JPH0320433B2 - - Google Patents
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- JPH0320433B2 JPH0320433B2 JP57027126A JP2712682A JPH0320433B2 JP H0320433 B2 JPH0320433 B2 JP H0320433B2 JP 57027126 A JP57027126 A JP 57027126A JP 2712682 A JP2712682 A JP 2712682A JP H0320433 B2 JPH0320433 B2 JP H0320433B2
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C10—PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
- C10C—WORKING-UP PITCH, ASPHALT, BITUMEN, TAR; PYROLIGNEOUS ACID
- C10C3/00—Working-up pitch, asphalt, bitumen
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C10—PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
- C10C—WORKING-UP PITCH, ASPHALT, BITUMEN, TAR; PYROLIGNEOUS ACID
- C10C3/00—Working-up pitch, asphalt, bitumen
- C10C3/002—Working-up pitch, asphalt, bitumen by thermal means
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- Working-Up Tar And Pitch (AREA)
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Description
本発明は光学的異方性ピツチ、特に均質かつ軟
化点の低い光学的異方性ピツチの製造方法に関す
る。 このようなピツチは、軽量高強度かつ高弾性率
の複合材料(金属、プラスチツクなどとの)の製
造に使用される炭素繊維もしくはその他の高強度
かつ高密度の成形炭素材料を製造するのに有利で
ある。 本発明者らは、先に出願した特願昭55−162972
号明細書に記載するように、高性能炭素繊維を製
造するのに適した光学的異方性ピツチ組成物につ
いて種々検討した。その結果、光学的異方性ピツ
チは、縮合多環芳香族の積層構造の発達した分子
配向性の良いピツチであるが、実際には種々のも
のが混在し、そのうち、軟化点が低く、均質な炭
素繊維の製造に達したものは特定の化学構造と組
成とを有すること、すなわち光学的異方性ピツチ
において、O成分即ちn−ヘプタン可溶成分、及
びA成分即ちn−ヘプタン不溶且つベンゼン可溶
成分の組成、構造、分子量が極めて重要であるこ
とを見出した。更に詳しく言えば、O成分及びA
成分を特定量含有するピツチ組成物が光学的異方
性ピツチとして存在し得ることおよびその構成バ
ランスを適切に調整することが高性能炭素材料を
実用的に製造するための、光学的異方性ピツチ組
成物の必須の条件であることを見出した。 更に又、ピツチ組成物中の前記O成分及びA成
分以外の残余のベンゼン不溶かつキノリン可溶成
分(以下「B成分」という)と、キノリン不溶成
分(以下「C成分」という)とを特定することに
より、更に優れた高性能炭素材料を製造するため
の光学的異方性ピツチが提供されることが分つ
た。 更に、本発明者らは前記各成分の個々の特性お
よび当該特性を有する各成分の含有量とピツチ全
体の物性、均質性、配向性等との関係について詳
しく検討した結果、各成分が特定量含有され、か
つ各成分が特定の性状を有することが重要である
ことを見出した。すなわち、高性能炭素繊維の製
造に必要な高配向性、均質性および低軟化点を有
し、低温で安定した溶融紡糸の可能な光学的異方
性ピツチの構成成分の性状としては、C/H原子
比、芳香族構造の炭素原子の全炭素原子に対する
比率fa(以下faまたは芳香族炭素分率faという)、
数平均分子量、最高分子量(低分子量側から99%
積算した点の分子量)および最小分子量(高分子
量側から99%積算した点の分子量)が以下に述べ
る如き範囲に特定されることが必要であることを
見出した。 O成分は、約1.3以上のC/H原子比、約0.80
以上のfaおよび約1000以下の数平均分子量および
約150以上の最小分子量を有するものであり、好
ましいC/H原子比は、約1.3〜1.6、faは約0.80
〜約0.95であり、数平均分子量は、約250〜約
700、最小分子量は約150以上である。 また、A成分は、約1.4以上のC/H原子比、
約0.80以上のfa、約2000以下の数平均分子量およ
び約10000以下の最高分子量を有するものであり、
好ましいC/H原子比は約1.4〜約1.7、faは約
0.80〜約0.95、数平均分子量は約400〜約1000、
最高分子量は約5000以下である。 さらに、各成分の好適な含有量は、O成分につ
いては約2重量%〜約20重量%であり、A成分に
ついては約15重量%〜約45重量%である。さら
に、最適範囲については、O成分は、約5重量%
〜約15重量%であり、A成分は、約15重量%〜約
35重量%である。 すなわち、O成分のC/H原子比及びfaが前述
の範囲より小さい場合および含有率が前述の範囲
より大きい場合は、ピツチは全体として等方性の
部分をかなり含有する不均質のものとなりやす
く、また、平均分子量が700より大きいか、また
は含有率が前述の範囲よりも小さい場合には、低
軟化点のピツチを得ることができない。また、A
成分のC/H原子比またはfaが前述の範囲より小
さい場合において、数平均分子量が前述の範囲よ
り小さいか、または含有率が前述範囲を越える場
合には、ピツチ全体は、等方性と異方性部分の混
合した不均質なピツチとなつてしまうことが多
い。また数平均分子量又は最高分子量が上述の範
囲よりも大きい場合、又はA成分の構成比率が上
述の範囲よりも小さい場合には、ピツチは均質で
光学異方性であるが低軟化点とはならない。 本発明者が更に検討したところ、前記O成分及
びA成分は光学的異方性ピツチ中において積層構
造中に取り込まれ、溶媒的または可塑剤的は作用
をし、主にピツチの溶融性、流動性に関与する
か、あるいはそれ自体単独では積層構造を発現し
にくく光学的異方性を示さない成分であるが、更
に残余成分でありそれ自体単独では溶融せず積層
容易な成分であるベンゼン不溶のB成分及びC成
分を前記O成分及びA成分に対しその構成成分が
特定の範囲内の構成比率でバランスよく含有さ
れ、さらに、各構成成分の化学構造特性分子量が
特定の範囲内に存在するならば、一層優れた均質
で低軟化点の高性能炭素繊維を製造するために必
要な光学的異方性ピツチが得られることも見出し
た。 すなわち、O成分を約2重量%〜約20重量%お
よびA成分を約15重量%〜約45重量%含有し、さ
らにB成分(ベンゼン不溶かつキノリン可溶成
分)を約5重量%〜約40重量%およびC成分(ベ
ンゼン不溶かつキノリン不溶成分)を約20重量%
〜約70重量%含有し、その光学的異方性相の含有
率が体積で約90%以上であり、軟化点が約320℃
以下の光学的異方性炭素質ピツチは、一層安定し
た高性能の炭素繊維を提供することができること
が分つた。 上記B成分及びC成分は高性能炭素繊維の製造
に必要な高配向性、均質性および低軟化点を有
し、低温で安定した溶融紡糸の可能な光学的異方
性ピツチの構成成分の性状としてはC/H原子
比、fa、数平均分子量、最高分子量(低分子量側
から99%積算した点の分子量)がそれ以下に述べ
る如き範囲に特定されたものである。 すなわち、B成分(ベンゼン不溶かつキノリン
可溶分)は、約1.5以上のC/H原子比、約0.80
以上のfa、約2000以下の数平均分子量および約
10000以下の最高分子量を有するものであり、好
ましいC/H原子比は約1.5〜約1.9、faは約0.80
〜約0.95および数平均分子物は、約800〜約2000
であり、C成分(ベンゼン不溶かつキノリン不溶
分)は、約2.3以下のC/H原子比、約0.85以上
のfa、約3000以下の推定数平均分子量および
30000以下の最高分子量を有するものであり、好
ましくいC/H原子比は、約1.8〜約2.3であり、
faは、約0.85〜約0.95であり、数平均分子量は約
1500〜約3000のものである。 両成分の含有量については、B成分は約5重量
%〜約55重量%、好ましくは約5重量%〜約40重
量%であり、またC成分の含有量は、約20重量%
〜約70重量%、好ましくは約25重量%〜約65重量
%である。 従来、高性能炭素繊維の製造のために必要な光
学的異方性炭素質ピツチの製造方法に関していく
つかの方法が提案されているが、いずれの方法に
あつても、上で説明した特定の組成、構造及び分
子量を持つO成分、A成分、更にはB成分、C成
分を含有する高強度、高弾性率の炭素材の製造に
適した光学的異方性炭素質ピツチを提供すること
は出来なかつた。更に又、これら従来の方法は、
(1)原料の工業的入手が困難である;(2)長時間の反
応を必要とするか、又は複雑な工程を必要とし、
プロセスのコストが高い;(3)光学的異方性相を
100%に近づけると軟化点が上昇し、紡糸が困難
となり、一方、軟化点を抑えると不均質で紡糸が
困難になるという種々の難点を包含している。 更に詳しく説明すると、特公昭49−8634号公報
に記載されている方法は、クリセン、アンスラセ
ン、テトラベンゾフエナジン等の高価で且つ大量
に入手することのできない原料を有するか、又は
高温原油分解タールを乾留後、高温で不融物を
別するという煩雑な製造工程を必要とし、しかも
420℃〜440℃という高い紡糸温度を必要とするも
のである。 特開昭50−118028号公に記載の方法は、高温原
油分解タールを原料とし、これを撹拌下で熱重質
化することに関するものであるが、低軟化点ピツ
チを得るためには長時間の反応と、ピツチ中の不
溶物の高温度下での過除去を必要とする。 また、特公昭53−7533号公報発明は、石油系タ
ール、ピツチを塩化アルミニウムの如きルイス酸
系触媒を使用して、重縮合させる方法を開示して
いるが、触媒の除去およびその除去工程の前後で
熱処理工程を必要とするので、複雑で、且つ、運
転コストが大となるものである。 特開昭50−89635号公報に記載の方法は、光学
的等方性ピツチを原料とし、これを熱重合する際
に減圧下又は不活性ガスを液相中へ吹き込みつ
つ、光学的異方性相含有量が40〜90%になるまで
反応させるものであるが、このとき得られるピツ
チはキノリン不溶分およびピリジン不溶分が光学
的異方性相の含有量と等しいピツチとなる。 特開昭54−55625号公報は、光学的異方性相が
本質上、完全に100%である光学的異方性相炭素
質ピツチを開示するものであるが、このピツチは
軟化点、紡糸温度がかなり高いものであり、更に
その原料については或る市販の石油ピツチを用い
ること以外に特定されておらず、多くの種類の原
料、例えばコールタール、石油蒸留残油などから
この製法でピツチを製造した場合には分子量が大
きくなりすぎ、不融物の生成又は軟化点及び紡糸
温度の上昇により紡糸が不可能てなつてしまう。 このように、従来提案されている光学的異方性
炭素質ピツチの製造法のなかには原料の組成又は
構造を特定しているものはなく、従つて、所定の
高品質炭素質ピツチを安定して提供することがで
きないのが実態である。 さらに、従来技術のうち、特開昭54−160427、
55−58287、55−144087、56−2388、および56−
57881号公報の開示技術は、光学的等方性ピツチ、
又は光学的異方性相をわずかに含むピツチの溶剤
抽出によつて、光学的異方性相を形成しやすい成
分のみを濃縮する方法であるが、いずれもどのよ
うな出発原料を用いるかが不明である。光学的等
方性ピツチ又は光学的異方性相を含むピツチとし
ては極めて多種のものがあり、これらのピツチの
場合も出発原料の重質油の分子量分布およびfaに
よつてその特性が支配され、ある場合には所望の
ピツチが出来るが、ある場合は出来ないという結
果を生ずるものと思われる。 また、特開昭56−57881号公報に開示されてい
るように、これらの方法で製造した光学的異方性
ピツチは、分子量分布が比較的狭いにもかかわら
ず、一般にその軟化点が多くの場合において320
℃以上と高く、従つてそのピツチを紡糸する際の
最適温度は、ピツチの熱分解縮合反応が起りうる
380℃近傍又はそれ以上となることが多く、工業
的に大量にピツチ繊維を生産する場合、操作上又
は品質管理上困難が生じる可能性があり。この化
学的理由は溶剤抽出によつて分子量分布および芳
香族構造の分布が調整された光学的異方性ピツチ
は、確かに高分子量成分の含有量を少くするよう
に調整しうるけれども、低分子量の成分を溶剤で
必要以上に除去してしまうことによつて、生成す
る光学的異方性相の中の流動性に寄与する成分が
減少し、結果として、光学的異方性ピツチの軟化
点、紡糸温度が高くなることである。 また、溶剤抽出を用いない熱分解重縮合のみで
光学的異方性ピツチを製造する場合において、特
公昭54−1810公報に開示されている方法などは、
その出発原料の分子量、構造特性は不明である
が、大量の不活性ガスの流通で脱揮を強く捉進し
つつかつ長時間熱分解、重縮合を行なうために、
生成する光学的異方性相中の低分子量芳香族炭化
水素の含有率が少くなり、その結果生成する光学
的異方性相は本質上キノリン又はピリジンに不溶
性となり、かつその軟化点および紡糸温度は比較
的高くなるものと考えられる。 本発明者らは、これら先行技術の問題点の1解
決法として、先に出願した特開昭57−125289号公
報に記載したように、250〜540℃の範囲内の沸点
を有し、特定の分子量およびfaを有するものを主
成分とする油状物質を出発物質として使用し、こ
れに熱分解重縮合およびその他必要な操作を施す
ことにより、安定的に、均質な低軟化点の光学的
異方性ピツチを得ることを可能とする新技術を開
発した。 本発明はこの特開昭57−125289号公報を更に発
展させたもので、特定の範囲の分子量およびfaを
有する出発原料を用い、これに適度の熱分解重縮
合処理を施すことにより、上述の従来技術の諸欠
点が改良され、より優れた品質の炭素繊維、黒鉛
繊維などの炭素材料を得ることを可能とする、特
異な光学的異方性ピツチを安定かつ高収率で、低
コストにて製造し得ることを見出し、本発明を完
成するに至つた。 そこで、本発明の主たる目的は高強度、高弾性
率の炭素繊維を製造するのに適した光学的異方性
炭素質ピツチを、効率よく製造する方法を提供す
ることにある。 本発明の他の目的は、十分低温度で安定した溶
融紡糸を行なうことのできる低軟化点の、均質で
分子配向性の優れた光学的異方性炭素質ピツチの
製造方法を提供することである。 本発明の更に他の目的は、特定の分子量分布、
および化学構造定数を有する重質炭化水素を主成
分とするピツチ状物質を使用して、特定の組成を
持つた光学的異方性炭素質ピツチのうち特定の分
子量分布を有する新規な光学的異方性炭素質ピツ
チを製造する方法を提供することにある。 本発明の前記並びに他の目的は、540℃を越え
る沸点を有する、炭素と水素とからなる化合物の
混合物であり、実質的にキノリン不溶分を含まな
いピツチ状物質を出発原料とし、 ただし、該出発原料はn−ヘプタン可溶分、O
成分、およびn−ヘプタン不溶かつベンゼン可溶
分、A成分、場合により更にベンゼン不溶かつキ
ノリン可溶分、B成分を含み、これらの成分の芳
香族炭素分率faはいずれも0.7以上であり、数平
均分子量はいずれも1500以下であり、かつ最高分
子量はいずれも10000以下である、 該出発原料を熱分解重縮合反応に供する工程を
含む方法によつて達成することができる。 かくして、本発明によれば光学的異方性相を80
%以上、好ましくは90〜100%含有し、かつ320℃
以下、好ましくは230〜320℃の範囲の軟化点を有
する、均質低軟化点光学的異方性ピツチを製造す
ることができ、このものは前述の如く優れた品質
の炭素繊維、黒鉛繊維などの炭素材料として好適
なものである。 以下、本発明について更に詳細に説明する。 前述の通り先行技術の問題に係る原因のひとつ
は、優れたピツチを製造するためには、出発原料
を選定することが極めて重要であるにもかかわら
ず、その技術が不十分であり、熱分解重縮合反応
において、縮合多環芳香族の平面構造性の発達と
分子の巨大化のバランスがとれるような原料の選
択がなされていないことにある。即ち、分子の巨
大さがあまり大きくならず、従つてその物理現象
としては軟化点が十分低い間に分子の平面構造性
が十分発達し、実質的に均質な光学的異方性ピツ
チになるような原料の選択がなされていないこと
によるものである。 もうひとつの先行技術の問題に係る原因は、光
学的異方性相の中の低分子量物質成分を必要以上
に除去してしまう製造方法を用いていることであ
る。すなわち溶剤抽出又は、激しい脱揮操作を伴
つた熱分解重縮合反応などを利用していることに
ある。そこで本発明者らは、実質的に均質な光学
的異方性相で且つ十分軟化点の低いピツチ、即
ち、前記説明したような特定の組成、構造及び分
子量を持つたO成分、A成分、更にはB成分、C
成分を有した高強度、高弾性率の炭素材の製造に
適した光学的異方性炭素質ピツチを得るために原
料の特性と、ピツチの特性との関係について研究
した。該研究においては、石油及び石炭から得ら
れる主成分の沸点が約540℃を越える種々の原料
ピツチ状物質を用いた。原料ピツチ状物質を製品
ピツチの分別と同様、溶剤を用いて前述のO成
分、A成分、B成分、C成分に分別した。 上述の主成分の沸点範囲の区分で「540℃を越
えるもの」という区分は、一般に石油又は石炭工
業で用いられる、大規模な減圧蒸留装置で容易に
実施できる蒸留操作において得られる重質油の蒸
溜釜底油の沸点範囲を意味しているほか、熱反応
で収率よくピツチに変換される有効成分の沸点範
囲を意味している。 本発明はでいうピツチ構成O成分、A成分、B
成分、C成分とは、夫々粉末ピツチを1μの平均
孔径を有する円筒フイルターに入れ、ソツクスレ
ー抽出器を用いてn−ヘプタンで20時間熱抽出し
て得られるn−ヘプタン可溶分をO成分、ひきつ
づきベンゼンで20時間熱抽出して得られるn−ヘ
プタン不溶かつベンゼン可溶分をA成分、ベンゼ
ン不溶分をキノリンを溶剤として遠心分離法
(JIS K−2425)により分離して得られるベンゼ
ン不溶かつキノリン可溶分いわゆるβ−レジンを
B成分、キノリン不溶分をC成分と呼ぶ。このよ
うな構成成分の分別は例えば石油学会誌20巻(1)、
第45頁(1977年)に記載の方法により行なうこと
ができる。 このようにして分別した原料ピツチ状物質の各
成分の構成比率およびそれぞれの分子量、芳香族
構造特性と、所定の製造方法で得られ製品ピツチ
の物性、均質性、配向性、さらにはそれより調造
された炭素材料との性能との関係について詳しく
研究した結果、高性能炭素繊維の製造に適した、
高配向性で、均質な、低い軟化点を有し、低温で
安定して溶融紡糸のできる光学的異方性ピツチの
原料としては、種々の処理方法、製造方法工程を
採るとしても、原料ピツチ状物質の上記構成成分
の芳香族炭素分率faが十分に大きく、かつ数平均
分子量及びゲルパーミエーシヨンクロマトグラフ
イーで測定した最高分子量(低分子量側から
99wt%積算した点の分子量)が十分小さいこと
が重要であることを見出した。そして、原料等方
性ピツチ状物質の構成成分としてはふつう前述の
O成分、A成分およびB成分を含むものである
が、これらの含有率は目的とする低軟化点の光学
的異方性ピツチを得るためには特に限定されるも
のではない。また、C成分すなわち、キノリン不
溶成分が含まれていても、その分子量や化学構造
によつては所望の低軟化点で光学的異方性相(以
下APという)濃度の大きいかつ均質は光学的異
方性ピツチを与える場合もあるが、一般に原料ピ
ツチ状物質中のC成分は特性が不明であり、粒径
が1μ以上の分子量が極めて大きい炭化物や、い
わゆるコールタールピツチ中のメソフエーズ、コ
ークス粒、錆、触媒残留物、無機物粉体などが含
まれ、最終炭素製品に悪影響を及ぼすので、この
ような出発原料ピツチ段階ではC成分を実質的に
含まない、すなわち0.1wt%以下であることが必
要であり、好ましくは100ppm以下とすべきであ
る。出発原料ピツチ状物質中にC成分が0.1wt%
以上含まれている場合には、ふつう大部分のC成
分はピツチの溶融状態において固体粒子として浮
遊しているので、原料溶融ピツチを100℃〜300℃
の範囲の温度下で過することによつて、C成分
を実質上含まない原料ピツチ状物質とすることが
できる。 また、原料ピツチ中の未知のC成分すなわちメ
ソフエーズ、カーボン粒、錆、触媒残留物、無機
粉粒などは、さらに貯蔵タンク中で、100℃〜300
℃の範囲の温度で長時間静置することによつてか
なりの部分を沈降除去することがでるが、さらに
積極的に、連続工程で除去する方法としては50℃
〜300℃の温度範囲で原料ピツチの粘度を100ポア
ズ以下に保ち、102〜104Gで連続遠心分離にかけ
る方法がよい。 石油および石炭から得られる種々のピツチ状物
質は、炭素と水素以外に硫黄、窒素、酸素などを
含有するが、これらの元素を多量に含有する原料
の場合、熱反応においてこれらの元素が架橋や粘
度増加の要因となり、縮合多環芳香族平面の積層
化を阻害し、結果として低軟化点の均質な光学的
異方性ピツチは得難い。従つて、目的とする光学
的異方性ピツチを得るための原料としては、炭素
と水素を主成分元素とするピツチ状物質で、硫
黄、窒素、酸素等の含有量が全体で10wt%以下
であることが好ましく、特に硫黄は2wt%以下で
あることが好ましい。 また、本発明にかかやる出発原料ピツチは、キ
ノリン不溶分は実質上含有しないが、クロロホル
ム不溶分を含有することがふつうであり、この成
分の含有は本発明の目的に対して障害とはならな
い。 上記の如き出発原料から光学的異方性炭素質ピ
ツチを製造する際の熱分解重縮合等の工程として
は、後述の種々の方法が適用できる。 本発明の方法で製造される光学的異方性ピツチ
は、熱分解重縮合の顕著な温度より十分に低い温
度で紡糸できるので、紡糸中の分解ガスの発生が
少なく、紡糸中の重質化も少なく、且つ均質のピ
ツチであることから高速での紡糸が可能である。
又、この光学的異方性ピツチを常法に従つて炭素
繊維に調製すると、極めて高性能の炭素繊維が得
られることがわかつた。 本発明によつて得られる光学的異方性ピツチの
特徴は、高性能炭素繊維製造用ピツチの必要条件
である(1)高配向性(光学的異方性)、(2)均質性、
(3)低い軟化点(低い溶融紡糸温度)の3つの条件
をいずれも満足していることである。 本発明で使用される光学的異方性相(AP)と
いう語句の意味は、必ずしも学界又は種々の技術
文献において統一して用いられているとは言い難
いので、本明細書では、光学的異方性相とは、ピ
ツチ構成成分の一つであり、常温近くで固化した
ピツチ塊の断面を研摩し、反射型偏光顕微鏡で直
交ニコル下において観察したとき、試料又は直交
ニコルを回転して光輝が認められる、すなわち光
学的異方性である部分を意味し、光輝が認められ
ない、すなわち光学的異方性である部分を光学的
等方性相(以下、IPと略称する)と呼ぶ。光学
的異方性相は、いわゆる「メソ相」と同じと考え
てよいが「メソ相」にはキノリン又はピリジンに
不溶なものとキノリン又はピリジンに可溶な成分
を多く含むものの二種類があり、本明細書の光学
的異方性相は主として後者の「メソ相」であり、
混同を避けるため「メソ相」という用語を用いて
いない。 APは、IPに比べて多環芳香族の縮合環の平面
性がより発達した化学構造の分子が主成分で、平
面に積層したかたちで凝集、会合しており、溶融
温度では一種の液晶状態であると考えられる。従
つてこれを細い口金から押し出して紡糸するとき
は分子の平面が繊維軸の方向に平行に近い配列を
するために、この光学的異方性ピツチから作つた
炭素繊維は高い強度と弾性率を示すことになる。
又、APの定量は、偏光顕微鏡直交ニコル下で観
察、写真撮影してAP部分の占める面積率を測定
して行うので、これは実質的に体積%を表わす。 ピツチの均質性に関して、本発明では上述の
APの測定結果が約80〜約100%の間にあり、ピツ
チ断面の顕微鏡観察で、不融粒子(粒径1μ以上)
を実質上検出せず、溶融紡糸温度で揮発物による
発泡が実質上ないものが、実際の溶融紡糸におい
てほとんど完全な均質性を示すので、このような
ものを実質上均質な光学的異方性ピツチと呼ぶ。
また、APが70〜80%のものも、溶融紡糸時に実
用的に十分な均質性を持つものもあるがIPを約
30%以上含有する実質的に不均質な光学的異方性
ピツチの場合、高粘度の光学的異方性相と低粘度
の光学的等方性相との明らかな混合物であるた
め、粘度の著しく異なるピツチ二相の混合物を紡
糸することになり糸切れ頻度が多く、高速紡糸が
し難く、十分細い繊維太さのものが得られず、繊
維太さにもバラツキがあり、結果として高性能の
炭素繊維を得ることができない。又、溶融紡糸の
とき、ピツチ中に不融性の固体微粒子や低分子量
の揮発性物質を含有すると、紡糸性が阻害される
ことはいうまでもなく、紡糸したピツチ繊維に気
泡や固形異物を含有し欠陥の原因となる。 本明細書でいう、ピツチの軟化点とは、ピツチ
の固−液転移温度をいうが、差動走査型熱量計を
用いてピツチの融解または凝固する潜熱の吸放出
のピーク温度で測定した。この温度はピツチ試料
について、他のリングアンドボール法、微量融点
法などで測定したものと±10℃の範囲で一致す
る。 本明細書でいう低軟化点とは、約320℃以下、
好ましくは約230℃〜約320℃の範囲の軟化点を意
味する。軟化点はピツチの溶融紡糸温度(溶融紡
糸装置内でピツチを溶融流動させる最高温度)と
密接な関係があり通常の紡糸法で紡糸する場合、
一般に約60℃〜約100℃高温度が紡糸に適した粘
度を示す温度(必ずしも紡糸口の温度ではない)
である。したがつて、約320℃より高い軟化点の
場合、熱分解重縮合が起る約380℃より高い温度
で溶融紡糸するため、分解ガスの発生及び不融物
の生成により紡糸性が阻害されることはいるまで
もなく、紡糸したピツチ繊維に気泡や固形異物を
含有し欠陥の原因となる。又、一方230℃以下の
低い軟化点の場合、不融化処理温度が、200℃以
下というような低温で長時間処理が必要になると
か、複雑で高価な処理が必要となり好ましくな
い。 ここで、本明細書にて使用する「fa」、「数平均
分子量」及び「最高分子量」の語句の意味につい
て更に詳しく説明する。 本明細書でいうfaは炭素と水素の含有率分析と
赤外線吸収法とから測定した芳香族構造の炭素原
子の全炭素原子に対する比率を表わす。分子の平
面構造性は縮合多環芳香族の大きさ、ナフテン環
の数、側鎖の数と長さなどにより決まるから、分
子の平面構造性はfaを指標として考察することが
できる。即ち、縮合多環芳香族が大きいほど、ナ
フテン環の数が少ないほどパラフイン側鎖の数が
少ないほど、側鎖の長さが短かいほどfaは大きく
なる。従つて、faが大きいほど分子の平面構造性
が大きいことを意味する。faの測定計算方法は加
藤の方法(加藤ら、燃料協会誌55244(1976))に
従つて、次式によつて計算されたものを用いる。 fa=1−H/C/2・(1+2・D3030/D2920) H/C:水素と炭素の原子数比 D3030/D2920:3030cm-1の吸光度と 2920cm-1の吸光度の比 又、本明細書でいう数平均分子量はクロロホル
ムを溶媒として蒸気圧平衡法で測定した値を表わ
す。分子量分布は同一系統の斜料をクロロホルム
を溶媒としたゲルパーミエーシヨンクロマトグラ
フイーで10個に分取し、分取したそれぞれの数平
均分子量を蒸気圧平衡法で測定し、これを標準物
質の分子量として検量線を作成し分子量分布を測
定した。最高分子量はゲルパーミエーシヨンクロ
マトグラフにより測定した分子量分布の低分子量
側から99重量%積算した点の分子量を表わす。 一般に、ピツチはクロロホルム不融分を含むの
で、そのまゝでは、上述の分子量測定は不可能で
ある。ピツチ試料の分子量測定は、まず前述の
O,A,B,C成分について溶剤分別分析を行な
い、O,Aについてはそのまゝクロロホルム溶媒
に溶解し、B,C成分については、予め、金属リ
チウムとエチレンジアミンを用いて温和な水添反
応を加え、分子量をほとんど変えずにクロロホル
ムに可溶な物質に変化させ(この方法は、文献:
Fuel41 67〜69p.(1962)に従つた)、これをクロ
ロホルム溶媒に溶解して、前述の蒸気圧平衡法に
よる数平均分子量の測定、その系統のピツチのゲ
ルパーミエーシヨンクロマトグラフ検量線の作成
および分子量分布図の測定を行なうことにより実
施できる。 ピツチ全体の総合的な分子量分布および数平均
分子量の計算は、上述のO,A,B,C各成分の
含有率と、それぞれの分子量分布データから容易
に計算することができる。 原料ピツチ状物質を構成する3成分、すなわち
O成分、A成分、B成分ではその特性値である
fa、数平均分子量および最高分子量は、いずれも
O成分<A成分<B成分の順に大きくなるので一
般的である。即ち一般的な原料ピツチ状物質で
は、O成分は3成分中、分子の平面構造性と分子
の巨大さ(数平均分子量、最高分子量)の最も小
さい成分で、A成分はO成分とB成分の間の分子
の平面構造性と分子の巨大さを有する成分で、B
成分は3成分中、分子の平面構造性と分子の巨大
さの最も大きい成分である。 高性能炭素繊維製造用ピツチの配向性、均質性
(あるいは相溶性)および軟化点とピツチの分子
構造との関係について次に説明する。 ピツチの配向性は、分子の平面構造性およびあ
る温度での液体流動性に関係がある。即ち、ピツ
チ分子の平面構造性が十分大きく且つ溶融紡糸の
とき繊維軸の方向に分子の平面を再配列するため
に十分大きな流体流動性をもつことが高配向性ピ
ツチの必要条件である。 この分子の平面構造性は、縮合多環芳香族が大
きいほど、ナフテン環が少ないほど、パラフイン
側鎖の数が少ないほど、側鎖の長さが短かいほど
大きいから、faを指標として考察することができ
る。faが大きいほどピツチ分子の平面構造性が大
きくなると考えられる。 ある温度での流体流動性は、分子間、原子間の
相互運動の自由度により決まることから、分子の
巨大さすなわち数平均分子量及び分子量分布(特
に最高分子量の影響が大であると考えられる)を
指標として評価することができる。即ち、faが同
じならば、分子量、最高分子量が小さいほど、あ
る温度での流体流動性は大きくなると考えること
ができる。従つて、高配向性ピツチとしてはfaが
十分大きく、数平均分子量、最高分子量が十分小
さく、かつ比較的低分子量の分布が十分に存在す
ることが重要である。 ピツチの均質性(あるいはピツチ成分の相溶
性)はピツチ分子の化学構造の類似性およびある
温度での流体流動性と関係がある。従つて配向性
の場合と同じく、化学構造の類似性は分子の平面
構造性で代表させfaを指標として、また流体流動
性は数平均分子量および最高分子量を指標として
評価することができる。即ち、均質なピツチとし
ては、ピツチ構成分子間のfaの差が十分小さく、
且つ数平均分子量、最高分子量が十分小さいこと
が重要であり、APとIPの組成構造が、十分に類
似していることが重要である。 軟化点は、ピツチの固−液転移温度を意味する
ことから、ある温度での流体流動性を支配する分
子間の相互運動の自由度と関係があり、分子の巨
大さ即ち数平均分子量、分子量分布(特に最高分
子量の影響が大であると考えられる)を指標とし
て評価することができる。即ち、低い軟化点、従
つて低い溶融紡糸温度を有するピツチとしては、
数平均分子量、最高分子量が十分小さいことおよ
び比較的低分子量の分布が十分に存在することが
重要である。 次に、原料の分子構造の特性とピツチの配向
性、均質性(あるいは相溶性)及び軟化点との関
係について説明すると、原料物質の熱分解重縮合
により、目的とする光学的異方性ピツチを製造す
る際、最も重要なことは、縮合多環芳香族の分子
の平面構造性と分子の巨大さのバランスが反応中
保たれていることである。即ち、熱反応が進行
し、光学的異方性相が生成し、これが更に成長
し、均質な光学的異方性ピツチになる過程におい
て、生成ピツチ全体の平面構造性と流体流動性と
が十分に保たれていることである。即ち、熱反応
が進んで芳香族平面構造が十分発達した時点で数
平均分子量も最高分子量もまだあまり大きくなつ
ていないことが必要である。 従つて、このためには熱分解重縮合等の反応以
前の出発原料の構成成分の分子の平面構造性すな
わちfaが十分大きく、それと相対的に構成成分の
数平均分子量、最高分子量が十分に小さいことが
重要であることが推定される。この場合、出発原
料全体の平均のfa、数平均分子量および、最高分
子量では必らずしも原料としての適否を判定でき
ない。 その理由は、各成分間の分子構造の連続性又は
類似性が重要であるにもかかわらず、平均の特性
値からはそれが判別できないからである。すなわ
ち、平均のfaが十分大きく、かつ数平均分子量が
十分小さいとしても例えば、A成分のfaが小さす
ぎ、B成分の数平均分子量が大きすぎることがあ
り、このようなアンバランスな出発原料では、熱
反応によつて不均質なピツチとなり、目的とする
ピツチを得ることはできない。 以上のような考察に基いて、本発明者らは540
℃を越える沸点を有する種々のピツチ状物質につ
いてその組成構造と熱反応条件と生成ピツチの特
性について鋭意研究した結果、前述の如く原料の
構成成分であるO成分、A成分およびB成分の
各々のfaがいずれも0.7以上、好ましくは0.75以上
であつて、かつ、各々の数平均分子量がいずれも
1500以下、好ましくは、O成分、A成分について
は250〜900、B成分については500〜1200であり、
かつ各々の最高分子量が10000以下であり、好ま
しくはO成分、A成分については3000以下、B成
分については5000以下である場合に、その原料ピ
ツチ状物質の構成成分のそれぞれのfaが十分大き
く、かつ、それぞれの数平均分子量と最高分子量
が十分小さく、構成成分間の分子構造の類似性が
あまりかけ離れたものとはならないことを見出し
た。すなわち、原料構成分子の平面構造性と流体
流動性と均質性が、その後の反応によつてもバラ
ンスよく保たれるために、このような出発原料ピ
ツチ状物質から熱反応によつて、均質は低軟化点
の光学的異方性ピツチが再現性よく得られること
がわかつた。 さらに詳しく述べると、原料ピツチ中のO成
分、A成分およびB成分の数平均分子量がいずれ
も1500以下、かつ最高分子量がいずれも10000以
下で、十分に小さい場合でも、各成分のうち少な
くとも1つの成分のfaが0.7に満たない場合には、
構成成分の平面構造性と分子の流体流動性とのバ
ランスが失われるために、熱反応によつて分子の
平面構造性が十分発達するまで、すなわちfaの小
さい成分が熱分解によつてfaの十分大きいピツチ
成分となるまでに必要な反応時間が相対的に長
く、その間にピツチの分子量が過度に巨大化する
傾向を示し、光学的異方性部分の軟化点は高いも
のとなる。 また、原料中のO成分、A成分、B成分のfaが
いずれも0.7以上であつても、各成分のうちの少
くともひとつの成分の数平均分子量が1500を越え
るか、あるいは最高分子量が10000を越える場合
は、熱重縮合反応によつて加速的に巨大な高分子
量のピツチ分子が生成し、その結果、著しく不均
質なピツチとなつたり、高軟化点の光学的異方性
部分を生じる傾向にある。 光学的異方性ピツチ製造用原料すなわちいわゆ
るピツチ状物質としては、石油工業、石炭工業の
副生物として種々のものがある。これら原料ピツ
チ状物質の構成成分は、一般にO成分、A成分お
よびB成分を含有するものであり、さらにC成分
を含有するものも見受けられる。 このうち目的とするピツチ製造工程にかける前
の原料に含有されるC成分は、一般に分子量の極
めて大きい炭化物や、無機物固体粒等であること
が多く、本発明の目的には好ましくないので、こ
れらが実質的に含まれていないこと、すなかち
0.1wt%以下の含有率であることが好ましい。も
ちろん、原料を熱分解重縮合工程にかけると、O
成分、A成分およびB成分からC成分が生成して
くるものであるから、原料として既に熱分解重縮
合工程を経た中間製品ピツチからスタートする場
合のピツチに関しては、C成分が含有されていて
もよいが、この場合のC成分の特性はやはりfaと
分子量、分子量分布が、他の成分と連続したもの
であることが必要である。すなわちfaは0.85以上
数平均分子量が1500〜3000の範囲、最高分子量
30000以下であることが必要である。 O成分、A成分およびB成分の原料中の含有率
構成比については、前述したように目的とする低
軟化点光学的異方性ピツチを得るための要件では
なく、これらの成分の分子構造的特性のみが要件
であるので、上記3成分は構造的要件を満せば、
その含有率構成比はかなり広い範囲で変化しても
よい。 一般に入手できる原料ピツチ状物質において、
O成分およびA成分を含有しないものはないが、
B成分を分析の限界以上に含有しない、すなわち
実質上含有しないものも存在するが、このような
ものもO成分、A成分の特性が前述の要件を満せ
ば目的の低軟化点光学的異方性ピツチを製造しう
るものである。 また、必要はないが、故意に操作して上述3成
分中のひとつを、ほとんど除去することもでき
る。そのような場合でも、他の成分の特性が前述
の要件を満せば目的の低軟化点光学的異方性ピツ
チを製造しうるものである。 一般に、O成分、A成分、B成分の順にfaおよ
び数平均分子量、最高分子量は大きいので、同じ
反応操作での残留ピツチの収率はA成分、B成分
の含有率の大きいものほど大きくなることが理解
されるが、その好ましい構成比率というものは認
められない。 以上詳述した、従来開示されていない独特の特
性を有する本願発明に係るピツチ状物質を出発原
料とすれば、種々の方法によつて炭素材料用の光
学的異方性ピツチを製造することができ、このこ
とも又本発明の特徴の一つである。即ち、光学的
異方性ピツチを製造するための熱分解重縮合工程
において380〜460℃、好ましくは、400〜440℃の
温度領域で、常圧下で不活性ガスの流通下(ある
いはバブリング下)で低分子量の物質を除去しつ
つ熱分解重縮合を行なう方法、常圧下で不活性ガ
スを流通せずに熱分解重縮合し、その後減圧蒸留
又は不活性ガスで脱揮しつつ加熱処理で低分子量
の物質を除去する方法、或は加圧下で熱分解重縮
合し、その後減圧蒸留又は不活性ガスにより脱揮
しつつ加熱処理する方法等いずれの方法も本発明
の目的に適する。即ち本発明の出発原料を用いる
と熱分解重縮合反応の条件(温度、時間、脱揮割
合等)を広い範囲で選択することが容易であり、
適確に均質は低軟化点の光学的異方性ピツチを得
ることが可能である。 又上述の熱分解重縮合反応工程のみで光学的異
方性ピツチを製造する方法の他に、熱分解重縮合
反応工程の途中で光学的異方性相を分離する方法
が本発明の目的に適する方法である。 即ち、前述の熱分解重縮合反応工程のみで行う
方法は、実質的に1つの反応工程で熱分解重縮合
だけで光学的異方性ピツチを得るので、初期に生
成したAPまでもが反応終了まで高温に保持され
続けるのでAPの分子量が必要以上に巨大化する
傾向があり、本発明の原料系を用いてもピツチの
軟化点が比較的高目になる傾向があるが、熱分解
重縮合の途中で光学的異方性ピツチを分離する方
法では、この分子が必要以上に巨大化することを
防ぐことができるので、実質的に均質な低軟化点
の光学的異方性ピツチを得るためにより好ましい
方法である。即ち、出発原料として本発明の特性
を有するピツチ状物質を熱分解重縮合反応槽に導
入し、380〜460℃の温度で熱分解重縮合を行な
い、生成ピツチ(低分子量分解生成物や未反応物
質を実質上除いた)中にAPを20〜70%含む状態
になつたとき、この重縮合ピツチを熱分解重縮合
が起りにくく且つピツチの流体としての流動性が
十分保たれている温度領域、350〜400℃、で30分
〜20時間静置し、下層に密度の大きいAP部分を
1つの連続相として成長熟成しつつ沈積させ、こ
れを上層のより密度の小さな相である光学的異方
性ピツチから分離して取出す製造方法を用いると
より効果的である。この場合においても、熱分解
重縮合反応は2〜200Kg/cm2の加圧下で行ない、
その後分解生成物を脱揮し、次いでAPを下層に
沈積せしめる方法が好ましいものである。 又、本発明に係る上記特性を有するピツチ状物
質を出発原料として、該ピツチ状物質の熱分解重
縮合により、部分的にAPを生成せしめた後、AP
をそれ以上分子量を増大させることの少ない温度
でおよそ沈積せしめて分離し、APが凝縮された
ピツチを得、その後これを短時間熱処理してAP
を90%以上含有し、所望の軟化点を有するように
仕上げピツチを製造する方法がさらに好適であ
る。 すなわち、出発原料として、本発明の特性を有
するピツチ状物質を使用し、これを約380℃以上
の温度、好ましくは400℃〜440℃で熱分解重縮合
反応に供し、重縮合物中のAPが、20〜70%、好
ましくは30〜50%生成したとき、当該重合物を、
約400℃以下、好ましくは360℃〜380℃に保持し
つつ比較的短時間、5分間〜10時間程度、静置す
るか、又は極めてゆつくり流動又は撹拌しつつ下
層に密度の大きいAPピツチ部分を高濃度で沈積
せしめ、しかる後APの濃度の大きい下層をAPの
濃度の小さい上層とおよそ分離して抜き出し、分
離された下層のAP含有率が70〜90%であるピツ
チを、次に約380℃以上、好ましくは390℃〜440
℃でさらに短時間熱処理し、AP含有率が90%以
上、さらには完全に100%の一定の所望の軟化点
を有するピツチとする方法が好適である。 上述の方法において、出発原料ピツチ状物質を
熱分解重縮合反応する工程では、ふつう分解生成
する低分子量物質を、液相ピツチ系外へ除去する
脱揮を伴うが、特に熱分解重縮合工程のみで、80
%以上のAPを含有するピツチを製造する場合、
あまりに高い減圧度の下で長時間又はあまりに大
きな流量の不活性ガスによる長時間に亘る流通ス
トリツピングを加えると、生成ピツチの収率を低
くし、かつその軟化点を高くする傾向をもつ。こ
のことは脱揮が強すぎると、APの低分子量成分
が過度に少なくなることによる。また一方、あま
りにも低い減圧度、又はあまりにも小さい流量の
不活性ガスによるストリツピングを用いると、分
解生成物が反応系内に長く滞留し、APの生成、
濃縮に長時間を要し、その間に重縮合も進むの
で、分子量分布が拡がりすぎて、最終的なピツチ
の均質性と軟化点とに悪影響を及ぼす傾向があ
る。上述の熱分解重縮合工程における減圧度又は
不活性ガスの流量は原料の種類、反応容器の形
状、温度、反応時間に応じて適宜選択すべきであ
つて限定は難しいが、本発明の原料を用いる場
合、380℃〜430℃の温度では、減圧で行なうとき
には、最終真空度1〜50mmHgが適当であり、不
活性ガス流通用いるときは、試料1Kg当り、0.5
〜5/minの範囲が適当である。 さらに詳しく述べれば、380℃〜400℃の比較的
低温域で、10時間以上の反応を要するときは、減
圧で行なう場合、最終真空度3〜50mmHgまた不
活性ガス流通を行なうときは0.5〜3/min/
Kgが好ましく、また410℃〜430℃の温度を用いて
反応を数時間で終了させるときは、減圧法では、
最終真空度が1〜20mmHg、不活性ガス流通法で
は2〜5/min/Kgの流量が好ましい。 また、上述の不活性ガスの流通は、ピツチ中に
吹込んでバブリングさせてもよいが、単に液面上
を通過するように流してもよい。反応系液相を冷
却しないように、流通する不活性ガスを予備ヒー
ターで加熱することが望ましい。 また、反応液相を均一に反応せしめるために十
分な流動、撹拌を行なうことが必要であることは
いうまでもない。この反応液相の流動又は撹拌
は、加熱された不活性ガスの吹込み流通下で行な
うこともできる。 これら不活性ガスは、使用する温度において、
化学反応性の極めて小さいものであつて、かつ蒸
気圧が十分大きいものであればよく、一般的なア
ルゴン、窒素などの他スチーム、炭酸ガス、メタ
ン、エタンあるいはその他の低分子量炭化水素な
どが使用できる。 また、前述の方法において、APが70〜90%に
濃縮された軟化点が十分低いピツチを、さらに熱
処理調整に付して、APの濃度を90%以上とし軟
化点をやゝ上昇させ所望の軟化点に調節する処理
においては、必ずしも不活性ガスを流通しなくて
もよいが、上述の熱分解重縮合工程と同様に不活
性ガスを流通して脱揮しつつ行なうこともできる
ことはいうまでもない。 上述した本発明の方法に従つて、特徴ある出発
原料ピツチ状物質、すなわち含有成分の分子量が
十分小さく、分布が狭く、分子の芳香族構造が十
分発達したものを用いて製造された光学的異方性
ピツチは、必ずしも100%完全にAPでなくとも、
紡糸工程などで実質上均質のピツチとして挙動
し、またAPを80%以上、ふつう90%以上含有す
るにもかゝわらず、極めて低い軟化点を有し、従
つて実用上十分に低い溶融紡糸温度が適用できる
という特徴を有する。 この本発明の方法で製造された実用上優れた光
学的異方性ピツチは、必ずしも先に出願した特開
昭57−88016号公報に記載したピツチ物質O,A,
B,C成分の組成、特性に一致するものではない
が、上述の優れた特性を有することの原因を調べ
た結果、その特異な分子量分布が認められた。 すなわち、本発明の方法で製造された多くの光
学的異方性ピツチを分析した結果、その数平均分
子量は約900〜1500の範囲にあつて、出発原料と
製法の違いに基き多少変化するが、ほとんどは約
1000〜1100の範囲内にあり、このようなものが
APの含有率も大きく、均質で軟化点も十分低い
ものであることがわかつた。 さらに驚くべきことは、APが90%以上、さら
にはほとんど100%の場合においても、分子量
AP600以下の低分子量物30〜60モル%も含有する
ことであり、これが本発明の大きな特徴である。 この事実は本発明の出発原料および製法を用い
る場合に導かれる結果と考えられ、その結果、
APの軟化点を低くし、ピツチの流動性、成形性
を向上させているものと思われる。 また、さらにより高分子量の成分の分布におい
て、分子量1500以上の分子が15〜35モル%も含ま
れていることが第2の特徴である。しかし最高分
子量(高分子量側1重量%のフラクシヨンの数平
均分子量)は約30000を越えていないものであつ
て、これらも本発明の出発原料および製法を用い
る場合の特異な結果と考えられ、これら高分子量
物はピツチ中にあつて、APの配向性ならびに成
形強度に寄与する骨格成分となつており、そのた
めに細く丈夫なピツチ繊維の紡糸を可能にしてい
るものと考えられる。 また、残余の中間の分子量成分すなわち分子量
600〜1500を有するものは、本発明のピツチの場
合、20〜50モル%の範囲内で存在する。 以上の如き諸々の本発明に係る方法によつて製
造される光学的異方性炭素質ピツチは、前述した
如き原料を使用することによつて、APを80〜100
%含有する、十分に均質な光学的異方性ピツチで
ありながら低い軟化点を有し、従来技術では達成
されなかつた次の利点を得ることができる。すな
わち、不融物の高温過、溶剤抽出又は触媒の
除去等の複雑でコストの高い工程を必要とするこ
となく、短時間(例えば、全反応3時間)で実質
上、均質はAPから成り、且つ低軟化点(例えば
260℃)を有する光学的異方性炭素質ピツチを得
ることができること、従つて炭素繊維を製造する
場合には低い最高紡糸温度(溶融紡糸装置内でピ
ツチを溶融流動、移送するのに適した最高温度)
290〜370℃、ふつう300〜360℃を採用することが
できること、本発明の方法により製造される光
学的異方性炭素質ピツチは、均質性が優れ、熱分
解重縮合が顕著に発生する約400℃よりはるかに
低い温度で平滑な表面を持つた、太さのほとんど
変らない繊維を連続して紡糸することができるか
ら、ピツチの紡糸性が良好(糸切れ頻度が少な
く、糸が細く、糸のバラツキがない)であり、又
紡糸中の変質が生じないため製品炭素繊維の品質
が安定していること、実質上、紡糸中の分解ガ
スの発生及び不融物の生成が生じないから、高速
紡糸が可能で且つ紡糸されたピツチ繊維の欠陥が
少なく、従つて炭素繊維の強度が強くなること、
及び事実上、ほとんど全体が溶晶状の光学的異
方性ピツチを紡糸して炭素繊維を製造することが
できるから繊維軸方向の黒鉛構造の配向性がよく
発達し、弾性率の高い炭素繊維を得ることができ
ること、等の予期せざる効果を奏することができ
る。実際に本発明に従つて製造された光学的異方
性ピツチを用いて常法に従つて炭素繊維に調製す
ると極めて高強度、高弾性の炭素繊維が安定性よ
く得られることがわかつた。即ち、本発明の方法
で得た、十分に均質な光学的異方性ピツチ
(AP80〜100%含有)は370℃以下の温度で通常の
溶融紡糸が可能であり、糸切れ頻度が少なく、高
速で引取り可能で、繊維直径が5〜10μのものも
得られる。 又、本発明によつて生成される光学的異方性ピ
ツチから得られたピツチ繊維は酸素雰囲気中200
℃以上の温度で10分〜2時間程度にて不融化さ
れ、この不融化処理剤のピツチ繊維を1300℃まで
昇温し、炭化焼成して得た炭素繊維の特性は、繊
維直径に依存するが引張り強度2.0〜3.7×109Pa、
引張り弾性率1.5〜3.0×1011Paのものが得られ、
1500℃まで炭化焼成すると引張り強度2.0〜4.0×
109Pa、引張り弾性率2.0〜4.0×1011Paのものが
得られる。 実施例 1 石油の接触分解で副生するタール状物質を常圧
に換算して540℃まで減圧蒸留して得た残渣ピツ
チを原料とした。 原料の特性値は、炭素含有量92.2wt%、水素含
有量6.5wt%、比重1.22、キノリン不溶分0%、
O成分の含有量は51%でそのfaは0.85、数平均分
子量319、最高分子量920、A成分の含有量は49%
でそのfaは0.91、数平均分子量375、最高分子量
1400で、B成分の含有量は0.1wt%以下であつた。 この原料油1000grを内容積1.45の熱処理装置
に張込み、窒素ガス気流下で十分撹拌しながら
430℃で3時間熱処理し、軟化点234℃、比重
1.33、キノリン不溶分15wt%で偏光顕微鏡で観察
すると光学的等方性の母相中に直径が200μ以下
のAP小球体を約45%含むピツチが原料に対し
34.6%の収率で得られた。 このピツチを、下部に抜き出し用のコツクを備
えた内径4cm、長さ70cmの円筒形の反応容器にと
り窒素雰囲気下で毎分30回転で撹拌しつつ380℃
で2時間保ち、次に窒素加圧下100mmHg以下で反
応容器の下部コツクを開き静かにやゝ粘稠な下層
ピツチを29.4%抜き出し、次にピツチの粘度が著
るしく低下するまで抜き出し、二層の境界ピツチ
とし、さらに62.8wt%の低粘度の上層ピツチを抜
き出した。上層ピツチは、直径が20μ以下の光学
的異方性小球体を約25%含む光学的等方性のピツ
チで軟化点207℃、比重1.32、キノリン不溶分6wt
%であつた。境界ピツチは母相中に直径が20μ以
下の光学的異方性小球体を含む1Pと塊状のAPが
複雑に入り組んで混在する不均質なピツチであつ
た。下層ピツチは95%以上APで、軟化点265℃、
比重1.35、キノリン不溶分35wt%、炭素含有量
94.5%、水素含有量4.4%であつた。このピツチ
を試料1としてテスト例で使用した。 比較例 1 比較のため、ナフサの熱分解で副生するタール状
物質540℃まで減圧蒸留して得たピツチを原料と
した。原料の特性値は炭素含有量92.5wt%、水素
含有量7.3wt%、比重1.23、キノリン不溶分0%、
O成分の含有量は15wt%で、そのfaは0.79、数平
均分子量675、最高分子量1500、A成分の含有量
は85wt%で、そのfaは0.83、数平均分子量830、
最高分子量15000で、B成分の含有量は0%であ
つた。この原料油を実施例1の実験と同じ熱処理
装置を用い、常圧、窒素ガス気流下で十分撹拌し
ながら415℃で3時間熱処理して得られたピツチ
は偏光顕微鏡で観察すると、まだ全て1Pのピツ
チで、キノリン不溶分0%、軟化点277℃でピツ
チの収率は原料に対し42.7wt%であつた。又、同
じく415℃で4時間熱処理して得られたピツチは
偏光顕微鏡で観察すると光学的等方性の母相中に
直径20μ以下のAP小球体を約10%含むピツチで
キノリン不溶分11wt%で、軟化点はすでに328℃
に達し、ピツチの収率は原料に対し36.8wt%であ
つた。このピツチを試料2としてテスト例で使用
した。 比較例 2 さらに比較のため、ミナス原油を常圧に換算し
て540℃まで減圧蒸留して得た残油を原料とした。
原料の特性値は、炭素含有量87.3wt%、水素含有
量12.3wt%、比重0.95、キノリン不溶分0%、O
成分の含有量は96wt%で、そのfaは0.18、数平均
分子量は870、最高分子量は1750、A成分の含有
量は4wt%で、そのfaは0.46、数平均分子量3560、
最高分子量は58000で、B成分の含有量は0.1%以
下であつた。この原料油を実施例1と同じ方法で
430℃で3時間熱処理し、放冷後ピツチを熱処理
装置から取出すと、境界が明確ではないが2層に
分離していた。この2層の原料に対する収率は上
層が6.5wt%、下層が12.3wt%で、上層のピツチ
を偏光顕微鏡で観察すると光学的等方性の母相中
に直径50μ以下のAP小球体を約10%含有する光
学的等方性ピツチであつた。又、下層のピツチは
偏光顕微鏡で観察するとIPとAPとがほゞ等量で
複雑に入り組んで混在する不均質なピツチでキノ
リン不溶分55wt%であり、軟化点はすでに396℃
であり、この下層ピツチはいかなる温度でも紡糸
することが困難であつた。 実施例 2 実施例1と同じ原料タール1000grを熱処理装置
に張込み常圧、窒素ガス気流下で十分撹拌しなが
ら、430℃で4時間熱処理した。この熱処理のみ
で得られたピツチは軟化点295℃、キノリン不溶
分32wt%で、偏光顕微鏡で観察すると約80%が
APで、その収率は原料に対し27.4wt%であつた。
又、同じく430℃で4.7時間熱処理して得られたピ
ツチは軟化点316℃、キノリン不溶分44wt%で、
偏光顕微鏡で観察すると99%以上APで、その収
率は原料に対し22.8wt%であつた。この2種のピ
ツチは、いずれも紡糸温度360〜370℃で溶融紡糸
することが容易であつた。 実施例 3 石油の接触分解で副生するタール状物を、減圧
下で釜底温度約400℃で熱分解しつつ、常圧に換
算して540℃まで減圧蒸留した等方性の残留ピツ
チを原料とした。原料の特性値は、炭素含有量
93.3wt%、水素含有量5.4wt%、比重1.25、キノ
リン不溶分0.1wt%以下で、O成分の含有量は
52wt%で、そのfaは0.78、数平均分子量378、最
高分子量1830、A成分の含有量は31wt%でその
faは0.82、数平均分子量615、最高分子量3250で、
B成分の含有量は17wt%で、そのfaは0.86、推定
数平均分子量1140、推定最高分子量4500であつ
た。 この原料ピツチ1000grを実施例1と同じ方法で
430℃で2.5時間熱処理した。軟化点229℃、キノ
リン不溶分19wt%で偏光顕微鏡で観察すると光
学的等方性の母相中に直径200μ以下の真球状の
AP小球体を約40%含むピツチが原料油に対し
41.8wt%の収率で得られた。このピツチを実施例
1と同じ方法で380℃で1時間保ち、反応容器の
下部コツクからやゝ粘稠な下層ピツチを張込量に
対し27.5wt%抜き出した。この下層ピツチは約70
%光学的異方性のピツチで軟化点が274℃であつ
た。このピツチをさらに400℃に1時間熱処理す
ると、95%以上光学的異方性で、軟化点283℃、
比重1.36、キノリン不溶分44wt%のピツチが得ら
れた。この不溶分を試料3としてテスト例で使用
した。 上記と同じ原料ピツチ1000grについて実施例1
の熱処理装置を用い、常圧、窒素ガス気流下で十
分撹拌しながら、430℃で3.8時間熱処理し、熱処
理のみで、大部分が光学的異方性のピツチを原料
に対し32.6wt%の収率で得た。このピツチを偏光
顕微鏡で観察すると98%光学的異方性のピツチ
で、軟化点307℃、比重1.36、キノリン不溶分
51wt%であつた。このピツチを試料4としてテ
スト例で使用した。 比較例 3 比較のため、石油から潤滑油を製造する工程に
おいて副生する、沸点540℃以上のものを主成分
とするフエノール抽出油を原料とした。原料油の
特性値は、炭素含有量85.4wt%、水素含有量
11.4wt%、比重0.96、100%O成分で、そのfaは
0.33、数平均分子量640、最高分子量2100であつ
た。 この原料油1000grを実施例1と同じ方法で415
℃で、4時間熱処理して得られたピツチは軟化点
280℃、キノリン不溶分0wt%で偏光顕微鏡で観
察するとまだ100%光学的等方性ピツチでその収
率は原料油に対し18.0wt%であつた。 又、同じく415℃で5.5時間熱処理して得られた
ピツチは、偏光顕微鏡で観察すると約70%の1P
と約307のAPが入り組んで混在する不均質なピツ
チで、キノリン不溶分32wt%で、軟化点は347℃
に達し、その収率は13.4wt%であつた。 次に、この原料油を実施例1で用いた原料ター
ルに40wt%混合して調整した混合油の特性値は、
炭素含有量89.5wt%、水素含有量7.5wt%、比重
1.11、キノリン不溶分0%で、O成分の含有量
71wt%で、そのfaは0.64、数平均分子量451、最
高分子量2050、A成分の含有量は29wt%で、そ
のfaは0.91、数平均分子量370、最高分子量1400
であつた。この混合原料1000grを実施例1と同じ
方法で430℃で3時間熱処理した。軟化点231℃、
キノリン不溶分21wt%で偏光顕微鏡で観察する
と光学的異方性の母相中に100μ以下の真球状の
AP小球体と100μ前後の楕円状合体物とが共存
し、これらのAPをピツチ全体に対して約35wt%
含むピツチを、原料に対して29.5wt%の収率で得
た。このピツチを実施例1と同じ方法で380℃で
2時間保ち、反応容器の下部コツクを開きかなり
粘稠な下層ピツチを張込量に対し23.9wt%抜き出
した。この下層ピツチはAPを約85%含有し、こ
のAP中に300μ以下の不規則な楕円状の1P部分が
約15%混在するピツチで、軟化点346℃、キノリ
ン不溶分54wt%であつた。この下層ピツチを試
料5としてテスト例で使用した。 テスト例 実施例1と3および比較例1と3で得た各試料
を直径0.5mmのノズルをもつ紡糸器で200mmHg以
下の窒素圧下で、紡糸したところ試料1,3,4
は500m/分の速さで糸切れ頻度も少なく、また
紡糸中のピツチの変性も少なく、また紡糸中のピ
ツチの変性も少なく、繊維太さの細いピツチ繊維
が長時間にわたり得られたが、試料2,5は紡糸
温度を高くしても500m/分では紡糸不可能であ
り、300m/分でも糸切れ頻度が多く、繊維太さ
の細いピツチ繊維を得ることはできなかつた。
又、試料2,5は紡糸中の熱分解重縮合によると
考えられるピツチの変性が著しかつた。 これらのピツチを紡糸して得たピツチ繊維を酸
素雰囲気中230℃で30分間不融化処理を施し、次
に不活性ガス中で30℃/分の速度で1500℃まで昇
温後冷却し炭素繊維を得た。 紡糸および炭素繊維の特性評価結果をまとめて
第1表に示した。
化点の低い光学的異方性ピツチの製造方法に関す
る。 このようなピツチは、軽量高強度かつ高弾性率
の複合材料(金属、プラスチツクなどとの)の製
造に使用される炭素繊維もしくはその他の高強度
かつ高密度の成形炭素材料を製造するのに有利で
ある。 本発明者らは、先に出願した特願昭55−162972
号明細書に記載するように、高性能炭素繊維を製
造するのに適した光学的異方性ピツチ組成物につ
いて種々検討した。その結果、光学的異方性ピツ
チは、縮合多環芳香族の積層構造の発達した分子
配向性の良いピツチであるが、実際には種々のも
のが混在し、そのうち、軟化点が低く、均質な炭
素繊維の製造に達したものは特定の化学構造と組
成とを有すること、すなわち光学的異方性ピツチ
において、O成分即ちn−ヘプタン可溶成分、及
びA成分即ちn−ヘプタン不溶且つベンゼン可溶
成分の組成、構造、分子量が極めて重要であるこ
とを見出した。更に詳しく言えば、O成分及びA
成分を特定量含有するピツチ組成物が光学的異方
性ピツチとして存在し得ることおよびその構成バ
ランスを適切に調整することが高性能炭素材料を
実用的に製造するための、光学的異方性ピツチ組
成物の必須の条件であることを見出した。 更に又、ピツチ組成物中の前記O成分及びA成
分以外の残余のベンゼン不溶かつキノリン可溶成
分(以下「B成分」という)と、キノリン不溶成
分(以下「C成分」という)とを特定することに
より、更に優れた高性能炭素材料を製造するため
の光学的異方性ピツチが提供されることが分つ
た。 更に、本発明者らは前記各成分の個々の特性お
よび当該特性を有する各成分の含有量とピツチ全
体の物性、均質性、配向性等との関係について詳
しく検討した結果、各成分が特定量含有され、か
つ各成分が特定の性状を有することが重要である
ことを見出した。すなわち、高性能炭素繊維の製
造に必要な高配向性、均質性および低軟化点を有
し、低温で安定した溶融紡糸の可能な光学的異方
性ピツチの構成成分の性状としては、C/H原子
比、芳香族構造の炭素原子の全炭素原子に対する
比率fa(以下faまたは芳香族炭素分率faという)、
数平均分子量、最高分子量(低分子量側から99%
積算した点の分子量)および最小分子量(高分子
量側から99%積算した点の分子量)が以下に述べ
る如き範囲に特定されることが必要であることを
見出した。 O成分は、約1.3以上のC/H原子比、約0.80
以上のfaおよび約1000以下の数平均分子量および
約150以上の最小分子量を有するものであり、好
ましいC/H原子比は、約1.3〜1.6、faは約0.80
〜約0.95であり、数平均分子量は、約250〜約
700、最小分子量は約150以上である。 また、A成分は、約1.4以上のC/H原子比、
約0.80以上のfa、約2000以下の数平均分子量およ
び約10000以下の最高分子量を有するものであり、
好ましいC/H原子比は約1.4〜約1.7、faは約
0.80〜約0.95、数平均分子量は約400〜約1000、
最高分子量は約5000以下である。 さらに、各成分の好適な含有量は、O成分につ
いては約2重量%〜約20重量%であり、A成分に
ついては約15重量%〜約45重量%である。さら
に、最適範囲については、O成分は、約5重量%
〜約15重量%であり、A成分は、約15重量%〜約
35重量%である。 すなわち、O成分のC/H原子比及びfaが前述
の範囲より小さい場合および含有率が前述の範囲
より大きい場合は、ピツチは全体として等方性の
部分をかなり含有する不均質のものとなりやす
く、また、平均分子量が700より大きいか、また
は含有率が前述の範囲よりも小さい場合には、低
軟化点のピツチを得ることができない。また、A
成分のC/H原子比またはfaが前述の範囲より小
さい場合において、数平均分子量が前述の範囲よ
り小さいか、または含有率が前述範囲を越える場
合には、ピツチ全体は、等方性と異方性部分の混
合した不均質なピツチとなつてしまうことが多
い。また数平均分子量又は最高分子量が上述の範
囲よりも大きい場合、又はA成分の構成比率が上
述の範囲よりも小さい場合には、ピツチは均質で
光学異方性であるが低軟化点とはならない。 本発明者が更に検討したところ、前記O成分及
びA成分は光学的異方性ピツチ中において積層構
造中に取り込まれ、溶媒的または可塑剤的は作用
をし、主にピツチの溶融性、流動性に関与する
か、あるいはそれ自体単独では積層構造を発現し
にくく光学的異方性を示さない成分であるが、更
に残余成分でありそれ自体単独では溶融せず積層
容易な成分であるベンゼン不溶のB成分及びC成
分を前記O成分及びA成分に対しその構成成分が
特定の範囲内の構成比率でバランスよく含有さ
れ、さらに、各構成成分の化学構造特性分子量が
特定の範囲内に存在するならば、一層優れた均質
で低軟化点の高性能炭素繊維を製造するために必
要な光学的異方性ピツチが得られることも見出し
た。 すなわち、O成分を約2重量%〜約20重量%お
よびA成分を約15重量%〜約45重量%含有し、さ
らにB成分(ベンゼン不溶かつキノリン可溶成
分)を約5重量%〜約40重量%およびC成分(ベ
ンゼン不溶かつキノリン不溶成分)を約20重量%
〜約70重量%含有し、その光学的異方性相の含有
率が体積で約90%以上であり、軟化点が約320℃
以下の光学的異方性炭素質ピツチは、一層安定し
た高性能の炭素繊維を提供することができること
が分つた。 上記B成分及びC成分は高性能炭素繊維の製造
に必要な高配向性、均質性および低軟化点を有
し、低温で安定した溶融紡糸の可能な光学的異方
性ピツチの構成成分の性状としてはC/H原子
比、fa、数平均分子量、最高分子量(低分子量側
から99%積算した点の分子量)がそれ以下に述べ
る如き範囲に特定されたものである。 すなわち、B成分(ベンゼン不溶かつキノリン
可溶分)は、約1.5以上のC/H原子比、約0.80
以上のfa、約2000以下の数平均分子量および約
10000以下の最高分子量を有するものであり、好
ましいC/H原子比は約1.5〜約1.9、faは約0.80
〜約0.95および数平均分子物は、約800〜約2000
であり、C成分(ベンゼン不溶かつキノリン不溶
分)は、約2.3以下のC/H原子比、約0.85以上
のfa、約3000以下の推定数平均分子量および
30000以下の最高分子量を有するものであり、好
ましくいC/H原子比は、約1.8〜約2.3であり、
faは、約0.85〜約0.95であり、数平均分子量は約
1500〜約3000のものである。 両成分の含有量については、B成分は約5重量
%〜約55重量%、好ましくは約5重量%〜約40重
量%であり、またC成分の含有量は、約20重量%
〜約70重量%、好ましくは約25重量%〜約65重量
%である。 従来、高性能炭素繊維の製造のために必要な光
学的異方性炭素質ピツチの製造方法に関していく
つかの方法が提案されているが、いずれの方法に
あつても、上で説明した特定の組成、構造及び分
子量を持つO成分、A成分、更にはB成分、C成
分を含有する高強度、高弾性率の炭素材の製造に
適した光学的異方性炭素質ピツチを提供すること
は出来なかつた。更に又、これら従来の方法は、
(1)原料の工業的入手が困難である;(2)長時間の反
応を必要とするか、又は複雑な工程を必要とし、
プロセスのコストが高い;(3)光学的異方性相を
100%に近づけると軟化点が上昇し、紡糸が困難
となり、一方、軟化点を抑えると不均質で紡糸が
困難になるという種々の難点を包含している。 更に詳しく説明すると、特公昭49−8634号公報
に記載されている方法は、クリセン、アンスラセ
ン、テトラベンゾフエナジン等の高価で且つ大量
に入手することのできない原料を有するか、又は
高温原油分解タールを乾留後、高温で不融物を
別するという煩雑な製造工程を必要とし、しかも
420℃〜440℃という高い紡糸温度を必要とするも
のである。 特開昭50−118028号公に記載の方法は、高温原
油分解タールを原料とし、これを撹拌下で熱重質
化することに関するものであるが、低軟化点ピツ
チを得るためには長時間の反応と、ピツチ中の不
溶物の高温度下での過除去を必要とする。 また、特公昭53−7533号公報発明は、石油系タ
ール、ピツチを塩化アルミニウムの如きルイス酸
系触媒を使用して、重縮合させる方法を開示して
いるが、触媒の除去およびその除去工程の前後で
熱処理工程を必要とするので、複雑で、且つ、運
転コストが大となるものである。 特開昭50−89635号公報に記載の方法は、光学
的等方性ピツチを原料とし、これを熱重合する際
に減圧下又は不活性ガスを液相中へ吹き込みつ
つ、光学的異方性相含有量が40〜90%になるまで
反応させるものであるが、このとき得られるピツ
チはキノリン不溶分およびピリジン不溶分が光学
的異方性相の含有量と等しいピツチとなる。 特開昭54−55625号公報は、光学的異方性相が
本質上、完全に100%である光学的異方性相炭素
質ピツチを開示するものであるが、このピツチは
軟化点、紡糸温度がかなり高いものであり、更に
その原料については或る市販の石油ピツチを用い
ること以外に特定されておらず、多くの種類の原
料、例えばコールタール、石油蒸留残油などから
この製法でピツチを製造した場合には分子量が大
きくなりすぎ、不融物の生成又は軟化点及び紡糸
温度の上昇により紡糸が不可能てなつてしまう。 このように、従来提案されている光学的異方性
炭素質ピツチの製造法のなかには原料の組成又は
構造を特定しているものはなく、従つて、所定の
高品質炭素質ピツチを安定して提供することがで
きないのが実態である。 さらに、従来技術のうち、特開昭54−160427、
55−58287、55−144087、56−2388、および56−
57881号公報の開示技術は、光学的等方性ピツチ、
又は光学的異方性相をわずかに含むピツチの溶剤
抽出によつて、光学的異方性相を形成しやすい成
分のみを濃縮する方法であるが、いずれもどのよ
うな出発原料を用いるかが不明である。光学的等
方性ピツチ又は光学的異方性相を含むピツチとし
ては極めて多種のものがあり、これらのピツチの
場合も出発原料の重質油の分子量分布およびfaに
よつてその特性が支配され、ある場合には所望の
ピツチが出来るが、ある場合は出来ないという結
果を生ずるものと思われる。 また、特開昭56−57881号公報に開示されてい
るように、これらの方法で製造した光学的異方性
ピツチは、分子量分布が比較的狭いにもかかわら
ず、一般にその軟化点が多くの場合において320
℃以上と高く、従つてそのピツチを紡糸する際の
最適温度は、ピツチの熱分解縮合反応が起りうる
380℃近傍又はそれ以上となることが多く、工業
的に大量にピツチ繊維を生産する場合、操作上又
は品質管理上困難が生じる可能性があり。この化
学的理由は溶剤抽出によつて分子量分布および芳
香族構造の分布が調整された光学的異方性ピツチ
は、確かに高分子量成分の含有量を少くするよう
に調整しうるけれども、低分子量の成分を溶剤で
必要以上に除去してしまうことによつて、生成す
る光学的異方性相の中の流動性に寄与する成分が
減少し、結果として、光学的異方性ピツチの軟化
点、紡糸温度が高くなることである。 また、溶剤抽出を用いない熱分解重縮合のみで
光学的異方性ピツチを製造する場合において、特
公昭54−1810公報に開示されている方法などは、
その出発原料の分子量、構造特性は不明である
が、大量の不活性ガスの流通で脱揮を強く捉進し
つつかつ長時間熱分解、重縮合を行なうために、
生成する光学的異方性相中の低分子量芳香族炭化
水素の含有率が少くなり、その結果生成する光学
的異方性相は本質上キノリン又はピリジンに不溶
性となり、かつその軟化点および紡糸温度は比較
的高くなるものと考えられる。 本発明者らは、これら先行技術の問題点の1解
決法として、先に出願した特開昭57−125289号公
報に記載したように、250〜540℃の範囲内の沸点
を有し、特定の分子量およびfaを有するものを主
成分とする油状物質を出発物質として使用し、こ
れに熱分解重縮合およびその他必要な操作を施す
ことにより、安定的に、均質な低軟化点の光学的
異方性ピツチを得ることを可能とする新技術を開
発した。 本発明はこの特開昭57−125289号公報を更に発
展させたもので、特定の範囲の分子量およびfaを
有する出発原料を用い、これに適度の熱分解重縮
合処理を施すことにより、上述の従来技術の諸欠
点が改良され、より優れた品質の炭素繊維、黒鉛
繊維などの炭素材料を得ることを可能とする、特
異な光学的異方性ピツチを安定かつ高収率で、低
コストにて製造し得ることを見出し、本発明を完
成するに至つた。 そこで、本発明の主たる目的は高強度、高弾性
率の炭素繊維を製造するのに適した光学的異方性
炭素質ピツチを、効率よく製造する方法を提供す
ることにある。 本発明の他の目的は、十分低温度で安定した溶
融紡糸を行なうことのできる低軟化点の、均質で
分子配向性の優れた光学的異方性炭素質ピツチの
製造方法を提供することである。 本発明の更に他の目的は、特定の分子量分布、
および化学構造定数を有する重質炭化水素を主成
分とするピツチ状物質を使用して、特定の組成を
持つた光学的異方性炭素質ピツチのうち特定の分
子量分布を有する新規な光学的異方性炭素質ピツ
チを製造する方法を提供することにある。 本発明の前記並びに他の目的は、540℃を越え
る沸点を有する、炭素と水素とからなる化合物の
混合物であり、実質的にキノリン不溶分を含まな
いピツチ状物質を出発原料とし、 ただし、該出発原料はn−ヘプタン可溶分、O
成分、およびn−ヘプタン不溶かつベンゼン可溶
分、A成分、場合により更にベンゼン不溶かつキ
ノリン可溶分、B成分を含み、これらの成分の芳
香族炭素分率faはいずれも0.7以上であり、数平
均分子量はいずれも1500以下であり、かつ最高分
子量はいずれも10000以下である、 該出発原料を熱分解重縮合反応に供する工程を
含む方法によつて達成することができる。 かくして、本発明によれば光学的異方性相を80
%以上、好ましくは90〜100%含有し、かつ320℃
以下、好ましくは230〜320℃の範囲の軟化点を有
する、均質低軟化点光学的異方性ピツチを製造す
ることができ、このものは前述の如く優れた品質
の炭素繊維、黒鉛繊維などの炭素材料として好適
なものである。 以下、本発明について更に詳細に説明する。 前述の通り先行技術の問題に係る原因のひとつ
は、優れたピツチを製造するためには、出発原料
を選定することが極めて重要であるにもかかわら
ず、その技術が不十分であり、熱分解重縮合反応
において、縮合多環芳香族の平面構造性の発達と
分子の巨大化のバランスがとれるような原料の選
択がなされていないことにある。即ち、分子の巨
大さがあまり大きくならず、従つてその物理現象
としては軟化点が十分低い間に分子の平面構造性
が十分発達し、実質的に均質な光学的異方性ピツ
チになるような原料の選択がなされていないこと
によるものである。 もうひとつの先行技術の問題に係る原因は、光
学的異方性相の中の低分子量物質成分を必要以上
に除去してしまう製造方法を用いていることであ
る。すなわち溶剤抽出又は、激しい脱揮操作を伴
つた熱分解重縮合反応などを利用していることに
ある。そこで本発明者らは、実質的に均質な光学
的異方性相で且つ十分軟化点の低いピツチ、即
ち、前記説明したような特定の組成、構造及び分
子量を持つたO成分、A成分、更にはB成分、C
成分を有した高強度、高弾性率の炭素材の製造に
適した光学的異方性炭素質ピツチを得るために原
料の特性と、ピツチの特性との関係について研究
した。該研究においては、石油及び石炭から得ら
れる主成分の沸点が約540℃を越える種々の原料
ピツチ状物質を用いた。原料ピツチ状物質を製品
ピツチの分別と同様、溶剤を用いて前述のO成
分、A成分、B成分、C成分に分別した。 上述の主成分の沸点範囲の区分で「540℃を越
えるもの」という区分は、一般に石油又は石炭工
業で用いられる、大規模な減圧蒸留装置で容易に
実施できる蒸留操作において得られる重質油の蒸
溜釜底油の沸点範囲を意味しているほか、熱反応
で収率よくピツチに変換される有効成分の沸点範
囲を意味している。 本発明はでいうピツチ構成O成分、A成分、B
成分、C成分とは、夫々粉末ピツチを1μの平均
孔径を有する円筒フイルターに入れ、ソツクスレ
ー抽出器を用いてn−ヘプタンで20時間熱抽出し
て得られるn−ヘプタン可溶分をO成分、ひきつ
づきベンゼンで20時間熱抽出して得られるn−ヘ
プタン不溶かつベンゼン可溶分をA成分、ベンゼ
ン不溶分をキノリンを溶剤として遠心分離法
(JIS K−2425)により分離して得られるベンゼ
ン不溶かつキノリン可溶分いわゆるβ−レジンを
B成分、キノリン不溶分をC成分と呼ぶ。このよ
うな構成成分の分別は例えば石油学会誌20巻(1)、
第45頁(1977年)に記載の方法により行なうこと
ができる。 このようにして分別した原料ピツチ状物質の各
成分の構成比率およびそれぞれの分子量、芳香族
構造特性と、所定の製造方法で得られ製品ピツチ
の物性、均質性、配向性、さらにはそれより調造
された炭素材料との性能との関係について詳しく
研究した結果、高性能炭素繊維の製造に適した、
高配向性で、均質な、低い軟化点を有し、低温で
安定して溶融紡糸のできる光学的異方性ピツチの
原料としては、種々の処理方法、製造方法工程を
採るとしても、原料ピツチ状物質の上記構成成分
の芳香族炭素分率faが十分に大きく、かつ数平均
分子量及びゲルパーミエーシヨンクロマトグラフ
イーで測定した最高分子量(低分子量側から
99wt%積算した点の分子量)が十分小さいこと
が重要であることを見出した。そして、原料等方
性ピツチ状物質の構成成分としてはふつう前述の
O成分、A成分およびB成分を含むものである
が、これらの含有率は目的とする低軟化点の光学
的異方性ピツチを得るためには特に限定されるも
のではない。また、C成分すなわち、キノリン不
溶成分が含まれていても、その分子量や化学構造
によつては所望の低軟化点で光学的異方性相(以
下APという)濃度の大きいかつ均質は光学的異
方性ピツチを与える場合もあるが、一般に原料ピ
ツチ状物質中のC成分は特性が不明であり、粒径
が1μ以上の分子量が極めて大きい炭化物や、い
わゆるコールタールピツチ中のメソフエーズ、コ
ークス粒、錆、触媒残留物、無機物粉体などが含
まれ、最終炭素製品に悪影響を及ぼすので、この
ような出発原料ピツチ段階ではC成分を実質的に
含まない、すなわち0.1wt%以下であることが必
要であり、好ましくは100ppm以下とすべきであ
る。出発原料ピツチ状物質中にC成分が0.1wt%
以上含まれている場合には、ふつう大部分のC成
分はピツチの溶融状態において固体粒子として浮
遊しているので、原料溶融ピツチを100℃〜300℃
の範囲の温度下で過することによつて、C成分
を実質上含まない原料ピツチ状物質とすることが
できる。 また、原料ピツチ中の未知のC成分すなわちメ
ソフエーズ、カーボン粒、錆、触媒残留物、無機
粉粒などは、さらに貯蔵タンク中で、100℃〜300
℃の範囲の温度で長時間静置することによつてか
なりの部分を沈降除去することがでるが、さらに
積極的に、連続工程で除去する方法としては50℃
〜300℃の温度範囲で原料ピツチの粘度を100ポア
ズ以下に保ち、102〜104Gで連続遠心分離にかけ
る方法がよい。 石油および石炭から得られる種々のピツチ状物
質は、炭素と水素以外に硫黄、窒素、酸素などを
含有するが、これらの元素を多量に含有する原料
の場合、熱反応においてこれらの元素が架橋や粘
度増加の要因となり、縮合多環芳香族平面の積層
化を阻害し、結果として低軟化点の均質な光学的
異方性ピツチは得難い。従つて、目的とする光学
的異方性ピツチを得るための原料としては、炭素
と水素を主成分元素とするピツチ状物質で、硫
黄、窒素、酸素等の含有量が全体で10wt%以下
であることが好ましく、特に硫黄は2wt%以下で
あることが好ましい。 また、本発明にかかやる出発原料ピツチは、キ
ノリン不溶分は実質上含有しないが、クロロホル
ム不溶分を含有することがふつうであり、この成
分の含有は本発明の目的に対して障害とはならな
い。 上記の如き出発原料から光学的異方性炭素質ピ
ツチを製造する際の熱分解重縮合等の工程として
は、後述の種々の方法が適用できる。 本発明の方法で製造される光学的異方性ピツチ
は、熱分解重縮合の顕著な温度より十分に低い温
度で紡糸できるので、紡糸中の分解ガスの発生が
少なく、紡糸中の重質化も少なく、且つ均質のピ
ツチであることから高速での紡糸が可能である。
又、この光学的異方性ピツチを常法に従つて炭素
繊維に調製すると、極めて高性能の炭素繊維が得
られることがわかつた。 本発明によつて得られる光学的異方性ピツチの
特徴は、高性能炭素繊維製造用ピツチの必要条件
である(1)高配向性(光学的異方性)、(2)均質性、
(3)低い軟化点(低い溶融紡糸温度)の3つの条件
をいずれも満足していることである。 本発明で使用される光学的異方性相(AP)と
いう語句の意味は、必ずしも学界又は種々の技術
文献において統一して用いられているとは言い難
いので、本明細書では、光学的異方性相とは、ピ
ツチ構成成分の一つであり、常温近くで固化した
ピツチ塊の断面を研摩し、反射型偏光顕微鏡で直
交ニコル下において観察したとき、試料又は直交
ニコルを回転して光輝が認められる、すなわち光
学的異方性である部分を意味し、光輝が認められ
ない、すなわち光学的異方性である部分を光学的
等方性相(以下、IPと略称する)と呼ぶ。光学
的異方性相は、いわゆる「メソ相」と同じと考え
てよいが「メソ相」にはキノリン又はピリジンに
不溶なものとキノリン又はピリジンに可溶な成分
を多く含むものの二種類があり、本明細書の光学
的異方性相は主として後者の「メソ相」であり、
混同を避けるため「メソ相」という用語を用いて
いない。 APは、IPに比べて多環芳香族の縮合環の平面
性がより発達した化学構造の分子が主成分で、平
面に積層したかたちで凝集、会合しており、溶融
温度では一種の液晶状態であると考えられる。従
つてこれを細い口金から押し出して紡糸するとき
は分子の平面が繊維軸の方向に平行に近い配列を
するために、この光学的異方性ピツチから作つた
炭素繊維は高い強度と弾性率を示すことになる。
又、APの定量は、偏光顕微鏡直交ニコル下で観
察、写真撮影してAP部分の占める面積率を測定
して行うので、これは実質的に体積%を表わす。 ピツチの均質性に関して、本発明では上述の
APの測定結果が約80〜約100%の間にあり、ピツ
チ断面の顕微鏡観察で、不融粒子(粒径1μ以上)
を実質上検出せず、溶融紡糸温度で揮発物による
発泡が実質上ないものが、実際の溶融紡糸におい
てほとんど完全な均質性を示すので、このような
ものを実質上均質な光学的異方性ピツチと呼ぶ。
また、APが70〜80%のものも、溶融紡糸時に実
用的に十分な均質性を持つものもあるがIPを約
30%以上含有する実質的に不均質な光学的異方性
ピツチの場合、高粘度の光学的異方性相と低粘度
の光学的等方性相との明らかな混合物であるた
め、粘度の著しく異なるピツチ二相の混合物を紡
糸することになり糸切れ頻度が多く、高速紡糸が
し難く、十分細い繊維太さのものが得られず、繊
維太さにもバラツキがあり、結果として高性能の
炭素繊維を得ることができない。又、溶融紡糸の
とき、ピツチ中に不融性の固体微粒子や低分子量
の揮発性物質を含有すると、紡糸性が阻害される
ことはいうまでもなく、紡糸したピツチ繊維に気
泡や固形異物を含有し欠陥の原因となる。 本明細書でいう、ピツチの軟化点とは、ピツチ
の固−液転移温度をいうが、差動走査型熱量計を
用いてピツチの融解または凝固する潜熱の吸放出
のピーク温度で測定した。この温度はピツチ試料
について、他のリングアンドボール法、微量融点
法などで測定したものと±10℃の範囲で一致す
る。 本明細書でいう低軟化点とは、約320℃以下、
好ましくは約230℃〜約320℃の範囲の軟化点を意
味する。軟化点はピツチの溶融紡糸温度(溶融紡
糸装置内でピツチを溶融流動させる最高温度)と
密接な関係があり通常の紡糸法で紡糸する場合、
一般に約60℃〜約100℃高温度が紡糸に適した粘
度を示す温度(必ずしも紡糸口の温度ではない)
である。したがつて、約320℃より高い軟化点の
場合、熱分解重縮合が起る約380℃より高い温度
で溶融紡糸するため、分解ガスの発生及び不融物
の生成により紡糸性が阻害されることはいるまで
もなく、紡糸したピツチ繊維に気泡や固形異物を
含有し欠陥の原因となる。又、一方230℃以下の
低い軟化点の場合、不融化処理温度が、200℃以
下というような低温で長時間処理が必要になると
か、複雑で高価な処理が必要となり好ましくな
い。 ここで、本明細書にて使用する「fa」、「数平均
分子量」及び「最高分子量」の語句の意味につい
て更に詳しく説明する。 本明細書でいうfaは炭素と水素の含有率分析と
赤外線吸収法とから測定した芳香族構造の炭素原
子の全炭素原子に対する比率を表わす。分子の平
面構造性は縮合多環芳香族の大きさ、ナフテン環
の数、側鎖の数と長さなどにより決まるから、分
子の平面構造性はfaを指標として考察することが
できる。即ち、縮合多環芳香族が大きいほど、ナ
フテン環の数が少ないほどパラフイン側鎖の数が
少ないほど、側鎖の長さが短かいほどfaは大きく
なる。従つて、faが大きいほど分子の平面構造性
が大きいことを意味する。faの測定計算方法は加
藤の方法(加藤ら、燃料協会誌55244(1976))に
従つて、次式によつて計算されたものを用いる。 fa=1−H/C/2・(1+2・D3030/D2920) H/C:水素と炭素の原子数比 D3030/D2920:3030cm-1の吸光度と 2920cm-1の吸光度の比 又、本明細書でいう数平均分子量はクロロホル
ムを溶媒として蒸気圧平衡法で測定した値を表わ
す。分子量分布は同一系統の斜料をクロロホルム
を溶媒としたゲルパーミエーシヨンクロマトグラ
フイーで10個に分取し、分取したそれぞれの数平
均分子量を蒸気圧平衡法で測定し、これを標準物
質の分子量として検量線を作成し分子量分布を測
定した。最高分子量はゲルパーミエーシヨンクロ
マトグラフにより測定した分子量分布の低分子量
側から99重量%積算した点の分子量を表わす。 一般に、ピツチはクロロホルム不融分を含むの
で、そのまゝでは、上述の分子量測定は不可能で
ある。ピツチ試料の分子量測定は、まず前述の
O,A,B,C成分について溶剤分別分析を行な
い、O,Aについてはそのまゝクロロホルム溶媒
に溶解し、B,C成分については、予め、金属リ
チウムとエチレンジアミンを用いて温和な水添反
応を加え、分子量をほとんど変えずにクロロホル
ムに可溶な物質に変化させ(この方法は、文献:
Fuel41 67〜69p.(1962)に従つた)、これをクロ
ロホルム溶媒に溶解して、前述の蒸気圧平衡法に
よる数平均分子量の測定、その系統のピツチのゲ
ルパーミエーシヨンクロマトグラフ検量線の作成
および分子量分布図の測定を行なうことにより実
施できる。 ピツチ全体の総合的な分子量分布および数平均
分子量の計算は、上述のO,A,B,C各成分の
含有率と、それぞれの分子量分布データから容易
に計算することができる。 原料ピツチ状物質を構成する3成分、すなわち
O成分、A成分、B成分ではその特性値である
fa、数平均分子量および最高分子量は、いずれも
O成分<A成分<B成分の順に大きくなるので一
般的である。即ち一般的な原料ピツチ状物質で
は、O成分は3成分中、分子の平面構造性と分子
の巨大さ(数平均分子量、最高分子量)の最も小
さい成分で、A成分はO成分とB成分の間の分子
の平面構造性と分子の巨大さを有する成分で、B
成分は3成分中、分子の平面構造性と分子の巨大
さの最も大きい成分である。 高性能炭素繊維製造用ピツチの配向性、均質性
(あるいは相溶性)および軟化点とピツチの分子
構造との関係について次に説明する。 ピツチの配向性は、分子の平面構造性およびあ
る温度での液体流動性に関係がある。即ち、ピツ
チ分子の平面構造性が十分大きく且つ溶融紡糸の
とき繊維軸の方向に分子の平面を再配列するため
に十分大きな流体流動性をもつことが高配向性ピ
ツチの必要条件である。 この分子の平面構造性は、縮合多環芳香族が大
きいほど、ナフテン環が少ないほど、パラフイン
側鎖の数が少ないほど、側鎖の長さが短かいほど
大きいから、faを指標として考察することができ
る。faが大きいほどピツチ分子の平面構造性が大
きくなると考えられる。 ある温度での流体流動性は、分子間、原子間の
相互運動の自由度により決まることから、分子の
巨大さすなわち数平均分子量及び分子量分布(特
に最高分子量の影響が大であると考えられる)を
指標として評価することができる。即ち、faが同
じならば、分子量、最高分子量が小さいほど、あ
る温度での流体流動性は大きくなると考えること
ができる。従つて、高配向性ピツチとしてはfaが
十分大きく、数平均分子量、最高分子量が十分小
さく、かつ比較的低分子量の分布が十分に存在す
ることが重要である。 ピツチの均質性(あるいはピツチ成分の相溶
性)はピツチ分子の化学構造の類似性およびある
温度での流体流動性と関係がある。従つて配向性
の場合と同じく、化学構造の類似性は分子の平面
構造性で代表させfaを指標として、また流体流動
性は数平均分子量および最高分子量を指標として
評価することができる。即ち、均質なピツチとし
ては、ピツチ構成分子間のfaの差が十分小さく、
且つ数平均分子量、最高分子量が十分小さいこと
が重要であり、APとIPの組成構造が、十分に類
似していることが重要である。 軟化点は、ピツチの固−液転移温度を意味する
ことから、ある温度での流体流動性を支配する分
子間の相互運動の自由度と関係があり、分子の巨
大さ即ち数平均分子量、分子量分布(特に最高分
子量の影響が大であると考えられる)を指標とし
て評価することができる。即ち、低い軟化点、従
つて低い溶融紡糸温度を有するピツチとしては、
数平均分子量、最高分子量が十分小さいことおよ
び比較的低分子量の分布が十分に存在することが
重要である。 次に、原料の分子構造の特性とピツチの配向
性、均質性(あるいは相溶性)及び軟化点との関
係について説明すると、原料物質の熱分解重縮合
により、目的とする光学的異方性ピツチを製造す
る際、最も重要なことは、縮合多環芳香族の分子
の平面構造性と分子の巨大さのバランスが反応中
保たれていることである。即ち、熱反応が進行
し、光学的異方性相が生成し、これが更に成長
し、均質な光学的異方性ピツチになる過程におい
て、生成ピツチ全体の平面構造性と流体流動性と
が十分に保たれていることである。即ち、熱反応
が進んで芳香族平面構造が十分発達した時点で数
平均分子量も最高分子量もまだあまり大きくなつ
ていないことが必要である。 従つて、このためには熱分解重縮合等の反応以
前の出発原料の構成成分の分子の平面構造性すな
わちfaが十分大きく、それと相対的に構成成分の
数平均分子量、最高分子量が十分に小さいことが
重要であることが推定される。この場合、出発原
料全体の平均のfa、数平均分子量および、最高分
子量では必らずしも原料としての適否を判定でき
ない。 その理由は、各成分間の分子構造の連続性又は
類似性が重要であるにもかかわらず、平均の特性
値からはそれが判別できないからである。すなわ
ち、平均のfaが十分大きく、かつ数平均分子量が
十分小さいとしても例えば、A成分のfaが小さす
ぎ、B成分の数平均分子量が大きすぎることがあ
り、このようなアンバランスな出発原料では、熱
反応によつて不均質なピツチとなり、目的とする
ピツチを得ることはできない。 以上のような考察に基いて、本発明者らは540
℃を越える沸点を有する種々のピツチ状物質につ
いてその組成構造と熱反応条件と生成ピツチの特
性について鋭意研究した結果、前述の如く原料の
構成成分であるO成分、A成分およびB成分の
各々のfaがいずれも0.7以上、好ましくは0.75以上
であつて、かつ、各々の数平均分子量がいずれも
1500以下、好ましくは、O成分、A成分について
は250〜900、B成分については500〜1200であり、
かつ各々の最高分子量が10000以下であり、好ま
しくはO成分、A成分については3000以下、B成
分については5000以下である場合に、その原料ピ
ツチ状物質の構成成分のそれぞれのfaが十分大き
く、かつ、それぞれの数平均分子量と最高分子量
が十分小さく、構成成分間の分子構造の類似性が
あまりかけ離れたものとはならないことを見出し
た。すなわち、原料構成分子の平面構造性と流体
流動性と均質性が、その後の反応によつてもバラ
ンスよく保たれるために、このような出発原料ピ
ツチ状物質から熱反応によつて、均質は低軟化点
の光学的異方性ピツチが再現性よく得られること
がわかつた。 さらに詳しく述べると、原料ピツチ中のO成
分、A成分およびB成分の数平均分子量がいずれ
も1500以下、かつ最高分子量がいずれも10000以
下で、十分に小さい場合でも、各成分のうち少な
くとも1つの成分のfaが0.7に満たない場合には、
構成成分の平面構造性と分子の流体流動性とのバ
ランスが失われるために、熱反応によつて分子の
平面構造性が十分発達するまで、すなわちfaの小
さい成分が熱分解によつてfaの十分大きいピツチ
成分となるまでに必要な反応時間が相対的に長
く、その間にピツチの分子量が過度に巨大化する
傾向を示し、光学的異方性部分の軟化点は高いも
のとなる。 また、原料中のO成分、A成分、B成分のfaが
いずれも0.7以上であつても、各成分のうちの少
くともひとつの成分の数平均分子量が1500を越え
るか、あるいは最高分子量が10000を越える場合
は、熱重縮合反応によつて加速的に巨大な高分子
量のピツチ分子が生成し、その結果、著しく不均
質なピツチとなつたり、高軟化点の光学的異方性
部分を生じる傾向にある。 光学的異方性ピツチ製造用原料すなわちいわゆ
るピツチ状物質としては、石油工業、石炭工業の
副生物として種々のものがある。これら原料ピツ
チ状物質の構成成分は、一般にO成分、A成分お
よびB成分を含有するものであり、さらにC成分
を含有するものも見受けられる。 このうち目的とするピツチ製造工程にかける前
の原料に含有されるC成分は、一般に分子量の極
めて大きい炭化物や、無機物固体粒等であること
が多く、本発明の目的には好ましくないので、こ
れらが実質的に含まれていないこと、すなかち
0.1wt%以下の含有率であることが好ましい。も
ちろん、原料を熱分解重縮合工程にかけると、O
成分、A成分およびB成分からC成分が生成して
くるものであるから、原料として既に熱分解重縮
合工程を経た中間製品ピツチからスタートする場
合のピツチに関しては、C成分が含有されていて
もよいが、この場合のC成分の特性はやはりfaと
分子量、分子量分布が、他の成分と連続したもの
であることが必要である。すなわちfaは0.85以上
数平均分子量が1500〜3000の範囲、最高分子量
30000以下であることが必要である。 O成分、A成分およびB成分の原料中の含有率
構成比については、前述したように目的とする低
軟化点光学的異方性ピツチを得るための要件では
なく、これらの成分の分子構造的特性のみが要件
であるので、上記3成分は構造的要件を満せば、
その含有率構成比はかなり広い範囲で変化しても
よい。 一般に入手できる原料ピツチ状物質において、
O成分およびA成分を含有しないものはないが、
B成分を分析の限界以上に含有しない、すなわち
実質上含有しないものも存在するが、このような
ものもO成分、A成分の特性が前述の要件を満せ
ば目的の低軟化点光学的異方性ピツチを製造しう
るものである。 また、必要はないが、故意に操作して上述3成
分中のひとつを、ほとんど除去することもでき
る。そのような場合でも、他の成分の特性が前述
の要件を満せば目的の低軟化点光学的異方性ピツ
チを製造しうるものである。 一般に、O成分、A成分、B成分の順にfaおよ
び数平均分子量、最高分子量は大きいので、同じ
反応操作での残留ピツチの収率はA成分、B成分
の含有率の大きいものほど大きくなることが理解
されるが、その好ましい構成比率というものは認
められない。 以上詳述した、従来開示されていない独特の特
性を有する本願発明に係るピツチ状物質を出発原
料とすれば、種々の方法によつて炭素材料用の光
学的異方性ピツチを製造することができ、このこ
とも又本発明の特徴の一つである。即ち、光学的
異方性ピツチを製造するための熱分解重縮合工程
において380〜460℃、好ましくは、400〜440℃の
温度領域で、常圧下で不活性ガスの流通下(ある
いはバブリング下)で低分子量の物質を除去しつ
つ熱分解重縮合を行なう方法、常圧下で不活性ガ
スを流通せずに熱分解重縮合し、その後減圧蒸留
又は不活性ガスで脱揮しつつ加熱処理で低分子量
の物質を除去する方法、或は加圧下で熱分解重縮
合し、その後減圧蒸留又は不活性ガスにより脱揮
しつつ加熱処理する方法等いずれの方法も本発明
の目的に適する。即ち本発明の出発原料を用いる
と熱分解重縮合反応の条件(温度、時間、脱揮割
合等)を広い範囲で選択することが容易であり、
適確に均質は低軟化点の光学的異方性ピツチを得
ることが可能である。 又上述の熱分解重縮合反応工程のみで光学的異
方性ピツチを製造する方法の他に、熱分解重縮合
反応工程の途中で光学的異方性相を分離する方法
が本発明の目的に適する方法である。 即ち、前述の熱分解重縮合反応工程のみで行う
方法は、実質的に1つの反応工程で熱分解重縮合
だけで光学的異方性ピツチを得るので、初期に生
成したAPまでもが反応終了まで高温に保持され
続けるのでAPの分子量が必要以上に巨大化する
傾向があり、本発明の原料系を用いてもピツチの
軟化点が比較的高目になる傾向があるが、熱分解
重縮合の途中で光学的異方性ピツチを分離する方
法では、この分子が必要以上に巨大化することを
防ぐことができるので、実質的に均質な低軟化点
の光学的異方性ピツチを得るためにより好ましい
方法である。即ち、出発原料として本発明の特性
を有するピツチ状物質を熱分解重縮合反応槽に導
入し、380〜460℃の温度で熱分解重縮合を行な
い、生成ピツチ(低分子量分解生成物や未反応物
質を実質上除いた)中にAPを20〜70%含む状態
になつたとき、この重縮合ピツチを熱分解重縮合
が起りにくく且つピツチの流体としての流動性が
十分保たれている温度領域、350〜400℃、で30分
〜20時間静置し、下層に密度の大きいAP部分を
1つの連続相として成長熟成しつつ沈積させ、こ
れを上層のより密度の小さな相である光学的異方
性ピツチから分離して取出す製造方法を用いると
より効果的である。この場合においても、熱分解
重縮合反応は2〜200Kg/cm2の加圧下で行ない、
その後分解生成物を脱揮し、次いでAPを下層に
沈積せしめる方法が好ましいものである。 又、本発明に係る上記特性を有するピツチ状物
質を出発原料として、該ピツチ状物質の熱分解重
縮合により、部分的にAPを生成せしめた後、AP
をそれ以上分子量を増大させることの少ない温度
でおよそ沈積せしめて分離し、APが凝縮された
ピツチを得、その後これを短時間熱処理してAP
を90%以上含有し、所望の軟化点を有するように
仕上げピツチを製造する方法がさらに好適であ
る。 すなわち、出発原料として、本発明の特性を有
するピツチ状物質を使用し、これを約380℃以上
の温度、好ましくは400℃〜440℃で熱分解重縮合
反応に供し、重縮合物中のAPが、20〜70%、好
ましくは30〜50%生成したとき、当該重合物を、
約400℃以下、好ましくは360℃〜380℃に保持し
つつ比較的短時間、5分間〜10時間程度、静置す
るか、又は極めてゆつくり流動又は撹拌しつつ下
層に密度の大きいAPピツチ部分を高濃度で沈積
せしめ、しかる後APの濃度の大きい下層をAPの
濃度の小さい上層とおよそ分離して抜き出し、分
離された下層のAP含有率が70〜90%であるピツ
チを、次に約380℃以上、好ましくは390℃〜440
℃でさらに短時間熱処理し、AP含有率が90%以
上、さらには完全に100%の一定の所望の軟化点
を有するピツチとする方法が好適である。 上述の方法において、出発原料ピツチ状物質を
熱分解重縮合反応する工程では、ふつう分解生成
する低分子量物質を、液相ピツチ系外へ除去する
脱揮を伴うが、特に熱分解重縮合工程のみで、80
%以上のAPを含有するピツチを製造する場合、
あまりに高い減圧度の下で長時間又はあまりに大
きな流量の不活性ガスによる長時間に亘る流通ス
トリツピングを加えると、生成ピツチの収率を低
くし、かつその軟化点を高くする傾向をもつ。こ
のことは脱揮が強すぎると、APの低分子量成分
が過度に少なくなることによる。また一方、あま
りにも低い減圧度、又はあまりにも小さい流量の
不活性ガスによるストリツピングを用いると、分
解生成物が反応系内に長く滞留し、APの生成、
濃縮に長時間を要し、その間に重縮合も進むの
で、分子量分布が拡がりすぎて、最終的なピツチ
の均質性と軟化点とに悪影響を及ぼす傾向があ
る。上述の熱分解重縮合工程における減圧度又は
不活性ガスの流量は原料の種類、反応容器の形
状、温度、反応時間に応じて適宜選択すべきであ
つて限定は難しいが、本発明の原料を用いる場
合、380℃〜430℃の温度では、減圧で行なうとき
には、最終真空度1〜50mmHgが適当であり、不
活性ガス流通用いるときは、試料1Kg当り、0.5
〜5/minの範囲が適当である。 さらに詳しく述べれば、380℃〜400℃の比較的
低温域で、10時間以上の反応を要するときは、減
圧で行なう場合、最終真空度3〜50mmHgまた不
活性ガス流通を行なうときは0.5〜3/min/
Kgが好ましく、また410℃〜430℃の温度を用いて
反応を数時間で終了させるときは、減圧法では、
最終真空度が1〜20mmHg、不活性ガス流通法で
は2〜5/min/Kgの流量が好ましい。 また、上述の不活性ガスの流通は、ピツチ中に
吹込んでバブリングさせてもよいが、単に液面上
を通過するように流してもよい。反応系液相を冷
却しないように、流通する不活性ガスを予備ヒー
ターで加熱することが望ましい。 また、反応液相を均一に反応せしめるために十
分な流動、撹拌を行なうことが必要であることは
いうまでもない。この反応液相の流動又は撹拌
は、加熱された不活性ガスの吹込み流通下で行な
うこともできる。 これら不活性ガスは、使用する温度において、
化学反応性の極めて小さいものであつて、かつ蒸
気圧が十分大きいものであればよく、一般的なア
ルゴン、窒素などの他スチーム、炭酸ガス、メタ
ン、エタンあるいはその他の低分子量炭化水素な
どが使用できる。 また、前述の方法において、APが70〜90%に
濃縮された軟化点が十分低いピツチを、さらに熱
処理調整に付して、APの濃度を90%以上とし軟
化点をやゝ上昇させ所望の軟化点に調節する処理
においては、必ずしも不活性ガスを流通しなくて
もよいが、上述の熱分解重縮合工程と同様に不活
性ガスを流通して脱揮しつつ行なうこともできる
ことはいうまでもない。 上述した本発明の方法に従つて、特徴ある出発
原料ピツチ状物質、すなわち含有成分の分子量が
十分小さく、分布が狭く、分子の芳香族構造が十
分発達したものを用いて製造された光学的異方性
ピツチは、必ずしも100%完全にAPでなくとも、
紡糸工程などで実質上均質のピツチとして挙動
し、またAPを80%以上、ふつう90%以上含有す
るにもかゝわらず、極めて低い軟化点を有し、従
つて実用上十分に低い溶融紡糸温度が適用できる
という特徴を有する。 この本発明の方法で製造された実用上優れた光
学的異方性ピツチは、必ずしも先に出願した特開
昭57−88016号公報に記載したピツチ物質O,A,
B,C成分の組成、特性に一致するものではない
が、上述の優れた特性を有することの原因を調べ
た結果、その特異な分子量分布が認められた。 すなわち、本発明の方法で製造された多くの光
学的異方性ピツチを分析した結果、その数平均分
子量は約900〜1500の範囲にあつて、出発原料と
製法の違いに基き多少変化するが、ほとんどは約
1000〜1100の範囲内にあり、このようなものが
APの含有率も大きく、均質で軟化点も十分低い
ものであることがわかつた。 さらに驚くべきことは、APが90%以上、さら
にはほとんど100%の場合においても、分子量
AP600以下の低分子量物30〜60モル%も含有する
ことであり、これが本発明の大きな特徴である。 この事実は本発明の出発原料および製法を用い
る場合に導かれる結果と考えられ、その結果、
APの軟化点を低くし、ピツチの流動性、成形性
を向上させているものと思われる。 また、さらにより高分子量の成分の分布におい
て、分子量1500以上の分子が15〜35モル%も含ま
れていることが第2の特徴である。しかし最高分
子量(高分子量側1重量%のフラクシヨンの数平
均分子量)は約30000を越えていないものであつ
て、これらも本発明の出発原料および製法を用い
る場合の特異な結果と考えられ、これら高分子量
物はピツチ中にあつて、APの配向性ならびに成
形強度に寄与する骨格成分となつており、そのた
めに細く丈夫なピツチ繊維の紡糸を可能にしてい
るものと考えられる。 また、残余の中間の分子量成分すなわち分子量
600〜1500を有するものは、本発明のピツチの場
合、20〜50モル%の範囲内で存在する。 以上の如き諸々の本発明に係る方法によつて製
造される光学的異方性炭素質ピツチは、前述した
如き原料を使用することによつて、APを80〜100
%含有する、十分に均質な光学的異方性ピツチで
ありながら低い軟化点を有し、従来技術では達成
されなかつた次の利点を得ることができる。すな
わち、不融物の高温過、溶剤抽出又は触媒の
除去等の複雑でコストの高い工程を必要とするこ
となく、短時間(例えば、全反応3時間)で実質
上、均質はAPから成り、且つ低軟化点(例えば
260℃)を有する光学的異方性炭素質ピツチを得
ることができること、従つて炭素繊維を製造する
場合には低い最高紡糸温度(溶融紡糸装置内でピ
ツチを溶融流動、移送するのに適した最高温度)
290〜370℃、ふつう300〜360℃を採用することが
できること、本発明の方法により製造される光
学的異方性炭素質ピツチは、均質性が優れ、熱分
解重縮合が顕著に発生する約400℃よりはるかに
低い温度で平滑な表面を持つた、太さのほとんど
変らない繊維を連続して紡糸することができるか
ら、ピツチの紡糸性が良好(糸切れ頻度が少な
く、糸が細く、糸のバラツキがない)であり、又
紡糸中の変質が生じないため製品炭素繊維の品質
が安定していること、実質上、紡糸中の分解ガ
スの発生及び不融物の生成が生じないから、高速
紡糸が可能で且つ紡糸されたピツチ繊維の欠陥が
少なく、従つて炭素繊維の強度が強くなること、
及び事実上、ほとんど全体が溶晶状の光学的異
方性ピツチを紡糸して炭素繊維を製造することが
できるから繊維軸方向の黒鉛構造の配向性がよく
発達し、弾性率の高い炭素繊維を得ることができ
ること、等の予期せざる効果を奏することができ
る。実際に本発明に従つて製造された光学的異方
性ピツチを用いて常法に従つて炭素繊維に調製す
ると極めて高強度、高弾性の炭素繊維が安定性よ
く得られることがわかつた。即ち、本発明の方法
で得た、十分に均質な光学的異方性ピツチ
(AP80〜100%含有)は370℃以下の温度で通常の
溶融紡糸が可能であり、糸切れ頻度が少なく、高
速で引取り可能で、繊維直径が5〜10μのものも
得られる。 又、本発明によつて生成される光学的異方性ピ
ツチから得られたピツチ繊維は酸素雰囲気中200
℃以上の温度で10分〜2時間程度にて不融化さ
れ、この不融化処理剤のピツチ繊維を1300℃まで
昇温し、炭化焼成して得た炭素繊維の特性は、繊
維直径に依存するが引張り強度2.0〜3.7×109Pa、
引張り弾性率1.5〜3.0×1011Paのものが得られ、
1500℃まで炭化焼成すると引張り強度2.0〜4.0×
109Pa、引張り弾性率2.0〜4.0×1011Paのものが
得られる。 実施例 1 石油の接触分解で副生するタール状物質を常圧
に換算して540℃まで減圧蒸留して得た残渣ピツ
チを原料とした。 原料の特性値は、炭素含有量92.2wt%、水素含
有量6.5wt%、比重1.22、キノリン不溶分0%、
O成分の含有量は51%でそのfaは0.85、数平均分
子量319、最高分子量920、A成分の含有量は49%
でそのfaは0.91、数平均分子量375、最高分子量
1400で、B成分の含有量は0.1wt%以下であつた。 この原料油1000grを内容積1.45の熱処理装置
に張込み、窒素ガス気流下で十分撹拌しながら
430℃で3時間熱処理し、軟化点234℃、比重
1.33、キノリン不溶分15wt%で偏光顕微鏡で観察
すると光学的等方性の母相中に直径が200μ以下
のAP小球体を約45%含むピツチが原料に対し
34.6%の収率で得られた。 このピツチを、下部に抜き出し用のコツクを備
えた内径4cm、長さ70cmの円筒形の反応容器にと
り窒素雰囲気下で毎分30回転で撹拌しつつ380℃
で2時間保ち、次に窒素加圧下100mmHg以下で反
応容器の下部コツクを開き静かにやゝ粘稠な下層
ピツチを29.4%抜き出し、次にピツチの粘度が著
るしく低下するまで抜き出し、二層の境界ピツチ
とし、さらに62.8wt%の低粘度の上層ピツチを抜
き出した。上層ピツチは、直径が20μ以下の光学
的異方性小球体を約25%含む光学的等方性のピツ
チで軟化点207℃、比重1.32、キノリン不溶分6wt
%であつた。境界ピツチは母相中に直径が20μ以
下の光学的異方性小球体を含む1Pと塊状のAPが
複雑に入り組んで混在する不均質なピツチであつ
た。下層ピツチは95%以上APで、軟化点265℃、
比重1.35、キノリン不溶分35wt%、炭素含有量
94.5%、水素含有量4.4%であつた。このピツチ
を試料1としてテスト例で使用した。 比較例 1 比較のため、ナフサの熱分解で副生するタール状
物質540℃まで減圧蒸留して得たピツチを原料と
した。原料の特性値は炭素含有量92.5wt%、水素
含有量7.3wt%、比重1.23、キノリン不溶分0%、
O成分の含有量は15wt%で、そのfaは0.79、数平
均分子量675、最高分子量1500、A成分の含有量
は85wt%で、そのfaは0.83、数平均分子量830、
最高分子量15000で、B成分の含有量は0%であ
つた。この原料油を実施例1の実験と同じ熱処理
装置を用い、常圧、窒素ガス気流下で十分撹拌し
ながら415℃で3時間熱処理して得られたピツチ
は偏光顕微鏡で観察すると、まだ全て1Pのピツ
チで、キノリン不溶分0%、軟化点277℃でピツ
チの収率は原料に対し42.7wt%であつた。又、同
じく415℃で4時間熱処理して得られたピツチは
偏光顕微鏡で観察すると光学的等方性の母相中に
直径20μ以下のAP小球体を約10%含むピツチで
キノリン不溶分11wt%で、軟化点はすでに328℃
に達し、ピツチの収率は原料に対し36.8wt%であ
つた。このピツチを試料2としてテスト例で使用
した。 比較例 2 さらに比較のため、ミナス原油を常圧に換算し
て540℃まで減圧蒸留して得た残油を原料とした。
原料の特性値は、炭素含有量87.3wt%、水素含有
量12.3wt%、比重0.95、キノリン不溶分0%、O
成分の含有量は96wt%で、そのfaは0.18、数平均
分子量は870、最高分子量は1750、A成分の含有
量は4wt%で、そのfaは0.46、数平均分子量3560、
最高分子量は58000で、B成分の含有量は0.1%以
下であつた。この原料油を実施例1と同じ方法で
430℃で3時間熱処理し、放冷後ピツチを熱処理
装置から取出すと、境界が明確ではないが2層に
分離していた。この2層の原料に対する収率は上
層が6.5wt%、下層が12.3wt%で、上層のピツチ
を偏光顕微鏡で観察すると光学的等方性の母相中
に直径50μ以下のAP小球体を約10%含有する光
学的等方性ピツチであつた。又、下層のピツチは
偏光顕微鏡で観察するとIPとAPとがほゞ等量で
複雑に入り組んで混在する不均質なピツチでキノ
リン不溶分55wt%であり、軟化点はすでに396℃
であり、この下層ピツチはいかなる温度でも紡糸
することが困難であつた。 実施例 2 実施例1と同じ原料タール1000grを熱処理装置
に張込み常圧、窒素ガス気流下で十分撹拌しなが
ら、430℃で4時間熱処理した。この熱処理のみ
で得られたピツチは軟化点295℃、キノリン不溶
分32wt%で、偏光顕微鏡で観察すると約80%が
APで、その収率は原料に対し27.4wt%であつた。
又、同じく430℃で4.7時間熱処理して得られたピ
ツチは軟化点316℃、キノリン不溶分44wt%で、
偏光顕微鏡で観察すると99%以上APで、その収
率は原料に対し22.8wt%であつた。この2種のピ
ツチは、いずれも紡糸温度360〜370℃で溶融紡糸
することが容易であつた。 実施例 3 石油の接触分解で副生するタール状物を、減圧
下で釜底温度約400℃で熱分解しつつ、常圧に換
算して540℃まで減圧蒸留した等方性の残留ピツ
チを原料とした。原料の特性値は、炭素含有量
93.3wt%、水素含有量5.4wt%、比重1.25、キノ
リン不溶分0.1wt%以下で、O成分の含有量は
52wt%で、そのfaは0.78、数平均分子量378、最
高分子量1830、A成分の含有量は31wt%でその
faは0.82、数平均分子量615、最高分子量3250で、
B成分の含有量は17wt%で、そのfaは0.86、推定
数平均分子量1140、推定最高分子量4500であつ
た。 この原料ピツチ1000grを実施例1と同じ方法で
430℃で2.5時間熱処理した。軟化点229℃、キノ
リン不溶分19wt%で偏光顕微鏡で観察すると光
学的等方性の母相中に直径200μ以下の真球状の
AP小球体を約40%含むピツチが原料油に対し
41.8wt%の収率で得られた。このピツチを実施例
1と同じ方法で380℃で1時間保ち、反応容器の
下部コツクからやゝ粘稠な下層ピツチを張込量に
対し27.5wt%抜き出した。この下層ピツチは約70
%光学的異方性のピツチで軟化点が274℃であつ
た。このピツチをさらに400℃に1時間熱処理す
ると、95%以上光学的異方性で、軟化点283℃、
比重1.36、キノリン不溶分44wt%のピツチが得ら
れた。この不溶分を試料3としてテスト例で使用
した。 上記と同じ原料ピツチ1000grについて実施例1
の熱処理装置を用い、常圧、窒素ガス気流下で十
分撹拌しながら、430℃で3.8時間熱処理し、熱処
理のみで、大部分が光学的異方性のピツチを原料
に対し32.6wt%の収率で得た。このピツチを偏光
顕微鏡で観察すると98%光学的異方性のピツチ
で、軟化点307℃、比重1.36、キノリン不溶分
51wt%であつた。このピツチを試料4としてテ
スト例で使用した。 比較例 3 比較のため、石油から潤滑油を製造する工程に
おいて副生する、沸点540℃以上のものを主成分
とするフエノール抽出油を原料とした。原料油の
特性値は、炭素含有量85.4wt%、水素含有量
11.4wt%、比重0.96、100%O成分で、そのfaは
0.33、数平均分子量640、最高分子量2100であつ
た。 この原料油1000grを実施例1と同じ方法で415
℃で、4時間熱処理して得られたピツチは軟化点
280℃、キノリン不溶分0wt%で偏光顕微鏡で観
察するとまだ100%光学的等方性ピツチでその収
率は原料油に対し18.0wt%であつた。 又、同じく415℃で5.5時間熱処理して得られた
ピツチは、偏光顕微鏡で観察すると約70%の1P
と約307のAPが入り組んで混在する不均質なピツ
チで、キノリン不溶分32wt%で、軟化点は347℃
に達し、その収率は13.4wt%であつた。 次に、この原料油を実施例1で用いた原料ター
ルに40wt%混合して調整した混合油の特性値は、
炭素含有量89.5wt%、水素含有量7.5wt%、比重
1.11、キノリン不溶分0%で、O成分の含有量
71wt%で、そのfaは0.64、数平均分子量451、最
高分子量2050、A成分の含有量は29wt%で、そ
のfaは0.91、数平均分子量370、最高分子量1400
であつた。この混合原料1000grを実施例1と同じ
方法で430℃で3時間熱処理した。軟化点231℃、
キノリン不溶分21wt%で偏光顕微鏡で観察する
と光学的異方性の母相中に100μ以下の真球状の
AP小球体と100μ前後の楕円状合体物とが共存
し、これらのAPをピツチ全体に対して約35wt%
含むピツチを、原料に対して29.5wt%の収率で得
た。このピツチを実施例1と同じ方法で380℃で
2時間保ち、反応容器の下部コツクを開きかなり
粘稠な下層ピツチを張込量に対し23.9wt%抜き出
した。この下層ピツチはAPを約85%含有し、こ
のAP中に300μ以下の不規則な楕円状の1P部分が
約15%混在するピツチで、軟化点346℃、キノリ
ン不溶分54wt%であつた。この下層ピツチを試
料5としてテスト例で使用した。 テスト例 実施例1と3および比較例1と3で得た各試料
を直径0.5mmのノズルをもつ紡糸器で200mmHg以
下の窒素圧下で、紡糸したところ試料1,3,4
は500m/分の速さで糸切れ頻度も少なく、また
紡糸中のピツチの変性も少なく、また紡糸中のピ
ツチの変性も少なく、繊維太さの細いピツチ繊維
が長時間にわたり得られたが、試料2,5は紡糸
温度を高くしても500m/分では紡糸不可能であ
り、300m/分でも糸切れ頻度が多く、繊維太さ
の細いピツチ繊維を得ることはできなかつた。
又、試料2,5は紡糸中の熱分解重縮合によると
考えられるピツチの変性が著しかつた。 これらのピツチを紡糸して得たピツチ繊維を酸
素雰囲気中230℃で30分間不融化処理を施し、次
に不活性ガス中で30℃/分の速度で1500℃まで昇
温後冷却し炭素繊維を得た。 紡糸および炭素繊維の特性評価結果をまとめて
第1表に示した。
【表】
かくして、前記表の結果等から明らかであるよ
うに、本発明によれば不融物の高温過、溶媒抽
出、触媒の添加並びに除去といつた複雑かつ高価
な工程を必要とせず、短時間で実質的に均質な
APからなり、軟化点の低い光学的異方性ピツチ
を得ることができる。 このような本発明のピツチを使用すれば、その
低軟化点および均質性から、顕著な熱分解重縮合
を生ずる400℃よりも十分に低い温度下で紡糸で
きかつ紡糸性良好(低糸切れ頻度、細くかつ太さ
のバラツキが少ない)であり、また紡糸中の変質
がないために製品としての炭素繊維の品質も安定
する。 更に、本発明のピツチを使用すれば、紡糸中の
分解ガスの発生並びに不融物の生成が実質的に生
じないので、紡糸されたピツチ繊維の欠陥(気泡
の形成、固形異物の含有)が少なく、その結果高
強度の炭素繊維を得ることが可能となる。また、
本発明のピツチはほとんど全体が液晶状の光学的
異方性ピツチであるので、繊維軸方向における黒
鉛構造の良く発達した配向性と高弾性率とを有す
る炭素繊維を得ることができる。
うに、本発明によれば不融物の高温過、溶媒抽
出、触媒の添加並びに除去といつた複雑かつ高価
な工程を必要とせず、短時間で実質的に均質な
APからなり、軟化点の低い光学的異方性ピツチ
を得ることができる。 このような本発明のピツチを使用すれば、その
低軟化点および均質性から、顕著な熱分解重縮合
を生ずる400℃よりも十分に低い温度下で紡糸で
きかつ紡糸性良好(低糸切れ頻度、細くかつ太さ
のバラツキが少ない)であり、また紡糸中の変質
がないために製品としての炭素繊維の品質も安定
する。 更に、本発明のピツチを使用すれば、紡糸中の
分解ガスの発生並びに不融物の生成が実質的に生
じないので、紡糸されたピツチ繊維の欠陥(気泡
の形成、固形異物の含有)が少なく、その結果高
強度の炭素繊維を得ることが可能となる。また、
本発明のピツチはほとんど全体が液晶状の光学的
異方性ピツチであるので、繊維軸方向における黒
鉛構造の良く発達した配向性と高弾性率とを有す
る炭素繊維を得ることができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 540℃を越える沸点を有する炭素と水素とか
らなる化合物の混合物であり、実質的にキノリン
不溶分を含まないピツチ状物質を出発原料とし、
ただし、該出発原料はn−ヘプタン可溶分、O成
分、およびn−ヘプタン不溶かつベンゼン可溶
分、A成分、場合により更にベンゼン不溶かつキ
ノリン可溶分、B成分を含み、これらの成分の芳
香族炭素分率faはいずれも0.7以上であり、数平
均分子量はいずれも1500以下であり、かつ最高分
子量はいずれも10000以下である、該出発原料を
熱分解重縮合することを特徴とする、光学的異方
性相を80%以上含有し、320℃以下の軟化点を有
する均質低軟化点光学的異方性ピツチの製造方
法。 2 O成分、A成分およびB成分のfaがいずれも
0.75以上である、特許請求の範囲第1項記載の方
法。 3 O成分およびA成分の数平均分子量がいずれ
も250〜900であり、かつ最高分子量が3000以下で
ある、特許請求の範囲第1または2項に記載の方
法。 4 B成分のfaが0.8以上であり、その数平均分
子量が500〜1200であり、かつ最高分子量が5000
以下である、特許請求第3項記載の方法。 5 前記光学的異方性ピツチの軟化点が230〜320
℃の範囲内にあり、かつその光学的異方性相の含
有率が90〜100%の範囲内にあることを特徴とす
る、特許請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に
記載の方法。 6 前記熱分解重縮合反応を380〜460℃の範囲の
温度で行う、特許請求の範囲第1項記載の方法。 7 前記熱分解重縮合反応を、常圧下にて不活性
ガスの流通下またはバブリング下で低分子量物質
を除去しつつ行う、特許請求の範囲第1〜6項の
ずれか1項に記載の方法。 8 前記熱分解重縮合反応を、常圧下で不活性ガ
スを流通させずに行い、その後減圧蒸留または不
活性ガスストリツピング処理により低分子量物質
を除去する、特許請求の範囲第1〜6項のいずれ
か1項に記載の方法。 9 前記熱分解重縮合反応を加圧下で行い、その
後減圧蒸留または不活性ガスによるストリツピン
グ処理を行う、特許請求の範囲第1〜6項のいず
れか1項に記載の方法。 10 前記熱分解重縮合反応を、生成する光学的
異方性相を分離しつつ実施する、特許請求の範囲
第1〜9項のいずれか1項に記載の方法。 11 540℃を越える沸点を有する炭素と水素と
からなる化合物の混合物であり、実質的にキノリ
ン不溶分を含まないピツチ状物質を出発原料と
し、ただし、該出発原料はn−ヘプタン可溶分、
O成分、およびn−ヘプタン不溶かつベンゼン可
溶分、A成分、場合により更にベンゼン不溶かつ
キノリン可溶分、B成分を含み、これら成分の芳
香族炭素分率faはいずれも0.7以上であり、数平
均分子量はいずれも1500以下であり、かつ最高分
子量はいずれも10000以下である、該出発原料を
熱分解重縮合反応に供し、、光学的異方性相含有
率を20〜70%とした後、該ピツチを350〜400℃の
範囲の温度に維持して、より比重の大きな光学的
異方性相に富む部分を沈積させ、これをより比重
の小な光学的異方性相に富む部分から分離するこ
とを特徴とする、光学的異方性相を80%以上含
み、320℃以下の軟化点を有する均質低軟化点光
学的異方性ピツチの製造方法。 12 O成分、A成分およびB成分のfaがいずれ
も0.75以上である、特許請求の範囲第11項記載
の方法。 13 O成分およびA成分の数平均分子量がいず
れも250〜900であり、かつ最高分子量が3000以下
である、特許請求の範囲第11または12項に記
載の方法。 14 B成分のfaが0.8以上であり、その数平均
分子量が500〜1200であり、かつその最高分子量
が5000以下である、特許請求第13項記載の方
法。 15 前記光学的異方性ピツチの軟化点が230〜
320℃の範囲内にあり、かつその光学的異方性相
の含有率が90〜100%の範囲内にあることを特徴
とする、特許請求の範囲第11〜14項のいずれ
か1項に記載の方法。 16 前記熱分解重縮合反応を380〜460℃の範囲
の温度で行う、特許請求の範囲第11項記載の方
法。 17 540℃を越える沸点を有する炭素と水素と
からなる化合物の混合物であり、実質的にキノリ
ン不溶分を含まないピツチ状物質を出発原料と
し、ただし、該出発原料はn−ヘプタン可溶分、
O成分、およびn−ヘプタン不溶かつベンゼン可
溶分、A成分、場合により更にベンゼン不溶かつ
キノリン可溶分、B成分を含み、これらの成分の
芳香族炭素分率faはいずれも0.7以上であり、数
平均分子量はいずれも1500以下であり、かつ最高
分子量はいずれも10000以下である、該出発原料
を熱分解重縮合反応に供し、光学的異方性相含有
率を20〜70%とした後、該ピツチを350〜400℃の
範囲の温度に維持して、より比重の大きな光学的
異方性相に富む部分を沈積させ、これをより比重
の小さな光学的等方性相に富む部分から分離し、
分離した光学的異方性相に富む部分を更に熱処理
することを特徴とする、90%以上のの光学的異方
性相を含有し、かつ320℃以下の軟化点を有する
均質低軟化点光学的異方性ピツチの製造方法。 18 O成分、A成分およびB成分のfaがいずれ
も0.75以上である、特許請求の範囲第17項記載
の方法。 19 O成分およびA成分の数平均分子量がいず
れも250〜900であり、かつ最高分子量が3000以下
である、特許請求の範囲第17または18項に記
載の方法。 20 B成分のfaが0.8以上であり、その数平均
分子量が500〜1200であり、かつその最高分子量
が5000以下である、特許請求第19項記載の方
法。 21 前記光学的異方性ピツチの軟化点が230〜
320℃の範囲内にあり、かつその光学的異方性相
の含有率が90〜100%の範囲内にあることを特徴
とする、特許請求の範囲第17〜20項のいずれ
か1項に記載の方法。 22 前記熱分解重縮合反応を380〜460℃の範囲
の温度で行う、特許請求の範囲第17〜21項の
いずれか1項に記載の方法。
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| JP57027126A JPS58142976A (ja) | 1982-02-22 | 1982-02-22 | 均質低軟化点光学的異方性ピッチの製法 |
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