JP3799083B2 - 油圧クラッチの回転部におけるシール冷却構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧式クラッチの油供給部に設けるスリーブの冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、伝動装置の回転軸の軸芯部に油路を形成して、油圧ポンプからの圧油を回転軸上に設けた油圧クラッチに送油できるようにした技術は公知となっている。例えば、実公昭60−15020号公報に記載の技術の如くである。該技術において、油圧ポンプからの圧油は切換バルブを介して回転軸の一端部上に外嵌したスリーブに送油され、該スリーブには軸芯の油路に向けて連通孔が開口され、この連通孔両側の回転軸とスリーブの間にはシールが設けられて、作動油の漏れを防止するようにし、油圧クラッチに確実に圧油を送油できるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、舶用クラッチ等の大形の、油圧クラッチを有する逆転伝動機は、その稼働時にケースの温度は40℃〜50℃に上昇している。そして、軸受が異常か否か点検するときは点検者が手で軸受部分に相当するケース箇所を触って、熱ければ異常と疑ってケースを分解する作業に入る。しかし、従来のような構成にしていると、シール部において、回転軸の回転によって発熱した熱がスリーブから該スリーブを覆うケースに伝わり、ケースがかなり高温となって、触って点検することができなくなっていた。特に軽量化を図るためにケースを薄肉化すると、高温になり易く、軸受等の異常の確認に支障をきたし、シール部の耐久性も低下していたのである。そこで本発明は、シール部とケースの間に潤滑油路を設けて、この潤滑油によって冷却できるようにしようとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決する為に次の如く構成したものである。
前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構と入力軸1と出力軸2が配置され、該入力軸1と出力軸2が軸受けを介して軸心を一致させて横架され、該出力軸2に前進油圧クラッチ装置が配置され、該前進油圧クラッチ装置の外周に後進油圧クラッチ装置を重複配置し、前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置の後部に、遊星歯車機構を直列に配置した可逆転油圧式クラッチ機構であって、前進油圧クラッチ装置を外嵌した入力軸1の軸内に前進油圧クラッチ装置を作動させるクラッチ作動油路21と、前進油圧クラッチ装置や歯車等の被潤滑部に潤滑油を送油するための潤滑用油路66を設け、該クラッチ作動油路21と潤滑用油路66にそれぞれ連通する油供給部を入力軸1の外周部に設け、該油供給部を軸心側から受継筒38、スリーブ37、カバー42から構成し、該受継筒38とスリーブ37の間にシール部を設け、該スリーブ37とカバー42の間に、潤滑用油路66に通ずる潤滑油環流部65を設けたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に実施例を説明する。
図1は可逆転油圧式クラッチ機構の側面断面図、
図2は、前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構の部分拡大断面図、
図3は図1のA−A断面矢視図、
図4は油圧クラッチ装置への油供給部を示す拡大断面図、
図5は図4におけるB−B断面矢視図、
図6は図4におけるC−C断面矢視図、図7は油圧回路図である。
【0006】
図1、図2、図3において、本発明の冷却構造を有する可逆転油圧式クラッチ機構の全体的な構成を説明する。
ケース10に入力軸1と出力軸2が軸受け43・48・49を介して軸心を一致させて横架されて、ケース10の内部に、前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構が配置され、該出力軸2に前進油圧クラッチ装置が配置されて、該前進油圧クラッチ装置の外周に後進油圧クラッチ装置を重複配置している。前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置の後部に、遊星歯車機構が直列に配置されている。
【0007】
エンジンのフライホィールに連結される入力継手39が入力軸1前部に外嵌固定され、該入力継手39の後部の入力軸1上に油供給部Dを設けて後述する本発明の冷却構造が構成されている。そして入力軸1と出力軸2とは軸受32を介して、同一軸芯上で異回転可能に軸受支持されている。該出力軸2の後部はケース10に対して、小径円錐コロ軸受48でまず枢支され、次に後段の大径円錐コロ軸受49で複列に支持されている。該大径円錐コロ軸受49は出力軸蓋29により被覆されている。該出力軸蓋29から突出した出力軸2上に、出力継手31が固定されている。
【0008】
また、前記ケース10の前面に作動油ポンプ20が固定されている。該作動油ポンプ20のポンプ軸41は入力軸1の後部に構成した鍔部1a上に固設した歯車30に噛合する歯車44を介して駆動されている。該作動油ポンプ20からの圧油が、切換バルブ70、パイピングを介して、前進用の作動油路や潤滑用油路や後進用油路に供給されている。
【0009】
次に図2において、前進油圧クラッチ装置は入力軸1の後部に鍔部1aが構成され、該鍔部1aの後部にクラッチハウジング11が固設され、該鍔部1aの後面に環状のシリンダーを設けて、前進用ピストン3が軸方向摺動自在に嵌装されている。
また、前記出力軸2上に前進側摩擦板係止環7が、油圧嵌めにより固定され、該前進側摩擦板係止環7とクラッチハウジング11にそれぞれ摩擦板が交互に重合して嵌挿されて前進用摩擦板仕組6が構成されている。よって、前記前進用ピストン3を圧油により摺動させることにより、前進用摩擦板仕組6が押圧接触して、入力軸1と一体化されたクラッチハウジング11の回転が、前進側摩擦板係止環7から出力軸2に伝達される。
【0010】
また、クラッチハウジング11の後部内周側にハウジングカバー18が固定されている。該ハウジングカバー18に後進駆動歯車17が一体化されている。該後進駆動歯車17までは、入力軸1と共に一体的に回転する。ハウジングカバー18と後進駆動歯車17との接合部分外周に軸受33を嵌装し、該軸受33によりキャリアー8の前部内周側を枢支している。キャリアー8の後部内周側は出力軸2に嵌装した軸受34により枢支している。
【0011】
そして、前記キャリアー8から前方に後進側摩擦板係止環8aを突出し、該後進側摩擦板係止環8aの外周側と、ケース10に回転不能に係止したブレーキハウジング12におけるその内周側との間に摩擦板を交互に重合して嵌挿し、後進用摩擦板仕組5を構成している。該ブレーキハウジング12内に、軸方向摺動自在な後進用ピストン4と、該後進用ピストン4を常時離間側に付勢するバネ36を配置して後進油圧クラッチ装置を構成している。作動油ポンプ20から吐出される作動油を切換バルブ70からパイピング54によりブレーキハウジング12内に設けた後進用油路27に供給すると、該後進用ピストン4が摺動され、後進用摩擦板仕組5を押圧接触してキャリアー8をブレーキハウジング12と一体化してキャリアー8の回転不能状態にする。前記ブレーキハウジング12の後面にはハウジングカバー19が被覆されて、ブレーキハウジング12と後進側摩擦板係止環8aの間に介装した後進用摩擦板仕組5の抜け出しを阻止している。
【0012】
図2、図3に示すように、前記キャリアー8の前後幅内に遊星歯車軸15・15・・・と逆転遊星歯車軸45・45・・・が横架されて、該遊星歯車軸15上に回転自在に支持した遊星ピニオン16が前記後進駆動歯車17と噛合している。該遊星ピニオン16は、逆転遊星歯車軸45上に回転自在に支持した逆転ピニオン14と常時噛合している。また、該逆転ピニオン14は、出力軸2上に固設した後進被駆動歯車13と噛合している。これらの遊星歯車の点検補修交換を容易にする為にケース10に点検窓10aが構成されている。
【0013】
このような構成において前進の場合に、前進用摩擦板仕組6を接合し、後進用摩擦板仕組5を離間すると、入力軸1と出力軸2の回転方向及び回転数は同じであり、キャリアー8は出力軸2の前進回転と同じ回転方向及び回転数で回転している。後進の場合には、前進用摩擦板仕組6を離間して、後進用摩擦板仕組5を接合すると、入力軸1の回転は、クラッチハウジング11からハウジングカバー18を介して、後進駆動歯車17に伝達され、該後進駆動歯車17は遊星ピニオン16を回転する。この時キャリアー8が後進用摩擦板仕組5により、回転不能なブレーキハウジング12に固定されているので、キャリアー8が回転できなくなる。該キャリアー8が公転しないので、遊星歯車軸15と逆転遊星歯車軸45が公転しなくなり、後進駆動歯車17からの駆動を受けて遊星ピニオン16と逆転ピニオン14とが自転を開始して、強制的に後進被駆動歯車13を逆転方向に回転させるのである。
【0014】
そして、本発明は、図4に示すように、前記入力軸1前部に入力継手39を嵌入固定し、その入力継手39とケース10との間に油供給部Dを設け、該油供給部Dは受継筒38と、スリーブ37と、入力継手39の外周の一部を覆うカバー42とを互いに径方向に重合嵌装して構成している。該カバー42とスリーブ37とはケース10に回転不能に固定されており、受継筒38はスリーブ37及び入力軸1に対して相対回転自由に嵌合されている。この受継筒38には前進クラッチを作動するための前進油路62と、潤滑油を潤滑用油路22に送油するための連通油路63が形成されて、該前進油路62はカバー42の外側に設けた図6に示す油継手56を介して、前記連通油路63はカバー42の外側に設けた油継手53を介して、それぞれ図7に示すように切換バルブ70と接続されている。
【0015】
そして、受継筒38の外周面には前進油路62と連通油路63の各々の開口端を区画するように環状溝38a・38a・・・が形成されて、該環状溝38a・38a・・・にOリング46・46・・・が嵌合されシール部を形成し、このシール部によって受継筒38の外周面とスリーブ37の内周面との間で前進油路62と連通油路63の油流通を防止し、また、スリーブ37と受継筒38との間で、前進油路62及び連通油路63への油の受け継ぎが行われている。そして、スリーブ37の外周に幅広の凹部が設けられ潤滑油環流部65を形成している。該潤滑油環流部65は図5に示すように、スリーブ37の外周において、周方向に沿って断面視C字形状の溝としている。そして、その一端側にカバー42に固着した油継手53からの潤滑油が流入され、その他端側に油路37aを径方向に開口して、そこから潤滑油が連通油路63へ流出するようにしている。また、図6に示すように、前記潤滑油環流部65を設けないスリーブ37の外周部において、油路37bを半径方向に開口して、該油路37bによって前記油継手56と前進油路62の間を連通して、前記切換バルブ70からの圧油を前進油路62に送油できるようにしている。
【0016】
前記前進油路62は入力軸1の軸内に穿設したクラッチ作動油路21と連通され、該クラッチ作動油路21は前記入力軸1の鍔部1aに形成したシリンダーに連通されて、前進用ピストン3を摺動可能としている。また、前記連通油路63は受継筒38内の軸方向に穿設した油路38bから軸受43側へ潤滑油を吐出できるようにし、また、連通油路63は入力軸1の軸内に穿設した油路66と連通され、該油路66は図2に示すように、出力軸2の軸内に穿設した潤滑用油路22と連通され、該潤滑用油路22から径方向に分岐させて油路23・35・28を出力軸2に穿設し、油路23からキャリアー8に穿設した油路24と連通して、該油路24からは遊星歯車軸15と逆転遊星歯車軸45内の油路25・68を経て、後進側摩擦板係止環8aの部分に設けた油路26・47に案内して、後進用摩擦板仕組5の内径部分に潤滑油を吐出できるようにしている。また、前記油路35から前進側摩擦板係止環7の油路67を経て、前進用摩擦板仕組6内に潤滑油を吐出できるようにし、前記油路28からベアリングを介して遊星歯車の噛合部に潤滑油を吐出できるようにし、それぞれ潤滑できるようにしている。なお油路24の途中から分岐油路24aを設けており、該分岐油路24aは遊星ピニオン16と逆転ピニオン14との噛合部に開口し、油路24を流れる潤滑油の一部は分岐油路24aを通って遊星ピニオン16と逆転ピニオン14との噛合部に吐出され、潤滑されるようになっている。
【0017】
このように構成したことによって、作動油ポンプ20からパイピング53’・油継手53によって送油された潤滑油は、カバー42より連通油路63に送油されるが、スリーブ37に設けた潤滑油環流部65を通過するときにスリーブ37を冷却するので、入力軸1の回転による摩擦熱がカバー42側へ伝わらない。その上、Oリング46・46・・・も冷却して、シールの劣化を防止している。そして、スリーブ37内に導入された潤滑油は連通油路63より軸受43を潤滑し、更に、入力軸1の潤滑用の油路66に入って、入力軸1と出力軸2との突き合わせ部で受け継がれて出力軸2の油路22に入り、前進用摩擦板仕組6や後進用摩擦板仕組5も潤滑する。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、スリーブとカバーとの間に簡単な構成の潤滑油環流部を設けるだけで、潤滑油が油圧クラッチ等の被潤滑部まで送油される途中の油流で受継筒とスリーブとの間を冷却することができるようになり、スリーブを覆うカバーの温度上昇を抑え、軸受部分の点検の為にカバーを手で触ることが可能となり、軸受の異常の確認作業が行い易くなる。
また、受継筒に設けるシール部の温度上昇も抑えられるので、シール部の耐久性が向上し、耐熱性の高いシールを用いる必要がないので、コスト低減化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 可逆転油圧式クラッチ機構の側面断面図である。
【図2】 前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構の部分拡大断面図である。
【図3】 図2のA−A断面矢視図である。
【図4】 油圧クラッチ装置への油供給部を示す拡大断面図である。
【図5】 図4におけるB−B断面矢視図である。
【図6】 図4におけるC−C断面矢視図である。
【図7】 油圧回路図である。
【符号の説明】
D 油供給部
1 入力軸
2 出力軸
10 ケース
21 クラッチ作動油路
37 スリーブ
38 受継筒
42 カバー
46 Oリング
62 前進用油路
63 連通油路
65 潤滑油環流部
66 潤滑用油路
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧式クラッチの油供給部に設けるスリーブの冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、伝動装置の回転軸の軸芯部に油路を形成して、油圧ポンプからの圧油を回転軸上に設けた油圧クラッチに送油できるようにした技術は公知となっている。例えば、実公昭60−15020号公報に記載の技術の如くである。該技術において、油圧ポンプからの圧油は切換バルブを介して回転軸の一端部上に外嵌したスリーブに送油され、該スリーブには軸芯の油路に向けて連通孔が開口され、この連通孔両側の回転軸とスリーブの間にはシールが設けられて、作動油の漏れを防止するようにし、油圧クラッチに確実に圧油を送油できるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、舶用クラッチ等の大形の、油圧クラッチを有する逆転伝動機は、その稼働時にケースの温度は40℃〜50℃に上昇している。そして、軸受が異常か否か点検するときは点検者が手で軸受部分に相当するケース箇所を触って、熱ければ異常と疑ってケースを分解する作業に入る。しかし、従来のような構成にしていると、シール部において、回転軸の回転によって発熱した熱がスリーブから該スリーブを覆うケースに伝わり、ケースがかなり高温となって、触って点検することができなくなっていた。特に軽量化を図るためにケースを薄肉化すると、高温になり易く、軸受等の異常の確認に支障をきたし、シール部の耐久性も低下していたのである。そこで本発明は、シール部とケースの間に潤滑油路を設けて、この潤滑油によって冷却できるようにしようとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決する為に次の如く構成したものである。
前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構と入力軸1と出力軸2が配置され、該入力軸1と出力軸2が軸受けを介して軸心を一致させて横架され、該出力軸2に前進油圧クラッチ装置が配置され、該前進油圧クラッチ装置の外周に後進油圧クラッチ装置を重複配置し、前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置の後部に、遊星歯車機構を直列に配置した可逆転油圧式クラッチ機構であって、前進油圧クラッチ装置を外嵌した入力軸1の軸内に前進油圧クラッチ装置を作動させるクラッチ作動油路21と、前進油圧クラッチ装置や歯車等の被潤滑部に潤滑油を送油するための潤滑用油路66を設け、該クラッチ作動油路21と潤滑用油路66にそれぞれ連通する油供給部を入力軸1の外周部に設け、該油供給部を軸心側から受継筒38、スリーブ37、カバー42から構成し、該受継筒38とスリーブ37の間にシール部を設け、該スリーブ37とカバー42の間に、潤滑用油路66に通ずる潤滑油環流部65を設けたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に実施例を説明する。
図1は可逆転油圧式クラッチ機構の側面断面図、
図2は、前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構の部分拡大断面図、
図3は図1のA−A断面矢視図、
図4は油圧クラッチ装置への油供給部を示す拡大断面図、
図5は図4におけるB−B断面矢視図、
図6は図4におけるC−C断面矢視図、図7は油圧回路図である。
【0006】
図1、図2、図3において、本発明の冷却構造を有する可逆転油圧式クラッチ機構の全体的な構成を説明する。
ケース10に入力軸1と出力軸2が軸受け43・48・49を介して軸心を一致させて横架されて、ケース10の内部に、前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構が配置され、該出力軸2に前進油圧クラッチ装置が配置されて、該前進油圧クラッチ装置の外周に後進油圧クラッチ装置を重複配置している。前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置の後部に、遊星歯車機構が直列に配置されている。
【0007】
エンジンのフライホィールに連結される入力継手39が入力軸1前部に外嵌固定され、該入力継手39の後部の入力軸1上に油供給部Dを設けて後述する本発明の冷却構造が構成されている。そして入力軸1と出力軸2とは軸受32を介して、同一軸芯上で異回転可能に軸受支持されている。該出力軸2の後部はケース10に対して、小径円錐コロ軸受48でまず枢支され、次に後段の大径円錐コロ軸受49で複列に支持されている。該大径円錐コロ軸受49は出力軸蓋29により被覆されている。該出力軸蓋29から突出した出力軸2上に、出力継手31が固定されている。
【0008】
また、前記ケース10の前面に作動油ポンプ20が固定されている。該作動油ポンプ20のポンプ軸41は入力軸1の後部に構成した鍔部1a上に固設した歯車30に噛合する歯車44を介して駆動されている。該作動油ポンプ20からの圧油が、切換バルブ70、パイピングを介して、前進用の作動油路や潤滑用油路や後進用油路に供給されている。
【0009】
次に図2において、前進油圧クラッチ装置は入力軸1の後部に鍔部1aが構成され、該鍔部1aの後部にクラッチハウジング11が固設され、該鍔部1aの後面に環状のシリンダーを設けて、前進用ピストン3が軸方向摺動自在に嵌装されている。
また、前記出力軸2上に前進側摩擦板係止環7が、油圧嵌めにより固定され、該前進側摩擦板係止環7とクラッチハウジング11にそれぞれ摩擦板が交互に重合して嵌挿されて前進用摩擦板仕組6が構成されている。よって、前記前進用ピストン3を圧油により摺動させることにより、前進用摩擦板仕組6が押圧接触して、入力軸1と一体化されたクラッチハウジング11の回転が、前進側摩擦板係止環7から出力軸2に伝達される。
【0010】
また、クラッチハウジング11の後部内周側にハウジングカバー18が固定されている。該ハウジングカバー18に後進駆動歯車17が一体化されている。該後進駆動歯車17までは、入力軸1と共に一体的に回転する。ハウジングカバー18と後進駆動歯車17との接合部分外周に軸受33を嵌装し、該軸受33によりキャリアー8の前部内周側を枢支している。キャリアー8の後部内周側は出力軸2に嵌装した軸受34により枢支している。
【0011】
そして、前記キャリアー8から前方に後進側摩擦板係止環8aを突出し、該後進側摩擦板係止環8aの外周側と、ケース10に回転不能に係止したブレーキハウジング12におけるその内周側との間に摩擦板を交互に重合して嵌挿し、後進用摩擦板仕組5を構成している。該ブレーキハウジング12内に、軸方向摺動自在な後進用ピストン4と、該後進用ピストン4を常時離間側に付勢するバネ36を配置して後進油圧クラッチ装置を構成している。作動油ポンプ20から吐出される作動油を切換バルブ70からパイピング54によりブレーキハウジング12内に設けた後進用油路27に供給すると、該後進用ピストン4が摺動され、後進用摩擦板仕組5を押圧接触してキャリアー8をブレーキハウジング12と一体化してキャリアー8の回転不能状態にする。前記ブレーキハウジング12の後面にはハウジングカバー19が被覆されて、ブレーキハウジング12と後進側摩擦板係止環8aの間に介装した後進用摩擦板仕組5の抜け出しを阻止している。
【0012】
図2、図3に示すように、前記キャリアー8の前後幅内に遊星歯車軸15・15・・・と逆転遊星歯車軸45・45・・・が横架されて、該遊星歯車軸15上に回転自在に支持した遊星ピニオン16が前記後進駆動歯車17と噛合している。該遊星ピニオン16は、逆転遊星歯車軸45上に回転自在に支持した逆転ピニオン14と常時噛合している。また、該逆転ピニオン14は、出力軸2上に固設した後進被駆動歯車13と噛合している。これらの遊星歯車の点検補修交換を容易にする為にケース10に点検窓10aが構成されている。
【0013】
このような構成において前進の場合に、前進用摩擦板仕組6を接合し、後進用摩擦板仕組5を離間すると、入力軸1と出力軸2の回転方向及び回転数は同じであり、キャリアー8は出力軸2の前進回転と同じ回転方向及び回転数で回転している。後進の場合には、前進用摩擦板仕組6を離間して、後進用摩擦板仕組5を接合すると、入力軸1の回転は、クラッチハウジング11からハウジングカバー18を介して、後進駆動歯車17に伝達され、該後進駆動歯車17は遊星ピニオン16を回転する。この時キャリアー8が後進用摩擦板仕組5により、回転不能なブレーキハウジング12に固定されているので、キャリアー8が回転できなくなる。該キャリアー8が公転しないので、遊星歯車軸15と逆転遊星歯車軸45が公転しなくなり、後進駆動歯車17からの駆動を受けて遊星ピニオン16と逆転ピニオン14とが自転を開始して、強制的に後進被駆動歯車13を逆転方向に回転させるのである。
【0014】
そして、本発明は、図4に示すように、前記入力軸1前部に入力継手39を嵌入固定し、その入力継手39とケース10との間に油供給部Dを設け、該油供給部Dは受継筒38と、スリーブ37と、入力継手39の外周の一部を覆うカバー42とを互いに径方向に重合嵌装して構成している。該カバー42とスリーブ37とはケース10に回転不能に固定されており、受継筒38はスリーブ37及び入力軸1に対して相対回転自由に嵌合されている。この受継筒38には前進クラッチを作動するための前進油路62と、潤滑油を潤滑用油路22に送油するための連通油路63が形成されて、該前進油路62はカバー42の外側に設けた図6に示す油継手56を介して、前記連通油路63はカバー42の外側に設けた油継手53を介して、それぞれ図7に示すように切換バルブ70と接続されている。
【0015】
そして、受継筒38の外周面には前進油路62と連通油路63の各々の開口端を区画するように環状溝38a・38a・・・が形成されて、該環状溝38a・38a・・・にOリング46・46・・・が嵌合されシール部を形成し、このシール部によって受継筒38の外周面とスリーブ37の内周面との間で前進油路62と連通油路63の油流通を防止し、また、スリーブ37と受継筒38との間で、前進油路62及び連通油路63への油の受け継ぎが行われている。そして、スリーブ37の外周に幅広の凹部が設けられ潤滑油環流部65を形成している。該潤滑油環流部65は図5に示すように、スリーブ37の外周において、周方向に沿って断面視C字形状の溝としている。そして、その一端側にカバー42に固着した油継手53からの潤滑油が流入され、その他端側に油路37aを径方向に開口して、そこから潤滑油が連通油路63へ流出するようにしている。また、図6に示すように、前記潤滑油環流部65を設けないスリーブ37の外周部において、油路37bを半径方向に開口して、該油路37bによって前記油継手56と前進油路62の間を連通して、前記切換バルブ70からの圧油を前進油路62に送油できるようにしている。
【0016】
前記前進油路62は入力軸1の軸内に穿設したクラッチ作動油路21と連通され、該クラッチ作動油路21は前記入力軸1の鍔部1aに形成したシリンダーに連通されて、前進用ピストン3を摺動可能としている。また、前記連通油路63は受継筒38内の軸方向に穿設した油路38bから軸受43側へ潤滑油を吐出できるようにし、また、連通油路63は入力軸1の軸内に穿設した油路66と連通され、該油路66は図2に示すように、出力軸2の軸内に穿設した潤滑用油路22と連通され、該潤滑用油路22から径方向に分岐させて油路23・35・28を出力軸2に穿設し、油路23からキャリアー8に穿設した油路24と連通して、該油路24からは遊星歯車軸15と逆転遊星歯車軸45内の油路25・68を経て、後進側摩擦板係止環8aの部分に設けた油路26・47に案内して、後進用摩擦板仕組5の内径部分に潤滑油を吐出できるようにしている。また、前記油路35から前進側摩擦板係止環7の油路67を経て、前進用摩擦板仕組6内に潤滑油を吐出できるようにし、前記油路28からベアリングを介して遊星歯車の噛合部に潤滑油を吐出できるようにし、それぞれ潤滑できるようにしている。なお油路24の途中から分岐油路24aを設けており、該分岐油路24aは遊星ピニオン16と逆転ピニオン14との噛合部に開口し、油路24を流れる潤滑油の一部は分岐油路24aを通って遊星ピニオン16と逆転ピニオン14との噛合部に吐出され、潤滑されるようになっている。
【0017】
このように構成したことによって、作動油ポンプ20からパイピング53’・油継手53によって送油された潤滑油は、カバー42より連通油路63に送油されるが、スリーブ37に設けた潤滑油環流部65を通過するときにスリーブ37を冷却するので、入力軸1の回転による摩擦熱がカバー42側へ伝わらない。その上、Oリング46・46・・・も冷却して、シールの劣化を防止している。そして、スリーブ37内に導入された潤滑油は連通油路63より軸受43を潤滑し、更に、入力軸1の潤滑用の油路66に入って、入力軸1と出力軸2との突き合わせ部で受け継がれて出力軸2の油路22に入り、前進用摩擦板仕組6や後進用摩擦板仕組5も潤滑する。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、スリーブとカバーとの間に簡単な構成の潤滑油環流部を設けるだけで、潤滑油が油圧クラッチ等の被潤滑部まで送油される途中の油流で受継筒とスリーブとの間を冷却することができるようになり、スリーブを覆うカバーの温度上昇を抑え、軸受部分の点検の為にカバーを手で触ることが可能となり、軸受の異常の確認作業が行い易くなる。
また、受継筒に設けるシール部の温度上昇も抑えられるので、シール部の耐久性が向上し、耐熱性の高いシールを用いる必要がないので、コスト低減化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 可逆転油圧式クラッチ機構の側面断面図である。
【図2】 前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構の部分拡大断面図である。
【図3】 図2のA−A断面矢視図である。
【図4】 油圧クラッチ装置への油供給部を示す拡大断面図である。
【図5】 図4におけるB−B断面矢視図である。
【図6】 図4におけるC−C断面矢視図である。
【図7】 油圧回路図である。
【符号の説明】
D 油供給部
1 入力軸
2 出力軸
10 ケース
21 クラッチ作動油路
37 スリーブ
38 受継筒
42 カバー
46 Oリング
62 前進用油路
63 連通油路
65 潤滑油環流部
66 潤滑用油路
Claims (1)
- 前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置と遊星歯車機構と入力軸1と出力軸2が配置され、該入力軸1と出力軸2が軸受けを介して軸心を一致させて横架され、該出力軸2に前進油圧クラッチ装置が配置され、該前進油圧クラッチ装置の外周に後進油圧クラッチ装置を重複配置し、前進油圧クラッチ装置と後進油圧クラッチ装置の後部に、遊星歯車機構を直列に配置した可逆転油圧式クラッチ機構であって、
前進油圧クラッチ装置を外嵌した入力軸1の軸内に前進油圧クラッチ装置を作動させるクラッチ作動油路21と、前進油圧クラッチ装置や歯車等の被潤滑部に潤滑油を送油するための潤滑用油路66を設け、該クラッチ作動油路21と潤滑用油路66にそれぞれ連通する油供給部を入力軸1の外周部に設け、
該油供給部を軸心側から受継筒38、スリーブ37、カバー42から構成し、該受継筒38とスリーブ37の間にシール部を設け、該スリーブ37とカバー42の間に、潤滑用油路66に通ずる潤滑油環流部65を設けたことを特徴とする油圧式クラッチの回転部におけるシール冷却構造。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP19036095A JP3799083B2 (ja) | 1995-07-26 | 1995-07-26 | 油圧クラッチの回転部におけるシール冷却構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19036095A JP3799083B2 (ja) | 1995-07-26 | 1995-07-26 | 油圧クラッチの回転部におけるシール冷却構造 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0942319A JPH0942319A (ja) | 1997-02-10 |
| JP3799083B2 true JP3799083B2 (ja) | 2006-07-19 |
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ID=16256897
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| JP19036095A Expired - Fee Related JP3799083B2 (ja) | 1995-07-26 | 1995-07-26 | 油圧クラッチの回転部におけるシール冷却構造 |
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| JP (1) | JP3799083B2 (ja) |
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|---|---|---|---|---|
| JP2011214642A (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-27 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 湿式動力断続装置の冷却構造 |
-
1995
- 1995-07-26 JP JP19036095A patent/JP3799083B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JPH0942319A (ja) | 1997-02-10 |
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