本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)又はソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
なお本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
なお図面において、同一の要素又は同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体層を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコン層である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
なお、本明細書において、Aが濃度Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における深さ方向全体が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の平均値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の中央値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の最大値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の最小値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の収束値が濃度Bである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域が濃度Bである場合などを含む。
また、本明細書において、Aが大きさB、長さB、厚さB、幅B又は距離Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における全体が大きさB、長さB、厚さB、幅B又は距離Bである場合、Aのある領域における平均値が大きさB、長さB、厚さB、幅B又は距離Bである場合、Aのある領域における中央値が大きさB、長さB、厚さB、幅B又は距離Bである場合、Aのある領域における最大値が大きさB、長さB、厚さB、幅B又は距離Bである場合、Aのある領域における最小値が大きさB、長さB、厚さB、幅B又は距離Bである場合、Aのある領域における収束値が大きさB、長さB、厚さB、幅B又は距離Bである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域が大きさB、長さB、厚さB、幅B又は距離Bである場合などを含む。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(又はトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、又はチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域又はソース電極)とドレイン(ドレイン領域又はドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値又は平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、上面図において半導体(又はトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、又はチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値又は平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅又は見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。又は、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上且つ10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上且つ5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上且つ30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上且つ100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上且つ95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上且つ120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶又は菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
(実施の形態1)
<酸化物半導体の構造>
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る酸化物半導体の構造について、図1乃至図5を用いて説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous like Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、nc−OSなどがある。
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であって不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距離秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。ただし、a−like OSは、微小な領域において周期構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため、物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
以下では、TEMによって観察したCAAC−OSについて説明する。図1(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって行うことができる。
図1(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図1(B)に示す。図1(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層の配列は、CAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)又は上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面又は上面と平行となる。
図1(B)に示すように、CAAC−OSは特徴的な原子配列を有する。図1(C)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図1(B)及び図1(C)より、ペレット一つの大きさは1nm以上3nm以下程度であり、ペレットとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC−OSのペレット5100の配置を模式的に示すと、レンガ又はブロックが積み重なったような構造となる(図1(D)参照)。図1(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾きが生じている箇所は、図1(D)に示す領域5161に相当する。
また、図2(A)に、試料面に略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図2(A)の領域(1)、領域(2)及び領域(3)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図2(B)、図2(C)及び図2(D)に示す。図2(B)、図2(C)及び図2(D)より、ペレットは、金属原子が三角形状、四角形状又は六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
次に、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図3(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面又は上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、CAAC−OSのout−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。より好ましいCAAC−OSは、out−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
一方、CAAC−OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。CAAC−OSの場合は、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図3(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対し、InGaZnO4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図3(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸及びb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図4(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面又は上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図4(B)に示す。図4(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸及びb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図4(B)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面及び(100)面などに起因すると考えられる。また、図4(B)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
上述したように、CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をするとCAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(又は分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物及び酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、キャリア密度を8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上かつ10nm以下、又は1nm以上かつ3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上かつ10nm以下の領域、特に1nm以上かつ3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いた場合、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークは検出されない。また、nc−OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、又はNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
a−like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OS及びnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
電子照射を行う試料として、a−like OS(試料Aと表記する。)、nc−OS(試料Bと表記する。)及びCAAC−OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図5は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例である。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図5より、a−like OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、図5中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×108e−/nm2においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OS及びCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図5中の(2)及び(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc−OS及びCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度及び2.1nm程度であることがわかる。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OS及びCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られないことがわかる。即ち、a−like OSは、nc−OS及びCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OS及びCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度及びCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度及びCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
(実施の形態2)
<成膜方法>
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る酸化物の成膜方法の一例として、CAAC−OSの成膜方法の一例について、図6乃至図10を用いて説明する。
図6(A)は、成膜室内の模式図である。CAAC−OSは、スパッタリング法により成膜することができる。
図6(A)に示すように、基板5220とターゲット5230とは向かい合うように配置している。基板5220とターゲット5230との間にはプラズマ5240がある。また、基板5220の下部には加熱機構5260が設けられている。図示しないが、ターゲット5230は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介してターゲット5230と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
基板5220とターゲット5230との距離d(ターゲット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、又は酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット5230に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマ5240が確認される。なお、ターゲット5230の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン5201が生じる。イオン5201は、例えば、酸素の陽イオン(O+)やアルゴンの陽イオン(Ar+)などである。
ターゲット5230は、複数の結晶粒を有する多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。一例として、図7に、ターゲット5230に含まれるInMZnO4(元素Mは、例えばアルミニウム、ガリウム、イットリウム又はスズ)の結晶構造を示す。なお、図7は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。InMZnO4の結晶では、酸素原子が負の電荷を有することにより、近接する二つのM−Zn−O層の間に斥力が生じている。そのため、InMZnO4の結晶は、近接する二つのM−Zn−O層の間に劈開面を有する。
高密度プラズマ領域で生じたイオン5201は、電界によってターゲット5230側に加速され、やがてターゲット5230と衝突する。このとき、劈開面から平板状又はペレット状のスパッタ粒子であるペレット5200が剥離する(図6(A)参照。)。ペレット5200は、図7に示す二つの劈開面に挟まれた部分である。よって、ペレット5200のみ抜き出すと、その断面は図6(B)のようになり、上面は図6(C)のようになることがわかる。なお、ペレット5200は、イオン5201の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。なお、ペレット5200の剥離に伴い、ターゲット5230から粒子5203も弾き出される。粒子5203は、原子1個又は原子数個の集合体を有する。そのため、粒子5203を原子状粒子(atomic particles)と呼ぶこともできる。
ペレット5200は、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状又はペレット状のスパッタ粒子である。又は、ペレット5200は、六角形、例えば正六角形の平面を有する平板状又はペレット状のスパッタ粒子である。ただし、ペレット5200の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が複数個合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(例えば、正三角形)が2個合わさった四角形(例えば、ひし形)となる場合もある。
ペレット5200は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。例えば、ペレット5200は、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm以下とする。また、例えば、ペレット5200は、幅を1nm以上3nm以下、好ましくは1.2nm以上2.5nm以下とする。例えば、In−M−Zn酸化物を有するターゲット5230にイオン5201を衝突させる。そうすると、M−Zn−O層、In−O層及びM−Zn−O層の3層を有するペレット5200が剥離する。なお、ペレット5200の剥離に伴い、ターゲット5230から粒子5203も弾き出される。粒子5203は、原子1個又は原子数個の集合体を有する。そのため、粒子5203を原子状粒子(atomic particles)と呼ぶこともできる。
ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、表面が負又は正に帯電する場合がある。例えば、ペレット5200がプラズマ5240中にあるO2−から負の電荷を受け取る場合がある。その結果、ペレット5200の表面の酸素原子が負に帯電する場合がある。また、ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、プラズマ5240中のインジウム、元素M、亜鉛又は酸素などと結合することで成長する場合がある。
プラズマ5240を通過したペレット5200及び粒子5203は、基板5220の表面に達する。なお、粒子5203の一部は、質量が小さいため真空ポンプなどによって外部に排出される場合がある。
次に、基板5220の表面におけるペレット5200及び粒子5203の堆積について図8を用いて説明する。
まず、一つ目のペレット5200が基板5220に堆積する。ペレット5200は平板状であるため、平面側を基板5220の表面に向けて堆積する(図8(A)参照。)。このとき、ペレット5200の基板5220側の表面の電荷が、基板5220を介して抜ける。
次に、二つ目のペレット5200が、基板5220に達する。このとき、一つ目のペレット5200の表面、及び二つ目のペレット5200の表面が電荷を帯びているため、互いに反発し合う力が生じる(図8(B)参照。)。
その結果、二つ目のペレット5200は、一つ目のペレット5200上を避け、基板5220の表面の少し離れた場所に堆積する(図8(C)参照。)。これを繰り返すことで、基板5220の表面には、無数のペレット5200が一層分の厚みだけ堆積する。また、ペレット5200と別のペレット5200との間には、ペレット5200の堆積していない領域が生じる。
次に、粒子5203が基板5220の表面に達する(図8(D)参照。)。
粒子5203は、ペレット5200の表面などの活性な領域には堆積することができない。そのため、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるように堆積する。そして、ペレット5200間で粒子5203が横方向に成長(ラテラル成長ともいう。)することで、ペレット5200間を連結させる。このように、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるまで粒子5203が堆積する。このメカニズムは、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法の堆積メカニズムに類似する。
なお、ペレット5200間で粒子5203がラテラル成長するメカニズムは複数の可能性がある。例えば、図8(E)に示すように、一層目のM−Zn−O層の側面から連結するメカニズムがある。この場合、一層目のM−Zn−O層が形成された後で、In−O層、二層目のM−Zn−O層の順に、一層ずつ連結していく(第1のメカニズム)。
又は、例えば、図9(A)に示すように、まず一層目のM−Zn−O層の一側面につき粒子5203の一つが結合する。次に、図9(B)に示すようにIn−O層の一側面につき一つの粒子5203が結合する。次に、図9(C)に示すように二層目のM−Zn−O層の一側面につき一つの粒子5203が結合することで連結する場合もある(第2のメカニズム)。なお、図9(A)、図9(B)及び図9(C)が同時に起こることで連結する場合もある(第3のメカニズム)。
以上に示したように、ペレット5200間における粒子5203のラテラル成長のメカニズムとしては、上記3種類が考えられる。ただし、そのほかのメカニズムによってペレット5200間で粒子5203がラテラル成長する可能性もある。
したがって、複数のペレット5200がそれぞれ異なる方向を向いている場合でも、複数のペレット5200間を粒子5203がラテラル成長しながら埋めることにより、結晶粒界の形成が抑制される。また、複数のペレット5200間を、粒子5203が滑らかに結びつけるため、単結晶とも多結晶とも異なる結晶構造が形成される。言い換えると、微小な結晶領域(ペレット5200)間に歪みを有する結晶構造が形成される。このように、結晶領域間を埋める領域は、歪んだ結晶領域であるため、該領域を指して非晶質構造と呼ぶのは適切ではないと考えられる。
粒子5203が、ペレット5200間を埋め終わると、ペレット5200と同程度の厚さを有する第1の層が形成される。第1の層の上には新たな一つ目のペレット5200が堆積する。そして、第2の層が形成される。さらに、これが繰り返されることで、積層体を有する薄膜構造が形成される(図6(D)参照)。
なお、ペレット5200の堆積の仕方は、基板5220の表面温度などによっても変化する。例えば、基板5220の表面温度が高いと、ペレット5200が基板5220の表面でマイグレーションを起こす。その結果、ペレット5200と別のペレット5200とが、粒子5203を介さずに連結する割合が増加するため、配向性の高いCAAC−OSとなる。CAAC−OSを成膜する際の基板5220の表面温度は、100℃以上500℃未満、好ましくは140℃以上450℃未満、さらに好ましくは170℃以上400℃未満である。したがって、基板5220として第8世代以上の大面積基板を用いた場合でも、反りなどはほとんど生じないことがわかる。
一方、基板5220の表面温度が低いと、ペレット5200が基板5220の表面でマイグレーションを起こしにくくなる。その結果、ペレット5200同士が積み重なることで配向性の低いnc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)などとなる(図10参照。)。nc−OSでは、ペレット5200が負に帯電していることにより、ペレット5200は一定間隔を空けて堆積する可能性がある。したがって、配向性は低いものの、僅かに規則性を有することにより、非晶質酸化物半導体と比べて緻密な構造となる。
また、CAAC−OSにおいて、ペレット同士の隙間が極めて小さくなることで、一つの大きなペレットが形成される場合がある。一つの大きなペレットの内部は単結晶構造を有する。例えば、ペレットの大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、又は20nm以上50nm以下となる場合がある。
以上のようなモデルにより、ペレット5200が基板5220の表面に堆積していくと考えられる。被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることから、エピタキシャル成長とは異なる成長機構であることがわかる。また、CAAC−OS及びnc−OSは、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能である。例えば、基板5220の表面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば非晶質酸化シリコン)であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、被形成面である基板5220の表面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレット5200が配列することがわかる。
(実施の形態3)
<トランジスタ>
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係るトランジスタについて、図11乃至図15を用いて説明する。
なお、本発明の一態様に係るトランジスタは、上述したnc−OS又はCAAC−OSを有すると好ましい。
<トランジスタ構造1>
図12(A)及び図12(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図である。図12(A)は上面図であり、図12(B)は、図12(A)に示す一点鎖線A1−A2、及び一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図12(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図12(A)及び図12(B)に示すトランジスタは、基板400上の導電体413と、基板400上及び導電体413上の凸部を有する絶縁体402と、絶縁体402の凸部上の絶縁体406aと、絶縁体406a上の半導体406bと、半導体406bの上面及び側面と接し、間隔を空けて配置された導電体416a及び導電体416bと、半導体406b上、導電体416a上及び導電体416b上の絶縁体406cと、絶縁体406c上の絶縁体412と、絶縁体412上の導電体404と、導電体416a上、導電体416b上及び導電体404上の絶縁体408と、絶縁体408上の絶縁体418と、を有する。なお、ここでは、導電体413をトランジスタの一部としているが、これに限定されない。例えば、導電体413がトランジスタとは独立した構成要素であるとしてもよい。
なお、絶縁体406cは、A3−A4断面において、少なくとも半導体406bの上面及び側面と接する。また、導電体404は、A3−A4断面において、絶縁体406c及び絶縁体412を介して半導体406bの上面及び側面と面する。また、導電体413は、絶縁体402を介して半導体406bの下面と面する。また、絶縁体402が凸部を有さなくても構わない。また、絶縁体406cを有さなくても構わない。また、絶縁体408を有さなくても構わない。また、絶縁体418を有さなくても構わない。
なお、半導体406bは、トランジスタのチャネル形成領域としての機能を有する。また、導電体404は、トランジスタの第1のゲート電極(フロントゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、導電体413は、トランジスタの第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、導電体416a及び導電体416bは、トランジスタのソース電極及びドレイン電極としての機能を有する。また、絶縁体408は、バリア層としての機能を有する。絶縁体408は、例えば、酸素又は/及び水素をブロックする機能を有する。又は、絶縁体408は、例えば、絶縁体406a又は/及び絶縁体406cよりも、酸素又は/及び水素をブロックする能力が高い。
なお、絶縁体406a、又は絶縁体406cは、後述する材料、比率によっては、半導体に分類される場合がある。前述のとおり、半導体406bがトランジスタのチャネル形成領域として機能するため、絶縁体406aと絶縁体406cの内部にはキャリアの移動は起こらない場合がある。そのため、本実施の形態では、絶縁体406a、又は絶縁体406cが半導体としての性質を持っていたとしても、絶縁体として表記する。
なお、絶縁体402は過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。
例えば、過剰酸素を含む絶縁体は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁体である。例えば、過剰酸素を含む酸化シリコン層は、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化シリコン層である。したがって、絶縁体402は膜中を酸素が移動可能な絶縁体である。即ち、絶縁体402は酸素透過性を有する絶縁体とすればよい。例えば、絶縁体402は、絶縁体406aよりも酸素透過性の高い絶縁体とすればよい。
過剰酸素を含む絶縁体は、半導体406b中の酸素欠損を低減させる機能を有する場合がある。半導体406b中で酸素欠損は、DOSを形成し、正孔トラップなどとなる。また、酸素欠損のサイトに水素が入ることによって、キャリアである電子を生成することがある。したがって、半導体406b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
ここで、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、TDS分析(昇温脱離ガス分析:Thermal Desorption Spectroscopy)にて、100℃以上700℃以下又は100℃以上500℃以下の膜の表面温度の範囲で1×1018atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3以上又は1×1020atoms/cm3以上の酸素(酸素原子数換算)を放出することもある。
ここで、TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコン基板のTDS分析結果、及び測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、下に示す式で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。CH3OHの質量電荷比は32であるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子及び質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
NO2=NH2/SH2×SO2×α
NH2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上に示す式の詳細に関しては、特許文献5を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として、例えば1×1016atoms/cm2の水素原子を含むシリコン基板を用いて測定する。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
又は、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、過酸化ラジカルを含むこともある。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm3以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁体は、ESR(電子スピン共鳴:Electron Spin Resonance)にて、g値が2.01近傍に非対称の信号を有することもある。
又は、過剰酸素を含む絶縁体は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiOX(X>2))であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiOX(X>2))は、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数及び酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)により測定した値である。
図12(B)に示すように、半導体406bの側面は、導電体416a及び導電体416bと接する。また、導電体404の電界によって、半導体406bを電気的に取り囲むことができる(導電体から生じる電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。)。そのため、半導体406bの全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。s−channel構造では、トランジスタのソース電極−ドレイン電極間に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を高くすることができる。
高いオン電流が得られるため、s−channel構造は、微細化されたトランジスタに適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、トランジスタは、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタは、チャネル幅が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域を有する。
また、導電体413に、ソース電極よりも低い電圧又は高い電圧を印加し、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向又はマイナス方向へ変動させてもよい。例えば、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向に変動させることで、ゲート電圧が0Vであってもトランジスタが非導通状態(オフ状態)となる、ノーマリオフが実現できる場合がある。なお、導電体413に印加する電圧は、可変であってもよいし、固定であってもよい。導電体413に印加する電圧を可変にする場合、電圧を制御する回路を導電体413と電気的に接続してもよい。
次に、絶縁体406a、半導体406b、絶縁体406cなどに適用可能な半導体及び絶縁体について説明する。
半導体406bは、例えば、インジウムを含む酸化物半導体である。半導体406bは、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導体406bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム又はスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素である。又は、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、半導体406bは、亜鉛を含むと好ましい。酸化物半導体は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
ただし、半導体406bは、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。半導体406bは、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などであっても構わない。
半導体406bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体406bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
例えば、絶縁体406a及び絶縁体406cは、半導体406bを構成する酸素以外の元素一種以上、又は二種以上から構成される酸化物半導体である。半導体406bを構成する酸素以外の元素一種以上、又は二種以上から絶縁体406a及び絶縁体406cが構成されるため、絶縁体406aと半導体406bとの界面、及び半導体406bと絶縁体406cとの界面において、界面準位が形成されにくい。
絶縁体406a、半導体406b及び絶縁体406cは、少なくともインジウムを含むと好ましい。なお、絶縁体406aがIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高いとする。また、半導体406bがIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。また、絶縁体406cがIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。なお、絶縁体406cは、絶縁体406aと同種の酸化物を用いても構わない。ただし、絶縁体406a又は/及び絶縁体406cがインジウムを含まなくても構わない場合がある。例えば、絶縁体406a又は/及び絶縁体406cが酸化ガリウムであっても構わない。
半導体406bは、絶縁体406a及び絶縁体406cよりも電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、半導体406bとして、絶縁体406a及び絶縁体406cよりも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、絶縁体406cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
なお、絶縁体406aの組成は、図11に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。なお、半導体406bの組成は、図11に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。なお、絶縁体406cの組成は、図11に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。こうすることで、トランジスタのチャネル形成領域を、単結晶構造を有する領域とすることができる。又は、トランジスタのチャネル形成領域、ソース領域及びドレイン領域を、単結晶構造を有する領域とすることができる場合があるトランジスタのチャネル形成領域が単結晶構造を有する領域とすることで、トランジスタの周波数特性を高くすることができる場合がある。
このとき、ゲート電圧を印加すると、絶縁体406a、半導体406b、絶縁体406cのうち、電子親和力の大きい半導体406bにチャネルが形成される。
ここで、絶縁体406aと半導体406bとの間には、絶縁体406aと半導体406bとの混合領域を有する場合がある。また、半導体406bと絶縁体406cとの間には、半導体406bと絶縁体406cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなる。そのため、絶縁体406a、半導体406b及び絶縁体406cの積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド構造となる。
このとき、電子は、絶縁体406a中及び絶縁体406c中ではなく、半導体406b中を主として移動する。上述したように、絶縁体406a及び半導体406bの界面における界面準位密度、半導体406bと絶縁体406cとの界面における界面準位密度を低くすることによって、半導体406b中で電子の移動が阻害されることが少なく、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
トランジスタのオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くすることができる。例えば、電子の移動を阻害する要因のない場合、効率よく電子が移動すると推定される。電子の移動は、例えば、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合にも阻害される。
トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、半導体406bの上面又は下面(被形成面、ここでは絶縁体406a)の、1μm×1μmの範囲における二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P−Vともいう。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、より好ましくは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、Ra及びP−Vは、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の走査型プローブ顕微鏡システムSPA−500などを用いて測定することができる。
又は、例えば、チャネルの形成される領域中の欠陥準位密度が高い場合にも、電子の移動は阻害される。
例えば、半導体406bが酸素欠損(VO)を有する場合、酸素欠損のサイトに元素としての水素、水素分子、水素原子、又は水素イオン(本明細書では、まとめて水素と表記する場合がある。)が入り込むことでドナー準位を形成することがある(以下、酸素欠損のサイトに入り込んだ水素をVOHと表記する場合がある)。VOHは電子を散乱するため、トランジスタのオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよりも酸素が入る方が安定する。したがって、半導体406b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタのオン電流を高くすることができる場合がある。
半導体406bの酸素欠損を低減するために、例えば、絶縁体402に含まれる過剰酸素を、絶縁体406aを介して半導体406bまで移動させる方法などがある。この場合、絶縁体406aは、酸素透過性を有する層(酸素を通過又は透過させる層)であることが好ましい。
なお、トランジスタがs−channel構造を有する場合、半導体406bの全体にチャネルが形成される。したがって、半導体406bが厚いほどチャネル領域は大きくなる。即ち、半導体406bが厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることができる。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上、より好ましくは100nm以上の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、300nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。なお、チャネル形成領域が縮小していくと、トランジスタの電気特性が向上する場合もある。よって、半導体406bの厚さが10nm未満であってもよい。
また、トランジスタのオン電流を高くするためには、絶縁体406cの厚さは小さいほど好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下の領域を有する絶縁体406cとすればよい。一方、絶縁体406cは、チャネルの形成される半導体406bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、絶縁体406cは、ある程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する絶縁体406cとすればよい。また、絶縁体406cは、絶縁体402などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために、酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
また、信頼性を高くするためには、絶縁体406aは厚く、絶縁体406cは薄いことが好ましい。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有する絶縁体406aとすればよい。絶縁体406aの厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と絶縁体406aとの界面からチャネルの形成される半導体406bまでの距離を離すことができる。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、200nm以下、好ましくは120nm以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有する絶縁体406aとすればよい。
例えば、半導体406bと絶縁体406aとの間に、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。また、半導体406bと絶縁体406cとの間に、SIMSにおいて、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。
また、半導体406bの水素濃度を低減するために、絶縁体406a及び絶縁体406cの水素濃度を低減すると好ましい。絶縁体406a及び絶縁体406cは、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導体406bの窒素濃度を低減するために、絶縁体406a及び絶縁体406cの窒素濃度を低減すると好ましい。絶縁体406a及び絶縁体406cは、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下の窒素濃度となる領域を有する。
上述の3層構造は一例である。例えば、絶縁体406a又は絶縁体406cのない2層構造としても構わない。又は、絶縁体406aの上もしくは下、又は絶縁体406c上もしくは下に、絶縁体406a、半導体406b及び絶縁体406cとして例示した半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。又は、絶縁体406aの上、絶縁体406aの下、絶縁体406cの上、絶縁体406cの下のいずれか二箇所以上に、絶縁体406a、半導体406b及び絶縁体406cとして例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
基板400としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板又は導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、又は炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムを材料とした化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。又は、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体又は半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体又は絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体又は絶縁体が設けられた基板などがある。又は、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
また、基板400として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板400に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板400として、繊維を編みこんだシート、フィルム又は箔などを用いてもよい。また、基板400が伸縮性を有してもよい。また、基板400は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。又は、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板400の厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板400を薄くすると、半導体装置を軽量化することができる。また、基板400を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板400上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
可とう性基板である基板400としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、又はそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板400は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板400としては、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、又は1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板400として好適である。
導電体413としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタル及びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、又は積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅及びチタンを含む導電体、銅及びマンガンを含む導電体、インジウム、スズ及び酸素を含む導電体、チタン及び窒素を含む導電体などを用いてもよい。
絶縁体402としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。例えば、絶縁体402としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム又は酸化タンタルを用いればよい。
絶縁体402は、基板400からの不純物の拡散を防止する役割を有してもよい。また、半導体406bが酸化物半導体である場合、絶縁体402は、半導体406bに酸素を供給する役割を担うことができる。
導電体416a及び導電体416bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタル及びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、又は積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅及びチタンを含む導電体、銅及びマンガンを含む導電体、インジウム、スズ及び酸素を含む導電体、チタン及び窒素を含む導電体などを用いてもよい。
導電体416a及び導電体416bを有することにより、絶縁体406a、半導体406b又は絶縁体406cに欠陥を形成する場合がある。該欠陥は、絶縁体406a、半導体406b又は絶縁体406cをn型化させる場合がある。その結果、絶縁体406a、半導体406b又は絶縁体406cと、導電体416a及び導電体416bとの間がオーム接触となる。例えば、絶縁体406a、半導体406b又は絶縁体406cに形成された欠陥を、脱水素化及び加酸素化などによって低減した場合、絶縁体406a、半導体406b又は絶縁体406cと、導電体416a及び導電体416bとの間がショットキー接触となる。
絶縁体412としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。例えば、絶縁体412としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム又は酸化タンタルを用いればよい。
導電体404としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタル及びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、又は積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅及びチタンを含む導電体、銅及びマンガンを含む導電体、インジウム、スズ及び酸素を含む導電体、チタン及び窒素を含む導電体などを用いてもよい。
絶縁体408としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。絶縁体408は、好ましくは酸化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム又は酸化タンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。
絶縁体418としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。例えば、絶縁体418としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム又は酸化タンタルを用いればよい。
なお、図12では、トランジスタの第1のゲート電極である導電体404と第2のゲート電極である導電体413とが、電気的に接続しない例を示したが、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、図13(A)に示すように、導電体404と導電体413とが電気的に接続する構造であっても構わない。このような構成とすることで、導電体404と導電体413とに同じ電位が供給されるため、トランジスタのスイッチング特性を向上させることができる。又は、図13(B)に示すように、導電体413を有さない構造であっても構わない。
また、図14(A)は、トランジスタの上面図の一例である。図14(A)の一点鎖線F1−F2及び一点鎖線F3−F4に対応する断面図の一例を図14(B)に示す。なお、図14(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
また、図12などではソース電極及びドレイン電極として機能する導電体416a及び導電体416bが半導体406bの上面及び側面、絶縁体402の上面などと接する例を示したが、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、図14に示すように、導電体416a及び導電体416bが半導体406bの上面のみと接する構造であっても構わない。
また、図14(B)に示すように、絶縁体418上に絶縁体428を有してもよい。絶縁体428は、上面が平坦な絶縁体であると好ましい。なお、絶縁体428は、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。例えば、絶縁体428としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム又は酸化タンタルを用いればよい。絶縁体428の上面を平坦化するために、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法などによって平坦化処理を行ってもよい。
又は、絶縁体428は、樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、シリコーンなどを含む樹脂を用いればよい。樹脂を用いることで、絶縁体428の上面を平坦化処理しなくてもよい場合がある。また、樹脂は短い時間で厚い膜を成膜することができるため、生産性を高めることができる。
また、図14(A)及び図14(B)に示すように、絶縁体428上に導電体424a及び導電体424bを有してもよい。導電体424a及び導電体424bは、例えば、配線としての機能を有する。また、絶縁体428が開口部を有し、該開口部を介して導電体416aと導電体424aとが電気的に接続しても構わない。また、また、絶縁体428が別の開口部を有し、該開口部を介して導電体416bと導電体424bとが電気的に接続しても構わない。このとき、それぞれの開口部内に導電体426a、導電体426bを有しても構わない。
導電体424a及び導電体424bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタル及びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、又は積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅及びチタンを含む導電体、銅及びマンガンを含む導電体、インジウム、スズ及び酸素を含む導電体、チタン及び窒素を含む導電体などを用いてもよい。
図14に示すトランジスタは、導電体416a及び導電体416bは、半導体406bの側面と接しない。したがって、第1のゲート電極として機能する導電体404から半導体406bの側面に向けて印加される電界が、導電体416a及び導電体416bによって遮蔽されにくい構造である。また、導電体416a及び導電体416bは、絶縁体402の上面と接しない。そのため、絶縁体402から放出される過剰酸素(酸素)が導電体416a及び導電体416bを酸化させるために消費されない。したがって、絶縁体402から放出される過剰酸素(酸素)を、半導体406bの酸素欠損を低減するために効率的に利用することのできる構造である。即ち、図14に示す構造のトランジスタは、高いオン電流、高い電界効果移動度、低いサブスレッショルドスイング値、高い信頼性などを有する優れた電気特性のトランジスタである。
図15(A)及び図15(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図である。図15(A)は上面図であり、図15(B)は、図15(A)に示す一点鎖線G1−G2、及び一点鎖線G3−G4に対応する断面図である。なお、図15(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
トランジスタは、図15に示すように、導電体416a及び導電体416bを有さず、導電体426a及び導電体426bと、半導体406bとが接する構造であっても構わない。この場合、半導体406b又は/及び絶縁体406aの、少なくとも426a及び導電体426bと接する領域に低抵抗領域423a(低抵抗領域423b)を設けると好ましい。低抵抗領域423a及び低抵抗領域423bは、例えば、導電体404などをマスクとし、半導体406b又は/及び絶縁体406aに不純物を添加することで形成すればよい。なお、導電体426a及び導電体426bが、半導体406bの孔(貫通しているもの)又は窪み(貫通していないもの)に設けられていても構わない。導電体426a及び導電体426bが、半導体406bの孔又は窪みに設けられることで、導電体426a及び導電体426bと、半導体406bとの接触面積が大きくなるため、接触抵抗の影響を小さくすることができる。即ち、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
<トランジスタ構造2>
図16(A)及び図16(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図である。図16(A)は上面図であり、図16(B)は、図16(A)に示す一点鎖線J1−J2、及び一点鎖線J3−J4に対応する断面図である。なお、図16(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図16(A)及び図16(B)に示すトランジスタは、基板600上の導電体604と、導電体604上の絶縁体612と、絶縁体612上の絶縁体606aと、絶縁体606a上の半導体606bと、半導体606b上の絶縁体606cと、絶縁体606a、半導体606b及び絶縁体606cと接し、間隔を空けて配置された導電体616a及び導電体616bと、絶縁体606c上、導電体616a上及び導電体616b上の絶縁体618と、を有する。なお、導電体604は、絶縁体612を介して半導体606bの下面と面する。また、絶縁体612が凸部を有しても構わない。また、基板600と導電体604の間に絶縁体を有しても構わない。該絶縁体は、絶縁体402や絶縁体408についての記載を参照する。また、絶縁体606aを有さなくても構わない。また、絶縁体618を有さなくても構わない。
なお、半導体606bは、トランジスタのチャネル形成領域としての機能を有する。また、導電体604は、トランジスタの第1のゲート電極(フロントゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、導電体616a及び導電体616bは、トランジスタのソース電極及びドレイン電極としての機能を有する。
なお、絶縁体606a、又は絶縁体606cは、後述する材料、比率によっては、半導体に分類される場合がある。前述のとおり、半導体606bがトランジスタのチャネル形成領域として機能するため、絶縁体606aと絶縁体606cの内部にはキャリアの移動は起こらない場合がある。そのため、本実施の形態では、絶縁体606a、又は絶縁体606cが半導体としての性質を持っていたとしても、絶縁体として表記する。
なお、絶縁体618は過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。
なお、基板600は、基板400についての記載を参照する。また、導電体604は、導電体404についての記載を参照する。また、絶縁体612は、絶縁体412についての記載を参照する。また、絶縁体606aは、絶縁体406cについての記載を参照する。また、半導体606bは、半導体406bについての記載を参照する。また、絶縁体606cは、絶縁体406aについての記載を参照する。また、導電体616a及び導電体616bは、導電体416a及び導電体416bについての記載を参照する。また、絶縁体618は、絶縁体402についての記載を参照する。
なお、絶縁体618上には、表示素子が設けられていてもよい。例えば、画素電極、液晶層、共通電極、発光層、有機EL層、陽極、陰極などが設けられていてもよい。表示素子は、例えば、導電体616aなどと接続されている。
また、図17(A)は、トランジスタの上面図の一例である。図17(A)の一点鎖線K1−K2及び一点鎖線K3−K4に対応する断面図の一例を図17(B)に示す。なお、図17(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
なお、絶縁体606cの上に、チャネル保護膜として機能させることができる絶縁体を配置してもよい。例えば、図17に示すように、導電体616a及び導電体616bと、絶縁体606cとの間に、絶縁体620を配置してもよい。その場合、導電体616a(導電体616b)と絶縁体606cとは、絶縁体620中の開口部を介して接続される。絶縁体620は、絶縁体618についての記載を参照すればよい。
なお、図16(B)や図17(B)において、絶縁体618の上に、導電体613を配置してもよい。その場合の例を図18(A)及び図18(B)に示す。なお、導電体613については、導電体413についての記載を参照する。また、導電体613には、導電体604と同じ電位や同じ信号が供給されてもよいし、異なる電位や信号が供給されてもよい。例えば、導電体613に、一定の電位を供給して、トランジスタのしきい値電圧を制御してもよい。つまり、導電体613は、第2のゲート電極としての機能を有することができる。また、導電体613などによってs−channel構造を形成していても構わない。
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)を用いた半導体装置の構成の一例について、図23を用いながら説明する。
図23に示す半導体装置1300は、CPUコア1301、パワーマネージメントユニット1321及び周辺回路1322を有する。パワーマネージメントユニット1321は、パワーコントローラ1302、及びパワースイッチ1303を有する。周辺回路1322は、キャッシュメモリを有するキャッシュ1304、バスインターフェース1305(BUS I/F)、及びデバッグインターフェース1306(Debug I/F)を有する。CPUコア1301は、データバス1323、制御装置1307、PC1308(Program Counter)、パイプラインレジスタ1309、パイプラインレジスタ1310、ALU1311(Arithmetic logic unit)、及びレジスタファイル1312を有する。CPUコア1301と、キャッシュ1304等の周辺回路1322とのデータのやり取りは、データバス1323を介して行われる。
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)は、パワーコントローラ1302、制御装置1307をはじめ、多くの論理回路に適用することができる。特に、スタンダードセルを用いて構成することができる全ての論理回路に適用することができる。その結果、小型の半導体装置1300を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置1300を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置1300を提供できる。また、電源電圧の変動を低減することが可能な半導体装置1300を提供できる。
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)にpチャネル型Siトランジスタと、先の実施の形態に記載の酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを用い、半導体装置1300に適用することで、小型の半導体装置1300を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置1300を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置1300を提供できる。特に、Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
制御装置1307は、PC1308、パイプラインレジスタ1309、パイプラインレジスタ1310、ALU1311、レジスタファイル1312、キャッシュ1304、バスインターフェース1305、デバッグインターフェース1306、及びパワーコントローラ1302の動作を統括的に制御することで、入力されたアプリケーションなどのプログラムに含まれる命令をデコードし、実行する機能を有する。
ALU1311は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。
キャッシュ1304は、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する。PC1308は、次に実行する命令のアドレスを記憶する機能を有するレジスタである。なお、図23では図示していないが、キャッシュ1304には、キャッシュメモリの動作を制御するキャッシュコントローラが設けられている。
パイプラインレジスタ1309は、命令データを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
レジスタファイル1312は、汎用レジスタを含む複数のレジスタを有しており、メインメモリから読み出されたデータ、又はALU1311の演算処理の結果得られたデータ、などを記憶することができる。
パイプラインレジスタ1310は、ALU1311の演算処理に利用するデータ、又はALU1311の演算処理の結果得られたデータなどを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
バスインターフェース1305は、半導体装置1300と半導体装置1300の外部にある各種装置との間におけるデータの経路としての機能を有する。デバッグインターフェース1306は、デバッグの制御を行うための命令を半導体装置1300に入力するための信号の経路としての機能を有する。
パワースイッチ1303は、半導体装置1300が有する、パワーコントローラ1302以外の各種回路への、電源電圧の供給を制御する機能を有する。上記各種回路は、幾つかのパワードメインにそれぞれ属しており、同一のパワードメインに属する各種回路は、パワースイッチ1303によって電源電圧の供給の有無が制御される。また、パワーコントローラ1302はパワースイッチ1303の動作を制御する機能を有する。
上記構成を有する半導体装置1300は、パワーゲーティングを行うことが可能である。パワーゲーティングの動作の流れについて、一例を挙げて説明する。
まず、CPUコア1301が、電源電圧の供給を停止するタイミングを、パワーコントローラ1302のレジスタに設定する。次いで、CPUコア1301からパワーコントローラ1302へ、パワーゲーティングを開始する旨の命令を送る。次いで、半導体装置1300内に含まれる各種レジスタとキャッシュ1304が、データの退避を開始する。次いで、半導体装置1300が有するパワーコントローラ1302以外の各種回路への電源電圧の供給が、パワースイッチ1303により停止される。次いで、割込み信号がパワーコントローラ1302に入力されることで、半導体装置1300が有する各種回路への電源電圧の供給が開始される。なお、パワーコントローラ1302にカウンタを設けておき、電源電圧の供給が開始されるタイミングを、割込み信号の入力に依らずに、当該カウンタを用いて決めるようにしてもよい。次いで、各種レジスタとキャッシュ1304が、データの復帰を開始する。次いで、制御装置1307における命令の実行が再開される。
このようなパワーゲーティングは、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、又は複数の論理回路において行うことができる。また、短い時間でも電源の供給を停止することができる。このため、空間的に、あるいは時間的に細かい粒度で消費電力の削減を行うことができる。
パワーゲーティングを行う場合、CPUコア1301や周辺回路1322が保持する情報を短期間に退避できることが好ましい。そうすることで、短期間に電源のオンオフが可能となり、省電力の効果が大きくなる。
CPUコア1301や周辺回路1322が保持する情報を短期間に退避するためには、フリップフロップ回路がその回路内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なフリップフロップ回路と呼ぶ)。また、SRAMセルがセル内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なSRAMセルと呼ぶ)。バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを有することが好ましい。その結果、トランジスタが低いオフ電流を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは長期間電源供給なしに情報を保持することができる。また、トランジスタが高速なスイッチング速度を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは短期間のデータ退避及び復帰が可能となる場合がある。
バックアップ可能なフリップフロップ回路やバックアップ可能なSRAMセルの例について、図24及び図25を用いて説明する。
図24に示す半導体装置1200は、バックアップ可能なフリップフロップ回路の一例である。半導体装置1200は、第1の記憶回路1201と、第2の記憶回路1202と、第3の記憶回路1203と、読み出し回路1204と、を有する。半導体装置1200には、電位V1と電位V2の電位差が、電源電圧として供給される。電位V1と電位V2は一方がハイレベルであり、他方がローレベルである。以下、電位V1がローレベル、電位V2がハイレベルの場合を例に挙げて、半導体装置1200の構成例について説明するものとする。
第1の記憶回路1201は、半導体装置1200に電源電圧が供給されている期間において、データを含む信号Dが入力されると、当該データを保持する機能を有する。そして、半導体装置1200に電源電圧が供給されている期間において、第1の記憶回路1201からは、保持されているデータを含む信号Qが出力される。一方、第1の記憶回路1201は、半導体装置1200に電源電圧が供給されていない期間においては、データを保持することができない。すなわち、第1の記憶回路1201は、揮発性の記憶回路と呼ぶことができる。
第2の記憶回路1202は、第1の記憶回路1201に保持されているデータを読み込んで記憶する(あるいは退避する)機能を有する。第3の記憶回路1203は、第2の記憶回路1202に保持されているデータを読み込記憶する(あるいは退避する)機能を有する。読み出し回路1204は、第2の記憶回路1202又は第3の記憶回路1203に保持されたデータを読み出して第1の記憶回路1201に記憶する(あるいは復帰する)機能を有する。
特に、第3の記憶回路1203は、半導体装置1200に電源電圧が供給されてない期間においても、第2の記憶回路1202に保持されているデータを読み込記憶する(あるいは退避する)機能を有する。
図24に示すように、第2の記憶回路1202はトランジスタ1212と容量素子1219とを有する。第3の記憶回路1203はトランジスタ1213と、トランジスタ1215と、容量素子1220とを有する。読み出し回路1204はトランジスタ1210と、トランジスタ1218と、トランジスタ1209と、トランジスタ1217と、を有する。
トランジスタ1212は、第1の記憶回路1201に保持されているデータに応じた電荷を、容量素子1219に充放電する機能を有する。トランジスタ1212は、第1の記憶回路1201に保持されているデータに応じた電荷を容量素子1219に対して高速に充放電できることが望ましい。具体的には、トランジスタ1212が、結晶性を有するシリコン(好ましくは多結晶シリコン、更に好ましくは単結晶シリコン)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
トランジスタ1213は、容量素子1219に保持されている電荷に従って導通状態又は非導通状態が選択される。トランジスタ1215は、トランジスタ1213が導通状態であるときに、配線1244の電位に応じた電荷を容量素子1220に充放電する機能を有する。トランジスタ1215は、オフ電流が著しく小さいことが望ましい。具体的には、トランジスタ1215が、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
各素子の接続関係を具体的に説明すると、トランジスタ1212のソース電極及びドレイン電極の一方は、第1の記憶回路1201に接続されている。トランジスタ1212のソース電極及びドレイン電極の他方は、容量素子1219の一方の電極、トランジスタ1213のゲート電極、及びトランジスタ1218のゲート電極に接続されている。容量素子1219の他方の電極は、配線1242に接続されている。トランジスタ1213のソース電極及びドレイン電極の一方は、配線1244に接続されている。トランジスタ1213のソース電極及びドレイン電極の他方は、トランジスタ1215のソース電極及びドレイン電極の一方に接続されている。トランジスタ1215のソース電極及びドレイン電極の他方は、容量素子1220の一方の電極、及びトランジスタ1210のゲート電極に接続されている。容量素子1220の他方の電極は、配線1243に接続されている。トランジスタ1210のソース電極及びドレイン電極の一方は、配線1241に接続されている。トランジスタ1210のソース電極及びドレイン電極の他方は、トランジスタ1218のソース電極及びドレイン電極の一方に接続されている。トランジスタ1218のソース電極及びドレイン電極の他方は、トランジスタ1209のソース電極及びドレイン電極の一方に接続されている。トランジスタ1209のソース電極及びドレイン電極の他方は、トランジスタ1217のソース電極及びドレイン電極の一方、及び第1の記憶回路1201に接続されている。トランジスタ1217のソース電極及びドレイン電極の他方は、配線1240に接続されている。また、図24においては、トランジスタ1209のゲート電極は、トランジスタ1217のゲート電極と接続されているが、トランジスタ1209のゲート電極は、必ずしもトランジスタ1217のゲート電極と接続されていなくてもよい。
トランジスタ1215に先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することができる。トランジスタ1215のオフ電流が小さいために、半導体装置1200は、長期間電源供給なしに情報を保持することができる。トランジスタ1215のスイッチング特性が良好であるために、半導体装置1200は、高速のバックアップとリカバリを行うことができる。
図25に示す半導体装置1100は、バックアップ可能なSRAMセルの一例である。半導体装置1100は、トランジスタ(M101、M102、Mos1、Mos2)、インバータ(INV101、INV102)及びキャパシタ(C101、C102)を有する。半導体装置1100は、配線(WL、BL、BLB、BRL)に接続されている。また、半導体装置1100には、電源電圧として低電源電圧(VSS)等が供給される。
インバータINV101とインバータINV102は、入力ノードと出力ノードが互いに接続され、インバータループ回路を構成している。トランジスタM101、トランジスタM102のゲート電極は配線WLに接続されている。トランジスタM101は、BLとインバータINV101の入力ノード間を接続するスイッチとして機能し、トランジスタM102は、BLBとインバータINV102の入力ノード間を接続するスイッチとして機能する。
配線WLは、書き込み/読み出し用ワード線として機能し、メモリセルの選択用信号WLEがワード線ドライバ回路から入力される。配線BL、配線BLBは、信号D、信号DBを送るビット線として機能する。信号DBは、信号Dの論理値が反転された信号である。信号D、信号DBは、ビット線ドライバ回路から供給される。また、配線BL、配線BLBは、半導体装置1100から読み出したデータを出力回路に送る配線でもある。
半導体装置1100は、揮発性の記憶回路(INV101、INV102、M101、M102)に、一対の記憶回路(Mos1、C101)、(Mos2、C102)を設けた回路に相当する。記憶回路(Mos1、C101)、(Mos2、C102)は、それぞれ、ノードNET1、ノードNET2で保持されている電位を記憶することで、揮発性の記憶回路のデータをバックアップするための回路である。これらの記憶回路は、トランジスタMos1、トランジスタMos2をオン状態にすることで、キャパシタC101、キャパシタC102を充電又は放電して、データを書き込み、これをオフ状態にすることで、キャパシタC101、キャパシタC102に蓄積された電荷を保持することで、電源供給なしにデータを保持するものである。
データのリカバリも、トランジスタMos1、トランジスタMos2をオン状態にすることで行われる。インバータINV101、インバータINV102への電源供給を停止した状態で、トランジスタMos1、トランジスタMos2をオン状態にして、ノードFN1とノードNET1を接続し、ノードFN1とノードNET1で電荷を共有すると共に、ノードFN2とノードNET2を接続し、ノードFN2とノードNET2で電荷を共有する。その後、インバータINV101、インバータINV102へ電源を供給することで、ノードNET1とノードNET2の電位に応じて、インバータループ回路にデータが復帰される。しかる後、トランジスタMos1、トランジスタMos2をオフ状態にする。
トランジスタMos1、トランジスタMos2のゲート電極は、配線BRLに接続されている。配線BRLには、信号OSGが入力される。信号OSGにより一対の記憶回路(Mos1、C101)、(Mos2、C102)が駆動され、バックアップ、又はリカバリが行われる。
以下、記憶回路(Mos1、C101)、(Mos2、C102)の構成とその動作について説明する。
記憶回路(Mos1、C101)、(Mos2、C102)は、キャパシタC101、キャパシタC102に電荷を蓄積することで、ノードFN1、ノードFN2の電位を保持する。トランジスタMos1、トランジスタMos2をオン状態にすることで、ノードNET1とノードFN1が接続され、ノードFN1にノードNET1で保持している電位が印加され、また、トランジスタMos2をオン状態にすることで、ノードNET2とノードFN2が接続され、ノードFN2にノードNET2で保持している電位が印加される。そして、トランジスタMos1、トランジスタMos2をオフ状態にすることで、ノードFN1、FN2が電気的に浮遊状態となり、キャパシタC101、キャパシタC102に蓄積された電荷が保持され、記憶回路はデータ保持の状態となる。
例えば、ノードFN1がHレベルである場合、キャパシタC101から電荷がリークして徐々にその電圧が低下してしまうおそれがある。トランジスタMos1、Mos2は、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。その結果、オフ状態でのソース電極−ドレイン電極間を流れるリーク電流(オフ電流)が極めて小さいため、ノードFN1の電圧の変動が抑えられる。つまり、Mos1及びC101でなる回路を不揮発性の記憶回路、あるいは電源供給なしで長期間データを保持することができる記憶回路として動作させることが可能である。また、Mos2及びC102でなる回路も同様であり、これらの回路を、揮発性の記憶回路(INV101、INV102、M101、M102)のバックアップ用記憶回路として用いることができる。
トランジスタMos1、トランジスタMos2に先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することができる。トランジスタMos1、Mos2のオフ電流が小さいために、半導体装置1100は、長期間電源供給なしに情報を保持することができる。トランジスタMos1、トランジスタMos2のスイッチング特性が良好であるために、半導体装置1100は、高速のバックアップとリカバリを行うことができる。
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)と、先の実施の形態で例示した酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタを用いた、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルを、半導体装置1300に適用することが可能である。その結果、短期間に電源のオンオフが可能となり、さらに低消費電力の半導体装置を提供することができる。
また、半導体装置1300が有する、本発明の一態様に係る半導体装置(セル)、酸化物半導体をチャネル形成領域に含むバックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルに先の実施の形態で例示したトランジスタを用いることが可能である。そのため、半導体装置1300の製造コストを抑えることが可能である。特に、フリップフロップ回路やSRAMセルに用いるnチャネル型トランジスタを全て、先の実施の形態で例示した酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタで置き換えても良い。Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
なお、本発明の一態様に係る半導体装置(セル)は、CPUだけでなく、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(Programmable Logic Device)、DSP(Digital Signal Processor)、MCU(Microcontroller Unit)、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)、カスタムLSIなどにも応用可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置(セル)の使用例について説明する。
図26(A)に、リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージの断面構造を表す斜視図を示す。図26(A)に示すパッケージは、本発明の一態様に係る半導体装置(セル)が適用されたチップ1751が、ワイヤボンディング法により、インターポーザ1750上の端子1752と接続されている。端子1752は、インターポーザ1750のチップ1751がマウントされている面上に配置されている。そしてチップ1751はモールド樹脂1753によって封止されていてもよいが、各端子1752の一部が露出した状態で封止されるようにする。
パッケージが回路基板に実装されている電子機器(携帯電話)のモジュールの構成を、図26(B)に示す。図26(B)に示す携帯電話のモジュールは、プリント配線基板1761に、パッケージ1762と、バッテリー1764とが実装されている。また、表示素子が設けられたパネル1760に、プリント配線基板1761がFPC1763によって実装されている。
(実施の形態6)
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)を用いた半導体装置の構成の一例について、図28乃至図31を用いながら説明する。
図28に半導体装置の構成の一例を示す。図28に示す半導体装置1600は、記憶装置として機能することが可能な半導体装置の一例である。半導体装置1600は、メモリセルアレイ1610、ローデコーダ1621、ワード線ドライバ回路1622、ビット線ドライバ回路1630、出力回路1640、コントロールロジック回路1660を有する。
ビット線ドライバ回路1630は、カラムデコーダ1631、プリチャージ回路1632、センスアンプ1633、及び書き込み回路1634を有する。プリチャージ回路1632は、配線(BL、BLB)をプリチャージする機能、及び同じ列の配線BLと配線BLBの電圧を均等にする機能を有する。センスアンプ1633は、配線(BL、BLB)から読み出された信号(D、DB)を増幅する機能を有する。増幅された信号は、出力回路1640を介して、デジタルのデータ信号RDATAとして半導体装置1600の外部に出力される。
また、半導体装置1600には、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、メモリセルアレイ以外の回路部1601用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイ1610用の高電源電圧(VIL)が供給される。
また、半導体装置1600には、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。ADDRは、ローデコーダ1621及びカラムデコーダ1631に入力され、WDATAは書き込み回路1634に入力される。
コントロールロジック回路1660は、外部からの入力信号(信号CE、信号WE、信号RE)を処理して、ローデコーダ1621、カラムデコーダ1631の制御信号を生成する。CEは、チップイネーブル信号であり、WEは、書き込みイネーブル信号であり、REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路1660が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
なお、上述の各回路あるいは各信号は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)は、ローデコーダ1621、ワード線ドライバ回路1622、ビット線ドライバ回路1630、出力回路1640、コントロールロジック回路1660に適用することができる。特に、スタンダードセルを用いて構成することができる全ての論理回路に適用することができる。その結果、小型の半導体装置1600を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置1600を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置1600を提供できる。
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)にpチャネル型Siトランジスタと、先の実施の形態で説明した酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを用い、半導体装置1600に適用することで、小型の半導体装置1600を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置1600を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置1600を提供できる。特に、Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
なお、メモリセルアレイ1610には、先の実施の形態で説明した酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを用いてもよい。以下に、そのようなメモリセルの例を図29乃至図31を用いて説明する。
図29は、メモリセルの構成の一例を示す回路図である。メモリセル1103は、トランジスタMos3及びキャパシタC103を有する。ノードFN3がデータ保持部であり、キャパシタC103の端子が接続されている。トランジスタMos3は、ノードFN3と配線BLを接続するスイッチとして機能し、ゲート電極が配線WLに接続されている。配線WLに、メモリセル選択用信号として、信号OSGが入力される。
図30は、メモリセルの構成の一例を示す回路図である。メモリセル1104は、トランジスタMos4、トランジスタM104及びキャパシタC104を有する。ノードFN4がデータ保持部でありトランジスタMos4は、ノードFN4と配線BLを接続するスイッチとして機能し、ゲート電極が配線WLに接続されている。配線WLに、信号OSGが入力される。キャパシタC104は、配線WLCとノードFN4間を接続する。配線WLCは、書き込み動作、及び読み出し動作時に、C104の端子に一定の電圧を供給するための配線である。トランジスタM104は、pチャネル型トランジスタであり、ゲート電極がノードFN4に、ソース電極が配線SLに、ドレイン電極が配線BLに接続されている。
データの書き込みは、配線WLC、配線SLに一定電圧を与えた状態で、トランジスタMos4をオン状態にして、ノードFN4を配線BLに接続することで、データを書き込む。データの読み出しは、配線BL、配線WLC、配線SLに一定電圧を与える。ノードFN4の電圧に応じて、トランジスタM104のソース電極−ドレイン電極間を流れる電流値が変動する。トランジスタM104のソース−ドレイン電流により、配線BLが充電あるいは放電されるので、配線BLの電圧を検出することで、メモリセル1104に保持されているデータ値を読み出すことができる。
なお、トランジスタM104は、nチャネル型トランジスタとすることができる。トランジスタM104の導電型に合わせて、配線BL、配線SL、配線WLCに印加する電圧が決定される。
図31は、メモリセルの構成の一例を示す回路図である。メモリセル1105は、トランジスタMos5、トランジスタM105、トランジスタM106及びキャパシタC105を有する。ノードFN5がデータ保持部でありトランジスタMos5は、ノードFN5と配線BLを接続するスイッチとして機能し、ゲート電極が配線WLに接続されている。配線WLに、信号OSGが入力される。配線BLとキャパシタC105の端子間が、トランジスタM105、トランジスタM106により接続されている。トランジスタM105のゲート電極は配線RWLに接続され、トランジスタM106のゲート電極はノードFN5に接続されている。また、キャパシタC105に他方の端子はノードFN5に接続されている。
データの書き込みは、トランジスタMos5をオン状態にして、ノードFN4を配線BLに接続することで行われる。データの読み出しは、トランジスタM105をオン状態にすることで行われる。ノードFN5の電圧に応じて、トランジスタM106のソース電極−ドレイン電極間を流れる電流値が変動する。トランジスタM106のソース−ドレイン電流により、配線BLが充電あるいは放電されるので、配線BLの電圧を検出することで、メモリセル1105に保持されているデータ値を読み出すことができる。
なお、トランジスタM105、トランジスタM106は、pチャネル型トランジスタとすることができる。トランジスタM105、トランジスタM106の導電型に合わせて、配線RWLに印加する電圧、キャパシタC105に印加する電圧を決定すればよい。
図29乃至図31に示したメモリセルの構成例において、トランジスタMos3、トランジスタMos4、トランジスタMos5は、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。その結果、オフ状態でのソース電極−ドレイン電極間を流れるリーク電流(オフ電流)が極めて小さいため、ノードFN3、ノードFN4、ノードFN5の電圧の変動が抑えられる。つまり、トランジスタMos3とキャパシタC103でなる回路、トランジスタMos4とキャパシタC104でなる回路、及びトランジスタMos3とキャパシタC103でなる回路、を不揮発性の記憶回路、あるいは電源供給なしで長期間データを保持することができる記憶回路として動作させることが可能である。
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)と、先の実施の形態で例示した酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタを用いたメモリセルとを、半導体装置1600に適用することで、不揮発性の記憶回路、あるいは電源供給なしで長期間データを保持することができる記憶回路を有する、小型、低消費電力、高速、あるいは電源電圧の変動を低減することが可能な半導体装置1600を提供できる。
また、半導体装置1600が有する、本発明の一態様に係る半導体装置(セル)、酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタを用いたメモリセルに先の実施の形態で例示したトランジスタを用いることが可能である。そのため、半導体装置1600の製造コストを抑えることが可能である。特に、メモリセルに用いるn型トランジスタを全て、先の実施の形態で例示した酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタで置き換えても良い。Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)を用いた装置の構成の一例について、図27を用いながら説明する。
図27に示す半導体装置1800は、RFICの構成の一例である。本実施の形態におけるRFICは、内部に記憶回路を有し、記憶回路に必要な情報を記憶し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報の授受を行うものである。このような特徴から、RFICは、物品などの個体情報を読み取ることにより物品の識別を行う個体認証システムなどに用いることが可能である。RFICは、RFチップ、RFタグ、RFIDなどと呼ばれる場合がある。
図27に示す半導体装置1800は、アンテナ1804、整流回路1805、定電圧回路1806、復調回路1807、変調回路1808、論理回路1809、記憶回路1810、ROM1811を有している。
アンテナ1804は、通信器1801に接続されたアンテナ1802との間で無線信号1803の送受信を行うためのものである。また、整流回路1805は、アンテナ1804で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整流、例えば、半波2倍圧整流し、後段に設けられた容量素子により、整流された信号を平滑化することで入力電位を生成するための回路である。なお、整流回路1805の入力側又は出力側には、リミッタ回路を設けてもよい。リミッタ回路とは、入力交流信号の振幅が大きく、内部生成電圧が大きい場合に、ある電力以上の電力を後段の回路に入力しないように制御するための回路である。
定電圧回路1806は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各回路に供給するための回路である。なお、定電圧回路1806は、内部にリセット信号生成回路を有していてもよい。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路1809のリセット信号を生成するための回路である。
復調回路1807は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成するための回路である。また、変調回路1808は、アンテナ1804より出力するデータに応じて変調を行うための回路である。
論理回路1809は復調信号を解読し、処理を行うための回路である。記憶回路1810は、入力された情報を保持する回路であり、ローデコーダ、カラムデコーダ、記憶領域などを有する。また、ROM1811は、固有番号(ID)などを格納し、処理に応じて出力を行うための回路である。
なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式などがある。本実施の形態に示す半導体装置1800は、いずれの方式に用いることも可能である。
なお、上述の各回路は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)は、論理回路1809、記憶回路1810、ROM1811等に適用することができる。特に、スタンダードセルを用いて構成することができる全ての論理回路に適用することができる。その結果、小型の半導体装置1800を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置1800を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置1800を提供できる。
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)にpチャネル型Siトランジスタと、先の実施の形態で説明した酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを用い、半導体装置1800に適用することで、小型の半導体装置1800を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置1800を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置1800を提供できる。特に、Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
なお、記憶回路1810には、先の実施の形態で説明した記憶回路を用いることができる。また、復調回路1807に含まれる整流作用を示す素子に、先の実施の形態で説明した酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを用いてもよい。当該トランジスタが低いオフ電流を有するため、整流作用を示す素子の逆方向電流を小さく抑えることが可能となる。その結果、優れた整流効率を実現できる。
なお、本実施の形態は上述した構造に限定されない。例えば、図27には図示していないが、バッテリーを組み込んで、アクティブ式のRFICとしてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本発明の一態様に係る半導体装置(撮像装置)の構成の一例について、図33及び図34を用いながら説明する。
図33(A)は、本発明の一態様の撮像装置の画素を示す上面図であり、図34に示す画素回路における光電変換素子60、トランジスタ51、トランジスタ52、トランジスタ53、トランジスタ54の具体的な接続形態の一例を示している。また、図33(B)は、図33(A)に示す一点鎖線A5−A6の断面図である。なお、上記図面では、明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
上記要素における電気的な接続の形態は一例である。図面上では各配線、各電極及び導電体81を個別の要素として図示しているが、それらが電気的に接続しているものについては、同一の要素として設けられる場合もある。また、各要素間には層間絶縁膜や平坦化膜としての機能を有する絶縁体41、42が設けられる。
例えば、絶縁体41、42は、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。又は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。絶縁体41、42の上面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
なお、上記配線等の一部が設けられない場合や、上記以外の配線等やトランジスタ等が各層に含まれる場合もある。また、上記以外の層が当該積層構造に含まれる場合もある。また、上記の一部の層が含まれない場合もある。
当該画素回路において、トランジスタ51のソース電極又はドレイン電極の一方は、光電変換素子60の一方の電極66と電気的に接続される。また、トランジスタ51のソース電極又はドレイン電極の他方は、トランジスタ52のゲート電極と電気的に接続される。また、トランジスタ51のソース電極又はドレイン電極の他方は、トランジスタ53のソース電極又はドレイン電極の一方と電気的に接続される。また、トランジスタ52のソース電極又はドレイン電極の一方は、トランジスタ54のソース電極又はドレイン電極の一方と電気的に接続される。また、図33(A)、(B)に図示はしないが、図34に示すようにトランジスタ51のソース電極又はドレイン電極の他方は、容量素子58の一方の電極と電気的に接続されていてもよい。
また、各トランジスタのソース電極又はドレイン電極は、配線としての機能を有することができる。例えば、配線71及び配線79は、一方が電源線、他方が出力線として機能させることができる。また、配線72は電源線として機能させることができる。また、配線77は電源線(低電位)としての機能を有することができる。また、配線75、76、78は、トランジスタのオンオフを制御する信号線として機能させることができる。また、配線74は接続配線としての機能を有することができる。
ここで、トランジスタ51は、光電変換素子60の出力に応じて電荷蓄積部(FD)の電位を制御するための転送トランジスタとして機能させることができる。また、トランジスタ52は、電荷蓄積部(FD)の電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能させることができる。また、トランジスタ53は、電荷蓄積部(FD)の電位を初期化するリセットトランジスタとして機能させることができる。また、トランジスタ54は画素を選択する選択トランジスタとして機能させることができる。
トランジスタ51乃至トランジスタ54には、活性層を酸化物半導体で形成したトランジスタ(以下、OSトランジスタという場合がある)を用いることができる。
OSトランジスタは極めて低いオフ電流特性を有するため、撮像のダイナミックレンジを拡大することができる。図34に示す回路構成では、光電変換素子60に入射される光の強度が大きいときに電荷蓄積部(FD)の電位が小さくなる。酸化物半導体を用いたトランジスタは極めてオフ電流が低いため、ゲート電位が極めて小さい場合においても当該ゲート電位に応じた電流を正確に出力することができる。したがって、検出することのできる照度のレンジ、すなわちダイナミックレンジを広げることができる。
また、トランジスタ51及びトランジスタ53の低いオフ電流特性によって電荷蓄積部(FD)で電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。そのため、回路構成や動作方法を複雑にすることなく、全画素で同時に電荷の蓄積動作を行うグローバルシャッタ方式を適用することができる。したがって、被写体が動体であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる。また、グローバルシャッタ方式により露光時間(電荷の蓄積動作を行う期間)を長くすることもできることから、低照度環境における撮像にも適する。
また、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて広い温度範囲で使用することができる。したがって、OSトランジスタを有する撮像装置及び半導体装置は、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載にも適している。
また、OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有する。セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子では、アバランシェ現象が起こりやすいように比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。したがって、OSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、信頼性の高い撮像装置とすることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態9)
本発明の一態様に係る半導体装置(セル)は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Discなどの記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置(セル)を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤーなど)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図32に示す。
図32(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体1901、筐体1902、表示部1903、表示部1904、マイクロフォン1905、スピーカ1906、操作キー1907、スタイラス1908などを有する。なお、図32(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部1903と表示部1904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図32(B)は携帯データ端末であり、第1筐体1911、第2筐体1912、第1表示部1913、第2表示部1914、接続部1915、操作キー1916などを有する。第1表示部1913は第1筐体1911に設けられており、第2表示部1914は第2筐体1912に設けられている。そして、第1筐体1911と第2筐体1912とは、接続部1915により接続されており、第1筐体1911と第2筐体1912の間の角度は、接続部1915により変更が可能である。第1表示部1913における映像を、接続部1915における第1筐体1911と第2筐体1912との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部1913及び第2表示部1914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。又は、位置入力装置としての機能は、フォトセンサーとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図32(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体1921、表示部1922、キーボード1923、ポインティングデバイス1924などを有する。
図32(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体1931、冷蔵室用扉1932、冷凍室用扉1933などを有する。
図32(E)はビデオカメラであり、第1筐体1941、第2筐体1942、表示部1943、操作キー1944、レンズ1945、接続部1946などを有する。操作キー1944及びレンズ1945は第1筐体1941に設けられており、表示部1943は第2筐体1942に設けられている。そして、第1筐体1941と第2筐体1942とは、接続部1946により接続されており、第1筐体1941と第2筐体1942の間の角度は、接続部1946により変更が可能である。表示部1943における映像を、接続部1946における第1筐体1941と第2筐体1942との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
図32(F)は自動車であり、車体1951、車輪1952、ダッシュボード1953、ライト1954などを有する。
(酸素欠損)
本実施例では、酸化物半導体の内部の酸素欠損がトランジスタに与える影響について調べるために行った酸化物半導体を有するトランジスタのデバイス計算とその結果を説明する。
本実施例で使用した計算ソフトは、Silvaco社のAtlasというデバイスシミュレータであり、該計算ソフトを用いて二次元の系について計算を行った。
バイアス−熱ストレス試験の計算を行ったときのトランジスタの構成について説明する。図19のトランジスタ300Aは、バイアス−熱ストレス試験の計算に用いたトランジスタ構造と該トランジスタ構造のサイズを示している。トランジスタ300Aは、基板301を有し、基板301の上部にゲート電極として機能する導電体302を有し、導電体302の上部に絶縁体311を有し、絶縁体311の上部に酸化物半導体303を有し、酸化物半導体303の上部にソース電極又はドレイン電極として機能する導電体304及び導電体305を有し、酸化物半導体303、導電体304及び導電体305の上部に絶縁体306を有する。
下記に、計算に用いたトランジスタ300Aのパラメータと定数を記す。導電体302の仕事関数は5eVである。絶縁体311の膜厚は150nmであり、比誘電率は4.1である。酸化物半導体303の膜厚は45nmであり、電子親和力は4.6eVであり、価電子帯と伝導帯の間のエネルギー障壁は3.2eVであり、比誘電率は15であり、電子移動度は10cm2/Vsであり、正孔移動度は0.01cm2/Vsであり、価電子帯の実効状態密度は5.00×1018/cm3であり、伝導帯の実効状態密度は5.00×1018/cm3であり、絶縁体306に接する酸化物半導体303bのドナー密度は6.60×10−9/cm3であり、導電体304の直下に位置する酸化物半導体303a及び導電体305の直下に位置する酸化物半導体303cのドナー密度は5.00×1018/cm3である。導電体304及び導電体305の仕事関数は4.6eVである。絶縁体306の比誘電率は4.1であり、膜厚は400nmである。
図36(A)は、トランジスタ300Aの導電体302に20Vの電位を印加し、トランジスタ300Aの導電体305に30Vの電位を印加したときのトランジスタ300Aの酸化物半導体303の内部の電界分布を示した計算結果である。図36(B)は電界の強さを示す凡例であり、図36(A)(B)から酸化物半導体303の導電体305と絶縁体306の境界の直下に位置する箇所と、酸化物半導体303と絶縁体311の界面にて1.0×105V/cm以上の電界が現れていることが分かる。ただし、図36(A)において、導電体304、導電体305、絶縁体306及び絶縁体311が白くなっているが、電界の強さを示しているのは酸化物半導体303のみであり、導電体304、導電体305、絶縁体306及び絶縁体311内部の電界は示していない。
トランジスタ300Aの酸化物半導体303の膜厚のみを100nmに変更したトランジスタ300Bを図35に示す。
図37(A)は、トランジスタ300Bの導電体302に20Vの電位を印加し、トランジスタ300Bの導電体305に30Vの電位を印加したときのトランジスタ300Bの酸化物半導体303の内部の電界を示した計算結果である。図37(B)は電界の強さを示す凡例であり、図37(A)(B)から酸化物半導体303の導電体305と絶縁体306の境界の直下に位置する箇所と、酸化物半導体303と絶縁体311の界面にて5.62×104V/cm以上の電界が現れていることが分かる。ただし、図37(A)において、導電体304、導電体305、絶縁体306及び絶縁体311が白くなっているが、電界の強さを示しているのは酸化物半導体303のみであり、導電体304、導電体305、絶縁体306及び絶縁体311内部の電界は示していない。
図36(A)及び図37(A)から、酸化物半導体303の膜厚に限らず、導電体302と導電体305に高電位を印加することで、酸化物半導体303の導電体305と絶縁体306の境界の直下に位置する箇所と、酸化物半導体303と絶縁体311の界面に、局所的な電界が生じる。
酸化物半導体内部に局所的に大きな電界のかかった状態が続くと、該酸化物半導体の構成元素、構造、又は密度によっては、数百秒又は数千秒後に該酸化物半導体を介してソース電極とドレイン電極の間を流れる電流の値が大きく増加する場合がある。電流値が大きく増加する原因として、該酸化物半導体の局所的な電界によって酸素欠損VOが生じることが挙げられる。
該酸化物半導体の内部に生じたVOは、DOSを形成し、正孔トラップなどとなる。また、該VOのサイトに、該酸化物半導体内部、又は、該酸化物半導体と接するソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜などの膜中に含まれている水素が入り込むことで、ドナー準位が形成され、該酸化物半導体内部のドナー密度が増加することがある(以下、酸素欠損のサイトに入り込んだ水素をVOHという場合がある)。また、VOは、バイアス−熱ストレス試験を続けていくことで増加するので、同時にVOHも増加する場合がある。
次に、ドナー密度が変化した場合のトランジスタの挙動について説明する。図38は、上述したトランジスタ300Aの電流電圧特性の計算結果である。なお、本計算は、酸化物半導体303のドナー密度をサンプル毎に異なる値に設定して行った。
サンプルIのドナー密度は6.6×10−9/cm3であり、サンプルJのドナー密度は1.0×1016/cm3であり、サンプルKのドナー密度は1.0×1017/cm3であり、サンプルLのドナー密度は1.0×1018/cm3であり、サンプルMのドナー密度は1.0×1019/cm3である。図38から、ドナー密度を増加することにより、トランジスタ300Aのしきい値電圧がマイナス方向にシフトするのがわかる。特に、ドナー密度を1.0×1018/cm3以上に上げることで、しきい値電圧が−10V以下に下回り、サンプルL及びサンプルMは、ゲート−ソース間電圧が−10V以上10V以下のときにオン状態となる。
酸化物半導体内部のVOに水素がトラップされることで生じるVOHは、該酸化物半導体内部でn型ドナーのキャリア供給源として作用する。そのため、該酸化物半導体のドナー密度が増加し、上述の計算結果(図38)から、該酸化物半導体を有するトランジスタのしきい値電圧がマイナス方向にシフトする場合がある。
さらにバイアス−熱ストレス試験を続けていくことで、VOが増え、n型ドナーのキャリア供給源として働くVOHが増えていくため、図38のサンプルL及びサンプルMのように、該酸化物半導体は、ゲート−ソース間電圧の広い範囲において、オン状態となる場合がある。
なお、VOの生成メカニズムについては上記に限定されない。例えば、トランジスタ300Aの形成プロセスにおいて、基板301に導電体302、絶縁体311、酸化物半導体303、導電体304、導電体305、絶縁体306を形成後に、窒素雰囲気下の高温ベークを施すことにより、酸化物半導体303の酸素(本明細書では、酸素分子、酸素原子、又は酸化物イオンを総称して酸素と記載する)と、酸化物半導体303内部、酸化物半導体303に接する絶縁体306内部、絶縁体311内部、導電体304内部、又は導電体305内部の水素が反応して水分子(本明細書では、水と記載する場合がある。)、又は水酸化イオンが生じる場合がある。そして、その水分子、又は水酸化イオンがトランジスタから脱離することによっても酸化物半導体303にVOが生じることがある。
酸化物半導体内部の酸素欠損VO、及びその酸素欠損VOに水素が入り込むことによって生成されるVOHによって、該酸化物半導体を有するトランジスタの機能が低下してしまう。つまり、ドレイン耐圧の高いトランジスタを作製するためには、バイアス−熱ストレス試験をかけてもVOが生じない酸化物半導体、かつ最初からVO、及び水素の少ない緻密な酸化物半導体を形成する必要がある。
なお、上述のバイアス−熱ストレス試験による電界の発生、酸素欠損の生成、ソース−ドレイン間の電流の導通現象は、上述のトランジスタ300Aの構造に限定されない。バイアス−熱ストレス試験による電界の発生、酸素欠損の生成、ソース−ドレイン間の電流の導通現象はどのような構造のトランジスタでも起こる場合がある。
(緻密な酸化物半導体の作製方法)
下記に、緻密な酸化物半導体CAAC−OSの作製方法の一例について、図20を用いて説明する。
酸化物半導体を形成するときには、実施の形態1の酸化物半導体の成膜後に加熱処理を施す必要がある。加熱処理には、熱アニール工程やラピッドサーマルアニール(Rapid Thermal Annealing(RTA))工程などがあるが、より緻密な酸化物半導体を形成するためには、ランプ加熱によるRTA工程を行うことが好ましい。
特に酸化物半導体CAAC−OS中の酸素欠損VOを減らすためには、RTA装置による加熱処理において、酸素雰囲気で行うのが好ましい。酸素雰囲気で加熱処理を行うことで、CAAC−OSの結晶性を崩さずに酸素を入れ込むことができ、CAAC−OS成膜時に生じた酸素欠損VOのサイトに酸素を入れることができる。
図20に、In−Ga−Zn酸化物でなるCAAC−OSの膜密度をX線反射率法(X−Ray Reflectometer(XRR))で測定した結果を示す。ここで、In−Ga−Zn酸化物を形成する基板は、100nmの厚さの熱酸化膜と該熱酸化膜の上部に位置する300nmの酸化窒化膜を有するシリコン基板である。In−Ga−Zn酸化物は、スパッタリングターゲットをIn:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]とし、ターゲットと基板との距離を60mmとし、流量30sccmのアルゴン及び流量15sccmの酸素を供給し、0.7Paの環境下で0.5kWの直流電源を用いて、成膜した。
サンプルBは、炉を用いて450℃で窒素雰囲気下において1時間加熱処理し、次に同様の炉を用いて450℃で酸素雰囲気下において1時間加熱処理を行ったものである。サンプルCは、炉を用いて500℃で窒素雰囲気下において1時間加熱処理し、次に同様の炉を用いて500℃で酸素雰囲気下において1時間加熱処理を行ったものである。サンプルDは、炉を用いて550℃で窒素雰囲気下において1時間加熱処理し、次に同様の炉を用いて550℃で酸素雰囲気下において1時間加熱処理を行ったものである。サンプルEは、RTA装置を用いて700℃で酸素雰囲気下において30秒加熱処理を行ったものである。サンプルFは、RTA装置を用いて700℃で酸素雰囲気下において60秒加熱処理を行ったものである。サンプルGは、RTA装置を用いて700℃で酸素雰囲気下において120秒加熱処理を行ったものである。サンプルHは、RTA装置を用いて700℃で酸素雰囲気下において180秒加熱処理を行ったものである。参考のため、加熱処理を行っていない条件(以下、as−depoと表記する場合がある)として、サンプルAの結果も示す。
図20のとおり、加熱処理の行っていない条件(サンプルA)の膜密度が一番低い6.24g/cm3であり、炉を用いた加熱処理の条件(サンプルB、サンプルC、サンプルD)の膜密度はサンプルA同様に低く、6.25g/cm3以上6.26g/cm3以下の値とである。一方、RTA装置を用いた加熱処理の条件(サンプルE、サンプルF、サンプルG、サンプルH)では、いずれも膜密度が6.28g/cm3以上であり、加熱処理を行っていない条件、炉を用いた加熱処理の条件よりも膜密度の高い酸化物CAAC−OSが得られた。
上述のとおり、RTA工程を施すことにより、酸化物半導体の膜密度をより高密度にすることができる。また、RTA工程の加熱処理の温度を高くし、時間を長くすることで、酸化物半導体をより高密度化し、単結晶の物性に近づけることができる。そして、RTA装置の加熱処理は一般的な炉と比べて短時間で済むため、生産性を高めるのにも有効である。
(ESR測定)
下記に、ESR(電子スピン共鳴:Electron Spin Resonance)分析による、酸化物膜の過剰酸素及び酸素欠損(VO)の定量的な評価方法について、図12、図21及び図22を用いて説明する。
ESRとは、試料の置かれた空間に磁場を発生させ、試料にマイクロ波を照射する分析手法である。磁束密度(H0)及び/又はマイクロ波の振動数(v)を変化させていき、試料がマイクロ波を吸収したときの振動数(v)及び磁束密度(H0)から式g=hv/μBH0を用いてg値というパラメータが得られる。なお、hはプランク定数であり、μBはボーア磁子であり、どちらも定数である。
ESRによって観測されるシグナルにおいて、g値が2.001となるシグナルに対応するスピン密度がダングリングボンドの存在量に対応する。また、ここで検出されるg値のシグナルは1.90以上2.01以下の範囲でよく、好ましくはg値のシグナルが2.00以上2.05以下の範囲であればよい。
ESRによって計測されるシグナルにおいて、g値が1.93となるシグナルに対応するスピン密度が酸素欠損(VO)の存在量に対応する。また、ここで検出されるg値のシグナルは1.83以上2.03以下の範囲でよく、好ましくはg値のシグナルが1.90以上1.95以下の範囲であればよい。
ここで、酸化物半導体の形成後、該酸化物半導体上に酸化窒化シリコン膜を形成し、その後加熱処理を行った際の、該酸化物半導体中のスピン密度について評価した結果を示す。
まず、試料の作製方法について説明する。はじめに、石英基板上に300nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。酸化窒化シリコン膜の成膜は、処理室内に原料ガスである流量2.3sccmのシラン及び流量800sccmの一酸化二窒素を供給し、27.12MHzの高周波電源を用いて50Wの電力を供給して酸化窒化シリコン膜を形成した。また、酸化窒化シリコン膜を形成する際の石英基板の温度を400℃とした。また、成膜後450℃において1時間の加熱処理を行った。
次に、酸化窒化シリコン膜に酸素をイオンインプランテーション法によって注入した。注入条件は加速電圧60kV、ドーズ量2×1016ions/cm2とした。
次に、酸化窒化シリコン膜上に厚さ50nmのIn−Ga−Zn酸化物膜をスパッタリング法で形成した。ここで、In−Ga−Zn酸化物膜は、スパッタリングターゲットをIn:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]のターゲットとし、スパッタリングガスとして30sccmのアルゴンと15sccmの酸素をスパッタリング装置の成膜室内に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、0.5kWの直流電力を供給して、形成されている。なお、In−Ga−Zn酸化物を形成する際の基板温度は300℃とした。
成膜後に、450℃窒素雰囲気下で1時間、酸素雰囲気下で1時間の加熱処理を行った。
次に、In−Ga−Zn酸化物膜上に酸化窒化シリコン膜を20nm成膜した。石英基板をプラズマCVD装置(CVD;Chemical Vapor Deposition)の処理室内に設置し、処理室内に原料ガスである流量1sccmのシラン及び流量800sccmの一酸化二窒素を供給し、60MHzの高周波電源を用いて150Wの電力を供給して酸化窒化シリコン膜を形成した。また、酸化窒化シリコン膜を形成する際の石英基板の温度を350℃とした。成膜時の圧力は、本発明の一態様の半導体装置に用いるゲート絶縁層としては不適となる場合がある、40Paとした。
ここで、加熱処理を行わない試料を試料I1とした。その後、酸素雰囲気下で350℃、1時間の加熱処理を行った試料を試料I2、酸素雰囲気下で400℃、1時間の加熱処理を行った試料を試料I3とした。
各試料に対してESR測定を行った。ESR測定は、測定温度を室温(25℃)とし、9.5GHzの高周波電力(マイクロ波パワー)を20mWとし、磁場の向きは作製した試料の膜表面と平行とした。なお、In−Ga−Zn酸化物内の酸素欠損に由来するg値は1.93であり、この信号に対応するスピン密度の検出下限は1×1017spins/cm3である。
図21にESR測定結果を示す。図21に示すグラフは縦軸にマイクロ波の吸収強度の一次微分をとり、横軸にg値をとる。図21(A)は試料I1、図21(B)は試料I2、図21(C)は試料I3のESR測定結果をそれぞれ示す。また、図21には各試料の測定結果のg値が1.93において、ガウス線形によってフィッティングした値も示す。図21において点線は測定結果を示し、実線はフィッティングした結果を示す。フィッティングした曲線から、g値が1.93近傍の信号の積分値を計算することで当該マイクロ波の吸収強度に対応するスピン密度を求めた。
図22に、スピン密度を示す。試料I1からわかるように、酸化窒化シリコン膜を成膜することによって、酸化物半導体膜中のスピン密度が3.9×1018spins/cm3となっている。
しかし、その後、加熱処理を行うことで、スピン密度は減少し、試料I2、試料I3ともに、スピン密度が検出下限(1×1017spins/cm3)以下となった。このように、酸化窒化シリコン膜と酸化物半導体が接した状態で加熱処理を行うことで、酸化窒化シリコン膜の形成後に酸化物半導体中に生じた酸素欠損を補填することができる。
一例として、図12(B)のトランジスタを用いて説明する。絶縁体408として酸素に対するブロッキング性を有する膜を用いて加熱処理を行うと、絶縁体402と絶縁体412の一方、又は両方から放出された酸素が、酸化物の半導体406bの外側へと抜け出すことを抑制し、酸化物の半導体406bにより多くの酸素を供給することができる。
該加熱処理は、300℃以上450℃未満、好ましくは350℃以上400℃以下とするとよい。なお、酸化物の半導体積層406に接して形成される導電体416a及び導電体416bに、酸素親和性の高い金属を用いると、加熱処理を行うことで、該金属が酸化物の半導体積層406から酸素を引き抜く場合がある。そこで、絶縁体402及び絶縁体412から供給される酸素の量が、導電体416a及び導電体416bに酸素が引き抜かれる量よりも多くなるような温度範囲で熱処理を行うように適宜温度範囲を設定すればよい。
このように加熱処理を行うことで、酸化物の半導体406b中の酸素欠損を低減し、酸化物の半導体406bの特性を安定なものとすることができる。特に、トランジスタのチャネル長が小さくなった場合、酸化物半導体中に含まれる酸素欠損がトランジスタの特性に与える影響が大きくなる。そのため、上記の加熱処理を施すことで、酸化物の半導体406b中に含まれる酸素欠損を低減しておくことで、チャネル長が小さくなった場合でも、ノーマリオフである特性を維持できる信頼性の高い半導体装置とすることができる。
なお、上述した一例のトランジスタ構造は、図12に限定されない。酸素に対するブロッキング性を有する膜は絶縁体418でもよいし、酸素に対するブロッキング性を有する膜が酸化物半導体、及び/又は導電体よりも上部に位置していれば、トランジスタ構造が図12と異なってもよい。
また、ESR分析を用いることにより、酸化物半導体とそれに接するSiOx膜の中の不対電子を持つ酸素を検出することができる。
デバイス作製工程において、酸化物半導体中に酸素欠損が生じると、その電気伝導度を変化させてしまうことがある。また、酸化物半導体中に電子供与体を形成する水素や水が混入した場合も同様である。このような現象は、酸化物半導体を用いたトランジスタにとって電気的特性の変動要因となる。そのため、酸化物半導体を酸素過剰な状態で形成し、酸素欠損が起きないようにデバイスを構成することが好ましい。
下記に、In−Sn−Zn酸化物の構造及び該酸化物を有するトランジスタの特性と信頼性について、説明する。
(In−Sn−Zn酸化物の構造1)
図40に、In−Sn−Zn酸化物のout−of−plane法によるX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)のスペクトルを示す。試料T1乃至試料T3は、マグネトロンスパッタリング法により、石英ガラス基板上にIn−Sn−Zn酸化物を形成したものである。
試料T1は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)とし、スパッタリングガスとして30sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、In−Sn−Zn酸化物膜を形成したサンプルである。試料T2は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)とし、スパッタリングガスとして20sccmのアルゴンと10sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を室温として、In−Sn−Zn酸化物膜を形成したサンプルである。試料T3は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)とし、スパッタリングガスとして98sccmのアルゴンと2sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を1.0Paに制御し、100Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を室温として、In−Sn−Zn酸化物膜を形成したサンプルである。
試料T1のスペクトルより、回折角(2θ)が31°のときにピークが現れているのが確認できる。試料T2及び試料T3のスペクトルでは、回折角(2θ)が31°のときにピークは現れていない。試料T1乃至試料T3のスペクトルに現れている回折角(2θ)が21°近傍のときのピークは、石英ガラス基板に起因するものである。
この試料T1のスペクトルでピークが現れている回折角(2θ)、31°は、図3(A)のCAAC−OSのXRDのスペクトルのピークが現れている回折角(2θ)と一致している。つまり、図40の試料T1のスペクトルにより、試料T1のIn−Sn−Zn酸化物膜はCAAC−OS構造を有していることが示唆される。
図41に、試料面に略平行な方向から観察した試料T1乃至試料T3のTEM像を示す。図41(A)は、試料T1の断面TEM像で、図41(B)は、試料T2の断面TEM像で、図41(C)は、試料T3の断面TEM像である。
図41(A)より、金属原子が層状に配列していることを確認できる。図41(A)の金属原子の層状の配列は、図1(A)(B)のCAAC−OS構造の金属原子の層状の配列と類似しており、図41(A)の試料T1はCAAC−OS構造を有している可能性がある。
図41(B)より、微小な領域(例えば、図41(B)(1)の白枠で囲まれた領域)において原子配列に周期性を有しており、膜全体において結晶の配向性は見られない。また、図41(B)からでは、明確な結晶粒界も確認できない。実施の形態1の<nc−OS>で説明した、nc−OSの特徴は、膜に含まれる結晶部の大きさが1nm以上かつ3nm以下であること、膜全体で配向性が見られないこと、明確な結晶粒界を持たないことであることから、試料T2のIn−Sn−Zn酸化物膜はnc−OS構造を有していることが示唆される。
図41(C)より、試料T3のIn−Sn−Zn酸化物膜は、鬆を有していることを確認できる。実施の形態1の<a−like OS>で説明したとおり、a−like OS構造は鬆を有している場合があるため、試料T3のIn−Sn−Zn酸化物膜はa−like OS構造である可能性がある。
図40及び図41の結果をまとめると、試料T1のIn−Sn−Zn酸化物膜はCAAC−OS構造の特徴を有し、試料T2のIn−Sn−Zn酸化物膜はnc−OS構造の特徴を有し、試料T3のIn−Sn−Zn酸化物膜はa−like OS構造の特徴を有する。また、試料T1の膜密度は6.3g/cm3であり、試料T2の膜密度は6.2g/cm3であり、試料T3の膜密度は5.9g/cm3であり、試料T1のIn−Sn−Zn酸化物膜が試料T2及び試料T3よりも緻密な膜を有していることがいえる。
(In−Sn−Zn酸化物の構造2)
図42は、試料T1と同じ条件で形成したIn−Sn−Zn酸化物膜を、成膜後に窒素を80体積%及び酸素を20体積%有する雰囲気において、800℃の熱処理を加えた試料の結晶構造について説明する図である。図42(A)は、試料面に略平行な方向から観察したTEM像である。図42(B)は、試料に対してプローブ径が1nmの電子線を用いる電子線回折(NBED:Nanobeam Electron Diffraction)を行って得られた(100)面の回折パターンである。図42(C)は、ホモロガス相を有するInGaZn2O5の構造から計算して得られた(100)面の回折パターンである。
図42(B)において、スポットP1のd値は0.285nmであり、スポットP2のd値は0.172nmであり、スポットP3のd値は0.281nmである。スポットP1と点O1を結ぶ線分とスポットP2と点O1を結ぶ線分とが成す角度(以下、∠P1O1P2という場合がある)は36.6°であり、スポットP2と点O1を結ぶ線分とスポットP3と点O1を結ぶ線分とが成す角度(以下、∠P2O1P3という場合がある)は38.1°であり、スポットP3と点O1を結ぶ線分とスポットP1と点O1を結ぶ線分とが成す角度(以下、∠P3O1P1という場合がある)は74.4°である。
一方、図42(C)において、スポットQ1のd値は0.282nmであり、スポットQ2のd値は0.177nmであり、スポットQ3のd値は0.276nmである。スポットQ1と点O2を結ぶ線分とスポットQ2と点O2を結ぶ線分とが成す角度(以下、∠Q1O2Q2という場合がある)は38.3°であり、スポットQ2と点O2を結ぶ線分とスポットQ3と点O2を結ぶ線分とが成す角度(以下、∠Q2O2Q3という場合がある)は37.5°であり、スポットQ3と点O2を結ぶ線分とスポットQ1と点O2を結ぶ線分とが成す角度(以下、∠Q3O2Q1という場合がある)は75.8°である。
図42(B)及び(C)の結果より、スポットP1とスポットQ1のd値が、スポットP2とスポットQ2のd値が、スポットP3とスポットQ3のd値が、∠P1O1P2と∠Q1O2Q2の角度が、∠P2O1P3と∠Q2O2Q3の角度が、∠P3O1P1と∠Q3O2Q1の角度がほぼ一致していることが分かるから、In−Sn−Zn酸化物膜はホモロガス相を有するInGaZn2O5と類似する構造であることが示唆される。
(In−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタの信頼性)
次に、In−Sn−Zn酸化物を適用したトランジスタのバイアス−熱ストレス試験について説明する。
図39は、該トランジスタの構造を示した模式図である。トランジスタ200は、基板201上の導電体204(以下、ゲート電極という場合がある)と、導電体204上の絶縁体212と、絶縁体212上の半導体206と、半導体206上の、間隔を空けて設けられた導電体216a(以下、ソース電極という場合がある)と導電体216b(以下、ドレイン電極という場合がある)と、導電体216a上と導電体216b上と半導体206上の絶縁体218と、を有する。
図43に、トランジスタTR1及びトランジスタTR2に対して行った試験EX1及び試験EX2の結果を示す。
試験EX1は、トランジスタに熱を与える熱源の温度を60℃とし、ゲート電極に印加する電位を30Vとし、ソース電極に印加する電位を0Vとし、ドレイン電極に印加する電位を0Vとし、暗所環境で測定を行うプラスゲートバイアス−熱ストレス試験である。試験EX2は、トランジスタに熱を与える熱源の温度を60℃とし、ゲート電極に印加する電位を−30Vとし、ソース電極に印加する電位を0Vとし、ドレイン電極に印加する電位を0Vとし、トランジスタに白色LEDを照射した状態で測定を行うマイナスゲートバイアス−熱ストレス試験である。試験EX1及び試験EX2で取得するデータは、試験開始直後(0秒)、試験開始1.0×102秒後、6.0×102秒後、1.8×103秒後、3.6×103秒後の電流電圧特性である。ID[A]は、ドレイン電流IDを示しており、VG[V]は、ゲート電圧Vgsを示している。
トランジスタTR1及びトランジスタTR2の具体的な構成について説明する。トランジスタTR1及びトランジスタTR2の模式図は、図39のとおりである。導電体204は、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜である。絶縁体212は、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層である。導電体216a及び導電体216bは、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層である。絶縁体218は、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜である。
トランジスタTR1の半導体206は、試料T1と同じ条件で成膜した厚さ20nmのCAAC−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物膜である。トランジスタTR1のチャネル長は6μm、チャネル幅は50μmである。トランジスタTR2の半導体206は、試料T2と同じ条件で成膜した厚さ20nmのnc−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物膜である。トランジスタTR2のチャネル長は6μm、チャネル幅は50μmである。
図43の結果(A)(B)より、トランジスタTR2よりもトランジスタTR1のほうがしきい値電圧のプラスシフトが小さいことが分かる。また、図43の結果(C)(D)より、トランジスタTR2よりもトランジスタTR1のほうがしきい値電圧のマイナスシフトが小さいことが分かる。つまり、nc−OS構造よりもCAAC−OS構造を有したIn−Sn−Zn酸化物のトランジスタのほうが、より高い信頼性を有しているといえる。
図44に、試験EX3を行ったトランジスタTR3の結果を示す。
試験EX3は、トランジスタに熱を与える熱源の温度を50℃とし、ゲート電極に印加する電位(以下、ゲート電圧という場合がある)を20Vとし、ソース電極に印加する電位(以下、ソース電圧という場合がある)を0Vとし、ドレイン電極に印加する電位(以下、ドレイン電圧という場合がある)を20Vとした暗所環境での熱ストレス試験である。試験EX3で取得するデータは、試験開始直後(0秒)、試験開始1.0×102秒後、1.0×103秒後、4.0×103秒後、8.0×103秒後、1.0×104秒後の電流電圧特性である。
トランジスタTR3の構成について説明する。トランジスタTR3は、トランジスタTR1、及びトランジスタTR2と同様で、図39に示す模式図の概形を有する。導電体204は、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜である。絶縁体212は、厚さ50nmの窒化シリコン膜と厚さ150nmの酸化窒化シリコン膜の積層である。導電体216a及び導電体216bは、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層である。絶縁体218は、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜である。
トランジスタTR3の半導体206は、試料T1と同じ条件で成膜した厚さ10nmのCAAC−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物膜である。トランジスタTR3のチャネル長は6μm、チャネル幅は50μmである。
図44は、試験開始直後(0秒)から開始後1.0×104秒までの電流電圧特性を示す。ID[A]は、ドレイン電流IDを示しており、VG[V]は、ゲート電圧Vgsを示している。試験開始直後(0秒)から開始後1.0×104秒までの電流電圧特性は全て重なっている結果となり、すなわち、試験EX3を行ってもトランジスタTR3のしきい値電圧のシフトが起きていないことが分かった。つまり、CAAC−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物膜は高いドレイン電圧ストレス耐性を有していることが分かる。また、ドレイン電流の増加も観測されないことから、インパクトイオン化による電子、正孔のキャリア生成が生じていないこともいえる。
(In−Sn−Zn酸化物のCPM測定)
次に、In−Sn−Zn酸化物の局在準位について、一定光電流測定法(CPM:Constant Photocurrent Method)によって評価した結果を説明する。一般的に、トランジスタのチャネル形成領域に用いた材料において、そのチャネル形成領域中の局在準位を低減することで、該トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
なお、トランジスタが高い電界効果移動度を有し、かつ安定した電気特性を有するためには、CPM測定で得られる局在準位による吸収係数を、1×10−3cm−1未満、好ましくは、3×10−4cm−1未満となればよい。
CPM測定を行うIn−Sn−Zn酸化物について説明する。nc−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物である試料T4、及びCAAC−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物である試料T5について、それぞれCPM測定を行った。
試料T4は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)とし、スパッタリングガスとして20sccmのアルゴンと10sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を室温として、石英基板上に厚さ100nmのIn−Sn−Zn酸化物膜を形成したサンプルである。なお、In−Sn−Zn酸化物の構造1で述べたとおり、この条件によって、nc−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物を形成することができる。
試料T5は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)とし、スパッタリングガスとして30sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、石英基板上に厚さ100nmのIn−Sn−Zn酸化物膜を形成したサンプルである。なお、In−Sn−Zn酸化物の構造1で述べたとおり、この条件によって、CAAC−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物膜を形成することができる。
なお、CPM測定の精度を高めるため、測定するnc−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物、及びCAAC−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物膜の膜厚をそれぞれ、100nmとしている。
CPM測定を行うために、試料T4のIn−Sn−Zn酸化物膜、及び試料T5のIn−Sn−Zn酸化物膜に、それぞれ両者に第1電極及び第2電極を設ける必要がある。該電極として、厚さ150nmのタングステン膜をスパッタリング法によって形成した。
CPM測定では、試料T4、又は試料T5に接して設けられた第1電極及び第2電極の間に電圧を印加した状態で光電流値が一定となるように、端子間の試料面に照射する光量を調整し、照射光量から吸光係数を導出することを各波長にて行うものである。CPM測定において、試料に欠陥があるとき、欠陥の存在する準位に応じたエネルギー(波長より換算)における吸光係数が増加する。この吸光係数の増加分に定数を掛けることにより、試料の欠陥密度を導出することができる。
図45(A)及び図45(B)に、分光光度計によって測定した吸収係数(点線)と、CPM測定によって得られた吸収係数(実線)と、CPM測定によって得られた吸収係数の直線部分を外挿した直線(細点線、以後バックグラウンドという場合がある)をフィッティングした結果を示す。なお、図45(A)及び図45(B)のエネルギー範囲は、試料T4及び試料T5に形成したそれぞれのIn−Sn−Zn酸化物膜のエネルギーギャップ以上の範囲としている。
ここで、吸収係数の曲線において、直線部分はアーバックテイルに起因する吸収であり、この傾きは例えばアモルファスシリコンなどでは、原子配列の乱れや温度による格子の乱れに起因して大きくなることが知られている。図45(A)及び図45(B)には、アーバックテイルによる吸収係数の傾きの指標として、算出されたアーバックエネルギーの値を示している。ここで、アーバックエネルギーは、吸収係数が一桁変化するときのエネルギー差として定義される。アーバックエネルギーの値が大きいほど、吸収係数の直線部分の傾きが小さい。なお、CPM測定によって得られた吸収係数により得られたアーバックエネルギーは、試料T4では81.1meVであり、試料T5では86.8meVであった。このことから、試料T5のCAAC−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物は、試料T4のnc−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物よりも、原子配列の乱れや温度による格子の乱れが小さいことが示唆される。
一方、バンドギャップ中央付近のエネルギー値においてバックグラウンドから外れた部分は半導体中の欠陥準位に起因する吸収であり、欠陥準位密度が大きいほど、バックグラウンドとの差が大きくなる。
図45(A)及び図45(B)の破線丸で囲んだエネルギー範囲においてCPM測定で得られた吸収係数からバックグラウンドを差し引き、それぞれのエネルギー範囲における吸収係数の積分値を導出した(図46参照)。その結果、局在準位による吸収係数は、試料T4では4.41×10−2cm−1であり、試料T5では、2.85×10−2cm−1であることがわかった。
ここで得られた局在準位の吸収係数は、不純物や欠陥に起因しているものと考えられる。すなわち、試料T5の局在準位の吸収係数は、試料T4の局在準位の吸収係数よりも低いため、CAAC−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物は、nc−OS構造を有するIn−Sn−Zn酸化物よりも、不純物や欠陥に起因する準位密度が少ないことが分かった。
本発明の一態様に係る半導体装置に、本実施例で例示したIn−Sn−Zn酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタを適用することが可能である。その結果、高い信頼性及び高い耐電圧性有する半導体装置を提供することができる。
本実施例で例示した酸化物半導体は、In−Sn−Zn酸化物に限定されない。例えば、In−Sn−Zn酸化物の代わりに、In−Ga−Zn酸化物を用いてもよい場合がある。
なお、本実施例は、本明細書に示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
実施例2の試験EX3では、In−Sn−Zn酸化物を有し、チャネル長が6μmであるトランジスタTR3に対して、ゲート電圧を20V、ドレイン電圧を20V、ソース電圧を0V、熱源の温度を50℃とした暗所環境での熱ストレス試験を0秒から1.0×104秒まで行った結果を示した。本実施例では、CAAC−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタについて、更に、同条件の熱ストレス試験を1.0×104秒以上行ったときの結果、及びその原因解析について説明する。そして、その結果に対してモデルを構築して、計算を行った結果について説明する。
(実験1)
図47に、トランジスタTR4及びトランジスタTR5に対して行った試験EX4−1の結果を示す。
トランジスタTR4は、CAAC−OS構造のIn−Ga−Zn酸化物膜を有し、チャネル長が8μm、チャネル幅が50μmのトランジスタである。トランジスタTR4は、図39の模式図に示すトランジスタ200と同様の構造を有する。トランジスタTR4は、導電体204として、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜を有し、絶縁体212として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、導電体216a及び導電体216bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体218として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有している。
トランジスタTR4は、半導体206として、スパッタリング法で形成した厚さ35nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を有する。In−Ga−Zn酸化物膜は、スパッタリングターゲットをIn:Ga:Zn=1:1:1.2(原子数比)のターゲットとし、スパッタリングガスとして20sccmのアルゴンと10sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、形成されたものである。
トランジスタTR5は、CAAC−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物膜を有し、チャネル長が8μm、チャネル幅が50μmのトランジスタである。トランジスタTR5は、図39の模式図に示すトランジスタ200と同様の構造を有する。トランジスタTR5は、導電体204として、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜を有し、絶縁体212として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、導電体216a及び導電体216bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体218として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有している。
トランジスタTR5は、半導体206として、スパッタリング法で形成した厚さ20nmのIn−Sn−Zn酸化物膜を有する。In−Sn−Zn酸化物膜は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)とし、スパッタリングガスとして30sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、形成されたものである。
試験EX4−1は、トランジスタTR4、及びトランジスタTR5のそれぞれに熱を与える熱源の温度を50℃とし、それぞれのゲート電極に印加する電位を20Vとし、それぞれのドレイン電極に印加する電位を20Vとし、それぞれのソース電極に印加する電位を0Vとした暗所環境での熱ストレス試験である。試験EX4−1で取得するデータは、試験開始直後(0秒)、試験開始1.0×102秒後、3.0×102秒後、1.0×103秒後、3.0×103秒後、6.0×103秒後、1.0×104秒後、3.0×104秒後、1.0×105秒後の電流電圧特性である。ID[A]は、ドレイン電流IDを示しており、VG[V]は、ゲート電圧Vgsを示している。
ドレイン電流IDが1.0×10−12Aとなるゲート電圧Vgsの変化量をシフト値とした場合、1.0×105秒まで試験EX4−1を行ったトランジスタTR4のシフト値は、+0.32Vであり(図47では、シフトの様子を矢印Vsh4で示す)、1.0×105秒まで試験EX5を行ったトランジスタTR5のシフト値は、−5.32Vであった(図47では、シフトの様子を矢印Vsh5で示す)。また、試験EX4−1を1.0×105秒まで行ったしきい値電圧の変化量は、トランジスタTR4が+1.27Vであり(図47では、シフトの様子を矢印Vth4で示す)、トランジスタTR5が+3.24Vであった(図47では、シフトの様子を矢印Vth5で示す)。なお、トランジスタTR4及びトランジスタTR5において、時間経過によるドレイン電流IDの増加は起きていない。
特に、トランジスタTR5では、シフト値が負の値で、かつしきい値電圧がプラス側に移動しており、電流電圧特性にコブ(図47では、HUMPと表記)が発生した。すなわち、In−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタにおいて、暗所環境での熱ストレス試験の時間を長くしたとき、トランジスタの輸送特性が大きく劣化する結果となる。
試験EX4−2は、ドレイン電極に印加する電位を20Vとし、ソース電極に印加する電位を0Vとし、ゲート電極に印加する電位を0V、5V、10V、15V、20Vと条件を振り、熱源の温度を50℃とした暗所環境での熱ストレス試験をトランジスタTR4及びトランジスタTR5に行い、2.4×104秒後のそれぞれのシフト値Vshをグラフにしたものである。
トランジスタTR4のシフト値Vshは、ゲート電極が0V以上かつ15V以下の条件のとき、−0.2Vより大きくかつ0.2V未満の値をとり、ゲート電極が20Vの条件のとき、0.2Vより大きい値をとなった。トランジスタTR5のシフト値Vshは、ゲート電極が0V以上かつ15V以下の条件のとき、トランジスタTR4と同様に−0.2Vより大きくかつ0.2V未満の値をとり、ゲート電極が20Vの条件のとき、−0.6V未満の値をとなった。
上記の結果より、In−Ga−Zn酸化物を有するトランジスタのシフト値Vshは大きな変化がないが、In−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタのシフト値Vshは、ドレイン電極及びゲート電極に20Vの電位を印加することで、大きく低下する要因となることが分かる。
(実験2)
次に、In−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタについて、ホットキャリア観測を行った結果を図48(A)に示す。なお、ホットキャリアの観察は、浜松ホトニクス社製のエミッション顕微鏡(PHEMOS−1000)を用いており、本観測は、CCDカメラ(CCD;Charge−Coupled Device)で撮影したものである。なお、CCDカメラの観察波長範囲は、300nm以上かつ1100nm以下(可視光領域)となっている。
トランジスタTR6は、CAAC−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物を有し、チャネル長が10μm、チャネル幅が50μmであるトランジスタである。
トランジスタTR6は、図39の模式図に示すトランジスタ200と同様の構造を有する。トランジスタTR6は、導電体204として、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜を有し、絶縁体212として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、導電体216a及び導電体216bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体218として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有している。
In−Sn−Zn酸化物膜は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)とし、スパッタリングガスとして30sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、形成されたものである。
試験EX5−1乃至試験EX5−5は、トランジスタTR6のドレイン電極に印加する電位を20Vとし、ソース電極に印加する電位を0Vとし、それぞれの試験に対してゲート電極に印加する電位を0V、5V、10V、15V、20Vとして、印加後から1.0×102秒後(そのうち60秒を積算観測)のトランジスタの様子を撮影している。
図48(A)に示す通り、試験EX5−1乃至試験EX5−5において、ホットキャリア由来の発光は観測されなかった。
また、上述とは別のトランジスタに対して行った観測の結果を、図48(B)に示す。試験EX6−1は、先ほどと同様のCCDカメラで撮影したものであり、試験EX6−2は、InGaAsカメラで撮影したものである。InGaAsカメラの観察波長範囲は、950nm以上かつ1700nm以下(赤外領域)となっている。なお、どちらの撮影も浜松ホトニクス社製のエミッション顕微鏡(PHEMOS−1000)を用いて行っている。
トランジスタTR7は、CAAC−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物膜を有し、チャネル長が50μm、チャネル幅が50μmであるトランジスタである。
トランジスタTR7は、図39の模式図に示すトランジスタ200と同様の構造を有する。トランジスタTR7は、導電体204として、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜を有し、絶縁体212として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、導電体216a及び導電体216bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体218として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有している。
トランジスタTR7は、半導体206として、スパッタリング法で形成した厚さ20nmのIn−Sn−Zn酸化物膜を有する。In−Sn−Zn酸化物膜は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)とし、スパッタリングガスとして30sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、In−Sn−Zn酸化物を形成されたものである。
試験EX6−1、及び試験EX6−2は、トランジスタTR7のドレイン電極に印加する電位を20Vとし、ソース電極に印加する電位を0Vとし、ゲート電極に印加する電位を20Vとして、印加後から1.0×102秒後(そのうち60秒を積算観測)のトランジスタの様子を撮影している。
図48(B)に示す通り、試験EX6−1、及び試験EX6−2において、ホットキャリア由来の発光は観測されなかった。
このことから、ホットキャリア生成が起因によるインパクトイオン化が起きていないことが考えられる。すなわち、インパクトイオン化によるDAHC劣化(Drain Avalanche Hot Carrier劣化)が起きていないと考えられる。
(実験3)
次に、走査型広がり抵抗顕微鏡法(SSRM;Scanning Spreading Resistance Microscope)を用いた観測結果について、説明する。SSRM法とは、試料面を導電性探針で走査しながら抵抗値を測定し、試料面における抵抗値の分布を可視化する方法である。本実験では、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のE−sweepという電流計測原子間力顕微鏡を用いて観測を行った。
<ドレイン電極近傍のSSRMの結果>
図49(A)は、測定したトランジスタTR8の光学顕微鏡写真である。トランジスタTR8は、図39の模式図に示すトランジスタ200と同様の構造を有し、チャネル長が8μm、チャネル幅が50μmのトランジスタである。導電体801aは、導電体216a又は導電体216bのどちらか一方として機能し、導電体801bは、導電体216a又は導電体216bのどちらか他方として機能し、導電体802は、導電体204として機能し、半導体803は、半導体206として機能する。また、図示していないが、絶縁体212、及び絶縁体218として機能する膜も、トランジスタTR8に有している。
トランジスタTR8は、半導体803として、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜を有し、絶縁体212として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、導電体801a及び導電体801bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体218として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有している。
トランジスタTR8は、半導体803として、スパッタリング法で形成した厚さ20nmのIn−Sn−Zn酸化物膜を有する。In−Sn−Zn酸化物膜は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)のターゲットとし、スパッタリングガスとして30sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、形成されたものである。
図49(B)のPhoto1は、図49(A)のトランジスタTR8に記した一点鎖線U1−U2の断面のAFM像(AFM;Atomic Force Microscope)である。なお、一点鎖線U1−U2は、トランジスタTR8のチャネル幅方向に沿っており、導電体801b近傍の半導体803を横切るように位置している。Photo2は、Photo1の撮影箇所に対して、SSRM法を行って出力した電流像である。なお、測定断面はダイヤモンド砥粒によって機械研磨され、コロイダルシリカによって仕上げ研磨されている。
図49(B)に示すAFM像、電流像は、トランジスタTR8の一点鎖線U1−U2上にある観察箇所P4、及び観察箇所P5を示している。
試験EX7−1及び試験EX7−2のAFM像及び、電流像は、暗所環境での熱ストレス試験を行ったときに撮影した像を示している。該熱ストレス試験の条件は、トランジスタTR8に熱を与える熱源の温度を50℃とし、トランジスタTR8のゲート電極に印加する電位を20Vとし、トランジスタTR8のドレイン電極に印加する電位を20Vとし、トランジスタTR8のソース電極に印加する電位を0Vとしている。試験EX7−1は、該熱ストレス試験を開始してすぐに撮影したAFM像及び、電流像を示し、試験EX7−2は、1.0×105秒行った後に撮影したAFM像及び、電流像を示している。具体的には、導電体801aをソース電極として、導電体801bをドレイン電極として、導電体802をゲート電極として、電位を印加している。
図49(B)のPhoto2の結果及びグレースケールバーより、試験EX7−1では、観察箇所P4及び観察箇所P5のどちらも電流が観測されず、試験EX7−2では、観察箇所P4及び観察箇所P5の半導体803のある箇所において、0.5pA以上かつ3.0pA以下の電流が観測された。
このことから、ドレイン電極の近傍に位置する半導体803の観察箇所P4及び観察箇所P5は、暗所環境での熱ストレス試験によってドナー密度が上昇していると考えられる。
<活性層アイランド中央部のSSRMの結果>
次に、一点鎖線U1−U2とは別の箇所として、活性層アイランド中央部のSSRMの結果について説明する。
図50(A)は、測定したトランジスタTR9の光学顕微鏡写真である。なお、トランジスタTR9の構成、及びトランジスタTR9の導電体801a、導電体801b、導電体802、半導体803は、トランジスタTR8の記載を参酌する。
図50(B)のPhoto3は、図50(A)のトランジスタTR9に記した一点鎖線U3−U4の断面のAFM像である。なお、一点鎖線U3−U4は、トランジスタTR9のチャネル幅方向に沿っており、半導体803の中央部を横切るように位置している。Photo4は、Photo3の撮影箇所に対して、SSRM法を行って出力した電流像である。なお、トランジスタTR9の断面加工については、トランジスタTR8の断面加工の記載を参酌する。
図50(B)に示すAFM像、電流像は、トランジスタTR9の一点鎖線U3−U4上にある観察箇所P6乃至観察箇所P8の部分を示している。
図50(B)に示すAFM像、電流像は、暗所環境での熱ストレス試験を1.0×105秒行った後に撮影した像である。該熱ストレス試験の条件は、トランジスタTR9に熱を与える熱源の温度を50℃とし、トランジスタTR9のゲート電極に印加する電位を20Vとし、トランジスタTR9のドレイン電極に印加する電位を20Vとし、トランジスタTR9のソース電極に印加する電位を0Vとしている。具体的には、導電体801aをソース電極として、導電体801bをドレイン電極として、導電体802をゲート電極として、電位を印加している。
図50(B)のPhoto4の結果及びグレースケールバーより、観察箇所P6の一部分において、0.5pA以上かつ3.0pA以下の電流が観測された。また、観察箇所P7及び観察箇所P8では、電流は観測されなかった。
このことから、観察箇所P6、つまり活性層を形成する半導体803のチャネル幅の端部において、暗所環境での熱ストレス試験によってドナー密度が上昇したと考えられる。
<ソース電極近傍のSSRMの結果>
次に、一点鎖線U1−U2及び一点鎖線U3−U4とは別の箇所として、ソース電極近傍のSSRMの結果について説明する。
図51(A)は、測定したトランジスタTR10の光学顕微鏡写真である。なお、トランジスタTR10の構成、及びトランジスタTR10の導電体801a、導電体801b、導電体802、半導体803は、トランジスタTR8の記載を参酌する。
図51(B)のPhoto5は、図51(A)のトランジスタTR10に記した一点鎖線U5−U6の断面のAFM像である。なお、一点鎖線U5−U6は、トランジスタTR10のチャネル幅方向に沿っており、導電体801aの近傍の半導体803を横切るように位置している。Photo6は、Photo5の撮影箇所に対して、SSRM法を行って出力した電流像である。なお、トランジスタTR10の断面加工については、トランジスタTR8の断面加工の記載を参酌する。
図51(B)に示すAFM像、電流像は、トランジスタTR10の一点鎖線U5−U6上にある観察箇所P9、及び観察箇所P10を示している。
図51(B)に示すAFM像、電流像は、暗所環境での熱ストレス試験を1.0×105秒行った後に撮影した像である。該熱ストレス試験の条件は、トランジスタTR10に熱を与える熱源の温度を50℃とし、トランジスタTR10のゲート電極に印加する電位を20Vとし、トランジスタTR10のドレイン電極に印加する電位を20Vとし、トランジスタTR10のソース電極に印加する電位を0Vとしている。具体的には、導電体801aをソース電極として、導電体801bをドレイン電極として、導電体802をゲート電極として、電位を印加している。
図51(B)のPhoto6の結果及びグレースケールバーより、観察箇所P9の一部分において、0.5pA以上かつ3.0pA以下の電流が観測された。
このことから、観察箇所P9及び観察箇所P10、つまり活性層を形成する半導体803の導電体801aの近傍において、暗所環境での熱ストレス試験によってドナー密度が上昇したと考えられる。
上述の結果をまとめると、暗所環境での熱ストレス試験によって劣化した、つまりドナー密度が上昇した半導体803の箇所は、ドレイン電極近傍、及びチャネル幅方向の側端部であることが分かる。
(実験4)
実験1のIn−Sn−Zn酸化物の電流電圧特性にコブ(図47におけるHUMP)が現れる劣化現象と、実験3のドレイン電極の近傍のチャネル部のドナー密度が上昇している現象について、デバイス計算を用いてモデルの構築を行ったので、下記に説明する。
使用した計算ソフトは、Silvaco社のTCADシミュレータを使用して、3次元の系で計算を行っている。
計算を行ったときのトランジスタの構成について説明する。図52(A)乃至図52(C)に計算を行ったトランジスタ700の構造を示す。図52(A)、及び図52(C)はトランジスタ700の上面図、図52(B)はトランジスタ700の一点鎖線Q1−Q2の断面図である。なお、図52(A)、及び図52(C)は、一部の層を省略して図示している。図52(C)は、説明のために、半導体端部704d、半導体端部704e、及びΔWを図示し、かつ図52(A)のハッチングを省略している。
トランジスタ700は、ゲート電極として機能する導電体701を有し、導電体701の上部に絶縁体702を有し、絶縁体702の上部に酸化物半導体704を有する。トランジスタ700は、絶縁体702と酸化物半導体704の上部に、ソース電極又はドレイン電極の一方として機能する導電体703aと、ソース電極又はドレイン電極の他方として機能する導電体703bを有する。トランジスタ700は、酸化物半導体704と導電体703aと導電体703bの上部に絶縁体705を有する。
下記に、計算に用いたトランジスタ700のパラメータと定数を記す。導電体701の膜厚は150nmであり、仕事関数は4.6eVである。絶縁体702の膜厚は550nmであり、比誘電率は4.1である。酸化物半導体704の膜厚は20nmであり、電子親和力は4.6eVであり、価電子帯と伝導体の間のエネルギー障壁は2.9eVであり、比誘電率は15であり、電子移動度は30cm2/Vsであり、正孔移動度は、0.01cm2/Vsであり、価電子帯の実効状態密度は5.00×1018/cm3であり、伝導帯の実効状態密度は5.00×1018/cm3であり、絶縁体705に接する酸化物半導体704bのドナー密度は6.60×10−9/cm3であり、導電体703aの直下に位置する酸化物半導体704a及び導電体703bの直下に位置する酸化物半導体704cのドナー密度は5.00×1018/cm3である。導電体703a及び導電体703bの仕事関数は4.6eVである。絶縁体705の比誘電率は4.1であり、膜厚は450nmである。トランジスタ700のチャネル長Lは8μmであり、チャネル幅Wは50μmである。
本実験では、上述したパラメータに加え、さらに酸化物半導体704の端部にあたる半導体端部704d及び半導体端部704eの幅ΔWと、半導体端部704d及び半導体端部704eのドナー密度Ndをパラメータとして設定する。具体的には、試験EX8−1乃至試験EX8−5のドナー密度Ndを、それぞれ1.00×1016/cm3、5.00×1016/cm3、1.00×1017/cm3、5.00×1017/cm3、1.00×1018/cm3とする。試験EX8−1乃至試験EX8−5に対して、幅ΔWを50nm、100nm、250nm、500nmと条件を変えていき、各試験に対して全ての幅ΔWの条件での電流電圧特性を計算する。
図53に計算の結果を示す。dw1は幅ΔWが50nmの条件であり、dw2は幅ΔWが100nmの条件であり、dw3は幅ΔWが250nmの条件であり、dw4は幅ΔWが500nmの条件である電流電圧特性を示している。ID[A]は、ドレイン電流IDを示しており、VG[V]は、ゲート電圧Vgsを示している。
試験EX8−1、及び試験EX8−2では、幅ΔWを増加させても電流電圧特性に変化は見られなかった。試験EX8−3乃至試験EX8−5では、幅ΔWを増加させることで、図47に示した試験EX4−1のトランジスタTR5の電流電圧特性と同様に、シフト値が負の値をとり、かつしきい値電圧がプラス側に変化し、コブができる結果となった。つまり、ドナー密度Ndが1.00×1017/cm3以上であるときに、シフト値が負の値をとり、かつしきい値電圧がプラス側に変化すると考えられる。
実験1より、In−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタを、長時間、ゲート電極及びドレイン電極に高電位を印加した暗所環境での熱ストレス試験に行うことで、該トランジスタの電流電圧特性は、シフト値が負の値をとり、かつしきい値電圧がプラス側に変化して、該トランジスタの輸送特性の劣化が生じる。また、実験1よりドレイン電流IDの増加が起こらなかったことと、実験2よりホットキャリアの発光が観測されなかったことから、インパクトイオン化によるDAHC劣化が起きていないと考えられる。
さらに、実験3より、長時間、ゲート電極及びドレイン電極に高電位を印加した暗所環境での熱ストレス試験を行うことで、ドレイン電極の近傍のチャネル部のドナー密度が上昇する。実験4では、実験3の結果を元に劣化モデルを構築して、計算を行ったところ、シフト値が負の値をとり、かつしきい値電圧がプラス側に変化するという、実験1の電流電圧特性が再現された。上述より、暗所環境での熱ストレス試験によるトランジスタの劣化は、ドレイン電極の近傍のチャネル部及びチャネル幅方向におけるチャネル側端部のドナー密度が上昇することが起因として考えられる。
実施例2及び実施例3では、In−Sn−Zn酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタのストレス試験とその結果について説明した。本実施例では、In−Ga−Zn酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタのストレス試験とその結果について説明する。
(実験5)
図54(A)に、トランジスタTR11、及びトランジスタTR12に対して行った試験EX9−1の結果を示し、図54(B)に、トランジスタTR11に対して行った試験EX9−2の結果を示す。
トランジスタTR11、トランジスタTR12は、CAAC−OS構造のIn−Ga−Zn酸化物膜を有する、チャネル長が6μm、チャネル幅が50μmのトランジスタである。トランジスタTR11のトランジスタ構造は、図39に示す逆スタガ構造である。トランジスタTR12のトランジスタ構造は、図18(A)に示す逆スタガ構造を基にしたs−channel構造である。ただし、トランジスタTR12を形成する活性層は、絶縁体606a、半導体606b、絶縁体606cの積層構造ではなく、単層構造としている(今後、この単層構造の半導体を半導体606と表記する)。
トランジスタTR11は、基板201として、ガラス基板を有し、導電体204として、スパッタリング法で成膜した厚さ100nmのタングステン膜を有し、絶縁体212として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、半導体206として、厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を有し、導電体216a及び導電体216bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体218として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有している。
トランジスタTR12は、基板201として、ガラス基板を有し、導電体604として、スパッタリング法で成膜した厚さ100nmのタングステン膜を有し、絶縁体612として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、半導体606として、厚さ25nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を有し、導電体616a及び導電体616bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体618として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有している。導電体613として、厚さ100nmのインジウム錫酸化物膜を有している。
試験EX9−1は、トランジスタTR11、及びトランジスタTR12のそれぞれに熱を与える熱源の温度を50℃とし、それぞれのゲート電極に印加する電位を20Vとし、それぞれのドレイン電極に印加する電位を20Vとし、暗所環境での熱ストレス試験である。試験EX9−1で取得するデータは、試験開始直後(0秒、図54(A)ではinitialと表記)、試験開始1.0×102秒後、3.0×102秒後、1.0×103秒後、3.0×103秒後、6.0×103秒後の電流電圧特性である。図54(A)に示す、横軸はゲート電圧を示し、縦軸はドレイン電流を示している。図54(A)のグラフの中に示す、ΔVthは、試験開始から終了までにシフトしたしきい値電圧を示している。図54(A)のグラフの中に示す、ΔVdsは、ドレイン電極−ソース電極間の電圧を示している。
試験EX9−2は、トランジスタTR11に熱を与える熱源の温度を50℃とし、ゲート電極に印加する電位を30Vとし、それぞれのドレイン電極に印加する電位を30Vと、暗所環境での熱ストレス試験である。図54(B)に示す試験EX9−2で取得するデータ、及びグラフの記載については、図54(A)に示す試験EX9−1についての記載を参酌する。
図54(A)より、ストレス試験終了時において、トランジスタTR11のしきい値電圧は、プラス側に0.23V変化し、トランジスタTR12のしきい値電圧は、マイナス側に0.26V変化する結果となった。トランジスタTR12のしきい値電圧がマイナス側に変化した要因としては、ドレイン電流によるチャネル中のドナー密度が上昇したことが考えられる。
なお、トランジスタTR11への印加ストレスについて、初期電流量は220mAであり、試験終了間際での電流量は218mAであった。トランジスタTR12への印加ストレスについて、初期電流量は400mAであり、試験終了間際での電流量は419mAであった。このことから、トランジスタTR12のチャネル中のドナー密度が上昇した要因として、チャネル中に流れる電流の量に依存していると考えられる。
なお、トランジスタTR11とトランジスタTR12で、電流量に差が現れたのは、トランジスタTR12はs−channel構造を有しているからである。実施の形態3でも述べたが、トランジスタにs−channel構造を適用することで、該トランジスタのオン電流の量を高くすることができる。
試験EX9−1の結果の比較として、さらに大きい電流をIn−Ga−Zn酸化物を含むトランジスタに流し、その劣化現象を観察するため、試験EX9−2を行った。図54(B)に示すとおり、試験EX9−2を行った結果、トランジスタTR11の電流電圧特性において、コブが発生した。つまり、ゲート電極に印加する電位を30Vとし、それぞれのドレイン電極に印加する電位を30Vとし、暗所環境での熱ストレス試験を行った結果、トランジスタTR11の輸送特性が大きく劣化する結果となった。
(実験6)
図54(C)に、トランジスタTR13、及びトランジスタTR14に対して行った試験EX9−3を示す。
トランジスタTR13、トランジスタTR14は、CAAC−OS構造のIn−Ga−Zn酸化物膜を有する、チャネル長が6μm、チャネル幅が10μmのトランジスタである。トランジスタTR13のトランジスタ構造は、図39に示す逆スタガ構造である。トランジスタTR14のトランジスタ構造は、図18(A)に示す逆スタガ構造を基にしたs−channel構造である。ただし、トランジスタTR14を形成する半導体は、トランジスタTR12と同様に、絶縁体606a、半導体606b、絶縁体606cの積層構造ではなく、半導体606の単層構造としている。
トランジスタTR13を形成している材料は、トランジスタTR11の記載を参酌する。
トランジスタTR14を形成している材料は、トランジスタTR12の記載を参酌する。
試験EX9−3は、トランジスタTR13、及びトランジスタTR14のそれぞれに熱を与える熱源の温度を50℃とし、それぞれのゲート電極に印加する電位を6Vとし、それぞれのドレイン電極に印加する電位を30Vと、暗所環境での熱ストレス試験である。試験EX9−3で取得するデータは、試験開始直後(0秒、図54(C)ではinitialと表記)、試験開始8.0×103秒後、1.6×104秒後、2.4×104秒後の電流電圧特性である。図54(C)に示す、横軸はゲート電圧を示し、縦軸はドレイン電流を示している。図54(C)のグラフの中に示す、ΔVthは、試験開始から終了までにシフトしたしきい値電圧を示している。図54(C)のグラフの中に示す、ΔVdsは、ドレイン電極−ソース電極間の電圧を示している。
図54(C)より、試験終了時において、トランジスタTR13、及びトランジスタTR14のしきい値電圧は、それぞれマイナス側に0.05Vシフト、マイナス側に0.01Vシフトする結果となった。つまり、トランジスタTR13、及びトランジスタTR14のともにストレス試験による顕著な劣化は現れていないことが分かる。
(実験7)
図55に、トランジスタTR13、及びトランジスタTR14に対して行ったホットキャリア観測の結果を示す。なお、ホットキャリアの観察は、浜松ホトニクス社製のエミッション顕微鏡(PHEMOS−1000)を用いており、本観測は、CCDカメラで撮影したものである。なお、CCDカメラの観察波長範囲は、300nm以上かつ1100nm以下(可視光領域)となっている。
図55は、前述の実験6と同じストレス条件下でトランジスタTR13、及びトランジスタTR14を観察した結果である。図55に記載されているDはドレイン電極を示し、Gはゲート電極を示し、Sはソース電極を示している。図55の結果から、トランジスタTR13、及びトランジスタTR14の両方において、ホットキャリアに由来する発光が、ゲート電極と重なるドレイン電極の箇所の両角に観測された。
本実施例の実験6及び実験7より、In−Ga−Zn酸化物を有するトランジスタにおいて、ホットキャリアが発生しても、DAHC注入やCHE(Channel Hot Electron)注入が起こらないという高い信頼性を有することが示された。
ホットキャリアが生じても、ホットキャリアによる劣化が生じない理由として、In−Ga−Zn酸化物がワイドギャップ半導体であるからと考えられる。例えば、DAHC注入の要因として、チャネル内で起こるインパクトイオン化が挙げられるが、インパクトイオン化を引き起こす場合、理論的に活性層に適用される半導体のバンドギャップのおよそ1.5倍のエネルギーをホットキャリアが有する必要がある。In−Ga−Zn酸化物の場合、バンドギャップの値がおよそ3eVであるため、インパクトイオン化を引き起こすにはおよそ4.5eVのエネルギーが必要となり、本実施例の実験5及び実験6で行った局所電界の条件では、該エネルギーを有するホットキャリアは観測されていない。したがって、試験EX9−1乃至試験EX9−3の条件では、In−Ga−Zn酸化物を有するトランジスタにおいて、インパクトイオン化ならびにDAHC注入は起きていないと考えられる。
実施例2の試験EX3では、nc−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタTR3に対して、ゲート電圧を20V、ドレイン電圧を20V、ソース電圧を0V、熱源の温度を50℃とし、暗所環境での熱ストレス試験を0秒から1.0×104秒まで行った結果を示した。また、実施例3の試験EX4−1では、CAAC−OS構造のIn−Ga−Zn酸化物を有するトランジスタTR4と、CAAC−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタTR5と、に対して、ゲート電圧を20V、ドレイン電圧を20V、ソース電圧を0V、熱源の温度を50℃と、暗所環境での熱ストレス試験を0秒から1.0×105秒まで行った結果を示した。本実施例では、CAAC−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタと、nc−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物を有するトランジスタのそれぞれの作製工程の途中に酸素ドーピングを行い、それらのトランジスタに対して、暗所環境での熱ストレス試験を行った結果について説明する。
図56(A)(B)のそれぞれに、トランジスタTR15及びトランジスタTR16に対して行った試験EX11の結果を示し、図57(A)(B)のそれぞれに、トランジスタTR15及びトランジスタTR16に対して行った試験EX12の結果を示す。
トランジスタTR15は、CAAC−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物膜を有し、チャネル長が6μm、チャネル幅が50μmのトランジスタである。トランジスタTR15は、図58の模式図に示すトランジスタ200aの構造を有する。トランジスタ200aは、図39に示すトランジスタ200の絶縁体218上に絶縁体219を有する構造である。トランジスタTR15は、導電体204として、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜を有し、絶縁体212として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、導電体216a及び導電体216bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体218として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有し、絶縁体219として、厚さ100nmの窒化シリコン膜を有している。
トランジスタTR15は、半導体206として、スパッタリング法で形成した厚さ35nmのIn−Sn−Zn酸化物膜を有する。In−Sn−Zn酸化物膜は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=1:1:1(原子数比)のターゲットとし、スパッタリングガスとして20sccmのアルゴンと10sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、形成されたものである。
なお、トランジスタTR15は、絶縁体219を形成する前に、絶縁体218上に厚さ5nmのインジウム錫酸化物膜を形成している。該インジウム錫酸化物膜の形成後、酸素雰囲気で加熱を行い、該インジウム錫酸化物膜に酸素のドープを行っている。この工程を行うことにより、絶縁体218、半導体206に酸素を供給することができる。その後、該インジウム錫酸化物膜をエッチングによって除去し、絶縁体219を形成している。
トランジスタTR16は、nc−OS構造のIn−Sn−Zn酸化物膜を有し、チャネル長が6μm、チャネル幅が50μmのトランジスタである。トランジスタTR16は、図58の模式図に示すトランジスタ200aの構造を有する。トランジスタ200aは、図39に示すトランジスタ200の絶縁体218上に絶縁体219を有する構造である。トランジスタTR16は、導電体204として、スパッタリング法で成膜した厚さ150nmのタングステン膜を有し、絶縁体212として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜の積層を有し、導電体216a及び導電体216bとして、スパッタリング法で成膜した厚さ50nmのタングステン膜と厚さ400nmのアルミニウム膜と厚さ100nmのチタン膜の積層を有し、絶縁体218として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を有している。
トランジスタTR16は、半導体206として、スパッタリング法で形成した厚さ35nmのIn−Sn−Zn酸化物膜を有する。In−Sn−Zn酸化物膜は、スパッタリングターゲットをIn:Sn:Zn=2:1:3(原子数比)のターゲットとし、スパッタリングガスとして30sccmの酸素を成膜室に供給し、成膜室内の圧力を0.4Paに制御し、200Wの直流電力を供給し、成膜時の基板温度を300℃として、形成されたものである。
なお、トランジスタTR16は、トランジスタTR15と同様に、絶縁体219を形成する前に、絶縁体218上に厚さ5nmのインジウム錫酸化物膜を形成している。該インジウム錫酸化物膜の形成後、酸素雰囲気で加熱を行い、該インジウム錫酸化物膜に酸素のドープを行っている。この工程を行うことにより、絶縁体218、半導体206に酸素を供給することができる。その後、該インジウム錫酸化物膜をエッチングによって除去し、絶縁体219を形成する。
図56(A)は、トランジスタTR15について試験EX11を行った結果を表し、図56(B)は、トランジスタTR16について試験EX11を行った結果を表している。試験EX11は、トランジスタTR15、及びトランジスタTR16のそれぞれに熱を与える熱源の温度を60℃とし、それぞれのゲート電極に印加する電位を30Vとし、暗所環境で測定した熱ストレス試験である。なお、条件1は、ドレイン−ソース間電圧を0.1Vとしたときの電流電圧特性の測定結果を示し、条件2は、ドレイン−ソース間電圧を20Vとしたときの電流電圧特性の測定結果を示している。加えて、条件2−mは、条件2で取得したデータを基に、電界効果移動度を算出した結果を示している。また、条件1、条件2、条件2−mのそれぞれのデータは、時刻T0乃至時刻T4に取得したものである。時刻T0は、試験開始直後(0秒)とし、時刻T1は、試験開始1.0×102秒後とし、時刻T2は、6.0×102秒後とし、時刻T3は、1.8×103秒後とし、時刻T4は、3.6×103秒後としている。なお、ID[A]は、ドレイン電流IDを示しており、VG[V]は、ゲート電圧Vgsを示している。
図57(A)は、トランジスタTR15について試験EX12を行った結果を表し、図57(B)は、トランジスタTR16について試験EX12を行った結果を表している。試験EX12は、トランジスタTR15、及びトランジスタTR16のそれぞれに熱を与える熱源の温度を60℃とし、それぞれのゲート電極に印加する電位を−30Vとし、暗所環境で測定した熱ストレス試験である。なお、条件1は、ドレイン−ソース間電圧を0.1Vとしたときの電流電圧特性の測定結果を示し、条件2は、ドレイン−ソース間電圧を20Vとしたときの電流電圧特性の測定結果を示している。加えて、条件2−mは、条件2で取得したデータを基に、電界効果移動度を算出した結果を示している。また、条件1、条件2、条件2−mのそれぞれのデータは、時刻T0乃至時刻T4に取得したものである。時刻T0は、試験開始直後(0秒)とし、時刻T1は、試験開始1.0×102秒後とし、時刻T2は、6.0×102秒後とし、時刻T3は、1.8×103秒後とし、時刻T4は、3.6×103秒後としている。なお、ID[A]は、ドレイン電流IDを示しており、VG[V]は、ゲート電圧Vgsを示している。
図56(A)(B)より、トランジスタTR15、及びトランジスタTR16のそれぞれにおいて、しきい値電圧の変動が極めて小さいことが分かる。試験EX11の条件2において、トランジスタTR15のしきい値電圧の変動は、プラス方向に0.21Vであり、トランジスタTR16のしきい値電圧の変動は、プラス方向に0.29Vであった。また、時刻T0乃至時刻T4でドレイン電流IDが1.0×10−12Aとなるゲート電圧Vgsの変化量をシフト値とした場合、試験EX11の条件2において、トランジスタTR15のシフト値は、0.13Vであり、トランジスタTR16のシフト値は、0.27Vであった。
また、トランジスタTR15、及びトランジスタTR16のそれぞれの電界効果移動度についても高い値が得られた。トランジスタTR15の電界効果移動度は、最大で27.7cm2/(V・s)となり、トランジスタTR16の電界効果移動度は、最大で26.1cm2/(V・s)となった。
図57(A)(B)より、トランジスタTR15、及びトランジスタTR16のそれぞれにおいて、しきい値電圧の変動が小さいことが分かる。試験EX12の条件2において、トランジスタTR15のしきい値電圧の変動は、マイナス方向に1.55Vであり、トランジスタTR16のしきい値電圧の変動は、マイナス方向に1.23Vであった。また、時刻T0乃至時刻T4でドレイン電流IDが1.0×10−12Aとなるゲート電圧Vgsの変化量をシフト値とした場合、試験EX12の条件2において、トランジスタTR15のシフト値は、−1.64Vであり、トランジスタTR16のシフト値は、1.26Vであった。
また、トランジスタTR15、及びトランジスタTR16のそれぞれの電界効果移動度についても、試験EX11と同様に、高い値が得られた。トランジスタTR15の電界効果移動度は、最大で27.4cm2/(V・s)となり、トランジスタTR16の電界効果移動度は、最大で25.9cm2/(V・s)となった。
以上の試験EX11及び試験EX12の結果から、In−Sn−Zn酸化物の有するトランジスタに対して酸素をドープすることによって、信頼性の良い、かつ電界効果移動度の高いトランジスタを実現することができる。
なお、本実施例は、本明細書に示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。