JP2970895B2 - 精密部品組立用プライマー型アクリル系接着剤 - Google Patents

精密部品組立用プライマー型アクリル系接着剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精密部品組立用プライ
マー型アクリル系接着剤に関し、特に小型モーター等に
代表される精密部品の組立に用いられるプライマー型ア
クリル系接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ベアリング、プーリー等の嵌め合
い部品は圧入、焼きばめ等の機械的締結方法によって組
み立てられてきた。しかし、圧入や焼きばめ部品は精密
加工や特殊加工を必要としたり、組立作業の煩雑さ等の
ために生産コストが高くなるという問題点を有してい
た。
【0003】そこで近年、高精度部品を必要としない、
組立作業が簡便でスピード化が図れる、耐久性に優れて
いる等の理由で、機械的締結方法に代わってアクリル系
の嫌気性接着剤を用いた嵌め合い部品の組立が行なわれ
るようになってきており、特に精度やスピード化の要求
される精密嵌め合い部品の接着、例えばパーソナルコン
ピューターのハードディスクやフロッピィディスク、V
TR、CDプレーヤー、OA機器等の駆動装置に使用さ
れるステッピングモーター、DCモーター、サーボモー
ター、スピンドルモーター等の各種小型モーターのシャ
フトとローター、プーリー、ベアリングとの接着等に多
く用いられるようになってきた。
【0004】しかし、嫌気性接着剤を使用した場合は、
嵌め合い部品の間隙の空気が遮断された部分は硬化する
ものの、はみだした部分は硬化せずにいつまでも残り、
使用中に流れ出して他の部品を汚したり、ベアリングに
入った場合は固着してしまうという問題点を有してい
る。
【0005】この問題点を解決するために、間隙の部分
は嫌気硬化させ、はみだした部分は紫外線を照射して硬
化させる紫外線硬化型嫌気性接着剤が開発されている。
しかし、この紫外線硬化型嫌気性接着剤は高価な紫外線
照射装置を必要とし、また組立部品の構造によれば紫外
線が照射できない場合がある。更には、紫外線照射した
場合硬化はするものの一般的には完全硬化までには至ら
ず、未硬化のモノマーや光開始剤の光分解生成物が硬化
物中に内包される。したがって、高性能が要求される精
密機器部品の組立に紫外線硬化型嫌気性接着剤が用いら
れた場合、使用中にこの残存モノマーや光開始剤の分解
生成物がアウトガスとして発生して他の精密部品に付着
し、例えばHDDモーター部品の接着に用いた場合はア
ウトガスが読み書きヘッドに付着して読み書きが出来な
くなる等の重大なトラブルを発生させるという問題点を
有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の嫌気
性接着剤や紫外線硬化型嫌気性接着剤を用い、嵌め合い
部品の組立を行なった場合、良好な作業性や耐久性とい
う長所を損なうことなく、該接着剤を使用した場合に見
られる、はみだし部分が硬化しないという問題点やアウ
トガスの発生という問題点を解決した、精密部品組立用
プライマー型アクリル系接着剤を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは嫌気性接着
剤や紫外線硬化型嫌気性接着剤を用いた精密部品の組立
における上記の問題点を解決すべく検討を行なった結
果、精密部品の組立に特定組成のプライマー型アクリル
系接着剤を用いることにより、非常に短時間に部品の組
立ができ、しかもあふれた部分も完全に硬化してトラブ
ルの原因となる未硬化の接着剤やアウトガスの発生がな
くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明によれば、重合性(メタ)ア
クリルモノマー、酸性リン化合物および有機過酸化物を
含有する第一液と、還元剤としてバナジウム化合物を含
有する第二液とから構成されることを特徴とする精密部
品組立用プライマー型アクリル系接着剤が提供される。
【0009】本発明のプライマー型接着剤は、重合性
(メタ)アクリルモノマーと、酸性リン化合物及び有機
過酸化物を含有する主剤とプライマーとよばれる還元剤
(バナジウム化合物)を含有する硬化促進剤溶液とから
構成される。
【0010】本発明の精密部品組立用プライマー型アク
リル系接着剤の第一液に含有される重合性(メタ)アク
リルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフ
リル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシアルキルエステル、多価アルコールのポリ(メタ)
アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタ
ン(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはビス
フェノールSのアルキレンオキサイド付加物のジ(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0011】また、有機過酸化物としてはクメンハイド
ロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ
ーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウ
レート等のパーオキシエステル類、1,5−ジtブチル
パーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等
のパーオキシケタール類、アセト酢酸エチルパーオキサ
イド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられる。第一
液中の有機過酸化物の含有量としては0.1〜10重量
%、好ましくは1〜5重量%である。
【0012】一方、第二液に含有される還元剤としての
バナジウム化合物としては、バナジウムアセチルアセト
ネート、バナジルアセチルアセトネート、ステアリン酸
バナジル、バナジウムプロポキシド、バナジウムブトキ
シド、五酸化バナジウム等が挙げられる。なお、これら
はエチレンチオ尿素、アセチルチオ尿素、ベンゾイルチ
オ尿素等のチオ尿素化合物、サッカリン、α,α−ジピ
リジル、アスコルビン酸、バルビツール酸、アセチルア
セトン、α−ヒドロキシアセトン、ジヒドロキシアセト
ン、アセトイン、塩化ベンジル、p−トルエンスルホニ
ルクロライド、アルデヒドとアミンの縮合物等の他の還
元剤と併用してもさしつかえない。第二液中のバナジウ
ム化合物または銅化合物の含有量として0.01〜10
重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0013】また、バナジウム化合物は通常、有機溶剤
や可塑剤、または液状の還元剤等に溶解して使用され
る。
【0014】本発明のプライマー型アクリル系接着剤に
おいては、第一液にさらに酸性リン化合物を含有させた
ことにより接着剤の硬化特性が向上する。
【0015】酸性リン化合物としては、モノメチルホス
フェート、ジメチルホスフェート、モノエチルホスフェ
ート、ジエチルホスフェート、モノ−β−クロロエチル
ホスフェート、ジ−β−クロロエチルホスフェート、モ
ノエトキシエチルホスフェート、ジエトキシエチルホス
フェート、フェニルホスフェート、ジフェニルホスフェ
ート等の分子中にアルキル基、ハロゲン化アルキル基、
アルコキシアルキル基またはアリール基を含有する酸性
リン酸エステル、モノ(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル
ホスフェート、モノ(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルホスフェート等の分子中に(メタ)アクリロイルオキ
シ基を含有する酸性リン酸エステル、フェニルホスホン
酸、ジフェニルホスホン酸等のホスホン酸類、エチルピ
ロホスフェート、ジブチルピロホスフェート等の酸性ピ
ロリン酸エステル、さらにリン酸、亜リン酸、次亜リン
酸、ピロリン酸、ポリリン酸等のリンのオキシ酸等が挙
げられる。酸性リン化合物の含有量としては第一液およ
び/または第二液中に0.1〜20重量%、好ましくは
0.5〜10重量%である。
【0016】また、本発明の精密部品組立用プライマー
型アクリル系接着剤は熱可塑性樹脂やゴム等の増粘剤、
揺変性付与剤、着色剤、重合禁止剤等を含有したもので
あっても差しつかえない。
【0017】本発明の精密部品組立用プライマー型アク
リル系接着剤を用いて精密嵌め合い部品の組立する場合
は、例えば、嵌め合い部品の一方に第一液を、もう一方
に第二液を塗布した後、二つの嵌め合い部品を所定の位
置に嵌め込むことにより嵌め合い部品の間隙に接着剤を
充填し、これを室温または加熱下に放置して、嵌め合い
部品の間隙の接着剤およびはみだした接着剤を完全硬化
させる。はみだし部分は室温でも十分効果が進行するが
作業のスピードアップのためには加熱することが望まし
い。加熱温度としては精密部品に熱による悪影響がでな
い範囲内の温度が適用される。
【0018】
【作用】本発明の精密部品組立用プライマー型アクリル
系接着剤は、第一液中の有機過酸化物と第二液中のバナ
ジウム化合物との間で形成されるレドックス触媒系の作
用により硬化が速やか、かつ完全に進行するため、特に
短時間の組立、はみだし部分の硬化、アウトガスの抑制
等を要求される精密部品の組立に極めて優れた性能を発
揮することができる。
【0019】
【実施例】本発明を実施例および比較例によって更に詳
細に説明する。なお、物性等の測定は以下に示す方法で
行なった。また、表1及び比較例における成分の使用割
合は重量部で示す。 〈セットタイム・接着強度〉 接着剤を塗布した3mmφのアルミシャフトに内径3m
mφの鉄製ベアリングをはめ込み、23℃で放置して、
打ち抜き強度が5kgに達する時間をセットタイムと
し、24時間放置後の打ち抜き強度を接着強度とした。 〈はみだし部分の硬化性〉 鉄板上に塗布した接着剤をはめあい部品の間隙からはみ
だした接着剤と想定し、これを60℃で加熱して表面ま
で硬化する時間を指触にて測定した。 〈アウトガス〉 アウトガス発生の促進評価試験として、接着剤を60℃
で4時間加熱して硬化させた硬化物を100℃で10時
間ホールドして熱重量分析を行ない、その重量減少率よ
りアウトガスの発生量を評価した。
【0020】実施例1〜2 表1に示す組成の第一液および第二液からなる精密部品
組立用二液アクリル系接着剤を調製した。この接着剤の
第二液を3mmφのアルミシャフトに塗布乾燥し、次い
でその上に第一液を塗布した後、内径3mmφの鉄製ベ
アリングをはめ込み、23℃で放置してセットタイムお
よび接着強度の測定を行なった。また第二液を塗布乾燥
した上に第一液を塗布した接着剤につき、はみだし部分
の硬化性およびアウトガスの測定を行なった。結果を表
2に示す。
【0021】比較例1 テトラヒドロフルフリルメタクリレート75部、クロル
スルホン化ポリエチレン(デュポン社製 ハイパロン#
20)25部、メタクリル酸10部、エチレングリコー
ルジメタクリレート5部、クメンハイドロパーオキサイ
ド1部、2,6−ジ−tert.−ブチル−4−メチル
フェノール0.5部よりなる第一液、およびブチルアル
デヒドとアニリンの縮合物(大内新興化学社製 ノクセ
ラー8)よりなる第二液とからなる二液アクリル系接着
剤を調製した。この接着剤の第二液を3mmφのアルミ
シャフトに塗布し、次いでその上に第一液を塗布した
後、内径3mmφの鉄製ベアリングをはめ込み、23℃
で放置してセットタイムおよび接着強度の測定を行なっ
た。また第二液を塗布した上に第一液を塗布した接着剤
につき、はみだし部分の硬化性およびアウトガスの測定
を行なった。結果を表2に示す。
【0022】比較例2 ヒドロキシプロピルメタクリレート70部、ビスフェノ
ールAエチレンオキサイド2モル付加物のジメタクリレ
ート30部、アクリルポリマー(三菱レイヨン社製 ダ
イヤナールBR75)15部、o−ベンゾイックスルフ
ィミド1部、N,N−ジメチル−p−トルイジン0.3
部、クメンハイドロパーオキサイド2部、p−ベンゾキ
ノン0.02部よりなる嫌気性接着剤とバナジルアセチ
ルアセトネート0.3部、1,1,1−トリクロルエタ
ンよりなる嫌気硬化促進用プライマーを調製した。この
嫌気性接着剤とプライマーを用いてセットタイム、接着
強度、はみだし部分の硬化性、およびアウトガスの測定
を行なった。但し、アウトガスの測定は60℃で4時間
加熱後も硬化しないため未硬化のまま測定した。結果を
表2に示す。
【0023】比較例3 ウレタンアクリレート(根上工業社製 UN1255)
50部、ヒドロキシエチルメタクリレート50部、ジメ
チルベンジルケタール3部、o−ベンゾイックスルフィ
ミド1部、N,N−ジメチル−p−トルイジン0.3
部、クメンハイドロパーオキサイド2部、無水蓚酸0.
005部よりなる紫外線硬化型嫌気性接着剤を調製し
た。この紫外線硬化型嫌気性接着剤を使用してセットタ
イム、接着強度、はみだし部分の硬化性、およびアウト
ガスの測定を行なった。但し、はみだし部分の硬化性は
80w/cmの高圧水銀灯を用いて照度100mw/c
の紫外線を照射して測定した。また、アウトガスは
紫外線を16秒間照射後、さらに60℃で4時間加熱し
た硬化物について測定した。結果を表2に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表2から明らかなように、酸性リン化合物
を含有していない嫌気性接着剤を用いた場合ははみだし
部分は全く硬化せず、紫外線硬化型嫌気性接着剤を用い
た場合は紫外線を照射することによりはみだし部分は硬
化するもののアウトガスは多かった。また、本発明以外
の二液型アクリル系接着剤を用いた場合はセットタイ
ム、はみだし部分の硬化性、アウトガスのすべてを満足
することができなかった。しかるに、本発明の精密部品
組立用プライマー型アクリル系接着剤を用いた場合は嫌
気性接着剤と同程度またはそれ以下のセットタイムを示
し、短時間組み立てが可能であると共に、はみだし部分
も硬化し、アウトガスも非常に少なかった。
【0027】
【発明の効果】本発明の精密部品組立用プライマー型ア
クリル系接着剤は、従来の嫌気性接着剤や紫外線硬化型
嫌気性接着剤を用いた精密部品の組立に見られる、はみ
だし部分が硬化しないという問題点やアウトガスの発生
という問題点を解決したもので、この二液型アクリル系
接着剤を用いることにより非常に短時間に精密嵌め合い
部品を組立ることができ、また、はみだした部分も完全
に硬化するため、未硬化の接着剤やアウトガスの発生が
原因のトラブルが防止できるという優れた効果を発揮す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土肥 秀美 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業 株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−125331(JP,A) 特開 平4−149290(JP,A) 特開 昭62−185772(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性(メタ)アクリルモノマー、酸性
    リン化合物および有機過酸化物を含有する第一液と、還
    元剤としてバナジウム化合物を含有する第二液とから構
    成されることを特徴とする精密部品組立用プライマー型
    アクリル系接着剤。
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