリアルキレンオキサイドの添加量が1重量%未満の場合には十分な熱水可溶性をポリエステルに付与することができず、20重量%を越えると重合時にポリマーの熱分解が起こり、ポリマーを得ることが困難になる。ポリアルキレンオキサイドの好ましい添加量としては5〜15重量%、さらに好ましくは8〜12重量%である。また、ポリアルキレンオキサイドの数平均分子量としてはあまり大きすぎても熱水への溶解度が低下することから、数平均分子量としては6万〜500万が好ましく、より好ましくは10万〜200万、さらに好ましくは15万〜100万である。ポリアルキレンオキサイドの具体例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイドならびにそれらの誘導体を挙げることができ、熱水への溶出性の観点からはポリエチレンオキサイドが最も好ましい。
【0016】
本発明のポリエステル組成物は後述する測定方法にしたがって、100℃の熱水中に浸漬したときに60分以内で完全に溶解することが好ましい。60分以内で溶解することで、本発明のポリエステル組成物を成形品や繊維として用いた場合に、溶出処理時間の短縮によって溶出段階での工程通過性やコスト的にも優れた製品を得ることができる。40分以内に完全溶解することがより好ましく、25分以内に完全溶解することがさらに好ましい。
【0017】
本発明のポリエステル組成物はチタン化合物を触媒として用いて製造されたものであることが好ましい。チタン化合物を用いることで、異物が少ないポリエステル組成物を得ることができ、例えば本発明のポリエステル組成物を用いて繊維にした際の口金汚れを低減することができ、異物に起因する糸切れ等を抑制することができる。
【0018】
本発明の触媒としてのチタン化合物は特に限定はないが、例えばチタン酸化物やチタン化合物の置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基、水酸基のいずれか1種または2種であるチタン化合物が挙げられる。
【0019】
具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物が挙げられる。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸が挙げられる。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
【0020】
またチタン酸化物としては、例えば主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物や超微粒子酸化チタンが挙げられる。
【0021】
なお、本発明の触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の反応の促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物及び超微粒子酸化チタンの製造方法は、特に限定されないが、例えば、チタンのアルコキシド化合物を原料として、加水分解反応により製造する方法において、この加水分解の速度を制御することによって得られる。具体的には、例えば主原料であるチタンアルコキシド化合物に対して、ケイ素やジルコニウム等の少量の他の金属アルコキシド化合物や多価アルコール化合物を共存させ、両者の共沈法、部分加水分解法、配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有する所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させる方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。また、配位化学ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシド原料とともに分子内に官能基を複数持つ多価アルコール化合物等を共存させ、両者の間であらかじめ反応物を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御しようとするものである。以上のような化合物の合成方法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されている。なお、触媒として用いる超微粒子酸化チタンは分子量が100000(g/mol)より小さいと触媒活性、異物抑制の点で好ましい。超微粒子酸化チタンの分子量はより好ましくは500〜100000(g/mol)、更に好ましくは1000〜50000(g/mol)、特に好ましくは1500〜20000(g/mol)である。
【0022】
本発明における触媒としてのチタン化合物は得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.5〜150ppm添加すると重合活性が高く、得られるポリマーの熱安定性や色調も良好となり好ましい。より好ましくは1〜100ppm、更に好ましくは3〜50ppmである。
【0023】
本発明のポリエステル組成物はアルカリ金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩の群から選ばれる少なくとも1つの無機塩を1.5〜30重量%含有することが好ましい。無機塩を含有することで、ポリエステルを熱水で処理した時の溶解性がさらに向上する。上記無機塩の好ましい含有量としては2〜15重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。
【0024】
また、上記無機塩がポリマー中で5nm以上、1μm以下の平均粒径の粒子として存在していることが好ましい。粒子として存在することによって、繊維等に成形して熱水処理した際にポリエステルに粒子状で存在している無機塩が溶出し、成形体が熱水に接触できる表面積を増大させることで特異的に溶解度が向上するという効果が得られる。より好ましい無機塩の粒径としては0.01μm以上、0.5μm以下である。
【0025】
本発明のポリエステル組成物は、繊維等に成形した際の強度の観点から、その80モル%以上がアルキレンテレフタレート繰り返し単位からなるものが好ましい。例えばエチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが強度、耐光性が良好なことから好適な例として挙げることができる。
【0026】
上記ポリエステルは本発明の目的を損なわない範囲で他の第三成分が共重合されていてもよい。このような化合物として例えば、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の、芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれらの誘導体を挙げることができる。またジオール化合物としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのような芳香族、脂肪族、脂環族のジオール化合物等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明のポリエステル組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、ワックスや親水性高分子化合物からなる可塑剤、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤、微細孔形成剤等を含有していてもよい。
【0028】
本発明のポリエステル組成物を用いた繊維の製法としては従来公知の方法で製造することができる。
【0029】
本発明のポリエステル繊維の断面形状は丸ばかりでなく、三角、偏平、多葉型、多角、H型、Π型などの異形断面でもよい。また、該繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどちらでもよく、用途によって適宜選定される。例えば前記熱水可溶性ポリエステル組成物を単独糸とし、その他の天然繊維や合成繊維と混紡や後混繊して織物、編物、不織布などの布帛形態にした後に熱水処理によって溶出させることで、布帛を軽量化できるとともに布帛へのふくらみ感を付与することができる。
【0030】
また、前記熱水可溶ポリエステル組成物を複合成分の1成分として用いた複合繊維は、芯鞘型、海島型、多層型等の複合繊維として好適に用いることができる。例えば前記熱水可溶ポリエステル組成物を芯鞘糸の芯成分として用いた場合には、芯成分を溶出することによって高中空率の軽量繊維を得ることができる。また、前記熱水可溶ポリエステル組成物を海島糸や分割糸の溶出成分として用いた場合には、熱水処理による溶出時間を大幅に短縮できることからコスト的に優位な製品の創出が可能となる。
【0031】
【実施例】
以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の各特性は次の方法によって求めた。
A.ポリエステルの極限粘度
オルソクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
B.スルホン酸金属塩化合物の定量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所製、MESA−500W型)により、ポリエステル中の硫黄原子の含有量から求めた。
C.ポリアルキレンオキサイドの定量
ポリエステル組成物をモノエタノールアミンで分解し、ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解した後、ゲル浸透クロマトグラフ(WATERS製、GPC−201D)により求めた。
D.無機塩の定量
ポリエステル組成物を硫酸および過塩素酸により湿式酸化分解した後、水で定容とし、原子吸光/フレーム分光光度計(島津製作所製、AA680)を用いて金属原子の含有量から求めた。尚、スルホン酸金属塩化合物中の金属量もカウントされることから、上記B項の結果により補正した。
E.チップ溶解時間の測定
三角フラスコに水100gを入れ、100℃に加熱した。重合後にストランド状に押出してカッティングした長径3mm、短径2mm、長さ3mmの大きさのチップ2gを前記三角フラスコ中の熱水に浸漬し、マグネティックスターラーで攪拌しながら、浸漬を開始した時間から目視でチップが完全に溶解するまでの時間を溶解時間とした。
F.無機塩の平均粒径
ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、粒径分布測定装置(堀場製作所製、LA−900)により求めた。
【0032】
実施例1
ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸8.7Kg、ジメチル5−スルホイソフタル酸ナトリウム1.5Kg、エチレングリコール5.9Kg、酢酸マンガン1.5g、酢酸リチウム50gを加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行い、その後、リン酸1.0gのエチレングリコール溶液を添加した。さらにシリコーンオイルTSF−433(GE東芝シリコーン製)13g、イルガノックス1010(チバガイギー製)10g、数平均分子量14万のポリエチレンオキサイド(明成化学製:R−150)1.1Kgのエチレングリコールスラリー、クエン酸キレートチタン化合物を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように加え、徐々に0.1kPa以下まで減圧し、それと共に290℃まで昇温し、重合反応が終了した時点で口金からストランド状(直径2〜3mm)に押出して水槽中で冷却、カッティングしてポリエステルチップを得た。このポリエステルチップの5−スルホイソフタル酸(以下SSIA)の共重合量は10モル%、ポリエチレンオキサイド(以下PEO)の含有量は10重量%であった。
【0033】
このチップの熱水への溶解時間を測定したところ表1に示した時間で完全に溶解し、目的とした熱水可溶ポリエステルを得ることができた。
【0034】
実施例2〜8および比較例1〜4
SSIAの共重合量とPEOの添加量を変更した以外は実施例1と同様な方法でポリエステルを得た。表3に示したように、比較例1においてはSSIAの共重合量が多すぎるためにストランド状に押出し水槽中で冷却した際に溶け出してポリエステルチップを得ることができなかった。比較例2においては、PEOの含有量が多すぎるためにポリマーの熱分解が起こり、ポリエステルを得ることができなかった。また、比較例3および4においては表3に示したようにSSIA共重合量とPEOの含有量が請求範囲外であるために溶解しなかった。
【0035】
比較例5〜8
PEOの代わりに比較例5では数平均分子量5万、比較例6では数平均分子量2万、比較例7では数平均分子量4000、比較例8では数平均分子量1000のポリエチレングリコール(以下PEG)を、表3に示した共重合量にした以外は実施例1と同様な方法でポリエステルチップを得た。実施例5〜8においては表3に示したように溶解しなかった。
【0036】
比較例9
SSIAの共重合量を5モル%、数平均分子量1000のPEGの共重合量を4重量%にした以外は実施例1と同様な方法でポリエステルを得た。熱水への溶解時間を評価したが、溶解しなかった。
【0037】
実施例9〜11
SSIAの共重合量を12モル%とし、数平均分子量の異なるPEO(E−30、E−60、E−240:いずれも明成化学製)を用いた以外は実施例1と同様な方法でポリエステルを得た。熱水可溶性を評価したところ表1に示したように目的とした良好な熱水可溶性を示すポリエステルを得ることができた。
【0038】
実施例12〜20
表2に示したように、SSIAの共重合量を変更してポリエステルとしてエステル交換反応を行い、その後、リン酸1.0gのエチレングリコール溶液を添加した。さらにシリコーンオイルTSF−433(GE東芝シリコーン製)13g、イルガノックス1010(チバガイギー製)10g、および表2に示した含有量になるように数平均分子量14万のポリエチレンオキサイド(明成化学製:R−50)のエチレングリコールスラリー、クエン酸キレートチタン化合物を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように加えた。表2の実施例12〜20に示した無機塩の水あるいはエチレングリコール溶液をそれぞれの実施例に応じた含有量となるように添加した後、徐々に0.1kPa以下まで減圧し、それと共に290℃まで昇温し、重合反応が終了した時点で口金からストランド状(直径2〜3mm)に押出して水槽中で冷却、カッティングしてポリエステルチップを得た。
【0039】
このチップの熱水への溶解時間を測定したところ表2に示した時間で完全に溶解し、目的とした熱水可溶ポリエステルを得ることができた。
【0040】
実施例21
ポリエステルの重合触媒としてのクエン酸キレートチタン化合物の代わりに、三酸化アンチモンを得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で200ppmとなるように添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステルチップを得た。実施例1および実施例21で得られたポリエステルチップをそれぞれ290℃で溶融し、吐出量25g/分で同心円口金から吐出して1500m/分の紡糸速度で14日間連続紡糸した結果、実施例21の場合には口金汚れが起こりやすく、糸切れ回数も1回/日であったが、実施例1の場合には口金汚れが起こりにくく、糸切れ回数も0.2回/日と非常に少なかった。
【0041】
実施例22
極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(以下PET)を海成分とし、実施例1で得られた熱水可溶性ポリエステルを島成分として用い、それぞれを個別に溶融押出し、島数が12島、複合比率が海/島=60/40の条件でノズル孔0.30mmφ、24ホール丸孔ノズルから紡糸温度290℃で溶融紡出した。紡糸口金直下には長さ1.0mの横吹き付け型の冷却風吹き付け装置を設置しておき、口金から紡出した複合繊維を直ちにその冷却風吹き付け装置に導入して、温度25℃、湿度65%RH%に調整した冷却空気を0.5m/秒の速度で紡出繊維に吹き付けて、繊維を50℃以下にまで冷却した。冷却後の複合繊維を紡糸口金直下から1.1mの位置に設置した長さ1.0m、内径30mmのチューブヒーター(内壁温度160℃)に導入してチューブヒーターで延伸糸た後、チューブヒーターから出てきた繊維にガイドオイリング方式で油剤を付与し、引き続いて1対(2個)の引取りローラーを介して3000m/分の引取り速度で巻き取って、延伸した84dtex、24フィラメントの複合繊維を得た。得られた延伸糸を経糸および緯糸として用いて平織物を作製した。その生機密度は経糸95本/25.4mm、緯糸86本/25.4mmであった。この生機織物を炭酸ナトリウムを2g/Lの割合で含む水溶液中に80℃で30分間浸漬して糊抜きした後、170℃で約40秒間プレセットを行なった。次にイントールMTコンク(アニオン活性剤:明成化学製)1g/Lを含む水溶液にて浴比50:1、温度100℃で時間40分間の熱水処理を行ない、中空繊維を得た。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】
本発明によって得られたポリエステルは熱水への溶解速度が速いために、例えば極細繊維や中空繊維を製造する際の溶出成分等に用いることで、操業性とコストパフォーマンスに優れた製品の創出が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱水可溶性ポリエステル組成物およびそれからなる繊維に関するものである。詳しくは、スルホイソフタル酸金属塩を共重合し、かつ特定分子量のポリアルキレンオキサイドを含有することを特徴とする熱水可溶性ポリエステル組成物およびそれからなる繊維に関するものである。上記熱水可溶性ポリエステル組成物は熱水に対する溶解性が高いために、溶出成分として用いた場合に高次工程での工程通過性が良好になることや溶出時間の短縮によるコストの低減につながるため、成形品や繊維製品に好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステルを水溶性化あるいは親水性化する技術は公知であり、従来技術として比較的多量のスルホイソフタル酸金属塩を共重合したり、ポリアルキレングリコールや陰イオン界面活性剤を含有させることが知られている(例えば特許文献1〜2参照)。また、テレフタル酸の代わりにイソフタル酸を共重合することでポリエステルの分子構造を疎にし、水溶性や熱水可溶性を向上させる試みもなされている(例えば特許文献3〜8参照)。しかしながら、特許文献1〜8ではスルホン酸金属塩だけでなく、比較的低分子量のポリアルキレングリコールを多量に共重合あるいは配合し、場合によってはイソフタル酸等も共重合しているために得られるポリマーが冷水に対しても溶出しやすい。このため重縮合反応後の溶融ポリマーは吐出後、通常の水を用いた冷却によるシート化やガット化にあたって水中にポリマーの一部が溶出してしまい、チップ化が難しい。また、熱水への溶出速度も遅いといった問題があった。そこでこれまでの問題を解決するために本願発明者らが鋭意検討した結果、特定量のスルホイソフタル酸金属塩を共重合し、かつ比較的高い分子量のポリアルキレンオキサイドを含有するポリエステル組成物を用いると、冷水に対する溶出を抑制でき、かつ熱水への溶解性が著しく向上することを見出した。
【0003】
【特許文献1】
特開昭55−7865号公報(第2頁)
【0004】
【特許文献2】
特開昭58−37028号公報(第2頁)
【0005】
【特許文献3】
特開昭61−296120号公報(第3頁)
【0006】
【特許文献4】
特開昭63−152624号公報(第3頁)
【0007】
【特許文献5】
特開昭63−159525号公報(第2頁)
【0008】
【特許文献6】
特開平8−109521号公報(第3頁)
【0009】
【特許文献7】
特開2001−123331号公報(第3頁)
【0010】
【特許文献8】
特開平8−134730号公報(第4頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記問題点を解消することにあり、生産効率を低下させることなくポリエステルに十分な熱水可溶性を付与し得るポリエステル組成物およびそれからなる繊維を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題は、スルホイソフタル酸金属塩を7〜20モル%共重合し、かつ数平均分子量6万以上のポリアルキレンオキサイドを1〜20重量%含有することを特徴とする熱水可溶性ポリエステル組成物およびそれからなる繊維によって達成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル組成物はスルホイソフタル酸金属塩を7〜20モル%共重合していることが必要である。ここで言うスルホイソフタル酸金属塩としては、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ホスホニウム塩、さらにそれらの誘導体のことを指し、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびその誘導体、5−カリウムスルホイソフタル酸およびその誘導体、5−リチウムスルホイソフタル酸およびその誘導体、5−(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸およびその誘導体等が挙げられが、好ましくは5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびその誘導体である。
【0014】
スルホイソフタル酸金属塩の共重合量が7モル%未満の場合には十分な熱水可溶性をポリエステルに付与することができず、20モル%を越えると重合後のポリマーを吐出する際に冷却水中に溶け出しやすく、またチップ化しにくくなる。好ましいスルホイソフタル酸金属塩の共重合量としては8〜15モル%であり、さらに好ましくは10〜13モル%である。
【0015】
本発明のポリエステル組成物は数平均分子量6万以上のポリアルキレンオキサイドを1〜20重量%含有することが必要である。ここでいうポリアルキレンオキサイドとは、実質的にポリエステルと共重合せず、ポリエステルに対して非相溶な比較的高分子量のものを指す。ポリエステルと実質的に共重合しないことで繊維等に成形して熱水処理した際にポリエステルに非相溶状態で存在しているポリアルキレンオキサイドが溶出し、成形体が熱水に接触できる表面積を増大させることで特異的に溶解度が向上するという効果が得られる。ポリアルキレンオキサイドの添加量が1重量%未満の場合には十分な熱水可溶性をポリエステルに付与することができず、20重量%を越えると重合時にポリマーの熱分解が起こり、ポリマーを得ることが困難になる。ポリアルキレンオキサイドの好ましい添加量としては5〜15重量%、さらに好ましくは8〜12重量%である。また、ポリアルキレンオキサイドの数平均分子量としてはあまり大きすぎても熱水への溶解度が低下することから、数平均分子量としては6万〜500万が好ましく、より好ましくは10万〜200万、さらに好ましくは15万〜100万である。ポリアルキレンオキサイドの具体例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイドならびにそれらの誘導体を挙げることができ、熱水への溶出性の観点からはポリエチレンオキサイドが最も好ましい。
【0016】
本発明のポリエステル組成物は後述する測定方法にしたがって、100℃の熱水中に浸漬したときに60分以内で完全に溶解することが好ましい。60分以内で溶解することで、本発明のポリエステル組成物を成形品や繊維として用いた場合に、溶出処理時間の短縮によって溶出段階での工程通過性やコスト的にも優れた製品を得ることができる。40分以内に完全溶解することがより好ましく、25分以内に完全溶解することがさらに好ましい。
【0017】
本発明のポリエステル組成物はチタン化合物を触媒として用いて製造されたものであることが好ましい。チタン化合物を用いることで、異物が少ないポリエステル組成物を得ることができ、例えば本発明のポリエステル組成物を用いて繊維にした際の口金汚れを低減することができ、異物に起因する糸切れ等を抑制することができる。
【0018】
本発明の触媒としてのチタン化合物は特に限定はないが、例えばチタン酸化物やチタン化合物の置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基、水酸基のいずれか1種または2種であるチタン化合物が挙げられる。
【0019】
具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物が挙げられる。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸が挙げられる。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
【0020】
またチタン酸化物としては、例えば主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物や超微粒子酸化チタンが挙げられる。
【0021】
なお、本発明の触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の反応の促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物及び超微粒子酸化チタンの製造方法は、特に限定されないが、例えば、チタンのアルコキシド化合物を原料として、加水分解反応により製造する方法において、この加水分解の速度を制御することによって得られる。具体的には、例えば主原料であるチタンアルコキシド化合物に対して、ケイ素やジルコニウム等の少量の他の金属アルコキシド化合物や多価アルコール化合物を共存させ、両者の共沈法、部分加水分解法、配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有する所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させる方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。また、配位化学ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシド原料とともに分子内に官能基を複数持つ多価アルコール化合物等を共存させ、両者の間であらかじめ反応物を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御しようとするものである。以上のような化合物の合成方法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されている。なお、触媒として用いる超微粒子酸化チタンは分子量が100000(g/mol)より小さいと触媒活性、異物抑制の点で好ましい。超微粒子酸化チタンの分子量はより好ましくは500〜100000(g/mol)、更に好ましくは1000〜50000(g/mol)、特に好ましくは1500〜20000(g/mol)である。
【0022】
本発明における触媒としてのチタン化合物は得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.5〜150ppm添加すると重合活性が高く、得られるポリマーの熱安定性や色調も良好となり好ましい。より好ましくは1〜100ppm、更に好ましくは3〜50ppmである。
【0023】
本発明のポリエステル組成物はアルカリ金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩の群から選ばれる少なくとも1つの無機塩を1.5〜30重量%含有することが好ましい。無機塩を含有することで、ポリエステルを熱水で処理した時の溶解性がさらに向上する。上記無機塩の好ましい含有量としては2〜15重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。
【0024】
また、上記無機塩がポリマー中で5nm以上、1μm以下の平均粒径の粒子として存在していることが好ましい。粒子として存在することによって、繊維等に成形して熱水処理した際にポリエステルに粒子状で存在している無機塩が溶出し、成形体が熱水に接触できる表面積を増大させることで特異的に溶解度が向上するという効果が得られる。より好ましい無機塩の粒径としては0.01μm以上、0.5μm以下である。
【0025】
本発明のポリエステル組成物は、繊維等に成形した際の強度の観点から、その80モル%以上がアルキレンテレフタレート繰り返し単位からなるものが好ましい。例えばエチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが強度、耐光性が良好なことから好適な例として挙げることができる。
【0026】
上記ポリエステルは本発明の目的を損なわない範囲で他の第三成分が共重合されていてもよい。このような化合物として例えば、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の、芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれらの誘導体を挙げることができる。またジオール化合物としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのような芳香族、脂肪族、脂環族のジオール化合物等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明のポリエステル組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、ワックスや親水性高分子化合物からなる可塑剤、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤、微細孔形成剤等を含有していてもよい。
【0028】
本発明のポリエステル組成物を用いた繊維の製法としては従来公知の方法で製造することができる。
【0029】
本発明のポリエステル繊維の断面形状は丸ばかりでなく、三角、偏平、多葉型、多角、H型、Π型などの異形断面でもよい。また、該繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどちらでもよく、用途によって適宜選定される。例えば前記熱水可溶性ポリエステル組成物を単独糸とし、その他の天然繊維や合成繊維と混紡や後混繊して織物、編物、不織布などの布帛形態にした後に熱水処理によって溶出させることで、布帛を軽量化できるとともに布帛へのふくらみ感を付与することができる。
【0030】
また、前記熱水可溶ポリエステル組成物を複合成分の1成分として用いた複合繊維は、芯鞘型、海島型、多層型等の複合繊維として好適に用いることができる。例えば前記熱水可溶ポリエステル組成物を芯鞘糸の芯成分として用いた場合には、芯成分を溶出することによって高中空率の軽量繊維を得ることができる。また、前記熱水可溶ポリエステル組成物を海島糸や分割糸の溶出成分として用いた場合には、熱水処理による溶出時間を大幅に短縮できることからコスト的に優位な製品の創出が可能となる。
【0031】
【実施例】
以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の各特性は次の方法によって求めた。
A.ポリエステルの極限粘度
オルソクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
B.スルホン酸金属塩化合物の定量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所製、MESA−500W型)により、ポリエステル中の硫黄原子の含有量から求めた。
C.ポリアルキレンオキサイドの定量
ポリエステル組成物をモノエタノールアミンで分解し、ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解した後、ゲル浸透クロマトグラフ(WATERS製、GPC−201D)により求めた。
D.無機塩の定量
ポリエステル組成物を硫酸および過塩素酸により湿式酸化分解した後、水で定容とし、原子吸光/フレーム分光光度計(島津製作所製、AA680)を用いて金属原子の含有量から求めた。尚、スルホン酸金属塩化合物中の金属量もカウントされることから、上記B項の結果により補正した。
E.チップ溶解時間の測定
三角フラスコに水100gを入れ、100℃に加熱した。重合後にストランド状に押出してカッティングした長径3mm、短径2mm、長さ3mmの大きさのチップ2gを前記三角フラスコ中の熱水に浸漬し、マグネティックスターラーで攪拌しながら、浸漬を開始した時間から目視でチップが完全に溶解するまでの時間を溶解時間とした。
F.無機塩の平均粒径
ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、粒径分布測定装置(堀場製作所製、LA−900)により求めた。
【0032】
実施例1
ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸8.7Kg、ジメチル5−スルホイソフタル酸ナトリウム1.5Kg、エチレングリコール5.9Kg、酢酸マンガン1.5g、酢酸リチウム50gを加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行い、その後、リン酸1.0gのエチレングリコール溶液を添加した。さらにシリコーンオイルTSF−433(GE東芝シリコーン製)13g、イルガノックス1010(チバガイギー製)10g、数平均分子量14万のポリエチレンオキサイド(明成化学製:R−150)1.1Kgのエチレングリコールスラリー、クエン酸キレートチタン化合物を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように加え、徐々に0.1kPa以下まで減圧し、それと共に290℃まで昇温し、重合反応が終了した時点で口金からストランド状(直径2〜3mm)に押出して水槽中で冷却、カッティングしてポリエステルチップを得た。このポリエステルチップの5−スルホイソフタル酸(以下SSIA)の共重合量は10モル%、ポリエチレンオキサイド(以下PEO)の含有量は10重量%であった。
【0033】
このチップの熱水への溶解時間を測定したところ表1に示した時間で完全に溶解し、目的とした熱水可溶ポリエステルを得ることができた。
【0034】
実施例2〜8および比較例1〜4
SSIAの共重合量とPEOの添加量を変更した以外は実施例1と同様な方法でポリエステルを得た。表3に示したように、比較例1においてはSSIAの共重合量が多すぎるためにストランド状に押出し水槽中で冷却した際に溶け出してポリエステルチップを得ることができなかった。比較例2においては、PEOの含有量が多すぎるためにポリマーの熱分解が起こり、ポリエステルを得ることができなかった。また、比較例3および4においては表3に示したようにSSIA共重合量とPEOの含有量が請求範囲外であるために溶解しなかった。
【0035】
比較例5〜8
PEOの代わりに比較例5では数平均分子量5万、比較例6では数平均分子量2万、比較例7では数平均分子量4000、比較例8では数平均分子量1000のポリエチレングリコール(以下PEG)を、表3に示した共重合量にした以外は実施例1と同様な方法でポリエステルチップを得た。実施例5〜8においては表3に示したように溶解しなかった。
【0036】
比較例9
SSIAの共重合量を5モル%、数平均分子量1000のPEGの共重合量を4重量%にした以外は実施例1と同様な方法でポリエステルを得た。熱水への溶解時間を評価したが、溶解しなかった。
【0037】
実施例9〜11
SSIAの共重合量を12モル%とし、数平均分子量の異なるPEO(E−30、E−60、E−240:いずれも明成化学製)を用いた以外は実施例1と同様な方法でポリエステルを得た。熱水可溶性を評価したところ表1に示したように目的とした良好な熱水可溶性を示すポリエステルを得ることができた。
【0038】
実施例12〜20
表2に示したように、SSIAの共重合量を変更してポリエステルとしてエステル交換反応を行い、その後、リン酸1.0gのエチレングリコール溶液を添加した。さらにシリコーンオイルTSF−433(GE東芝シリコーン製)13g、イルガノックス1010(チバガイギー製)10g、および表2に示した含有量になるように数平均分子量14万のポリエチレンオキサイド(明成化学製:R−50)のエチレングリコールスラリー、クエン酸キレートチタン化合物を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように加えた。表2の実施例12〜20に示した無機塩の水あるいはエチレングリコール溶液をそれぞれの実施例に応じた含有量となるように添加した後、徐々に0.1kPa以下まで減圧し、それと共に290℃まで昇温し、重合反応が終了した時点で口金からストランド状(直径2〜3mm)に押出して水槽中で冷却、カッティングしてポリエステルチップを得た。
【0039】
このチップの熱水への溶解時間を測定したところ表2に示した時間で完全に溶解し、目的とした熱水可溶ポリエステルを得ることができた。
【0040】
実施例21
ポリエステルの重合触媒としてのクエン酸キレートチタン化合物の代わりに、三酸化アンチモンを得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で200ppmとなるように添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステルチップを得た。実施例1および実施例21で得られたポリエステルチップをそれぞれ290℃で溶融し、吐出量25g/分で同心円口金から吐出して1500m/分の紡糸速度で14日間連続紡糸した結果、実施例21の場合には口金汚れが起こりやすく、糸切れ回数も1回/日であったが、実施例1の場合には口金汚れが起こりにくく、糸切れ回数も0.2回/日と非常に少なかった。
【0041】
実施例22
極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(以下PET)を海成分とし、実施例1で得られた熱水可溶性ポリエステルを島成分として用い、それぞれを個別に溶融押出し、島数が12島、複合比率が海/島=60/40の条件でノズル孔0.30mmφ、24ホール丸孔ノズルから紡糸温度290℃で溶融紡出した。紡糸口金直下には長さ1.0mの横吹き付け型の冷却風吹き付け装置を設置しておき、口金から紡出した複合繊維を直ちにその冷却風吹き付け装置に導入して、温度25℃、湿度65%RH%に調整した冷却空気を0.5m/秒の速度で紡出繊維に吹き付けて、繊維を50℃以下にまで冷却した。冷却後の複合繊維を紡糸口金直下から1.1mの位置に設置した長さ1.0m、内径30mmのチューブヒーター(内壁温度160℃)に導入してチューブヒーターで延伸糸た後、チューブヒーターから出てきた繊維にガイドオイリング方式で油剤を付与し、引き続いて1対(2個)の引取りローラーを介して3000m/分の引取り速度で巻き取って、延伸した84dtex、24フィラメントの複合繊維を得た。得られた延伸糸を経糸および緯糸として用いて平織物を作製した。その生機密度は経糸95本/25.4mm、緯糸86本/25.4mmであった。この生機織物を炭酸ナトリウムを2g/Lの割合で含む水溶液中に80℃で30分間浸漬して糊抜きした後、170℃で約40秒間プレセットを行なった。次にイントールMTコンク(アニオン活性剤:明成化学製)1g/Lを含む水溶液にて浴比50:1、温度100℃で時間40分間の熱水処理を行ない、中空繊維を得た。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】
本発明によって得られたポリエステルは熱水への溶解速度が速いために、例えば極細繊維や中空繊維を製造する際の溶出成分等に用いることで、操業性とコストパフォーマンスに優れた製品の創出が可能となる。
Claims (7)
- スルホイソフタル酸金属塩を7〜20モル%共重合し、かつ数平均分子量6万以上のポリアルキレンオキサイドを1〜20重量%含有することを特徴とする熱水可溶性ポリエステル組成物。
- 100℃の熱水中に浸漬した時に60分以内で完全に溶解することを特徴とする請求項1記載の熱水可溶性ポリエステル組成物。
- チタン化合物を触媒として用いて製造されたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
- アルカリ金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩の群から選ばれる少なくとも1つの無機塩を1.5〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱水可溶性ポリエステル組成物。
- 無機塩が5nm以上、1μm以下の平均粒径の粒子としてポリマー中に存在していることを特徴とする請求項4記載の熱水可溶性ポリエステル組成物。
- 請求項1〜5のいずれかの組成物からなるポリエステル繊維。
- 請求項1〜5の組成物のいずれかを構成成分の少なくとも1つとして有する複合繊維。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2008090566A2 (en) | 2007-01-23 | 2008-07-31 | Reliance Industries Ltd. | Easily alkali soluble polyester and method for producing the same |
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2003
- 2003-02-03 JP JP2003025691A patent/JP2004231925A/ja active Pending
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