JP2008258152A - 膜−電極接合体およびこれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】白金代替触媒を用いた発電特性の高い膜−電極接合体および燃料電池を提供する。
【解決手段】卑金属錯体を用いてなる電極触媒を有する膜−電極接合体であって、電流密度と電圧に関するターフェルプロットから得られる交換電流密度i0が5.0×10-4Acm-2以上であり、かつ、ターフェル勾配が450mV/decade以下である膜−電極接合体。
【選択図】なし
【解決手段】卑金属錯体を用いてなる電極触媒を有する膜−電極接合体であって、電流密度と電圧に関するターフェルプロットから得られる交換電流密度i0が5.0×10-4Acm-2以上であり、かつ、ターフェル勾配が450mV/decade以下である膜−電極接合体。
【選択図】なし
Description
本発明は、膜−電極接合体およびこれを用いた燃料電池に関し、さらに詳しく言えば、本発明は、卑金属錯体を用いてなる電極触媒を有する膜−電極接合体およびこれを用いた燃料電池に関する。
現在、燃料電池の触媒としては白金が一般的に用いられているが、コストが高いことや、埋蔵量が限られているため将来的に資源が枯渇してしまうおそれがあることなどの問題がある。
白金に代替する触媒を燃料電池の電極触媒に用いた例として、例えば非特許文献1には、コバルト/ポリピロール/カーボン複合体を電極触媒とした膜−電極接合体が記載されている。また、非特許文献2には、ヘモグロビン炭化物を電極触媒とした膜−電極接合体が記載されている。
しかしながら、非特許文献1及び2で開示されているような膜−電極接合体の発電特性は白金触媒を用いたものに比べてかなり低く、発電特性をより向上させることが切望されていた。
Rajesh Bashyam,Piotr Zelenay,"Nature",Vol.443,p.63-66(2006) Jun Maruyama,Ikuo Abe,"Chemistry of Materials",Vol.18,No.5,p.1303-1311(2006)
白金に代替する触媒を燃料電池の電極触媒に用いた例として、例えば非特許文献1には、コバルト/ポリピロール/カーボン複合体を電極触媒とした膜−電極接合体が記載されている。また、非特許文献2には、ヘモグロビン炭化物を電極触媒とした膜−電極接合体が記載されている。
しかしながら、非特許文献1及び2で開示されているような膜−電極接合体の発電特性は白金触媒を用いたものに比べてかなり低く、発電特性をより向上させることが切望されていた。
Rajesh Bashyam,Piotr Zelenay,"Nature",Vol.443,p.63-66(2006) Jun Maruyama,Ikuo Abe,"Chemistry of Materials",Vol.18,No.5,p.1303-1311(2006)
本発明は、白金代替触媒を用いた発電特性の高い膜−電極接合体および燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
[1]卑金属錯体を用いてなる電極触媒を有する膜−電極接合体であって、電流密度と電圧に関するターフェルプロットから得られる交換電流密度i0が5.0×10-4Acm
-2以上であり、かつ、ターフェル勾配が450mV/decade以下であることを特
徴とする膜−電極接合体。
[2]前記卑金属錯体が、2つ以上のフェノール環と2つ以上の芳香族複素環とを有する化合物を配位子として含有する卑金属錯体であることを特徴とする[1]項に記載の膜−電極接合体。
[3]前記卑金属錯体が、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンからなる群から選ばれる卑金属原子を含む卑金属錯体であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の膜−電極接合体。
[4]前記卑金属錯体1分子に含まれる卑金属原子の数が、1以上10以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
[5]前記の卑金属錯体を用いてなる電極触媒が、300℃以上1200℃以下の温度で加熱処理されたものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の膜−電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
[1]卑金属錯体を用いてなる電極触媒を有する膜−電極接合体であって、電流密度と電圧に関するターフェルプロットから得られる交換電流密度i0が5.0×10-4Acm
-2以上であり、かつ、ターフェル勾配が450mV/decade以下であることを特
徴とする膜−電極接合体。
[2]前記卑金属錯体が、2つ以上のフェノール環と2つ以上の芳香族複素環とを有する化合物を配位子として含有する卑金属錯体であることを特徴とする[1]項に記載の膜−電極接合体。
[3]前記卑金属錯体が、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンからなる群から選ばれる卑金属原子を含む卑金属錯体であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の膜−電極接合体。
[4]前記卑金属錯体1分子に含まれる卑金属原子の数が、1以上10以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
[5]前記の卑金属錯体を用いてなる電極触媒が、300℃以上1200℃以下の温度で加熱処理されたものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の膜−電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
本発明の膜−電極接合体は、電極触媒に卑金属錯体触媒を用いており、従来の白金代替触媒を用いたものに比べて著しく高い発電特性を示す。また、白金触媒を用いたものに比べて低コストである。
また、このような膜−電極接合体を備えた本発明の燃料電池は、発電効率に優れる。
また、このような膜−電極接合体を備えた本発明の燃料電池は、発電効率に優れる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[膜−電極接合体]
本発明の膜−電極接合体(Membrane Electrode Assembly;以下、「MEA」ともいう。)は電解質膜と電極触媒とからなり、電解質膜の両側に電極触媒を有している。
本発明の膜−電極接合体は、卑金属錯体を用いてなる電極触媒を有する。
[膜−電極接合体]
本発明の膜−電極接合体(Membrane Electrode Assembly;以下、「MEA」ともいう。)は電解質膜と電極触媒とからなり、電解質膜の両側に電極触媒を有している。
本発明の膜−電極接合体は、卑金属錯体を用いてなる電極触媒を有する。
(電極触媒)
本発明の膜−電極接合体において電極触媒として用いられる卑金属錯体は、卑金属原子を含んでなる金属錯体であり、該卑金属原子は、無電荷でも、荷電している金属イオンであってもよい。
本発明の膜−電極接合体において電極触媒として用いられる卑金属錯体は、卑金属原子を含んでなる金属錯体であり、該卑金属原子は、無電荷でも、荷電している金属イオンであってもよい。
ここで、卑金属とは、「化学辞典」(第1版、1994年、東京化学同人)に記載されているように、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金のような貴金属を除く金属である。
卑金属の具体例としては、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、水銀、タリウム、鉛、ビスマス等を例示することができる。
卑金属の具体例としては、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、水銀、タリウム、鉛、ビスマス等を例示することができる。
これらの中で、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はレニウムが本発明に好ましく適用することができる。
より好ましくは、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はレニウムであり、さらに好ましくは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、又はタングステンである。
これらの中でも、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び銅からなる群から選ばれる卑金属原子が特に好ましい。
これらの中でも、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び銅からなる群から選ばれる卑金属原子が特に好ましい。
本発明に用いられる卑金属錯体は、前記卑金属原子を1個または複数個有するが、その好ましい個数としては30個以下であり、より好ましくは1〜10個であり、更に好ましくは1〜3個であり、特に好ましくは1又は2個である。
本発明に用いられる卑金属錯体としては、シッフ塩基金属錯体、芳香族炭化水素及び/又は複素環を含んでなる金属錯体、ポルフィリン金属錯体、ポルフィセン金属錯体、ポルフィラジン金属錯体、フタロシアニン金属錯体、及びナフタロシアニン金属錯体、並びにこれら金属錯体の誘導体が好ましい。
本発明に用いられる卑金属錯体として特に好ましくは、2つ以上のフェノール環(フェノール及び/又はその誘導体)と、2つ以上の芳香族複素環とを有する化合物を配位子として含有する卑金属錯体である。
このような配位子の好ましい例としては、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられる。
このような配位子の好ましい例としては、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられる。
一般式(I)及び(II)中、Q1およびQ2は2価の芳香族複素環基を表し、複数のQ1は互いに同一であっても異なっていてもよい。T1は1価の芳香族複素環基を表し、複数のT1は互いに同一であっても異なっていてもよい。R1及びR2は水素原子又は置換基を表し、複数のR1及びR2はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、また、隣り合うR1又はR2は互いに連結して環を形成していてもよい。
前記一般式(I)又は(II)におけるヒドロキシ基(OH基)は、プロトンを放出したフェノラート基になり、金属原子に配位していてもよい。
前記一般式(I)又は(II)におけるR1又はR2が表す置換基としては、例えば、水
酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホニル基、ハロゲン原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基(置換されていてもよい炭化水素オキシ基)、非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノ基(即ち、置換されていてもよい炭化水素二置換アミノ基)、置換されていてもよいヒドロカルビルメルカプト基(置換されていてもよい炭化水素メルカプト基)、置換されていてもよいヒドロカルビルカルボニル基(置換されていてもよい炭化水素カルボニル基)、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基(置換されていてもよい炭化水素オキシカルボニル基)、非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノカルボニル基(即ち、置換されていてもよい炭化水素二置換アミノカルボニル基)、又は置換されていてもよいヒドロカルビルオキシスルホニル基(置換されていてもよい炭化水素スルホニル基)が挙げられる。
酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホニル基、ハロゲン原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基(置換されていてもよい炭化水素オキシ基)、非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノ基(即ち、置換されていてもよい炭化水素二置換アミノ基)、置換されていてもよいヒドロカルビルメルカプト基(置換されていてもよい炭化水素メルカプト基)、置換されていてもよいヒドロカルビルカルボニル基(置換されていてもよい炭化水素カルボニル基)、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基(置換されていてもよい炭化水素オキシカルボニル基)、非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノカルボニル基(即ち、置換されていてもよい炭化水素二置換アミノカルボニル基)、又は置換されていてもよいヒドロカルビルオキシスルホニル基(置換されていてもよい炭化水素スルホニル基)が挙げられる。
これらの中で、置換されていてもよい1価の炭化水素基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノ基、置換されていてもよいヒドロカルビルメルカプト基、置換されていてもよいヒドロカルビルカルボニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基が好ましく、置換されていてもよい1価の炭化水素基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノ基がより好ましく、置換されていてもよい1価の炭化水素基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基がさらに好ましい。
これらの基において、水素原子の結合した窒素原子は、1価の炭化水素基で置換されていることが好ましい。また、R1又はR2で表される基が複数の置換基を有する場合には、2個の置換基が連結して環を形成してもよい。
上記R1又はR2で表される1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基
、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素数1〜50のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20のアルキル基);シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素数3〜50の環状飽和炭化水素基(好ましくは炭素数3〜20の環状飽和炭化水素基);エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等の炭素数2〜50のアルケニル基(好ましくは2〜20のアルケニル基);フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基等の炭素数6〜50のアリール基(好ましくは6〜20のアリール基);フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素数7〜50のアラルキル基(好ましくは7〜20のアラルキル基)が挙げられる。
、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素数1〜50のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20のアルキル基);シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素数3〜50の環状飽和炭化水素基(好ましくは炭素数3〜20の環状飽和炭化水素基);エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等の炭素数2〜50のアルケニル基(好ましくは2〜20のアルケニル基);フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基等の炭素数6〜50のアリール基(好ましくは6〜20のアリール基);フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素数7〜50のアラルキル基(好ましくは7〜20のアラルキル基)が挙げられる。
R1又はR2で表される1価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、炭素数1〜12のものがより好ましく、炭素数2〜12のものがより好ましい。また、炭素数1〜10のものがさらに好ましく、炭素数3〜10のものがより好ましい。また、炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましく、炭素数3〜10のアルキル基が特に好ましい。
R1又はR2で表されるヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルメルカプト基、ヒド
ロカルビルカルボニル基、ヒドロカルビルオキシカルボニル基、ヒドロカルビルスルホニル基は、それぞれ、オキシ基、メルカプト基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルホニル基に、前記の1価の炭化水素基が1個結合してなる基である。
ロカルビルカルボニル基、ヒドロカルビルオキシカルボニル基、ヒドロカルビルスルホニル基は、それぞれ、オキシ基、メルカプト基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルホニル基に、前記の1価の炭化水素基が1個結合してなる基である。
R1又はR2で表される「非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノ
基」、「非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノカルボニル基」は、それぞれ、アミノ基、アミノカルボニル基(即ち、−C(=O)−NH2基)中の2個の水素原子が前記の1価の炭化水素基に置換された基である。これらに含まれる1価の炭化水素基の具体例及び好ましい例は、前記のR1で表される1価の炭化水素基と同じである。
基」、「非置換又は置換の1価の炭化水素基2個で置換されたアミノカルボニル基」は、それぞれ、アミノ基、アミノカルボニル基(即ち、−C(=O)−NH2基)中の2個の水素原子が前記の1価の炭化水素基に置換された基である。これらに含まれる1価の炭化水素基の具体例及び好ましい例は、前記のR1で表される1価の炭化水素基と同じである。
R1で表される1価の炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルメルカプト基、ヒドロカルビルカルボニル基、ヒドロカルビルオキシカルボニル基、ヒドロカルビルスルホニル基は、これらの基に含まれる水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよい1価の炭化水素基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいヒドロカルビルメルカプト基、置換されていてもよいヒドロカルビルカルボニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルスルホニル基等で置換されていてもよい。
R1及びR2は、後述する加熱処理による触媒活性の向上の観点から、前記の中でも、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、及びピリジル基から選ばれる基が特に好ましい。
前記一般式(I)及び(II)中、Q1及びQ2は、置換されてもよい2価の芳香族複素環基であり、複数あるQ1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
前記置換されていてもよい2価の芳香族複素環基は、芳香族複素環が水素原子を2個失って生じる2価の基である。該芳香族複素環としては、例えば、下記構造式(III-1)〜(III-15)で表される2価の芳香族複素環基を例示することができる。特に好ましくは、(III-1)〜(III-8)である。該芳香族複素環は、前記R1又はR2の置換基で置換されてもよい。また、該芳香族複素環を構成するヘテロ原子がプロトンを放出して金属原子に配位してもよい。
前記一般式(II)におけるT1は、置換されてもよい1価の芳香族複素環基であり、複数のT1は互いに同一であっても異なっていてもよい。
該置換されていてもよい1価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環が水素原子を1個失って生じる1価の基である。
該芳香族複素環としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾール、キノキサリン、ベンゾジアジン、1,10−フェナントロリン、ナフチリジン等を挙げることができ、好ましくは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロールである。これらは、前記R1又はR2の置換基で置換されてもよい。
本発明に用いられる卑金属錯体の配位子としては、前記一般式(I)又は(II)で表される化合物が好ましく、その具体例を以下に列挙するが(例示化合物(IV-1)〜(IV-8))、本発明はこれらに限定されない。なお、各例示化合物中、tBuはtert−ブチルを示す。
前記一般式(I)又は(II)で表される化合物は、例えば「Tetrahedron」,Vol.55,p.8377(1999)の記載を参考にして調製することができる。また、前記文献の記載を参考にして複素環を有する前駆体を合成したのち、相当するアルデヒドで閉環反応させることにより合成できる。
本発明に用いられる卑金属錯体は、前記配位子に加え、他の配位子を有していてもよい。このような他の配位子としてはイオン性でも電気的に中性の化合物でもよく、このような他の配位子を複数有する場合、これらの他の配位子は互いに同一でも異なっていてもよい。
前記他の配位子としては、電気的に中性の化合物として、アンモニア、ピリジン、ピロール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,3,4−オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、フェナントリジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8−ナフチリジン、アクリジン、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、フェニレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ピリジン−N−オキシド、2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド、オキサミド、ジメチルグリオキシム、o−アミノフェノールなどの窒素原子含有化合物;水、フェノール、シュウ酸、カテコール、サリチル酸、フタル酸、2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、ヘキサフルオロペンタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、2,2’−ビナフトール等の酸素原子含有化合物;ジメチルスルホキシド、尿素等の硫黄原子含有化合物;1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,2−フェニレンビス(ジメチルホスフィン)等のリン原子含有化合物等が例示される。
これらの中で好ましくはアンモニア、ピリジン、ピロール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,3,4−オキサジアゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、フェナントリジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8−ナフチリジン、アクリジン、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、フェニレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ピリジン−N−オキシド、2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド、オキサミド、ジメチルグリオキシム、o−アミノフェノール、水、フェノール、シュウ酸、カテコール、サリチル酸、フタル酸、2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、ヘキサフルオロペンタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、2,2’−ビナフトールである。
より好ましくはアンモニア、ピリジン、ピロール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,3,4−オキサジアゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、フェナントリジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8−ナフチリジン、アクリジン、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、フェニレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ピリジン−N−オキシド、2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド、o−アミノフェノール、フェノール、カテコール、サリチル酸、フタル酸、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、2,2’−ビナフトールが挙げられる。
より好ましくはアンモニア、ピリジン、ピロール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,3,4−オキサジアゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、フェナントリジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8−ナフチリジン、アクリジン、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、フェニレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ピリジン−N−オキシド、2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド、o−アミノフェノール、フェノール、カテコール、サリチル酸、フタル酸、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、2,2’−ビナフトールが挙げられる。
これらの中でも、ピリジン、ピロール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、アクリジン、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、フェニレンジアミン、ピリジン−N−オキシド、2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド、o−アミノフェノール、フェノールがさらに好ましい。
また、アニオン性を有する配位子としては、水酸化物イオン、ペルオキシド、スーパーオキシド、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラフェニルボレートイオンなどのテトラアリールボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、金属酸化物イオン、メトキサイドイオン、エトキサイドイオン等が挙げられる。
好ましくは、水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラフェニルボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンが例示され、これらの中でも、水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、テトラフェニルボレートイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンがより好ましい。
さらに、前記アニオン性を有する配位子として例示したイオンは、本発明に用いられる卑金属錯体自体を電気的に中和する対イオンとして有していてもよい。
また、本発明に用いられる卑金属錯体は、電気的中性を保たせるようなカチオン性を有する対イオンを有していてもよい。
カチオン性を有する対イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンなどのテトラアリールホスホニウムイオン等が例示される。
具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンが挙げられ、より好ましくはテトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンが挙げられる。
これらの中でも、カチオン性を有する対イオンとして、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオンが好ましい。
本発明に用いられる卑金属錯体の調製は、次のように行うことができる。
次に、本発明に用いられる卑金属錯体の合成法について説明する。該卑金属錯体は、配位子を、卑金属原子を付与する反応剤(以下、「金属付与剤」と呼ぶ)と混合することにより得ることができる。金属付与剤としては、前記に具体例として例示した卑金属の酢酸塩、塩化物、硫酸塩、炭酸塩などを用いることができる。
配位子の合成は、非特許文献Tetrahedron,1999,55,8377.に記載されているように、有機金属反応剤の複素環式化合物への付加反応及び酸化をおこない、ハロゲン化反応、次いで遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応によって合成することができる。また、複素環のハロゲン化物を用いて、段階的にクロスカップリング反応で合成することも可能である。
前記のとおり、本発明の卑金属錯体は、配位子及び金属付与剤を適当な反応溶媒の存在下で混合させることで得ることができる。具体的には、反応溶媒としては、水、酢酸、シュウ酸、アンモニア水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、デカリン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジンが挙げられ、これらを2種以上混合してなる反応溶媒を用いてもよいが、配位子及び金属付与剤が溶解し得るものが好ましい。反応温度としては通常−10〜200℃、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは0〜100℃、反応時間としては通常1分〜1週間、好ましくは5分〜24時間、特に好ましくは1時間〜12時間で実施することができる。なお、反応温度および反応時間についても、配位子及び金属付与剤の種類によって適宜設定できる。
反応後の反応溶液から、生成した卑金属錯体を単離精製する手段としては、公知の再結晶法、再沈殿法あるいはクロマトグラフィー法から適宜最適な手段を選択して用いることができ、これらの手段を組み合わせてもよい。なお、前記反応溶媒の種類によっては、生成した卑金属錯体が析出する場合があり、析出した卑金属錯体を濾別等で分離し、必要に応じて洗浄操作や乾燥操作を行うことでも、卑金属錯体を単離精製することもできる。
本発明に用いられる卑金属錯体として、下記式(V−1)〜(V−8)で表される卑金属錯体を例示する。式中のM1およびM2は卑金属原子を表し、具体的には、前記卑金属原子が例示される。M1およびM2は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Meはメチル、tBuはtert−ブチルを示す。なお、式中、卑金属錯体の電荷は省略してある。
カチオン性を有する対イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンなどのテトラアリールホスホニウムイオン等が例示される。
具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンが挙げられ、より好ましくはテトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオンが挙げられる。
これらの中でも、カチオン性を有する対イオンとして、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオンが好ましい。
本発明に用いられる卑金属錯体の調製は、次のように行うことができる。
次に、本発明に用いられる卑金属錯体の合成法について説明する。該卑金属錯体は、配位子を、卑金属原子を付与する反応剤(以下、「金属付与剤」と呼ぶ)と混合することにより得ることができる。金属付与剤としては、前記に具体例として例示した卑金属の酢酸塩、塩化物、硫酸塩、炭酸塩などを用いることができる。
配位子の合成は、非特許文献Tetrahedron,1999,55,8377.に記載されているように、有機金属反応剤の複素環式化合物への付加反応及び酸化をおこない、ハロゲン化反応、次いで遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応によって合成することができる。また、複素環のハロゲン化物を用いて、段階的にクロスカップリング反応で合成することも可能である。
前記のとおり、本発明の卑金属錯体は、配位子及び金属付与剤を適当な反応溶媒の存在下で混合させることで得ることができる。具体的には、反応溶媒としては、水、酢酸、シュウ酸、アンモニア水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、デカリン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジンが挙げられ、これらを2種以上混合してなる反応溶媒を用いてもよいが、配位子及び金属付与剤が溶解し得るものが好ましい。反応温度としては通常−10〜200℃、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは0〜100℃、反応時間としては通常1分〜1週間、好ましくは5分〜24時間、特に好ましくは1時間〜12時間で実施することができる。なお、反応温度および反応時間についても、配位子及び金属付与剤の種類によって適宜設定できる。
反応後の反応溶液から、生成した卑金属錯体を単離精製する手段としては、公知の再結晶法、再沈殿法あるいはクロマトグラフィー法から適宜最適な手段を選択して用いることができ、これらの手段を組み合わせてもよい。なお、前記反応溶媒の種類によっては、生成した卑金属錯体が析出する場合があり、析出した卑金属錯体を濾別等で分離し、必要に応じて洗浄操作や乾燥操作を行うことでも、卑金属錯体を単離精製することもできる。
本発明に用いられる卑金属錯体として、下記式(V−1)〜(V−8)で表される卑金属錯体を例示する。式中のM1およびM2は卑金属原子を表し、具体的には、前記卑金属原子が例示される。M1およびM2は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Meはメチル、tBuはtert−ブチルを示す。なお、式中、卑金属錯体の電荷は省略してある。
本発明に用いられる卑金属錯体は、そのまま電極触媒として用いることができ、カーボンなどの導電性担体に分散させて電極触媒として用いることもできる。
また、本発明の膜−電極接合体は、卑金属錯体を担持させたポリマーを電極触媒として用いることもできる。該ポリマーの形態としては、卑金属錯体の残基を有するポリマーや、卑金属錯体の残基を繰り返し単位として有するポリマーなどを例示することができる。前記卑金属錯体の残基を有するポリマーとは、卑金属錯体における水素原子の一部又は全部(通常、1個)を取り除いてなる原子団からなる基を有するポリマーを意味しており、この場合に用いられるポリマーとして、特に制限はないが、導電性高分子、デンドリマー、天然高分子、固体高分子電解質、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン等を例示することができる。その中でも、導電性高分子、固体高分子電解質が特に好ましい。導電性高分子とは金属的または半金属的な導電性を示す高分子物質の総称である(岩波理化学辞典第5版:1988年発行)。導電性高分子としては、「導電性ポリマー」(吉村進一著、共立出版)や「導電性高分子の最新応用技術」(小林征男監修、シーエムシー出版)に記載されているような、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリカルバゾール及びその誘導体、ポリインドール及びその誘導体、ならびに前記導電性高分子の共重合体などを挙げることができる。
固体高分子電解質としては、パーフルオロスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフェニレン、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテルスルホンをスルホン化した高分子などを挙げることができる。
固体高分子電解質としては、パーフルオロスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフェニレン、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテルスルホンをスルホン化した高分子などを挙げることができる。
また、前記卑金属錯体の残基を繰り返し単位として有するポリマーとは、卑金属錯体における水素原子の一部又は全部(通常、2個)を取り除いてなる原子団からなる基を繰り返し単位として有するポリマーを意味する。
また、本発明に用いられる卑金属錯体は、加熱処理を行ってから電極触媒として用いてもよい。触媒活性や安定性が向上する効果があるため、加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理に用いる卑金属錯体は、1種の卑金属錯体のみを用いてもよく、2種以上の卑金属錯体を用いることもできる。
該卑金属錯体は、加熱処理を施す前処理として、15℃以上200℃以下の温度、10Torr(1333.22Pa)以下の減圧条件下において6時間以上乾燥させることが特に好ましい。該前処理としては、真空乾燥機等を用いることができる。
該卑金属錯体は、加熱処理を施す前処理として、15℃以上200℃以下の温度、10Torr(1333.22Pa)以下の減圧条件下において6時間以上乾燥させることが特に好ましい。該前処理としては、真空乾燥機等を用いることができる。
卑金属錯体の加熱処理を行う際に用いる雰囲気は、水素、一酸化炭素などの還元雰囲気、酸素、炭酸ガス、水蒸気などの酸化雰囲気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガス雰囲気、アンモニア、アセトニトリルなどの含窒素化合物のガス又は蒸気、並びにこれらの混合ガスの存在下であることが好ましい。
より好ましくは、還元雰囲気であれば、水素、もしくは水素と前記不活性ガスとの混合雰囲気、酸化雰囲気であれば、酸素、もしくは酸素と前記不活性ガスとの混合雰囲気、不活性ガス雰囲気であれば、窒素、ネオン、アルゴン、もしくはこれらの不活性ガスの混合雰囲気である。
また、加熱処理に係る圧力は、特に限定されるものではないが、0.5〜1.5気圧程度の常圧付近が好ましい。
より好ましくは、還元雰囲気であれば、水素、もしくは水素と前記不活性ガスとの混合雰囲気、酸化雰囲気であれば、酸素、もしくは酸素と前記不活性ガスとの混合雰囲気、不活性ガス雰囲気であれば、窒素、ネオン、アルゴン、もしくはこれらの不活性ガスの混合雰囲気である。
また、加熱処理に係る圧力は、特に限定されるものではないが、0.5〜1.5気圧程度の常圧付近が好ましい。
該卑金属錯体を加熱処理する際の温度は、好ましくは250℃以上であり、より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは400℃以上、特に好ましくは500℃以上である。また、加熱処理にかかる温度は、好ましくは1500℃以下であり、より好ましくは1200℃以下、特に好ましくは1000℃以下である。
加熱処理にかかる処理時間は、前記の使用ガスや温度等により適宜設定できるが、上記ガスの密閉あるいは通気させた状態において、室温から徐々に温度を上昇させ目的温度到達後、すぐに降温してもよい。中でも、目的温度に到達後、温度を維持することで、徐々に卑金属錯体を加熱することが、耐久性をより向上させることができるため好ましい。目的とする温度到達後の保持時間は、好ましくは1〜100時間であり、より好ましくは1〜40時間であり、さらに好ましくは2時間〜10時間であり、特に好ましくは2〜3時間である。
加熱処理を行う装置は特に限定されるものではなく、管状炉、オーブン、ファーネス、IHホットプレート等が例示される。
本発明の膜−電極接合体の電極触媒としては、前述したような(a)卑金属錯体と(b)カーボン担体とを含む卑金属錯体混合物を、燃料電池用電極触媒として用いてもよい。
該卑金属錯体混合物における(a)と(b)との混合比率は、(a)及び(b)の合計質量に対し、(a)の含有量が1〜70質量%になるように設定することが好ましい。前記(a)卑金属錯体の含有量は2〜60質量%がより好ましく、3〜50質量%が特に好ましい。
前記カーボン担体の例としては、ノーリット(NORIT社製)、ケッチェンブラック(Lion社製)、バルカン(Cabot社製)、ブラックパール(Cabot社製)、アセチレンブラック(Chevron社製)等のカーボン粒子(いずれも商品名)、C60やC70等のフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボン繊維等が挙げられる。
このような卑金属錯体混合物は、前記卑金属錯体と同様に、加熱処理を行ってから電極触媒として用いてもよい。卑金属錯体混合物を加熱処理する際の条件等は、前記の卑金属錯体を加熱処理する条件と同様である。
(電解質膜)
本発明の膜−電極接合体の電解質膜として、パーフルオロ系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜、プロトン伝導性無機膜などの、プロトン伝導性電解質膜を用いることが好ましい。より好ましくは、パーフルオロ系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜であり、特に好ましくは、パーフルオロ系高分子電解質膜である。
電解質膜としては、例えば、Nafion112、Nafion115、Nafion117(いずれもデュポン社製)、フレミオン(旭硝子社製)、アシプレックス(旭化成社製)(いずれも商品名)等を本発明の膜−電極接合体に用いることができる。
本発明の膜−電極接合体の電解質膜として、パーフルオロ系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜、プロトン伝導性無機膜などの、プロトン伝導性電解質膜を用いることが好ましい。より好ましくは、パーフルオロ系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜であり、特に好ましくは、パーフルオロ系高分子電解質膜である。
電解質膜としては、例えば、Nafion112、Nafion115、Nafion117(いずれもデュポン社製)、フレミオン(旭硝子社製)、アシプレックス(旭化成社製)(いずれも商品名)等を本発明の膜−電極接合体に用いることができる。
かかる電解質膜として、膜厚の薄い電解質膜を用いることにより燃料電池の抵抗を低減できることから好ましい。好ましい膜厚としては、200μm以下であり、より好ましくは、150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下であり、特に好ましくは50μm以下である。また、電解質膜の膜厚が薄過ぎると、ガスのクロスリークが起こりやすくなることから、膜厚は、1μm以上が好ましく、より好ましくは、3μm以上、特に好ましくは5μm以上である。
(ターフェル(Tafel)の式)
本発明で適用されるターフェルプロットについて説明する。ターフェルプロットとは、例えば「原理からとらえる電気化学」(第1版、2006年、裳華房)に記載されているように、過電圧に対する電流密度の対数のプロットをいう。
本発明で適用されるターフェルプロットについて説明する。ターフェルプロットとは、例えば「原理からとらえる電気化学」(第1版、2006年、裳華房)に記載されているように、過電圧に対する電流密度の対数のプロットをいう。
過電圧をη、交換電流密度をi0、アノード反応の電流密度をia、カソード反応の電
流密度をicとすると、アノード反応およびカソード反応のターフェル式は、それぞれ以下の通り記述される。
<アノード反応>
数式1 η=−balog(i0/Acm-2)+balog(ia/Acm-2)
<カソード反応>
数式2 η=bclog(i0/Acm-2)−bclog(|ic|/Acm-2)
流密度をicとすると、アノード反応およびカソード反応のターフェル式は、それぞれ以下の通り記述される。
<アノード反応>
数式1 η=−balog(i0/Acm-2)+balog(ia/Acm-2)
<カソード反応>
数式2 η=bclog(i0/Acm-2)−bclog(|ic|/Acm-2)
前記数式1及び2中、baおよびbcは、アノード反応およびカソード反応のターフェル勾配であり、それぞれba=2.3RT/αazF、bc=2.3RT/αczFで表される。ここで、αa及びαcはそれぞれ、アノード反応およびカソード反応の移動係数であり、R、T、z及びFはそれぞれ、気体定数、温度(ケルビン)、移動電子数およびファラデー定数である。
ターフェルプロットから得られる交換電流密度i0は、電極上の反応速度定数に比例しており、この値が大きい程、電極上での反応が速やかに進行することを示す。
したがって、交換電流密度i0の値は、5.0×10-4Acm-2以上が好ましく、8.0×10-4Acm-2以上がより好ましく、1.0×10-3Acm-2以上が更に好ましく、1.1×10-3Acm-2以上が特に好ましい。
なお、従来の白金触媒において通常得られる交換電流密度i0の最大値は、1.0×10-2Acm-2である。
なお、従来の白金触媒において通常得られる交換電流密度i0の最大値は、1.0×10-2Acm-2である。
また、ターフェル勾配は、反応の移動係数と移動電子数で決定される値であり、反応の可逆性や反応に関与する電子数により大きく変化する。カソード反応(酸素還元反応)の場合、その理論値は69mV/decadeであるが、電極上でのプロトンおよび生成水の移動や、過酸化水素の生成などにより、その値が大きくなり、発電特性を低下させる傾向にある。
カソード反応のターフェル勾配として、好ましくは450mV/decade以下であり、より好ましくは400mV/decade以下で、特に好ましくは350mV/decade以下である。
なお、従来の白金触媒において通常得られるターフェル勾配の最小値は、69mV/decadeである。
なお、従来の白金触媒において通常得られるターフェル勾配の最小値は、69mV/decadeである。
本発明のように、卑金属錯体を含んでなる電極触媒を有する膜−電極接合体において、交換電流密度i0が5.0×10-4Acm-2以上であり、かつ、ターフェル勾配が450mV/decade以下であると、燃料電池セルの発電特性が向上する。
[燃料電池]
次に、上述した膜−電極接合体を備える燃料電池の好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の好適な一実施態様の燃料電池のセルについての縦断面図である。図1に示すように、燃料電池10は、膜−電極接合体20を備えている。膜−電極接合体20は、高分子電解質膜(プロトン伝導膜)12と、これを挟む一対の触媒層14a,14bとから構成されている。燃料電池10は、ガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18bを含有しており、膜−電極接合体20の両側に、これを挟むようにガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18bが順に形成されている。
次に、上述した膜−電極接合体を備える燃料電池の好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の好適な一実施態様の燃料電池のセルについての縦断面図である。図1に示すように、燃料電池10は、膜−電極接合体20を備えている。膜−電極接合体20は、高分子電解質膜(プロトン伝導膜)12と、これを挟む一対の触媒層14a,14bとから構成されている。燃料電池10は、ガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18bを含有しており、膜−電極接合体20の両側に、これを挟むようにガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18bが順に形成されている。
膜−電極接合体20における高分子電解質膜12に隣接する触媒層14a,14bは、燃料電池における電極層として機能する層であり、これらのうちいずれか一方がアノード電極層であり、他方がカソード電極層である。かかる触媒層14a,14bとしては、ナフィオン(商品名、デュポン社製)などの高分子電解質と触媒とを含む触媒組成物から形成されたものが好適である。
かかる触媒層14a,14bのうち一方、好ましくはカソード電極層が、上述した卑金属錯体を用いてなる電極触媒であることが好適である。また、他方の触媒としては、水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、例えば、貴金属、貴金属合金、金属錯体、金属錯体を焼成してなる金属錯体焼成物等が挙げられる。中でも、触媒としては、白金の微粒子が好ましく、触媒層14a,14bは、活性炭や黒鉛等の粒子状または繊維状のカーボンに白金の微粒子が担持されてなるものであってもよい。
かかる触媒層14a,14bのうち一方、好ましくはカソード電極層が、上述した卑金属錯体を用いてなる電極触媒であることが好適である。また、他方の触媒としては、水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、例えば、貴金属、貴金属合金、金属錯体、金属錯体を焼成してなる金属錯体焼成物等が挙げられる。中でも、触媒としては、白金の微粒子が好ましく、触媒層14a,14bは、活性炭や黒鉛等の粒子状または繊維状のカーボンに白金の微粒子が担持されてなるものであってもよい。
触媒層中の白金量が多い場合、燃料電池作製のコストが高くなってしまうことから、触媒層中の白金量は少ない方が好ましい。触媒層中の卑金属錯体の総質量と触媒層中の卑金属錯体および白金の総質量との関係Pを、下記式(1)のように定義した場合、
P=(触媒層中の白金の総質量)/(触媒層中の卑金属錯体及び白金の総質量)式(1)
Pの値として、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下である。Pの下限は0である。
P=(触媒層中の白金の総質量)/(触媒層中の卑金属錯体及び白金の総質量)式(1)
Pの値として、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下である。Pの下限は0である。
ガス拡散層16a,16bは、MEA20の両側を挟むように設けられており、触媒層14a,14bへの原料ガスの拡散を促進するものである。このガス拡散層16a,16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されるものが好ましい。例えば、多孔質性のカーボン不織布やカーボンペーパーが、原料ガスを触媒層14a,14bへ効率的に輸送することができるため、好ましい。
これらの高分子電解質膜12、触媒層14a,14b及びガス拡散層16a,16bから膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)が構成されている。このようなMEGAは、例えば、以下に示す方法により製造することができる。
まず、高分子電解質を含む溶液と触媒とを混合して触媒組成物のスラリーを形成する。これを、ガス拡散層16a,16bを形成するためのカーボン不織布やカーボンペーパー等の上にスプレーやスクリーン印刷方法により塗布し、溶媒等を蒸発させることで、ガス拡散層上に触媒層が形成された積層体を得る。そして、得られた一対の積層体をそれぞれの触媒層が対向するように配置するとともに、その間に高分子電解質膜12を配置し、これらを圧着する。こうして、上述した構造のMEGAが得られる。なお、ガス拡散層上への触媒層の形成は、例えば、所定の基材(ポリイミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)等)の上に触媒組成物を塗布・乾燥して触媒層を形成した後、これをガス拡散層に熱プレスで転写することにより行うこともできる。
まず、高分子電解質を含む溶液と触媒とを混合して触媒組成物のスラリーを形成する。これを、ガス拡散層16a,16bを形成するためのカーボン不織布やカーボンペーパー等の上にスプレーやスクリーン印刷方法により塗布し、溶媒等を蒸発させることで、ガス拡散層上に触媒層が形成された積層体を得る。そして、得られた一対の積層体をそれぞれの触媒層が対向するように配置するとともに、その間に高分子電解質膜12を配置し、これらを圧着する。こうして、上述した構造のMEGAが得られる。なお、ガス拡散層上への触媒層の形成は、例えば、所定の基材(ポリイミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)等)の上に触媒組成物を塗布・乾燥して触媒層を形成した後、これをガス拡散層に熱プレスで転写することにより行うこともできる。
セパレータ18a,18bは、電子伝導性を有する材料で形成されており、かかる材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレス等が挙げられる。かかるセパレータ18a,18bは、触媒層14a,14b側に、燃料ガス等の流路となる溝(図示せず)が形成されていると好ましい。
そして、燃料電池10は、上述したようなMEGAを、一対のセパレータ18a,18bで挟み込み、これらを接合することで得ることができる。
なお、本発明の燃料電池は、必ずしも上述した構成を有するものに限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜異なる構成を有していてもよい。
燃料電池10は、上述した構造を有するものを、ガスシール体等で封止したものであってもよい。
図1に示した燃料電池セル10は、固体高分子型燃料電池の最小単位である。1枚のセルの出力は限られているため、必要な出力が得られるように複数のセルを直列に接続して、燃料電池スタックとして実用に供することが好ましい。
燃料電池10は、上述した構造を有するものを、ガスシール体等で封止したものであってもよい。
図1に示した燃料電池セル10は、固体高分子型燃料電池の最小単位である。1枚のセルの出力は限られているため、必要な出力が得られるように複数のセルを直列に接続して、燃料電池スタックとして実用に供することが好ましい。
本発明の燃料電池は、燃料が水素である場合は固体高分子形燃料電池として、また燃料がメタノール水溶液である場合は直接メタノール型燃料電池として動作することができる。
本発明の膜−電極接合体を備えた燃料電池は、例えば、自動車用電源、家庭用電源、携帯電話、携帯用パソコン等のモバイル機器用小型電源等として用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。
実施例1
[電極触媒(A)の調製]
卑金属錯体(A)を以下の反応式に従って合成した。なお、以下に示す卑金属錯体の原料となる配位子は、「Tetrahedron」,Vol.55,p.8377(1999)に記載の方法を参考にして合成した。なお、式中、Meはメチル基をEtはエチル基を、Acはアセチル基を表す。
[電極触媒(A)の調製]
卑金属錯体(A)を以下の反応式に従って合成した。なお、以下に示す卑金属錯体の原料となる配位子は、「Tetrahedron」,Vol.55,p.8377(1999)に記載の方法を参考にして合成した。なお、式中、Meはメチル基をEtはエチル基を、Acはアセチル基を表す。
まず、窒素雰囲気下において、1.388gの配位子と1.245gの酢酸コバルト4水和物を含んだ2−メトキシエタノール200ml溶液を500mlのナスフラスコに入れ、80℃に加熱しながら2時間攪拌し、褐色固体が生成した。この固体を濾取し、さらに2−メトキシエタノール(MeOEtOH)20mlで洗浄、乾燥することで卑金属錯体(A)を得た(収量1.532g:収率74%)。なお、上記反応式の右側における「(OAc)2」は、2当量の酢酸イオンが対イオンとして存在することを示し、「MeOEtOH」は、2−メトキシエタノール分子が配位子として存在することを示す。
元素分析値(%):C49H50Co2N4O8として、
(計算値)C:62.56、H:5.36、N:5.96、Co:12.53.
(実測値)C:62.12、H:5.07、N:6.03、Co:12.74.
元素分析値(%):C49H50Co2N4O8として、
(計算値)C:62.56、H:5.36、N:5.96、Co:12.53.
(実測値)C:62.12、H:5.07、N:6.03、Co:12.74.
続いて、上記卑金属錯体(A)とカーボン担体(ケッチェンブラックEC300J、商品名、ライオン社製)とを質量比1:1で混合し、エタノール中、室温にて15分間攪拌後、室温にて1.5Torr(199.983Pa)の減圧下で12時間乾燥させた。前記混合物を、石英管を炉心管とする管状炉を用いて200ml/minの窒素気流下において、700℃で2時間熱処理することにより、電極触媒(A)を得た。
[カソード用触媒インクの作製]
市販の5質量%ナフィオン溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物)1.43mLに前記で得られた電極触媒(A)を0.20g投入し、さらにエタノールを11.2mL、水を2.1mL加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌してカソード用触媒インクを得た。
市販の5質量%ナフィオン溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物)1.43mLに前記で得られた電極触媒(A)を0.20g投入し、さらにエタノールを11.2mL、水を2.1mL加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌してカソード用触媒インクを得た。
[アノード用触媒インクの作製]
市販の5質量%ナフィオン溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物)6mLに50質量%白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、商品名、エヌ・イー・ケムキャット製)を0.83g投入し、さらにエタノールを13.2mL加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌してアノード用触媒インクを得た。
市販の5質量%ナフィオン溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物)6mLに50質量%白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、商品名、エヌ・イー・ケムキャット製)を0.83g投入し、さらにエタノールを13.2mL加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌してアノード用触媒インクを得た。
[MEAの作製]
特開2004−089976号公報に記載の方法を参考にして、前記の触媒インクをそれぞれカーボンクロスにスプレー塗付し、アノード電極及びカソード電極を作製した。
まず、燃料電池のガス拡散層に相当する7cm角に切り出したカーボンクロス(片面撥水処理有り)の撥水処理をしている面の中央部における5.2cm角の領域に、スプレー法にて前記アノード用触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cmに、ステージ温度は75℃に設定した。同様に重ね塗りをした後、ステージ上に15分間放置し、溶媒を除去して、0.6mg/cm2の白金が配置されたガス拡散層付きアノード電極(アノード用触媒層付きカーボンクロス)を得た。また、同様にして、前記カソード用触媒インクをカーボンクロスにスプレー塗布し、0.6mg/cm2の卑金属錯体(A)が配置されたガス拡散層付きカソード電極(カソード用触媒層付きカーボンクロス)を得た。
特開2004−089976号公報に記載の方法を参考にして、前記の触媒インクをそれぞれカーボンクロスにスプレー塗付し、アノード電極及びカソード電極を作製した。
まず、燃料電池のガス拡散層に相当する7cm角に切り出したカーボンクロス(片面撥水処理有り)の撥水処理をしている面の中央部における5.2cm角の領域に、スプレー法にて前記アノード用触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cmに、ステージ温度は75℃に設定した。同様に重ね塗りをした後、ステージ上に15分間放置し、溶媒を除去して、0.6mg/cm2の白金が配置されたガス拡散層付きアノード電極(アノード用触媒層付きカーボンクロス)を得た。また、同様にして、前記カソード用触媒インクをカーボンクロスにスプレー塗布し、0.6mg/cm2の卑金属錯体(A)が配置されたガス拡散層付きカソード電極(カソード用触媒層付きカーボンクロス)を得た。
得られた触媒層付きカーボンクロスからそれぞれ、触媒層が塗布された5.2cm角の領域を切り出し、アノード用触媒層付きカーボンクロス、電解質膜(Nafion115、登録商標、デュポン社製)、カソード用触媒層付きカーボンクロスを、それぞれ触媒層が電解質膜に接するように順次積層し、120℃、100kgf/cm2(9.80665MPa)の条件で15分間熱プレスを施し、膜−電極接合体(MEA)を得た。
[燃料電池セルの作製]
市販のJARI標準セルを用いて燃料電池セルを製造した。すなわち、前記で得られた膜−電極接合体の両外側に、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータを配し、さらにその外側に集電体及びエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効膜面積25cm2の燃料電池セルを組み立てて作製した。
市販のJARI標準セルを用いて燃料電池セルを製造した。すなわち、前記で得られた膜−電極接合体の両外側に、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータを配し、さらにその外側に集電体及びエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効膜面積25cm2の燃料電池セルを組み立てて作製した。
[燃料電池セルの発電性能評価]
得られた燃料電池セルを80℃に保ちながら、アノードに加湿水素、カソードに加湿空気をそれぞれ供給した。この際、セルのガス出口における背圧が0.1MPaGとなるようにした。各原料ガスの加湿は、バブラーにガスを通すことで行い、水素用バブラーの水温は80℃、空気用バブラーの水温は80℃とした。ここで、水素のガス流量は529mL/min、空気のガス流量は1665mL/minとした。そして、電流を掃引したときの電圧を記録し、燃料電池セルの発電性能を評価した。
得られた燃料電池セルを80℃に保ちながら、アノードに加湿水素、カソードに加湿空気をそれぞれ供給した。この際、セルのガス出口における背圧が0.1MPaGとなるようにした。各原料ガスの加湿は、バブラーにガスを通すことで行い、水素用バブラーの水温は80℃、空気用バブラーの水温は80℃とした。ここで、水素のガス流量は529mL/min、空気のガス流量は1665mL/minとした。そして、電流を掃引したときの電圧を記録し、燃料電池セルの発電性能を評価した。
図2は、上記作製した燃料電池セルの電流−電位曲線である。縦軸はセル電圧(V)を表し、横軸は電流密度(Acm-2)を表す。
図2の結果から明らかなように、卑金属錯体を電極触媒とした膜−電極接合体を用いた場合でも、燃料電池として高い発電特性を有していることがわかる。
図2の結果から明らかなように、卑金属錯体を電極触媒とした膜−電極接合体を用いた場合でも、燃料電池として高い発電特性を有していることがわかる。
(ターフェルプロット)
また、前記評価から得られた値を用いて、ターフェルプロットを作成した。そのプロットを図3に示す。図3は、実施例1の膜−電極接合体を用いた燃料電池セルのターフェルプロットである。縦軸は過電圧(V)を表し、横軸は電流密度の対数(log|ic|/Acm-2)を表す。
図3の結果から明らかなように、本発明の膜−電極接合体を用いた燃料電池セルの交換電流密度i0は1.22×10-3Acm-2であり、ターフェル勾配は340mV/decadeであった。
また、前記評価から得られた値を用いて、ターフェルプロットを作成した。そのプロットを図3に示す。図3は、実施例1の膜−電極接合体を用いた燃料電池セルのターフェルプロットである。縦軸は過電圧(V)を表し、横軸は電流密度の対数(log|ic|/Acm-2)を表す。
図3の結果から明らかなように、本発明の膜−電極接合体を用いた燃料電池セルの交換電流密度i0は1.22×10-3Acm-2であり、ターフェル勾配は340mV/decadeであった。
10 燃料電池(燃料電池セル)
12 高分子電解質膜(プロトン伝導膜)
14a,14b 触媒層
16a,16b ガス拡散層
18a,18b セパレータ
20 膜−電極接合体
12 高分子電解質膜(プロトン伝導膜)
14a,14b 触媒層
16a,16b ガス拡散層
18a,18b セパレータ
20 膜−電極接合体
Claims (6)
- 卑金属錯体を用いてなる電極触媒を有する膜−電極接合体であって、電流密度と電圧に関するターフェルプロットから得られる交換電流密度i0が5.0×10-4Acm-2
以上であり、かつ、ターフェル勾配が450mV/decade以下であることを特徴とする膜−電極接合体。 - 前記卑金属錯体が、2つ以上のフェノール環と2つ以上の芳香族複素環とを有する化合物を配位子として含有する卑金属錯体であることを特徴とする請求項1記載の膜−電極接合体。
- 前記卑金属錯体が、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンからなる群から選ばれる卑金属原子を含む卑金属錯体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜−電極接合体。
- 前記卑金属錯体1分子に含まれる卑金属原子の数が、1以上10以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
- 前記の卑金属錯体を用いてなる電極触媒が、300℃以上1200℃以下の温度で加熱処理されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜−電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
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