JP5255100B2 - レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 - Google Patents
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Description
このレリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する方式に用いられるレーザーは高出力の炭酸ガスレーザーに加え、安価で小型の半導体レーザーが開発され使用されてきている。これらのレーザーを用いた彫刻により発生したレリーフ形成層の彫刻カスは、リンス工程又は水洗工程などで除去されるが、彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版として文献1〜3が開示されている。
特許文献1では、熱可塑性エラストマー性バインダーを含有する架橋可能な樹脂層の上に親水性樹脂層を積層したフレキソ印刷版原版は、彫刻カスの洗浄性に優れ、エッジ部の熱融解の度合いが小さいことが開示されている。一方、熱可塑性エラストマー性バインダーは熱溶融によりシャープな形状に彫刻できないことが知られており、10μm程度の微細網点を彫刻した際には、レーザー照射される網点ドット間の距離間隔が非常に狭いため、網点レリーフのエッジ部が僅かでも熱融解すると、網点頂点部のレリーフ層の高さが本来再現するべきレリーフ層ベタ部の高さよりも低減する(以後、網点頂点部の低層化と呼ぶ。)してしまい、印刷濃度に影響を及ぼしハイライトの再現性が不足する問題が懸念される。
本発明の目的は、10μm程度の微細網点彫刻時の網点頂点部の低層化が生じにくく、リンス性に優れ、ゴミが付着しにくいレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版及びフレキソ印刷版を提供することである。
<1>(成分A)重合性化合物、(成分B)熱重合開始剤、及び(成分C)非エラストマー性バインダーを含有する熱硬化性層を形成する熱硬化性層形成工程、前記熱硬化性層の上に、膜厚が10〜40μm、かつ、25℃、1気圧下における酸素透過率が30ml/m2・day・atm以下の親水性樹脂層を形成する親水性樹脂層形成工程、並びに、前記熱硬化性層を熱硬化により架橋する架橋工程、をこの順で含むことを特徴とするレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<2>前記親水性樹脂層がアルカリ可溶性樹脂を含有する、上記<1>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<3>前記親水性樹脂層がポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1つを含有する、上記<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<4>前記親水性樹脂層がポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体、及び、ポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体を含有する、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<5>前記熱硬化性層が(成分D)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を更に含有する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<6>前記親水性樹脂層の膜厚が20〜40μmである、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、
<7>前記親水性樹脂層が含有するポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体の含有量とポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体の含有量との重量比((PVA又はその誘導体の含有量)/(PVP又はその誘導体の含有量))が4〜10である、上記<4>〜<6>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法、<8>上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の製造方法によって作製されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー露光により彫刻する工程、及び、彫刻により発生した彫刻カスと前記親水性樹脂層とをリンス液で除去する工程、をこの順で含むことを特徴とするフレキソ印刷版の製版方法、
<9>上記<8>に記載のフレキソ印刷版の製版方法により製造されたことを特徴とするフレキソ印刷版、
<10>(成分A)重合性化合物、(成分B)熱重合開始剤、及び(成分C)非エラストマー性バインダーを含有する熱硬化性層を熱架橋して形成された架橋構造を有するレリーフ形成層と、膜厚が10〜40μm、かつ、25℃、1気圧下における酸素透過率が30ml/m2・day・atm以下の親水性樹脂層とを備えることを特徴とするレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<11>前記親水性樹脂層がアルカリ可溶性である、上記<10>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<12>前記親水性樹脂層がアルカリ可溶性樹脂を含有する、上記<10>又は<11>に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<13>前記親水性樹脂層がポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1つを含有する、上記<10>〜<12>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<14>前記親水性樹脂層がポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体、及び、ポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体を含有する、上記<10>〜<13>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<15>前記熱硬化性層が(成分D)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を更に含有する、上記<10>〜<14>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<16>前記親水性樹脂層の膜厚が20〜40μmである、上記<10>〜<15>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版、
<17>前記親水性樹脂層が含有するポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体の含有量とポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体の含有量との重量比((PVA又はその誘導体の含有量)/(PVP又はその誘導体の含有量))が4〜10である、上記<14>〜<16>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
また、「(成分A)重合性化合物」等を単に「成分A」等ともいう。
成分Cのバインダーは高分子量の結着樹脂であり、成分A〜Cを含有する熱硬化性層を、熱硬化性樹脂層とも呼ぶ。
ラジカル重合開始剤から発生するラジカルは空気中に存在する酸素と接触することにより失活し、重合性化合物はラジカル重合反応の阻害を受けることが知られている。これにより、酸素遮断層面(空気との接触面)側では重合性化合物の重合反応は完全には進行せず、未反応の重合性化合物が存在することがある。本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版では、熱硬化性樹脂層の上に酸素透過率の低い親水性樹脂層を有するため、酸素との接触を回避することができ、酸素遮断層面側においても重合性化合物を十分に反応させることができた。そのため、酸素遮断層面における粘稠性が小さく、ゴミ付きが低減した。更に親水性樹脂層を設けることにより、フレキソ印刷版の上に溜まった彫刻カスの洗浄において、洗浄除去が困難である粘稠性の高い彫刻カスを親水性樹脂層と共に容易に洗い流すことができ、大幅にリンス性が向上した。また、本発明において非エラストマー性バインダーをポリマーバインダーとして選択することで、熱可塑性エラストマー性バインダーを用いた場合と比べて、10μm程度の微細網点彫刻時の網点頂点部の低層化が改良されることが分かった。レーザー彫刻では、レーザー照射により発生する熱によりポリマーバインダーは熱分解することで彫刻される。その熱により到達するフレキソ印刷版の版温度における弾性率が、非エラストマー性バインダーの方が熱可塑性エラストマー性バインダーよりも高いため、レーザー照射の距離間隔が狭くても彫刻されたレリーフ層のエッジ部の熱溶融が起こりにくく、高精細な印刷が可能となったと推定される。
以上に述べたように、非エラストマー性バインダーを含む熱硬化性樹脂層と親水性樹脂層とを設けることにより、重合性化合物が十分に反応し化学的に強化され、エッジ部の熱溶融の低減を実現することでき、リンス性に優れ、10μm程度の微細網点彫刻時の網点頂点部低層化及びゴミの付着が起こりにくいレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版を提供することができた。
以下、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の熱硬化性層の構成成分について説明する。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版は、(成分A)重合性化合物、(成分B)熱重合開始剤、及び(成分C)非エラストマー性バインダーを含有する熱硬化性層(熱硬化性樹脂組成物層ともいう。)を熱架橋して形成された架橋構造を有するレリーフ形成層を有する。
熱硬化性層が含有する熱硬化性樹脂組成物の成分A〜Cについて以下に説明する。
本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物は、(成分A)重合性化合物を含有する。重合性化合物としては特に制限がなく、当業者間で周知の重合性化合物を用いることができる。好ましくは、少なくとも一個のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を用いることができる。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能又は、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH (I)
(ただし、R及びR'は、H又はCH3を示す。)
本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物は、(成分B)熱重合開始剤を含有する。熱重合開始剤としては特に制限はなく、当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。好ましくは、ラジカル重合開始剤が挙げられる。以下、好ましい熱重合開始剤であるラジカル重合開始剤について詳述する。
ラジカル重合開始剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーアミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ターシャリーオクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジターシャリーブチルジパーオキシイソフタレート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化エステル系が好ましい。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましいアゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
成分Bの含有量は、熱硬化性層の成分Aの全重量に対し0.01〜15重量%が好ましく、0.02〜10重量%より好ましい。重合開始剤の含有量を0.01重量%以上とすることで、これを添加した効果が得られ、架橋性レリーフ形成層の架橋が速やかに行われる。また、含有量を15重量%以下とすることで他成分が不足することがなく、フレキソ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物は、(成分C)非エラストマー性バインダーを含有する。
非エラストマー性バインダーとは、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上であるバインダーポリマーを称する。即ち、エラストマーとは、一般的に、ガラス転移温度が常温以下のポリマーであるとして学術的に定義されている(科学大辞典 第2版、編者 国際科学振興財団、発行 丸善株式会社、P154参照)。従って、非エラストマーとはガラス転移温度が常温を超える温度であるポリマーを指す。バインダーポリマーのガラス転移温度の上限には制限はないが、200℃以下であることが取り扱い性の観点から好ましく、25℃以上120℃以下であることがより好ましい。
分子内に反応性基を有するバインダーポリマーとしては、ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。以下に、ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーについて説明する。
非エラストマー性バインダーとして用いることができるポリビニルアセタールとしては、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる。)を環状アセタール化することにより得られる化合物である。また、ポリビニルアセタール誘導体は、前記ポリビニルアセタールを変性したり、他の共重合成分を加えたものである。
ポリビニルアセタール誘導体中のアセタール含量(原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数を100%とし、アセタール化されるビニルアルコール単位のモル%)は、30〜90%が好ましく、50〜85%がより好ましく、55〜78%が特に好ましい。
ポリビニルアセタール誘導体中のビニルアルコール単位としては、原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数に対して、10〜70モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、22〜45モル%が特に好ましい。
また、ポリビニルアセタールは、その他の成分として、酢酸ビニル単位を有していてもよく、その含量としては0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%が更に好ましい。ポリビニルアセタール誘導体は、更に、その他の共重合単位を有していてもよい。
ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルメチラールなどが挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール誘導体(PVB)が好ましい。
ポリビニルブチラールは、通常、ポリビニルアルコールをブチラール化して得られるポリマーである。また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
ポリビニルブチラール誘導体の例として、水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基等の酸基に変性した酸変性PVB、水酸基の一部を(メタ)アクリロイル基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入した変性PVB等が挙げられる。
ポリビニルアセタールの分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5,000〜800,000であることが好ましく、8,000〜500,000であることがより好ましい。更に、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000であることが特に好ましい。
ポリビニルブチラールの構造は、以下に示す通りであり、これらの構成単位を含んで構成される。
PVB誘導体を特定ポリマーとして用いてレリーフ形成層を製膜する際には、溶剤に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜表面の平滑性の観点で好ましい。
非エラストマー性バインダーとして用いることができるアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって、分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。
ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。この様な単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」のいずれか一方、又は、その両方を含む語である。
更に、ウレタン基やウレア基を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
これらの中でも、水性インキ耐性の観点で、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなど脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート類がより好ましい。
また、非エラストマー性バインダーとして、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合させた樹脂であるノボラック樹脂を好ましく用いることができる。
好ましいノボラック樹脂としては、例えばフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい。)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000であり、かつ、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
本発明における非エラストマー性バインダーに含まれるヒドロキシル基の含有量は、前記いずれの態様のポリマーにおいても、0.1〜15mmol/gであることが好ましく、0.5〜7mmol/gであることがより好ましい。
一般ポリマーは、前記非エラストマー性バインダーとともに、レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版に含有される熱硬化性樹脂組成物を構成するものであり、非エラストマー性バインダーに包含されない一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種又は2種以上を使用することができる。特に、レリーフ形成版原版を印刷版原版に用いる際は、レーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮してバインダーポリマーを選択することが必要である。
本発明で使用される熱硬化性層における成分Cの含有量は、塗膜の形態保持性と耐水性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、本発明で使用される熱硬化性層の固形分全重量に対し、2〜95重量%であることが好ましく、5〜80重量%であることがより好ましく、10〜60重量%であることが特に好ましい。
本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物は、成分A〜Cに加え更に、(成分D)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を好ましく含有することができる。本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物に好ましく用いられる(成分D)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物(以下、適宜、「成分D」と称する。)における「加水分解性シリル基」とは、加水分解性を有するシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基及び又はシラノール基は下記式(1)で表されるものが好ましい。
前記式(1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、特にアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、更に好ましくは炭素数1〜5、特に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
また、ハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子であり、より好ましくはCl原子である。
前記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜4個の範囲で結合することができ、式(1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であることが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジアルコキシモノアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシジアルキルシリル基を挙げることができる。
中でも、成分Dは、架橋性の観点から、硫黄原子を含有することが好ましく、また、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、アルカリ水で分解しやすいエステル結合、ウレタン結合、又は、エーテル結合(特にオキシアルキレン基に含まれるエーテル結合)を含有することが好ましい。硫黄原子を含有する成分Dは、加硫処理時に、加硫剤や加硫促進剤として機能し、共役ジエン単量体単位を含有する重合体の反応(架橋)を促進する。その結果、フレキソ印刷版として必要なゴム弾性を発現させる。また、架橋レリーフ形成層及びレリーフ層の強度を向上させる。
また、本発明における成分Dは、エチレン性不飽和結合を有していない化合物であることが好ましい。
成分Dの合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。一例として、上記特定構造を有する連結基を含む成分Dの代表的な合成方法を以下に示す。
連結基としてスルフィド基を有する成分D(以下、適宜、「スルフィド連結基含有成分D」と称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Dと硫化アルカリの反応、メルカプト基を有する成分Dとハロゲン化炭化水素の反応、メルカプト基を有する成分Dとハロゲン化炭化水素基を有する成分Dの反応、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Dとメルカプタン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Dとメルカプタン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Dとメルカプト基を有する成分Dの反応、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とメルカプト基を有する成分Dの反応、ケトン類とメルカプト基を有する成分Dの反応、ジアゾニウム塩とメルカプト基を有する成分Dの反応、メルカプト基を有する成分Dとオキシラン類との反応、メルカプト基を有する成分Dとオキシラン基を有する成分Dの反応、及び、メルカプタン類とオキシラン基を有する成分Dの反応、メルカプト基を有する成分Dとアジリジン類との反応等の合成方法が例示できる。
連結基としてイミノ基を有する成分D(以下、適宜、「イミノ連結基含有成分D」と称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、アミノ基を有する成分Dとハロゲン化炭化水素の反応、アミノ基を有する成分Dとハロゲン化炭化水素基を有する成分Dの反応、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Dとアミン類の反応、アミノ基を有する成分Dとオキシラン類との反応、アミノ基を有する成分Dとオキシラン基を有する成分Dの反応、アミン類とオキシラン基を有する成分Dの反応、アミノ基を有する成分Dとアジリジン類との反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Dとアミン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Dとアミノ基を有する成分Dの反応、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とアミノ基を有する成分Dの反応、アセチレン性不飽和三重結合を有する化合物とアミノ基を有する成分Dの反応、イミン性不飽和二重結合を有する成分Dと有機アルカリ金属化合物の反応、イミン性不飽和二重結合を有する成分Dと有機アルカリ土類金属化合物の反応、及び、カルボニル化合物とアミノ基を有する成分Dの反応等の合成方法が例示できる。
連結基としてウレア基を有する成分D(以下、適宜、「ウレア連結基含有成分D」と称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、アミノ基を有する成分Dとイソシアン酸エステル類の反応、アミノ基を有する成分Dとイソシアン酸エステルを有する成分Dの反応、及び、アミン類とイソシアン酸エステルを有する成分Dの反応等の合成方法が例示できる。
前記RBは、リンス性及び膜強度の観点から、エステル結合又はウレタン結合であることが好ましく、エステル結合であることがより好ましい。
前記L1〜L3における二価又はn価の連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることがより好ましい。前記L1〜L3の炭素数は、2〜60であることが好ましく、2〜30であることがより好ましい。
前記Ls1におけるm価の連結基は、硫黄原子と、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子とから構成された基であることが好ましく、アルキレン基、又は、アルキレン基、スルフィド基及びイミノ基を2以上組み合わせた基であることがより好ましい。前記Ls1の炭素数は、2〜60であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。
前記n及びmはそれぞれ独立に、1〜10の整数であることが好ましく、2〜10の整数であることがより好ましく、2〜6の整数であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。
L1のn価の連結基及び/又はL2の二価の連結基、又は、L3の二価の連結基は、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、エーテル結合を有することが好ましく、オキシアルキレン基に含まれるエーテル結合を有することがより好ましい。
式(A−1)又は式(A−2)で表される化合物の中でも、架橋性等の観点から、式(A−1)において、L1のn価の連結基及び/又はL2の二価の連結基が硫黄原子を有する基であることが好ましい。
部分(共)加水分解縮合物前駆体としてのシラン化合物の中でも、汎用性、コスト面、膜の相溶性の観点から、ケイ素上の置換基としてメチル基及びフェニル基から選択される置換基を有するシラン化合物であることが好ましく、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい前駆体として例示される。
この場合、部分(共)加水分解縮合物としては、上記したようなシラン化合物の2量体(シラン化合物2モルに水1モルを作用させてアルコール2モルを脱離させ、ジシロキサン単位としたもの)〜100量体、好ましくは2〜50量体、更に好ましくは2〜30量体としたものが好適に使用できるし、2種以上のシラン化合物を原料とする部分共加水分解縮合物を使用することも可能である。
本発明に使用される熱硬化性層に含まれる成分Dの含有量は、固形分換算で、0.1〜80重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜40重量%の範囲であり、最も好ましくは5〜30重量%の範囲である。
本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物は、成分A〜Cに加え更に、(成分E)光熱変換剤を好ましく使用することができる。成分Eは、700nm以上1,300nm以下に極大吸収波長を有し、前記波長域のレーザー光を吸収し、発熱して本発明のフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層の熱分解を促進し、レーザー彫刻における感度を向上させると考えられる。成分Eは、700nm以上1,300nm以下の赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、赤外線吸収剤として好ましく用いられる。
成分Eの具体的化合物として、波長700nm以上1,300nm以下に吸収極大を有していれば特に制限されないが、染料又は顔料が好ましく挙げられる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましい。
ここでいうカーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなども包含される。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして、レリーフ形成層組成物の調整に使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。
本発明においては、比較的低い比表面積及び比較的低いDBP吸収を有するカーボンブラックや比表面積の大きい微細化されたカーボンブラックまでを使用することも可能である。
好適なカーボンブラックの市販品の例としては、Printex U(登録商標)、Printex A(登録商標)又はSpezialschwarz 4(登録商標)(いずれもDegussa社製)、シースト600 ISAF−LS(東海カーボン(株)製)、旭#70(N−300)、旭#80(N−220)(旭カーボン(株)製)等が挙げられる。
このようなカーボンブラックの選択については、例えば、「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
カーボンブラックの吸油量が150ml/100g未満のものを用いるとレリーフ形成層中で良好な分散性が得られるため好ましい。一方、カーボンブラックの吸油量が150ml/100g以上のものを用いた場合には、レリーフ形成層用塗布液への分散性が悪くなる傾向があり、カーボンブラックの凝集が生じやすくなるため、感度の不均一などが生じ、好ましくない。また、凝集防止のため、塗布液作製時に、カーボンブラックの分散を強化する必要がある。
成分Eの体積平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定できる。
本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物は、成分A〜Cに加え更に、(成分F)アルコール交換反応触媒を好ましく使用することができる。本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物に成分Dを使用する場合、成分Dの反応性基(加水分解性シリル基及び/又はシラノール基)と架橋反応を行う例えば水酸基を有する特定バインダーポリマーとの反応を促進するため、(成分F)アルコール交換反応触媒を含有することが好ましい。
アルコール交換反応触媒は、一般に用いられる反応触媒であれば、限定なく適用できる。
以下、代表的なアルコール交換反応触媒である酸或いは塩基性触媒、及び、金属錯体触媒について順次説明する。
触媒としては、酸或いは塩基性化合物をそのまま用いるか、或いは水又は有機溶剤などの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒と称する。)を用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。
酸性触媒或いは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。層中でのアルコール交換反応を速やかに進行させる観点で、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホネート、リン酸、ホスホン酸、酢酸、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ヘキサメチレンテトラミンが好ましく、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ヘキサメチレンテトラミンが特に好ましい。
本発明においてアルコール交換反応触媒として用いられる金属錯体触媒は、好ましくは、周期律表の2、4、5及び13族よりなる群から選ばれる金属元素とβ−ジケトン(アセチルアセトンなどが好ましい。)、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、及び、エノール性活性水素化合物よりなる群から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素化合物から構成されるものである。
更に、構成金属元素の中では、Mg,Ca,St,Baなどの2族元素、Ti,Zrなどの4族元素、並びに、V,Nb及びTaなどの5族元素、Al,Gaなどの13族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でも、Zr、Al又はTiから得られる錯体が優れており、好ましく、特にオルトチタン酸エチルなどが好ましく例示できる。
これらは水系塗布液での安定性、及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が特に好ましい。
本発明においては、熱硬化性樹脂組成物層の上に親水性樹脂層を設ける。以下、親水性樹脂層について説明する。
親水性樹脂層とは、親水性樹脂を樹脂層全重量の50〜100重量%含有する層を指す。親水性樹脂とは、70℃100mlの蒸留水に10g以上溶解する樹脂(水溶性高分子とも呼ぶ。)を指す。中でも、アルカリ性水溶液に溶解しやすいアルカリ可溶性樹脂が好ましく用いられる。
親水性樹脂層は、水溶性高分子である親水性樹脂を主成分として含有するため、水に可溶であり、更にアルカリ可溶性樹脂を含有することによりアルカリ可溶性となる。このため、親水性樹脂層は水又は水を主成分とする水溶液に容易に溶解し、フレキソ印刷版の製版におけるリンス工程の洗浄で容易に除去することが可能である。
また、本発明に用いられる親水性樹脂層は、25℃、1気圧下における酸素透過率が30ml/m2・day・atm以下であることを特徴とする。酸素透過率が上記範囲にあれば、酸素遮断層面(熱硬化性樹脂層(レリーフ形成層)と親水性樹脂層との接する面)での熱硬化性樹脂層中の重合性化合物の重合反応が十分に進行し、架橋したレリーフ形成層の化学的強化が十分になされる。
親水性樹脂層に使用できる親水性樹脂としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、リンス洗浄での除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与えるので特に好ましい。
前記ポリビニルアルコールの親水性樹脂層中における含有量は、固形分換算で0重量%以上100重量%以下の範囲であり、50〜100重量%の範囲が好ましく、75〜100重量%の範囲がより好ましい。
通常、親水性樹脂層は、リンス時に水で除去されるため、層自体は水溶性であることが好ましく、そのため、ポリビニルアルコールと併用される樹脂も水溶性高分子を含むことが好ましい。親水性樹脂層に含まれるポリビニルアルコール以外の樹脂成分のうち、50%以上が水溶性高分子であることが更に好ましい態様である。
ポリビニルピロリドンを構造単位として含む水溶性高分子を用いる場合、ビニルピロリドン単位構造の親水性樹脂層中に占める割合には特に制限はないが、好ましくは5〜100重量%であり、更に好ましくは10〜50重量%の範囲である。
PVPの含有量に対するPVAの含有量の重量比率(PVA/PVP)は、0.5以上10以下が好ましく、4以上10以下が特に好ましい。
本発明に使用される熱硬化性層、親水性樹脂層には、その用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
本発明においては以上の基本成分の他に組成物の製造中或いは保存中において重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加してもよい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、熱重合性樹脂組成物の全重量に対して0.01重量%以上10重量%%以下が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、熱重合性樹脂組成物の全重量に対して0.5重量%以上15重量%以下が好ましい。
充填剤としては有機化合物、無機化合物、或いはこれらの混合物のいずれでもよい。例えば、有機化合物としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、黒鉛などが挙げられる。無機化合物としては、シリカ、アルミナ、アルミニウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
可塑剤は、本発明に使用される熱硬化性層、親水性樹脂層を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。可塑剤としては例えばジエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、前記樹脂層の樹脂組成物の固形分の全重量に対して60重量%以下の添加量が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
更に、本発明に使用される熱硬化性層、親水性樹脂層の着色を目的として染料又は顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。着色剤の添加量は前記樹脂層の樹脂組成物の全重量に対して0.5〜10重量%が好ましい。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の第1の実施態様は、成分A〜成分Cを含有する熱硬化性樹脂組成物からなるレリーフ形成層(熱硬化性層)と、親水性樹脂層とを有する。
また、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の第2の実施態様は、成分A〜成分Cを含有する熱硬化性樹脂組成物からなるレリーフ形成層を架橋した架橋レリーフ形成層と、親水性樹脂層とを有する。
本発明において「レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版」とは、熱硬化性樹脂組成物からなる架橋性を有するレリーフ形成層が、架橋される前の状態、及び、熱により硬化された状態の両方又はいずれか一方のものをいう。
本発明において「レリーフ形成層」とは、熱硬化により架橋される前の状態の熱硬化性層をいい、必要に応じ、乾燥が行われていてもよい。
本発明において「架橋レリーフ形成層」とは、前記レリーフ形成層を熱硬化により架橋した層をいう。また、前記架橋は樹脂組成物が硬化される反応であれば特に限定されず、成分Cと成分Dとの反応などによる架橋構造が例示できる。
架橋されたレリーフ形成層を有する印刷版原版をレーザー彫刻することにより「フレキソ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、フレキソ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の前記架橋レリーフ形成層をいう。
また、本発明において「(架橋)レリーフ形成層」とは、前記架橋前のレリーフ形成層及び架橋後のレリーフ形成層の両方又はいずれか一方を指す。
本発明において「親水性樹脂層」とは、レリーフ形成層(熱硬化性層)の上に塗設された、親水性樹脂を主成分として含みリンス工程(洗浄工程)で除去される樹脂層を指す。
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版は、必要により更に、支持体と(架橋)レリーフ形成層との間に接着層を、また、(架橋)レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
本発明に使用される熱硬化性層は、前記本発明に使用される熱硬化性樹脂組成物からなる層であり、熱硬化により架橋するレリーフ形成層である。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版は、熱硬化性層の上に親水性樹脂を主成分とする親水性樹脂層を有する。親水性樹脂を含む親水性樹脂層を熱硬化性層に積層させることにより、熱硬化により架橋した熱硬化性層(架橋レリーフ形成層)をレーザー彫刻した後に、水又は水を主成分とする液体でリンス(洗浄)することにより除去することができる。
−親水性樹脂−
親水性樹脂層に含有させることができる親水性樹脂としては、特に限定されないが、ビニル系ポリマー、及びアミド系ポリマーを好ましく挙げることができる。この中でもビニル系ポリマーをより好ましく用いることができる。
本発明において、ビニル系ポリマーとはビニル系化合物から得られる重合体を指し、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びポリビニルブチラール等を挙げることができる。これらの中でも、親水性の度合いが高いという観点から、ポリビニルアルコールがより好ましい。
本発明において、支持体は、可撓性を有し、かつ、寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートを好ましく挙げることができる。支持体の厚みは50〜350μm、好ましくは100〜250μmが原版の機械的特性、形状安定性或いは印刷版製版時の取り扱い性等から好ましい。また、必要により、支持体とレリーフ形成樹脂層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤を表面に設けてもよい。
また、本発明で用いる支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、レリーフ形成樹脂組成物層或いは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線或いは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
レリーフ形成層を支持体上に形成する場合、両者の間には、層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用し得る材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
フレキソ印刷版原版表面への傷や凹み防止の目的で、フレキソ印刷版原版の最外表面に保護フィルムを必要に応じ設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。
<熱硬化性層形成工程、親水性樹脂層形成工程>
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版における熱硬化性層及び親水性樹脂層の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び親水性樹脂組成物(両方を総称し、レーザー彫刻用樹脂組成物と呼ぶ。)の塗布液を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用樹脂組成物の塗布液から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。或いは、レーザー彫刻用樹脂組成物の塗布液を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して樹脂組成物から溶剤を除去する方法でもよい。
各層の塗設は、1層ずつ行っても又は複数層同時に行ってもよいが、本発明においては、熱硬化性層を塗設した上に親水性樹脂層が塗設されるのが好ましい。レーザー彫刻用樹脂組成物塗布液に含有する溶剤は、1層塗設毎に除去してもよいし複数層塗設した後にまとめて除去してもよい。
中でも、本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、成分A〜成分Cを含有する熱硬化性層を形成する熱硬化性層形成工程、前記熱硬化性層の上に、親水性樹脂層を形成する親水性樹脂層形成工程、並びに、前記熱硬化性層を熱硬化により架橋する架橋工程、をこの順で含む製造方法であることが好ましい。
材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、レリーフ形成樹脂組成物を孔に含浸させた後に硬化させることで、レリーフ形成樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。
クロス或いは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
本発明のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法は、本発明に用いられる熱硬化性層(レリーフ形成層)を熱硬化により架橋した架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程を含む製造方法である。
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版を加熱することで、熱硬化性層(レリーフ形成層)を架橋することができる(熱架橋工程)。熱により架橋を行うための加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
熱硬化性層(レリーフ形成層)を熱架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘稠性が抑制されるという利点がある。
本発明では、支持体と熱硬化性層との間、或いはその他の層の間にクッション性を有する樹脂或いはゴムからなるクッション層を形成することができる。支持体と熱硬化性層との間にクッション層を形成する場合、片面に接着剤層の付いたクッション層を、接着剤層側を支持体に向けて貼り付ける方法が簡便である。クッション層を貼り付けた後、表面を切削、研磨して整形することもできる。より簡便な方法は、液状のレリーフ形成樹脂組成物を支持体上に一定厚みで塗布し硬化させクッション層を形成する方法である。クッション性を有するために、硬化した硬化物の硬度が低いことが好ましい。また、該クッション性を有するレリーフ形成樹脂硬化物層中に気泡を含むものであっても構わない。更に、クッション層の表面を切削、研磨等で整形することも可能であり、このようにして作製されたクッション層はシームレスクッション層として有用である。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、本発明に使用する熱硬化性層を形成する熱硬化性層形成工程、親水性樹脂層を形成する親水性樹脂層形成工程、及び前記熱硬化性層を熱硬化により架橋する架橋工程により形成された架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、並びに、彫刻により発生した彫刻カスと前記親水性樹脂層とをリンス液で除去する工程、をこの順に含む。
本発明に使用されるフレキソ印刷版は、前記熱硬化性層を熱硬化で架橋した架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版であり、本発明のフレキソ印刷版の製版方法により製版されたフレキソ印刷版であることが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法における層形成工程及び架橋工程は、前記レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法における層形成工程及び架橋工程と同義であり、好ましい範囲も同様である。
レーザー彫刻工程においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、原版上にレリーフ画像を作成する。
レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線或いは近赤外線領域に発振波長を有するレーザーが好ましいものの一つである。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3或いは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー等は、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。フェムト秒レーザーなど極めて高い尖頭出力を有するレーザーを用いることもできる。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
また、本発明の凹凸パターンを形成した印刷版のレリーフ表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。改質層としては、シランカップリング剤或いはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、或いは多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基、ジクロロシリル基、モノメトキシシリル基、モノエトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更にシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、或いは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。表面に固定化したカップリング剤分子が特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、或いは電子線を照射し架橋させることにより、より強固な被膜とすることもできる。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法では、前記レーザー彫刻工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているのを除去する目的と、親水性樹脂層を溶解除去する目的で、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面を洗浄するリンス工程を含むのが好ましい。
リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
また、本発明において、親水性樹脂層は好ましくはアルカリ可溶性樹脂であり、アルカリ性の水溶液をリンス液としてリンスするのがより好ましい。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。 また、リンス液は、水以外の溶剤として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全重量に対し、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.05〜10重量%であることがより好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法では、リンス工程に次いで、更に、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。乾燥工程は、レーザー彫刻され、リンス工程で洗浄されたレリーフ層を乾燥する工程である。後架橋工程は、レーザー彫刻後のレリーフ層に更にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程である。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
なお、実施例中の添加量の部は重量部、%は重量%を表している。
本実施例及び比較例において使用した成分A〜成分Dの化合物を下記に示す。
A−2:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP)(新中村化学工業(株)製)
A−3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(新中村化学工業(株)製)
B−1:t−ブチルパーオキシベンゾエート(パ−ブチルZ;日油(株)製)
C−1:デンカブチラール(製品番号#3000−2、Tg:68℃、電気化学工業(株)製)
C−2:アクリル樹脂:シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(モル%比、70/30、Mw=5万、Tg:56℃、合成例を以下に示す)
C−3:ノボラック樹脂 A−1077P(Tg:95℃、住友ベークライト社製)
C−4:スチレン-ブタジエンコポリマー TR2000(Tg:−80℃、JSR(株)製)
D−1:3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)
D−2:ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(KBE−846、信越化学工業(株)製)
D−3:トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(X−12−965、信越化学工業(株)製)
メチルプロピレングリコール240重量部中に、シクロヘキシルメタクリレート120重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル56重量部、開始剤としてV−601を3重量部を加え、窒素雰囲気下で80℃、4.5時間撹拌することでアクリル樹脂(C−2)を合成した。
<PVA>
PVA105 けん化度:98.5%((株)クラレ製)
PVAL−9 けん化度:71%((株)クラレ製)
<PVP>
VPI:uvitec VPI55 K18P (BASF社製)
表1記載の(成分C)非エラストマー性バインダーを撹拌ヘラ及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に40重量部加え、可塑剤としてジエチレングリコールを20重量部、溶媒としてテトラヒドロフラン150重量部を入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しバインダーを溶解した。このバインダー分散液に(成分B)熱重合開始剤としてパーブチルZ(B−1;t−ブチルパーオキシベンゾエート、日油(株)製)を0.005重量部、連鎖移動剤としてKBM802(信越化学工業(株)製)を3重量部、(成分E)光熱変換剤としてカーボンブラックを5重量部、(成分F)アルコール交換反応触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(和光純薬工業(株)製)を0.5重量部、更に下記表1に記載の(成分A)重合性化合物及び(成分D)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物をそれぞれ15重量部、6重量部加え、撹拌することで実施例18の熱硬化性層形成用塗布液を得た。以下同様にして、表1に記載の成分及び添加量を含有する実施例1〜17、19〜34の熱硬化性層形成用塗布液を得た。
撹拌ヘラをつけた3つ口フラスコ中の純水87重量部の中に表1記載の重量比でポリビニルピロリドン(PVP)とポリビニルアルコール(PVA)を計12重量部、EMALEX710(日本エマルジョン(株)製)を1重量部加え、撹拌を2時間行うことで粘稠性の低い実施例1の親水性樹脂層形成用塗布液を得た。以下同様にして、表1に記載の通りにPVA/PVPの添加量比を変更し実施例2〜34の親水性樹脂層形成用塗布液を得た。
前述で調液した実施例1の熱硬化性層形成用塗布液をPET基板上に流出しない程度に静かに流延した。その上に前述した実施例1の親水性樹脂層形成用塗布液を塗布し、100℃のオーブン中で5時間加熱し、溶媒の除去及び熱硬化により熱架橋して架橋レリーフ形成層を形成することにより実施例1のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版を作製した。以下同様にして、実施例2〜34の熱硬化性層形成用塗布液を塗設後その上に親水性樹脂層形成用塗布液を塗布し、実施例2〜34のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版を作製した。以後、熱硬化性層の親水性樹脂層側を親水性樹脂層断面、PET基板側の面をPET面と記載する。
表2に記載した成分、添加量に従い、前述の実施例と同様の方法で比較例1〜27の熱硬化性層形成用塗布液及び親水性樹脂層形成用塗布液の調製を行い、熱硬化性層を塗設後その上に親水性樹脂層を塗設した後、実施例と同様の方法で比較例1〜27のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版を作製した。
酸素透過性の高いポリエチレンフィルム(富士フイルム(株)製「エバービュティーペーパー」の表面ゼラチン層を溶解除去することで作製したポリエチレンラミネート紙)に、作製した親水性樹脂層形成用塗布液を親水性樹脂層の厚みが表1に記載の厚みとなるように塗布乾燥し、サンプルを作製した。JIS−K7126B及びASTM−D3985に記載の気体透過度試験方法に則り、モコン社製OX−TRAN2/21を用い、25℃、60%RHの大気圧環境下で酸素透過率(ml/m2・day・atm)を測定した。
フレキソ印刷原版を炭酸ガスレーザー彫刻機により、網点頂点部の幅が10μmである20%網点の網点彫刻を行った後、ベタ彫刻部分の断面を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察し、網点頂点部の高さと未彫刻部分の高さの差を測定した。
炭酸ガスレーザー彫刻機は“HELIOS 6010”(Stork Prints社製)を用いた。彫刻条件は、レーザー出力:500W、ドラム回転数:800cm/秒、レリーフ深度:0.10mm、に設定し、4cm四方のベタ部分を彫刻した。
本来再現されるべき網点頂点部の高さは未彫刻部分の高さと同じであるのに対し、レリーフのエッジ部の溶融により微細網点構造では網点頂点部の高さが減少する現象(網点頂点部の低層化)が起こる。その現象の幅を低層化距離(μm)として、表1及び表2に記載した。
30μm以下が許容できるレベルである。
彫刻には炭酸ガスレーザー彫刻機“HELIOS 6010”(Stork Prints社製)を用い、酸素遮断層面を彫刻した。彫刻条件は、レーザー出力:500W、ドラム回転数:800cm/秒、レリーフ深度:0.30mm、に設定し、4cm四方のベタ部分を彫刻した。
レーザー彫刻直後のサンプルを、彫刻面表面を物理的にこするなどの操作は行わずに一定流速の水道水で1分間洗い表面に付着した水滴をキムワイプでふき取って得られた彫刻面表面をSEM(走査型電子顕微鏡;日本電子(株)製JSM−7401)で観察することにより彫刻部分に残存した彫刻カスの有無を調べた。
◎:彫刻カスが粉末状であり、明瞭な凹凸パターンを与えた。
○:彫刻カスが粘性の高いペースト状であり、明瞭な凹凸パターンを与えた。
△:彫刻カスが粘性の高いペースト状であり、凹凸パターンであることは判別できる。
△×:彫刻カスが粘性の低いペースト状であり、凹凸パターンであることは判別できる。×:彫刻カスが液体状であり、明瞭な凹凸パターンになっていない。
◎、○、△が許容できるレベルである。
レーザー彫刻前のレリーフ面のゴミの付着し易さ(タック性)を下記の方法により測定し、タック性の測定結果とした。2cm四方のフレキソ印刷版原版の重量を計量した後、バットに敷いた100%セルローズ紙粉・細(ZELATEX ジャパン社製)に前記フレキソ版原版の酸素遮断層面側のみを押し付け、未着紙粉を振り払った後、フレキソ印刷版原版の重量を計量し、付着した紙粉の重量を計量した。付着した紙粉の重量を表1、表2に記す。15g/m2以下が許容できるレベルである。
本発明により、10μm程度の微細網点彫刻時の網点頂点部の低層化が生じにくく、リンス性に優れ、ゴミが付着しにくいレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版及びフレキソ印刷版を得ることができた。
Claims (17)
- (成分A)重合性化合物、(成分B)熱重合開始剤、及び(成分C)非エラストマー性バインダーを含有する熱硬化性層を形成する熱硬化性層形成工程、
前記熱硬化性層の上に、膜厚が10〜40μm、かつ、25℃、1気圧下における酸素透過率が30ml/m2・day・atm以下の親水性樹脂層を形成する親水性樹脂層形成工程、並びに、
前記熱硬化性層を熱硬化により架橋する架橋工程、をこの順で含むことを特徴とする
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。 - 前記親水性樹脂層がアルカリ可溶性樹脂を含有する、請求項1に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記親水性樹脂層がポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記親水性樹脂層がポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体、及び、ポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記熱硬化性層が(成分D)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を更に含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記親水性樹脂層の膜厚が20〜40μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 前記親水性樹脂層が含有するポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体の含有量とポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体の含有量との重量比((PVA又はその誘導体の含有量)/(PVP又はその誘導体の含有量))が4〜10である、請求項4〜6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法によって作製されたレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版をレーザー露光により彫刻する工程、及び、
彫刻により発生した彫刻カスと前記親水性樹脂層とをリンス液で除去する工程、をこの順で含むことを特徴とする
フレキソ印刷版の製版方法。 - 請求項8に記載のフレキソ印刷版の製版方法により製造されたことを特徴とするフレキソ印刷版。
- (成分A)重合性化合物、(成分B)熱重合開始剤、及び(成分C)非エラストマー性バインダーを含有する熱硬化性層を熱架橋して形成された架橋構造を有するレリーフ形成層と、膜厚が10〜40μm、かつ、25℃、1気圧下における酸素透過率が30ml/m2・day・atm以下の親水性樹脂層とを備えることを特徴とする
レーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。 - 前記親水性樹脂層がアルカリ可溶性である、請求項10に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
- 前記親水性樹脂層がアルカリ可溶性樹脂を含有する、請求項10又は11に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
- 前記親水性樹脂層がポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びそれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項10〜12のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
- 前記親水性樹脂層がポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体、及び、ポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体を含有する、請求項10〜13のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
- 前記熱硬化性層が(成分D)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を更に含有する、請求項10〜14のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
- 前記親水性樹脂層の膜厚が20〜40μmである、請求項10〜15のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
- 前記親水性樹脂層が含有するポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体の含有量とポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体の含有量との重量比((PVA又はその誘導体の含有量)/(PVP又はその誘導体の含有量))が4〜10である、請求項14〜16のいずれか1項に記載のレーザー彫刻型フレキソ印刷版原版。
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