JP3801295B2 - トンネル用セグメントの連結構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル周方向に隣接させて組付けられる第1セグメント本体及び第2セグメント本体の夫々の突合せ部に、当該夫々の突合せ部を突合わせた状態で対向するよう、第1被挟持部を有する第1アリ溝部および第2被挟持部を有する第2アリ溝部を個別に設けると共に、トンネル軸芯方向端部から前記第1アリ溝部および第2アリ溝部に各別に嵌入自在であり、互いの間隔が嵌入方向前方側ほど広く構成してある第1挟持部と第2挟持部とを両側に備えた連結具を、前記第1アリ溝部および第2アリ溝部に挿入することで、前記第1挟持部が前記第1被挟持部に当接し、前記第2挟持部が前記第2被挟持部に当接して、前記夫々の突合せ部を相対的に近接させるトンネル用セグメントの連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のトンネル用セグメント連結具(以下「連結具」という)は、トンネル周方向に隣接するトンネル用セグメント本体どうしを連結する際に用いる。つまり、既にトンネル周方向に構築された環状のセグメントリングに対して、前記トンネル用セグメント本体を順次連結していく場合に、トンネル周方向に隣接するセグメント本体どうしを引付け連結するために前記連結具を用いる。
前記連結具は、非平行な一対の拡大縁部を平板状の胴部で連結した形状を有しており、双方のセグメント本体に形成したアリ溝部に前記一対の拡大縁部が夫々嵌入されることで、双方のセグメント本体を互いに引き付けて連結する。
ここで、トンネル周方向に隣接する二つのトンネル用セグメント本体のうち、先に取付けるものを第1セグメント本体とし、後から取付けるものを第2セグメント本体とすると共に、既に構築され、前記第1セグメント本体および前記第2セグメント本体を共に当接させるセグメントを既設セグメント本体とする。
前記既設セグメント本体に対して前記第1セグメント本体および前記第2セグメント本体を連結するには、前記連結具の使用態様としていわゆる先付方式を用いる。
当該先付方式は、前記連結具の一方の拡大縁部を、予め前記第1セグメント本体の第1アリ溝部に対して前記既設セグメント本体の側から挿入しておく方式である。つまり、前記連結具を装着した状態で前記既設セグメント本体に連接された前記第1セグメント本体に対し、前記第2セグメント本体を押し付けて連結するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の連結具を使用した連結方式によれば、次のような問題があった。
前記先付方式の場合には、所定の引付け力を確実に発生させることが困難であった。つまり、前記第2セグメント本体を前記既設セグメント本体に押付ける際には、通常、前記連結具は、前記第2セグメント本体の押付けによって前記既設セグメント本体に当接させられ、前記第2セグメント本体の押込みが完了した状態では、前記第1セグメント本体および前記第2セグメント本体に加えて、前記連結具も前記既設セグメント本体に当接していることとなる。
本構成の場合には、前記第1セグメント本体の第1アリ溝部と前記第2セグメント本体の第2アリ溝部との間隔と、前記連結具の拡大縁部どうしの間隔つまり前記胴部の間隔とは一致していることが望ましいが、通常、幾分の誤差が生じている。特に、前記胴部の間隔が広過ぎる場合には、前記第1セグメント本体と前記第2セグメント本体とを十分に引付けることができなくなる。
また、前記第2セグメント本体を取付けた後に、当該引付け力を測定することも困難である。
このように、上記従来の連結具を用いた連結方式においては、セグメント本体どうしの連結作業の確実性が損なわれるおそれがあって未だ改善の余地があった。
【0004】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、トンネル周方向に連結する二つのセグメント本体どうしの連結を確実ならしめるトンネル用セグメントの連結構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(構成1)
この目的を達成するための本発明に係るセグメント連結構造は、請求項1に記載したごとく、前記連結具の嵌入方向後端に、トンネル軸芯方向に隣接する既設セグメント本体に接当可能で、前記第2セグメント本体を前記既設セグメント本体に押し付ける際に、前記既設セグメント本体から一定以上の荷重を受けた場合に変形可能な突出部材を設けると共に、前記第1被挟持部の延出方向を前記突合せ部に対して平行とし、前記第2被挟持部の延出方向を前記連結具の挿入方向奥側ほど前記突合せ部から離間させた点に特徴を有する。
(作用・効果)
本構成のごとく、前記突出部材を備えたセグメント連結構造によれば、前記第2セグメント本体を、前記既設セグメント本体の側に押しつけていく際に、当該第2セグメント本体と前記連結具との当接開始位置を、前記第2セグメント本体の挿入方向手前側に設定することができる。つまり、前記当接開始位置を、前記第1セグメント本体の第1アリ溝部の挿入方向奥側に設定することができる。
このことは、例えば、前記連結具における第1挟持部と第2挟持部との間隔に比べて、挟持すべき前記第1被挟持部と前記第2被挟持部との間隔が小さい場合に有効である。この場合、前記連結具は、前記第2セグメント本体に押される際に、前記突出部材が前記既設セグメント本体に当接する位置で一旦停止する。この状態で、前記第2セグメント本体は未だ前記既設セグメント本体に当接していない。さらに前記第2セグメント本体が押込まれ、当該第2セグメント本体による押付け力が前記突出部材の変形に必要な力を上回ると、前記連結具は双方のアリ溝部間の寸法誤差を吸収すべく、前記既設セグメントの側に移動する。この時、前記連結具は略一定の引張力で前記第1セグメント本体と前記第2セグメント本体とを引き付けることができる。
以上のごとく、本発明のセグメント連結構造によれば、前記第1・第2アリ溝部あるいは前記連結具自身の製作誤差を一定範囲まで許容しながら、前記セグメント本体どうしを略一定の締結力で連結することができるから、連結部分の信頼性を向上させることができる。
そして、前記連結具を予め装着した第1セグメント本体に前記第2セグメント本体を押付ける場合には、前記第1被挟持部の延出方向が前記突合せ部と平行であるから、前記連結具は、前記第1セグメント本体の突合せ部から一定幅の胴部を突出させた状態で前記既設セグメント本体の側に移動する。つまり、この移動の際に、前記連結具は前記既設セグメント本体に対して横擦れを生じない。
前記突出部は、前記連結具の移動に際して、その一端を前記既設セグメント本体に当接させた状態で圧縮変形するが、上述のごとく前記連結具の移動に横擦れが生じないから前記突出部に曲げ力が加わることがなく、前記突出部を変形の初期状態から完了までのあいだ常に一定方向に圧縮変形させることができる。
この結果、前記突出部に所望の圧縮抵抗力を発揮させることができ、前記連結具の動作が確実となって前記セグメント本体どうしに作用する締結力をより最適に設定することができる。
【0006】
(構成2)
本発明のセグメント連結構造は、請求項2に記載したごとく、前記突出部材を中空の略円筒形状を有する部材で構成すると共に前記第2挟持部の端部に設けることができる。
(作用・効果)
本構成であれば、前記突出部材を極めて簡単に構成できながら、圧縮変形する際には変形過程の大部分に亘って略一定の圧縮抵抗力を発生させ得るという変形特性を有する。この結果、前記突出部材の圧縮ストロークを大きく設定できることができ、前記連結具の製作誤差等を比較的大きな範囲まで許容することができる。
また、前記突出部材の構成が簡単であるから、当該部材の設計・製作が容易になる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(連結具およびアリ溝部)
本発明のトンネル用セグメントの連結構造の概要を図1に示すと共に、本発明に用いる連結具Rの外観を図2および図3に示す。
図1に示すごとく、本実施形態においては、連結するトンネル用セグメントとしてダクタイルセグメントを用いた例を示す。ただし、この他に、コンクリートセグメント、あるいは、スチールセグメントを用いることも可能である。
前記連結具Rは略矩形状であって、当該連結具Rの挿入方向に沿った両縁部には第1挟持部1および第2挟持部2が形成されていると共に、これら第1挟持部1および第2挟持部2は平板状の胴部3で連接されている。特に、第2挟持部2は、第2セグメント本体S2に挿入されて双方のセグメント本体S1,S2どうしを引付け連結できるよう前記連結具Rの挿入方向奥側ほど広がった状態に形成してある。
本発明のトンネル用セグメントの連結構造を用いれば、単にセグメント本体Sを連結位置に押付けるだけで、セグメント本体Sどうしが連結され、トンネル内壁を構築することができる。よって、トンネルの内部空間側の面を構成するセグメント本体Sの内側面には、従来のセグメント本体のように、連結用のボルトポケットを多数設ける必要がなく、内側面を比較的円滑な面に構成して、二次覆工等の手間を省略することができる。
【0008】
本発明に係る連結具Rは、既設セグメント本体Sに接当可能な突出部材Tをその嵌入方向後端に備えている。突出部材Tは、前記第2挟持部2の端部に設け、その突出方向は前記第1挟持部1の延出方向と平行に設定してある。前記突出部材Tの取付けは、図2のごとく前記第2挟持部2の後端に凹部4を形成して前記突出部材Tを嵌入固定するものであってもよいし、接着剤等を用いて行ってもよい。
図2に示すごとく、前記突出部材Tは、例えば中空の円筒部材で構成する。前記突出部材Tは、前記連結具Rが所定の押圧力で前記既設セグメント本体Sに押し付けられる際に図3に示すごとく面外変形可能である。つまり、当該突出部材Tが圧縮変形することで前記連結具Rは前記既設セグメント本体Sの側に移動し、後述するごとく、前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2とを略一定力で引付け連結する。
【0009】
(連結操作)
前記既設セグメント本体Sに対して前記第1セグメント本体S1および前記第2セグメント本体S2を取り付ける際には、前記連結具Rを予め前記第1セグメント本体S1に取り付けておく先付方式を用いる。これらの取付け態様を図4に示す。
図4において、Sa,Sb,Scで示したセグメント本体は、前記既設セグメント本体Sを示す。これら三つのセグメント本体は、先ずSaが組み立てられ、その後Sb或いはScが組み立てられたものである。つまり、既設セグメント本体Sbおよび既設セグメント本体Scには、突合せ面5と平行な第1被挟持部m1を設けてあり、夫々の第1被挟持部m1に予め連結具Rを取付けた状態で、前記既設セグメント本体Saに近接・連結が行われるのである。
【0010】
これら三つの既設セグメント本体Sa,Sb,Scに対し、第1セグメント本体S1および第2セグメント本体S2が連結される。
前記第1セグメント本体S1のうち、前記既設セグメント本体Saの側に設けるアリ溝部は、突合せ面5に平行な第1被挟持部m1を有する第1アリ溝部M1とする。
前記連結具Rを取付ける際には、図4に示すごとく、前記突出部材Tを設けていない側の第1挟持部1を前記第1アリ溝部M1に挿入し、前記突出部材Tを設けた第2挟持部2は露出させておく。本構成であれば、後で第2セグメント本体S2を押込む際に、前記連結具Rが、前記第1セグメント本体S1の突合せ部から一定幅の胴部3を突出させた状態で前記既設セグメント本体Sの側に移動するとができる。つまり、前記突出部材Tの圧縮方向と前記第2セグメント本体S2の押込み方向とが一致するから、前記第2セグメント本体S2の押込みによって前記連結具Rにこじりが生じず、前記連結具Rが前記既設セグメント本体Sに対して横擦れを生じることもない。このように、前記突出部材Tに曲げ力が加わらなければ、前記突出部材Tの変形が最適な状態でなされ、前記突出部材Tの所期の性能を十分に発揮させることが可能となる。
【0011】
前記連結具Rを用いた前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2との連結過程を図5(イ)〜(ニ)に示す。
図5(イ)は、既に構築が終了した前記第1セグメント本体S1と、当該第1セグメント本体S1の第1アリ溝部M1に挿入されている前記連結具Rとに対し、前記第2セグメント本体S2を近接させる過程を示している。この過程においては、前記連結具Rと前記第2セグメント本体S2とは未だ当接していない。
前記第2セグメント本体S2の押付けが進み、前記第2アリ溝部M2が前記連結具Rの第2挟持部2に当接し、さらに、両者が当接した状態で前記連結具Rの突出部材Tが前記既設セグメント本体Sに当接した状態を示したのが図5(ロ)である。この状態では、前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2との間に所定の締結力は未だ発生していない。
さらに前記第2セグメント本体S2を前記既設セグメント本体Sの側に押込むと、前記第2セグメント本体S2の平溝部M2bが、前記連結具Rの第2挟持部2と前記第1セグメント本体S1との間に嵌入される。この嵌入は、前記連結具Rが前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2とを所定の締結力で引き付けるようになるまで行われる。
当該嵌入が終了した状態を示したのが図5(ハ)であり、この状態では、前記連結具Rの端部のうち前記既設セグメント本体S側の端部が、前記第2セグメント本体S2の同じく既設セグメント側の端部よりも引退しており、前記突出部材Tの先端部は前記第2セグメント本体S2の端部より突出している。
(ハ)の状態になる以前においては、前記突出部材Tに面外圧縮変形は生じない。つまり、前記第2挟持部2が突合せ面5と非平行に構成してあるから、前記第2セグメント本体S2を前記既設セグメント本体Sの側に押付ける力の大部分は、両セグメント本体S1,S2どうしを引付けるための分力となる。このため、前記連結具Rを前記既設セグメント本体Sの側に押付ける分力が、前記突出部材Tを面外変形させるのに必要な力にまで高まっていないからである。
(ハ)の状態になった時点で、連結具Rと第2セグメント本体S2との間には所定の締結力が発生する。よって、(ハ)の状態から第2セグメント本体S2をさらに押し込んでも、連結具Rと第2セグメント本体S2との相対位置は殆ど変化しない。つまり、当該押し込みの際には、連結具Rと第2セグメント本体S2とが略一体化した状態で既設セグメント本体Sに近接し、その際、前記突出部材Tが一定の変形抵抗力を発揮させて圧縮変形する。前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2との引付力も略一定に保たれる。
図5(ニ)は、第2セグメント本体S2の押し込みが終了した状態である。この状態の突出部材Tは、さらに圧縮変形し得る余裕を残しているか、或いは、ちょうど圧縮変形が終了した状態であることが必要である。具体的には、前記突出部材Tが最大限に圧縮変形した状態での前記突出部材Tの突出長さをhとすると、第2セグメント本体S2の端部に対する連結具Rの端部の引退長さが、長さhよりも長いことが必要である。つまり、突出部材Tが完全に圧縮変形された時点で前記第2セグメント本体S2が未だ前記既設セグメント本体Sに当接していない場合には、突出部材Tが障害となって、それ以上前記第2セグメント本体S2を前記既設セグメント本体Sに密着させることが不可能になるからである。
【0012】
ここで、前記突出部材Tが圧縮変形する状況について説明する。
例えば、図6に示した形状の筒部材5が有する変形特性を図7に示す。当該筒部材5は両端部が開口した単なる円筒部材である。前記筒部材5を自身の軸芯X方向に圧縮すると、初期の段階すなわち原点0からa点までにおいては、前記筒部材5は前記軸芯X方向に圧縮変形する。圧縮荷重Pがa点に達した段階で、当該筒部材5は面外変形を生じ始める。その後は、a点からb点に示すごとくしばらく押圧を続けても前記筒部材5に加わる荷重Pは増加せず面外変形のみが進行する。b点に達すると前記面外変形は座屈に転じ、前記筒部材5に加わる荷重Pはc点までやや急激に低下する。c点で前記筒部材5の変形は略終了し、この後、押圧を続けても圧縮変形は生じず荷重Pのみが増加する。
本発明においては、前記筒部材5が有する変形特性のうち、a点からb点までの特性を利用する。つまり、前記第2セグメント本体S2を押込む荷重Pのうち前記連結具Rを前記既設セグメント本体Sの側に押付ける分力が上記a点からb点までの間の荷重Pと等しいとき、前記両セグメント本体S1,S2どうしを引付けるための分力が所定の荷重となるように前記第1挟持部1のテーパー角度等を設定する。
ただし、本実施形態においては図2あるいは図3に示すごとく、少なくとも中央部に鍔部7を設けた突出部材Tを使用する。本構成であれば、上記筒部材5を二つ連接した形状となって、一定の変形抵抗を発生させ得る変形ストロークを長く確保することができる。この結果、前記連結具Rが比較的大きな製作誤差を有する場合でも、当該製作誤差を許容して略一定の引付力で前記両セグメント本体S1,S2どうしを連結することができる。
尚、前記突出部材Tは、アルミニウム・銅・鉛、あるいは薄肉の鋼材など比較的変形し易い材料を用いて形成することができる。つまり、これらの材料であれば塑性変形能力が安定しているから、所望の変形性状を有する突出部材Tを容易に得ることができる。
【0013】
上記の過程を経て前記第2セグメント本体S2の押し込みが終了した状態を示したのが図5(ニ)である。
【0014】
前記第1アリ溝部M1に係る平溝部M1bの幅と前記第2アリ溝部M2に係る平溝部M2bの幅との合計幅が、前記連結具Rの胴部3の幅に対して狭い場合には、前記突出部材Tがそれほど圧縮変形しない状態で双方のセグメント本体S1,S2どうしの連結が終了する。
図8は、前記突出部材Tが殆ど圧縮変形しない状態を示す例であり、これは、双方の平溝部M1b,M2bの合計幅が、前記胴部3の間隔に対して狭い場合の許容限界を示すものである。
逆に、前記突出部材Tが完全に圧縮変形して連結が終了する例を示したのが図9である。これは、双方の平溝部M1b,M2bの合計幅が、前記胴部3の幅に対して比較的広い場合の許容限界を示すものである。
【0015】
従来の先付方式においては、前記双方の平溝部M1b,M2bの合計幅と前記胴部3の幅とが一致していない場合、双方のセグメント本体S1,S2どうしを適切に連結することは不可能であった。例えば、前記双方の平溝部M1b,M2bの合計幅が狭い場合には、前記連結具Rは双方の第1・第2アリ溝部M1,M2の内部でガタついたまま放置されるという不都合が生じていた。
しかし、図8および図9に示した例から明らかなごとく、本発明の連結具Rを用いれば、前記第1・第2アリ溝部M1,M2あるいは前記連結具R自身の製作誤差を一定範囲まで許容しながら、前記第1・第2セグメント本体S1,S2どうしを略一定の締結力で連結することができる。
【0016】
尚、以上の説明は、主に、前記第1・第2セグメント本体S1,S2が有するアリ溝部M1,M2のうち、既設セグメント本体Saの側にあるアリ溝部M1,M2に係る連結過程についてのものであるが、前記既設セグメントリングSaとは反対側のアリ溝部M1,M2についても締結要領は同じである。
ただし、当該反対側のアリ溝部M1,M2については、前記第1セグメント本体S1には、突合せ面5とは非平行な第2アリ溝部M2を設け、前記第2セグメント本体S2には、突合せ面5と平行な第1アリ溝部M1を設けるほうが、連結具Rの挿入作業が容易となる。
また、前記既設セグメント本体Saとは反対側に取付ける連結具Rは、次に連結されるセグメント本体Sの側面を利用して押込むものであってもよいし、図4の既設セグメント本体Saと既設セグメント本体Sbとの間に取付けた連結具のように、続くセグメント本体S2を連結する際には、既に所定の押込み力で締結されているものであってもよい。
【0017】
(連結具等の製作許容誤差)
前記連結具R等が許容し得る製作誤差の範囲は、上述したごとく図8の例と図9の例とに亘る範囲である。
説明を簡単にするために、前記連結具Rに製作誤差はないものとし、前記第1セグメント本体S1のアリ溝部M1のテーパー角度にも誤差はないものとする。つまり、製作誤差は、前記第1セグメント本体S1および前記第2セグメント本体S2の夫々において、前記平溝部M1b,M2bの幅のみに生じると仮定する。
まず、図8に示した例のごとく、前記連結具Rの胴部3の幅と比較して夫々の平溝部M1b,M2bの合計幅が狭い場合について検討する。この場合、前記胴部3の幅については、特に、前記突出部材Tが設けられた側の端部における間隔をD0 とする。一方、前記平溝部M1b,M2bどうしの合計幅については、前記既設セグメント本体Sに当接する端部における合計幅をDとする。
前記合計幅Dと前記間隔D0 との差は、前記突出部材Tの突出長さHと、前記第2挟持部2が連結具Rの挿入方向となすテーパー角度とから求めることができる。
図8に示すごとく、前記テーパー角度をL:1とすると、
前記合計幅Dが採り得る最小値Dmin は、
Dmin = D0 − H/L − ▲1▼
である。
一方、図9に示した例のごとく、前記合計幅Dが広い場合は、前記突出部材Tが最大に圧縮変形を受けた場合の押込み方向の長さをhとすると、
Dmax = D0 − h/L − ▲2▼
である。
よって、式▲1▼および式▲2▼から、前記合計幅Dの採り得る範囲は、
Dmax − Dmin = (H−h)/L − ▲3▼
となる。
このように、本発明の連結具Rを用いる場合には、前記第1アリ溝部M1・前記第2アリ溝部M2の製作誤差、あるいは、前記連結具R自身の製作誤差を一定の範囲内で許容することができる。これは、前記連結具Rの製作誤差が殆ど許容されていなかった従来の連結具Rを用いる場合と比較して、前記第1・第2セグメント本体S1,S2の生産性を向上させるものである。
【0018】
以上のごとく、本発明のトンネル用セグメントの連結構造によれば、その構造が極めて簡単でありながら、前記第1・第2アリ溝部M1,M2あるいは前記連結具Rの製作誤差等を一定範囲まで許容しつつ、前記第1・第2セグメント本体S1,S2どうしを略一定の締結力で連結することができ、信頼性の高い連結部分を得ることができる。
【0019】
〔別実施形態〕
〈1〉 上記実施形態では前記突出部材Tは前記第1挟持部1のみに設けたが、前記第2挟持部2の側にも設けることができる。
この場合には、夫々の突出部材Tを圧縮変形させるのに必要な荷重の合計が、上記実施形態における単一の突出部材Tを圧縮変形させるのに必要な荷重と等しくなるようにする。
【0020】
尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトンネル用セグメントの連結構造の概要を示す説明図
【図2】本発明に係る連結具を示す平面図
【図3】変形途中の突出部材材を示す説明図
【図4】第2セグメント本体を連結する過程を示す説明図
【図5】第2セグメント本体を連結する過程の詳細を示す説明図
【図6】筒部材を示す斜視図
【図7】筒部材を圧縮変形させる際の圧縮変形量と荷重との関係を示す説明図
【図8】連結部分に製作誤差がある場合の連結状態の一例を示す説明図
【図9】連結部分に製作誤差がある場合の連結状態の他の一例を示す説明図
【符号の説明】
1 第1挟持部
2 第2挟持部
M1 第1アリ溝部
M2 第2アリ溝部
R 連結具
S1 第1セグメント本体
S2 第2セグメント本体
S 既設セグメント本体
T 突出部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル周方向に隣接させて組付けられる第1セグメント本体及び第2セグメント本体の夫々の突合せ部に、当該夫々の突合せ部を突合わせた状態で対向するよう、第1被挟持部を有する第1アリ溝部および第2被挟持部を有する第2アリ溝部を個別に設けると共に、トンネル軸芯方向端部から前記第1アリ溝部および第2アリ溝部に各別に嵌入自在であり、互いの間隔が嵌入方向前方側ほど広く構成してある第1挟持部と第2挟持部とを両側に備えた連結具を、前記第1アリ溝部および第2アリ溝部に挿入することで、前記第1挟持部が前記第1被挟持部に当接し、前記第2挟持部が前記第2被挟持部に当接して、前記夫々の突合せ部を相対的に近接させるトンネル用セグメントの連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のトンネル用セグメント連結具(以下「連結具」という)は、トンネル周方向に隣接するトンネル用セグメント本体どうしを連結する際に用いる。つまり、既にトンネル周方向に構築された環状のセグメントリングに対して、前記トンネル用セグメント本体を順次連結していく場合に、トンネル周方向に隣接するセグメント本体どうしを引付け連結するために前記連結具を用いる。
前記連結具は、非平行な一対の拡大縁部を平板状の胴部で連結した形状を有しており、双方のセグメント本体に形成したアリ溝部に前記一対の拡大縁部が夫々嵌入されることで、双方のセグメント本体を互いに引き付けて連結する。
ここで、トンネル周方向に隣接する二つのトンネル用セグメント本体のうち、先に取付けるものを第1セグメント本体とし、後から取付けるものを第2セグメント本体とすると共に、既に構築され、前記第1セグメント本体および前記第2セグメント本体を共に当接させるセグメントを既設セグメント本体とする。
前記既設セグメント本体に対して前記第1セグメント本体および前記第2セグメント本体を連結するには、前記連結具の使用態様としていわゆる先付方式を用いる。
当該先付方式は、前記連結具の一方の拡大縁部を、予め前記第1セグメント本体の第1アリ溝部に対して前記既設セグメント本体の側から挿入しておく方式である。つまり、前記連結具を装着した状態で前記既設セグメント本体に連接された前記第1セグメント本体に対し、前記第2セグメント本体を押し付けて連結するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の連結具を使用した連結方式によれば、次のような問題があった。
前記先付方式の場合には、所定の引付け力を確実に発生させることが困難であった。つまり、前記第2セグメント本体を前記既設セグメント本体に押付ける際には、通常、前記連結具は、前記第2セグメント本体の押付けによって前記既設セグメント本体に当接させられ、前記第2セグメント本体の押込みが完了した状態では、前記第1セグメント本体および前記第2セグメント本体に加えて、前記連結具も前記既設セグメント本体に当接していることとなる。
本構成の場合には、前記第1セグメント本体の第1アリ溝部と前記第2セグメント本体の第2アリ溝部との間隔と、前記連結具の拡大縁部どうしの間隔つまり前記胴部の間隔とは一致していることが望ましいが、通常、幾分の誤差が生じている。特に、前記胴部の間隔が広過ぎる場合には、前記第1セグメント本体と前記第2セグメント本体とを十分に引付けることができなくなる。
また、前記第2セグメント本体を取付けた後に、当該引付け力を測定することも困難である。
このように、上記従来の連結具を用いた連結方式においては、セグメント本体どうしの連結作業の確実性が損なわれるおそれがあって未だ改善の余地があった。
【0004】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、トンネル周方向に連結する二つのセグメント本体どうしの連結を確実ならしめるトンネル用セグメントの連結構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(構成1)
この目的を達成するための本発明に係るセグメント連結構造は、請求項1に記載したごとく、前記連結具の嵌入方向後端に、トンネル軸芯方向に隣接する既設セグメント本体に接当可能で、前記第2セグメント本体を前記既設セグメント本体に押し付ける際に、前記既設セグメント本体から一定以上の荷重を受けた場合に変形可能な突出部材を設けると共に、前記第1被挟持部の延出方向を前記突合せ部に対して平行とし、前記第2被挟持部の延出方向を前記連結具の挿入方向奥側ほど前記突合せ部から離間させた点に特徴を有する。
(作用・効果)
本構成のごとく、前記突出部材を備えたセグメント連結構造によれば、前記第2セグメント本体を、前記既設セグメント本体の側に押しつけていく際に、当該第2セグメント本体と前記連結具との当接開始位置を、前記第2セグメント本体の挿入方向手前側に設定することができる。つまり、前記当接開始位置を、前記第1セグメント本体の第1アリ溝部の挿入方向奥側に設定することができる。
このことは、例えば、前記連結具における第1挟持部と第2挟持部との間隔に比べて、挟持すべき前記第1被挟持部と前記第2被挟持部との間隔が小さい場合に有効である。この場合、前記連結具は、前記第2セグメント本体に押される際に、前記突出部材が前記既設セグメント本体に当接する位置で一旦停止する。この状態で、前記第2セグメント本体は未だ前記既設セグメント本体に当接していない。さらに前記第2セグメント本体が押込まれ、当該第2セグメント本体による押付け力が前記突出部材の変形に必要な力を上回ると、前記連結具は双方のアリ溝部間の寸法誤差を吸収すべく、前記既設セグメントの側に移動する。この時、前記連結具は略一定の引張力で前記第1セグメント本体と前記第2セグメント本体とを引き付けることができる。
以上のごとく、本発明のセグメント連結構造によれば、前記第1・第2アリ溝部あるいは前記連結具自身の製作誤差を一定範囲まで許容しながら、前記セグメント本体どうしを略一定の締結力で連結することができるから、連結部分の信頼性を向上させることができる。
そして、前記連結具を予め装着した第1セグメント本体に前記第2セグメント本体を押付ける場合には、前記第1被挟持部の延出方向が前記突合せ部と平行であるから、前記連結具は、前記第1セグメント本体の突合せ部から一定幅の胴部を突出させた状態で前記既設セグメント本体の側に移動する。つまり、この移動の際に、前記連結具は前記既設セグメント本体に対して横擦れを生じない。
前記突出部は、前記連結具の移動に際して、その一端を前記既設セグメント本体に当接させた状態で圧縮変形するが、上述のごとく前記連結具の移動に横擦れが生じないから前記突出部に曲げ力が加わることがなく、前記突出部を変形の初期状態から完了までのあいだ常に一定方向に圧縮変形させることができる。
この結果、前記突出部に所望の圧縮抵抗力を発揮させることができ、前記連結具の動作が確実となって前記セグメント本体どうしに作用する締結力をより最適に設定することができる。
【0006】
(構成2)
本発明のセグメント連結構造は、請求項2に記載したごとく、前記突出部材を中空の略円筒形状を有する部材で構成すると共に前記第2挟持部の端部に設けることができる。
(作用・効果)
本構成であれば、前記突出部材を極めて簡単に構成できながら、圧縮変形する際には変形過程の大部分に亘って略一定の圧縮抵抗力を発生させ得るという変形特性を有する。この結果、前記突出部材の圧縮ストロークを大きく設定できることができ、前記連結具の製作誤差等を比較的大きな範囲まで許容することができる。
また、前記突出部材の構成が簡単であるから、当該部材の設計・製作が容易になる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(連結具およびアリ溝部)
本発明のトンネル用セグメントの連結構造の概要を図1に示すと共に、本発明に用いる連結具Rの外観を図2および図3に示す。
図1に示すごとく、本実施形態においては、連結するトンネル用セグメントとしてダクタイルセグメントを用いた例を示す。ただし、この他に、コンクリートセグメント、あるいは、スチールセグメントを用いることも可能である。
前記連結具Rは略矩形状であって、当該連結具Rの挿入方向に沿った両縁部には第1挟持部1および第2挟持部2が形成されていると共に、これら第1挟持部1および第2挟持部2は平板状の胴部3で連接されている。特に、第2挟持部2は、第2セグメント本体S2に挿入されて双方のセグメント本体S1,S2どうしを引付け連結できるよう前記連結具Rの挿入方向奥側ほど広がった状態に形成してある。
本発明のトンネル用セグメントの連結構造を用いれば、単にセグメント本体Sを連結位置に押付けるだけで、セグメント本体Sどうしが連結され、トンネル内壁を構築することができる。よって、トンネルの内部空間側の面を構成するセグメント本体Sの内側面には、従来のセグメント本体のように、連結用のボルトポケットを多数設ける必要がなく、内側面を比較的円滑な面に構成して、二次覆工等の手間を省略することができる。
【0008】
本発明に係る連結具Rは、既設セグメント本体Sに接当可能な突出部材Tをその嵌入方向後端に備えている。突出部材Tは、前記第2挟持部2の端部に設け、その突出方向は前記第1挟持部1の延出方向と平行に設定してある。前記突出部材Tの取付けは、図2のごとく前記第2挟持部2の後端に凹部4を形成して前記突出部材Tを嵌入固定するものであってもよいし、接着剤等を用いて行ってもよい。
図2に示すごとく、前記突出部材Tは、例えば中空の円筒部材で構成する。前記突出部材Tは、前記連結具Rが所定の押圧力で前記既設セグメント本体Sに押し付けられる際に図3に示すごとく面外変形可能である。つまり、当該突出部材Tが圧縮変形することで前記連結具Rは前記既設セグメント本体Sの側に移動し、後述するごとく、前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2とを略一定力で引付け連結する。
【0009】
(連結操作)
前記既設セグメント本体Sに対して前記第1セグメント本体S1および前記第2セグメント本体S2を取り付ける際には、前記連結具Rを予め前記第1セグメント本体S1に取り付けておく先付方式を用いる。これらの取付け態様を図4に示す。
図4において、Sa,Sb,Scで示したセグメント本体は、前記既設セグメント本体Sを示す。これら三つのセグメント本体は、先ずSaが組み立てられ、その後Sb或いはScが組み立てられたものである。つまり、既設セグメント本体Sbおよび既設セグメント本体Scには、突合せ面5と平行な第1被挟持部m1を設けてあり、夫々の第1被挟持部m1に予め連結具Rを取付けた状態で、前記既設セグメント本体Saに近接・連結が行われるのである。
【0010】
これら三つの既設セグメント本体Sa,Sb,Scに対し、第1セグメント本体S1および第2セグメント本体S2が連結される。
前記第1セグメント本体S1のうち、前記既設セグメント本体Saの側に設けるアリ溝部は、突合せ面5に平行な第1被挟持部m1を有する第1アリ溝部M1とする。
前記連結具Rを取付ける際には、図4に示すごとく、前記突出部材Tを設けていない側の第1挟持部1を前記第1アリ溝部M1に挿入し、前記突出部材Tを設けた第2挟持部2は露出させておく。本構成であれば、後で第2セグメント本体S2を押込む際に、前記連結具Rが、前記第1セグメント本体S1の突合せ部から一定幅の胴部3を突出させた状態で前記既設セグメント本体Sの側に移動するとができる。つまり、前記突出部材Tの圧縮方向と前記第2セグメント本体S2の押込み方向とが一致するから、前記第2セグメント本体S2の押込みによって前記連結具Rにこじりが生じず、前記連結具Rが前記既設セグメント本体Sに対して横擦れを生じることもない。このように、前記突出部材Tに曲げ力が加わらなければ、前記突出部材Tの変形が最適な状態でなされ、前記突出部材Tの所期の性能を十分に発揮させることが可能となる。
【0011】
前記連結具Rを用いた前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2との連結過程を図5(イ)〜(ニ)に示す。
図5(イ)は、既に構築が終了した前記第1セグメント本体S1と、当該第1セグメント本体S1の第1アリ溝部M1に挿入されている前記連結具Rとに対し、前記第2セグメント本体S2を近接させる過程を示している。この過程においては、前記連結具Rと前記第2セグメント本体S2とは未だ当接していない。
前記第2セグメント本体S2の押付けが進み、前記第2アリ溝部M2が前記連結具Rの第2挟持部2に当接し、さらに、両者が当接した状態で前記連結具Rの突出部材Tが前記既設セグメント本体Sに当接した状態を示したのが図5(ロ)である。この状態では、前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2との間に所定の締結力は未だ発生していない。
さらに前記第2セグメント本体S2を前記既設セグメント本体Sの側に押込むと、前記第2セグメント本体S2の平溝部M2bが、前記連結具Rの第2挟持部2と前記第1セグメント本体S1との間に嵌入される。この嵌入は、前記連結具Rが前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2とを所定の締結力で引き付けるようになるまで行われる。
当該嵌入が終了した状態を示したのが図5(ハ)であり、この状態では、前記連結具Rの端部のうち前記既設セグメント本体S側の端部が、前記第2セグメント本体S2の同じく既設セグメント側の端部よりも引退しており、前記突出部材Tの先端部は前記第2セグメント本体S2の端部より突出している。
(ハ)の状態になる以前においては、前記突出部材Tに面外圧縮変形は生じない。つまり、前記第2挟持部2が突合せ面5と非平行に構成してあるから、前記第2セグメント本体S2を前記既設セグメント本体Sの側に押付ける力の大部分は、両セグメント本体S1,S2どうしを引付けるための分力となる。このため、前記連結具Rを前記既設セグメント本体Sの側に押付ける分力が、前記突出部材Tを面外変形させるのに必要な力にまで高まっていないからである。
(ハ)の状態になった時点で、連結具Rと第2セグメント本体S2との間には所定の締結力が発生する。よって、(ハ)の状態から第2セグメント本体S2をさらに押し込んでも、連結具Rと第2セグメント本体S2との相対位置は殆ど変化しない。つまり、当該押し込みの際には、連結具Rと第2セグメント本体S2とが略一体化した状態で既設セグメント本体Sに近接し、その際、前記突出部材Tが一定の変形抵抗力を発揮させて圧縮変形する。前記第1セグメント本体S1と前記第2セグメント本体S2との引付力も略一定に保たれる。
図5(ニ)は、第2セグメント本体S2の押し込みが終了した状態である。この状態の突出部材Tは、さらに圧縮変形し得る余裕を残しているか、或いは、ちょうど圧縮変形が終了した状態であることが必要である。具体的には、前記突出部材Tが最大限に圧縮変形した状態での前記突出部材Tの突出長さをhとすると、第2セグメント本体S2の端部に対する連結具Rの端部の引退長さが、長さhよりも長いことが必要である。つまり、突出部材Tが完全に圧縮変形された時点で前記第2セグメント本体S2が未だ前記既設セグメント本体Sに当接していない場合には、突出部材Tが障害となって、それ以上前記第2セグメント本体S2を前記既設セグメント本体Sに密着させることが不可能になるからである。
【0012】
ここで、前記突出部材Tが圧縮変形する状況について説明する。
例えば、図6に示した形状の筒部材5が有する変形特性を図7に示す。当該筒部材5は両端部が開口した単なる円筒部材である。前記筒部材5を自身の軸芯X方向に圧縮すると、初期の段階すなわち原点0からa点までにおいては、前記筒部材5は前記軸芯X方向に圧縮変形する。圧縮荷重Pがa点に達した段階で、当該筒部材5は面外変形を生じ始める。その後は、a点からb点に示すごとくしばらく押圧を続けても前記筒部材5に加わる荷重Pは増加せず面外変形のみが進行する。b点に達すると前記面外変形は座屈に転じ、前記筒部材5に加わる荷重Pはc点までやや急激に低下する。c点で前記筒部材5の変形は略終了し、この後、押圧を続けても圧縮変形は生じず荷重Pのみが増加する。
本発明においては、前記筒部材5が有する変形特性のうち、a点からb点までの特性を利用する。つまり、前記第2セグメント本体S2を押込む荷重Pのうち前記連結具Rを前記既設セグメント本体Sの側に押付ける分力が上記a点からb点までの間の荷重Pと等しいとき、前記両セグメント本体S1,S2どうしを引付けるための分力が所定の荷重となるように前記第1挟持部1のテーパー角度等を設定する。
ただし、本実施形態においては図2あるいは図3に示すごとく、少なくとも中央部に鍔部7を設けた突出部材Tを使用する。本構成であれば、上記筒部材5を二つ連接した形状となって、一定の変形抵抗を発生させ得る変形ストロークを長く確保することができる。この結果、前記連結具Rが比較的大きな製作誤差を有する場合でも、当該製作誤差を許容して略一定の引付力で前記両セグメント本体S1,S2どうしを連結することができる。
尚、前記突出部材Tは、アルミニウム・銅・鉛、あるいは薄肉の鋼材など比較的変形し易い材料を用いて形成することができる。つまり、これらの材料であれば塑性変形能力が安定しているから、所望の変形性状を有する突出部材Tを容易に得ることができる。
【0013】
上記の過程を経て前記第2セグメント本体S2の押し込みが終了した状態を示したのが図5(ニ)である。
【0014】
前記第1アリ溝部M1に係る平溝部M1bの幅と前記第2アリ溝部M2に係る平溝部M2bの幅との合計幅が、前記連結具Rの胴部3の幅に対して狭い場合には、前記突出部材Tがそれほど圧縮変形しない状態で双方のセグメント本体S1,S2どうしの連結が終了する。
図8は、前記突出部材Tが殆ど圧縮変形しない状態を示す例であり、これは、双方の平溝部M1b,M2bの合計幅が、前記胴部3の間隔に対して狭い場合の許容限界を示すものである。
逆に、前記突出部材Tが完全に圧縮変形して連結が終了する例を示したのが図9である。これは、双方の平溝部M1b,M2bの合計幅が、前記胴部3の幅に対して比較的広い場合の許容限界を示すものである。
【0015】
従来の先付方式においては、前記双方の平溝部M1b,M2bの合計幅と前記胴部3の幅とが一致していない場合、双方のセグメント本体S1,S2どうしを適切に連結することは不可能であった。例えば、前記双方の平溝部M1b,M2bの合計幅が狭い場合には、前記連結具Rは双方の第1・第2アリ溝部M1,M2の内部でガタついたまま放置されるという不都合が生じていた。
しかし、図8および図9に示した例から明らかなごとく、本発明の連結具Rを用いれば、前記第1・第2アリ溝部M1,M2あるいは前記連結具R自身の製作誤差を一定範囲まで許容しながら、前記第1・第2セグメント本体S1,S2どうしを略一定の締結力で連結することができる。
【0016】
尚、以上の説明は、主に、前記第1・第2セグメント本体S1,S2が有するアリ溝部M1,M2のうち、既設セグメント本体Saの側にあるアリ溝部M1,M2に係る連結過程についてのものであるが、前記既設セグメントリングSaとは反対側のアリ溝部M1,M2についても締結要領は同じである。
ただし、当該反対側のアリ溝部M1,M2については、前記第1セグメント本体S1には、突合せ面5とは非平行な第2アリ溝部M2を設け、前記第2セグメント本体S2には、突合せ面5と平行な第1アリ溝部M1を設けるほうが、連結具Rの挿入作業が容易となる。
また、前記既設セグメント本体Saとは反対側に取付ける連結具Rは、次に連結されるセグメント本体Sの側面を利用して押込むものであってもよいし、図4の既設セグメント本体Saと既設セグメント本体Sbとの間に取付けた連結具のように、続くセグメント本体S2を連結する際には、既に所定の押込み力で締結されているものであってもよい。
【0017】
(連結具等の製作許容誤差)
前記連結具R等が許容し得る製作誤差の範囲は、上述したごとく図8の例と図9の例とに亘る範囲である。
説明を簡単にするために、前記連結具Rに製作誤差はないものとし、前記第1セグメント本体S1のアリ溝部M1のテーパー角度にも誤差はないものとする。つまり、製作誤差は、前記第1セグメント本体S1および前記第2セグメント本体S2の夫々において、前記平溝部M1b,M2bの幅のみに生じると仮定する。
まず、図8に示した例のごとく、前記連結具Rの胴部3の幅と比較して夫々の平溝部M1b,M2bの合計幅が狭い場合について検討する。この場合、前記胴部3の幅については、特に、前記突出部材Tが設けられた側の端部における間隔をD0 とする。一方、前記平溝部M1b,M2bどうしの合計幅については、前記既設セグメント本体Sに当接する端部における合計幅をDとする。
前記合計幅Dと前記間隔D0 との差は、前記突出部材Tの突出長さHと、前記第2挟持部2が連結具Rの挿入方向となすテーパー角度とから求めることができる。
図8に示すごとく、前記テーパー角度をL:1とすると、
前記合計幅Dが採り得る最小値Dmin は、
Dmin = D0 − H/L − ▲1▼
である。
一方、図9に示した例のごとく、前記合計幅Dが広い場合は、前記突出部材Tが最大に圧縮変形を受けた場合の押込み方向の長さをhとすると、
Dmax = D0 − h/L − ▲2▼
である。
よって、式▲1▼および式▲2▼から、前記合計幅Dの採り得る範囲は、
Dmax − Dmin = (H−h)/L − ▲3▼
となる。
このように、本発明の連結具Rを用いる場合には、前記第1アリ溝部M1・前記第2アリ溝部M2の製作誤差、あるいは、前記連結具R自身の製作誤差を一定の範囲内で許容することができる。これは、前記連結具Rの製作誤差が殆ど許容されていなかった従来の連結具Rを用いる場合と比較して、前記第1・第2セグメント本体S1,S2の生産性を向上させるものである。
【0018】
以上のごとく、本発明のトンネル用セグメントの連結構造によれば、その構造が極めて簡単でありながら、前記第1・第2アリ溝部M1,M2あるいは前記連結具Rの製作誤差等を一定範囲まで許容しつつ、前記第1・第2セグメント本体S1,S2どうしを略一定の締結力で連結することができ、信頼性の高い連結部分を得ることができる。
【0019】
〔別実施形態〕
〈1〉 上記実施形態では前記突出部材Tは前記第1挟持部1のみに設けたが、前記第2挟持部2の側にも設けることができる。
この場合には、夫々の突出部材Tを圧縮変形させるのに必要な荷重の合計が、上記実施形態における単一の突出部材Tを圧縮変形させるのに必要な荷重と等しくなるようにする。
【0020】
尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトンネル用セグメントの連結構造の概要を示す説明図
【図2】本発明に係る連結具を示す平面図
【図3】変形途中の突出部材材を示す説明図
【図4】第2セグメント本体を連結する過程を示す説明図
【図5】第2セグメント本体を連結する過程の詳細を示す説明図
【図6】筒部材を示す斜視図
【図7】筒部材を圧縮変形させる際の圧縮変形量と荷重との関係を示す説明図
【図8】連結部分に製作誤差がある場合の連結状態の一例を示す説明図
【図9】連結部分に製作誤差がある場合の連結状態の他の一例を示す説明図
【符号の説明】
1 第1挟持部
2 第2挟持部
M1 第1アリ溝部
M2 第2アリ溝部
R 連結具
S1 第1セグメント本体
S2 第2セグメント本体
S 既設セグメント本体
T 突出部材
Claims (2)
- トンネル周方向に隣接させて組付けられる第1セグメント本体(S1)及び第2セグメント本体(S2)の夫々の突合せ部に、当該夫々の突合せ部を突合わせた状態で対向するよう、第1被挟持部(m1)を有する第1アリ溝部(M1)および第2被挟持部(m2)を有する第2アリ溝部(M2)を個別に設けると共に、
トンネル軸芯方向端部から前記第1アリ溝部(M1)および第2アリ溝部(M2)に各別に嵌入自在であり、互いの間隔が嵌入方向前方側ほど広く構成してある第1挟持部(1)と第2挟持部(2)とを両側に備えた連結具(R)を、前記第1アリ溝部(M1)および第2アリ溝部(M2)に挿入することで、
前記第1挟持部(1)が前記第1被挟持部(m1)に当接し、前記第2挟持部(2)が前記第2被挟持部(m2)に当接して、前記夫々の突合せ部を相対的に近接させるトンネル用セグメントの連結構造であって、
前記連結具(R)の嵌入方向後端に、トンネル軸芯方向に隣接する既設セグメント本体(S)に接当可能で、前記第2セグメント本体(S2)を前記既設セグメント本体(S)に押し付ける際に前記既設セグメント本体(S)から一定以上の荷重を受けた場合に変形可能な突出部材(T)を設けると共に、
前記第1被挟持部(m1)の延出方向を前記突合せ部に対して平行とし、前記第2被挟持部(m2)の延出方向を前記連結具(R)の挿入方向奥側ほど前記突合せ部から離間させてあるトンネル用セグメントの連結構造。 - 前記突出部材(T)が、前記第2挟持部(2)の端部に設けた中空の略円筒形状を有する部材である請求項1に記載のトンネル用セグメントの連結構造。
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