JP4468893B2 - 真空吸着ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、基板を搬送する際に、基板を保持したり、基板を吸着したりする真空吸着ヘッドに関するものである。本発明において基板とは、単板の半導体ウエハ、セラミックス基板、ガラス基板、プラスチック基板、及び貼り合わせ基板である透過型プロジェクタ基板、またフラットパネルディスプレイであるPDP(プラズマディスプレイ)、反射型液晶プロジェクタ基板、液晶パネル、有機EL素子基板等である。ここで基板厚みの薄いガラス基板などは脆性材料基板と呼ばれる。以下の説明では液晶パネルを例に挙げて説明する。
基板の加工装置等に給材および除材を行うために搬送ロボット等が用いられる。第1図は搬送ロボットの真空吸着装置に使用されている基板を搬送するための第1従来例の真空吸着パッド1と、吸着対象の基板を貼り合わせた貼り合わせ基板である液晶パネル2とを示している。液晶パネル2は、周知のごとく2枚のガラス基板3a、3bを粒状のスペーサ4を挟んで重ね合わせてから、両ガラス基板3a、3bの周縁部を接着剤(シール剤)5を用いて相互に固定し、接着剤(シール剤)5の層に設けた小孔から液晶を注入したものである。この真空吸着パッド1は、お椀を伏せた形状に似たゴム製の吸盤1aと、その吸盤1aの上部を貫通した位置に設けられた吸引管1bとからなる。
第2図は、その吸盤1aの下端周縁部1cを液晶パネル2の上面に押し当て、吸引管1bを通じて真空吸引した状態を示す。この真空吸引により、真空吸引した箇所では上側のガラス基板3aが上方に局部的に変形し、この箇所では上下のガラス基板間のギャップが大きくなり、一時的に圧力が低くなることがある。この場合に液晶がその箇所に集中するように流れ込む。スペーサ4は例えば直径5〜10μmのものが100個/mm程度に均一な密度となるように封入されている。しかしスペーサ4はガラス基板3a、3bに固着されていないので、液晶の移動に伴ってスペーサ4も移動する。液晶パネル2に液晶が未注入の場合は圧力の低くなった箇所に空気が流れ込む。この場合は、スペーサ4の移動抵抗が少ないため、スペーサ4の移動が更に増長される。
この結果、真空吸着パッド1による吸着終了後には、第3図に示すようにスペーサ4の分布にバラツキが生じ、それに応じて上下のガラス基板間のギャップにもバラツキが生じる。また図示はしていないが、近年スペーサ無しで2枚のガラス基板を貼り合わせたタイプの液晶パネルも存在し、このスペーサ無しのタイプの液晶パネルは、第1〜3図において、液晶パネル2間のスペーサ4が封入されていない状態で構成されている。このスペーサ無しのタイプの液晶パネルを吸盤1aにより真空吸引を行う場合においても、上側のガラス基板3aが上方に局部的に変形し、上側のガラス基板3aの局部的な変形が元に戻らずに上下のガラス基板間のギャップにバラツキが生じてしまう。このように液晶パネルの上下のガラス基板間におけるギャップの間隔が0.04mm以上にばらつくと、表示面に色むらが現れて液晶パネルとして製品不良となる。
上述のように第1従来例の真空吸着パッド1により液晶パネル2を吸着する時に上側のガラス基板が変形する原因は、ガラス基板の板厚やスペーサ4のサイズに比べて、吸盤1aの口径が大きいためである。吸盤1aの口径は数十mmもあるのに対して、ガラス基板の板厚は0.5〜1.1mmであり、その板厚は薄いものが選択される傾向にある。
このような真空吸着パッド1による吸着による吸着面のガラス基板の局部的な変形やガラス基板間のギャップのバラツキやそれに起因するスペーサ4における分布のバラツキの問題を回避するために、第1図の真空吸着パッド1において、吸盤1aのサイズを小さくすれば、吸引力が不足することとなる。このため第4図に示されるように、小さな吸盤を用いた真空吸着パッド1を複数個設けて液晶パネル2を吸引する方法がある。この場合、真空吸着パッド1がガラス基板の表面を押さえつけないように全ての真空吸着パッド1の吸着面を所定の取り付け公差範囲内に設けるように真空吸着装置に取り付ける必要がある。さらに吸着対象である液晶パネル2にうねりや撓みがある場合においても、全ての真空吸着パッド1の吸着面が、液晶パネル2を吸着可能な間隔内に設定されていることが必要である。
複数の真空吸着パッド1の吸着面が、上記の取り付け公差範囲内で真空吸着装置に取り付いていないと、吸着が不完全なまま液晶パネル2を搬送することになるため、搬送途中に液晶パネル2を落下させるおそれや、液晶パネル2を吸着するときに真空吸着パッド1で液晶パネル2を押さえつけて、上下のガラス基板間のギャップにバラツキを生じさせてしまうため、製品不良の発生を招くおそれがあった。
第5図は、特開平11−19838号公報に示される第2従来例における真空吸着パッド21の構造を示す分解図である。真空吸着パッド21の吸着盤22は、感光性樹脂材からなる円盤状のものであり、その中央部に上下方向に貫通した吸入口22cが設けられ、その吸着盤22の吸着面には後述するように多数の凸部と凹部とが設けられている。このような多数の凸部と凹部は、感光性樹脂材のエッチング処理によって形成される。
真空吸着パッド21の吸着盤22における吸着面の構造を第6図に示し、真空吸着パッド21の断面図を第7図に示す。この吸着盤22は、周縁のフラットな面を持つ気密部22aと、多数の凸部と凹部が形成された吸着部22bとを有している。補強層23は、第7図に示すように、感光性樹脂材が外部応力によって変形しないように剛性の大きな板材からなる層であり、感光性樹脂材が製版材料として製品化される段階で貼り合わされる。マグネットシート24は、吸着盤22と同径のシートである。両面接着シート25は、マグネットシート24と補強層23とを接合するための接着シートであり、その径は吸着盤22における吸着部22bの径に等しい。これらの部材23〜25には、吸入口22cと対応する位置に穴Qが設けられる。
両面接着シート25の径を吸着部22bの径と同一にする場合、第7図に示されるように、吸着盤22はその吸着部22bのみがマグネットシート24を介して支持部材26に固定される。しかし、気密部22aは固定されずにフリーとなっている。第8図は、両面接着シート25の径を吸着盤22の径と同一にした例であり、この場合は、吸着盤22の全面が支持部材26に固定される。
第6図に戻って、吸着盤22の周縁部の拡大図Xを参照する。気密部22aは感光性樹脂材をエッチングしていない領域である。吸着部22bは多数の小円の領域を非エッチング部(凸部)とし、その他をエッチング部(凹部)としたものである。第6図の拡大図Xに示すように小円の箇所が凸部Mとして残り、その他が凹部Nとなる。ここで、凸部Mと気密部22aとは共に非エッチング部であるため、同一面上にある。
支持部材26はマグネットシート24と同径を持つ鉄製の部材であり、吸着盤22の吸入口22cと対応する中央部の位置に支持部26aが一体に形成される。支持部26aには、吸引管27が挿通されており、その吸引管27は図示しない真空ポンプに接続される。吸着盤22は、補強層23、両面接着シート25、マグネットシート24と一体的に接合され、マグネットシート24の作用により支持部材26に対して着脱自在になっている。
このように構成された真空吸着パッド21を平坦な液晶パネル2に押し当てると、吸着盤22の吸着部22bの凹部Nは、気密部22aによって閉空間を形成し、しかも個々の凸部Mが独立しているため、第5図に示すように吸着盤22の吸入口22cがこの閉空間に連通しているので、吸入口22cを通じて上述の図示しない真空ポンプにより真空吸引が行われることにより、吸着盤22を液晶パネル2に吸着させることができる。
第9図は、前述した第2従来例の真空吸着パッド21を用いて外形形状の小さい液晶パネル2を吸着した状態を示す断面図である。この場合、基板を保持するために、搬送ロボット等に備えられる真空吸着装置に用いる真空吸着パッド21の数は1つであり、液晶パネル2の大きさは真空吸着パッド21よりやや大きい程度とする。液晶パネル2を真空吸着パッド21に吸着させる時には、第6図の拡大図Xの気密部22aと同一面にある多数の凸部Mが液晶パネル2における上側のガラス基板3aの上面に当接するため、液晶パネル2の上側のガラス基板3aは局部的に変形しなくなり、上側のガラス基板3aと下側のガラス基板3b間のギャップにバラツキは生じない。また、スペーサを封入せずにギャップが形成されている液晶パネルの場合にも、上下のガラス基板間のギャップにバラツキは生じない。尚、真空吸着パッド21は、吸着盤22自身に十分な柔軟性がある場合は、第8図に示したように両面接着シート25により、吸着盤22の全面を固定したタイプであってもよい。
個々の表示装置に用いられる液晶パネルの形状が小さい場合、マザー液晶パネルを分断することにより、規定サイズの液晶パネルが複数枚製造される。携帯電話やPDA等に用いられる液晶パネルがその例である。一方、外形形状の大きな液晶パネルでは、第4図に示すような真空吸着装置として真空吸着パッドが複数個用いられる。
1つの真空吸着装置に複数個の真空吸着パッドが設けられる場合、第4図のように第1従来例である真空吸着パッド1を使用すると、上述したように、液晶パネルにおける上側のガラス基板の局部的な変形やこの変形に起因する前述のスペーサの偏在が生じて製品不良の発生を招く。このため、第2従来例の真空吸着パッド21が使用される。
真空吸着パッドには液晶パネルを吸着できる距離(間隔)が存在する。第5図に示す構造の真空吸着パッド21では、吸引管27を介して空気を排気する。このとき真空吸着パッド21が前面の空気を吸い込み、液晶パネルを吸着する。このときの液晶パネルにおける上側のガラス基板の表面から真空吸着パッド21の吸着盤22までの距離を吸着可能な間隔という。この間隔は従来では0.0〜0.3mmであり、適正な範囲が非常に狭いため、この間隔を維持させることが非常に難しく、またその調整も困難であった。
第10図(a),(b)に示すように液晶パネル2にうねりや撓みがある場合、複数個の真空吸着パッド21を所定の取り付け公差範囲内で真空吸着装置に設けたとしても、液晶パネル2の上面と真空吸着パッド21の間隔Gが、真空吸着パッド21の吸着可能な間隔に収まらないことがあった。この場合は、複数個の真空吸着パッド21のいずれかが液晶パネル2を正規の状態で吸引することができず、吸着が不完全なまま液晶パネル2を搬送し、搬送中に液晶パネル2を落下させたり、液晶パネル2を真空吸着パッド21に吸着させるときに、真空吸着パッド21が液晶パネル2を押さえつけるため、液晶パネル2の上側のガラス基板が局部的に変形することにより、上下のガラス基板間のギャップにバラツキが生じる恐れがあった。
本発明はこのような問題を解決するものであり、真空吸着パッドがうねりや撓みを生じている基板を基板に不具合を生じること無く保持し、吸着する時、真空吸着パッドと基板との間の吸着可能な間隔を広げ、且つ液晶パネルのような貼り合わせ基板の場合、吸引による基板の局部的な変形の防止と、この局部的な変形に起因する上下のガラス基板間のギャップにバラツキが生じることを防止できる真空吸着ヘッドを提供することを目的とする。
本発明は、基板を真空吸着する真空吸着ヘッドであって、板状部材を用い、その一方の面に対して多数の独立した凸部と凹部とを形成した吸着部、前記吸着部を囲む前記板状部材の外周位置に環状に形成した気密部、前記吸着部の気体を排気する通路となる溝部、前記溝部の気体を外部に排気する開口を設けた真空吸着パッドと、前記真空吸着パッドを取り込むように形成され、前記真空吸着パッドが吸着対象の基板に近接したとき、前記真空吸着パッドの周辺空間から外気を遮断する弾性部材と、を具備し、さらに前記弾性部材は、該弾性部材の外側の気体を内側にリークさせる機能を具備することを特徴とする。
ここで弾性部材は、スカート状に形成されたスカートパッドであり、前記真空吸着パッドを吸着面の背後から支持するプレート部と、前記真空吸着パッドの外周部を所定の間隙を介して囲むよう、前記プレート部の外縁部分に厚肉環状に形成した環状部と、前記環状部の外周部より肉厚を薄くして円錐環状に形成したスカート部と、を具備するようにしてもよい。
このスカートパッドは、前記環状部の外側と内側空間とを連通し、前記外側と内側空間の圧力差が大きいとき前記外側の気体を内側にリークさせるスリットを前記環状部に設けたものとしてもよい。
又この弾性部材は、円筒状に形成されたスポンジパッドであり、前記真空吸着パッドが吸着対象の基板に近接したときに前記真空吸着パッドの周辺空間を外気から遮蔽するよう連泡スポンジ部材を用いて円筒状に成形され、遮蔽状態で外側と内側空間の圧力差があるとき前記外側の気体を内側にリークさせるものとしてもよい。
又真空吸着パッドの吸着部は、エッチング可能な板状部材を用い、その一方の面に対して多数の独立した凸部と凹部とをエッチングにより形成したものであり、前記気密部は前記板状部材の外周を非エッチング領域として環状に形成したものとしてもよい。
この真空吸着パッドは、紫外線照射及び溶剤を用いて選択的にエッチングが可能な感光性樹脂材料を用いたものとしてもよい。
第1図は第1従来例の真空吸着パッドと、吸着対象の脆性材料基板である液晶パネルとの位置関係を示す断面図である。
第2図は第1従来例の真空吸着パッドにおいて、吸盤の下端周縁部を液晶パネルの上面に押し当て、吸引管を通じて真空吸引した状態を示す断面図である。
第3図は第1従来例の真空吸着パッドを用いた場合、吸着終了後にスペーサの分布にバラツキが生じ、それに応じてガラス基板間のギャップにもバラツキが生じた状態を示す説明図である。
第4図は複数個の真空吸着パッドを設けた従来例の真空吸着装置の構成を示す外観図である。
第5図は第2従来例における真空吸着パッドの構造を示す分解斜視図である。
第6図は第2従来例の真空吸着パッドにおいて、吸着盤を下方から見た平面図である。
第7図は第2従来例の真空吸着パッドにおいて、吸着盤の構造を示す断面図である。
第8図は第2従来例の真空吸着パッドにおいて、両面接着シートの径を吸着盤の径と同じにした場合の断面図である。
第9図は第2従来例の真空吸着パッドを用い、外郭形状の小さい液晶パネルを吸着した状態を示す断面図である。
第10図は第2従来例の真空吸着パッドとうねりがある液晶パネルとの間隔を示す説明図である。
第11図は本発明の実施の形態1における真空吸着ヘッドの構造を示す端面図である。
第12図は本発明の実施の形態1における真空吸着ヘッドの吸着面の構造を示す平面図である。
第13図はスリット無しの真空吸着ヘッドを用いた場合の液晶パネルに対する吸着状態を示す断面図である。
第14図は本発明の実施の形態1における真空吸着ヘッドを用いた場合の液晶パネルに対する過渡的な吸着状態を示す断面図である。
第15図は本発明の実施の形態1における真空吸着ヘッドを用いた場合の液晶パネルに対する吸着状態を示す断面図である。
第16図は本発明の実施の形態2における真空吸着ヘッドの構造を示す端面図である。
第17図は実施の形態2における真空吸着ヘッドを用いた場合の液晶パネルに対する過渡的な吸着状態を示す断面図である。
第18図は実施の形態2における真空吸着ヘッドを用いた場合の液晶パネルに対する吸着状態を示す断面図である。
第19図は各実施の形態の真空吸着ヘッドに用いられる他の吸着盤の構造を示す平面図である。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における真空吸着ヘッドについて、図面を参照しつつ説明する。本発明において基板とは、単板の半導体ウエハ、セラミックス基板、ガラス基板、プラスチック基板、及び貼り合わせ基板である透過型プロジェクタ基板、またフラットパネルディスプレイであるPDP(プラズマディスプレイ)、反射型液晶プロジェクタ基板、液晶パネル、有機EL素子基板等である。スペーサが封入されていない液晶パネル及びマザー液晶パネルにおいても、本発明の真空吸着ヘッドは有効に適用することができるが、ここではスペーサが封入されている液晶パネルを例に挙げて説明する。第11図は実施の形態1における真空吸着ヘッド30Aの構造を示す端面図である。この真空吸着ヘッド30Aは真空吸着パッド31とスカートパッド32とを含んで構成される。第12図は真空吸着パッド31の吸着面(吸着盤33)の構造を示す平面図である。
真空吸着パッド31は第6図及び第7図に示す真空吸着パッドと類似の構造を有し、吸着盤33と補強層34とが両面接着シート35aで接合された多層構造のものである。吸着盤33は、周縁のフラットな面の気密部33aと、多数の凹凸部が形成された吸着部33bとを有している。
吸着盤33は感光性樹脂材からなる円盤状のものであり、その中央部に上下方向に貫通した吸引口36の一部として開口33dが設けられる。吸着部33bの多数の凸部と凹部は、感光性樹脂材のエッチング処理によって形成される。感光性樹脂材として、例えば印刷版材であるAFPが用いられる。このAFPは紫外線照射と溶剤を用いて選択的に凸部と凹部を形成できる。なお感光性樹脂材であれば印刷用版材に限定されない。金属板やセラミック等でもエッチング処理が可能であり、またこれと類似の加工方法が適用できるのであれば、それらの方法を用いても良い。
感光性樹脂材を用いる場合、シート状の感光性樹脂版の表面に、所望のパターンを描いたフィルムをマスクとして貼り合わせる。そしてその上から紫外線を照射(感光)した後、その感光性樹脂を処理液でエッチング(現像)する。こうすることによりパターンの箇所以外ではエッチングされて凹部が形成され、光を透過しないパターンの箇所はエッチングされないために凸部として残される。
凸部の分布密度は、10〜250メッシュ/インチであり、個々の凸部の大きさは、その分布密度において、吸着部33bに対する全凸部の面積率が10〜50%となるような値とする。また、凹部の深さ(エッチング深さ)は、数十μm〜数百μmもあれば十分である。尚、凸部の形状は円に限定されず、多角形等の任意の形状であっても差し支えない。
気密部33aは感光性樹脂材のエッチングされない領域である。ここで、凸部と気密部33aとは共にエッチングされていない領域のため、同一面上に位置することになる。また気密部33aの内周側には環状の溝33cが新たな凹部として形成されている。また吸着盤33の中心に開口33dが設けられ、これを通る十字形状に溝33eが形成されている。これらの溝は開口33dと連通し、凹部に存在する空気を排気する際の通路となる。
補強層34は吸着盤33を構成する感光性樹脂材が外部応力により変形しないように貼り合わされた層である。この層は、感光性樹脂材が製版材料として製品化される段階で両面接着シート35aを介して貼り合わされている。この補強層34の中心部にも開口が設けられている。
スカートパッド32は、本発明において新たに設けられた弾性部材であり、プレート部32aと環状部32bとスカート部32cとが一体に成形されたゴムである。プレート部32aは両面接着シート35bを介して真空吸着パッド31を保持する円盤状の保持部材であり、その径は真空吸着パッド31の外径より充分大きい。このプレート部32aの中心にも開口が設けられ、真空吸着パッド31の開口と連通して吸引口36となっている。環状部32bは所定の間隙を隔てて真空吸着パッド31を取り囲むように、プレート部32aの外縁部分に厚肉環状に形成され、かつ真空吸着パッド31が環状部32bより下に突き出るように、環状部32bの下面が真空吸着パッドの下面より高く形成されたものである。スカート部32cは環状部32bを付け根とし、基板と対面する方向に円錐状に広がった薄肉環状のゴム部材である。このゴム材として例えばニトリルゴムが用いられる。
スカートパッド32は、基板を吸着するときに、吸着部周辺での排気空間を拡大し、真空吸着パッド31と基板との間の吸着可能な間隔を大きくする働きをするものである。スカート部32cはその肉厚が薄いので、真空吸着ヘッド30Aが基板に近接したとき外周部が当接して弾性変形する。このようにスカートパッド32のスカート部32cは、基板との接触により、外界からの空気の流入を遮断するというシール機能を発揮する。
スリット32dは環状部32bに設けた切り込みであり、スカート外部とスカート内部との間で空気がリークするようにしたものである。このスリット32dは、例えば成形後のスカートパッド32に対して側方の一部分に薄刃を用いて切り込みを入れることで実現できる。
なおスリット32dはこの製法及び形状に限定されない。スリット32dは、スカート部32cが基板と接触し、真空吸着パッド31がガラス基板に接するまでの間に内部の空間を負圧状態に維持でき、真空吸着パッド31が基板を吸着するのを妨げない大きさの貫通孔であればよく、例えば微小径の丸孔でもよい。
また、真空吸着パッド31が環状部32bより下に突き出るように、環状部32bの下面は真空吸着パッド31の下面より高くなっている。このため、真空吸着パッド31が液晶パネル2に当接しても環状部32bは液晶パネル2には当接しない。従って環状部32bが変形して、スリット32dを閉ざすことはない。
ここでスリット32dの機能について更に説明する。スリット32dが無いタイプの真空吸着ヘッドを30Bとする。第13図は真空吸着ヘッド30Bの液晶パネル2に対する吸着状態を示す断面図である。前述したように、液晶パネル2は、上側のガラス基板3aと下側のガラス基板3bとがスペーサSを介して一定のギャップが保たれた状態となっている。真空吸着ヘッド30Bを液晶パネル2に近接させ、吸引口36から排気を行うと、図示のようにスカート部32cが液晶パネル2に密着し、スカート部32cで覆われた空間が負圧に保持される。やがて吸着盤33も液晶パネル2に密着し、更なる排気により液晶パネル2に対して吸引力が働く。
真空吸着パッド31が環状部32bの下端より下にあり、スカート部32cの付け根である環状部32bの下面が真空吸着パッド31の下面よりも高くなっているので、空間V1が生じる。この空間V1は、真空吸着パッド31と環状部32bの隙間によって形成されるものであり、真空吸着パッド31の外径と環状部32bの内径との差が大きい場合は更に広くなる。ガラス基板3a、3bは従来例で説明したようにその肉厚が0.5〜1.1mmと薄く、負圧が作用すると第13図のようにx1、x2部分で上側のガラス基板3aが上側に局部的に変形する。このような状態になると、x1、x2部分で上側のガラス基板3aと下側のガラス基板3bとのギャップが広がり、スペーサSがギャップの広くなったx1、x2の部分に移動することとなる。また第13図において、液晶パネル2の上下のガラス基板間にスペーサSが封入されていないタイプの液晶パネルも存在する。このスペーサ無しのタイプの液晶パネルを真空吸着ヘッド30Bにより真空吸引を行う場合においても、上側のガラス基板3aが上方に局部的に変形し、上側のガラス基板3aの局部的な変形が元に戻らずに上下のガラス基板間のギャップにバラツキが生じてしまう。このように液晶パネルにおける上下のガラス基板間で、ギャップの間隔にバラツキが生じ、表示面に色むらが現れて液晶パネルとして製品不良となる。
この問題を解消するため、第11図のようにスカートパッド32に吸気用のスリット32dを設けている。真空吸着パッド31が液晶パネル2に当接しても環状部32bが変形してスリット32dを閉ざすことがないように、真空吸着パッド31が環状部32bより下側に突き出るようにする。このために、環状部32bの下面を真空吸着パッド31の下面より高い位置にしたのである。この場合の真空吸着ヘッド30Aの液晶パネルに対する過渡的な吸着状態を第14図に示し、定常の吸着状態を第15図に示す。
吸引口36を介して排気を行い、液晶パネル2を吸着すると、第14図に示すようにまずスカート部32cが液晶パネル2に当接する。この状態で排気を続けると、スカート部32cと上側のガラス基板3aで覆われる空間が負圧になる。このときスカート部32cが弾性変形し、スカート部32cと上側のガラス基板3aとの接触面積は増加する。またスカート部32c内部の負圧が大きくなるので、スリット32dを介して外部から空気がリークを始める。
このため吸着盤33の周辺の負圧を減じるが、この程度の負圧は真空吸着パッド31が液晶パネル2を吸い寄せるのを妨げることにはならず、液晶パネル2が真空吸着パッド31に吸い寄せられる。さらに排気が続くと、第15図に示すように真空吸着パッド31の吸着盤33が液晶パネル2に当接する。このような状態になると、気密部33aの密封機能により吸着盤33の上側のガラス基板3aに対する負圧は更に大きくなる。このため吸着盤33だけで液晶パネル2を吸着保持できる状態となる。その後空間V1においては、スリット32dより外気が更にリークして負圧が解消される。このような方法で吸着すると、空間V1の圧力が外圧とほぼ等しく保たれ、上側のガラス基板3aは第13図のように局部的に変形しなくなる。従ってスペーサSの移動も起こらず、ガラス基板間のギャップを均一な状態で保持しつつ、液晶パネル2を吸着保持することができる。
このような構造の真空吸着ヘッド30Aを複数個用い、外形形状の大きい脆性材料基板を吸着する場合、吸着可能な距離は従来例より大きくなり、一例として0.0〜2.0mmとなった。このため、脆性材料基板に多少のうねりや撓みがあっても吸着盤33が追従し、確実に基板を保持することが可能となった。
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2における真空吸着ヘッドについて、図面を参照しつつ説明する。第16図は実施の形態2における真空吸着ヘッド40の構造を示す端面図である。この真空吸着ヘッド40は真空吸着パッド31とプレート部41とスポンジパッド42とを含んで構成される。プレート部41には真空吸着パッド31とスポンジパッド42とが同心状に取り付けられる。
真空吸着パッド41の構造は第11図及び第12図に示すものと同一であるので、構成要素については説明を省略する。スポンジパッド42は第11図のスカートパッド32と同様の機能を有する弾性部材である。スポンジパッド42は、多孔性のゴムを素材に用い、筒状に形成された弾性部材である。多孔性のゴムとして特に圧力損失が高いものが用いられる。ここでは耐候性、耐熱性、耐老化性に優れたEPT(エチレン・プロピレン・ターポリマー)のスポンジ体を用いる。スポンジ体として所望の圧力損失を有する連泡タイプが好ましい。真空吸着パッド31の中心軸をzとすると、無歪状態でのスポンジパッド42のz方向の高さは、真空吸着パッド31のz方向の厚みより少し大きい。そして真空吸着パッド31の中心軸には吸引口43が設けられる。
この場合の真空吸着ヘッド40の液晶パネル2に対する過渡的な吸着状態を第17図に示し、定常の吸着状態を第18図に示す。真空吸着ヘッド40を液晶パネル2に近接させると、第17図に示すようにまずスポンジパッド42の下端部が上側のガラス基板3aに当たり、その弾性によりスポンジパッド42は肉厚が大きくなる方向に撓む。吸引口43から排気を行うと、スポンジパッド42で覆われた閉空間が負圧になり、スポンジパッド42の外圧と内圧の差によって、外界の空気が第17図中の矢印のように流れ込む。しかし、この空気の流入は液晶パネル2が真空吸着パッド31に吸い寄せられるのを妨げるほどには該閉空間の負圧を減じない。こうして液晶パネル2が更に真空吸着パッド31に吸い寄せられ、第18図に示すように真空吸着パッド31の吸着盤33が液晶パネル2に当接する。このとき、気密部33aの密封機能により吸着盤33の上側のガラス基板3aに対する負圧は充分な値に保持され、吸着盤33だけで液晶パネル2を吸着保持することができる。一方、スポンジパッド42と真空吸着パッド31間の空間V2は、スポンジパッド42の外圧と内圧の差によって外界の空気が既に流れ込んだため、空間V2の負圧がすぐに解消される。従って、この部分の上側のガラス基板3aは上方に局部的に変形しなくなる。従ってスペーサSの移動も起こらず、ガラス基板間のギャップを均一な状態で保持しつつ、液晶パネル2を確実に吸着保持することができる。
このような構造の真空吸着ヘッド40を複数個用い、外形形状の大きい脆性材料基板を吸着する場合、吸着可能な距離は従来例より大きくなる。一例として0.0〜2.0mmとなり、脆性材料基板に多少のうねりや撓みがあっても吸着盤33が追従し、脆性材料基板を確実に保持することが可能となった。
なお、実施の形態1及び2において、真空吸着パッドとして、吸着部は第12図に示すように微小な凸部を残し、エッチングにより互いに連通する凹部を形成した。しかし第19図に示すように、微小な凸部を形成する代わりに溝を多く設け、溝で囲まれる部分を凸部としてもよい。第19図の吸着盤50では、外周部を気密部50aとし、開口50bを中心に同心状に複数の溝50cをエッチングにより形成し、開口50bを横切るように十字状の溝50dをエッチングにより形成する。またエッチングされない領域を凸部50eとする。このような構造の吸着盤50でも実施の形態1又は2と同様の吸着効果が得られ、吸着可能距離も同様に拡大する。
尚、本実施の形態1及び2の説明において、基板として主に液晶パネルを用いて説明したが、本発明の真空吸着ヘッドは、単板の半導体ウエハ、セラミックス基板、ガラス基板、プラスチック基板、及び貼り合わせ基板である透過型プロジェクタ基板、反射型プロジェクタ基板、またフラットパネルディスプレイであるプラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶パネル、有機EL素子基板等に、基板に局部的な変形を与えずに吸着させることが出来るので、有効に適用することが出来る。また、液晶パネル及びマザー液晶パネルにおける2枚のガラス基板の間に、スペーサが封入されている場合について説明したが、スペーサが封入されていない液晶パネル及びマザー液晶パネルにおいても、本発明の真空吸着ヘッドが有効に適用することができる。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、吸着盤の外周部に弾性部材を設けたために、基板を吸着する直前に吸着盤の周辺を早期且つ安定して負圧にすることができる。次に吸着盤が基板に密着すると、基板に対する吸着盤の吸引力が更に高くなるよう保持される。こうして、基板を吸着盤に吸着できる間隔(すなわち基板と吸着盤の吸着面との間隔)が拡がるので、吸着盤を複数個用いて形状の大きな基板を吸着するときに、吸着不良が生じなくなる。また基板の吸着時に発生する基板の局部的な変形を防止することができ、また貼り合わせ基板の場合、前記基板の局部的な変形に起因する基板間のギャップが変化することを防止することができる。さらに弾性部材は、基板の吸着時に発生する基板の局部的な変形を吸収して、基板を安定した吸引力で吸着盤に密着させるので、複数の吸着盤を複数個用いて大きな基板を吸着するときに、安定した吸着が可能になる。このような真吸着ヘッドは、基板のスクライブ装置や基板の搬送装置に好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. 基板を真空吸着する真空吸着ヘッドであって、
    板状部材を用い、その一方の面に対して多数の独立した凸部と凹部とを形成した吸着部、前記吸着部を囲む前記板状部材の外周位置に環状に形成した気密部、前記吸着部の気体を排気する通路となる溝部、前記溝部の気体を外部に排気する開口を設けた真空吸着パッドと、
    前記真空吸着パッドを取り込むように形成され、前記真空吸着パッドが吸着対象の基板に近接したとき、前記真空吸着パッドの周辺空間から外気を遮断する弾性部材と、を具備し、
    前記弾性部材は、スカート状に形成されたスカートパッドであり、
    前記真空吸着パッドを吸着面の背後から支持するプレート部と、
    前記真空吸着パッドの外周部を所定の間隙を介して囲むよう、前記プレート部の外縁部分に厚肉環状に形成した環状部と、
    前記環状部の外周部より肉厚を薄くして円錐環状に形成し、前記環状部の外側と内側空間とを連通し、前記外側と内側空間の圧力差が大きいとき前記外側の気体を内側にリークさせるスリットを前記環状部に設けたスカート部と、を具備するものである真空吸着ヘッド。
  2. 前記真空吸着パッドの吸着部は、
    エッチング可能な板状部材を用い、その一方の面に対して多数の独立した凸部と凹部とをエッチングにより形成したものであり、前記気密部は前記板状部材の外周を非エッチング領域として環状に形成したものであることを特徴とする請求項1記載の真空吸着ヘッド。
  3. 前記真空吸着パッドは、紫外線照射及び溶剤を用いて選択的にエッチングが可能な感光性樹脂材料を用いたものであることを特徴とする請求項記載の真空吸着ヘッド。
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