JP2008231299A - 共重合体ラテックス、紙塗工剤、及び共重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

共重合体ラテックス、紙塗工剤、及び共重合体ラテックスの製造方法 Download PDF

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孝一郎 東
Kazuya Kumazoe
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Abstract

【課題】ドライピック強度と、ウェットピック強度とのバランスが良好な紙塗工剤を実現し得る、共重合体ラテックスを提供する。
【解決手段】原料単量体として、脂肪族共役ジエン系単量体と、エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、シアン化ビニル系単量体と、前記(a)、(b)、又は(c)成分と共重合可能な他の単量体とを含む重合原液を乳化重合して得られ、かつ下式(1)を満たすことを特徴とする共重合体ラテックス。
A/B≦0.8 ・・・(1)
(式(1)中、Aは、130℃にて乾燥して得られる共重合体ラテックスの融着体の、水に対する溶解分率(%)を意味し、Bは、23℃にて乾燥して得られる共重合体ラテックスの融着体の、水に対する溶解分率(%)を意味する。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ドライピック強度とウェットピック強度とのバランスが良好な紙塗工剤を実現し得る、共重合体ラテックス等に関する。
バインダーとしての混和安定性に優れ、かつ、高速塗工適性およびインク着肉性、さらには印刷強度と耐ブリスター性のバランスと印刷光沢に優れたオフセット印刷紙を提供する紙塗工用バインダーが、特許文献1に記載されている。また、塗工紙の耐水性および湿潤時のインキ着肉性、さらに表面強度と印刷光沢にすぐれた効果を発揮する紙塗工用バインダーが、特許文献2に記載されている。更に、塗工操業性、表面強度、印刷光沢、インク乾燥性等の印刷適性に優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる紙塗工用バインダーが、特許文献3に記載されている。
特開2001−192997号公報 特開平08−034879号公報 特開2006−052365号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3のいずれに記載された紙塗工用バインダーについても、塗工紙に求められる種々の物性をバランスよく達成する観点からは、なお改善の余地を有するものであった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ドライピック強度とウェットピック強度とのバランスが良好な紙塗工剤を実現し得る、共重合体ラテックス等を提供することを課題とする。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、共重合体ラテックスの加熱乾燥体の水に対する溶解分率が、非加熱乾燥体の水に対する溶解分率と比べて減少するような共重合体ラテックスが、その目的に適合し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下の共重合体ラテックス等を提供する。
[1]原料単量体として、
(a)成分:脂肪族共役ジエン系単量体と、
(b)成分:エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、
(c)成分:シアン化ビニル系単量体と、
(d)成分:前記(a)、(b)、又は(c)成分と共重合可能な他の単量体と
を含む重合原液を乳化重合して得られ、かつ下式(1)を満たすことを特徴とする共重合体ラテックス。
A/B≦0.8 ・・・(1)
(式(1)中、Aは、130℃にて乾燥して得られる共重合体ラテックスの融着体の、水に対する溶解分率(%)を意味し、Bは、23℃にて乾燥して得られる共重合体ラテックスの融着体の、水に対する溶解分率(%)を意味する。)
[2]前記重合原液が、
(e)成分:アミン系化合物
を含む[1]に記載の共重合体ラテックス。
[3]トルエン不溶分率が70質量%以上である[1]又は[2]に記載の共重合体ラテックス。
[4]体積平均粒子径が400nm以下である[1],[2]又は[3]に記載の共重合体ラテックス。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工剤。
[6]原料単量体として、
(a)成分:脂肪族共役ジエン系単量体と、
(b)成分:エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、
(c)成分:シアン化ビニル系単量体と、
(d)成分:前記(a)、(b)、又は(c)成分と共重合可能な他の単量体と
を含むと共に、添加剤として、
(e)成分:アミン系化合物
を含む重合原液を用いて乳化重合を行うことを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
[7]前記(e)成分が、前記乳化重合の進行途中で配合される[6]に記載の製造方法。
[8][6]又は[7]に記載の製造方法により得られる共重合体ラテックスを含む紙塗工剤。
本発明の共重合体ラテックスは、ドライピック強度と、ウェットピック強度とのバランスが良好な紙塗工剤を実現し得る。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態における共重合体ラテックスは、塗工紙および塗工板紙の顔料バインダーとして好適に用いられる。
本実施の形態における共重合体ラテックスは、乾燥して得られる融着体の水に対する可溶分率(可溶成分の割合)が、加熱条件(130℃)で乾燥して得られる融着体(以下、「加熱融着体」と略記することがある)と、実質的に非加熱条件(23℃)で乾燥して得られる融着体(以下、「非加熱融着体」と略記することがある)との間で異なるものである。つまり、非加熱融着体を形成した場合には水に対して溶解し、加熱融着体を形成した場合には水に対して溶解しない成分が、本実施の形態の共重合体ラテックスには含まれる。
即ち、本実施の形態の共重合体ラテックスは、下式(1)を満たすものである。
A/B≦0.8 ・・・(1)
(式(1)中、Aは、130℃にて乾燥して得られる共重合体ラテックスの融着体の、水に対する溶解分率(%)を意味し、Bは、23℃にて乾燥して得られる共重合体ラテックスの融着体の、水に対する溶解分率(%)を意味する。)
ここで、上記A,Bは、下式(2),(3)を用いて記載することができる。
A[%]={(S1−W1)/S1}×100 ・・・(2)
B[%]={(S2−W2)/S2}×100 ・・・(3)
(式(2),(3)中、W1は共重合体ラテックスの加熱融着体の水不溶分重量[g]を意味し、W2は共重合体ラテックスの非加熱融着体の水不溶分重量[g]を意味する。また、S1は共重合体ラテックスの加熱融着体の採取重量[g]を意味し、S2は共重合体ラテックスの非加熱融着体の採取重量[g]を意味する。)
なお、上記Aを測定する具体的な方法としては、以下の(p)〜(u)の工程を経て測定する方法を採用することができる。
(p)工程:分散媒(例えば、水)中の固形分濃度が45質量%から55質量%程度となるように調整された共重合体ラテックス分散体をpH8に調製する。当該共重合体ラテックス分散体を、スポイトを使用してテフロン(登録商標)シート上に滴下し、直径3mm程度の液滴を作成する。
(q)工程:前記(p)工程で作成された液滴を、130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥し、乾燥皮膜(加熱融着体)を作成する。
(r)工程:前記(q)工程で作成された加熱融着体から約0.5gを採取し、精秤する(S1の測定。)。
(s)工程:前記(r)工程にて精秤された加熱融着体を50ml程度のサンプル瓶中に入れ、これに蒸留水30mlを加えた後、振とう機で3時間振とうする。
(t)工程:前記(s)工程にて3時間振とうされたサンプル瓶の内容液を、325メッシュのステンレス篩で濾過し、水不溶分と水を分離する。
(u)工程:前記(t)工程で分離された水不溶分を130℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥し、加熱融着体の水不溶分重量(W1)を精秤する。加熱融着体の水に対する溶解分率(A[%])を、上式(2)から求める。
また、上記Bを測定する具体的な方法としては、上記Aと同様の方法を用いることができる。この場合、上記(q)工程における「130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥」の代わりに、「23℃、50%RHの恒温恒湿環境下で48時間乾燥」として非加熱融着体を作成すればよい。その後、上記と同様にしてS2,W2を測定し、非加熱融着体の水不溶分重量(W2)を精秤する。非加熱融着体の水に対する溶解分率(B[%])を、上式(3)から求める。
本実施の形態において、前記A/B値としては0.8以下、好ましくは0.75以下であり、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上である。このようなA/B値を有する共重合体ラテックスは、白紙光沢、印刷光沢、ドライピック強度、又はウェットピック強度に優れる紙塗工剤を実現し得る。また、かかる紙塗工剤は、塗工紙並びに塗工板紙を製造する際の塗料としての保水性、並びに高速塗工適性について良好な紙塗工剤となり得る。
なお、前記A/B値は、単量体組成の調整、分子量・トルエン不溶分率の調整、重合法による調整、等の方法により調整することができる。
本実施の形態の共重合体ラテックスについて、そのトルエン不溶分率としては、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。当該トルエン不溶分率をこのような範囲に調整することにより、ドライピック強度、ウェットピック強度に優れる共重合体ラテックスを実現し得る。
当該トルエン不溶分率を測定する方法としては、まず、上記(p),(q)工程と同様にして加熱融着体を作成する。次に、トルエン(30ml)中にこの加熱融着体(約0.5g:精秤する)を投入し、3時間振とうした後、325メッシュの金網で濾過する。その後、上記(u)工程と同様にして加熱融着体のトルエン不溶分重量を精秤し、最初に採取したラテックス乾燥フィルム重量に対する質量%を求める。
トルエン不溶分率(%)={(トルエン不溶分重量)/(加熱融着体の採取重量)}×100
当該トルエン不溶分率を調整する方法については、重合中に使用する連鎖移動剤の使用量を増減する方法、重合中の反応速度を調整する方法等を採用し得る。
また、本実施の形態の共重合体ラテックスについて、その体積平均粒子径としては、好ましくは40〜400nm、より好ましくは50〜200nm、更に好ましくは50〜110nmである。体積平均粒子径をこのような範囲に調整することにより、ドライピック強度、ウェットピック強度、塗料の保水性に優れる共重合体ラテックスを実現し得る。特に、体積平均粒子径を110nm以下とすることにより、これらの特性の向上が著しい。
体積平均粒子径を測定する方法としては、MOUNTECH社製、MICROTRAC UPA150を用いて測定する方法が挙げられる。
なお、体積平均粒子径を調整する方法については、乳化剤の量を調整する方法、重合固形分を調整する方法、重合開始剤の初期使用量を調整する方法等を採用し得る。
本実施の形態の共重合体ラテックスは、原料単量体として、
(a)成分:脂肪族共役ジエン系単量体と、
(b)成分:エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、
(c)成分:シアン化ビニル系単量体と、
(d)成分:前記(a)、(b)、又は(c)成分と共重合可能な他の単量体と
を含む重合原液を乳化重合して得られる共重合体ラテックスである。
前記(a)成分は、得られる共重合体ラテックスに柔軟性を与え、接着力、衝撃吸収性を与える観点から重要な成分である。
前記(a)成分が、本実施の形態を通じて使用される全ての原料単量体の総量(以下、「原料単量体総量」と略記することがある)中に占める割合としては、通常10〜60質量%、好ましくは25〜50質量%である。当該割合を10質量%以上とすることにより、共重合体が硬く脆くなって接着力が低下するおそれを低減し得る。一方、60質量%以下とすることにより、共重合体が柔らかくなりすぎ接着力および耐ベタツキ性が低下するおそれを低減し得る。
前記(a)成分の具体例としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
前記(b)成分は、得られる共重合体ラテックスに分散安定性を与え、接着力を高める観点から重要な成分である。
前記(b)成分が、原料単量体総量中に占める割合としては、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。当該割合を0.5質量%以上とすることにより、共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与え得る。分散安定性が低いと、顔料混和時および塗工工程においてさまざまな問題が生じ得る。一方、10質量%以下とすることにより、共重合体の粘度が高くなりすぎたり、耐水性が低下したりするおそれを低減し得る。
前記(b)成分の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
前記(c)成分は、共重合ラテックスに極性を付与したり、接着力を高めたり、水不溶分をコントロールしたり観点から重要な成分である。
前記(c)成分が、原料単量体総量中に占める割合としては、好ましくは8〜35質量%、より好ましくは12〜30質量%、更に好ましくは15〜28質量%である。当該割合を8質量以上とすることにより、ドライピック強度、ウェットピック強度の低下を防止し得る。一方、35質量%以下とすることにより、ドライピック強度やウェットピック強度の低下、重合安定性の低下を防止し得る。
前記(c)成分の具体例としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
前記(d)成分は、得られる共重合ラテックスにさまざまな特性を付与し得る。
前記(d)成分の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;
メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;
アクリル酸2−ヒドロキシエチル(ヒドロキシエチルアクリレート)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;
アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアクリル酸アミノアルキルエステル類;
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの(メタ)アクリル酸グリシジルエステル類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアミド類;
2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのピリジン類;
酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;
塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;
等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
上記重合原液は、更に、
(e)成分:アミン系化合物
を含むことができる。このような(e)成分を用いることは、上述したA/B値を有する本実施の形態の共重合体ラテックスを製造する方法として特に好適である。
ここで、前記(e)成分の配合量としては、前記原料単量体総量100質量部に対する配合量として、好ましくは0.1〜1.0質量部、より好ましくは0.2〜0.7質量部である。当該配合量を0.1質量部以上とすることにより、発明の効果をより大きく発現させ得る。一方、1.0質量部以下とすることにより、重合安定性が不足する、或いは、塗料粘度が上昇しすぎる等の弊害を防止し得る。
前記(e)成分の具体例としては、例えば、水酸化アンモニウム;
R−NH(RはC1〜C21のアルキル、もしくはアルケニル基)で表記される1級アミン化合物;
R−NH−R’(R、R’はともにC1〜C21のアルキル、もしくはアルケニル基)で表記される2級アミン化合物;
R−NR’−R’’(R、R’、R’’は、C1〜C21のアルキル、もしくはアルケニル基)で表記される3級アミン化合物;
1分子中に1級〜3級のアミノ基を複数個有するアミン系化合物;
アミン系単量体を重合して製造されたアミン系ポリマーもしくはアミン系オリゴマー;
等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
前記1級アミン化合物の例としては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘキシルアミン、t−ドデシルアミン等が挙げられる。
前記2級アミン化合物の例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジt−ブチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジn−ヘキシルアミン、ジt−ドデシルアミン等が挙げられる。
前記3級アミン化合物の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリt−ブチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリn−ヘキシルアミン、トリt−ドデシルアミン等が挙げられる。
なお、1分子中にアミノ基を複数個有するアミン系化合物の例としては、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、等が挙げられる。
本実施の形態においては、発明の効果をより大きく発現させ得る観点から、中でも、1分子中に1級〜3級のアミノ基を複数個有するアミン系化合物、特に、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンが、好ましく用いられる。
本実施の形態において、前記(e)成分をどのような時期に配合するかについては、前記乳化重合が開始される前に各種単量体に配合しても良いし、各種単量体の重合が開始されて形成される重合反応系に配合しても良いし、重合反応が終了した後に配合しても良い。中でも、乳化重合の進行途中に前記(e)成分を配合する(重合反応系に配合する)ことが、重合中における水溶性成分の生成制御の観点から好適である。
ここで、前記(e)成分を前記乳化重合の進行中に配合する場合には、当該(e)成分を前記(b)成分と共に重合反応系に添加することが好適である。
従来、特に重合媒体として水を使用する乳化重合により共重合体ラテックスを製造する場合には、原料単量体の一部にエチレン系不飽和カルボン酸が用いられることが多い。ここで、このようなカルボン酸とアミン系化合物とを共存させると、通常、カルボン酸の反応が遅れ、重合安定性が低下する。共重合体ラテックスを製造する際、安定な共重合体ラテックスを得る観点からは、重合系のpHを上げるような物質を用いずに重合を行うことが望ましい。つまり、重合媒体として水を使用し、原料単量体中にエチレン系不飽和カルボン酸を含む重合反応系に、前記(e)成分を併用することについては、当業者にとっての阻害要因があった。
しかしながら、本実施の形態においては、原料単量体としての前記(a)〜(d)成分に加え、添加剤として(e)成分を配合する。そうすることにより、前記式(1)を満たす共重合体ラテックスを良好に製造し得、ひいては、例えば、印刷光沢、白紙光沢、ドライピック強度、ウェットピック強度、保水性、高速塗工適性のバランスが良好な紙塗工剤を実現し得るものである。
また、前記(e)成分と併用することが好適な前記(b)成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、等が挙げられる。
より好ましい前記(e)成分と前記(b)成分との組み合わせとしては、例えば、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸よりなる群から選択された1種又は2種以上と、1分子中に1級〜3級のアミノ基を複数個有するアミン系化合物との組合せが挙げられる。中でも、イタコン酸とフマル酸と1分子中に1級〜3級のアミノ基を複数個有するアミン系化合物との組合せ、イタコン酸とアクリル酸と1分子中に1級〜3級のアミノ基を複数個有するアミン系化合物との組合せ、イタコン酸とメタクリル酸と1分子中に1級〜3級のアミノ基を複数個有するアミン系化合物との組合せ、又は、イタコン酸と1分子中に1級〜3級のアミノ基を複数個有するアミン系化合物との組合せが好適である。ここでいう1分子中に1級〜3級のアミノ基を複数個有するアミン系化合物としては、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンを用いることが特に好ましい。
本実施の形態における乳化重合の方法としては、水性媒体中で界面活性剤の存在下、重合開始剤により重合を行うなどの方法を用いることができる。また、多段重合法を用い、カルボン酸成分を重合の後半で配合することが、ラテックス粘度の低減、高速塗工適性、ウェットピック強度の観点から好適である。
また、かかる乳化重合において使用される乳化剤(界面活性剤)としては、アニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤を用いることができる。
このような界面活性剤としては、例えば、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤;
等を挙げることができる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記重合開始剤としては、熱または還元剤の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものを使用することができ、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用することが可能である。
このような重合開始剤としては、例えば、ペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などを挙げることができる。より具体的には、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイド、等がある。
その他にも、POLYMER HANDBOOK(3rd edition)、J.BrandrupおよびE.H.Immergut著、John Willy & Sons刊(1989)に記載されている化合物を重合開始剤として用いることができる。
また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤と組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を用いることもできる。
なお、これら重合開始剤は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態においては、乳化重合を行う際に、連鎖移動剤を用いることができる。
このような連鎖移動剤としては、例えば、核置換α−メチルスチレンの二量体の一つであるα−メチルスチレンダイマー;
n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;
テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類;
四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体;
2−エチルヘキシルチオグリコレート、等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、これらの連鎖移動剤の添加方法にも特に制限はなく、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法が用いられる。
また、本実施の形態においては、いわゆる「シード重合法」を用いることが可能である。シードを作製後同一反応系内で共重合体ラテックスの重合を行うインターナルシード法、別途作製したシードを用いるエクスターナルシード法などの方法を、適宜選択して用いることができる。
更に、本実施の形態においては、必要に応じて各種重合調整剤を用いることができる。このような重合調整剤としては、例えば、pH調整剤、キレート剤などを挙げることができる。pH調整剤の好ましい例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、アミン類などが挙げられる。キレート剤の好ましい例としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等が挙げられる。
本実施の形態の共重合体ラテックスを分散媒体中に分散させる場合、その固形分濃度に特に制限はないが、好ましくは30〜60質量%である。
また、本実施の形態の製造方法における重合温度としては、好ましくは5〜100℃、より好ましくは40〜90℃、更に好ましくは50℃〜85℃である。
更に、本実施の形態において、重合前半の温度を低く保ち、後半の温度を高くすることで、発明の効果がより大きく発現し得る。重合前半の重合温度として好ましいのは70℃以下、より好ましくは65℃以下である。重合後半の重合温度としては、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上である。
本実施の形態の共重合体ラテックスには、必要に応じて各種添加剤を添加することが可能である。このような添加剤としては、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤、殺菌剤、印刷適性剤などを挙げることができる。
本実施の形態の紙塗工剤は、本実施の形態の共重合体ラテックス、又は、本実施の形態の製造方法により得られる共重合体ラテックスを含む紙塗工剤(板紙塗工用塗料を含む)である。
ここで、本実施の形態の共重合体ラテックスをバインダーとして用いて紙塗工剤を調整する方法としては、例えば、分散剤を溶解させた水中に、無機顔料、有機顔料、水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤とともに本実施の形態の共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液とする方法が挙げられる。
なお、前記無機顔料としては、例えば、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等を使用可能である。また、前記有機顔料としては、プラスチックピグメントやバインダーピグメント等を使用可能である。更に、前記水溶性高分子としては、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を使用可能である。
なお、前記顔料と本実施の形態の共重合体ラテックスとの配合割合は、前記紙塗工剤の使用目的によって適宜決定することが出来る。なお、顔料100質量部に対する共重合体ラテックスの配合量としては、好ましくは3〜30質量部である。
そして、このような紙塗工剤は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができる。塗工形態も原紙に対し片面、又は表裏の両面に塗工されうるものであり、また片面当たりの塗工回数についても1回であるシングル塗工の他、2回の塗工工程を行ういわゆるダブル塗工に供する事もできる。この場合、本の共重合体ラテックスはその下塗り用顔料組成物(下塗り用の紙塗工剤)、上塗り用顔料組成物(上塗り用の紙塗工剤)のいずれにも用いる事ができる。
本実施の形態の共重合体ラテックスを使用した紙塗工剤は、塗工紙、コート白ボール、特殊板紙、高級板紙等の各種板紙の顔料塗工に用いることができる。これら紙塗工剤が塗工された塗工紙は、オフセット枚葉式印刷、グラビア式印刷、凸版式印刷、UV印刷等の各種印刷用として好的に用いられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、共重合体ラテックスの物性、およびこれを用いた紙塗工剤の物性の測定および評価については、下記の方法により行なった。
[実施例1]
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、水100質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.45質量部を仕込み、内温を65℃に昇温した。次いで、表1に示す1段目の単量体と連鎖移動剤との混合単量体組成物(1段目の組成物)を、3時間30分かけて一定の流速で添加した。1段目の組成物添加開始10分後にペルオキソ二硫酸ナトリウム(0.15質量部)の30%水溶液を添加した。
1段目の組成物の添加終了後、表1に示す2段目の単量体(イタコン酸を除く)と連鎖移動剤と添加剤とを含む混合単量体組成物(2段目の組成物)を2時間かけて一定の流速で添加した。2段目の組成物添加開始と同時に、水30質量部とペルオキソ二硫酸ナトリウム0.6質量部とからなる開始剤系水溶液を2時間かけて一定の流速で添加した。また、2段目の組成物添加開始30分後から、表1に記載のイタコン酸(2.5質量部)の15%水溶液を1時間かけて一定の流速で添加した。重合温度に関しては、2段目の組成物添加開始と同時に45分間かけて85℃まで昇温した。その後1時間15分の間、85℃を保ち、2段目の組成物の添加終了と同時に95℃まで昇温し、その温度を1時間保った後冷却して反応を完結させた。
次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを8とし、スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。この共重合体ラテックスは、最終的には固形分濃度50質量%、pH8となるように調整した。このようにして得られた共重合体ラテックスを、共重合体ラテックスL−1とした。
[実施例2]
実施例1における、第2段目部分の昇温温度(85℃)を90℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、共重合体ラテックスL−2を得た。
[実施例3]
実施例1における、第2段目部分の昇温温度(85℃)を95℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、共重合体ラテックスL−3を得た。
[実施例4]
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、水115質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.45質量部を仕込み、内温を65℃に昇温した。次いで、表1に示す1段目の単量体と連鎖移動剤との混合単量体組成物(1段目の組成物)を、3時間30分かけて一定の流速で添加した。1段目の組成物添加開始10分後にペルオキソ二硫酸ナトリウム(0.15質量部)の30%水溶液を添加した。
1段目の組成物の添加終了後、表1に示す2段目の単量体と連鎖移動剤と添加剤とを含む混合単量体組成物(2段目の組成物)を2時間かけて一定の流速で添加した。2段目の組成物添加終了後、表1に示す3段目の単量体(イタコン酸は15%水溶液)を1時間かけて一定の割合で添加した。また、3段目の単量体添加開始と同時に、水15質量部とペルオキソ二硫酸ナトリウム0.6質量部とからなる開始剤系水溶液を1時間かけて一定の流速で添加した。重合温度に関しては、2段目の組成物添加開始1時間15分後から45分かけて85℃に昇温した。その後1時間、85℃を保ち、その後95℃まで昇温し、その温度を1時間保った後冷却して反応を完結させた。
次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを8とし、スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。この共重合体ラテックスは、最終的には固形分濃度50質量%、pH8となるように調整した。このようにして得られた共重合体ラテックスを、共重合体ラテックスL−4とした。
[実施例5]
実施例4と同様にして、1段目の組成物を耐圧反応容器に投入した。
1段目の組成物の添加終了後、表2に示す2段目の単量体と連鎖移動剤と添加剤とを含む混合単量体組成物(2段目の組成物)を2時間かけて一定の流速で添加した。2段目の組成物添加終了後、表2に示す3段目の単量体(イタコン酸は15%水溶液、アクリロニトリルは別系統から添加)を1時間かけて一定の割合で添加した。また、3段目の単量体添加開始と同時に、水15質量部とペルオキソ二硫酸ナトリウム0.6質量部とからなる開始剤系水溶液を1時間かけて一定の流速で添加した。重合温度に関しては、2段目の組成物添加開始1時間15分後から45分かけて85℃に昇温した。その後1時間、85℃を保ち、その後95℃まで昇温し、その温度を1時間保った後冷却して反応を完結させた。
次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを8とし、スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。この共重合体ラテックスは、最終的には固形分濃度50質量%、pH8となるように調整した。このようにして得られた共重合体ラテックスを、共重合体ラテックスL−5とした。
[実施例6]
1段目の組成物に、更にフマル酸を1.0質量部配合し、2段目の組成物に配合されるイタコン酸量(2.5質量部)を1.5質量部に減量した以外は、実施例1と同様にして共重合体ラテックスL−6を得た。
[実施例7]
2段目の組成物に、更にアクリル酸を1.0質量部配合し、2段目の組成物に配合されるイタコン酸量(2.5質量部)を2.0質量部に減量し、同じく2段目の組成物に配合されるスチレン量(7.3質量部)を6.8質量部に減量した以外は、実施例1と同様にして共重合体ラテックスL−7を得た。
[実施例8]
2段目の組成物に、メタクリル酸を1.0質量部配合し、2段目の組成物に配合されるイタコン酸量(2.5質量部)を2.0質量部に減量し、同じく2段目の組成物に配合されるスチレン量(7.3質量部)を6.8質量部に減量した以外は、実施例1と同様にして共重合体ラテックスL−8を得た。
[実施例9]
2段目の組成物に、アクリル酸0.5質量部とメタクリル酸0.5質量部とを配合し、2段目の組成物に配合されるイタコン酸量(2.5質量部)を2.0質量部に減量し、同じく2段目の組成物に配合されるスチレン量(7.3質量部)を6.8質量部に減量した以外は、実施例1と同様にして共重合体ラテックスL−9を得た。
[比較例1]
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、水100質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.45質量部、イタコン酸2.5質量部を仕込み、内温を65℃に昇温した。次いで、表3に示す1段目の単量体と連鎖移動剤との混合単量体組成物(1段目の組成物)を3時間30分かけて一定の流速で添加した。1段目の組成物添加開始10分後にペルオキソ二硫酸ナトリウム(0.15質量部)の30%水溶液を添加した。
1段目の組成物の添加終了後、表3に示す2段目の単量体と連鎖移動剤とを含む混合単量体組成物(2段目の組成物)を2時間かけて一定の流速で添加した。2段目の組成物添加開始と同時に、水30質量部とペルオキソ二硫酸ナトリウム0.6質量部とからなる開始剤系水溶液を2時間かけて一定の流速で添加した。重合温度に関しては、2段目の組成物添加開始と同時に45分間かけて85℃まで昇温した。その後1時間15分の間、85℃を保ち、2段目の組成物の添加終了と同時に95℃まで昇温し、その温度を1時間保った後冷却して反応を完結させた。
次いで、生成した共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを8とし、スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。この共重合体ラテックスは、最終的には固形分濃度50質量%、pH8となるように調整した。このようにして得られた共重合体ラテックスを、共重合体ラテックスL−10とした。
[比較例2]
比較例1と同様にして、1段目の組成物を耐圧反応容器に投入した。1段目の組成物添加開始10分後にペルオキソ二硫酸ナトリウム(0.6質量部)の30%水溶液を添加した。
1段目の組成物の添加終了後、表3に示す2段目の単量体と連鎖移動剤とを含む混合単量体組成物(2段目の組成物)を2時間かけて一定の流速で添加した。2段目の組成物添加開始と同時に、水30質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.15質量部とからなる開始剤系水溶液を2時間かけて一定の流速で添加した。重合温度、及びその後の処理については比較例1と同様とした。
このようにして得られた共重合体ラテックスを、共重合体ラテックスL−11とした。
[比較例3]
1段目の組成物にイタコン酸を用いないこと以外は、比較例1と同様にして、1段目の組成物を耐圧反応容器に投入した。1段目の組成物添加開始10分後にペルオキソ二硫酸ナトリウム(0.15質量部)の30%水溶液を添加した。
1段目の組成物の添加終了後、表3に示す2段目の組成物と連鎖移動剤とを含む混合単量体組成物(2段目の組成物)を2時間かけて一定の流速で添加した。2段目の組成物添加開始と同時に、水30質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.6質量部とからなる開始剤系水溶液を2時間かけて一定の流速で添加した。また、第2段目の添加開始後30分後から、表3に記載のイタコン酸(質量部)の15%水溶液を1時間かけて一定の流速で添加した。また、第2段目の添加開始後30分後から、表3に記載のイタコン酸(質量部)の15%水溶液を1時間かけて一定の流速で添加した。重合温度に関しては、2段目の組成物添加終了まで65℃を保ち、2段目の組成物添加終了後に95℃まで昇温し、その温度を1時間保った後冷却して反応を完結させた。その後の処理については比較例1と同様とした。
このようにして得られた共重合体ラテックスを、共重合体ラテックスL−12とした。
[比較例4]
1段目の組成物にイタコン酸を用いないこと以外は、比較例1と同様にして、1段目の組成物を耐圧反応容器に投入した。1段目の組成物添加開始10分後にペルオキソ二硫酸ナトリウム(0.15質量部)の30%水溶液を添加した。
1段目の組成物の添加終了後、表3に示す2段目の組成物と連鎖移動剤とを含む混合単量体組成物(2段目の組成物)を2時間かけて一定の流速で添加した。2段目の組成物添加開始と同時に、水30質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.6質量部とからなる開始剤系水溶液を2時間かけて一定の流速で添加した。また、第2段目の添加開始後30分後から、表3に記載のイタコン酸(質量部)の15%水溶液を1時間かけて一定の流速で添加した。重合温度、及びその後の処理については比較例1と同様とした。
このようにして得られた共重合体ラテックスを、共重合体ラテックスL−13とした。
[比較例5]
第2段目の混合組成物の部分でその他の添加剤(3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン)を用いないこと以外は全て実施例4と同様の手段で得られたラテックスを共重合体ラテックスL−14とする。
このようにして得られた共重合体ラテックスL−1〜L−13について、各種物性を評価した。結果を表1〜3に併記した。
Figure 2008231299
Figure 2008231299
Figure 2008231299
[体積平均粒子径]
MOUNTECH社製、MICROTRAC UPA150を用いて測定し、体積平均値を用いた。
[トルエン不溶分率]
共重合体ラテックス試料(50%固形分)をpH8に調整し、130℃で30分間乾燥したラテックスフィルムを作製した。トルエン(30ml)中にこの乾燥フィルム(0.5g:精秤)を加え、3時間振とうした後、325メッシュの金網で濾過し、金網上に残った固形分を乾燥し、最初に採取したラテックス乾燥フィルム重量に対する質量%を求めた。
トルエン不溶分率(%)={(トルエン不溶部分重量)/(サンプル採取重量)}×100
[加熱融着体の水可溶分率 A[%]]
以下の(p)〜(u)の工程を経て測定する方法を採用した。
(p)工程:分散媒(例えば、水)中の固形分濃度が45質量%から55質量%程度となるように調整された共重合体ラテックス分散体をpH8に調製する。当該共重合体ラテックス分散体を、スポイトを使用してテフロン(登録商標)シート上に滴下し、直径3mm程度の液滴を作成する。
(q)工程:前記(p)工程で作成された液滴を、130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥し、乾燥皮膜(加熱融着体)を作成する。
(r)工程:前記(q)工程で作成された加熱融着体から約0.5gを採取し、精秤する(S1の測定。)。
(s)工程:前記(r)工程にて精秤された加熱融着体を50ml程度のサンプル瓶中に入れ、これに蒸留水30mlを加えた後、振とう機で3時間振とうする。
(t)工程:前記(s)工程にて3時間振とうされたサンプル瓶の内容液を、325メッシュのステンレス篩で濾過し、水不溶分と水を分離する。
(u)工程:前記(t)工程で分離された水不溶分を130℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥し、加熱融着体の水不溶分重量(W1)を精秤する。加熱融着体の水に対する溶解分率(A[%])を、下式(2)から求める。
A[%]={(S1−W1)/S1}×100 ・・・(2)
[非加熱融着体の水可溶分率 B[%]]
上記A[%]を測定するのと同様の方法を用いた。この場合、上記(q)工程における「130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥」の代わりに、「23℃、50%RHの恒温恒湿環境下で48時間乾燥」として非加熱融着体を作成した。その後、上記と同様にしてS2,W2を測定し、非加熱融着体の水に対する溶解分率(B[%])を、下式(3)から求めた。
B[%]={(S2−W2)/S2}×100 ・・・(3)
[実施例10〜18,比較例6〜10]
上記共重合体ラテックスL−1〜L−13を用い、表4に示す配合にて塗料を調整した。更に、得られた塗料を用い、表5に示す条件にて塗工紙を作成した。即ち、塗工方法としては枚様式塗工機(SMT社製、商品名:枚様式コーター PM−9040MC1型)を使用し、表5に示す塗工方法(バーアプリケート、ブレードかきとり)、塗工速度、乾燥温度、乾燥風量、乾燥時間で行った。塗工後の塗工紙を25℃/50%の恒温恒湿環境下に12時間以上静置し調湿した。調湿後、50℃、150kg/cm、10m/minの条件でスーパーカレンダー処理を行った。
得られた塗工紙につき、各種特性を評価した(いずれも、25℃/50%の恒温恒湿環境下で評価を行った)。結果を表6,7に示した。
Figure 2008231299
1級クレー: Thiele Kaolin社製、商品名:カオファイン
重質炭酸カルシウム:IMERYS MINERALS JAPAN社製、商品名:カービタル97
分散剤:東亞合成株式会社製、商品名:アロン A−20U
スターチ:王子コーンスターチ社製、商品名:王子エースC
Figure 2008231299
Figure 2008231299
Figure 2008231299
[白紙光沢]
村上色彩研究所製、GROSS METER MODEL GM−26Dを用い、スーパーカレンダー処理を行った塗工紙の75°−75°反射光を測定した。
[印刷光沢(単色)]
RI印刷機(株式会社明製作所製、商品名:RI印刷機)のロール間で0.4mlの藍インクを均一になるまでよく練った後に印刷し(1回=単色)、その後、23℃/50%の恒温恒湿状況下24時間乾燥させた。乾燥後、村上色彩研究所製、GROSS METER MODELGM−26Dを用い、60°−60°反射光を測定した。
[印刷光沢(重色)]
RI印刷機のNo.2(数値は、4色印刷機における何色目を印刷するロールであるかを意味する。)のロールで0.4mlの藍インクを、No.4のロールで0.4mlの紅インクを均一になるまで練り、藍→紅の順番に印刷後、23℃/50%の恒温恒湿状況下24時間乾燥させた。乾燥後、村上色彩研究所製、GROSS METER MODELGM−26Dを用い、60°−60°反射光を測定した。
[ドライピック強度]
まず、RI印刷機のロール間で0.4mlの特殊墨インク(タック値10〜20;適宜選択)を均一になるまで練り、塗工紙サンプルの塗工層がピックをおこすまで数回印刷を繰り返した。印刷後インキロールを塗工板紙に写し取った。写し取った塗工板紙の白抜けの程度でピック強度を目視で評価した。この場合の評価は、1.0〜5.0までを0.1刻みで41段階に分け、全く白抜けしていない状態を5.0、全面が白ぬけしているものを1.0として評価した。
[ウェットピック強度]
まず、RI印刷機のNo.4ロールで0.4mlの特殊インク(タック値10〜20;適宜選択)を均一になるまで練り、No.2ロールに水で湿潤したスリーブロールを設置し、スリーブロールを通過させた後にインキロールを通過させた。印刷後のインキロールを塗工板紙に写し取り、ドライ強度と同じ方法で評価した。
[塗料の保水性]
各種塗料につき25℃/50%の恒温恒湿環境下、KALTEC SCIENTIFIC.INC.社製のAA−GWRを用いて測定を行った。測定条件は、150kPa/30秒、0.2μmポアのメンブレンフィルターを使用した。
[高速塗工適性(ハイシェア粘度)]
谷理機工業社製/HI−SHEAR VISCOMETER/HERCULES TYPE MODEL/HR−801Cを使用し、Fボブを使用し、10秒間で0rpmから8800rpm、又は4400rpmまで増速し、その後10秒間で0rpmまで減速するプログラムで測定した。
上表の結果から、本実施の形態の共重合体ラテックスは、印刷光沢、白紙光沢、ドライピック強度、ウェットピック強度、保水性、及び高速塗工適性のバランスが良好な紙塗工剤を実現し得る。
本発明の組成物は、紙塗工用分野で好適に利用できる。

Claims (8)

  1. 原料単量体として、
    (a)成分:脂肪族共役ジエン系単量体と、
    (b)成分:エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、
    (c)成分:シアン化ビニル系単量体と、
    (d)成分:前記(a)、(b)、又は(c)成分と共重合可能な他の単量体と
    を含む重合原液を乳化重合して得られ、かつ下式(1)を満たすことを特徴とする共重合体ラテックス。
    A/B≦0.8 ・・・(1)
    (式(1)中、Aは、130℃にて乾燥して得られる共重合体ラテックスの融着体の、水に対する溶解分率(%)を意味し、Bは、23℃にて乾燥して得られる共重合体ラテックスの融着体の、水に対する溶解分率(%)を意味する。)
  2. 前記重合原液が、
    (e)成分:アミン系化合物
    を含む請求項1に記載の共重合体ラテックス。
  3. トルエン不溶分率が70質量%以上である請求項1又は2に記載の共重合体ラテックス。
  4. 体積平均粒子径が400nm以下である請求項1,2又は3に記載の共重合体ラテックス。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工剤。
  6. 原料単量体として、
    (a)成分:脂肪族共役ジエン系単量体と、
    (b)成分:エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、
    (c)成分:シアン化ビニル系単量体と、
    (d)成分:前記(a)、(b)、又は(c)成分と共重合可能な他の単量体と
    を含むと共に、添加剤として、
    (e)成分:アミン系化合物
    を含む重合原液を用いて乳化重合を行うことを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
  7. 前記(e)成分が、前記乳化重合の進行途中で配合される請求項6に記載の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の製造方法により得られる共重合体ラテックスを含む紙塗工剤。
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