JP4659346B2 - セラミック焼成体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック焼成体の製造方法に関し、特に、一度に多量の成形体を焼成する際、各成形体間の付着を防止する離型シートを用いて焼成するセラミック焼成体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、セラミックスの成形体を一度に多量に焼成してセラミック焼成体を量産する方法として、セラミックス粉末とバインダーとを混合してスラリーを作製した後、ドクターブレード法などで成形体を作製し、この成形体を乾燥した後、成形体の間に高融点のセラミックス粗粒粉末を水に分散させたスラリーをスプレーで塗布しながら横方向に並べ、成形体同士が付着しないように処理をし、しかる後、かかる成形体を重ねて焼成炉に入れて焼成していた。
【0003】
しかし、この方法では、焼成前に塗布する際、粗粒が重いので選択的に塗布され、微粉は遠くに飛ばされる理由から焼成後のセラミックス表面の面粗度が悪くなり、また、塗布される粉末中に含まれる不純物により、低融点化合物が生成しセラミックス同士が付着してしまう不具合が発生する問題があった。
【0004】
この不具合の対策として、特許文献1に示すような焼成用離型シートを作製し、成形体間に介在して焼成させて製造していた。即ち、特許文献1の焼成用離型シートは窒化ホウ素からなるセラミックス粉体からなるスラリーをカレンダーロール方法、ドクターブレード方法などで可燃紙の上に塗布してセラミック厚膜を形成し、これを乾燥して焼成用離型シートを作製していた。
【0005】
【特許文献1】
特許2556518号公報、
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この離型シートは、可燃性シートの灰化により、セラミック製品に付着してしまい、セラミック製品の外側を追加工しなければならない問題があった。
【0007】
また、離型シートをカレンダーロール方法、ドクターブレード方法等で形成しているので離型シートの厚みがばらつき、成形体間に介在させる離型シートがばらつくので、焼成した焼成体をはがす際に厚みの薄いところには応力が集中し、可燃紙の焼成した後にクラックが生じ、規則的にはがれないためにカケが発生する不具合があった。
【0008】
さらに、離型シートは焼成する製品の大きさに合せて切断する必要があるので、
切断は決められた寸法の金型で押し切るため、その切断した離型シートと製品寸法に差が生じていた。従って、離型シートが製品の大きさより小さい場合、製品同士が融着して離型できない問題があった。また、離型シートが製品の大きさより大きい場合、離型シートが例えば印刷された回路の部分についてしまい焼結阻害をひきおこし製品の品質を低下させる問題があった。
【0009】
また、小型の製品を焼成するのに、離型シートを成形体の間に挿入する際に位置ずれが生じやすく、特に横方向に成形体、離型シートと交互に配置する場合、離型シートがずれて成形体同士が融着する問題があった。
【0010】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、焼成時の不具合がなく、品質の良いセラミックス製品を製造するセラミック焼成体の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明のセラミックスの製造方法は、以下の(A)〜(E)の工程により焼成したことを特徴とする。
【0012】
(A)キャリアフィルム上に窒化ホウ素を30質量%以上95質量%以下含むセラミックス、溶剤、及び、バインダーからなるセラミック厚膜を印刷する工程
(B)印刷された上記セラミック厚膜を乾燥して焼成用離型シートを形成する工程
(C)上記キャリアフィルムから上記焼成用離型シートを剥離する工程
(D)剥離した上記焼成用離型シートにセラミックスを主成分とする成形体を粘着し、複数の該成形体間に上記焼成用離型シートを介在させて配置する工程
(E)(D)の工程で配置した上記焼成用離型シートと上記成形体とを同時に焼成する工程
(F)焼成された焼成体と上記焼成用離型シートとをバレル加工を行ってそれぞれ分離させ、上記焼成体より上記焼成用離型シートを除去する工程
本発明の構成によれば、印刷により厚みが一定な焼成用離型シートを成形体と粘着した
状態で配置して焼成するため、セラミック製品の厚みが均一になり、変形がなくなるととともに、成形体を配置する際の位置ずれが解消され焼成時の不良を低減することができる。また、窒化ホウ素からなる粉体が重量30%以上95質量%以下含むことが好ましい。窒化ホウ素が30質量%未満では融着防止効果が不十分となる。
【0013】
特に、セラミック厚膜の厚みが30〜500μmであることが好ましい。これにより、焼成後の焼成体間で融着を生じることがなく、また、離型シートが確実に界面上に存在するために、焼成体の外観不良を小さくできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳述する。
【0016】
図1(a)〜(d)は本発明品のセラミックスの製造方法を説明する図である。具体的には、(a)はセラミック厚膜を印刷する工程を、(b)はセラミック厚膜を乾燥して焼成用離型シートを形成する工程を、(c)は焼成用離型シートを剥離する工程を、(d)は焼成用離型シートと成形体とを貼付する工程を示した。
【0017】
本発明のセラミック焼成体の製造方法は、図1(a)に示すように、まず、キャリアフィルム1上に印刷機3を用いて、セラミック厚膜2を形成する。
【0018】
キャリアフィルム1は長尺状のシートが用いられ、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)等が用いられる。また、キャリアフィルム1上にシリコーン樹脂等の離型剤をあらかじめ塗布してもよい。印刷機3は、キャリアフィルム1上に設置され、キャリアフィルム1の離型面を上にして、スキージ30を駆動させる事により、セラミックス、溶剤、及び、バインダーからなるセラミック厚膜を印刷する。印刷する方法としては、ロールコーター法、スクリーン印刷法を利用するのが好ましい。
【0019】
セラミック粉末としては、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、珪化モリブデンなどを用いると良い。特に好ましくは窒化ホウ素を用い、その粉体が30質量%以上含むことが好ましく、さらに好ましくは50〜95質量%含まれるのが良い。窒化ホウ素が30質量%未満だと、焼成後の分離が困難になる傾向が出るからであり、95質量%よりも多くなると、セラミック厚膜の強度が不足し、取り扱いに問題が生じることとなる。
【0020】
バインダーとしては、メチルセルロース系、ブチラール系、ポリビニール系、アクリル系、などが用いられる。
【0021】
溶剤としてはメタノール、ブタノール、酢酸ブチル、トルエン、アセトン、テルピネオール、ブチルカルビトール、エラルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン、水などが用いられる。
【0022】
セラミック粉末とバインダーとを溶剤とともに混合するには、ニーダー、攪拌機等の混合機を用いた後、3本ロールで仕上げ混合してスラリーを作製する。作製したスラリーは粘度を測定し、粘度により適する印刷法を選定する。
【0023】
印刷の領域としては長尺状に印刷しても良く、また、後述する成形体の側面の面積と略同一か少し大きい面積の印刷を行う。少し大きい面積の印刷を行うことにより、焼成時の製品の熱膨張分を勘案する大きさにすることができ、焼成体の離型時のカケ不良をなくすることができるという効果がある。
【0024】
次に、図1(b)に示すようにセラミック厚膜を乾燥する。この工程は、キャリアフィルム1上に形成されたセラミック厚膜2を乾燥機4により乾燥させることでキャリアフィルム1上に焼成用離型シート20を形成する。利用する乾燥機4としては、遠赤外線乾燥機、温風乾燥機、マイクロ波乾燥機等を用いると良い。乾燥温度は100℃〜250℃で、時間は5〜15分である。乾燥処理が終了した焼成用離型シート20の表面状態としてはある程度粘着性を有している。
【0025】
ここで、焼成用離型シート20の厚みは30μm〜500μmが望ましい。焼成用離型シート20の厚みが30μmより薄いと焼成時に融着する可能性があり、500μm以上になると印刷が複数回必要になりコストが増加する。
【0026】
次に、図1(c)に示すように焼成用離型シート20を剥離する。この工程は、乾燥した焼成用離型シート20を、キャリアフィルム1から剥離する工程である。キャリアフィルム1をローラ5の曲率を利用して曲げる事により、焼成用離型シート20をキャリアフィルム1から剥離する。なお、剥離を促進するために、エアで吸着または、刃物状の治具でキャリアフィルム1から掻きとる方法も用いられる。キャリアフィルム1の焼成用離型シート20が長尺の場合にはレーザー、ウォータージェットなどの方法等によりカットする。
【0027】
次に、図1(d)に示すように剥離し、又はその後にカットした焼成用離型シート20にセラミックスを主成分とする成形体を粘着させて配置する。焼成しようとするセラミック製品の成形体6に焼成用離型シート20を貼り付ける。この場合、セラミック製品の成形体の表面状態は粘着力を有しており、焼成用離型シート20も粘着力を有していることから容易に粘着させることができる。
【0028】
焼成する成形体6としてはアルミナ、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ジルコニムなどの様な金属の酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、または、ケイ化物等を主成分とする材料からなるものである。
【0029】
なお、このようにして成形体6を多量に一度で焼成するには、例えば、特開平9−7883号公報に示すような焼成方法により複数の成形体6間に焼成用離型シートを介在させて縦横方向に配置する。この様にして作製した複数の成形体6、焼成用離型シート20を焼成炉に入れ、大気雰囲気または窒素雰囲気中で焼成する。焼成方法としては常圧焼成、加圧焼成、ガス圧焼成方法が用いられる。
【0030】
その後、焼成された焼成体と焼成用離型シートとをそれぞれ分離させ、焼成体は焼成時に用いた焼成用離型シートをバレル加工等の除去加工を行って除去することによって、セラミック製品としてのセラミック焼成体が完成する。
【0031】
【実施例】
(参考例1)
まず、焼成用離型シートを作製した。窒化ホウ素粉末(水島合金鉄株式会社製平均粒径8.5μm、純度98%)50g、メチルセルロース10g、水70gを混合機にて混合した後、三本ロール混練を施し、粘度10000CPのスラリーを得た。このスラリーをスクリーン印刷方法で、キャリアフィルム上に成形体の側面の面積と同じ大きさに印刷してセラミック厚膜を形成した。なお、上記の成形体は8mm×10mm×80mmの大きさにプレスした成形体であり、原料は窒化珪素製(宇部興産株式会社 平均粒径1.0μm)を主成分とするセラミックスを用いた。
【0032】
キャリアフィルムに印刷されたセラミック厚膜を赤外線乾燥により、150℃で5分間、キャリアフィルム上で乾燥させた後、キャリアフィルムから剥離して焼成用離型シートを得た。このときの焼成用離型シートの厚みは200μmであつた。その後、成形体と焼成用離型シートとをホットプレス焼成炉用カーボン棚板上に並べ、成形体に貼り付け、ホットプレス焼成を実施した(試料3)。
【0033】
また、同時に上記と同様にして10μm、30μm、500μm、700μm(試料1、2、4、5)の厚膜も作製した。このとき、キャリアフィルムからセラミック厚膜を剥離する際の不良率(%)及び焼成後に分離時の破損する不良率(%)を調べた。ここで、キャリアフィルムからセラミック厚膜を剥離する際の不良率(%)とは、セラミック厚膜をスクリーン印刷後、乾燥させ、剥離する際に発生する不良、例えば、厚膜欠け不良、厚膜の割れ不良、厚膜のクラック不良を不良として、不良が発生する割合を求めたものである。
【0034】
また、焼成後の分離時の不良率(%)とは、焼成体同士を焼成後分離する際、製品の形状を保てず、欠けてしまったり、割れてしまったりする不良のことを不良として割合を求めたものである。
【0035】
また、焼成用離型シートの材料にジルコニアを主成分とする材料とする以外は上記と同じ条件で実験を行った(試料7)。即ち、ジルコニア粉末(東ソー株式会社製 平均粒径0.1μm)70g、アクリル系バインダー30g、メタノール80gを混合機にて混合した後、三本ロール混練を施し、粘度8500cPのスラリーを作製し、このスラリーをスクリーン印刷方法でキャリアフィルム上にセラミック厚膜を形成した。この際の焼成用離型シートの厚みは200μmとした。
【0036】
比較例として、ドクターブレード法により可燃紙上にセラミック膜厚を形成する以外は試料3の作製と同様の条件で焼成用離型シートを作製した(試料6)。
【0037】
以上の結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から明らかなように、試料6の可燃紙を用いた焼成用離型シートはドクターブレード成形法により形成したため、セラミック厚膜の厚みがばらついており、セラミック厚膜を剥離する際に不良が10%発生してしまい、焼成体同士を分離する際に不良が50%発生した。これは、形成されるセラミック厚膜の厚みバラツキが大きいため、焼成体を分離する際、厚みの薄いところに応力が集中してしまい、欠け不良が発生してしまったと考える。
【0040】
また、焼成用離型シートの材料が窒化ホウ素を用いたものは(試料1〜5)、キャリアフィルムからの剥離不良率(%)、焼成後の分離時の不良率(%)ともに格段に効果があることがわかる。
【0041】
さらに、焼成用離型シートの材料が窒化ホウ素を用いたもの(試料1〜5)の中でも焼成用離型シートの厚みが10μmのものを焼成に用いたものは、焼成体の分離時不良率が2%であった。これは窒化硼素が高純度で、高融点であっても使用している粒子の平均粒径が8.5μmのため、シートに粒子が1ケしか並ばない場合があり、分離の際、うまく滑らない場合があるからであると考える。これに対して、試料2〜4では、焼成用離型シートの厚みが30〜500μmであっても焼成体の分離時の不良率が0%であり、厚膜剥離時の不良率も0%であり良好な結果を示した。
【0042】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、セラミックス製品同士が融着することなく、製品の品質を向上させることができる。
【0043】
また、焼成用離型シートと成形体とを交互に並べる際にも位置ずれが解消され、離型シートが確実に焼成体に存在するために焼成体間での融着を生じることがなく、分離時に欠けることが無く焼成体の外観不良を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(d)は、それぞれ本発明によるセラミック焼成体の製造方法を示した工程図である。
【符号の説明】
1 ・・・キャリアフィルム
2・・・セラミック厚膜
20・・焼成用離型シート
3・・・印刷機
4・・・乾燥機
5・・・ローラ
6・・・成形体
Claims (2)
- 以下の(A)〜(F)の工程により焼成したことを特徴とするセラミック焼成体の製造方法。
(A)キャリアフィルム上に窒化ホウ素を30質量%以上95質量%以下含むセラミックス、溶剤、及び、バインダーからなるセラミック厚膜を印刷する工程
(B)印刷された上記セラミック厚膜を乾燥して焼成用離型シートを形成する工程
(C)上記キャリアフィルムから上記焼成用離型シートを剥離する工程
(D)剥離した上記焼成用離型シートにセラミックスを主成分とする成形体を粘着し、複数の該成形体間に上記焼成用離型シートを介在させて配置する工程
(E)(D)の工程で配置した上記焼成用離型シートと上記成形体とを同時に焼成する工程
(F)焼成された焼成体と上記焼成用離型シートとをバレル加工を行ってそれぞれ分離させ、上記焼成体より上記焼成用離型シートを除去する工程 - 上記焼成用離型シートの厚みが30〜500μmであることを特徴とする請求項1記載のセラミック焼成体の製造方法。
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