JP3137792B2 - 成形可能な繊維基材の製造方法 - Google Patents

成形可能な繊維基材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形可能な繊維基材、
特に自動車の天井材、ドアトリム、リヤーシェル、フロ
アマット、トランクまわり、コンソール等の内装材とし
て、さらにパッケージトレー、帽子、壁材料等の成形材
等として有用な成形可能な繊維基材の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の上記の内装材としては、
下記のような成形性を有するニードルパンチカーペット
が多く用いられてきた。
【0003】(i)ポエチレンテレフタレート繊維や羊
毛等よりなる繊維マットと、ポリエチレン(融点118
℃)、線状ポリエステル(融点140℃)、ポリプロピ
レン(融点135〜164℃)等の低融点繊維とよりな
る混合繊維マットをニードリングしてマット間を仮止め
したのち、加熱して低融点繊維を溶融させ、繊維間を結
合させたニードルパンチカーペット。
【0004】(ii)ニードリングして得た繊維マットに
熱可塑性樹脂の水性エマルジョンを含浸させてから乾燥
して得たニードルパンチカーペット。
【0005】しかしながら、(i)のカーペットは、一
般にクッション性、軽量性に優れているが、成形性、剛
性が不十分であった。また、(ii)のカーペットは、ク
ッション性が良好であるが、耐熱保型性と剛性との両立
が困難であり、かつ特に剛性を高くしようとすれば繊維
マット量及び樹脂水性エマルジョン量を増加する必要が
あり、軽量性が損なわれるという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、剛性とクッ
ション性がバランスよく優れ、かつ成形性、耐熱保型性
が良好で、しかも軽量性にも優れた、特に自動車の種々
の内装材として好適な繊維基材を製造する方法を提供し
ようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の成形可能な繊維
基材の製造方法は、融点100〜200℃の繊維(A)
15〜50重量%と、該繊維(A)よりも40℃以上高
い融点を有する繊維(B)85〜50重量%よりなる混
合繊維マットをニードリングしたカーペットの片側より
成膜温度が40℃以下の樹脂水性エマルジョン(a)を
塗布し、また前記カーペットの反対側より成膜温度が1
00℃以下の樹脂水性エマルジョン(b)を塗布したの
ち、該樹脂水性エマルジョン(b)の成膜温度以上で、
かつ前記繊維(A)が溶融するが、前記繊維(B)が溶
融しない温度に加熱して繊維(A)の溶融した状態で加
圧、圧縮することを特徴とする方法である。
【0008】本発明におけるニードリングしたカーペッ
トは、融点が100〜200℃の繊維(A)15〜50
重量%と、該繊維(A)よりも40℃以上高い融点を有
する繊維(B)85〜50重量%よりなる混合繊維マッ
トをニードリングしたマットである。繊維(A)は、好
ましくは繊維の太さが1.2〜300デニールであり、
繊維長が25〜150mmである。また、繊維(B)
は、好ましくは繊維の太さが1.2〜300デニールで
あり、繊維長が25〜150mmである。
【0009】その繊維(A)は、融点が低すぎると、塗
布した樹脂水性エマルジョンを加熱乾燥する際にカーペ
ットが収縮する問題が生じるし、またその融点が高すぎ
ると繊維(B)との融点差がなくなり、かつ加圧、圧縮
の際の型忠実性が低下してくるので、融点100〜20
0℃の範囲の繊維が用いられる。好ましい繊維(A)と
しては、ポリエチレン(融点118℃)、線状ポリエス
テル(融点140℃)、ポリプロピレン(融点135〜
164℃)などの繊維があげられる。
【0010】また、繊維(B)は、繊維(A)よりも4
0℃以上、好ましくは70℃以上高い融点を有する繊維
が使用される。繊維(B)の融点が、繊維(A)の融点
にあまり近づくと、加圧、圧縮時に繊維(B)が熱収縮
をおこし、カーペットとしての外観や意匠性が著しく悪
くなる。使用される繊維(B)の具体例としては、ポリ
エチレンテレフタレートやポリアミドなどの合成繊維、
木綿、麻、羊毛等の天然繊維があげられる。
【0011】本発明のニードリングカーペットにおける
混合繊維の混合割合は、混合繊維全量に対して繊維
(A)が15〜50重量%、好ましくは20〜40重量
%であり、繊維(B)が85〜50重量%、好ましくは
80〜60重量%である。繊維(A)の割合が少なすぎ
ると{換言すれば繊維(B)の割合が多ぎると}、得ら
れる繊維基材の剛性及び耐熱保型性が不充分となるし、
逆に繊維(A)の割合が多すぎると、繊維基材の風合い
が損なわれ、クッション性が低下する。
【0012】そのニードリングカーペットを製造するに
は、繊維(A)と繊維(B)とを充分に混合開繊した混
合繊維をウエブ形成装置に供給し、所望の繊維目付量に
なるように積み重ねて得られたウエブを垂直方向にニー
ドリングして繊維同志をからみ合わせて仮止めする方
法、又はその他公知方法をはじめとする種々の方法が用
いられる。
【0013】このようにして得られたニードリングカー
ペットは、次いで該カーペットの片側より成膜温度が4
0℃以下の樹脂水性エマルジョン(a)を塗布し、また
その反対側より成膜温度が100℃以下の樹脂水性エマ
ルジョン(b)を塗布する。
【0014】樹脂水性エマルジョン(a)を塗布するこ
とにより、繊維同志の固着性を高めることができる。ま
た、樹脂水性エマルジョン(a)には着色剤、特に顔料
を添加するのが望ましい。樹脂水性エマルジョン(a)
に着色剤を添加しておくことにより、生成する繊維基材
の意匠性を高め、商品価値を向上できる。樹脂水性エマ
ルジョン(a)に添加する着色剤の顔料は、通常、この
種の樹脂水性エマルジョンの着色に用いられる着色顔料
でよい。また、樹脂水性エマルジョン(a)には、必要
に応じて顔料分散剤、或いは繊維自体の色を目立たなく
するための体質顔料等を添加することができる。
【0015】樹脂水性エマルジョン(a)の成膜温度
は、40℃以下、好ましくは20℃以下である。成膜温
度が高くなりすぎると、得られる繊維基材の風合いが損
なわれ、クッション性が低下する。また、この樹脂水性
エマルジョン(a)の成膜温度が40℃以上であって
も、テキサノール、ベンジルアルコール、ブチルセロソ
ルブなどの成膜助剤を添加することにより、成膜温度を
40℃以下にすることができるが、後の工程でカーペッ
トを加熱したり、成型したりする時に成膜助剤が表面に
移行することがあるので、成膜助剤を入れすぎるのは好
ましくない。
【0016】樹脂水性エマルジョン(a)の塗布量は、
不揮発分量で60〜250g/m2が好ましい。その塗
布量が少なすぎると、表層繊維の固着が不充分となる
し、逆に多すぎると、繊維基材の風合の低下を起すし、
重量増加により軽量性が失なわれるし、着色による意匠
性の向上効果が失なわれる。
【0017】また、ニードリングカーペットの反対側よ
り塗布する樹脂水性エマルジョン(b)は、繊維基材に
剛性を付与する作用をする。樹脂水性エマルジョン
(b)の成膜温度は100℃以下、好ましくは樹脂水性
エマルジョン(a)の成膜温度よりも高い温度である。
その成膜温度が高くなりすぎると、成形性が低下し、ク
ッション性が悪くなる。
【0018】樹脂水性エマルジョン(b)の塗布量は、
ニードルパンチカーペットに対する含浸部の厚さが表面
から35〜80%に達する程度の量とするのが、繊維基
材の剛性と風合いとのバランス上望ましい。
【0019】樹脂水性エマルジョン(a)、及び樹脂水
性エマルジョン(b)は、スチレン、アクリル酸アルキ
ルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、エチレ
ン、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、ジエン
化合物等の単量体を単独で、又は種々に組合わせて、公
知の方法にしたがって水性媒体中で乳化重合させること
により製造することができる。特に、樹脂水性エマルジ
ョン(a)の場合の樹脂は、成膜温度が40℃以下の樹
脂エマルジョンを設計しやすいことから、スチレン−ア
クリル酸アルキルエステル共重合体、メタクリル酸アル
キルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、
スチレン−ジエン化合物共重合体が望ましい。
【0020】ニードルパンチカーペットに樹脂水性エマ
ルジョン(a)、及び樹脂水性エマルジョン(b)を塗
布する方法としては、種々の方法がある。たとえばロー
ル方式、ドクターナイフ方式、又はスプレー方式が一般
的な方法としてあげられるが、カーペットへの含浸を促
すために、塗布と同時に又は塗布後にプレスロールを通
して圧搾する場合もある。
【0021】このようにして、樹脂水性エマルジョン
(a)及び樹脂水性エマルジョン(b)が塗布されたニ
ードルパンチカーペットは、好ましくは加熱乾燥して水
分を除去し、両面側から樹脂が塗布された乾燥ニードル
パンチカーペットとするが、この加熱乾燥工程は必須で
はない。その加熱乾燥方法としては、種々の方法が可能
である。代表的な加熱乾燥方法は、まず樹脂水性エマル
ジョン(a)を塗布して乾燥し、次いで樹脂水性エマル
ジョン(b)を塗布して乾燥する方法、又は樹脂水性エ
マルジョン(a)と樹脂水性エマルジョン(b)とを順
次に塗布した後に乾燥する方法があげられる。
【0022】以上のようにして樹脂水性エマルジョン
(a)及び樹脂水性エマルジョン(b)を塗布し、かつ
好ましくは加熱乾燥して得られたニードルパンチカーペ
ットは、次いで、樹脂水性エマルジョン(b)の成膜温
度以上で、かつ繊維(A)が溶融するが、繊維(B)が
溶融しない温度に加熱して繊維(A)が溶融した状態で
加圧、圧縮すると、目的の繊維基材が得られる。その加
熱温度は、たとえば130〜250℃、好ましくは15
0〜220℃であり、圧縮の程度は、得られる繊維基材
の見掛け密度が、通常、0.15〜0.45g/cm3
となる程度とする。圧縮の程度が高すぎると、得られる
繊維基材は見掛け密度が高くなりすぎて、クッション性
及び剛性が低下するし、圧縮の程度が低すぎると、得ら
れる繊維基材は見掛け密度の低いものとなり剛性が不十
分となる。
【0023】
【実施例】以下に、実施例及び比較例をあげてさらに詳
述する。これらの例に記載の「%」及び「部」は、いず
れも重量基準によるものである。
【0024】実施例1 太さ15デニール及び繊維長約100mmのポリプロピ
レン繊維(融点164℃)(「PP」と略称することが
ある)20%と、太さ15デニール及び繊維長75〜1
25mmのポリエチレンテレフタレート繊維(融点26
4℃)(「PET」と略称することがある)80%との
混合繊維をランダムに積み重ねた繊維マット(540g
/m2 )を、15−18−32−3RBの針を用いて1
平方インチ(645平方mm)当り50本の割合でニー
ドリングし、肉厚約4.8mm、見掛密度0.11g/
cm3 のニードリングカーペットとした。
【0025】別に、スチレン(30%)−アクリル酸ブ
チル(68%)−アクリル酸(2%)の共重合体樹脂水
性エマルジョン{エマルジョンの成膜温度が0℃以下
で、樹脂のガラス転移温度(Tg)が−18℃、固形分
含量50%}(「樹脂水性エマルジョンI」という)を
用い、これに下記の割合で顔料等を配合して、灰色に着
色した樹脂水性エマルジョンを調製した。
【0026】 樹脂水性エマルジョンI 100部 水 80部 酸化チタン 40部 炭酸カルシウム 20部 増粘剤 *1 50部 着色材 *2 5部 注1・・・ヒドロキシエチルセルロースの2%水溶液 注2・・・大日本精化株式会社商品名 EP−510ブラック
【0027】上記において得られたニードリングカーペ
ットに、上記の灰色に着色した樹脂水性エマルジョン
を、樹脂分が150g/m2 になるように、片面からロ
ール塗工し、かつ反対面から、スチレン(60%)−ア
クリル酸ブチル(38%)−アクリル酸(2%)の共重
合体樹脂の水性エマルジョン(エマルジョンの成膜温度
40℃、樹脂のTgが−18℃、固形分含量50%)
を、樹脂分が250g/m2 になるようにロール塗工し
たのち、ニップロールによって加圧して、樹脂エマルジ
ョンをカーペット内に含浸させた。
【0028】次いで、この樹脂エマルジョン塗布カーペ
ットをシリンダー乾燥機を用いて150℃の温度で加熱
乾燥した。
【0029】得られた樹脂エマルジョン塗布乾燥カーペ
ットを、サクション乾燥機(機内温度190℃)内を3
分間で通過させて、カーペットのポリプロピレン繊維を
溶融させ、その状態で冷却ロールを通してカーペットを
圧縮し、目付重量940g/m2 、肉厚3.2mmの繊
維基材を得た。
【0030】表1に、その繊維基材の製造条件、及び得
られた繊維基材についての下記の各評価試験を行なった
結果を摘記した。
【0031】 曲げ強度 繊維基材より15cm×5cmの試料片をとり、スパン
10cmの中心でインストロン型試験機を用いて5cm
/分の速度で押し、3点曲げ強度(5cm巾での最大曲
げ強度)を測定した。
【0032】 クッション性 4cm×4cmの試料片をとり、台上に置き、試料片の
中央に、1cm×1cmの加圧端子をインストロン型試
験機を用いて0.2Kg/cm2 の圧を負荷したのち、
該圧を開放したときに、加圧端子が上方に戻ったものを
クッション性ありと評価した。
【0033】 成形後の下地のすけ 繊維基材を190℃の熱風で3分間加熱後、0.35K
g/cm2 Gの圧力で着色面を上にして圧縮成形して縦
及び横がそれぞれ20cm、深さ3cmのトレイ状の成
形物を成形し、この成形物を着色面側から見て下地のす
けを調べ、下記の基準により評価した。 ○・・・下地のすけのないもの ×・・・下地のすけのあるもの
【0034】 成形物の耐熱性 で得られたトレイ状成形物を、95℃のオーブン中で
1日放置し、とり出した後の変形の程度を目視により判
定し、下記の基準により評価した。 ○・・・変形が全く認められない △・・・わずかな変形がある ×・・・原形をとどめない程度に変形している
【0035】実施例2〜3 比較例1〜4 繊維基材の製造条件を表1及び表2にそれぞれ示すよう
に変更し、そのほかは実施例1の方法に準じて種々の繊
維基材を製造した。得られた各繊維基材について、実施
例1におけると同様の各試験をした結果は表1及び表2
に示すとおりであった。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表1及び表2からわかるように、実施例の
繊維基材は、剛性(曲げ強度)、クッション性及び成形
物の耐熱性(耐熱保型性)がバランスよく優れている。
【0039】
【発明の効果】この繊維基材は、剛性、クッション性、
成形性、耐熱性(耐熱保型性)がバランスよく優れ、し
かも軽量性にも優れているから、種々の用途、特に自動
車の内装材用等に適する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 平井 裕彰 (56)参考文献 特開 昭62−299582(JP,A) 特開 昭56−43457(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 D06M 13/00 - 15/72

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点100〜200℃の繊維(A)15
    〜50重量%と、該繊維(A)よりも40℃以上高い融
    点を有する繊維(B)85〜50重量%よりなる混合繊
    維マットをニードリングしたカーペットの片側より成膜
    温度が40℃以下の樹脂水性エマルジョン(a)を塗布
    し、また前記カーペットの反対側より成膜温度が100
    ℃以下であるが、但し樹脂水性エマルジョン(a)の成
    膜温度より高い樹脂水性エマルジョン(b)を塗布した
    のち、該樹脂水性エマルジョン(b)の成膜温度以上
    で、かつ前記繊維(A)が溶融するが、前記繊維(B)
    が溶融しない温度に加熱して繊維(A)の溶融した状態
    で加圧、圧縮することを特徴とする成形可能な繊維基材
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂水性エマルジョン(a)が、顔料で
    着色した水性エマルジョンである請求項1に記載の製造
    方法。
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