JPH022591B2 - - Google Patents
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- JPH022591B2 JPH022591B2 JP56098128A JP9812881A JPH022591B2 JP H022591 B2 JPH022591 B2 JP H022591B2 JP 56098128 A JP56098128 A JP 56098128A JP 9812881 A JP9812881 A JP 9812881A JP H022591 B2 JPH022591 B2 JP H022591B2
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- C12Y101/01—Oxidoreductases acting on the CH-OH group of donors (1.1) with NAD+ or NADP+ as acceptor (1.1.1)
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Description
【発明の詳細な説明】
本発明は、L−カルニチンの製造法に関する。
さらに詳しくは、本発明はγ−ブチロベタインに
ヒドロキシラーゼを反応させることによりL−カ
ルニチンを酵素反応的に製造する方法に関する。 カルニチン(β−ヒドロキシ−γ−トリメチル
−アミノ酪酸)が不整中心を有し、それゆえカル
ニチンにはD体およびL体の2種類の立体異性体
が存在することはよく知られている。 L−カルニチンは通常正体内に存在し、活性化
した長鎖のフリー脂肪酸をミトコンドリアの膜か
ら通過させるキヤリヤーとしての働きを有する。
ミトコンドリアの膜はアシルCoA誘導体または
長鎖脂肪酸などを通過させないが、これらがL−
カルニチンでエステル化されると該膜を通過でき
るようになる。すなわちL−カルニチンは、活性
長鎖脂肪酸をそれが生合成された部位(たとえば
ミクロソーム)からそれが酸化される部位である
ミトコンドリアへ移送する働きおよびその酸化に
よつて生成したアセチルCoAをミトコンドリア
からその外側(そこで長鎖脂肪酸が合成される)
へ移送される働きの2つのキヤリヤーとしての機
能を有する。なお、ミクロソームにおいてアセチ
ルCoAはコレステロールおよび脂肪酸を合成す
るために使われる。 カルニチンは左旋性の異性体(L−カルニチ
ン)のみが天然物の形態(実際、ホ乳類の組織に
関するかぎりD−カルニチンは検出されていな
い)であるにもかかわらず、D体およびL体の混
合物(ラセミ体)のカルニチンが長年にわたり
種々の症候に対して用いられてきた。たとえばヨ
ーロツパにおいてはカルニチンのラセミ体は食欲
増進剤に製剤されて販売されており、またそれが
子供の成長の速度を促進する効果を有することが
報告されている(たとえばボルニケ(Borniche)
らの論文(Clinic Chemica Acta、5、171〜176
(1960))およびアレクサンダー(Alexander)ら
の1958年ブルジエにおける第6回「体液中におけ
るタンパク質」に関する討論会要旨集306〜310頁
(“Protides in the Biological Fluids”、6th
Colloquium、Bruges、1958、306〜310)参照)。
また米国特許3830931号明細書にはカルニチンの
ラセミ体の投与によつてしばしば心筋症の収縮性
やうつ血症の心臓疾患における心筋収縮の律動性
が改善されることが開示されている。さらに米国
特許第3810994号明細書には肥満症の治療に対し
てカルニチンのラセミ体や効果を有することが開
示されている。 しかし最近、少なくともいくつかの治療学的使
用に対しては左旋性の異性体であるL−カルニチ
ンのみを使用する方が効果的であることが次第に
明らかにされ、その重要性に対する関心が高まり
つつある。実際、D−カルニチンはカルニチン−
アセチル−トランスフアラーゼ(CAT)やカル
ニチン−バルミチル−トランスフアラーゼ
(PTC)などのカルニチン結合酵素
(carnitinelinked enzyme)に対する競争的抗働
質(competitive inhibitor)であることが明らか
にされてきている。さらには、D−カルニチンが
心臓組織におけるL−カルニチンの濃度を不足さ
せるという報告も最近なされている。したがつて
心臓症や脂肪血症に対する薬物的治療に際して
は、カルニチンのL体のみを患者に投与するのが
本来である。 カルニチンを工業的スケールで製造するための
製造方法が数多く提案されてきた。カルニチンを
化学的合成法によつて製造したばあい、カルニチ
ンはD体およびL体のラセミ混合物としてのみう
ることが可能である。したがつてL−カルニチン
をうるためにはラセミ体を光学分割しなければな
らない。 その光学分割の方法のなかでも代表的なものは
ベルギー特許第660039号明細書に開示されている
D、L−カルニチンアミド塩酸塩を出発物質とし
て用いる方法である。その方法はD、L−カルニ
チンアミド塩酸塩にD−シヨウノウ酸(D−
camphoric acid)を作用させて相当するD−シ
ヨウノウ酸エステルとしたのち、アルコールを溶
媒として用いて分別結晶せしめ、最初に沈澱して
くる固体からL体をうることからなつている。 この方法では、D、LカルニチンアミドのD−
シヨウノウ酸エステルを形成せしめるためにD−
シヨウノウ酸はアンモニアを用いて相当するアン
モニウム塩に変換したのち、生成したD−シヨウ
ノウ酸のアンモニウム塩をつぎに硝酸銀を加える
ことによつてD−シヨウノウ酸の銀塩に変換させ
る必要がある。カルニチンアミドは塩酸塩の形に
なつているので、D−シヨウノウ酸の銀塩と反応
させたばあいその塩素イオンは硝酸銀となつて沈
澱するため大部分を除去できる。したがつてこの
方法は銀化合物の使用が必要であるため非常に高
価であり、また工業的スケールで行なうばあい生
成した多量の硝酸銀により反応液がいちじるしく
暗色化されることを避けるためにほとんどの製造
工程が遮光下で行なわなければならないという欠
点がある。それに加えて、D、L−カルニチンア
ミドのD−シヨウノウ酸エステルが銀イオンによ
つて汚染されてしまうという欠点ある。さらに
は、アルコール溶媒から分別結晶によつてL−カ
ルニチンアミドのD−シヨウノウ酸エステルをえ
たのち、最終的にL−カルニチンに変換するまで
に数工程を要する。 ごく最近のフランス特許出願第7722183号明細
書にL−カルニチンのみを選択的に合成する方法
開示されている。その方法は、 (a) カルニチン脱水素化酵素(カルニチンデヒド
ロゲナーゼ)、 (b) たとえばニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チド(NAD)などに代表される脱水素化酵素
の還元に使用される補酵素および (c) 酸化型であるNADをその還元型、すなわち
NADHに還元するのに好適な化学的または酵
素学的な試薬 を用いて、式: で表わされるデヒドロカルニチンを不整還元する
ことを特徴としている。なお、カルニチン脱水素
はシユードモナス属のバクテリアから単離され
る。 製薬学上の見地からは、この製造法はバクテリ
アを利用した種々の製造法と同様ないくつかの欠
点がある。それらの欠点をつぎにあげる。 (1) 該方法の酵素源は高価であり、複雑な精製工
程によつて注意深く精製して用いなければなら
ず、とくに工業的スケールで精製を行なうばあ
いにはその欠点が顕著になる。 (2) 製造されるL−カルニチンも同様に充分な精
製が必要であり、毒性を有し非衛生的なバクテ
リアの代謝産物やその他の汚染物から分離しな
ければならない。 (3) NADH(高価な反応体)がバクテリア細胞壁
を通過しないので無傷のバクテリアを用いたば
あい、NADHは反応を活性化することができ
ない。 本発明者は反応に用いる酵素源としてバクテリ
ア以外のものを用いてL−カルニチンを選択的に
製造する方法を提供すべく鋭意研究を重ねた結
果、ヒドロキシラーゼ酵素を有するニユーロスポ
ラ・クラツサ(Neurospora crassa)の胞子が水
酸供与性の溶媒中2−オキソグルタル酸ナトリウ
ム、第一鉄イオンおよび還元剤の存在下でγ−ブ
チロベタインと接触したばあい、γ−ブチロベタ
インがほとんど純粋なL−カルニチンのみに選択
的に変換されることを見出し、本発明を完成する
にいたつた。 式: (CH3)3N+−CH2−CH2−CH2−COO- で表わされるγ−ブチロベタインは公知物質であ
り、化学的な合成法によつてたやすく調製するこ
とができる(γ−ブチロベタインの製造法は、た
とえばCan.J.Chem.、54、3310−3311、(1976)
を参照)。 生体中において、γ−ブチロベタインがL−カ
ルニチンにヒドロキシル化されることは知られて
いる。実際、ここ2〜3年の研究によつて、カル
ニチンがつぎの機構にしたがつて生合成されるこ
とが明確にされてきている。 またラツトの肝臓から単離され、部分的に精製
された溶解性のタンパクのフラクシヨンによつて
γ−ブチロベタインがL−カルニチンにヒドロキ
シル化されることも報告されている。
(Biochemistry、6、(5)、1271〜1282(1967)参
照)。 しかしながら、ニユーロスポラ・クラツサの胞
子中にγ−ブチロベタインのヒドロキシラーゼ酵
素が存在し、その胞子を物理化学的に(chemico
−physically)または機械的に処理することによ
つてその構成が一部変化したヒドロキシラーゼが
放出され、それがγ−ブチロベタインの変換に用
いうることは知られていない。 本発明はγ−ブチロベタインにヒドロキシラー
ゼ酵素を反応させることによるL−カルニチンの
製造法、さらに詳しくは、ニユーロスポラ・クラ
ツサの胞子から放出された物質からなる相に(a)γ
−ブチロベタイン、(b)2−オキソグルタル酸ナト
リウム、(c)還元剤および(d)ヒドロキシル化の触媒
源である第一鉄イオンの水酸基供与性溶媒の溶液
を接触させる工程からなることを特徴とするL−
カルニチンの製造法を提供することを目的とす
る。 相に含まれる胞子から放出される物質は胞子を
洗浄剤(detergent)で物理化学的に処理するか
または胞子を超音波崩壊などで機械的に処理する
ことによつてえられる。 L−カルニチンの収率をさらに向上させるため
に前記溶液に(e)カタラーゼを加えることもでき
る。 γ−ブチロベタイン、2−オキソグルタル酸ナ
トリウム、還元剤およびヒドロキシル化の触媒を
溶解させるための溶媒は水、緩衝液、炭素原子数
1〜4個を有する低級アルコールおよびそれらの
混合物よりなる群から選ばれるが、なかんづくPH
7のリン酸カリウム緩衝液が好ましい。 本発明に用いる還元剤は第二鉄イオン(Fe3+)
を第一鉄イオン(Fe2+)に還元するのに好適な
各種の還元剤が用いられる。第一鉄イオンはニユ
ーロスポラ・クラツサの胞子中に含まれているヒ
ドロキシラーゼ酵素によるγ−ブチロベタインの
ヒドロキシル化反応の触媒として働く。したがつ
て二鉄イオンが生成しても、そのものはただちに
第一鉄イオンに変換される。これらの還元剤はと
くに限定されないが、好ましくはアルカリ金属の
亜二チオン酸塩、アスコルビン酸またはその金属
塩などがあげられる。 第一鉄イオン源としてはヒドロキシラーゼ酵素
の活性を失活しないようなアニオン部を有する水
溶性の鉄塩が用いられうる。好ましい第一鉄源と
しては硫酸第一鉄(FeSO4)、硫酸第一鉄アンモ
ニウム((NH4)2Fe(SO4)2)またはチオシアン酸
第一鉄(Fe(SCN)2)などの第一鉄塩があげられ
るが、なかんづく硫酸第一鉄が好ましい。 あらゆる菌株のニユーロスポラ・クラツサの胞
子が本発明に用いうるが、とくにATCC9279、
ATCC13837、ATCC15514またはATCC24924の
菌株が本発明には好ましい。ニユーロスポラ・ク
ラツサの胞子の増殖、単離および精製は微生物学
のごく普通の専門家が有する一般的な技術によつ
て簡便に行ないうるが、好ましくは、エム・コル
タツト(M.Cortat)らの論文(“Cornidiation
of Neurospora crassa in Submerged Culture
without Mycelial Phase”、Aroh.Microbiol.、
95、305〜309(1974)参照)に開示されている方
法にしたがうのがよい。 かくして増殖し、単離された胞子はその酵素活
性を失なつたりまたはほとんど減少してしまつた
りすることなしに保存される。胞子はトライトン
X−100(TritonX−100)などの洗浄剤で処理す
るかまたは超音波崩壊器などの機械的方法によつ
て処理される。この処理によりヒドロキシラーゼ
酵素が放出され、そのものからヒドロキシラーゼ
酵素を含有する相がえられる。該相は処理された
胞子の残遺物を含有した状態または含有していな
い状態で本発明に用いられる。 つぎに実施例をあげて本発明を説明するが、本
発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。 実施例 5〜30pモル/mlの酵素濃度に調節した胞子処
理物質含有相、γ−ブチロベタイン2〜14mmo
、硫酸第一鉄アンモニウム0.6〜2mmo、ア
スコルビン酸ナトリウム10〜14mmo、2−オ
キソグル酸ナトリウム1.4〜3mmoおよびカタ
ラーゼをリン酸カリウム14mmoの緩衝液(PH
7)にその濃度が1〜1.4g/となるように加
えて調製した溶液を反応容器に添加した。この混
合物を37℃で30〜60分間培養したのち、反応液を
0.7ミリポアのフイルターで過した。 液中のL−カルニチンはデビツド・ジエイ・
ピアスン(Devid J.Pearson)らの方法で分析し
た(“Method of Enzymatic Analysis”、第4巻
(第2版)、1974年、1758頁、Academic Press
Inc.参照)。その分析値からL−カルニチンが約
80%の収率で生成していることがわかつた。 この液を常法により処理してえられる有機物
残渣は未反応のγ−ブチロベタインおよびL−カ
ルニチンの混合物であつた。該混合物はゲラン・
リントシユテツト(Go¨ran Lindstedt)が開示し
ている方法(Biochemistry、6、(5)、1271〜
1281(1967)参照)によつて処理しL−カルニチ
ンを単離した。 えられたL−カルニチンは生体系から抽出され
るL−カルニチンと同じ光学的性質を示した。 本発明の方法は、従来なされてきた方法にくら
べていくつかの点ですぐれている。それらの長所
を以下にあげる。 (1) 従来の化学的な方法ではカルニチンはD体お
よびL体のラセミ混合物としてえられるのに対
し、本発明の方法によればL−カルニチンのみ
を選択的にかつ高収率(約80%)でうることが
できる。そのためラセミ混合物を左施性と右施
性の物質に光学分割し、ついで後者を再びラセ
ミ化し、さらに光学分割に供する必要がない。 (2) 従来のバクテリアを酵素源として用いる方法
にくらべて、本発明の方法は使用する酵素源な
らびに生成したL−カルニチンを精製するとき
のわずらわしさがなく、しかも安価である。ま
たヒドロキシラーゼ酵素を胞子処理物から単離
する必要がなく、安全に操作が行ないえ、えら
れるL−カルニチンはほとんど純粋な結晶であ
る。いいかえれば、従来のバクテリアを使用す
る方法において不可欠であつたバクテリアおよ
びバクテリア代謝産物などの汚染物質をL−カ
ルニチンから除去する必要がない。 (3) ニユーロスポラ・クラツサの胞子は大量に製
造することができ、しかも乾燥した形で保存で
きる。さらにそれらは、ほとんどその酵素活性
を失なうことなく必要なときに取り出して用い
ることができる。
さらに詳しくは、本発明はγ−ブチロベタインに
ヒドロキシラーゼを反応させることによりL−カ
ルニチンを酵素反応的に製造する方法に関する。 カルニチン(β−ヒドロキシ−γ−トリメチル
−アミノ酪酸)が不整中心を有し、それゆえカル
ニチンにはD体およびL体の2種類の立体異性体
が存在することはよく知られている。 L−カルニチンは通常正体内に存在し、活性化
した長鎖のフリー脂肪酸をミトコンドリアの膜か
ら通過させるキヤリヤーとしての働きを有する。
ミトコンドリアの膜はアシルCoA誘導体または
長鎖脂肪酸などを通過させないが、これらがL−
カルニチンでエステル化されると該膜を通過でき
るようになる。すなわちL−カルニチンは、活性
長鎖脂肪酸をそれが生合成された部位(たとえば
ミクロソーム)からそれが酸化される部位である
ミトコンドリアへ移送する働きおよびその酸化に
よつて生成したアセチルCoAをミトコンドリア
からその外側(そこで長鎖脂肪酸が合成される)
へ移送される働きの2つのキヤリヤーとしての機
能を有する。なお、ミクロソームにおいてアセチ
ルCoAはコレステロールおよび脂肪酸を合成す
るために使われる。 カルニチンは左旋性の異性体(L−カルニチ
ン)のみが天然物の形態(実際、ホ乳類の組織に
関するかぎりD−カルニチンは検出されていな
い)であるにもかかわらず、D体およびL体の混
合物(ラセミ体)のカルニチンが長年にわたり
種々の症候に対して用いられてきた。たとえばヨ
ーロツパにおいてはカルニチンのラセミ体は食欲
増進剤に製剤されて販売されており、またそれが
子供の成長の速度を促進する効果を有することが
報告されている(たとえばボルニケ(Borniche)
らの論文(Clinic Chemica Acta、5、171〜176
(1960))およびアレクサンダー(Alexander)ら
の1958年ブルジエにおける第6回「体液中におけ
るタンパク質」に関する討論会要旨集306〜310頁
(“Protides in the Biological Fluids”、6th
Colloquium、Bruges、1958、306〜310)参照)。
また米国特許3830931号明細書にはカルニチンの
ラセミ体の投与によつてしばしば心筋症の収縮性
やうつ血症の心臓疾患における心筋収縮の律動性
が改善されることが開示されている。さらに米国
特許第3810994号明細書には肥満症の治療に対し
てカルニチンのラセミ体や効果を有することが開
示されている。 しかし最近、少なくともいくつかの治療学的使
用に対しては左旋性の異性体であるL−カルニチ
ンのみを使用する方が効果的であることが次第に
明らかにされ、その重要性に対する関心が高まり
つつある。実際、D−カルニチンはカルニチン−
アセチル−トランスフアラーゼ(CAT)やカル
ニチン−バルミチル−トランスフアラーゼ
(PTC)などのカルニチン結合酵素
(carnitinelinked enzyme)に対する競争的抗働
質(competitive inhibitor)であることが明らか
にされてきている。さらには、D−カルニチンが
心臓組織におけるL−カルニチンの濃度を不足さ
せるという報告も最近なされている。したがつて
心臓症や脂肪血症に対する薬物的治療に際して
は、カルニチンのL体のみを患者に投与するのが
本来である。 カルニチンを工業的スケールで製造するための
製造方法が数多く提案されてきた。カルニチンを
化学的合成法によつて製造したばあい、カルニチ
ンはD体およびL体のラセミ混合物としてのみう
ることが可能である。したがつてL−カルニチン
をうるためにはラセミ体を光学分割しなければな
らない。 その光学分割の方法のなかでも代表的なものは
ベルギー特許第660039号明細書に開示されている
D、L−カルニチンアミド塩酸塩を出発物質とし
て用いる方法である。その方法はD、L−カルニ
チンアミド塩酸塩にD−シヨウノウ酸(D−
camphoric acid)を作用させて相当するD−シ
ヨウノウ酸エステルとしたのち、アルコールを溶
媒として用いて分別結晶せしめ、最初に沈澱して
くる固体からL体をうることからなつている。 この方法では、D、LカルニチンアミドのD−
シヨウノウ酸エステルを形成せしめるためにD−
シヨウノウ酸はアンモニアを用いて相当するアン
モニウム塩に変換したのち、生成したD−シヨウ
ノウ酸のアンモニウム塩をつぎに硝酸銀を加える
ことによつてD−シヨウノウ酸の銀塩に変換させ
る必要がある。カルニチンアミドは塩酸塩の形に
なつているので、D−シヨウノウ酸の銀塩と反応
させたばあいその塩素イオンは硝酸銀となつて沈
澱するため大部分を除去できる。したがつてこの
方法は銀化合物の使用が必要であるため非常に高
価であり、また工業的スケールで行なうばあい生
成した多量の硝酸銀により反応液がいちじるしく
暗色化されることを避けるためにほとんどの製造
工程が遮光下で行なわなければならないという欠
点がある。それに加えて、D、L−カルニチンア
ミドのD−シヨウノウ酸エステルが銀イオンによ
つて汚染されてしまうという欠点ある。さらに
は、アルコール溶媒から分別結晶によつてL−カ
ルニチンアミドのD−シヨウノウ酸エステルをえ
たのち、最終的にL−カルニチンに変換するまで
に数工程を要する。 ごく最近のフランス特許出願第7722183号明細
書にL−カルニチンのみを選択的に合成する方法
開示されている。その方法は、 (a) カルニチン脱水素化酵素(カルニチンデヒド
ロゲナーゼ)、 (b) たとえばニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チド(NAD)などに代表される脱水素化酵素
の還元に使用される補酵素および (c) 酸化型であるNADをその還元型、すなわち
NADHに還元するのに好適な化学的または酵
素学的な試薬 を用いて、式: で表わされるデヒドロカルニチンを不整還元する
ことを特徴としている。なお、カルニチン脱水素
はシユードモナス属のバクテリアから単離され
る。 製薬学上の見地からは、この製造法はバクテリ
アを利用した種々の製造法と同様ないくつかの欠
点がある。それらの欠点をつぎにあげる。 (1) 該方法の酵素源は高価であり、複雑な精製工
程によつて注意深く精製して用いなければなら
ず、とくに工業的スケールで精製を行なうばあ
いにはその欠点が顕著になる。 (2) 製造されるL−カルニチンも同様に充分な精
製が必要であり、毒性を有し非衛生的なバクテ
リアの代謝産物やその他の汚染物から分離しな
ければならない。 (3) NADH(高価な反応体)がバクテリア細胞壁
を通過しないので無傷のバクテリアを用いたば
あい、NADHは反応を活性化することができ
ない。 本発明者は反応に用いる酵素源としてバクテリ
ア以外のものを用いてL−カルニチンを選択的に
製造する方法を提供すべく鋭意研究を重ねた結
果、ヒドロキシラーゼ酵素を有するニユーロスポ
ラ・クラツサ(Neurospora crassa)の胞子が水
酸供与性の溶媒中2−オキソグルタル酸ナトリウ
ム、第一鉄イオンおよび還元剤の存在下でγ−ブ
チロベタインと接触したばあい、γ−ブチロベタ
インがほとんど純粋なL−カルニチンのみに選択
的に変換されることを見出し、本発明を完成する
にいたつた。 式: (CH3)3N+−CH2−CH2−CH2−COO- で表わされるγ−ブチロベタインは公知物質であ
り、化学的な合成法によつてたやすく調製するこ
とができる(γ−ブチロベタインの製造法は、た
とえばCan.J.Chem.、54、3310−3311、(1976)
を参照)。 生体中において、γ−ブチロベタインがL−カ
ルニチンにヒドロキシル化されることは知られて
いる。実際、ここ2〜3年の研究によつて、カル
ニチンがつぎの機構にしたがつて生合成されるこ
とが明確にされてきている。 またラツトの肝臓から単離され、部分的に精製
された溶解性のタンパクのフラクシヨンによつて
γ−ブチロベタインがL−カルニチンにヒドロキ
シル化されることも報告されている。
(Biochemistry、6、(5)、1271〜1282(1967)参
照)。 しかしながら、ニユーロスポラ・クラツサの胞
子中にγ−ブチロベタインのヒドロキシラーゼ酵
素が存在し、その胞子を物理化学的に(chemico
−physically)または機械的に処理することによ
つてその構成が一部変化したヒドロキシラーゼが
放出され、それがγ−ブチロベタインの変換に用
いうることは知られていない。 本発明はγ−ブチロベタインにヒドロキシラー
ゼ酵素を反応させることによるL−カルニチンの
製造法、さらに詳しくは、ニユーロスポラ・クラ
ツサの胞子から放出された物質からなる相に(a)γ
−ブチロベタイン、(b)2−オキソグルタル酸ナト
リウム、(c)還元剤および(d)ヒドロキシル化の触媒
源である第一鉄イオンの水酸基供与性溶媒の溶液
を接触させる工程からなることを特徴とするL−
カルニチンの製造法を提供することを目的とす
る。 相に含まれる胞子から放出される物質は胞子を
洗浄剤(detergent)で物理化学的に処理するか
または胞子を超音波崩壊などで機械的に処理する
ことによつてえられる。 L−カルニチンの収率をさらに向上させるため
に前記溶液に(e)カタラーゼを加えることもでき
る。 γ−ブチロベタイン、2−オキソグルタル酸ナ
トリウム、還元剤およびヒドロキシル化の触媒を
溶解させるための溶媒は水、緩衝液、炭素原子数
1〜4個を有する低級アルコールおよびそれらの
混合物よりなる群から選ばれるが、なかんづくPH
7のリン酸カリウム緩衝液が好ましい。 本発明に用いる還元剤は第二鉄イオン(Fe3+)
を第一鉄イオン(Fe2+)に還元するのに好適な
各種の還元剤が用いられる。第一鉄イオンはニユ
ーロスポラ・クラツサの胞子中に含まれているヒ
ドロキシラーゼ酵素によるγ−ブチロベタインの
ヒドロキシル化反応の触媒として働く。したがつ
て二鉄イオンが生成しても、そのものはただちに
第一鉄イオンに変換される。これらの還元剤はと
くに限定されないが、好ましくはアルカリ金属の
亜二チオン酸塩、アスコルビン酸またはその金属
塩などがあげられる。 第一鉄イオン源としてはヒドロキシラーゼ酵素
の活性を失活しないようなアニオン部を有する水
溶性の鉄塩が用いられうる。好ましい第一鉄源と
しては硫酸第一鉄(FeSO4)、硫酸第一鉄アンモ
ニウム((NH4)2Fe(SO4)2)またはチオシアン酸
第一鉄(Fe(SCN)2)などの第一鉄塩があげられ
るが、なかんづく硫酸第一鉄が好ましい。 あらゆる菌株のニユーロスポラ・クラツサの胞
子が本発明に用いうるが、とくにATCC9279、
ATCC13837、ATCC15514またはATCC24924の
菌株が本発明には好ましい。ニユーロスポラ・ク
ラツサの胞子の増殖、単離および精製は微生物学
のごく普通の専門家が有する一般的な技術によつ
て簡便に行ないうるが、好ましくは、エム・コル
タツト(M.Cortat)らの論文(“Cornidiation
of Neurospora crassa in Submerged Culture
without Mycelial Phase”、Aroh.Microbiol.、
95、305〜309(1974)参照)に開示されている方
法にしたがうのがよい。 かくして増殖し、単離された胞子はその酵素活
性を失なつたりまたはほとんど減少してしまつた
りすることなしに保存される。胞子はトライトン
X−100(TritonX−100)などの洗浄剤で処理す
るかまたは超音波崩壊器などの機械的方法によつ
て処理される。この処理によりヒドロキシラーゼ
酵素が放出され、そのものからヒドロキシラーゼ
酵素を含有する相がえられる。該相は処理された
胞子の残遺物を含有した状態または含有していな
い状態で本発明に用いられる。 つぎに実施例をあげて本発明を説明するが、本
発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。 実施例 5〜30pモル/mlの酵素濃度に調節した胞子処
理物質含有相、γ−ブチロベタイン2〜14mmo
、硫酸第一鉄アンモニウム0.6〜2mmo、ア
スコルビン酸ナトリウム10〜14mmo、2−オ
キソグル酸ナトリウム1.4〜3mmoおよびカタ
ラーゼをリン酸カリウム14mmoの緩衝液(PH
7)にその濃度が1〜1.4g/となるように加
えて調製した溶液を反応容器に添加した。この混
合物を37℃で30〜60分間培養したのち、反応液を
0.7ミリポアのフイルターで過した。 液中のL−カルニチンはデビツド・ジエイ・
ピアスン(Devid J.Pearson)らの方法で分析し
た(“Method of Enzymatic Analysis”、第4巻
(第2版)、1974年、1758頁、Academic Press
Inc.参照)。その分析値からL−カルニチンが約
80%の収率で生成していることがわかつた。 この液を常法により処理してえられる有機物
残渣は未反応のγ−ブチロベタインおよびL−カ
ルニチンの混合物であつた。該混合物はゲラン・
リントシユテツト(Go¨ran Lindstedt)が開示し
ている方法(Biochemistry、6、(5)、1271〜
1281(1967)参照)によつて処理しL−カルニチ
ンを単離した。 えられたL−カルニチンは生体系から抽出され
るL−カルニチンと同じ光学的性質を示した。 本発明の方法は、従来なされてきた方法にくら
べていくつかの点ですぐれている。それらの長所
を以下にあげる。 (1) 従来の化学的な方法ではカルニチンはD体お
よびL体のラセミ混合物としてえられるのに対
し、本発明の方法によればL−カルニチンのみ
を選択的にかつ高収率(約80%)でうることが
できる。そのためラセミ混合物を左施性と右施
性の物質に光学分割し、ついで後者を再びラセ
ミ化し、さらに光学分割に供する必要がない。 (2) 従来のバクテリアを酵素源として用いる方法
にくらべて、本発明の方法は使用する酵素源な
らびに生成したL−カルニチンを精製するとき
のわずらわしさがなく、しかも安価である。ま
たヒドロキシラーゼ酵素を胞子処理物から単離
する必要がなく、安全に操作が行ないえ、えら
れるL−カルニチンはほとんど純粋な結晶であ
る。いいかえれば、従来のバクテリアを使用す
る方法において不可欠であつたバクテリアおよ
びバクテリア代謝産物などの汚染物質をL−カ
ルニチンから除去する必要がない。 (3) ニユーロスポラ・クラツサの胞子は大量に製
造することができ、しかも乾燥した形で保存で
きる。さらにそれらは、ほとんどその酵素活性
を失なうことなく必要なときに取り出して用い
ることができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ニユーロスポラ・クラツサの胞子より放出さ
れる物質からなる相に、 (a) γ−ブチロベタイン、 (b) 2−オキソグルタル酸ナトリウム、 (c) 還元剤および (d) 第一鉄イオン源 を水酸基供与性溶媒に溶かした溶液を接触させる
ことを特徴とするL−カルニチンの製造法。 2 前記溶液が、(e)カタラーゼを含有してなる特
許請求の範囲第1項記載の製造法。 3 前記溶媒が水、緩衝溶液、炭素原子数1〜4
個を有する低級脂肪族アルコールおよびそれらの
混合物よりなる群から選ばれた溶媒である特許請
求の範囲第1項記載の製造法。 4 前記還元剤が亜二チオン酸アルカリ金属塩、
アスコルビン酸およびそのアルカリ金属塩よりな
る群から選ばれた還元剤である特許請求の範囲第
1項記載の製造法。 5 前記第一鉄イオン源が硫酸第一鉄、硫酸第一
鉄アンモニウムおよびチオシアン酸第一鉄よりな
る群から選ばれた第一鉄塩である特許請求の範囲
第1項記載の製造法。 6 前記ニユーロスポラ・クラツサが
ATCC13837、ATCC24914、ATCC9279および
ATCC15514よりなる群から選ばれた菌株である
特許請求の範囲第1項記載の製造法。 7 前記相がニユーロスポラ・クラツサの胞子を
洗浄剤で処理せしめることによりつくられる特許
請求の範囲第1項記載の製造法。 8 前記洗浄剤がトライトンX−100である特許
請求の範囲第7項記載の製造法。 前記相がニユーロスポラ・クラツサの胞子を超
音波崩壊器で機械的に処理することによりつくら
れる特許請求の範囲第1項記載の製造法。
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|---|---|---|---|
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