JP6484457B2 - 筆記具用水性インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない筆記具用水性インク組成物に関する。
従来より、水性インク組成物を含む筆記具は、溶剤として水や水溶性溶媒を主成分としているため、ペン先部分が開放されたまま長時間が経過すると、インク中の液体成分が蒸発してインクの粘度が高くなり、ペン先が乾燥し、筆記不良が発生するという課題を有している。
これらの課題については、グリコール類を添加することで解決する方法が広く一般的に知られているが、描線の乾燥が遅くなってしまうという欠点がある。
これらの課題の解消等については、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールと低級アルコールを添加する水性インキ組成物(例えば、特許文献1参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1の技術では、インクの低温安定性対策が不十分な上、描線の滲みや紙面への裏抜けがあり、描線の乾燥についても充分な効果が得られていないのが現状であった。
一方、ペン先などのインキ吐出部の耐乾燥性に優れたインキとして、着色剤と、トリメチルグリシン(グリシンベタイン)と、水とを少なくとも含む水性インキ(例えば、特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献2の技術では、温度や湿度が高い条件において未だ耐乾燥性が不十分なものであり、描線の乾燥についても充分な効果が得られていない点に課題がある。
特に、近年では、教科書に代表される学習用書籍に上質紙が用いられることが増えてきている。一般に、上質紙は水分を吸収しにくい性質を有しているので、紙面への筆記後に描線の乾燥が不十分となり汚染を引き起こすことがあった。上記特許1及び2の技術等でも、上質紙に筆記した場合に、未だ描線の乾燥性が不十分なものとなったり、ペン先の耐乾燥性、インクの低温安定性が不十分なものとなったりするなどの課題がある。
特開2000−319570号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平11−43637号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、これを解消しようとするものであり、ペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない筆記具用水性インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、着色剤と、トリメチルグリシンと、水とを含有した上で、特定成分と、水溶性有機溶剤の含有量の範囲を特定値以下とすることにより、上記目的の筆記具用水性インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) 着色剤と、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールと、10質量%以下の水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含有することを特徴とする筆記具用水性インク組成物。
(2) トリメチルグリシンをインク組成物全量に対して、0.5〜50質量%含有することを特徴とする上記(1)記載の筆記具用水性インク組成物。
(3) ペンタエリスリトールをインク組成物全量に対して、0.5〜8質量%含有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の筆記具用水性インク組成物。
(4) 上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする筆記具。
本発明によれば、ペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない筆記具用水性インク組成物が提供される。特に、教科書に代表される学習用書籍等に用いられる上質紙に筆記した場合にも、満足のいく描線の乾燥性、ペン先の耐乾燥性、インクの低温安定性を有し、描線に滲みや裏抜けのない筆記具用水性インク組成物が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、着色剤と、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールと、10質量%以下の水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含有することを特徴とするものである。
本発明に用いる着色剤としては、水に溶解もしくは分散する染料、酸化チタン等の従来公知の無機系および有機顔料系、顔料を含有した樹脂粒子顔料、樹脂エマルションを染料で着色した疑似顔料、蛍光顔料、白色系プラスチック顔料、シリカや雲母を基材とし表層に酸化鉄や酸化チタンなどを多層コーティングした顔料等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
染料としては、例えば、エオシン、フオキシン、ウォーターイエロー#6−C、アシッドレッド、ウォーターブルー#105、ブリリアントブルーFCF、ニグロシンNB等の酸性染料;ダイレクトブラック154、ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットB00B等の直接染料;ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料、蛍光染料などが挙げられる。
無機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。より具体的には、カーボンブラック、チタンブラック、亜鉛華、べんがら、アルミニウム、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、カドミウムエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデードオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺白、紺青、マンガンバイオレット、アルミニウム粉、真鍮粉等の無機顔料、C.I.ピグメントブルー17、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー17、C.I.ピグメントブルー27、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー34、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット50、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
蛍光顔料としては、従来公知のものが適宜使用でき、例えば、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、硫化カドミウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等の無機蛍光顔料や高分子化合物を染色した有機蛍光顔料が挙げられる。
有機蛍光顔料としては、具体的には、NKWシリーズ(日本蛍光化学社製)、シンロイヒカラーベースSWシリーズ、SFシリーズ(シンロイヒ社製)、ビクトリアイエローG−20などのビクトリアシリーズ(御国色素社製)等が挙げられる。
これらの着色剤は、一種もしくは二種以上を混合して使用することができる。
これらの着色剤の含有量は、インク組成物全量に対して、0.1〜60質量%(以下、「質量%」を単に「%」という)で適宜調整することが可能である。
本発明に用いるトリメチルグリシン〔別名:グリシンベタイン、(CH(CH)CHCOO〕は、保湿剤等として作用せしめるために用いるものであり、筆記具用水性インク組成中に配合してもインキ性能の低下等を招くことがなく、ペン先の耐乾燥性、描線の乾燥性、インクの低温安定性を発揮せしめるものである。
このトリメチルグリシンの含有量は、インク組成物全量に対して、0.5〜50%、好ましくは、1〜15%、より好ましくは、2〜10%とすることが望ましい。
この含有量が0.5%未満であると、ペン先の乾燥抑制効果が充分でなく、一方、50%超過であると、効果はそれほど変わらず、むしろ粘度増加による筆記性能、保存安定性の低下をもたらすこととなる。
本発明に用いるペンタエリスリトール〔C(CHOH)〕は、保湿剤等として作用せしめるために用いるものであり、上記トリメチルグリシンとの併用により、各単独使用よりも、相乗的に作用して、ペン先の乾燥を抑えながらも、従来にない描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない優れた性能を発揮せしめるものとなる。
このペンタエリスリトールの含有量は、インク組成物全量に対して、0.5〜8%、好ましくは、2〜5%とすることが望ましい。
この含有量の含有量が0.5%未満であると、ペン先の乾燥抑制効果が充分でなく、また、トリメチルグリシンとの相乗作用を発揮することができず、一方、8%超過であると、トリメチルグリシンとの相乗作用の効果はそれほど変わらず、低温下における析出や、
保存安定性の低下をもたらすこととなる。
本発明に用いる水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール 、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類、ホルムアミドおよび その誘導体などのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類など、エチレン グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ コールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコール メチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメ チルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチ ルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェ ニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシ ルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2− エチルブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテルなどのエーテル類が挙げられ、これらは一種もしくは二種以上を混合して使用することができる。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して、10%以下、好ましくは、7%以下、より好ましくは5%以下とすることが望ましい。
これらの水溶性有機溶剤の含有量を10%以下とすることにより、描線乾燥性に優れた機能を発揮せしめるものとなる。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、上記各成分の他、残部(溶媒)として水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水など)で調製され、上記各成分以外にも、例えば、界面活性剤、防腐剤や防菌剤、pH調整剤、水溶性樹脂、樹脂エマルションなどの任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有せしめることができる。
用いることができる界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオ キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリン・アルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤;、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N‐アシルアミノ酸塩、N‐アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、α‐オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン性界面活性剤;、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基親水性基含有ウレタン、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアンモニウム 塩、パーフルオロアルキルアルコキシレート、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどのフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤は、一種もしくは二種以上を混合して使用することができる。
また、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モルホリン、トリエチルアミン等のアミン化合物、アンモニア等が挙げられる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、水溶性スチレン −アクリル樹脂、水溶性スチレン・マレイン酸樹脂、水溶性マレイン酸樹脂、水溶性スチレン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコ−ル、水溶性エステル−アクリル樹脂、エチレン−マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン樹脂等などが挙げられる。
樹脂エマルションとしては、例えば、アクリル系エマルション、酢酸ビニル系エマルション、ウレタン系エマルション、スチ レン−ブタジエンエマルション、スチレンアクリロニトリルエマルションなどが挙げられる。
これらの水溶性樹脂および樹脂エマルションは、一種もしくは二種以上を混合して使用することができる。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、ボールペン、マーキングペン、サインペンなど各種筆記具に搭載して使用に供することができる。
なお、マーキングペンなどの構造は、特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に直接上記組成の筆記具用水性インク組成物を充填又は軸筒内に収容した吸蔵体に上記組成の筆記具用水性インク組成物を吸蔵せしめた直液式又は中綿式のマーキングペンなどが挙げられる。
この筆記具用水性インク組成物を製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、例えば、着色剤と、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールと、10質量%以下の水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含み、水性における各成分などを所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得られる。更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去してもよく、また、脱泡、加熱、冷却しながら作製してもよいものである。
このように構成される本発明の筆記具用水性インク組成物が、何故、ペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない機能を発現するのかは下記のように推測することができる。
すなわち、本発明の筆記具用水性インク組成物では、着色剤と、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールと、10質量%以下の水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含有することにより、共に、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールとがペン先の耐乾燥性を抑える成分となるものであり、これらの各単独使用よりも、筆記具用水性インク組成中で併用することにより、相乗的に作用していることは明らかである。その理由は必ずしも明らかではないが、相乗効果によりペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない優れた性能を発揮せしめるものと推測される。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、本発明の効果を発揮せしめる持続効果が極めて優れており、しかも、その効果の発現期間・持続時間も長く、更にトリメチルグリシンとペンタエリスリトールは水溶性であるために経時的な安定性にも優れたものとなる。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〜7及び比較例1〜8〕
下記表1に示す配合処方にしたがって、常法により各筆記具用水性インク組成物を調製した。
得られた各筆記具用水性インク組成物(全量100質量%)について、下記方法により筆記具としてマーキングペンを作製し、下記各評価方法により、ペン先の耐乾燥性(25℃/湿度65%、50℃/湿度80%)、描線乾燥性(筆記用紙、教科書)、耐滲み性・裏抜け性(筆記用紙、教科書)、低温安定性(−10℃)について評価した。
下記表1に実施例1〜7及び比較例1〜8の配合処方とその各評価結果を示す。
(筆記具:マーキングペンの作製)
マーキングペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:プロパス・ウインド PUS−102T、ペン先、太:PE樹脂、細:PET繊維〕に上記実施例1〜7及び比較例1〜8で製造した各インク組成物を装填してマーキングペンを作製した。
(ペン先の耐乾燥性の評価方法)
上記で得た実施例1〜7及び比較例1〜8で製造した各インク組成物を装填してマーキングペン(試験試料、n=5本、以下同様)を用いて、25℃/湿度65%、50℃/湿度80%の条件下で、キャップを外し横置きで放置し、一定時間ごとにISO規格(14145−1)に準拠した筆記用紙(以下同様)に手書きで筆記し、著しいかすれのない筆記状態が得られる最大の時間を「筆記可能な時間」とし、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:120分以上
○:60分以上120分未満
△:45分以上60分未満
×:45分未満
(描線乾燥性の評価方法)
上記で得た実施例1〜7及び比較例1〜8で製造した各インク組成物を装填してマーキングペンを用いて、筆記用紙及び教科書の無地部(諸説日本史・山川出版・2013年発行版、以下同様)に手書きで長さ約25cmの線を描いた。一定時間ごとに筆記線直角方向に指サック(コクヨ株式会社製、事務用指サック・メク−2)を装着した指で軽く擦り、筆記線が擦りとられたり延びたりしなくなった最短の時間を「筆記線の乾燥時間」とし、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:3秒以内
○:6秒以内
△:10秒以内
×:20秒以上
(耐滲み性、裏抜け性の評価方法)
上記で得た実施例1〜7及び比較例1〜8で製造した各インク組成物を装填してマーキングペンを用いて、筆記用紙及び教科書の無地部に手書きで長さ約25cmの線を描いて、耐滲み性、裏抜け性について目視で下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:滲み、裏抜けが全くなし
○:終筆部に滲みあり
△:終筆部に滲み、裏抜けあり
×:描線・終筆部に滲み、裏抜けあり
(低温安定性の評価方法)
上記で得た実施例1〜7及び比較例1〜8で製造した各インク組成物をガラス製バイアル瓶に充填し蓋を閉め、−10℃の環境下に保存し、一定期間後に試験試料が筆記可能で、バイアル瓶内のインクに凝集や凍結が見られない期間を「低温安定性が維持されている期間」とし、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:3ヶ月以上
○:1ヶ月以上3ヶ月未満
△:2週間以上1ヶ月未満
×:2週間未満
Figure 0006484457
上記表1を考察すると、本発明範囲となる実施例1〜7は、ペン先の耐乾燥性、描線乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない筆記具用水性インク組成物となることが判った。
これに対して、本発明の範囲外となる比較例1〜8では、本発明の効果を発揮できないことが判る。
比較例1〜3では、トリメチルグリシンの単独配合であり、比較例4はペンタエリスリトールの単独配合であり、比較例5はペンタエリスリトールと、トリメチルグリシンに替えて保湿剤であるイヌリンとを併用した場合であり、比較例6〜8はトリメチルグリシンとペンタエリスリトールとを共に配合しない場合であり、比較例8及び9は水溶性有機溶剤の量が更に10%超過となる場合であり、これらの場合は、本発明の効果を発揮できないものであった。
水性のマーキングペンなどに好適な筆記具用水性インク組成物が得られる。

Claims (4)

  1. 着色剤と、トリメチルグリシン0.5〜15質量%と、ペンタエリスリトール0.5〜8質量%と、10質量%以下の水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含有することを特徴とする筆記具用水性インク組成物。
  2. トリメチルグリシンをインク組成物全量に対して、1〜15質量%含有することを特徴とする請求項1記載の筆記具用水性インク組成物。
  3. ペンタエリスリトールをインク組成物全量に対して、1.5〜8質量%含有することを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用水性インク組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする筆記具。
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