JP3637954B2 - コーティング材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材との密着性に優れ、耐熱性、撥水・撥油性、滑り性が良好な硬化皮膜を与え、無溶剤タイプとしても利用できる加熱硬化型のシリコーン組成物からなるプラスチックフィルム用コーティング材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来知られている有機樹脂コーティング用シリコーンとしては、シリコーンワニスが挙げられる。また、加水分解性有機基を有するオルガノシランとコロイダルシリカとの混合物、加水分解性有機基を有するオルガノシランとエポキシ基含有アルコキシシランとの混合物などは、ハードコート材として光学レンズやポリカーボネート、アクリル樹脂に使用されている(特開昭52−11261号、同53−111336号公報などに記載)。
【0003】
しかしながら、これらの皮膜は硬度が高いため、薄いフィルム基材上に形成した場合、皮膜が曲げに対して追随せず、剥がれてしまうという欠点があった。更に、硬化に際して加熱時間がかかることがフィルム基材に対して不利であり、溶剤を使用することも環境に対する負荷を考慮すると好ましくない。
【0004】
また、剥離紙などに使用される薄膜シリコーンコーティング材としては、高重合度のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンをトルエンなどの有機溶剤に溶解し、白金触媒によって付加反応させるものがある。
【0005】
しかし、これらコーティング材で形成した皮膜は、柔軟であり、滑り性、離型性、撥水性などに優れてはいるが、溶剤を使用しない組成では基材へ密着しないという欠点があった。これは、上記コーティング材は溶剤を使用することで、フィルム表面が膨潤あるいは溶解し、表面積を増大させてシリコーン樹脂の基材への食い込みを良くしているため、溶剤を使用しないと基材との密着性が低下してしまうものであると考えられる。また、これら硬化皮膜の密着性は、経時で低下するなどの欠点もあり、性能的にも満足のいくものではなかった。
【0006】
一方、紫外線、電子線硬化性シリコーン樹脂であるアクリレート変性オルガノポリシロキサンは、無溶剤で塗工でき、PET、OPPなどのフィルム基材に対して良好な密着性を発揮するものであるが、その硬化には、紫外線照射ランプ、電子線照射装置などの特殊な硬化装置が必要であり、また硬化の際に放射線照射装置内を窒素置換する必要があるため、コストの点で不利である。
【0007】
従って、シリコーンコーティング材においては、上記したような基材との密着性、簡便性に優れ、無溶剤でも使用できる環境への影響の少ない組成物の開発が切望されている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、各種基材に対する密着性に優れ、しかも耐熱性、撥水・撥油性、滑り性が良好な硬化皮膜を与え、無溶剤タイプとしても利用可能なシリコーン組成物からなるプラスチックフィルム用コーティング材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを主成分とし、これに遷移金属触媒、反応制御剤を配合した加熱硬化型のシリコーン組成物が、基材表面に無溶剤で塗工しても、短時間の加熱で容易に硬化して良好な耐熱性、撥水性、撥油性、滑り性を有する上、薄いフィルム等の各種基材に満足に密着し得、経時での密着性低下もほとんどない優れた密着性を有する硬化皮膜を与え、コーティング材として多岐にわたる用途に有用であるという知見を得た。
【0010】
更に、このシリコーン組成物に1分子中にケイ素原子に結合した脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンを特定量配合することにより、硬化皮膜の滑り性、可とう性の更なる向上が可能であることも見いだし、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明は、
[I](A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有し、水素原子が直結しているケイ素原子の割合が全体の50重量%以上であると共に、ケイ素原子に結合した水素原子以外の全有機基の90モル%以上がメチル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 100重量部、
(B)上記(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応を促進する遷移金属触媒:
(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンに対して、 遷移金属触媒の金属換算重量で1〜1,000ppm、
(C)組成物が常温付近で脱水素反応するのを抑制する反応制御剤: 0.1〜5重量部
から本質的になることを特徴とする上記(A)成分のケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応により硬化するシリコーン組成物からなるプラスチックフィルム用コーティング材、
[II](A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有し、水素原子が直結しているケイ素原子の割合が全体の50重量%以上であると共に、ケイ素原子に結合した水素原子以外の全有機基の90モル%以上がメチル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 100重量部、
(B)上記(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応を促進する遷移金属触媒:
(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンに対して、遷移金 属触媒の金属換算重量で1〜1,000ppm、
(C)組成物が常温付近で脱水素反応するのを抑制する反応制御剤: 0.1〜5重量部、
(D)1分子中にケイ素原子に結合した脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン:
(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して0.1〜30重量部
から本質的になることを特徴とする上記(A)成分のケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応により硬化するシリコーン組成物からなるプラスチックフィルム用コーティング材
を提供する。
【0012】
以下、本発明につき更に詳述すると、本発明のシリコーン組成物において、(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、本発明組成物の主成分となるもので、それ自体を白金触媒等の遷移金属触媒によって脱水素反応により架橋させることから、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有している必要がある。
【0013】
ここで、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記一般式(1)で示されるものが好適である。
(SiO2)p(R1SiO3/2)q(R1 2SiO)r(R1 3SiO1/2)s (1)
【0014】
上記式中、Rlはそれぞれ異種または同種の水素原子又は炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。p,q,sはそれぞれ0以上の整数、rは3以上の整数であり、好ましくはpは0〜5、qは0〜10、sは0〜50、rは3〜1,000であり、更に好ましくはpは0〜2、qは0〜5、sは0〜10、rは3〜500である。
【0015】
本発明において、フィルム基材に対する密着性はケイ素原子に結合した水素原子によって発現していると考えられるため、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、水素原子が直結しているケイ素原子の割合が全体の50%(重量%、以下同様)以上であることが好ましく、特に70%以上であることがより好ましい。なお、水素原子が直結しているケイ素原子の割合は100%であってもよい。本発明では、(A)成分中の水素原子を有するケイ素原子の割合が密着性の発現に関与することから、水素原子を有するケイ素原子の割合が少なすぎると、フィルム基材に対する密着性が低下してしまう場合がある。
【0016】
更に一般的には、置換基Rlのうち、水素原子以外の全有機基の90モル%以上がメチル基であるものがコスト的には有利であるが、必要とする特性に応じて適当な有機基を含有するものを使用すればよい。
【0017】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造については特に制限はなく、鎖状、分岐状、環状のいずれであっても良いが、作業性、塗工性などの観点から25℃における粘度が5〜50,000センチポイズ(cP)、特に10〜5,000cPであることが好ましい。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの一例を下記に示す。
【0018】
【化1】
(上記式中、Me=CH3,Ph=C6H5であり、a及びgは3以上、dは1以上の整数を示し、b,c,e,f,hは0以上の整数である。)
【0019】
(B)成分の遷移金属触媒としては、(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応を促進するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールまたはアルデヒドとの反応物、塩化白金酸と各種オレフィン、ビニル基含有シロキサンとの錯体などの白金系触媒が好ましい。その他、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などの一般的な付加反応に使用される遷移金属触媒を用いることも可能である。
【0020】
これらの触媒添加量は、組成物の硬化に必要量であれば特に制限はないが、(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンに対して、遷移金属触媒を金属換算重量で1〜1,000ppm、特に10〜250ppmの範囲で添加することが望ましい。添加量が少なすぎると硬化不良を起こす場合があり、多過ぎると脱水素反応が急激に起こって硬化反応を制御できなくなり、経済的にも不利になる場合がある。
【0021】
本発明に用いる反応制御剤は、組成物が常温付近で反応するのを抑制するものであり、具体的には一般に遷移金属触媒を用いて、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させる際に使用されているものと同様の化合物を使用できる。
【0022】
反応制御剤としては、例えばアセチレンアルコール類(特公昭44−31476号、特開平6−329917号公報)、シリル化アセチレンアルコール類(特開昭61−261号公報)や、特開平9−143371号公報、特願平10−253454号に提案されている2種類以上の反応制御剤を使用したものなどが有効である。具体的には、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、メチルビニルシクロテトラシロキサン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチンなどが例示される。これらの中では、1−エチニルシクロヘキサノールと3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチンとの組み合わせがポットライフ、硬化性の観点から好ましい。
【0023】
反応制御剤の配合量は、(A)成分の脱水素反応を制御できる量であれば特に制限されないが、(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン100重量部に対して0.1〜5重量部とすることが好ましい。
【0024】
本発明組成物では、滑り性、可とう性をより向上させるため、(D)成分として1分子中にケイ素原子に結合した脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも1個含有するオルガノポリシロキサンを添加することが有効であり、この(D)成分を配合することにより、この成分が(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと付加反応してジオルガノシロキシ単位を導入することができ、硬化不良を起こすことなく皮膜により優れた滑り性、可とう性を容易に付与することができる。
【0025】
なお、本発明において、脂肪族不飽和炭化水素基とは、脂肪族不飽和結合を有し、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基を有していてもよい好ましくは炭素数2〜12、特に2〜10の1価炭化水素基を有し、具体的には、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロパルギル基等のアルキニル基、シクロヘキセニル基、2−(3’−シクロヘキセニル)エチル基等のシクロアルケニル基やシクロアルケニル基を有するアルキル基などの直鎖状、分岐状又は脂環式の不飽和炭化水素基のほか、ビニロキシ基、アリロキシ基等のアルケニルオキシ基などの脂肪族不飽和結合を有すると共に、エーテル結合を有する炭化水素基、CH2=CR3COOR4−基(R3は水素原子又はメチル基、R4は炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数7〜10のアリーレンアルキレン基等の2価の炭化水素基であり、メチレン基、エチレン基、フェニレン基等が例示される。)などが挙げられる。
【0026】
このような不飽和炭化水素基含有オルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(2)で示されるものが好適である。
(SiO2)p(R2SiO3/2)q(R2 2SiO)r(R2 3SiO1/2)s (2)
【0027】
上記式中、p,q,r,sは上記と同じ意味を示す。R2は上記1価の脂肪族不飽和炭化水素基又は脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換1価炭化水素基であり、置換基R2は互いに同一でも異なっていてもよいが、R2の少なくとも1個は上記1価の脂肪族不飽和炭化水素基である。
【0028】
脂肪族不飽和炭化水素基以外の非置換又は置換の一価炭化水素基としては、炭素数1からl0のものが好適であり、R1と同様のもの(但し水素原子は除く)を挙げることができ、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子などで置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などから選択されるものが例示される。
【0029】
上記式(2)のオルガノポリシロキサンにおいて、脂肪族不飽和炭化水素基は分子鎖末端にあっても分子中にあってもよいが、特に1分子中の分子鎖末端が脂肪族不飽和炭化水素基で封鎖されているものは架橋反応の効率が良好であり、未反応のオルガノシロキサンがブリードしにくいため、好適に使用される。
【0030】
また、脂肪族不飽和炭化水素基以外の有機基としては、滑り性の点からメチル基が好ましく、特に全有機基の90モル%以上がメチル基であることが優れた滑り性を示すことから好適である。
【0031】
この脂肪族不飽和炭化水素基含有オルガノポリシロキサンは、その分子構造については特に制限はなく、鎖状、分岐状、環状のいずれであっても良いが、作業性、塗工性などの観点から(A)、(B)、(C)成分と混合した際の25℃における粘度が5〜50,000cP、特に10〜5,000cPであるものを選択の上、使用することが好ましい。
このような脂肪族不飽和炭化水素基含有オルガノポリシロキサンの具体例を下記に示す。
【0032】
【化2】
(上記式中、Me=CH3,Ph=C6H5であり、nは0〜10の整数、i,j,k,yは0以上の整数、xは2以上の整数、x+yは3以上の整数である。)
【0033】
(D)成分の脂肪族不飽和炭化水素基含有オルガノポリシロキサンの添加量は、(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して0.1〜30重量部、特に1〜20重量部が好適である。多すぎるとフィルム基材に対する密着性が低下する場合があり、少なすぎると満足な滑り性、可とう性が得られない場合がある。
【0034】
本発明組成物は、必要に応じて、硬化を妨げない範囲でその他の任意成分としてレベリング剤、帯電防止剤、消泡剤、顔料、非反応性オルガノポリシロキサン等の上記(D)成分以外のオルガノポリシロキサンなどを添加してもよい。上記(D)成分以外のオルガノポリシロキサンの添加例としては、特公平3−19268号公報に分子鎖末端にケイ素原子に結合した水酸基を有する高分子オルガノポリシロキサンを添加する方法が提案されており、このようなオルガノポリシロキサンを添加することも滑り性の改善に有効である。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0035】
本発明のシリコーン組成物は、無溶剤タイプで使用可能なことが特徴であり、溶剤を添加せずにそのまま使用することができるが、必要に応じて有機溶剤で希釈して使用しても何ら問題はない。この場合、有機溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のカルボニル化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などが例示される。
【0036】
本発明のシリコーン組成物は、コーティング材として好適に利用でき、特に下記用途に有効に用いることができる。
(1)耐熱性コーティング
熱転写インクリボンの耐熱保護材、金型離型用耐熱コーティングなど
(2)撥水性、防汚性コーティング
飛散防止フィルム、撥水フィルムなど
この場合、本発明組成物をコーティングし得る基材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等の合成樹脂から得られるプラスチックフィルム、シート、またはこれらの合成樹脂と合成繊維、無機繊維、不織布などとの複合材料、グラシン紙、グレーコード紙等の紙基材、ポリエチレンラミネート紙等のラミネート紙、アルミニウム、鉄、銅等の金属、セラミック、ガラスなどが例示されるが、中でもプラスチックフィルムが特に有用である。
【0037】
上記基材に本発明組成物を塗布する方法としては、ロール塗布、グラビア塗布、ワイヤードクター塗布、エアーナイフ塗布、ディッピング塗布、スピンコーターなどの公知の方法を採用することができる。塗布量は、通常0.01〜20g/m2とすることができる。
【0038】
塗布後は、常法により加熱硬化させることで通常0.1〜20μm厚程度のコーティング膜を基材上に形成することができる。なお、硬化条件は80〜150℃で10秒〜5分が好適である。
【0039】
【発明の効果】
本発明のシリコーン組成物は、各種フィルム基材に対する密着性に優れ、しかも耐熱性、撥水・撥油性、滑り性などが良好なシリコーン硬化皮膜を与えるもので、耐熱性コーティング材、撥水性、防汚性コーティング材等の種々のコーティング材として利用することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各例中の粘度は25℃における値であり、部はいずれも重量部を表す。まず、各実施例に先立ち、各例で使用した評価方法を記載する。
[密着性]
シリコーン組成物を38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布量が0.3g/m2になるようにオフセット印刷機を使用して塗布し、100℃の熱風乾燥機中で60秒加熱し、硬化皮膜を形成した。
このシリコーン硬化皮膜の基材に対する密着性を評価するため、皮膜形成直後と、室温30日後に塗工面を指で強くこすり、皮膜の脱落の有無を調べた。
[動摩擦係数]
密着性の場合と同様にして基材表面にシリコーン組成物の硬化皮膜を形成した。これをガラス板に貼付し、硬化皮膜面を上にして水平に支持した。一方、底面にネオプレンブタジエンゴムシートを貼付した200g分銅を硬化皮膜面上に置き、水平方向に0.3m/分の速度で引っ張るときに要する力を測定し、動摩擦係数を求めた。
【0041】
[実施例1]
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度20センチポイズのメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量95.8%)100部、1−エチニルシクロヘキサノール0.24部、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン1.35部を均一に混合し、これに塩化白金酸と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンとの錯体のトルエン溶液5.0部(白金重量換算0.025部)を添加し、均一に混合してシリコーン塗工液を調製し、密着性、動摩擦係数を評価、測定した。結果を表1に示す。
【0042】
[実施例2]
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度20センチポイズのメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量95.8%)100部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、トルエン溶解粘度(30%溶液)15,000cPのジメチルポリシロキサン2部、1−エチニルシクロヘキサノール0.24部、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン1.35部を均一に混合し、これに塩化白金酸と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンとの錯体のトルエン溶液5.0部(白金重量換算0.025部)を添加し、均一に混合してシリコーン塗工液を調製し、密着性、動摩擦係数を評価、測定した。結果を表1に示す。
【0043】
[実施例3]
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度20センチポイズのメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量95.8%)100部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、トルエン溶解粘度(30%溶液)15,000cPのジメチルポリシロキサン5部、1−エチニルシクロヘキサノール0.24部、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン1.35部を均一に混合し、これに塩化白金酸と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンとの錯体のトルエン溶液5.0部(白金重量換算0.025部)を添加し、均一に混合してシリコーン塗工液を調製し、密着性、動摩擦係数を評価、測定した。結果を表1に示す。
【0044】
[実施例4]
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度150センチポイズのメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量98.6%)100部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、トルエン溶解粘度(30%溶液)15,000cPのジメチルポリシロキサン2部、1−エチニルシクロヘキサノール0.24部、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン1.35部を均一に混合し、これに塩化白金酸と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンとの錯体のトルエン溶液3.0部(白金重量換算0.015部)を添加し、均一に混合してシリコーン塗工液を調製し、密着性、動摩擦係数を評価、測定した。結果を表1に示す。
【0045】
[実施例5]
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されており、1分子中に平均一ヵ所の分岐点を持つ、粘度90センチポイズの分岐型メチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量97.3%)100部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された、トルエン溶解粘度(30%溶液)15,000cPのジメチルポリシロキサン2部、1−エチニルシクロヘキサノール0.24部、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン1.35部を均一に混合し、これに塩化白金酸と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンとの錯体のトルエン溶液3.0部(白金重量換算0.015部)を添加し、均一に混合してシリコーン塗工液を調製し、密着性、動摩擦係数を評価、測定した。結果を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が400センチポイズの直鎖ジメチルポリシロキサン100部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度20センチポイズのメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量95.8%)2.0部、1−エチニルシクロヘキサノール0.24部、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン1.35部を均一に混合し、これに塩化白金酸と1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンとの錯体のトルエン溶液2.0部(白金重量換算0.010部)を添加し、均一に混合してシリコーン塗工液を調製し、硬化条件を140℃、30秒とした他は上記と同様の方法で密着性、動摩擦係数を評価、測定した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Claims (4)
- (A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有し、水素原子が直結しているケイ素原子の割合が全体の50重量%以上であると共に、ケイ素原子に結合した水素原子以外の全有機基の90モル%以上がメチル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 100重量部、
(B)上記(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応を促進する遷移金属触媒:
(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンに対して、 遷移金属触媒の金属換算重量で1〜1,000ppm、
(C)組成物が常温付近で脱水素反応するのを抑制する反応制御剤: 0.1〜5重量部
から本質的になることを特徴とする上記(A)成分のケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応により硬化するシリコーン組成物からなるプラスチックフィルム用コーティング材。 - (A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有し、水素原子が直結しているケイ素原子の割合が全体の50重量%以上であると共に、ケイ素原子に結合した水素原子以外の全有機基の90モル%以上がメチル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 100重量部、
(B)上記(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応を促進する遷移金属触媒:
(A)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンに対して、遷移金 属触媒の金属換算重量で1〜1,000ppm、
(C)組成物が常温付近で脱水素反応するのを抑制する反応制御剤: 0.1〜5重量部、
(D)1分子中にケイ素原子に結合した脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン:
(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して0.1〜30重量部
から本質的になることを特徴とする上記(A)成分のケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応により硬化するシリコーン組成物からなるプラスチックフィルム用コーティング材。 - (D)成分が、下記一般式(2)で表される1分子中にケイ素原子に結合した脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンである請求項2記載のシリコーン組成物からなるプラスチックフィルム用コーティング材。
(SiO2)p(R2SiO3/2)q(R2 2SiO)r(R2 3SiO1/2)s (2)
(但し、式中R2は脂肪族不飽和炭化水素基又は炭素数1〜10の非置換又は置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基である。p、q、sはそれぞれ0以上の整数、rは3以上の整数である。) - (A)成分が、下記一般式(1)で表される1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである請求項1、2又は3記載のシリコーン組成物からなるプラスチックフィルム用コーティング材。
(SiO2)p(R1SiO3/2)q(R1 2SiO)r(R1 3SiO1/2)s (1)
(但し、式中Rlは水素原子又は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。p、q、sはそれぞれ0以上の整数、rは3以上の整数である。)
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