JP3144297B2 - 真空マイクロデバイス及びその製造方法 - Google Patents

真空マイクロデバイス及びその製造方法

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JP3144297B2 JP12043596A JP12043596A JP3144297B2 JP 3144297 B2 JP3144297 B2 JP 3144297B2 JP 12043596 A JP12043596 A JP 12043596A JP 12043596 A JP12043596 A JP 12043596A JP 3144297 B2 JP3144297 B2 JP 3144297B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は真空マイクロデバイ
ス及びその製造方法に係り、特に微小なマイクロ波真空
管や微小な表示素子等などの応用に用いられる電界放出
型冷陰極と呼ばれる真空マイクロデバイス及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン半導体技術を利用すると非常に
微小な電界放出型冷陰極を作製することが可能であり、
従来からいくつかの方法が知られている。しかし、電界
放出型冷陰極の機能を高めるには、エミッタの先端が尖
っていること、および複数のエミッタの形状が均一に揃
っていること等の形状的な要求の他に、仕事関数が低く
また環境によって変化しにくいエミッタ材料を用いる等
の材料的な要求を満足させることが必要である。
【0003】このため、近年、シリコン基板に底面が尖
った凹部を設けてこれにエミッタ材料を埋め込み、その
後エミッタからシリコン基板を分離するというモールド
法の原理を利用した作製方法が注目を集めるようになっ
た。このモールド法を利用した電界放出型冷陰極の作製
方法は、米国特許明細書第4307507号にてグレイ
(H.F.Grey)等により最初に報告された(H.F.Gr
ey,et.al、「Method of Manufacturing a Field-Emissi
on Cathode Structure」、US Patent 4307507)。
【0004】このモールド法は、シリコン基板に多数の
微小な凹部を均一に作製できること、そしてエミッタ材
料をこの凹部に埋め込むだけでよいので加工が容易であ
り種々のエミッタ材料が利用できるという特長がある。
しかし、このグレイ等が発明した電界放出型冷陰極の作
製方法には、もしエミッタ材料が薄い薄膜であるときに
は、エミッタをシリコン基板から分離したときにエミッ
タの強度が十分でないために、エミッタを厚く作製しな
ければならないという制限があった。このためエミッタ
の作製時間が長くなり、また、エミッタ材料に残留する
大きな応力を制御する技術が必要であるという課題が残
されていた。
【0005】薄いエミッタ薄膜を用いて冷陰極デバイス
を作製することを可能とする一つの方法は、このエミッ
タ薄膜を十分の強度をもつ構造基板に張り付けて補強す
るという方法である。この方法を用いて三極管構造の真
空マイクロデバイスを作製した従来例として、特開平6
−36682号公報(中本等、発明の名称:「電界放出
型冷陰極の製造方法、それを用いた電界放出型冷陰極、
および平板型画像表示装置」)が知られている。以下、
図6および図7を用いてこの従来技術を説明する。
【0006】図6はモールド法を利用した真空マイクロ
デバイスである電界放出型冷陰極の構造断面図を示す。
ガラス基板100の上に電流放射領域104において先
端が尖った形状を持つエミッタ電極101が設けられて
おり、この上に酸化膜102を介してゲート電極103
が作製されている。
【0007】ゲート電極103とエミッタ電極101と
の間に100V程度の電圧を印加すると、電流放射領域
104においてエミッタ電極101の先端が鋭く尖って
いるために、10 V/cm程度の強い電界が生じる。
そして、この強い電界のためにエミッタ電極101の先
端から電子が放射される。
【0008】電流放射領域104はこのように強い電界
を発生させる領域であるため、精密な精度でエミッタ電
極101およびゲート電極103の形状を制御すること
が要求される。なお、ボイド105はエミッタ電極10
1をガラス基板100に接着する途中に作製されるもの
であり、なるべく小さくすることが望ましい。
【0009】図7は、図6の従来の真空マイクロデバイ
ス(電界放出型冷陰極)を作製するための製造方法を示
す。まず、図7(a)に示すように、シリコン基板11
0上に酸化膜111をマスクにして1μm角で深さ0.
7μm程度の大ききをもつ開口穴116を形成する。こ
のとき、KOH水溶液を用いてシリコン基板110をエ
ッチングすると逆三角錐の断面形状をもつ開口穴116
を容易に作製することができる。
【0010】次に、図7(b)に示すように、シリコン
基板110を酸化して厚さ約300nm程度の酸化膜1
12を開口穴116の内部に作製する。続いて、酸化膜
112の上にエミッタメタル113を約1μm堆積す
る。ここで、酸化膜112を開口穴116の中に作製す
ると開口穴116の先端の形状を鋭く尖らせることが可
能となる効果がある。
【0011】次に、図7(c)に示すように、エミッタ
メタル113とガラス基板100を静電接合法を用いて
接着する。その後、接着した試料をKOH水溶液の中に
浸して、シリコン基板110を完全に除去し、酸化膜1
12を露出させる。KOH水溶液を用いたエッチング
は、酸化膜112に比べてシリコン基板110のエッチ
ング速度が約100倍大きいために、同図(c)に示す
構造が得られる。
【0012】続いて、図7(d)に示すように、ゲート
メタル114をスパッタリングにより酸化膜112上に
厚さ約1μm形成し、更にそのゲートメタル114の表
面にレジスト115を塗布する。ここで、エミッタメタ
ル113およびゲートメタル114は通常モリブデンが
用いられる。
【0013】続いて、図7(e)に示すように、ドライ
エッチング装置を用いて試料全面が均一な速度でエッチ
ングされる条件でバックエッチを行ってレジスト115
を除去し、尖った先端が形成されている領域117の酸
化膜112が露出したところでバックエッチを終了す
る。
【0014】そして、図7(f)に示すように、レジス
ト115を除去した後、試料をHF溶液に入れてエミッ
タメタル113の先端部周囲の領域117で露出してい
る酸化膜112を選択的にエッチング除去する。このよ
うにして、エミッタ電極101用のエミッタメタル11
3の先端を露出させることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の図7の
製造方法により製造された図6の構造の従来の真空マイ
クロデバイスは以下の欠点が存在している。電流放射領
域104に設けられたエミッタ電極101の先端から放
射される電子は、この先端部に誘起された電界が大きい
ほど放射されやすくなる。大きな電界を得るためには、
ゲート電極103とエミッタ電極101との間に加える
電圧を増加させることが最も容易な方法であるが、駆動
回路の信号電圧を低く抑えたいというシステム側からの
要求があるため、現在低い電圧で駆動できるデバイス構
造の改良が望まれているところである。
【0016】一方、エミッタ電極101の先端に印加さ
れる電界は一般に先端の曲率半径に反比例して増大する
という性質がある。従って、先端の曲率半径を小さくす
る(即ち、非常に尖った形状にする)ことによって、デ
パイスに印加する電圧を低く抑えたままで大きな電流を
得ることが可能である。
【0017】図7に示した製造方法で製造された従来の
真空マイクロデバイス(電解放出型冷陰極)では、シリ
コン基板110に設けた開口穴116の形状をさらに鋭
くするために、穴を酸化するという方法(図7(b))
を用いている。シリコンの酸化はシリコン基板110を
高温に熱した酸素雰囲気中に置くことによって実現され
るが、開口穴116の内部ではシリコンと反応する酸素
が不足するということが生じる。このため、酸化によっ
て作製されたシリコン酸化膜112の膜厚が開口穴11
6の内部では薄くなるということが起こる。この性質を
利用して、穴の内部においてシリコン基板に設けた開口
穴116よりもさらに鋭く尖った形状をもつ酸化膜11
2の形状を得ることができる。
【0018】図7に示したモールド法を利用した作製方
法では、この鋭く尖った形状の開口穴116の中にエミ
ッタメタル113を埋め込むために(同図(b))、酸
化膜112の形状と反転した凸型の尖った先端をもつエ
ミッタ電極を作製することが可能であった。
【0019】しかし、この開口穴116の中を酸化する
ことによってエミッタ電極の先端を鋭くするという方法
にはある限界がある。良く知られているようにシリコン
の酸化は酸化膜厚が薄いときには時間に比例して増大す
る(シリコン表面での酸化反応が律速)が、やがて時間
の平方根に比例して増大するようになる(シリコン酸化
膜中を移動する酸素の拡散が律速)。このため、先端の
周囲の酸化膜厚が厚くなると、この領域の酸化膜厚の増
大速度が小さくなる(時間の平方根に比例)ということ
が起こる。
【0020】一方、先端部の酸化膜厚は薄いために、膜
厚は酸化時間に比例して増大する。この結果、開口穴1
16の内部において酸素濃度の不足による酸化膜の成長
抑制効果と、膜厚が薄いことによる成長速度一定時間が
長く続くことの効果が均衡して、ある時間以降において
酸化時間を長くしても先端を尖らせることができなくな
る。この限界は、およそ開口穴116の外部の酸化膜厚
が300nm程度になったときと考えられる。
【0021】以上のことから、図7の従来の製造方法に
よって作成された図6に示す従来のデバイスでは、エミ
ッタ電極101にモリブデンを使用したときに、およそ
100V程度の高い電圧を使用しなければならず、デバ
イス駆動電圧をできるだけ低くしたいという要求を満足
できない。
【0022】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、
電流が放射される凸型状の電極の先端をより一層鋭くし
た構造の真空マイクロデバイス及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の真空マイクロデバイスは、構造基板と、構
造基板上に形成された、先端を尖らせた凸形状をもつ第
一の電極と、第一の電極の上方に、第一の電極の先端部
を露出させるように形成されている第二の電極と、第一
の電極と第二の電極との間に設けられて両電極を電気的
に絶縁する絶縁膜と、第一の電極と絶縁膜との間に設け
られ、先端に近づくに従って薄くなる凸形状をもつと共
に、第一の電極の先端部を露出させた、粒子の堆積によ
って作製される絶縁材料からなるモールド層とを有する
構成としたものである。
【0024】 また、本発明方法は、上記の目的を達成
するため、第1の基板の一方の表面に断面が逆三角形状
の穴を設ける第1の工程と、穴内を含む第1の基板の表
面に絶縁膜を設ける第2の工程と、第2の工程の後に
の奥に近づくに従って薄くなる先端形状をもつモールド
層を、粒子を堆積させる手段を用いて穴の内部に設ける
第3の工程と、第一の電極になる材料を穴の内部に埋め
込む第4の工程と、第一の電極の表面で第1の基板の前
記穴が形成された面とは反対側の面に第2の基板を接合
した後該第1の基板を除く第5の工程と、第二の電極に
なる材料をモールド層及び絶縁膜が作製された構造体上
に形成する第6の工程と、モールド層及び絶縁膜及び第
二の電極材料のそれぞれ一部を選択除去して第一の電極
になる材料の尖った先端部を露出させる第7の工程とを
含むことを特徴とする。
【0025】本発明では、従来のシリコン酸化膜の製造
方法(シリコン表面の酸化反応成長が穴の中で特異性を
示す方法)と異なった方法を用いて作成したモールド層
を、コーンの先端に近付くに従って薄くなる形状を持つ
ように制御したことに特徴がある。このモールド層の形
状に沿って第一の電極となる材料を埋め込むことによっ
て、従来よりも更に尖った形状を持つ第一の電極を作成
することが可能である。
【0026】次に、図4を使用して本発明の作用を説明
する。図4はスパッタによってイオン粒子が飛散して基
板に堆積する様子を示したものである。同図(a)にお
いて、表面に断面が逆三角形状の穴40が形成され、か
つ、その穴40の内部に酸化膜22が形成された第1の
基板としての基板110の上方からのスパッタイオン3
0を照射すると、スパッタイオン30は基板110に対
してある広がり角をもって近付いてくる。この結果、基
板110の表面に設けられた穴40の内部及び外部にお
いて、スパッタイオン30が堆積して前記モールド層と
なるモールドレアー20が作製される。
【0027】このとき、イオン30の堆積速度が穴40
の外部に比べて小さくなる。この傾向はスパッタイオン
30が堆積して作製されたモールドレアー20の膜厚が
増大するに従ってさらに著しく強調される。一般に、こ
のような特性はスパッタのシャドウイング効果として知
られているものである。同図(a)にはこのようにして
作製されたモールドレアー20の形状が模式的に示され
ている。穴40の内部においてモールドレアー20が穴
40の奥に進むに従って薄くなるために、モールドレア
ー20の上面の形状が酸化膜22の開口の形状に比べて
鋭く尖った凹部になる。
【0028】同図(b)は、上で述べた製造方法によっ
て製造されたモールドレアー20の上にエミッタメタル
21を埋め込む一つの方法を示したものである。広がり
角をもって基板110方向に飛散するスパッタイオン2
1をスリット33を介してモールドアレー20が形成さ
れている基板110上に照射すると、スリット33によ
りスパッタイオン31の中の広がり角をもった成分が除
去され、スリット33を通過したスパッタイオン32は
基板110の表面に垂直な方向をもったものだけとな
る。このスパッタイオン32は穴の奥にも堆積すること
ができるために、同図(b)に示すように、スパッタイ
オン32によりモールドレアー20を完全に覆う形状
の、第一の電極となる材料によるエミッタメタル21を
堆積することができる。
【0029】従来例の酸化による凹部を尖らせる方法
は、酸化膜が厚くなるに従って酸化膜中を移動する酸素
の拡散速度に律速されることになった。このため、酸化
時間の平方根に比例することとなった。一方、本発明の
方法では表面にイオンが堆積する現象を利用するため
に、堆積速度が作製された膜中の厚さに関係しないこと
が特徴である。
【0030】さらに、本発明ではスパッタのシャドウィ
ング効果があるために、モールドレアー20が厚くなる
に従ってさらに凹部が尖った形状を作製することが可能
となる。また、本発明ではスパッタイオン31の飛散角
をスリット33を用いて制御することによって、モール
ドレアー20の穴の中の形状を調整することも可能であ
る。これは、従来の酸化による方法ではできなかったこ
とである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を示して詳しく説明する。
【0032】図1は、本発明の一実施の形態を示す構造
の断面図である。本実施の形態は、例えば厚さ0.5m
mのガラス基板のような構造基板15の上にエミッタ電
極11が設けられている。エミッタ電極11は構造基板
15と接着された面と反対側の主面が先端が尖った形状
とされている。また、エミッタ電極11の上面には、モ
ールド層10および絶縁膜13を介してゲート電極14
が作製されている。
【0033】エミッタ電極11は、モリブデン(M
o)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、これらの窒
化物、ポリシリコン、LaB6、ダイアモンド膜等の仕
事関数が小さい材料からなり、また、尖った先端以外の
部分の厚さが例えば1μm程度で、尖った先端は10n
m以下の曲率半径をもつ。
【0034】モールド層10はエミッタ電極11の尖っ
た先端に近付くに従って薄くなる形状をもっており、例
えばTi、アルミニウム(Al)等の金属、あるいはシ
リコン酸化物、シリコン窒化物等の絶縁体からなり、エ
ミッタ電極11上では200nm程度の厚さをもって形
成されている。
【0035】絶縁膜13は酸化膜、窒化膜、あるいはエ
ミッタ電極材料の酸化物・窒化物等であり、例えば0.
3μm程度の厚さをもっている。更に、ゲート電極14
は例えば厚さが0.5μm程度のモリブデン、タンタ
ル、チタン等の金属あるいはポリシリコン等の半導体か
ら構成されている。
【0036】エミッタ電極11の尖った先端付近には電
流放射領域12が設けられている。エミッタ電極11を
覆う絶縁膜13およびモールド層10がこの領域12で
一部除去され、エミッタ電極11の尖った先端が露出さ
れている。本実施の形態には多数の電流放射領域をもつ
例を示したが、用途によってはただ一つの電流放射領域
をもつ例もある。
【0037】本発明の構造は、従来例の構造にさらにモ
ールド層10を設けたために電流放射領域12のエミッ
タ電極11の凸部が非常に尖った形状となったことが特
徴である。このため、この尖った先端に非常に大きな電
界を生じさせることが可能となった。
【0038】図2は本発明の他の実施の形態の断面図を
示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付
し、その説明を省略する。この実施の形態は、図1に示
した実施の形態と絶縁膜とモールド層の上下の位置関係
が逆になっており、エミッタ電極11上に絶縁膜16が
形成され、更にその絶縁膜16の上にモールド層17を
介してゲート電極14が形成されている点に特徴があ
る。
【0039】ここで、図1に示した真空マイクロデバイ
スでは、モールド層10を金属等の導電体材料で構成し
たときはエミッタ電極11の実質的な形状は同図のエミ
ッタ電極11およびモールド層10をあわせた形状とな
る。このときにも、エミッタ電極11の凸型先端の形状
はこの領域でモールド層10が除かれているためにエミ
ッタ電極11だけの形状となるので、従来例よりも著し
く尖った形状となる。
【0040】しかし、この飛び出した先端はモールド層
10の上端の先端からわずかしか飛び出していない。エ
ミッタ電極11の凸型先端に誘起される電界の大きさ
は、先端の曲率半径だけでなく、この飛び出しの高さに
も依存しているために、飛び出しの高さを大きくした方
が大きな電界が生じる。従って、エミッタ電極11のモ
ールド層10の上端からの飛び出しの高さを大きくした
方が、この真空マイクロデバイスの応用にとって好まし
いものとなる。
【0041】一方、図2の構造の真空マイクロデバイス
では、たとえモールド層17を金属等の導電材料から構
成したとしても、エミッタ電極11とモールド層17が
両者の間に介在する絶縁膜16により電気的に絶縁され
ているために、エミッタ電極11の形状はモールド層1
7を含まない同図のエミッタ電極11だけの形状となる
ので、図1の実施の形態にくらべてエミッタ電極11の
モールド層17の上端からの飛び出しの高さをより大き
くすることができる。この結果、図2の構造の方が大き
な電界を得られるという利点がある。
【0042】以上の図1および図2の実施の形態では絶
縁膜13、16をエミッタ電極11およびゲート電極1
4の間に設けるという構造であるため、モールド層1
0、17を導電材料により構成したとしても、エミッタ
電極11およびゲート電極14の間の電気的な絶縁がと
れるためにデバイスを動作させることが可能である。こ
の結果、モールド層10、17の材料選択が広くなると
いう利点がある。
【0043】しかし、もしモールド層10、17を絶縁
材料により構成したときには、絶縁膜13、16がなく
ても両者の電極との間の電気的な絶縁をとることが可能
である。このときには、図6に示した従来例の構造と同
様な構造となるが、図4で示した本発明製造方法を用い
ることにより、エミッタ電極11の先端の曲率半径を著
しく小さくすることができる。これは上述したように、
シリコンの酸化反応から作製される絶縁膜でなく、穴の
奥に進むに従って薄くなるモールドレアー40(モール
ド層10、17)を設けてスパッタイオン粒子の堆積を
利用するようにしたからである。
【0044】次に、本発明の真空マイクロデバイスの製
造方法の実施の形態について説明する。図3は本発明の
真空マイクロデバイスの製造方法の一実施の形態の各工
程の素子断面図を示す。まず、図3(a)に示すよう
に、シリコン基板110の上に酸化膜111を設け、例
えば1μm角の開口部を設ける。この試料をKOHある
いはヒドラジン等の異方性を示すエッチング液を用いて
シリコン基板110をエッチングして逆三角錐の形状を
もつ開口穴116を作製する。
【0045】続いて、図3(b)に示すように、図3
(a)の構造の試料を電気炉に入れて酸化膜22を形成
する。酸化膜22の厚さは例えば300nm程度であ
る。続いて、広がり角をもつスパッタイオンを利用して
モールドレアー20を堆積させ、この上に図4(b)に
示した方法でエミッタメタル21を作製する。
【0046】次に、図3(b)の構造の試料のシリコン
基板110のエミッタメタル31が作製された面側をガ
ラス基板100に互いに接触させて接着する。構造基板
15がガラス基板100であるときには、ガラスとエミ
ッタメタル21との間に静電接着法を用いて強固な接着
を実現することが可能である。この静電接着法では接着
強度が大きいという特長がある。
【0047】ボロシリケートガラス(例えばコーニング
#7740)をガラス基板100として用い、エミッタ
メタル21の材料としてタンタル、モリブデン等を用い
ると熱膨張係数が近いために歪みの小さなデバイスを得
ることができる。熱膨張係数がガラス基板100と大き
く異なるエミッタメタル材料を用いるときには、図3
(b)においてエミッタメタル21を作製した後にタン
タル、モリブデン、あるいはシリコン等の膜を接着層と
して形成するとガラス基板100との接着が容易とな
る。
【0048】続いて、作製した試料を例えばモリブデン
溶液等に浸すことによってシリコン基板110を除去す
ることにより、図3(c)に示すように、ガラス基板1
00上にエミッタメタル21、モールドレレアー20及
び酸化膜22が積層された構造のデバイスが作製され
る。
【0049】続いて、図3(d)に示すように、スパッ
タリングによりゲートメタル24を酸化膜22上に約1
μmの厚さで形成した後、この試料の表面に約5μm程
度の厚さのレジスト115を塗布する。
【0050】次に、図3(e)に示すように、ドライエ
ッチング装置を用いて試料全面が均一な速度でエッチン
グされる条件でバックエッチを行ってレジスト115を
除去し、尖った先端が形成されている領域12の酸化膜
22が露出したところでバックエッチを終了する。
【0051】そして、レジスト115を除去した後、試
料をHF溶液に入れてエミッタメタル21の先端部周囲
の領域12で露出している酸化膜22を選択的にエッチ
ング除去する。さらに、モールドレアー20をエッチン
グする溶液の間に試料をおいて、エミッタ電極用のメタ
ル21の先端を露出させて図3(f)に示す構造のデバ
イスを作製する。このようにして、エミッタ電極用のエ
ミッタメタル21の先端を露出させることができる。こ
のようにして作製された真空マイクロデバイスは、図2
に示した実施の形態と同様の構造である。
【0052】ここで、上記の図3(f)の製造工程で
は、モールドレアー20をエッチングする際に、エミッ
タメタル21の先端がエッチングされないようなエッチ
ング液および材料を選択することが重要である。特にモ
ールドレアー20のエッチング液として酸化膜22をエ
ッチングする液と同じものを選択すると上記の図3
(f)の工程を簡略することができる。
【0053】例えば、チタン、アルミ、クロム、マンガ
ン、鉄、亜鉛等の金属材料、あるいは、これらの酸化膜
等をモールドレアー20として選択したときには、酸化
膜22をエッチングする際に用いるフッ酸を用いること
により、酸化膜22とモールドレアー20を同時にエッ
チングすることが可能である。このとき、エミッタメタ
ル21としてポリシリコン、タンタル、モリブデン、ニ
ッケル等の金属、あるいはこれらの窒化物等を用いるこ
とにより、これらの材料がフッ酸に対するかなりの選択
比をもっているために先端が尖った構造を作製すること
が可能である。
【0054】モールドレアー20を利用することの他の
利点は、図3の製造方法において、絶縁膜(図3では酸
化膜22であるが、これに限定する必要はない)の材料
及びエッチング液の選択を広くとることができるという
ことである。図7に示した従来例の製造方法では、エミ
ッタメタル113の先端を露出させるために絶縁膜11
2をエッチングする際にエミッタメタル113がエッチ
ングされない材料を選ぶ必要があった。例えば、絶縁膜
を酸化膜としたときには、これをエッチングするために
フッ酸を用いるのでフッ酸に対して耐性のある材料をエ
ミッタメタルとして選択する必要があった。
【0055】これに対し、この実施の形態では、モール
ドレアー20にフッ酸に対して耐性をもつ材料を選ぶと
きには、エミッタメタル21にフッ酸に対してエッチン
グされ易い材料を選ぶことが可能となる。例えば、エミ
ッタメタル21をチタン、タンタル(フッ酸に対してあ
る程度の耐性をもっているが条件によっては十分ではな
いことがある)、クロム等の金属から構成し、モールド
レアー20としてニッケルあるいはモリブデン等を選択
することによって、硝酸を用いてモールドレアー20だ
けを除去することが可能である。
【0056】なお、図3(b)に工程において、モール
ドアレー20及びエミッタメタル21は図4に示したよ
うに、モールドレアー20を広がり角をもって飛散する
イオン30から作製して所望の形状を作製し(図4
(a))、この形状を埋め込むことによってエミッタメ
タル21を作製する(図4(b))。ここでは埋め込み
にスリット33を利用したコリメートスパッタと一般に
呼ばれる方法を示した。
【0057】しかし、この他に、バイアススパッタと呼
ばれる方法を用いて図4(b)に示すようにイオン32
を基板方向に直進させるようにすることも可能である。
例えば、基板110の電圧を最初0Vとしてチタンをタ
ーゲットにスパッタを行うときには、図4(a)に示す
広がり角をもったスパッタイオン30による堆積を実現
できる。このとき、モールドレアー20はチタンからな
る膜となる。
【0058】続いて、基板110に300V程度の負の
電圧を印加し、窒素雰囲気においてスパッタすると基板
110の表面に垂直な方向の成分が加速されるために、
図4(b)に示すような基板110に垂直に直進する成
分をもったイオン32を増大させることができる。この
とき同時にチタンイオン32が窒素と反応して窒化チタ
ンの膜からなるエミッタメタル21を作製することがで
きる。窒化チタンはフッ酸に対してエッチングされない
が、 チタンはフッ酸にエッチングされ易い性質をもっ
ているために、フッ酸を用いて凸形状の先端からモール
ドレアー20だけを除去することが可能である。
【0059】以上のスパッタによる方法の他に、蒸着、
メッキ等による方法を用いてもモールドレアー20の上
にエミッタメタル21を埋め込むことが可能である。ま
た、化学気相成長(CVD)法を用いても<温度を変化
させることによって図4(a)および(b)の条件を実
現することが可能である。
【0060】次に、本発明方法の他の実施の形態につい
て説明する。図5は本発明の真空マイクロデバイスの製
造方法の他の実施の形態の各工程の素子断面図を示す。
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板110の
上に酸化膜111を設け、例えば1μm角の開口部を設
ける。この試料をKOHあるいはヒドラジン等の異方性
を示すエッチング液を用いてシリコン基板110をエッ
チングして逆三角錐の形状をもつ開口穴116を作製す
る。
【0061】続いて、同図(b)に示すように、試料を
電気炉に入れて酸化膜22を形成する。酸化膜22の厚
さは例えば300nm程度である。続いて、図4と共に
説明した方法で広がり角をもつスパッタイオンを利用し
てモールドレアー20を堆積させ、この上にエミッタメ
タル41を作製する。
【0062】続いて、このようにして作製した試料のシ
リコン基板110のエミッタメタル41が作製された面
側でガラス基板100を互いに接触させて接着する。ガ
ラス基板100は、ガラスとエミッタメタル21との間
に静電接着法を用いて強固な接着を実現することが可能
である。続いて、作製した試料を例えばフッ酸等に浸す
ことによって酸化膜22およびモールドレアー20をそ
れぞれ溶解させ、図5(c)に示すように、シリコン基
板110をガラス基板100から分離する。
【0063】続いて、図5(d)に示すように、エミッ
タメタル41の表面に酸化膜42をスパッタ、あるいは
エミッタメタル41の酸化等によって作製する。また、
この上にゲートメタル43をスパッタリングにより約1
μmの厚さで形成し、さらにこの試料の表面に約5μm
程度の厚さのレジスト115を塗布する。
【0064】次に、図5(e)に示すように、ドライエ
ッチング装置を用いて試料全面が均一な速度でエッチン
グされる条件でバックエッチを行ってレジスト115を
除去し、尖った先端が形成されている領域12の酸化膜
22が露出したところでバックエッチを終了する。
【0065】そして、レジスト115を除去した後、試
料をHF溶液に入れてエミッタメタル21の先端部周囲
の領域12で露出している酸化膜22を選択的にエッチ
ング除去する。以上の製造方法を用いて製造された真空
マイクロデバイスは、図1および2図の構造と異なり、
最終的に作製されたデバイスの中にモールド層を含んで
いない。しかし、先に述べたように従来例で作製された
ものに比べて遥かに鋭い先端形状をもつエミッタ電極を
作製することができる。
【0066】この実施の形態の製造方法の大きな特徴
は、シリコン基板110をガラス基板100から分離す
るのにシリコン基板110の溶解を含まないということ
である。ここではモールドレアー20を酸化膜22と同
様にフッ酸にエッチングされる材料(例えばチタン)か
ら構成される場合を述べた。このように、モールドレア
ー20および酸化膜22を同時に溶解させてエッチング
除去することにより、シリコン基板110とガラス基板
100を分離させる方法は、先の図3に述べたシリコン
基板110を完全に溶解させる方法に比べてエッチング
時間を著しく短くできるという利点があり、デパイスの
作製時間を短くできるという長所がある。
【0067】一方、モールドレアー20を例えばニッケ
ルあるいはモリブデンとし、またエッチング液に硝酸を
用いた場合には、硝酸によって酸化膜22がエッチング
されないために、モールドレアー20のみがエッチング
される。このようにすることによって、シリコン基板1
10とガラス基板100を分離することが可能である。
このとき、分離したシリコン基板110を別のデバイス
の作製に幾度でも利用することができるため、デバイス
作製コストを低減することができる。
【0068】なお、図5では酸化膜22を作製した例を
述べたが、酸化膜22を作製しないで同図(a)の工程
の後にすぐにモールドレアー20を堆積してモールドレ
アー20の除去によってシリコン基板110とガラス基
板100を分離する方法も可能である。
【0069】実際にモリブデンをエミッタ電極に用いて
試作したデバイスの電気特性を測定した結果、従来10
0Vの電圧を印加したときに100個のアレイから10
0μA程度の電流であったものが、以上の実施の形態に
よれば、40Vという従来よりもかなり低い印加電圧で
従来よりも大幅に高い1000μAの電流を放出するこ
とが確認された。この原因として、エミッタ電極の先端
の形状が鋭くなったために、低い電圧にも関わらず凸型
先端に大きな電界が誘起されたためであると考えられ
る。
【0070】なお、本発明は以上の実施の形態に限定さ
れるものではなく、例えばモールド層10、モールドレ
アー20を絶縁材料で構成した場合は、エミッタ電極1
1(エミッタメタル21、41)とゲート電極14(ゲ
ートメタル24、43)の間の電気的絶縁をモールド層
10、モールドレアー20でとることができるので、絶
縁膜13(酸化膜22、42)を不要とすることもでき
る。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
モールド層を設けることにより、電流放射領域の電極の
凸部を非常に尖った形状とすることができるため、尖っ
た電極先端に従来にくらべて非常に大きな電界を生じさ
せることができる。
【0072】従って、本発明によれば、デバイス駆動電
圧を従来に比し大幅に低く下げることができるために、
デバイス駆動回路の設計が容易となり、またこの結果1
00MHzを超える高速駆動デバイスの回路を実現する
ことも可能となった。以上の効果は著しいものであり、
本発明は極めて有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の構造の断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態の構造の断面図であ
る。
【図3】本発明製造方法の一実施の形態各工程説明用素
子断面図である。
【図4】本発明の作用を説明する図である。
【図5】本発明製造方法の実施の形態の各工程説明用素
子断面図である。
【図6】従来の一例の構造を示す断面図である。
【図7】従来の製造方法の一例を示す各工程説明用素子
断面図である。
【符号の説明】 10 モールド層 11、101 エミッタ電極 12 電流放射領域 13、16 絶縁膜 14、103 ゲート電極 15 構造基板 17 モールド層 20 モールドレアー 21、41 エミッタメタル 22、42、102、111 酸化膜 24、43 ゲートメタル 30、31、32 スパッタイオン 33 スリット 40、116 開口穴 100 ガラス基板 115 レジスト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/304 H01J 9/02 JICSTファイル(JOIS)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造基板と、 前記構造基板上に形成された、先端を尖らせた凸形状を
    もつ第一の電極と、 前記第一の電極の上方に、前記第一の電極の先端部を露
    出させるように形成されている第二の電極と、 前記第一の電極と前記第二の電極との間に設けられて両
    電極を電気的に絶縁する絶縁膜と、 前記第一の電極と前記絶縁膜との間に設けられ、先端に
    近づくに従って薄くなる凸形状をもつと共に、前記第一
    の電極の先端部を露出させた、粒子の堆積によって作製
    される絶縁材料からなるモールド層とを有することを特
    徴とする真空マイクロデバイス。
  2. 【請求項2】 前記モールド層は、前記絶縁膜をエッチ
    ングする物質と同じ化学物質でエッチングされる性質を
    もつ材料から構成されていることを特徴とする請求項
    記載の真空マイクロデバイス。
  3. 【請求項3】 前記モールド層は、フッ酸に容易に溶解
    する性質をもつ材料から構成されていることを特徴とす
    る請求項記載の真空マイクロデバイス。
  4. 【請求項4】 第1の基板の一方の表面に断面が逆三角
    形状の穴を設ける第1の工程と、 前記穴内を含む前記第1の基板の表面に絶縁膜を設ける
    第2の工程と、 前記第2の工程の後に前記穴の奥に近づくに従って薄く
    なる先端形状をもつモールド層を、粒子を堆積させる手
    段を用いて前記穴の内部に設ける第3の工程と、 第一の電極になる材料を前記穴の内部に埋め込む第4の
    工程と、 前記第一の電極の表面で前記第1の基板の前記穴が形成
    された面とは反対側の面に第2の基板を接合した後該第
    1の基板を除く第5の工程と、 第二の電極になる材料を前記モールド層及び絶縁膜が作
    製された構造体上に形成する第6の工程と、 前記モールド層及び絶縁膜及び第二の電極材料のそれぞ
    れ一部を選択除去して前記第一の電極になる材料の尖っ
    た先端部を露出させる第7の工程とを含むことを特徴と
    する真空マイクロデバイスの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第3の工程は、広がり角をもった軌
    跡を描いて飛散する粒子を前記第1の基板に照射して、
    前記穴内に該粒子を堆積させることによって前記モール
    ド層を作製することを特徴とする請求項記載の真空マ
    イクロデバイスの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第5の工程は、前記第1の基板を溶
    解することによって該第1の基板を除去することを特徴
    とする請求項4又は5記載の真空マイクロデバイスの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記第5の工程は、前記モールド層を溶
    解することによって前記第1の基板を分離し、前記第6
    の工程は、前記第一の電極になる材料上に絶縁膜を形成
    した後前記第二の電極となる材料を形成し、前記第7の
    工程は前記第二の電極及びこの上の絶縁膜のそれぞれ一
    部を選択除去して前記第一の電極になる材料の尖った先
    端部を露出させることを特徴とする請求項4又は5記載
    の真空マイクロデバイスの製造方法。
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