JP5110171B2 - 電動機およびそれを備えた電気機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機に関するもので、特に軸受の電食の発生を抑制するように改良された電動機に関するものである。
近年、電動機はパルス幅変調(Pulse Width Modulation)方式(以下、PWM方式という)のインバータにより駆動する方式を採用するケースが多くなってきている。こうしたPWM方式のインバータ駆動の場合、巻線の中性点電位が零とならないため、軸受の外輪と内輪間に電位差(以下、軸電圧という)を発生させる。軸電圧は、スイッチングによる高周波信号を含んでおり、軸電圧が軸受内部の油膜の絶縁破壊電圧に達すると、軸受内部に微小電流が流れ軸受内部に電食が発生する。電食が進行した場合、軸受内輪、軸受外輪または軸受ボールに波状摩耗現象が発生して異常音に至ることがあり、電動機における不具合の主要因の1つとなっている。
従来、電食を抑制するためには、以下のような対策が考えられている。
(1)軸受内輪と軸受外輪を導通状態にする。
(2)軸受内輪と軸受外輪を絶縁状態にする。
(3)軸電圧を低減する。
上記(1)の具体的方法としては、軸受の潤滑剤を導電性にすることが挙げられる。但し、導電性潤滑剤は、時間経過とともに導電性が悪化することや摺動信頼性に欠けるなどの課題がある。また、回転軸にブラシを設置し、導通状態にする方法も考えられるが、この方法もブラシ摩耗粉やスペースが必要となるなどの課題がある。
上記(2)の具体的方法としては、軸受内部の鉄ボールを非導電性のセラミックボールに変更することが挙げられる。この方法は、電食抑制の効果は非常に高いが、コストが高い課題があり、汎用的な電動機には採用できない。
上記(3)の具体的方法としては、固定子鉄心と導電性を有した金属製のブラケットとを電気的に短絡させることで、静電容量を変化させて軸電圧を低減する方法が、従来、公知である(例えば、特許文献1参照)。
ところで、静電容量と抵抗とを並列接続したときのインピーダンスは、Z=1/jωC+Rの関係式で表される。ここで、Zはインピーダンス、jは虚数、ωは角周波数、Cは静電容量、Rは抵抗を示す。この式からわかるように、静電容量が大きくまたは抵抗が小さくなるとインピーダンスは低くなる。また、逆に静電容量が小さくまたは抵抗が大きくなるとインピーダンスは高くなる。
特許文献1では、固定子鉄心とブラケットとを短絡させることにより、固定子側のインピーダンスを低くし、これによって軸受の電食を抑制している。
すなわち、一般的に、洗濯機や食器洗い乾燥機などの水まわりで使用され、感電のおそれのある電動機は、充電部の絶縁(基礎絶縁)以外に、独立した絶縁を追加(以下、付加絶縁という)する必要がある。一方、これ以外のエアコン室内機、エアコン室外機、給湯機、空気清浄機などに使用される電動機は、感電のおそれがないため、付加絶縁は必要としない。したがって、エアコン室内機、エアコン室外機、給湯機、空気清浄機などに使用される電動機は、回転子を絶縁構造としていないために、回転子側(軸受内輪側)のインピーダンスは、低い状態にある。それに対して、固定子側(軸受外輪側)は、絶縁構造となっているため、インピーダンスは高い状態にある。この場合、軸受内輪側の電位は高いのに対して軸受外輪側の電位は低いためアンバランス状態となり、高い軸電圧が発生してしまうこととなる。そして、このような高い軸電圧により軸受に電食が発生する可能性があった。
このような状態を避けるために、特許文献1は、固定子鉄心とブラケットとを短絡させることで、その間の静電容量成分をなくし、上述したように固定子側(軸受外輪側)のインピーダンスを低くし、回転子側(軸受内輪側)のインピーダンスに近似させる方法を採用している。
しかしながら、特許文献1のような従来の方法は、次のような課題があった。すなわち、この従来の方法は固定子側のインピーダンスを変更して軸受内輪と軸受外輪との間の電位バランスを保ち、電食を抑制しようとする方法である。このような方法の場合、電動機の使用環境や固定子と回転子の組立精度バラツキなどによって、インピーダンスのバランスが崩れてしまうと、逆に軸電圧が高くなり電食が発生しやすくなってしまうというケースも可能性として考察された。
特開2007−159302号公報
本発明は、軸受における電食の発生を抑制した電動機およびそれを備えた電気機器を提供する。本発明の電動機は、巻線を巻装した固定子鉄心を含む固定部材を絶縁樹脂にてモールド一体成形した固定子と、シャフトを中心として固定子に対向して配置された回転子と、シャフトを回転自在に支持する軸受と、軸受を固定するブラケットと、巻線を駆動する駆動回路を実装した駆動回路基板とを備え、固定子鉄心を、駆動回路基板上のゼロ電位基準であるグランドに、導通部材を介して電気的に接続した構成である。
このような構成により、軸受内輪および軸受外輪に高周波電圧を誘導するその電圧発生源と考えられる固定子鉄心に対し、固定子鉄心は導通部材を介して駆動回路基板上のグランドと接続されるため、固定子鉄心の電位がゼロ電位となり、軸電圧を低減させることができる。
図1は、本発明の実施の形態1における電動機の断面を示した構造図である。 図2は、本発明の実施の形態1における電動機の部分展開斜視図である。 図3は、実施例1の軸電圧の測定方法を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態2における電動機に内蔵される駆動回路基板の構成を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態3における電気機器の例としてのエアコン室内機210の構成を示した模式図である。
以下、本発明の電動機およびそれを備えた電気機器について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電動機の断面を示した構造図である。本実施の形態では、電気機器としてのエアコン用に搭載され、室内機の送風ファンを駆動するためのブラシレスモータである電動機の一例を挙げて説明する。また、本実施の形態では、回転子が固定子の内周側に回転自在に配置されたインナロータ型の電動機の例を挙げて説明する。
図1において、固定子鉄心11には、固定子鉄心11を絶縁する樹脂であるインシュレータ22が介在して、巻線としての固定子巻線12が巻装されている。固定子鉄心11は、他の固定部材とともにモールド材としての絶縁樹脂13にてモールド成形されている。本実施の形態では、これらの部材をこのようにモールド一体成形することにより、外形が概略円筒形状をなす固定子10が構成されている。
固定子10の内側には、空隙(図示せず)を介して回転子14が挿入されている。回転子14は、回転子鉄心31を含む円板状の回転体30と、回転体30の中央を貫通するようにして回転体30を締結したシャフト16とを有している。回転子鉄心31は、固定子10の内周側に対向して周方向に複数の永久磁石を保持している。図1では、回転子鉄心31と永久磁石であるフェライト樹脂磁石32とが一体成形された構成例を示している。このように、固定子10の内周側と回転体30の外周側とが対向するように配置されている。
回転子14のシャフト16には、シャフト16を支持する2つの軸受15が取り付けられている。軸受15は、複数の鉄ボールを有した円筒形状のベアリングであり、軸受15の内輪側がシャフト16に固定されている。図1では、シャフト16がブラシレスモータ本体から突出した側となる出力軸側において、軸受15aがシャフト16を支持し、その反対側(以下、反出力軸側と呼ぶ)において、軸受15bがシャフト16を支持している。そして、出力軸側の軸受15aは、導電性を有した金属製のブラケット17により、その外輪側が固定されている。また、反出力軸側の軸受15bは、モールド一体成形する絶縁樹脂13により、その外輪側が固定されている。以上のような構成により、シャフト16が2つの軸受15に支承され、回転子14が回転自在に回転する。
さらに、このブラシレスモータには制御回路を含めた駆動回路を実装する駆動回路基板18が内蔵されている。この駆動回路基板18を内蔵したのち、ブラケット17を固定子10に圧入することにより、ブラシレスモータが形成される。また、駆動回路基板18には、巻線の電源電圧Vdc、制御回路の電源電圧Vcc、および回転数を制御する制御電圧Vspを印加するリード線やグランド線41などを含む接続線40が接続されている。接続線40に含まれるグランド線41は、駆動回路基板18上のグランドに接続される。グランドは、駆動回路基板18において、ゼロボルトとする基準電位を設定しておくためのゼロ電位基準であり、駆動回路基板18上にグランド配線としての配線パターンが配置されている。すなわち、接続線40に含まれるグランド線41は、駆動回路基板18上のグランド配線に接続される。
なお、駆動回路を実装した駆動回路基板18上のグランドは、大地のアースおよび1次側(電源)回路とは絶縁され、大地のアースおよび1次側電源回路の電位とは、フローティングされた状態である。駆動回路が実装された駆動回路基板18に接続される巻線の電源電圧供給する電源回路、制御回路の電源電圧を供給する電源回路、制御電圧を印加するリード線およびグランド線41などは、大地のアースと絶縁されている。すなわち、これら電源回路やグランド線41などは、巻線の電源電圧を供給する電源回路に対する1次側(電源)回路、制御回路の電源電圧を供給する電源回路に対する1次側(電源)回路、これら1次側(電源)回路と接続された大地のアースおよび独立して接地された大地のアースのいずれとも電気的に絶縁されている。つまり、1次側(電源)回路電位および大地のアースの電位に対して、駆動回路基板18に実装された駆動回路は電気的に絶縁された状態であることから、電位が浮いた状態となっている。これは電位がフローティングされた状態である。また、このようなことから、駆動回路基板18に接続される巻線の電源電圧を供給する電源回路および制御回路の電源電圧を供給する電源回路の構成は、フローティング電源とも呼称される。
そして、本実施の形態のブラシレスモータは、固定子鉄心11を導通部材である導通部材50を介して、駆動回路基板18上のゼロ電位基準であるグランド配線に電気的に接続したことを特徴としている。
以上のように構成された本ブラシレスモータに対して、接続線40を介して各電源電圧および制御信号を供給することにより、駆動回路基板18の駆動回路によって固定子巻線12に駆動電流が流れ、固定子鉄心11から磁界が発生する。そして、固定子鉄心11からの磁界とフェライト樹脂磁石32からの磁界とにより、それら磁界の極性に応じて吸引力および反発力が生じ、これらの力によってシャフト16を中心に回転子14が回転する。
次に、本ブラシレスモータのより詳細な構成について説明する。まず、本ブラシレスモータは、上述したように、シャフト16が2つの軸受15で支持されるとともに、一方の軸受15aは金属製のブラケット17により固定され、他方の軸受15bは絶縁樹脂13により固定されている。
具体的には、まず、反出力軸側の軸受15bに対して、軸受15bの外周径とほぼ等しい絶縁樹脂13の中空円筒部により固定している。すなわち、図1に示すように、反出力軸側における絶縁樹脂13の形状は、本ブラシレスモータ本体から反出力軸方向へと突出する本体突出部13aを有した形状である。本体突出部13aの内側は中空円筒状となる形状を有している。この中空円筒状の中空円筒部の径は軸受15bの外周径とほぼ等しく、この中空円筒部に軸受15bを挿入することにより、軸受15bは絶縁樹脂13に固定される。このようにして、この本体突出部13aの本体内部側に、軸受15bを配置している。
次に、出力軸側の軸受15aに対しては、固定子10の外周径とほぼ等しい外周径のブラケット17により固定している。ブラケット17は概略円板形状であり、円板の中央部に軸受15aの外周径とほぼ等しい径の突出部を有しており、この突出部の内側は中空となっている。
駆動回路基板18を内蔵したのち、このようなブラケット17の突出部の内側を軸受15aに挿入する。これとともに、ブラケット17の外周に設けた接続端部と固定子10の接続端部とが嵌合するように、ブラケット17を固定子10に圧入することにより、本ブラシレスモータが形成される。このように構成することで、組立作業の容易化を図るとともに、軸受15aの外輪側は金属製のブラケット17に固定されるため、軸受15aを強固に固定できる。
ところで、以上のように構成されたブラシレスモータを電気的にみると、上述したように、回転子側(軸受内輪側)のインピーダンスは低く、固定子側(軸受外輪側)は高い状態にある。すなわち、回転子側のインピーダンスとして、固定子鉄心11から軸受15の内輪までの間を考えると、固定子鉄心11と回転体30とはわずかな空隙を介して対面しているとともに、回転体30およびシャフト16は導電体であるため、この間のインピーダンスは低い状態といえる。さらに、この間のインピーダンスは低いため、固定子鉄心11から発生した高周波信号は減衰せずに軸受15の内輪に達し、その結果、軸受15の内輪には高電位の高周波の電圧が生じるものと考えられる。
これに対し、固定子側のインピーダンスとして、固定子鉄心11から軸受15の外輪までの間を考えると、例えば軸受15aの外輪に接続されたブラケット17は固定子鉄心11からある程度の間隔を持って配置されるため、この間のインピーダンスは高い状態といえる。さらに、この間のインピーダンスは高いため、固定子鉄心11から発生した高周波信号は減衰して軸受15の外輪に達し、その結果、軸受15の外輪には低電位の高周波の電圧が生じるものと考えられる。
このように、回転子側と固定子側とのインピーダンスがアンバランス状態であるため、軸受の内輪と外輪との間に電位差、すなわち軸電圧が生じ、軸受に電食が発生すると考えられる。また、特に、このような軸電圧を発生させる信号の発生源としては、PWM方式の高周波のスイッチングで駆動される巻線を巻装した固定子鉄心が主な発生源と考えられる。すなわち、固定子鉄心は、高周波の電流で駆動される巻線を巻装しているため、固定子鉄心には、駆動電流によって発生する磁束とともに駆動高周波による高周波信号も発生し、発生した高周波信号が空間を介して軸受内輪および軸受外輪にも誘導されると考えられる。
本実施の形態のブラシレスモータは、このようにして発生する電食を抑制するため、導通部材50を介して、固定子鉄心11を駆動回路基板18上のグランド配線に電気的に接続している。
すなわち、本実施の形態では、軸電圧を発生させる高周波信号の発生主源である固定子鉄心11を、駆動回路基板18のグランド配線と接続することにより、固定子鉄心11の電位をゼロ電位とし、軸電圧を低くしている。これによって、軸受における電食の発生を抑制している。
図2は、本発明の実施の形態1における電動機であるブラシレスモータの部分展開斜視図である。図2では、固定子鉄心11に固定子巻線12を巻装して形成した巻線組立20、駆動回路基板18およびそれぞれを接続する導通部材50としての鉄心接続端子51の一例を挙げている。
図2に示すように、固定子巻線12が巻装された固定子鉄心11は、環状を成しており、固定子鉄心11と固定子巻線12との間には、固定子鉄心11を絶縁するインシュレータ22が介在している。また、駆動回路基板18も、中心にシャフト16を貫通させるための孔を設けた環形状である。
そして、本実施の形態では、鉄心接続端子51がインシュレータ22に挿入固定された後、固定子鉄心11の外周部と接触または溶接される。鉄心接続端子51は、長手方向の一端側が二股状となっており、また他端側はピン形状となっている。鉄心接続端子51の二股状部により、インシュレータ22と固定子鉄心11の外周部とを挟むように、鉄心接続端子51の二股状部のインシュレータ22側をインシュレータ22に挿入することにより、固定子鉄心11に鉄心接続端子51が固定される。鉄心接続端子51は、このような形状であるため、容易に固定子鉄心11に固定できる。そして、固定子鉄心11の外周部に接触する二股状部の一方を、この外周部に溶接することで鉄心接続端子51が固定子鉄心11に強固に固定されるとともに、電気的な接続が確保される。なお、鉄心接続端子51は、バネ性のある素材(例えば、りん青銅)や、溶接、はんだ可能なめっきを施した黄銅などが好ましい。また、図2に示すように鉄心接続端子51の二股状部のインシュレータ22側に孔部51aを設けるとともに、インシュレータ22の孔部51aに対応した位置に凸部(図示せず)を設けておくことで、容易に位置決めしながら確実に鉄心接続端子51を固定子鉄心11に固定できる。
一方、鉄心接続端子51の固定子鉄心11に接続されていないピン形状の他端は、駆動回路基板18のランド52とはんだにて接続固定される。駆動回路基板18上には各種の電子部品(図示せず)が実装されており、各電子部品は駆動回路基板18上に銅箔でパターン形成された配線パターンによって電気的に接続される。図2では、このような配線パターンを代表してグランド配線のためのグランドパターン53のみを示している。グランドパターン53の一端には、接続線40に含まれるグランド線41が接続される。グランドパターン53は、グランド線41との接続部から駆動回路基板18上を延伸し、グランドパターン53の他端には孔を有したランド52が形成されている。このランド52の孔に鉄心接続端子51のピン形状の端部を挿入し、このランド52と鉄心接続端子51の端部とをはんだにて接続固定することで、鉄心接続端子51とグランド線41とが電気的に接続される。すなわち、固定子鉄心11は、鉄心接続端子51およびグランドパターン53を介してグランド線41に電気的に接続される。
また、本ブラシレスモータは、次のような工程に従って製造される。まず、インシュレータ22を備えた固定子鉄心11に固定子巻線12が巻装され、図2に示すような巻線組立20が形成される。このように形成された巻線組立20に鉄心接続端子51を挿入し、固定子鉄心11の外周部において鉄心接続端子51を溶接する。この後、巻線組立20は絶縁樹脂13にてモールド成形され、固定子10が形成される。このとき、鉄心接続端子51のピン形状となる先端部が絶縁樹脂13から露出して突出するように、固定子10を形成する。次に、このように形成した固定子10に、軸受15を取り付けた回転子14を挿入する。すなわち、固定子10内側の中空円筒部に軸受15bを挿入して、固定子10に軸受15bを固定する。次に、出力軸側から駆動回路基板18を挿入する。そして、固定子10から突出した鉄心接続端子51に駆動回路基板18上のランド52の孔を配置し、はんだにて接続固定する。その後、ブラケット17の突出部の内側を軸受15aに挿入するとともに、ブラケット17の外周に設けた接続端部と固定子10の接続端部とが嵌合するように、ブラケット17を固定子10に圧入する。このようにして、本ブラシレスモータが形成される。
以上、本実施の形態では、軸電圧を発生させる高周波信号の主な発生源である固定子鉄心11を、上述のように、鉄心接続端子51およびグランドパターン53を介してグランド線41に電気的に接続している。このような構成とすることにより、簡単な構成にて固定子鉄心11の電位がゼロ電位となり、固定子鉄心11に発生した高周波信号を減衰させることができる。したがって、固定子鉄心11から軸受内輪および軸受外輪に誘導される高周波信号の電位を抑制できるため、軸電圧も抑制でき、これによって、軸受における電食の発生を抑制することが可能となる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では図1に示したブラシレスモータの固定子鉄心11に導通部材50を介して駆動回路基板18のグランド配線に接続した場合の軸電圧を測定した。軸受には、ミネベア株式会社製608(グリースはちょう度239のものを使用)を使用した。
図3は、本実施例の軸電圧の測定方法を示す図である。軸電圧測定時には直流安定化電源を使用し、巻線の電源電圧Vdcを391V、駆動回路の電源電圧Vccを15Vとし、回転数1000r/minの同一運転条件下で測定を行った。なお、回転数は制御電圧Vspにて調整し、運転時のブラシレスモータ姿勢はシャフト水平とした。
軸電圧の測定は、デジタルオシロスコープ130(テクトロニクス社製DPO7104)と高電圧差動プローブ120(テクトロニクス社製P5205)により、電圧波形を観測して、ピーク−ピーク間の測定電圧を軸電圧とした。
測定時の横軸時間は、以下いずれの測定条件においても50μs/divの同一条件としている。なお、デジタルオシロスコープ130は、絶縁トランス140にて絶縁している。
また、高電圧差動プローブ120の+側120aは、長さ約30cmのリード線110を介し、リード線の導体を直径約15mmのループ状にして、その内周をシャフト16の外周に導電接触させることで、シャフト16に電気的に接続している。高電圧差動プローブ120の−側120bは、長さ約30cmのリード線111を介し、ブラケット17にリード線111の先端を導電性テープ112にて導電接触させることで、ブラケット17に電気的に接続している。このような構成で、ブラケット17とシャフト16との間の電圧である軸電圧の測定を実施した。
(比較例1)
図1に示すブラシレスモータにおいて、固定子鉄心11と駆動回路基板18のグランド配線が接続されていない状態で、実施例1と同様な方法で軸電圧を測定した。
表1に、実施例1と比較例1との測定結果を示す。
Figure 0005110171
表1から明らかなように、固定子鉄心11と駆動回路基板18のグランド配線を接続することにより軸電圧を低くすることができる。
これらの結果からもわかるように、本発明の電動機は、従来の電動機に比べて、軸電圧が低減し、電動機の軸受電食の発生抑制に極めて優れた効果がある。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における電動機に内蔵される駆動回路基板の構成を示す図である。なお、図4に示す駆動回路基板18上においても、実施の形態1の駆動回路基板18と同様に、各種の電子部品(図示せず)が実装されており、各電子部品は駆動回路基板18上に銅箔でパターン形成された配線パターンによって電気的に接続される。また、本実施の形態における電動機は、図1に示した構造のブラシレスモータと同様の構成であり詳細な説明は省略する。
実施の形態1との比較において、本実施の形態のブラシレスモータは、固定子鉄心11を導通部材である鉄心接続端子51を介し、さらにコンデンサ60を介して、ゼロ電位基準であるグランド線41に電気的に接続したことを特徴としている。すなわち、実施の形態1のように、固定子鉄心11が電気的に直接グランド線41に接続されるような構成の場合、グランド線41を介して、本ブラシレスモータが組み込まれる電気機器のグランドとも直接に接続される。この場合、固定子鉄心11から発生した高周波信号がノイズとして電気機器に伝搬されるおそれがある。このため、本実施の形態では、コンデンサ60を設けることにより、固定子鉄心11からグランド線41を介して電気機器に伝搬される高周波信号の信号レベルを抑えている。
図4において、接続線40に含まれるグランド線41は、第1のグランドパターン55のグランド接続端部54に接続される。第1のグランドパターン55はグランド接続端部54から駆動回路基板18上を延伸し、コンデンサ60の一端に接続される。一方、実施の形態1と同様に、鉄心接続端子51を接続するためのランド52が駆動回路基板18上に形成されている。第2のグランドパターン56はランド52から駆動回路基板18上を延伸し、コンデンサ60の他端に接続される。このように、固定子鉄心11は、鉄心接続端子51、第2のグランドパターン56、コンデンサ60および第1のグランドパターン55を介してグランド線41に電気的に接続される。
このように、本実施の形態のブラシレスモータは、固定子鉄心11を、鉄心接続端子51およびコンデンサ60を介して、グランド線41に電気的に接続している。このため、コンデンサ60はノイズフィルタとして機能し、鉄心接続端子51から発生した高周波信号が電気機器に伝搬されるのを抑制できる。また、このコンデンサ60は駆動回路基板18上に実装することができるため、製造が容易となる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明における電気機器の例としてエアコン室内機の構成について説明する。
図5は、本発明の実施の形態3における電気機器の例としてのエアコン室内機210の構成を示した模式図である。
図5において、エアコン室内機210の筐体211内にはブラシレスモータ201が搭載されている。そのブラシレスモータ201の回転軸にはクロスフローファン212が取り付けられている。ブラシレスモータ201はモータ駆動装置213によって駆動される。モータ駆動装置213からの通電により、ブラシレスモータ201が回転し、それに伴いクロスフローファン212が回転する。そのクロスフローファン212の回転により、室内機用熱交換器(図示せず)によって空気調和された空気を室内に送風する。ここで、ブラシレスモータ201は、例えば、上記実施の形態で示す電動機が適用できる。
本発明の電気機器は、ブラシレスモータと、そのブラシレスモータが搭載された筐体とを備え、ブラシレスモータとして上記構成の本発明の電動機を採用したものである。
以上の説明では、本発明にかかる電気機器の実施例として、エアコン室内機に搭載されるブラシレスモータを取り上げたが、エアコン室外機に搭載されるブラシレスモータや、その他の電気機器に搭載される電動機、例えば、各種家電用機器に使用されるブラシレスモータや、各種情報機器に搭載されるブラシレスモータ、産業機器に使用されるブラシレスモータにも適用できる。
以上説明したように、本発明の電動機は、巻線を巻装した固定子鉄心を含む固定部材を絶縁樹脂にてモールド一体成形した固定子と、シャフトを中心に固定子に対向して配置された回転子と、シャフトを回転自在に支持する軸受と、軸受を固定するブラケットと、巻線を駆動する駆動回路を実装した駆動回路基板とを備え、固定子鉄心を、駆動回路基板上のゼロ電位基準であるグランドに、導通部材を介して電気的に接続した構成である。
このため、固定子鉄心の電位がゼロ電位になり、軸電圧を低減させることができる。さらに、固定子鉄心より発生する高周波ノイズ電圧を、コンデンサを介すことにより、本電動機が組み込まれる電気機器の電源に伝達させないため、電気機器の誤動作を抑制することができる。
したがって、本発明の電動機によれば、軸受における電食の発生を抑制した電動機を提供することができる。また、本発明の電動機を電気機器に組み込むことにより、軸受における電食の発生を抑制した電動機を備えた電気機器を提供することができる。
なお、本実施の形態では、回転子が固定子の内周側に回転自在に配置されたインナロータ型の電動機の例を挙げて説明したが、回転子が固定子の外周側に配置されたアウタロータ型、さらには内外周両側に回転子を配置したツインロータ型の電動機において上述したように固定子鉄心と駆動回路基板のグランドを接続する構成とすることによっても、同様の効果を得ることができる。
本発明の電動機は、軸電圧を減少させることが可能であり、軸受の電食発生を抑制するのに最適である。このため、主に電動機の低価格化および高寿命化が要望される電気機器で、例えばエアコン室内機、エアコン室外機、給湯機、空気清浄機などに搭載される電動機に有効である。
10 固定子
11 固定子鉄心
12 固定子巻線
13 絶縁樹脂
14 回転子
15,15a,15b 軸受
16 シャフト
17 ブラケット
18 駆動回路基板
20 巻線組立
22 インシュレータ
30 回転体
31 回転子鉄心
32 フェライト樹脂磁石
40 接続線
41 グランド線
50 導通部材
51 鉄心接続端子
51a 孔部
52 ランド
53,55,56 グランドパターン
54 グランド接続端部
60 コンデンサ
110,111 リード線
112 導電性テープ
120 差動プローブ
130 デジタルオシロスコープ
140 絶縁トランス
201 ブラシレスモータ
210 エアコン室内機
212 クロスフローファン
213 モータ駆動装置

Claims (5)

  1. 固定子鉄心に巻線を巻装した固定子と、
    シャフトを中心として前記固定子に対向して配置された回転子と、
    前記シャフトを回転自在に支持する軸受と、
    前記軸受を固定するブラケットと、
    前記巻線を駆動する駆動回路を実装した駆動回路基板とを備え、
    前記固定子鉄心を、大地のアースおよび1次側電源回路とは絶縁され、大地のアースおよび1次側電源回路の電位とはフローティングされた状態にある前記駆動回路基板上のグランドに、導通部材を介して電気的に接続したことを特徴とする電動機。
  2. 前記固定子鉄心には前記導通部材としての鉄心接続端子が接続され、前記駆動回路基板に前記鉄心接続端子を挿入することで、前記固定子鉄心と前記グランドとを電気的に接続したことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
  3. 前記固定子鉄心と前記グランドとを、前記導通部材に加えて、さらにコンデンサを介して電気的に接続したことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
  4. 前記コンデンサは前記駆動回路基板上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電動機。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機を搭載したことを特徴とする電気機器。
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