JP3963784B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、パターンノイズと湿潤路でのABS制動性能とを両立させるようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、トレッド面にタイヤ周方向にストレート状に延在する複数の主溝を設ける一方、タイヤ幅方向に延びるラグ溝をタイヤ周方向に所定のピッチで配置し、それら主溝とラグ溝により多数のブロックを区分形成したブロックパターンの空気入りタイヤがある。湿潤路における制動性能を高くするため、各ブロックの表面にタイヤ幅方向に延びるサイプを形成するようにしている。
【0003】
しかしながら、上述した空気入りタイヤは、ブロックパターンに起因する高いパターンノイズが発生する。そこで、最外側の主溝の溝幅を1mm程度と狭くすることにより、パターンノイズを低減するようにした技術が提案されているが、このように溝幅を狭くすると、接地時に溝が押し潰されるため排水性を損なう。その結果、湿潤路において、近年、各車両に搭載されるようになったABS(アンチ・ブレーキングロック・システム)制動性能の低下を招き、パターンノイズと湿潤路のABS制動性能との両立が難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、パターンノイズと湿潤路におけるABS制動性能とを両立させることが可能な空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、トレッド面のセンター部にタイヤ周方向に延在する複数の主溝を設け、該主溝よりタイヤ外側の両ショルダー部側にタイヤ周方向にストレート状に延在し、かつ前記主溝より溝幅を狭くした周方向溝を配設すると共に、該周方向溝の溝幅を2.5mm以上にし、前記主溝間及び該主溝と前記周方向溝間にタイヤ幅方向に延在する第1ラグ溝をタイヤ周方向に所定のピッチで設け、前記主溝、周方向溝、及び第1ラグ溝によりブロックを区分形成する一方、前記周方向溝よりタイヤ外側の両ショルダー部にタイヤ幅方向に延在する第2ラグ溝をタイヤ周方向に所定のピッチで配置し、該第2ラグ溝の内端と前記周方向溝との間隔を1〜8mmにして前記ショルダー部に前後のブロックを狭幅陸部で連結したブロック列を形成し、前記センター部のブロックの表面に該ブロックの前後端の稜線以上の長さを有するサイプをタイヤ幅方向に延設したことを特徴とする。
【0006】
このように両ショルダー側に配置した周方向溝を主溝より溝幅を狭くするため、エアポンピングや気柱共鳴に起因するパターンノイズを抑制することが可能になる。また、周方向溝までの間隔を1mm以上にした第2ラグ溝によりショルダー部に狭幅陸部で連結したブロック列を形成することで、ショルダー部でのブロック振動に起因するパターンノイズを低減することができる。
【0007】
他方、周方向溝の溝幅を2.5mm以上にすることにより、接地時に周方向溝が押し潰されることがないので、周方向溝の排水性を確保することができる。また、第2ラグ溝の内端と周方向溝との間隔を8mm以下にするため、第2ラグ溝によるショルダー部でのエッジ量を確保することができ、排水性を損なうことがない。更に、サイプの長さをブロックの前後端の稜線以上にするので、サイプによる高いエッジ効果を得ることができる。その結果、湿潤路走行時におけるABS制動性能の確保が可能になる。
【0008】
従って、パターンノイズと湿潤路におけるABS制動性能との両立を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の空気入りタイヤの一例を示し、トレッド面1のセンター部1Aには、タイヤ周方向Tにストレート状に延在する複数(図では4本)の主溝2が設けられている。それらの主溝2よりタイヤ外側の両ショルダー部1B側には、タイヤ周方向Tに沿ってストレート状に延在する周方向溝3が各1本配設されている。各周方向溝3は、主溝2より溝幅が狭くなっており、かつその溝幅wを2.5mm以上確保するようにしている。
【0011】
外側の主溝2Aと内側の主溝2B間、及び主溝2Aと周方向溝3間には、タイヤ幅方向に延在する第1ラグ溝4がタイヤ周方向Tに所定のピッチで設けられており、これら主溝2、周方向溝3、及び第1ラグ溝4により多数のブロック5がセンター部1Aに区分形成されている。タイヤセンターラインCL上にはタイヤ周方向Tに沿ってストレート状に延在する細溝10が配置され、この細溝10と内側の主溝2Bとの間にリブ11が形成してある。
【0012】
各第1ラグ溝4は、タイヤ周方向Tに対して同一方向に傾斜した円弧状の傾斜溝に形成されている。タイヤセンターラインCLより左側の各第1ラグ溝4は、図の上側が凸となるような円弧状の傾斜溝になっている。タイヤセンターラインCLより右側の各第1ラグ溝4は、図の下側が凸となるような円弧状の傾斜溝にしてある。ブロック5は、この傾斜した第1ラグ溝4と、周方向にストレート状に延在する主溝2と周方向溝3とにより平行四辺形状に形成されている。尚、上記第1ラグ溝4は、直線状に構成されていてもよい。
【0013】
周方向溝3よりタイヤ外側のショルダー部1Bには、タイヤ幅方向に延在する第2ラグ溝6がタイヤ周方向Tに所定のピッチで配置されている。各第2ラグ溝6は、周方向溝3に連通しておらず、その内端6aと周方向溝3との間隔mが1〜8mmの範囲になっており、ショルダー部1Bには前後のブロック7Aを狭幅陸部7xで連結したブロック列7を形成してある。
【0014】
タイヤセンターラインCLより左側の各第2ラグ溝6は、図の上側が凸となるような円弧状の傾斜溝になっており、タイヤセンターラインCLより右側の各第2ラグ溝6は、図の下側が凸となる円弧状の傾斜溝に形成されており、主溝2、周方向溝3、第1,第2ラグ溝4,6で形成されるトレッドパターンは、非方向性のパターンになっている。
【0015】
各ブロック5には、その表面5aにブロック5の前後端の稜線5x以上の長さを有する1本のサイプ8がタイヤ幅方向に延設してあり、図1では、各サイプ8が、平行四辺形状のブロック5の対角線上に位置する鋭角状の角部5s間に、屈曲部8aを1つ有するようにしてタイヤ周方向Tに対して傾斜して延在している。
【0016】
サイプ8のタイヤ外側端8bが、ブロック5のタイヤ幅方向外側壁面5bに開口して主溝2または周方向溝3に連通する一方、タイヤ内側端8cは、ブロック5内に位置して主溝2には連通していない。図2に示すように、サイプ8が連通する側であるブロック5のタイヤ幅方向外側壁面5bに対するサイプ8の両側角度α,βは、ブロック5の鋭角状の角部5sの角度θより大きくしてあり、サイプ8の両端側におけるブロック剛性を高めるようにしている。
【0017】
各ブロック7Aには、タイヤ幅方向に延びるサイプ9がタイヤ周方向Tに沿って所定の間隔で設けられている。各サイプ9は、第2ラグ溝6間の中央に位置し、周方向溝3に連通しておらず、その両端がブロック7A内に位置している。
【0018】
上述した本発明によれば、両ショルダー側の周方向溝3を主溝2より溝幅を狭くすることにより、トレッドパターンに起因するエアポンピング音(パターンノイズ)を低減することができる一方、上記のように間隔mを1mm以上にした第2ラグ溝6によりショルダー部1Bに狭幅陸部7xで連結したブロック列7を形成することで、従来ブロックを設けた際に生じたショルダー部1Bでのブロック振動音(パターンノイズ)を抑制することができる。
【0019】
他方、周方向溝3の溝幅wを2.5mm以上にすることで、接地時に周方向溝3が押し潰されるのを回避することができるので、周方向溝3における排水性を確保することができる一方、第2ラグ溝6の間隔mを8mm以下にすることで、ショルダー部1Bにおけるエッジ量を確保し、排水性を損なうことがない。また、サイプ8の長さをブロック5の前後端の稜線5x以上にすることで、サイプ7による高いエッジ効果を得ることができる。従って、湿潤路走行時のABS制動性能を確保することができる。
【0020】
従って、パターンノイズと湿潤路におけるABS制動性能とを両立させることができる。
【0021】
周方向溝3の溝幅wが主溝2の溝幅以上であると、パターンノイズを改善することが難しくなる。2.5mmより狭いと、接地時に周方向溝3が押し潰されるため、排水性が悪化する。好ましくは、3.5〜5.5mmがよい。
【0022】
第2ラグ溝6の間隔mが1mm未満であると、ショルダー部1Bにおけるパターンノイズを抑制することが困難になり、逆に8mmを超えると、エッジ量が不足すると共に排水性が損なわれる。
【0023】
図3は、本発明の空気入りタイヤの他の例を示し、上述した空気入りタイヤにおいて、トレッド面1をタイヤ回転方向Rが一方向に指定されたトレッド面に形成し、第1ラグ溝4と第2ラグ溝6とをタイヤ外側程タイヤ反回転方向側となるように傾斜させた傾斜溝にしてある。このような方向性のトレッドパターンの採用により、排水性を高めることができるため、上述した湿潤路走行時のABS制動性能をより高めることができる。
【0024】
本発明において、第1ラグ溝4及び第2ラグ溝6のタイヤ周方向Tに対する傾斜角度Zとしては、20〜90°の範囲にすることができる。傾斜角度Zが20°より小さいと、ブロック剛性が低下し、操縦安定性、耐偏摩耗性が悪化する。なお、図示するように、第1ラグ溝4と第2ラグ溝6とが円弧状の曲線から構成されている場合、その傾斜角度Zは、ラグ溝の両端における溝幅中心位置間を結んだ直線とタイヤ周方向Tとのなす角度とする。
【0025】
サイプ8は、図1〜3に示す形状に代えて、図4に示すようにすることもできる。
【0026】
図4(a)のサイプ8は、ブロック5の鋭角状の両角部5sのエッジE間にストレート状に延設したものである。このサイプ8は、その両端8b,8cがブロック5の壁面のエッジEに開口している。
【0027】
図4(b)のサイプ8は、ブロック5の鋭角状の両角部5s間にストレート状に延在し、その両端8b,8cがブロック5のタイヤ幅方向外側壁面5bとタイヤ幅方向内側壁面5cに開口した構成になっている。
【0028】
図4(c)のサイプ8は、図4(b)のサイプをジグザグ状にして、複数の屈曲部8aを有するようにしたものである。
【0029】
図4(d)のサイプ8は、図4(a)のサイプにおいて、両端部8x,8yを屈曲させ、その両端8b,8cをブロック5のタイヤ幅方向外側壁面5bとタイヤ幅方向内側壁面5cに開口させている。サイプ8が開口するブロック5のタイヤ幅方向外側壁面5bとタイヤ幅方向内側壁面5cに対するサイプ8の両側角度α,βは、上述と同様に、ブロック5の鋭角状の角部5sの角度θより大きくしてあり、サイプ8の両端側におけるブロック剛性を高めるようにしてある。
【0030】
上述した各サイプ8において、サイプ8の両端8b,8cを共に開口させる場合には、図4(d)に示す構成を用いるのが、ブロック5の耐摩耗性の点から好ましい。より好ましくは、図1〜3に示す構成のサイプ8がよい。
【0031】
サイプ8は、上記実施形態では1本設けた例を示したが、同じブロック5に2本まで設けることができる。その際、各サイプ8の長さをブロック5の前後端の稜線5x以上にすることができる。好ましくは、稜線5xより長くするのがよく、望ましくは、各サイプ8の長さと稜線5xの長さとの比Sを1.3以上にするのが、サイプ8によるエッジ効果を一層高める観点からよい。サイプ8の長さの上限値としては、耐偏摩耗性の点から2.0にすることができる。
【0032】
主溝2の溝幅としては、排水性とブロック剛性の兼ね合いからタイヤ呼び幅の2〜10%にするのがよい。
【0033】
本発明は、特に乗用車用の空気入りタイヤに好適に用いることができるが、当然のことながらそれに限定されない。
【0034】
【実施例】
タイヤサイズを205/65R15で共通にし、トレッドパターン、第2ラグ溝の内端と周方向溝との間隔m、周方向溝の溝幅w、主溝の溝幅w’、サイプの長さとブロックの前後端の稜線の長さと比Sを表1のようにした本発明タイヤ1〜5と比較タイヤ1〜3、及び従来タイヤとをそれぞれ作製した。
【0035】
これら各試験タイヤをJATMA標準リムに装着し、空気圧を200kPa にして、排気量2000ccのABS付き乗用車に装着し、以下に示す測定条件により、パターンノイズと湿潤路でのABS制動性能の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
パターンノイズ
舗装路を時速60km/hで直進走行した際の車内騒音を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が大きいほど車内騒音が小さく、パターンノイズに優れている。
ABS制動性能
水深2mmに保たれた湿潤路テストコースを走行し、時速100km/hから制動を付与して停止するまでの停止距離を5回測定し、最大及び最小となる測定値を除いた3回の平均値を停止距離とし、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が大きいほど湿潤路におけるABS制動性能が優れている。
【0036】
【表1】
表1から明らかなように、本発明タイヤは、従来タイヤよりも優れたパターンノイズと湿潤路でのABS制動性能を得ることができるのがわかる。
【0037】
【発明の効果】
上述したように本発明は、両ショルダー側の周方向溝を主溝より溝幅を狭くする一方、第2ラグ溝の内端と周方向溝との間隔を1mm以上確保するため、パターンノイズを抑制することができる。
【0038】
また、周方向溝の溝幅を2.5mm以上にする一方、第2ラグ溝の内端と周方向溝との間隔を8mm以下にし、更にサイプの長さをブロックの前後端の稜線の長さ以上にすることで、湿潤路でのABS制動性能を確保することができ、従って、パターンノイズと湿潤路におけるABS制動性能との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤのトレッド面の一例を示す要部展開図である。
【図2】図1のブロックの拡大図である。
【図3】本発明の空気入りタイヤのトレッド面の他の例を示す要部展開図である。
【図4】(a)〜(d)は、それぞれサイプの他の例を示す拡大説明図である。
【符号の説明】
1 トレッド面 1A センター部
1B ショルダー部 2,2A,2B 主溝
3 周方向溝 4 第1ラグ溝
5 ブロック 5a 表面
5b タイヤ幅方向外側壁面 5c タイヤ幅方向内側壁面
5s 角部 5x 稜線
6 第2ラグ溝 6a 内端
7 ブロック列 7A ブロック
7x 狭幅陸部 8 サイプ
8a 屈曲部 8b タイヤ外側端
8c タイヤ内側端 CL タイヤセンターライン
R タイヤ回転方向 T タイヤ周方向
Z 傾斜角度 m 間隔
w 溝幅 α,β,θ 角度
Claims (14)
- トレッド面のセンター部にタイヤ周方向に延在する複数の主溝を設け、該主溝よりタイヤ外側の両ショルダー部側にタイヤ周方向にストレート状に延在し、かつ前記主溝より溝幅を狭くした周方向溝を配設すると共に、該周方向溝の溝幅を2.5mm以上にし、前記主溝間及び該主溝と前記周方向溝間にタイヤ幅方向に延在する第1ラグ溝をタイヤ周方向に所定のピッチで設け、前記主溝、周方向溝、及び第1ラグ溝によりブロックを区分形成する一方、前記周方向溝よりタイヤ外側の両ショルダー部にタイヤ幅方向に延在する第2ラグ溝をタイヤ周方向に所定のピッチで配置し、該第2ラグ溝の内端と前記周方向溝との間隔を1〜8mmにして前記ショルダー部に前後のブロックを狭幅陸部で連結したブロック列を形成し、前記センター部のブロックの表面に該ブロックの前後端の稜線以上の長さを有するサイプをタイヤ幅方向に延設した空気入りタイヤ。
- 前記第1ラグ溝及び第2ラグ溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度を20〜90°にした請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプを2本以下にし、各サイプの長さを前記稜線の長さより長くした請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプの長さと前記稜線の長さとの比を1.3以上にした請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックは対角線上に鋭角状の角部を有し、前記サイプを1本にして、前記鋭角状の角部間に延在するように設けた請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプの両端が前記ブロックの壁面に開口する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプをストレート状にした請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプを屈曲部を有するように形成し、該サイプの両端を前記ブロックのタイヤ幅方向壁面に開口した請求項6に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックのタイヤ幅方向壁面に対するサイプの両側角度α,βを前記鋭角状の角部の角度θより大きくした請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプのタイヤ外側端のみが前記ブロックの壁面に開口する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプを屈曲部を有するように形成し、該サイプのタイヤ外側端を前記ブロックのタイヤ幅方向外側壁面に開口した請求項10に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプが開口する前記ブロックのタイヤ幅方向外側壁面に対するサイプの両側角度α,βを前記鋭角状の角部の角度θより大きくした請求項11に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド面をタイヤ回転方向が一方向に指定されたトレッド面にした請求項1乃至12のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ回転方向が一方向に指定され、前記第1ラグ溝及び第2ラグ溝をタイヤ外側程タイヤ反回転方向側となるように傾斜させた傾斜溝に形成した請求項1乃至12のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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