JP7247585B2 - 二軸配向熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

二軸配向熱可塑性樹脂フィルム Download PDF

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Description

本発明は、表面に微細な突起を有する二軸配向熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂はその加工性の良さから、様々な工業分野に利用されている。また、これら熱可塑性樹脂をフィルム状に加工した製品は工業用途、光学製品用途、包装用途、磁気記録テープ用途など今日の生活において重要な役割を果たしている。近年、電子情報機器において、小型化、高集積化が進み、それに伴って、電子情報機器の作製に用いられるフィルムには加工性の向上が求められている。特に、電子情報機器の作製には、フィルム表面に他の素材を積層させ、フィルムごとフォトレジストなどの光学的な加工を施す手法が多く採られる。このため、フィルムの加工性向上のためには、フィルムの透明性を保持しつつフィルムの平滑性を高めることが一般的な手段である。
上記の要求に応えるためには、フィルム表面に透明性、易滑性と平滑性、さらに加工性を付与する必要がある。このため、例えば特許文献1には、フィルムに粒子を含有させることなく添加剤により表面を荒らすことで易滑性を向上させる技術が、特許文献2には、フィルム表面に有機樹脂粒子を内包する易滑性を発現するコート層を構築することで易滑性を向上させる技術が開示されている。
特開2016-221853号公報 特開2005-153322号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているように添加剤を用いる場合、易滑性は満足するが添加濃度ムラによる表面の荒れや、添加剤由来の異物が生じることにより、平滑性が低下したり、表面散乱を起こし透明性が低下したりすることが課題になる。また、特許文献2に記載されているように易滑性のコート層を設ける場合、加工工程中でコート層が剥がれ工程汚染の原因に繋がることが課題になる。本発明は上記事情に鑑み、良好な平滑性と易滑性を有し、さらに製膜・加工工程おける傷つき耐性も向上させた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を取る。すなわち、
[I]少なくとも片側の表面が、最大突起高さが20nm未満であり、高さ1nm以上2nm未満の突起の個数をA(個/mm)、高さ3nm以上20nm未満の突起の個数をB(個/mm)とした場合に、B/Aが0.001以上5.000以下である二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[II]前記表面が、高さ2nm以上3nm未満の突起の個数をC(個/mm)とした場合、C/Aが0.100以上2.000以下である[I]に記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[III]前記表面の算術平均粗さRaが3.0nm以下である[I]または[II]に記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[IV]前記表面を有する層が実質的に粒子を含有しない[I]~[III]のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[V]前記表面の突起において高さ1nmにおける突起断面の円相当径の平均値が15nm以上30nm以下である[I]~[IV]のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[VI]前記高さ1nm以上2nm未満の突起の個数Aが1.0×10個/mm以上1.0×10個/mm以下である[I]~[V]のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[VII]前記表面の高さ1nm以上10nm未満の突起の個数をD(個/mm)とした場合、突起個数Dが5.0×10~6.0×10個/mmである[I]~[VI]のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[VIII]前記二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂のいずれかを主成分とする[I]~[VII]に記載のフィルム
[IX]離型用フィルムとして用いられる[I]~[VIII]のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[X]ドライフィルムレジスト支持体用フィルムとして用いられる[I]~[VIII]のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[XI]積層セラミックコンデンサーを製造する工程においてグリーンシート成形の支持体用フィルムとして用いられる[I]~[VIII]のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
[XII]磁気記録媒体用ベースフィルムに用いられる、[I]~[VIII]のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、良好な透明性、平滑性と易滑性を有し、さらに製膜・加工工程おける傷つき耐性を有する。
AFM(Atomic Force Microscope)で測定されるRtop、R1nm、R2nm、3nm、20nmをあらわす概念図である。 本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの2層構成図 本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの3層構成図 本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの異種3層構成図 AFM(Atomic Force Microscope)で測定される高さ1nmの位置における突起の断面をあらわす概念図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は二軸配向熱可塑性樹脂フィルムに関する。本発明で言う熱可塑性樹脂とは、加熱すると塑性を示す樹脂である。代表的な樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンα、β-ジカルボキシレート、P-ヘキサヒドロ・キシリレンテレフタレートからのポリマー、1,4シクロヘキサンジメタノールからのポリマー、ポリ-P-エチレンオキシベンゾエート、ポリアリレート、ポリカーボネートなど及びそれらの共重合体で代表されるように主鎖にエステル結合を有するポリエステル樹脂類、更にナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン11、などで代表されるように主鎖にアドミ結合を有するポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレンなどで代表されるように主としてハイドロカーボンのみからなるポリオレフィン樹脂類、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリオキシメチレンなどで代表されるポリエーテル樹脂類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレンなどで代表されるハロゲン化ポリマー樹脂類およびポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリスルフオン樹脂およびそれらの共重合体や変性体、ポリイミド樹脂などである。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂としては、透明性、製膜性の観点からポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂を主成分とすることが好ましく、その中でも特にポリエステルが更に好ましい。ここでいう主成分とはフィルムの全成分100重量%において、50重量%を超えて100重量%以下含有している成分を示す。
また、本発明で言うポリエステル樹脂はジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を重縮合してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステル樹脂を加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
かかるポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸構成成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
また、かかるポリエステル樹脂を構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環式ジオール類、上述のジオールが複数個連なったものなどが挙げられる。
また、近年、環境負荷の観点から化石燃料由来の原料からの脱却とバイオマス由来原料への切り替えが求められており、本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの環境負荷を減らすことを目的として、バイオマスに由来する上記例示のジオール構成成分を好適に用いることができる。バイオマスの具体的な例としては、サトウキビ、テンサイなどの糖質資源やトウモロコシ、米、イモ類などでんぷん資源があげられる。
前述のポリエステル樹脂の中でも、機械特性、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、およびPETのジカルボン酸成分の一部にイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸を共重合したポリエステル樹脂、PETのジオール成分の一部にシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ジエチレングリコールを共重合したポリエステル樹脂が好適に用いられる。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、二軸配向していることが必要である。二軸配向していることにより、フィルムの機械強度が向上し易滑性を向上させることができる。ここでいう二軸配向とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、一般に未延伸状態の熱可塑性樹脂シートをシート長手方向および幅方向に延伸し、その後熱処理を施し結晶配向を完了させることにより、得ることができる。詳しくは後述する。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも片側の表面が、後述の方法に従ってAFM(Atomic Force Microscope)で測定される突起の最大高さ(最大突起高さ)をRtop(nm)とした場合、Rtop(nm)が20nm未満であり、かつ高さ1nm以上2nm未満の突起の個数をA(個/mm)、高さ3nm以上20nm未満の突起の個数をB(個/mm)とした場合に、B/Aが0.001以上5.000以下である必要がある(以降、最大突起高さが20nm未満であり、B/Aが0.001以上5.000以下であるフィルム表面を、単に前記表面という場合がある)。
本発明におけるRtop(nm)は、フィルム表面に存在する最大の突起高さを有する突起の高さを反映している。Rtop(nm)が20nm以上の場合、フィルムをロール状に巻き取った際にフィルムの他の面に欠陥を生じたり、フィルムの表面に他の層を積層する際に突起によって他の層に欠陥を与えたりする。その結果、フィルムの加工性が低下する場合や、フィルムのヘイズが上昇しフィルムの透明性が失われ、フォトレジストなどの光学的な加工時に欠点を誘発する原因になる場合がある。また、Rtopが小さい場合、フィルムに一定の突起高さ以上を有する突起が存在しないことになり、フィルムの易滑性が悪化する場合がある。Rtop(nm)は、好ましくは3nm以上20nm未満であり、より好ましくは3nm以上15nm以下、さらに好ましくは3nm以上10nm以下、最も好ましくは3nm以上5nm以下である。
本発明における高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm)は、前記表面のフィルム地肌部に存在する突起の個数を反映している。突起個数A(個/mm)が多くなることで他の面との接触する際の面積(以下、他の面との接触する際の面積を接触面積と称することがある)が低下し、フィルムの易滑性が向上する。突起個数A(個/mm)が多い場合、フィルムの易滑性が高くなることでフィルム巻き取り時に巻きずれが発生する場合がある。また、突起個数A(個/mm)が少ない場合、フィルムが平坦になることで他の面との接触面積が増加し、製膜工程やその後の加工工程における工程ロールとの摩擦が増加しシワが発生したり、またフィルム巻き取りが困難になったりすることで、製膜・加工の適正が低下する場合がある。高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm)は、好ましくは1.0×10個/mm以上1.0×10個/mm以下であり、より好ましくは2.0×10個/mm以上5.0×10個/mm以下である。
本発明における高さ3nm以上20nm未満の突起の個数B(個/mm)は、前記表面の地肌部から離れた位置に存在する突起の個数を反映しており、地肌部に存在する高さ1nm以上2nm未満の突起と他の面との接触を妨げ、フィルムの易滑性を更に向上する効果を有する。高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm)と高さ3nm以上20nm未満の突起の個数B(個/mm)を用いて算出される値であるB/Aは、両突起の個数のバランスを反映している。B/Aが大きい場合、易滑性に寄与する高さ1nm以上2nm未満の突起の割合が低下することで易滑性が下がり、フィルムの製膜・加工適正が低下する。また、B/Aが小さい場合、高さ3nm以上20nm未満の突起の割合が低下し、他の面がフィルム地肌部と接触する面積が増加することで、フィルムの易滑性が低下し製膜・加工の適正が低下する。これに加え、フィルムと工程ロールとの摩擦に起因する傷つきが多く発生する。B/Aのより好ましい範囲としては0.010以上2.000以下であり、更に好ましい範囲としては0.010以上0.080以下である。従来技術では、高さ3nm以上20nm未満の突起の個数B(個/mm)と高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm)は、個数Bを増やそうとすると個数Aは減少し、個数Aを増やそうとすると個数Bが減少するというトレードオフの関係にあったが、本発明においては後述する方法により、B/Aを上述の範囲に制御することが可能である。
本発明における高さ2nm以上3nm未満の突起の個数C(個/mm)は、前記表面の上記高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm)と高さ3nm以上20nm未満の突起の個数B(個/mm)の中間位置に存在する突起の個数を反映している。突起個数C(個/mm)は特に限定されないが、最大突起高さであるRtop(nm)が5nm以下となる場合にはその影響が無視できなくなり、前記高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm)との比であるC/Aの値により傷つき耐性が変化する場合があることが判明した。具体的にはRtop(nm)が5nm以下でC/Aの値は、0.100以上2.000以下であることが好ましい。より好ましくは0.200以上0.400以下である。C/Aの値が0.100未満の場合、前記C/Aの値が好ましい範囲内であっても他の面が地肌部に接触する影響が無視できなくなり、傷つき耐性が低下する場合がある。またC/Aの値が2.000より大きくなると地肌部が高さ2nm以上3nm未満の突起部分に存在するのと変わらなくなり、フィルムの傷つき耐性が低下する場合がある。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの前記表面における高さ1nm以上10nm未満の突起の個数をD(個/mm)とした場合、個数Dは前記表面に存在する地肌近傍から突起高さ10nm未満の高い位置に存在する突起の総個数を表しており、フィルムをロールに巻き取った場合にフィルム間での凝着(ブロッキング)やそれに伴うシワの発生を防ぐ役割を担う突起の総個数を表している。フィルムをロールとして巻取る際にはフィルムに一定の張力をかけて巻取るのに加え、ロールを長期間保管する際には保管温度によってはロールが巻き締まる場合がある。このためロール状態のフィルムは厚み方向に大きな圧力を受けている。フィルム同士のブロッキングやシワ、表面欠点発生を防ぐには、表面に形成した突起によりかかる圧力を分散させ、フィルム面間の凝着を抑制することが重要となる。本発明者らが鋭意検討したところ、表面に存在する突起のうち突起高さが10nm以上の突起は、圧力分散に寄与する一方で、突起高さが高くなり地肌部との高低差からシワ、表面欠点の発生に寄与する場合があることが判明した。このためロール状態でのフィルムのブロッキングとシワ、表面欠点を防ぐには、突起高さが1nm以上10nm未満の突起個数Dが5.0×10~6.0×10個/mmとなることが好ましい。突起個数Dが5.0×10個/mm未満となる場合、ロール状態でのフィルム同士の接触面積が増加し凝着すことで、フィルムを巻き出すことが困難になる場合や、ロール状態での保管時にシワ、表面欠点が多発する場合がある。一方で、突起個数Dが6.0×10個/mmを超える場合、フィルム同士のブロッキングを抑制できる一方で、フィルムの巻きずれが発生し生産性が落ちる場合がある。突起個数Dの好ましい範囲は1.7×10~1.0×10個/mmであり、さらに好ましい範囲としては2.0×10~8.0×10個/mmである。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの前記表面は、表面粗さを表す算術平均粗さRaは3.0nm以下であることが好ましく、0.5nm以上3.0nm以下であることがより好ましい。0.5nmで未満ある場合、接触面積を減らすのに有効な突起が少なく、すべり性(易滑性)が低下することがある。一方3.0nmを超える場合、粗大な突起が存在するため、本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを巻き取る場合に凹凸が転写しフィルムの平滑性が失われる場合がある。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの前記表面は、後述のAFM測定により求められる、基準面より高さ1nmの位置における突起の断面の円相当径の平均値D1nmが15nm以上30nm以下であることが好ましい。円相当径の平均値が15nm未満である場合、前述の突起が多く(高密度に)存在した場合でも、他の面との接触時に容易に変形してしまい、接触面積を低下させる働きを担えない場合がある。一方、円相当径の平均値が30nmを超える場合、突起が粗大であり、高さ1nm以上2nm未満の突起個数が低下し、結果フィルムの易滑性が低下する場合がある。
フィルムの透明性を悪化させることなく、フィルム表面の突起高さを上記の範囲とするための方法は特に限定されないが、例えば、ナノインプリントのようにモールドを用いて表面に形状を転写させる方法、大気圧グロー放電によるプラズマ表面処理、光学的に影響を及ぼしにくい2次粒径が10nmを下回る微細な粒子の表層への添加をした後、後述の二軸延伸を行うが挙げられる。インラインでの製膜適応性や微細な突起の形成個数の観点からは、大気圧グロー放電によるプラズマ処理や微細粒子添加を行い二軸延伸することが好ましく、突起形成の均一性やフィルムへのダメージが少ないことから大気圧グロー放電によるプラズマ処理を行い二軸延伸することが更に好ましい。ここでいう大気圧とは700Torr~780Torrの範囲である。
大気圧グロー放電処理は、相対する電極とアースロール間に処理対象のフィルムを導き、装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加することにより、該気体をプラズマ励起させ電極間においてグロー放電を行うものである。これによりフィルム表面が微細に加工され突起が形成する。
プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起されうる気体をいう。プラズマ励起性気体としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素、またはテトラフルオロメタンのようなフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。また、プラズマ励起性気体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の混合比で組み合わせてもよい。プラズマによって励起された場合に活性が高くなる観点から、アルゴン、酸素、二酸化炭素のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、酸素を含むことがより好ましい。プラズマ処理における高周波電圧の周波数は1kHz~100kHzの範囲が好ましい。また、以下方法で求められる放電処理強度(E値)は、10~2000W・min/mの範囲で処理することが突起形成の観点から好ましく、より好ましくは40~500W・min/mである。放電処理強度(E値)が低すぎると、突起が十分に形成されない場合があり、放電処理強度(E値)が高すぎると、熱可塑性樹脂フィルムにダメージを与えてしまう、または、アッシングが進行し、好ましい突起が形成されない場合がある。
<放電処理強度(E値)の求め方>
E=Vp×Ip/(S×Wt)
E:E値(W・min/m
Vp:印加電圧(V)
Ip:印加電流(A)
S:処理速度(m/min)
Wt:処理幅(m)
AFMで測定されるRtop、R1nm、R2nm、3nm、20nmをあらわす概念図を図1に示す。図1中、基準面とは、測定表面における基準面からの距離が0となるように定められる高さである(基準面よりも高い場合は正の値、基準面よりも低い場合は負の値となる)。
一般的に、大気圧グロー放電処理によって熱可塑性樹脂フィルム、とくにPETやPENのように非晶部と結晶部を持つフィルムの表面をアッシングする場合、柔らかい非晶部から加工されていく。結晶部と非晶部を細分化させることで、大気圧グロー放電処理することでより微細な突起を形成することができ、また、結晶部を増やしておくことで柔らかい非晶部が深く削れることで突起高さを高くすることが可能となる。
このため、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの前記表面を有する層の固有粘度(IV)は、0.55dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.70dl/g以上である。IVは、分子鎖の長さを反映した数字であり、分子鎖が長い方が、同一分子鎖の中で結晶部と非晶部を明確に形成しやすいため、大気圧グロー放電処理することでより微細な突起を形成することが容易となるため好ましい。また、IVが0.55dl/g未満の場合、分子鎖が短いことで結晶化が進行しやすくなるため、延伸工程で破断が頻発し製膜が困難になる場合がある。
また、フィルムを構成する熱可塑性樹脂中に他の熱可塑性樹脂成分をナノオーダーのサイズで分散させることで、Rtop(nm)は大きくなる傾向にある。また、大気圧グロー放電処理の強度や、大気圧グロー放電処理の際に用いるプラズマ励起性気体の活性を上げることも有効な手段である。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、単膜構成であっても他の樹脂を積層した2層以上の構成であってもよい。2層構成とする場合、前記表面を有する層をP1層、積層する層をP2層と称する場合、P1層の突起を有する表面が最外層になるように配したP1層/P2層構成とすることが好ましい。3層構成とする場合、2種3層構成(P1層/P2層/P1層)でも、更に別の樹脂を積層した異種3層構成(P1層/P2層/P3層)であってもよい。
P1層とP2層、P3層等の他の樹脂層を積層する方法としては特に制限されないが、後述する共押出法や、製膜途中のフィルムに他の樹脂層原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、製膜後のフィルム同士を接着剤層とを介して積層する方法などを用いることができ、中でも前述処理による突起形成と積層を同時に行える共押出法が好ましく用いられる。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、後述する測定条件における前記突起を有する表面と金属との摩擦係数(μk)が、0.20以上0.55以下であることが好ましい。より好ましくは0.20以上0.40以下、最も好ましくは0.20以上0.37以下である。0.55を超える場合、易滑性が十分でなく、本発明のフィルムを製膜・加工することができない。0.20を下回る場合、本発明のフィルムを巻き取る際に巻きズレが生じる場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、ドライフィルムレジスト支持体用フィルムなどの高い光線透過性(透明性)が求められる用途で用いる場合、フィルムのヘイズが0.60%以下となることが好ましい。フィルムのヘイズが0.60%を超える場合、フィルムを使用するに際して透過光が散乱されてしまい、例えばドライフィルムレジスト支持体用途では、レジスト配線に欠点が発生する。より好ましくは0.50%以下、更に好ましくは0.45%以下である。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、本発明の特性を損なわない範囲で、有機粒子または無機粒子、あるいはその両方を含有しても構わないが、本発明の特性を最大限得るためには、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。実質的に粒子を含有しないとは、熱可塑性樹脂フィルムに対する粒子の含有量が500ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、最も好ましくは10ppm以下である。
また、本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、本発明の特性を損なわない範囲で、帯電防止を目的にAS剤(帯電防止剤)を添加したり、使用用途に応じた光学特性を付与する目的で染料、色素や有機および無機の波長変換材料を添加したりしてもよい。
次に、本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの製造方法について、二軸配向ポリエステル樹脂フィルムを例に挙げて説明するが、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
本発明に用いられるポリエステル樹脂を得る方法としては、常法による重合方法が採用できる。例えば、テレフタル酸等のジカルボン酸構成成分またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール等のジオール構成成分またはそのエステル形成性誘導体とを公知の方法でエステル交換反応あるいはエステル化反応させた後、溶融重合反応を行うことによって得ることができる。また、必要に応じ、溶融重合反応で得られたポリエステル樹脂を、ポリエステル樹脂の融点温度以下にて、固相重合反応を行っても良い。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、従来公知の製造方法で得ることが出来るが、延伸、熱処理工程を以下の条件で製造することにより、突起形成を制御し上述の通り好ましい物性を持つ表面とすることができる。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて乾燥した原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。
2層以上の積層ポリエステル樹脂フィルムを溶融キャスト法により製造する場合、積層ポリエステルフィルムを構成する層毎に押出機を用い、各層の原料を溶融せしめ、これらを押出装置と口金の間に設けられた合流装置にて溶融状態で積層したのち口金に導き、口金からキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(共押出法)が好適に用いられる。該積層シートは、表面温度20℃以上60℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。キャストドラムの温度は、より好ましくは25℃以上60℃以下、さらに好ましくは30℃以上55℃以下である。20℃以下では後述する大気圧グロー放電処理を施し、二軸延伸した後のフィルム表面の突起形成が十分でない場合がある。60℃を超えると、キャストドラムにフィルムが貼り付き、未延伸フィルムを得ることが困難になる場合がある。
次いで、ここで得られた未延伸フィルムに大気圧グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理を施す。これらの表面処理は未延伸フィルムを得た直後でも、微延伸を施した後でも、縦および/又は横方向に延伸した後でも良いが、本発明では未延伸フィルムに表面処理することが好ましい。また、表面処理を施す面はキャストドラムに接していた面(ドラム面)でもキャストドラムに接していない面(非ドラム面)のいずれでも良い。
その後、未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法又は同時二軸延伸法を用いることができる。最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法が、延伸破れなく本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを得るのに有効である。
(二軸延伸)
未延伸フィルムを二軸延伸する場合の延伸条件に関しては特に制限されるものでは無いが、本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムがポリエステル樹脂を主成分とする場合、長手方向の延伸としては、未延伸フィルムを70℃以上に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に延伸し、20~50℃の温度のロール群で冷却することが好ましい。長手方向の延伸における加熱ロール温度の下限についてはシートの延伸性を損なわない限り特に制限はないが、使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度+5℃が好ましい。また、長手方向の延伸倍率の好ましい範囲は2.5倍~5倍である。より好ましい範囲としては3.0倍~3.5倍である。長手方向の延伸倍率が2.5倍以下であると、配向結晶化が進行せずフィルム強度が著しく低下する。一方で、延伸倍率が4.5倍を超える場合、延伸に伴うポリエステル樹脂の配向結晶化が進行することで脆くなると共に製膜時の破れが発生する場合がある。
続いて、長手方向に直角な方向(幅方向)の延伸に関しては、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、70~160℃の温度に加熱された雰囲気中にて、長手方向に直角な方向(幅方向)への3~5倍の延伸、およびその後、延伸されたフィルムを熱処理し、フィルム内部の分子配向構造の安定化を行うことが好ましい。熱処理時にフィルムの受けた熱履歴温度に関しては、後述する示差走査熱量計(DSC)にて測定される融点温度の直下に現れる微小吸熱ピーク(以下、Tmetaと称することがある。)温度にて確認することができるが、テンター装置設定温度としては例えばポリエチレンテレフタレート(融点255℃)が主成分である場合には、一般にテンター内の最高温度が200℃以上250℃以下であるように設定することが好ましく、他の熱可塑性樹脂を主成分とする際は、当該熱可塑性樹脂の融点-55℃以下融点-5℃以下に設定することが好ましい。ポリエチレンテレフタレートが主成分である場合においては、熱処理温度が200℃を下回る場合、他の熱可塑性樹脂を主成分とする場合においては、当該熱可塑性樹脂の融点-55℃を下回る場合、前記、大気圧グロー放電処理により形成された突起が十分に成長できず結果として前述の好ましい範囲の突起を形成することが困難になる場合がある。一方、ポリエチレンテレフタレートが主成分であり、250℃を超えて熱処理を施す場合、他の熱可塑性樹脂を主成分とする場合においては、当該熱可塑性樹脂の融点-5℃を超えて熱処理を施す場合、フィルムが融解し破れが多発し生産性が低下する場合がある。ポリエチレンテレフタレートが主成分である場合の熱処理温度のより好ましい範囲としては220℃以上245℃以下である。
熱処理時にフィルムの受けた熱履歴温度を表すTmetaの範囲としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする場合、前述の理由から190℃以上245℃以下であることが好ましい。より好ましい範囲としては210℃以上240℃以下である。
更に熱処理した後に、フィルムに寸法安定性を付与することを目的として、0%以上6%以下の範囲でリラックス(弛緩)処理を行ってもよい。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3~5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9~20倍であることが好ましく、9~15倍であることがより好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸フィルムの耐久性が不十分となり、面積倍率が20倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
本発明の突起を形成させるためには、テンター内での延伸時に長手方向の力が掛からないテンターの温度条件、延伸条件を選択することが重要である。このテンター内での延伸時にかかる長手方向の力は、一般にボーイングを発生させる因子の一つであり、テンター内における延伸ゾーンでのフィルムのポアソン変形力(長手方向に収縮する力)と、延伸ゾーンから、より高温の熱処理ゾーンへと進む際に生じる各温度でのフィルム剛性の差とによって支配されている。この長手方向の力が大きいほどフィルムが長手方向延伸ゾーン側に引き込まれる。この長手方向の力を低減させることで、延伸時の応力を均一にでき、前記範囲の突起を形成することができる。具体的な処方としては「フィルムの幅方向高配向度化」、「テンター内温度の段階昇温」、「熱処理ゾーンでの追延伸」の3つの条件を採用することが有効である。この3つの条件は独立して適用しても、組み合わせて適用しても構わない。
(フィルムの幅方向高配向度化)
フィルムの幅方向高配向度化は、長手方向の機械延伸倍率よりも幅方向の機械延伸倍率を大きくすることで実施される。具体的には長手方向の機械延伸倍率をX(%)、幅方向の機械倍倍率をY(%)とした時、Y/Xにて算出される値が1.00以上であることが好ましい、より好ましくは1.05以上、更に好ましくは1.10以上、最も好ましくは1.20以上である。Y/Xの値が1.00を下回る場合、前記長手方向の応力を低下させる効果が得られず、突起を好ましい範囲に制御できない場合がある。
(テンター内温度の段階昇温)
テンター内温度を80℃から段々と昇温していき、延伸ゾーンの最高温度を上げること、熱処理ゾーンの最高温度を下げること、熱処理ゾーンの最高温度をそのままに開始温度を下げることなどで、延伸ゾーンと熱処理ゾーンの温度差を低減することで達成できる。具体的には延伸ゾーンと熱処理ゾーンとの温度差が160℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは100℃以下、最も好ましくは40℃以下である。温度差が160℃を超える場合、フィルムの延伸温度が低く、幅方向に均一な延伸ができず、厚みムラの発生や平面性が悪化する場合、もしくは熱処理ゾーンの温度が高くフィルムが融解し破れが多発、生産性が低下する場合がある。
(熱処理ゾーンでの追延伸)
テンター内、延伸ゾーンの後ろに配する熱処理ゾーンにて再度幅方向に延伸を行うことで達成できる。具体的には熱処理ゾーンにて幅方向に1.05倍以上1.50倍以下で機械延伸倍率にて延伸することが好ましい。幅方向の延伸倍率が1.05倍より小さい場合、前記長手方向の力を抑制する効果が得られない場合がある。一方、幅方向の延伸倍率が1.50倍より大きい場合、フィルムの結晶化度が上がることで脆くなり、延伸の均一性が崩れたり破れが多発したりすることで生産性が低下する場合がある。
上記のようにして得られる本発明のフィルムは、良好な平滑性と易滑性を有し、さらに製膜・加工工程おける傷つき耐性にも優れる。その特性を活かして、例えば、離型フィルム(特に偏光板の離型フィルムや積層セラミックコンデンサーの製造に用いる離型フィルム)や、磁気記録媒体の支持体として好適に用いられる。
従来の熱可塑性樹脂フィルムを偏光板の離型フィルムとして用いる場合は、以下のような課題を有していた。偏光板は、異物混入や欠陥検査としてクロスニコル法(2枚の偏光板を互いに偏光面を直交させ、その間にフィルムの長手方向、幅方向をそれぞれ直交する偏光板の偏光面に合わせて挟まれた状態での透過光を観察する方法)による人間の目視検査が行われている。かかる検査において、偏光板の離型フィルムとして、離型性を向上させるために粒子を含有した従来の熱可塑性樹脂フィルムを用いると、粒子に起因する光漏れが生じやすく、正確な目視検査が困難となり、異物混入や欠点である輝点を見落とすという問題が生じる。本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、優れた離型性を有しつつ、かかる問題の発生を抑制することが可能であるため、偏光板の離型フィルムとして好適に用いることができる。
また、従来の熱可塑性樹脂フィルムを、積層セラミックコンデンサーの製造に用いる離型フィルムとして用いる場合は、以下のような課題を有していた。近年、積層セラミックコンデンサーは小型・高容量化が進んでいる。そのため、積層セラミックコンデンサーの製造に用いる離型フィルムの表面に粗大な突起があると、グリーンシート製品を巻き上げた際にグリーンシートに転写し、キズやへこみを生じたりすると大きな問題となる。一方で、従来の熱可塑性樹脂フィルムでは、粗大な突起の発生を抑制しつつ、良好な易滑性を、さらに製膜・加工工程おける傷つき耐性を付与することはできていなかった。本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、良好な平滑性と易滑性を有し、さらに製膜・加工工程おける傷つき耐性にも優れるため、積層セラミックコンデンサーの製造に用いる離型フィルムとして好適に用いることができる。
また、従来の熱可塑性樹脂フィルムを、磁気記録媒体の支持体として使用される場合は、以下のような課題を有していた。近年、磁気記録媒体はさらなる高密度記録化が要求されている。更なる高密度記録を達成するためには、磁性層の薄膜化や微粒子磁性体を使用し磁性層表面の平滑性をさらに向上させることが有効である。特に、近年の強磁性六方晶フェライト粉末を用いてなる塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体用支持体においては、磁性層や非磁性層、バックコート層、さらには支持体自体の薄膜化に伴い平滑面のみならず走行面の粗面化が制約されている。製造過程で磁気記録媒体としてロール状態で保存する場合、走行面に形成されている突起が磁性面に転写し、平滑な磁性層表面に窪みを形成させ磁性層表面の平滑性が悪化し電磁変換特性が低下するといった問題がある。磁性層表面の平滑性を高めるために支持体の走行面側に含有する粒子の小径化や低濃度化を図るだけでは、添加した粒子が厚み方向に重なることで表面に粒子が突き上げられる現象が起こるため、依然として粗大突起が改善できない。一方で、フィルムの平滑性を高めると、フィルムと工程ロールとの易滑性は低下する傾向があるため、加工工程においてフィルムの搬送性が低下する。その結果、加工性が低下するという課題が発生するため、フィルムの加工性と易滑性をともに向上させることは困難であった。本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、優れた離型性を有しつつ、かかる問題の発生を抑制することが可能であるため、磁気記録媒体の支持体、特に塗布型デジタル記録方式の支持体として好適に用いることができる。
[特性の評価方法]
A.AFM(Atomic Force Microscope)による評価
(i)最大突起高さRtop(nm)
以下の測定方法によって得られるフィルム表面の画像を、付属の解析ソフト(NanoScope Analysis Version 1.40)を用い解析する。得られるフィルム表面のHeight Sensor画像を下記するFlatten処理のみを施した後、Particle Analysis解析モードを下記の通り設定することで、フィルム表面の基準面が自動的に決定される。該基準面から、突起高さの閾値(Threshold Height)を1nm、2nm・・・と1nmごとに定め、各閾値で得られる突起個数をカウントし、カウントされる突起個数が初めて0になる閾値から1nm低い閾値をその測定画像のRtop(nm)とする。
前記解析を各サンプルにおける20か所の測定画像全てにおいて行い、その平均値をサンプルの最大突起高さRtop(nm)とする。
(ii)高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm
前記(i)項と同様にして、付属の解析ソフトにて算出される、突起高さの閾値(Threshold Height)が1nm(R1nm)での1μm当たりの突起密度の平均値(Density行、Mean列の値)を1mm当たりに換算した数値をN1nm(個/mm)、2nm(R2nm)での1μm当たりの突起密度の平均値(Density行、Mean列の値)を1mm当たりに換算した数値をN2nm(個/mm)とした時、次の式で求められる値をその測定画像の高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm)とする。
A(個/mm)=N1nm(個/mm)-N2nm(個/mm
前記解析を各サンプルにおける20か所の測定画像全てにおいて行い、その平均値をサンプルの高さ1nm以上2nm未満の突起の個数A(個/mm)とする。
(iii)高さ3nm以上20nm未満の突起の個数B(個/mm
前記(i)項と同様にして、付属の解析ソフトにて算出される、突起高さの閾値(Threshold Height)が3nm(R3nm)での1μm当たりの突起密度の平均値(Density行、Mean列の値)を1mm当たりに換算した数値をN3nm(個/mm)、20nm(R20nm)での1μm当たりの突起密度の平均値(Density行、Mean列の値)を1mm当たりに換算した数値をN20nm(個/mm)とした時、次の式で求められる値をその測定画像の高さ3nm以上20nm未満の突起の個数B(個/mm)とする。
B(個/mm)=N3nm(個/mm)-N20nm(個/mm
前記解析を各サンプルにおける20か所の測定画像全てにおいて行い、その平均値をサンプルの高さ3nm以上20nm未満の突起の個数B(個/mm)とする。
(iv)突起個数比率B/A
各測定画像に関して、前記(iii)項で求められたB(個/mm)を、(ii)項にて求められたA(個/mm)により除した値をその画像の突起個数比率B/Aとし、各サンプルの20か所の測定画像全てのB/Aの平均値をサンプル持つ突起個数比率B/Aとする。
(v)高さ2nm以上3nm未満の突起の個数C(個/mm
前記(i)項と同様にして、付属の解析ソフトにて算出される、突起高さの閾値(Threshold Height)が2nm(R2nm)での1μm当たりの突起密度の平均値(Density行、Mean列の値)を1mm当たりに換算した数値をN2nm(個/mm)、3nm(R3nm)での1μm当たりの突起密度の平均値(Density行、Mean列の値)を1mm当たりに換算した数値をN3nm(個/mm)とした時、次の式で求められる値をその測定画像の高さ2nm以上3nm未満の突起の個数B(個/mm)とする。
C(個/mm)=N2nm(個/mm)-N3nm(個/mm
(vi)突起個数比率C/A
各測定画像に関して、前項(v)項で求められたC(個/mm)を、(ii)項にて求められたA(個/mm)により除した値をその画像の突起個数比率C/Aとし、各サンプルの20か所の測定画像全てのC/Aの平均値をサンプル持つ突起個数比率C/Aとする。
(vii)高さ1nm以上10nm未満の突起の個数D(個/mm
前記(i)項と同様にして、付属の解析ソフトにて算出される、突起高さの閾値(Threshold Height)が1nm(R1nm)での1μm当たりの突起密度の平均値(Density行、Mean列の値)を1mm当たりに換算した数値をN1nm(個/mm)、10nm(R10nm)での1μm当たりの突起密度の平均値(Density行、Mean列の値)を1mm当たりに換算した数値をN10nm(個/mm)とした時、次の式で求められる値をその測定画像の高さ1nm以上10nm未満の突起の個数D(個/mm)とする。
D(個/mm)=N1nm(個/mm)-N10nm(個/mm
(viii)高さ1nm地点での突起の円相当径の平均値D1nm
前項(i)項と同様にして、付属の解析ソフトにて算出される、突起高さの閾値(Threshold Height)が1nmでの突起の円相当径の平均値(Diameter行、Mean列の値)をD1nm(nm)とし、各サンプルの20か所の測定画像全てのD1nmの平均値をサンプル持つ突起個数比率D1nm(nm)とする。
(ix)算術平均粗さRa
前項(i)項と同様にして、以下の測定方法により得られたフィルム表面のHeight Sensor画像を下記するFlatten処理を施した後、Roughness解析モードにて表示されるImage Raの値を測定画像の算術平均粗さRa(nm)とし、各サンプルの20か所の測定画像全てのRaの平均値をサンプル持つ算術平均粗さRa(nm)とする。
[AFM測定方法]
・装置:Bruker社製 原子間力顕微鏡(AFM)
Dimention Icon with ScanAsyst
・カンチレバー:窒化ケイ素製プローブ ScanAsyst Air
・走査モード:ScanAsyst
・走査速度:0.977Hz
・走査方向:後述する方法にて作製した測定サンプルの幅方向に走査を行う
・測定視野:1μm四方
・サンプルライン:512
・Peak Force SetPoint:0.0195V~0.0205V
・Feedback Gain:10~20
・LP Deflection BW:40 kHz
・サンプル調整:23℃、65%RH、24時間静置
・AFM測定環境:23℃、65%RH
・測定サンプル作成方法:AFM試料ディスク(直径15mm)の片面に両面テープを貼りつけ、AFM試料ディスクと、約15mm×13mm(長手方向×幅方向)に切り出した本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの前記表面(測定面)とは逆側の面とを張り合わせ、測定サンプルとした。
・サンプル測定回数:各サンプル同士が少なくとも5μm以上離れるように場所を変え、20回測定を行う。
・測定値:測定した20か所の画像に関して前述の解析を行い、各数値を測定しその平均値をサンプルの持つ各数値として扱う。
[Flatten処理]
・Flatten Order:3rd
・Flatten Z Threshholding Direction:No theresholding
・Find Threshold for:the whole image
・Flatten Z Threshold %:0.00 %
・Mark Excluded Data:Yes
[Particle Analysisモード設定]
(Detectタブ)
・Threshold Height:各値に応じて入力
・Feature Direction:Above
・X Axis:Absolute
・Number Histogram Bins:512
・Histogram Filter Cutoff:0.00 nm
・Min Peak to Peak:1.00 nm
・Left Peak Cutoff:0.00000%
・Right Peak Cutoff:0.00000%
(Modifyタブ)
・Beughbirhood Size:3
・Number Pixels Off:1
・一切のDilate/Erode操作を行わない。
(Selectタブ)
・Image Cursor Mode:Particle Select
・Bound Particles:Yes
・Non-Representative Particles:No
・Height Reference:Relative To Max Peak
・Number Histogram Bins:50
・前記数値を求めるに際し、解析画像中の特定のピーク、エリアを選択しない。
・Diameter、Height、Area全てのヒストグラムで特定の場所を選択しない。
B.金属摩擦係数(μk)
フィルム幅を12.65mmのテープ状にスリットしたものをテープ走行試験機SFT-700型((株)横浜システム研究所製)を使用し、23℃65%RH雰囲気下にて、フィルムに荷重100gをかけた状態で走行させ、走行後の摩擦係数(μk)を下記の式より求めた。なお、本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムにおいて前記表面がガイド(金属ロール)に接するようにセットし、5回の測定の平均値から求めた。
μk=(2/π)×ln(T/T
:張力荷重(100gf)
:走行中の張力(単位:gf)
ガイド径:6mmΦ
ガイド材質:SUS27(表面粗度0.2S)
巻き付け角:90°
走行距離:10cm
走行速度:3.3cm/秒。
C.傷つき耐性
前記B項でのテープ走行試験機における10cmのテープ走行を同一箇所に対して5回実施し、走行試験前後の金属ロールとの接触面側のキズを目視観察し、走行方向に1cm以上の長さを持つキズの増加本数を数える。各サンプルに関して任意の5か所に対して試験を行いその平均値をそのサンプルの傷つき耐性とし、下記の通りで評価を行った。
キズの増加本数が0~1本。:A
キズの増加本数が2~5本。:B
キズの増加本数が5~10本。:C
キズの増加本数が11本以上。:D
傷つき耐性はA~Cが良好で有り、その中で最もAが優れている。
D.厚み(μm)
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A-2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除した値をサンプルのフィルム厚みとした。
フィルムが積層フィルムである場合、下記の方法にて、各層の厚みを求めた。フィルム断面を、フィルム幅方向に平行な方向にミクロトームで切り出す。該断面を走査型電子顕微鏡で5000倍の倍率で観察し、積層各層の厚み比率を求める。求めた積層比率と上記したフィルム厚みから、各層の厚みを算出する。
E.フィルムの固有粘度IV(dl/g)
オルトクロロフェノール100mlに本発明のフィルムを溶解させ(溶液濃度C=1.2g/dl)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定する。また、同様に溶媒の粘度を測定する。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記(a)式により、[η](dl/g)を算出し、得られた値でもって固有粘度(IV)とする。
(a)ηsp/C=[η]+K[η]・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度(dl/g)/溶媒粘度(dl/g))―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である)。
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムが積層構成である場合、前記表面を持つ層(P1層)のIVはP1層のみを常法により削り出し、前述の方法で測定を行う。
F.末端カルボキシル基量(表中ではCOOH量と記載する。)
末端カルボキシル基量については、Mauliceの方法に準じて、以下の方法にて測定した。(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
測定試料(ポリエステル樹脂(原料)または太陽電池裏面保護用シートのP1層のみを分離したもの)2gをo-クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、当量/ポリエステル樹脂1tonの値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、溶液を濾過して不溶物の重量測定を行い、不溶物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量とする補正を実施した。
G.すべり性(易滑性)
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを製膜し連続した5000mのロール巻取りを10回行い、得られた10本のロールの様子からフィルム巻取り性を下記の通り評価した。
10回のロール採取をトラブルなく実施できる。:A
10回中1~2回でロールに折れ、シワが見られる。:B
10回中3~5回でロールに折れ、シワが見られる。:C
10回中5回以上でロールに折れ、シワが見られる。:D
すべり性(易滑性)はA~Cが良好で有り、その中で最もAが優れている。
H.製膜安定性
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを連続で20000m採取する間のフィルム破れの有無から、製膜安定性を次のように評価した。
20000mの製膜中、フィルム破れが全くない。:A
20000mの製膜中、フィルム破れ1~3回発生した。:B
20000mの製膜中、フィルム破れ4~10回発生した。:C
20000mの製膜中、フィルム破れが10回以上発生した。:D
製膜安定性はA~Cが良好で有り、その中で最もAが優れている。
I.融点(Tm)、微小吸熱ピーク(Tmeta)
JIS K7121-1987に従って示差走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製DSC(EXSTAR DSC6220)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上、室温(25℃)から300℃まで、昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)、Tm直下の微小吸熱ピークをTmetaとした。
J.ヘイズ
一辺が5cmの正方形状のフィルムサンプルを3点(3個)準備する。次にサンプルを23℃、60%RHにおいて、40時間放置する。それぞれのサンプルを日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、JIS「透明材料のヘイズの求め方」(K7136 2000年版)に準ずる方式で実施する。それぞれの3点(3個)のヘイズの値を平均して、フィルムのヘイズの値とした。
K.フォトレジスト特性
以下a.からc.の方法により評価を行う。
a.片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMERN-HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製する。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で約20分間の前熱処理を行う。
b.本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの前記表面をレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上に二軸配向熱可塑性樹脂フィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたレチクルを配置し、そのレクチル上からI線(波長365nmにピークをもつ紫外線)ステッパーを用いて露光を行う。
c.レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N-A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行う。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行う。現像後に作成された線状レジストパターンのL/S(μm)(Line and Space)=8/8μmの30本の状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて約800~3000倍率で観察し、線状パターンに幅2.4μm以上の欠けのある本数で以下のように評価した。
欠けのある本数が5本以下:A
欠けのある本数が6から10本:B
欠けのある本数が11から15本:C
欠けのある本数が16本以上:D
フォトレジスト特性はA~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
L.ブロッキング耐性
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを10000m巻き取ったロールを温度35℃にて1週間放置した後、フィルムを巻出した際のフィルム状態から、ブロッキング耐性を次のように評価した。
フィルムを容易に巻出せ、シワや表面欠点も確認できない。:A
フィルムを容易に巻出せ表面欠点もないが、シワが確認できる。:B
フィルムを容易に巻出せるが、表面欠点または表面欠点とシワが確認できる。:C
フィルムを巻出すのが困難、またはシワや表面欠点が多く確認できる。:D
ブロッキング耐性はA~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
M.グリーンシート特性評価(実施例17、18、比較例8、9のみ実施)
以下a.からb.の方法によりグリーンシート特性評価を行う。
a.離型層の塗布
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの前記表面に、架橋プライマー層(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名BY24-846)を固形分1質量%に調整した塗布液を塗布/乾燥し、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化した。その後1時間以内に付加反応型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名LTC750A)100質量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名SRX212)2質量部を固形分5質量%に調整した塗布液を、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化した後に巻き取り、離型フィルムを得た。
b.グリーンシートの塗布状態の評価(セラミックススラリーの塗布性)
チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT-1)100質量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL-1)10質量部、フタル酸ジブチル5質量部とトルエン-エタノール(質量比30:30)60質量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整した。得られたセラミックスラリーを、離型フィルムの前項aにて離型層を設けた面の上に乾燥後の厚みが2μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得た。 上記で巻き取られたグリーンシートを、繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて目視で観察し、ピンホールの有無や、シート表面および端部の塗布状態を確認する。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、背面から1000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、塗布抜けによるピンホールあるいは、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察する。
ピンホールも凹みも無い。:A
ピンホールは無く、凹みが3個以内認められる。:B
ピンホールは無く、凹みが5個以内認められる。:C
ピンホールが一部認められる、または凹みが6個以上認められる。:D
グリーンシート特性評価としてはA~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
N.エラーレート評価(実施例19、20、比較例10、11のみ実施)
本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの形状転写欠点評価は、下記の方法にて評価を行った。1m幅にスリットした本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを、張力200Nで搬送させ、本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの前記表面側に後述する非磁性層形成用塗布液と磁性層形成用塗布液とを重層塗布、また前記表面とは反対面側に後述するバックコート層形成用塗布液を塗布し、さらに12.65mm(1/2インチ)幅にスリットし、パンケーキを作成する。
(以下、「部」とあるのは「質量部」を意味する。)
磁性層形成用塗布液
バリウムフェライト磁性粉末 100部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、
板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)
飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g)
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α-アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)
粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
非磁性層形成用塗布液
非磁性粉体 α酸化鉄 100部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積 50m/g
pH 7
DBP吸油量 27~38ml/100g
表面処理層Al 8質量%
カーボンブラック 20部
“コンダクテックス”(登録商標)SC-U(コロンビアンカーボン社製)
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 18部
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 300部
メチルエチルケトン 300部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
上記の塗布液のそれぞれについて、各成分をニ-ダで混練した。1.0mmφのジルコニアビーズを分散部の容積に対し65%充填する量を入れた横型サンドミルに、塗布液をポンプで通液し、2,000rpmで120分間(実質的に分散部に滞留した時間)、分散させた。得られた分散液にポリイソシアネ-トを非磁性層の塗料には5.0部、磁性層の塗料には2.5部を加え、さらにメチルエチルケトン3部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層形成用塗布液を、本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの前記表面上に、乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布乾燥させた。その後、磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性層の厚さが0.07μmになるように塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに6,000G(600mT)の磁力を持つコバルト磁石と6,000G(600mT)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。
続いて、前記表面とは反対面側にカレンダ後の厚みが0.5μmとなるようにバックコート層形成用塗布液(カーボンブラック 平均粒子サイズ:17nm 100部、炭酸カルシウム平均粒子サイズ:40nm 80部、αアルミナ 平均粒子サイズ:200nm 5部をポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。次いでカレンダで温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/m)にてカレンダ処理を行った後、65℃で、72時間キュアリングした。さらに、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気テープを得た。
得られたテープ原反を12.65mm(1/2インチ)幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、磁気記録テープの長さが960mのデータストレージカートリッジを作成した。このデータストレージを、IBM社製LTO7ドライブを用いて23℃50%RHの環境で記録し(記録波長0.55μm)、次に、カートリッジを50℃、80%RH環境下に7日間保存した。カートリッジを1日常温に保存した後、全長の再生を行い、再生時の信号のエラーレートを測定した。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式(b)にて算出する。
(a)エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
エラーレートが1.0×10-6未満。:A
エラーレートが1.0×10-6以上、1.0×10-5未満。:B
エラーレートが1.0×10-5以上、1.0×10-4未満。:C
D:エラーレートが1.0×10-4以上。:D
形状転写欠点評価としてはA~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[PET-1の製造]テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、実質的に粒子を含有しない溶融重合PETを得た。得られた溶融重合PETのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.62であった。その後、常法により固相重合を行い、固相重合PETを得た。得られた固相重合PETのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.81であった。
[PET-2の製造]前項PET-1と同様に重合を行い、ガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.72の固層重合PETを得た。
[MB-Aの製造]前項PET-1の重合に際し、PETに対する添加量が50%となるように、エチレングリコールに分散させた2次平均粒子径が3nmの微小シリカ粒子(シリカ-1)を添加し、MB-Aを得た。得られた溶融重合MB-Aのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.76であった。
[MB-Bの製造]前項PET-1の重合に際し、PETに対する添加量が50%となるように、エチレングリコールに分散させた2次平均粒子径が40nmの大径シリカ粒子(シリカ-2)を添加し、MB-Aを得た。得られた溶融重合MB-Aのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.70であった。
[PIの製造]PET-1 45重量%と、SABIC社製のポリエーテルイミド“Ultem1010”55重量%を、ベント孔付き押出機に投入し、ベント孔を1kPa以下になるように減圧しながら混練し、ポリイミド樹脂を主成分とするPET樹脂との混合体(以下、PIと称することがある)を得た。
[塗液1]水溶性アクリル-ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製 ペスレジンA-643GEX)の水溶液(固形分重量2重量%)を65重量部、メチルセルロース系樹脂(信越化学(株)製 SM-15)の水溶液(固形分重量2重量%)を20重量部、平均粒子径が30nmであるポリメタクリル酸メチル粒子の水分散液(固形分重量2重量%)を10重量部、ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテルの水溶液(固形分重量2重量%)を5重量部混合することで得られる。
(実施例1)
PET-1を180℃で2時間半減圧乾燥した後、押出機に供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、ダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて、37℃に保ったキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、E値が160W・min/mとなる条件で大気圧グロー放電処理を行った。
処理後の未延伸フィルムを逐次二軸延伸機により表2に記載の条件にて、長手方向に3.3倍(330%)、および幅方向にそれぞれ3.6倍(360%)、トータルで11.9倍延伸しその後、定長下240℃で熱処理した。その後、幅方向に弛緩処理を施し、厚み18μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す。すべり性はやや劣るものの好ましい範囲内であり、傷つき耐性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性ともに良好なフィルムであった。
(実施例2-5) 実施例2~4を比較例12~14と読み替える。
製膜条件を表2、表3の通り変えた以外は、実施例1と同様にして厚み18μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す。
実施例2では熱処理温度を実施例1より低下させたところ、高さ3nm以上20nm未満の突起個数が低下することで突起個数比率であるB/Aが減少した。傷つき耐性が実施例1より低下するものの、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性含め良好なフィルムであった。
実施例3では熱処理温度を実施例1より上昇させたところ、高さ1nm以上2nm未満の突起個数が減少することで突起個数比率であるB/Aが増加した。すべり性、ブロッキング耐性が実施例1対比で低下し、製膜安定性も悪化したが実用の範囲内であった。また、傷つき耐性、フォトレジスト特性ともに良好なフィルムであった。
実施例4では、機械延伸倍率を長手方向に4.0倍(400%)、幅方向に4.5倍(450%)とし、トータルで18.0倍延伸したところ、延伸による突起成長が進み実施例1よりも高さ1nm以上2nm未満の突起個数が減少することで突起個数比率であるB/Aが増加した。すべり性、ブロッキング耐性が実施例1対比で低下するものの実用の範囲内であり、傷つき耐性、製膜性、フォトレジスト特性ともに良好なフィルムであった。
実施例5では実施例1よりテンター温度を表3に従い段階的に上昇させたところ、高さ1nm以上2nm未満の突起個数が大幅に増加し、突起個数比率であるB/Aが減少、結果、すべり性、傷つき耐性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性全てにおいて問題の無いフィルムとなった。
(実施例6、7)
実施例6、7では、低面積倍率条件として、機械延伸倍率を長手方向に3.3倍(330%)、幅方向に3.6倍(360%)の条件(実施例6)、および高面積倍率条件として、長手方向に4.0倍(400%)、幅方向に4.5倍(450%)の条件(実施例7)の下、表2、表3に記載の条件に従いテンター熱処理ゾーンにて延伸を行った。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す。
実施例6は実施例1対比で、実施例7は実施例4対比で高さ1nm以上2nm未満の突起個数が減少することで突起個数比率であるB/Aが増加、金属摩擦係数も低下した。結果、すべり性、傷つき耐性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性全てにおいて問題の無いフィルムとなった。
(実施例8、9)
実施例8、9では、それぞれ実施例5および実施例7から、「フィルムの横テン化」として表2、表3に記載の条件に従い、機械延伸倍率を長手方向に3.6倍(360%)、幅方向に4.5倍(450%)に設定した。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す。結果、実施例8、9どちらもすべり性、傷つき耐性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性全てにおいて問題の無いフィルムとなった。
(実施例10、11)
実施例10、11では、同様にP1層原料として、PET-1を、P2層原料としてPET-2を180℃で2時間半減圧乾燥した後、押出機に供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、ダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いた以外は実施例1と同様にして実施例10(2層構成)、実施例11(3層構成)のフィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りであり、実施例10、11どちらもすべり性、傷つき耐性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性全てにおいて問題の無いフィルムとなった。
(実施例12~14)
P1層の原料を、ポリイミド樹脂を主成分とするPET樹脂との混合体(PIとPETの混合体;融点255℃)に変更(実施例12)、ポリプロピレン樹脂(PP;融点165℃)に変更(実施例13)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS;融点280℃)に変更(実施例14)し、表2、表3の通り製膜条件を変更した以外は実施例7と同様に二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りであり、PIを用いた実施例12はフォトレジスト特性が実施例7に比べて干低下したものの実用性には問題なく、実施例12~14ともすべり性、傷つき耐性、製膜安定性、ブロッキング耐性全てにおいて問題の無いフィルムとなった。
(実施例15)
P1層の原料にPET-1と微小シリカ粒子マスタペレットであるMB-Aを微小シリカ粒子が表1記載の量となるように配合し、押出機に供給した以外は実施例10と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りであり、実施例15は突起個数比率であるB/Aが実施例10に対して増加し、傷つき耐性、ブロッキング耐性がやや劣るものの実用上問題なく、またすべり性、製膜安定性、フォトレジスト特性は問題の無いフィルムとなった。
(実施例16)
P1層の原料をPET-2とした以外は、実施例8と同様にして厚み18μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す。P1層に固有粘度(IV)が低いポリエステル樹脂を用いることで突起形成の進行が抑制されるが、高さ1nm以上2nm未満の突起個数が減少することで突起個数比率であるB/Aが増加し、すべり性が僅かに低下するものの実用上問題なく、傷つき耐性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性に優れたフィルムとなった。
(実施例17、18)
表3に記載の通り、フィルム厚みが30μmである以外は実施例8、9と同様にして、それぞれ実施例17、実施例18を得た。得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの物性、表面突起形状、特性評価は表6、表7に示す通りである。実施例17、18は実施例8、9と同等にすべり性、傷つき耐性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性全てにおいて問題の無いフィルムとなった。
実施例17、18の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムに、上述した方法にて、グリーンシート成形の支持体用フィルムを想定したグリーンシート評価を実施したところ、表6、7に示す通りどちらも良好な結果であり、グリーンシート成形の支持体用フィルムとして好適に用いることができる。
(実施例19、20)
表3に記載の通り、フィルム厚みが4.5μmである以外は実施例8、9と同様にして、それぞれ実施例19、実施例20を得た。得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの物性、表面突起形状、特性評価は表6、表7に示す通りである。実施例19、20は実施例8、9と同等にすべり性、傷つき耐性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性全てにおいて問題の無いフィルムとなった。
実施例19、20の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムに、上述した方法にて、磁気記録媒体用ベースフィルムを想定したエラーレート評価を実施したところ、表6、7に示す通りどちらも良好な結果であり、磁気記録媒体用ベースフィルムとして好適に用いることができる。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で未延伸フィルムを得た後、大気圧グロー放電処理を行わずに逐次二軸延伸機へと導入したこと以外は実施例1と同様の方法で二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りであり。大気圧グロー放電処理を実施していないため、突起形成が不十分で突起個数比率であるB/Aが0まで低下、結果、すべり性、傷つき耐性、ブロッキング耐性が大幅に劣るフィルムとなった。
(比較例2)
実施例4と同様の方法で未延伸フィルムを得た後、大気圧グロー放電処理を行わずに逐次二軸延伸機へと導入したこと以外は実施例1と同様の方法で二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りである。大気圧グロー放電処理を実施していないため、突起形成が不十分で突起個数比率であるB/Aが0まで低下、結果、すべり性、傷つき耐性、ブロッキング耐性が大幅に劣るフィルムとなった。
(比較例3)
実施例1より、熱処理温度を255℃まで上昇させる以外は実施例1と同様の方法で二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りである。高さ3nm以上20nm未満の突起個数が増加することで突起個数比率であるB/Aが5を超えるまで増加し、すべり性が大幅に悪化。一方、熱処理温度がポリエステル樹脂の融点近傍まで上げたため、テンター出口でのフィルム破れが多発し安定な製膜は実施できなかった。またブロッキング耐性に関しても、高さ1nm以上10nm未満の突起の個数をDは実施例1から低下するもロールからのフィルム巻き出しは実用上問題なかったが、突起高さが10nm以上の突起が存在することでロールに表面欠点が頻発した。
(比較例4)
実施例1より、熱処理温度を200℃まで低下させる以外は実施例1と同様の方法で二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りである。高さ3nm以上20nm未満の突起個数が低下することで突起個数比率であるB/Aが0まで低下、結果、すべり性、傷つき耐性が大幅に劣るフィルムとなった。
(比較例5)
P1層の原料としてPET-1と大径シリカ粒子マスタペレットであるMB-Bを大径シリカ粒子が表1記載の量になるように配合し、またP2層の原料としてPET-1を押出機に供給した以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りである。最大突起高さが20nmを超え、ヘイズが上昇し、フォトレジスト特性が大幅に劣り、またロールからのフィルム巻き出しは容易であるものの、フィルム表面に突起高さ20nm以上の突起に由来する表面欠点が多発しブロッキング耐性に劣るフィルムとなった。
(比較例6)
P1層の原料としてPET-1と、添加剤として結晶核剤であるステアリン酸ナトリウム(結晶核剤‐1)を表1記載の量になるように配合した以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りである。高さ1nm以上2nm未満の突起の個数Aが低減する一方で、高さ3nm以上20nm未満の突起の個数Bが増加することで突起個数比率であるB/Aが増加することで、すべり性は実施例1より悪化した。一方で、添加剤由来の表面異物が多く発生することでヘイズが上昇しフォトレジスト特性が大幅に悪化した。また高さ1nm以上10nm未満の突起の個数をDが減少すると共に、高さが10nm以上の突起が多く存在することで、表面欠点が多発しておりブロッキング耐性が大幅に悪化した。
(比較例7)
実施例1と同様の方法で未延伸フィルムを得た後、大気圧グロー放電処理を行わずに逐次二軸延伸機へと導入する際に、長手方向に3.3倍(330%)に延伸した後に塗液1を塗布し、次いで幅方向に3.6倍(360%)に延伸し乾燥することで厚さ0.3μmの塗布層を有する二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの物性、表面突起形状、特性評価を表4、表5に示す通りであり、すべり性、製膜安定性、フォトレジスト特性、ブロッキング耐性は実用上問題ないものの、コート層が削れることによる傷が多発し、傷つき耐性が大幅に悪化した。
(比較例8、9)
表3に記載の通り、フィルム厚みが30μmである以外は比較例1、2と同様にして、それぞれ比較例8、比較例9をそれぞれ得た。得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの物性、表面突起形状、特性評価は表6、表7に示す通りである。比較例8、9は比較例1、2と同等にすべり性、傷つき耐性、ブロッキング耐性が大幅に劣るフィルムとなった。
比較例8、9の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムに、上述した方法にて、グリーンシート成形の支持体用フィルムを想定したグリーンシート評価を実施したところ、工程ロールや巻取り時のフィルム間での摩擦により表面にキズが多く発生しており、表6、7に示す通りどちらも実施例17、18に比べグリーンシート評価が大幅に劣る結果となった。
(比較例10、11)
表3に記載の通り、フィルム厚みが4.5μmである以外は比較例1、2と同様にして、それぞれ比較例10、比較例11をそれぞれ得た。得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの物性、表面突起形状、特性評価は表6、表7に示す通りである。比較例10、11は比較例1、2と同等にすべり性、傷つき耐性、ブロッキング耐性が大幅に劣るフィルムとなった。
比較例10、11のフィルムに上述した方法にて、磁気記録媒体用ベースフィルムを想定したエラーレート評価を実施したところ、工程ロールや巻取り時のフィルム間での摩擦により表面にキズが多く発生しており、表6、7に示す通りどちらも実施例19、20に比べエラーレート評価が大幅に劣るフィルムであった。
Figure 0007247585000001
Figure 0007247585000002
Figure 0007247585000003
Figure 0007247585000004
Figure 0007247585000005
Figure 0007247585000006
Figure 0007247585000007
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは良好な透明性、平滑性、易滑性を有し、さらに製膜・加工工程における傷つき耐性も向上させることができるため、片面に感光樹脂組成物を体積して使用されるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムや光学デバイス基材用フィルム、セラミックコンデンサー用離型フィルム、磁気記録媒体用フィルムとして好適に用いることができる。
1.突起形成処理を施した層(P1層)
2.AFM解析における基準面(高さ0nm)
3.高さ1nm線(R1nm
4.高さ2nm線(R2nm
5.高さ3nm線(R3nm
6.最大突起高さ(Rtop
7.高さ20nm線(R20nm
8.P2層
9.P3層
10.高さ1nmの位置における突起の断面

Claims (10)

  1. 少なくとも片側の表面が、以下の(1)~(3)を満たす二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
    (1)最大突起高さが20nm未満であり、高さ1nm以上2nm未満の突起の個数をA(個/mm)、高さ3nm以上20nm未満の突起の個数をB(個/mm)とした場合に、B/Aが0.010以上2.000以下
    (2)高さ1nm以上2nm未満の突起の個数Aが1.0×10 個/mm 以上1.0×10 個/mm 以下
    (3)二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂のいずれかを主成分とする
  2. 前記表面が、高さ2nm以上3nm未満の突起の個数をC(個/mm)とした場合、C/Aが0.100以上2.000以下である請求項1に記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 前記表面の算術平均粗さRaが3.0nm以下である請求項1または2に記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 前記表面を有する層が実質的に粒子を含有しない請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 前記表面の突起において高さ1nmにおける突起断面の円相当径の平均値が15nm以上30nm以下である請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  6. 前記表面の高さ1nm以上10nm未満の突起の個数をD(個/mm)とした場合、突起個数Dが5.0×10~6.0×10個/mmである請求項1~のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  7. 離型用フィルムとして用いられる請求項1~のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  8. ドライフィルムレジスト支持体用フィルムとして用いられる請求項1~のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  9. 積層セラミックコンデンサーを製造する工程においてグリーンシート成形の支持体用フィルムとして用いられる請求項1~のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  10. 磁気記録媒体用ベースフィルムに用いられる、請求項1~のいずれかに記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
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