JPH0411667B2 - - Google Patents
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- Publication number
- JPH0411667B2 JPH0411667B2 JP62223720A JP22372087A JPH0411667B2 JP H0411667 B2 JPH0411667 B2 JP H0411667B2 JP 62223720 A JP62223720 A JP 62223720A JP 22372087 A JP22372087 A JP 22372087A JP H0411667 B2 JPH0411667 B2 JP H0411667B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wool
- cation
- silica particles
- resin
- fibers
- Prior art date
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- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、麻のような風合いを備えた羊毛製品
およびその製法に関するものである。 〔従来の技術〕 通常の合成繊維や植物性繊維にシリカ粒子を結
合させると麻のようなドライ感が強くなることが
知られている。しかし、単にシリカ粒子を結合さ
せただけでは洗濯を重ねるとシリカ粒子が脱落し
てドライ感が薄れていく。そこで、上記ドライ感
に洗濯耐久性を与える方法として、シリカ粒子を
含んだ懸濁液にウレタン系、シリコン系、尿素ホ
ルマリン系、グリオキザール系、アクリル系、エ
ポキシ系、アセタール系等の樹脂を添加してから
繊維に反応させ、脱水乾燥後に触媒あるいは熱の
作用で樹脂を架橋させて樹脂膜にシリカ粒子を閉
じ込めてしまうという方法が実用化されている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 このようなドライ感を羊毛繊維に付与すること
が検討されている。しかしながら、羊毛繊維は、
本来植物性繊維よりも親水性でありながらその表
面が撥水性であるエピクチクル層で被われている
ため、親水性、疎水性の両化学物質に対し親和性
が乏しく、上記のような水系処理で羊毛表面に皮
膜を形成する樹脂は現在のところ見いだされてい
ない。 ただ、皮膜は形成しないが、羊毛表面に塊状に
付着し一部羊毛繊維と化学結合して洗濯に耐久性
を示す樹脂がいくつか見いだされている。これら
は、布帛にのみ適応されるもので、繊維に付着さ
せ乾燥後キユワリングすることで樹脂間での架橋
を促進し塊状化させるもので、この塊状樹脂によ
つて羊毛繊維間をボンデイングさせ、これにより
羊毛繊維の移動を阻止して洗濯時のフエルト収縮
を防止するために用いられる。このような樹脂に
シリカ粒子を混合して用いるとうまく羊毛繊維に
ドライ感が付与できるのではないかと予想された
が、上記樹脂は、親水性、疎水性の両化学物質に
対し親和性が乏しいという羊毛繊維の特殊な性質
に適合するような特殊な構造によつて親和性が与
えられているため、シリカ粒子を混合すると上記
親和性が損なわれて羊毛繊維への耐久的な付着を
示さなくなる。したがつて、実用化できない。 また、羊毛表面を改質して親水性にしたのちシ
リカ粒子含有水系樹脂を作用させてその表面にシ
リカ粒子含有樹脂皮膜を形成させることが検討さ
れている。しかし、羊毛繊維はアルカリにも高温
にも弱いため、強いキユワリング条件を設定でき
ず、樹脂の架橋形成が不充分になり耐洗濯性の低
いものしか得られないという難点を有している。 本発明は、このような事情に鑑みなされたもの
で、ドライ感を有し、かつそのドライ感が洗濯に
対しても優れた耐久性を示す羊毛製品とその製法
の提供を目的とするものである。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的を達成するため、本発明は、表面の
クチクル層の少なくとも一部が除去されてアニオ
ン基が増加した状態の羊毛繊維表面に、カチオン
変性シリカ粒子が繊維表面のアニオン基とイオン
結合した状態で固定され、しかもその外側が、羊
毛繊維と共有結合で結合したポリアミドエピクロ
ルヒドリン樹脂皮膜によつて被覆されている羊毛
製品を第1の要旨とし、羊毛を塩素および酸素の
少なくとも一方で酸化処理することによりその表
面のクチクル層の少なくとも一部を除去してアニ
オン基を増加させる工程と、上記羊毛をカチオン
変性シリカ粒子懸濁液で処理する工程と、上記カ
チオン変性シリカ粒子懸濁液による処理と同時ま
たはその後に上記羊毛をポリアミドエピクロルヒ
ドリン樹脂液で処理する工程とを備える羊毛製品
の製法を第2の要旨とする。 〔作用〕 すなわち、本発明者らは、羊毛繊維に耐久性あ
るドライ感を付与する方法についてさまざまな方
向から研究を進めた結果、羊毛の繊維表面のクチ
クル層を損傷もしくは除去して繊維表面に活性な
アニオン基を増やし、そこにカチオン変性シリカ
粒子をイオン結合によつて固定し、さらにその上
を、羊毛繊維と共有結合しうるポリアミドエピク
ロルヒドリン樹脂で被覆すると、上記カチオン変
性シリカ粒子が、繊維表面に均一に分散した状態
で羊毛繊維のアニオン基とイオン結合して直接固
定され、その状態で、共有結合によつて羊毛繊維
と強固に結合したポリアミドエピクロルヒドリン
樹脂皮膜によつて被覆されるため、シリカ微粒子
が繊維表面から脱落することがなく、優れた耐洗
濯性を示すことを見いだし本発明に到達した。 つぎに、本発明を詳細に説明する。 本発明の対象とする羊毛製品とは、羊毛繊維に
よつて形成されたスライバー、ばら毛、糸、布帛
等の各種形態の繊維製品を指す。 本発明の羊毛製品は、上記羊毛繊維製品の繊維
表面を、例えばつぎのように加工してドライ感を
付与したものである。 (1) 羊毛繊維表面の改質 塩素もしくは酸素酸化により羊毛繊維表面に
強力なアニオン基を形成させて親水性を与え
る。すなわち、羊毛繊維の表面のスケールのう
ち最外層であるエピクチクル層を損傷もしくは
溶出除去して羊毛繊維の撥水性を除去し、さら
に中間層であるエキソクチクル層にも損傷を与
えて最内層であるエンドクチクル層と同程度の
親水性にする。通常、エキソクチクル層はエン
ドクチクル層よりも親水性が小さく、この差異
に由来するバイメタル作用により水中でクチク
ル層がまくれて繊維が絡み合い、フエルト化現
象が生じる。したがつて、このように両層の親
水性を同程度にすると、上記フエルト化が解消
し、繊維表面のぬれ性が大幅に改善されること
になる。 なお、上記塩素もしくは酸素酸化を行う方法
としては、例えば公知のクロイ加工機を用いて
塩素酸化(通常「塩素化」と称している)する
方法をあげることができる。この方法は、塩素
ガスや次亜塩素酸(NaOCl)等を用いて羊毛
繊維の表面スケールのシスチンやペプチド結合
を破壊してアニオン基を生起させるもので、羊
毛製品の防縮加工法としてよく知られている。
本発明において、上記塩素酸化を行う場合、そ
の有効塩素量を1〜6%owf(繊維重量に対す
る重量、以下同じ)に設定することが好適であ
る。なお、このような酸化反応によつて生じる
羊毛繊維の化学的な変化について示しておく。 このような改質処理により、羊毛繊維表面は
カチオンとの反応性に富むアニオン基が増加す
るとともに、ぬれ性が向上する。 (2) カチオン変性シリカ粒子の羊毛繊維表面への
結合 上記のようにして改質された羊毛に、カチオ
ン変性したシリカ粒子を供給し、羊毛繊維表面
のアニオン基にカチオン変性シリカ粒子をイオ
ン結合させる。これによつて、カチオン変性シ
リカ粒子は、繊維表面に、直接、かつ強固に固
定される。しかも、繊維表面のアニオン基があ
るところに、シリカ粒子が均一に分散した状態
で結合するため、結合したシリカ粒子の分布が
偏らない。これが、本発明の大きな特長であ
る。この結合反応は、例えばスライバー等の羊
毛製品をパツケージ染色するのと同様の要領で
カチオン変性シリカ粒子懸濁液を反応させるこ
とにより行うことができる。上記カチオン変性
シリカ粒子としては、例えば水系のコロイド溶
液として市販されているカチオン変性コロイダ
ルシリカ(CLA−530、共栄油脂化学工業社
製)等があげられる。上記カチオン変性シリカ
粒子は、1種を単独で用いても2種以上を併用
してもよい。ただし、その粒子径は、5〜50m
μ(ミリミクロン)程度に設定することが好適
である。すなわち、粒子径が5mμより小さい
ものでは得られる羊毛製品のドライ感が充分で
なく、逆に50mμより大きいものでは粗剛感が
強くなるとともにシリカ粒子が羊毛繊維表面か
ら離脱しやすくなる傾向が見られるからであ
る。また、シリカ粒子の配合量は、0.3〜2.0%
owf、特に0.6〜1.5%owfに設定することが好
適である。この範囲内で、特に好ましい麻のよ
うな風合いが得られる。 (3) 樹脂によるカチオン変性シリカ粒子の充填固
定 上記のようにしてカチオン変性シリカ粒子が
結合された羊毛に、親水性が改質された羊毛繊
維と共有結合しうるポリアミドエピクロルヒド
リン樹脂を供給し、上記シリカ粒子ごと羊毛繊
維表面を被覆する樹脂膜を形成させて、シリカ
粒子の外側を被覆して羊毛繊維表面に固定させ
る。上記樹脂膜は、共有結合によつて繊維表面
との強く一体化されているため、上記シリカ粒
子は強固に固定される。なお、形成させる樹脂
皮膜の厚みは15〜150mμ(ミリミクロン)、特
に100mμ前後にすることが好適である。上記
厚みを実現するためには、用いるポリアミドエ
ピクロルヒドリン樹脂の配合量を、0.3〜3.0%
owf、特に0.6〜1.5%owfに設定することが好
適である。 上記ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂は、
アゼチジニウムカチオンを有し、かつ水膨潤性
を備えている。 上記アゼチジニウムカチオンとは、下記に示
すような四級アンモニウムカチオンで、アニオ
ン基と共有結合を形成しやすい構造を有してい
る。 このようなアゼチジニウムカチオンを有し、
かつ水膨潤性を備えるポリアミドエピクロルヒ
ドリン樹脂としては、例えばハーコセツト57
(デイツク・ハーキユレス社製、分子量6000〜
10000)やポーラミンE−125、ポーラミン
300XC(ともに東邦化学社製、分子量8000〜
11000)等があげられる。これらの樹脂の構造
中に存在するアゼチジニウムカチオンが前記改
質された羊毛繊維のスルホン酸基(−SO3)、
カルボキシル基(−COO)等と強力な共有
結合を形成して耐久性の高い樹脂皮膜を形成す
る。したがつて、前記シリカ粒子はこの樹脂皮
膜に包みこまれるため、容易に羊毛繊維表面か
ら脱落することがなく、洗濯等を繰り返しても
その特性が変化することがない。さらに、樹脂
自体が高度に水膨潤性に富んでいるため、洗濯
時には樹脂が吸水して膨潤し、水系で羊毛繊維
が充分に柔軟性を示すようになる。したがつ
て、シリカ粒子の固定部分に無理な荷重がかか
らない。 なお、上記カチオン変性シリカ粒子の供給と
樹脂によるシリカ粒子の固定は、上記のように
別工程で行つてもよいが、同時に行つても何ら
差し支えない。 このようにして得られた羊毛製品は、シリカ
粒子の固定によつて麻に似たドライな風合いを
持ち、そのドライ感、ハード感(シヤリ感)が
洗濯を繰り返しても損なわれることがないとい
う特長を有する。したがつて、本来麻製品や羊
毛製品は水洗いに不向きとされていたが、この
羊毛製品は水洗いが可能であり、取り扱いが容
易である。 つぎに、実施例について比較例と併せて説明
する。 実施例 1 まず、羊毛スライバーに下記の条件で塩素処理
を施した。 有効塩素量:5%owf 処理機:クロイ加工機 処理温度:10℃ 上記処理によつて得られた羊毛スライバーは、
その特性が処理前に比べて下記の第1表のように
改質された。
およびその製法に関するものである。 〔従来の技術〕 通常の合成繊維や植物性繊維にシリカ粒子を結
合させると麻のようなドライ感が強くなることが
知られている。しかし、単にシリカ粒子を結合さ
せただけでは洗濯を重ねるとシリカ粒子が脱落し
てドライ感が薄れていく。そこで、上記ドライ感
に洗濯耐久性を与える方法として、シリカ粒子を
含んだ懸濁液にウレタン系、シリコン系、尿素ホ
ルマリン系、グリオキザール系、アクリル系、エ
ポキシ系、アセタール系等の樹脂を添加してから
繊維に反応させ、脱水乾燥後に触媒あるいは熱の
作用で樹脂を架橋させて樹脂膜にシリカ粒子を閉
じ込めてしまうという方法が実用化されている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 このようなドライ感を羊毛繊維に付与すること
が検討されている。しかしながら、羊毛繊維は、
本来植物性繊維よりも親水性でありながらその表
面が撥水性であるエピクチクル層で被われている
ため、親水性、疎水性の両化学物質に対し親和性
が乏しく、上記のような水系処理で羊毛表面に皮
膜を形成する樹脂は現在のところ見いだされてい
ない。 ただ、皮膜は形成しないが、羊毛表面に塊状に
付着し一部羊毛繊維と化学結合して洗濯に耐久性
を示す樹脂がいくつか見いだされている。これら
は、布帛にのみ適応されるもので、繊維に付着さ
せ乾燥後キユワリングすることで樹脂間での架橋
を促進し塊状化させるもので、この塊状樹脂によ
つて羊毛繊維間をボンデイングさせ、これにより
羊毛繊維の移動を阻止して洗濯時のフエルト収縮
を防止するために用いられる。このような樹脂に
シリカ粒子を混合して用いるとうまく羊毛繊維に
ドライ感が付与できるのではないかと予想された
が、上記樹脂は、親水性、疎水性の両化学物質に
対し親和性が乏しいという羊毛繊維の特殊な性質
に適合するような特殊な構造によつて親和性が与
えられているため、シリカ粒子を混合すると上記
親和性が損なわれて羊毛繊維への耐久的な付着を
示さなくなる。したがつて、実用化できない。 また、羊毛表面を改質して親水性にしたのちシ
リカ粒子含有水系樹脂を作用させてその表面にシ
リカ粒子含有樹脂皮膜を形成させることが検討さ
れている。しかし、羊毛繊維はアルカリにも高温
にも弱いため、強いキユワリング条件を設定でき
ず、樹脂の架橋形成が不充分になり耐洗濯性の低
いものしか得られないという難点を有している。 本発明は、このような事情に鑑みなされたもの
で、ドライ感を有し、かつそのドライ感が洗濯に
対しても優れた耐久性を示す羊毛製品とその製法
の提供を目的とするものである。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的を達成するため、本発明は、表面の
クチクル層の少なくとも一部が除去されてアニオ
ン基が増加した状態の羊毛繊維表面に、カチオン
変性シリカ粒子が繊維表面のアニオン基とイオン
結合した状態で固定され、しかもその外側が、羊
毛繊維と共有結合で結合したポリアミドエピクロ
ルヒドリン樹脂皮膜によつて被覆されている羊毛
製品を第1の要旨とし、羊毛を塩素および酸素の
少なくとも一方で酸化処理することによりその表
面のクチクル層の少なくとも一部を除去してアニ
オン基を増加させる工程と、上記羊毛をカチオン
変性シリカ粒子懸濁液で処理する工程と、上記カ
チオン変性シリカ粒子懸濁液による処理と同時ま
たはその後に上記羊毛をポリアミドエピクロルヒ
ドリン樹脂液で処理する工程とを備える羊毛製品
の製法を第2の要旨とする。 〔作用〕 すなわち、本発明者らは、羊毛繊維に耐久性あ
るドライ感を付与する方法についてさまざまな方
向から研究を進めた結果、羊毛の繊維表面のクチ
クル層を損傷もしくは除去して繊維表面に活性な
アニオン基を増やし、そこにカチオン変性シリカ
粒子をイオン結合によつて固定し、さらにその上
を、羊毛繊維と共有結合しうるポリアミドエピク
ロルヒドリン樹脂で被覆すると、上記カチオン変
性シリカ粒子が、繊維表面に均一に分散した状態
で羊毛繊維のアニオン基とイオン結合して直接固
定され、その状態で、共有結合によつて羊毛繊維
と強固に結合したポリアミドエピクロルヒドリン
樹脂皮膜によつて被覆されるため、シリカ微粒子
が繊維表面から脱落することがなく、優れた耐洗
濯性を示すことを見いだし本発明に到達した。 つぎに、本発明を詳細に説明する。 本発明の対象とする羊毛製品とは、羊毛繊維に
よつて形成されたスライバー、ばら毛、糸、布帛
等の各種形態の繊維製品を指す。 本発明の羊毛製品は、上記羊毛繊維製品の繊維
表面を、例えばつぎのように加工してドライ感を
付与したものである。 (1) 羊毛繊維表面の改質 塩素もしくは酸素酸化により羊毛繊維表面に
強力なアニオン基を形成させて親水性を与え
る。すなわち、羊毛繊維の表面のスケールのう
ち最外層であるエピクチクル層を損傷もしくは
溶出除去して羊毛繊維の撥水性を除去し、さら
に中間層であるエキソクチクル層にも損傷を与
えて最内層であるエンドクチクル層と同程度の
親水性にする。通常、エキソクチクル層はエン
ドクチクル層よりも親水性が小さく、この差異
に由来するバイメタル作用により水中でクチク
ル層がまくれて繊維が絡み合い、フエルト化現
象が生じる。したがつて、このように両層の親
水性を同程度にすると、上記フエルト化が解消
し、繊維表面のぬれ性が大幅に改善されること
になる。 なお、上記塩素もしくは酸素酸化を行う方法
としては、例えば公知のクロイ加工機を用いて
塩素酸化(通常「塩素化」と称している)する
方法をあげることができる。この方法は、塩素
ガスや次亜塩素酸(NaOCl)等を用いて羊毛
繊維の表面スケールのシスチンやペプチド結合
を破壊してアニオン基を生起させるもので、羊
毛製品の防縮加工法としてよく知られている。
本発明において、上記塩素酸化を行う場合、そ
の有効塩素量を1〜6%owf(繊維重量に対す
る重量、以下同じ)に設定することが好適であ
る。なお、このような酸化反応によつて生じる
羊毛繊維の化学的な変化について示しておく。 このような改質処理により、羊毛繊維表面は
カチオンとの反応性に富むアニオン基が増加す
るとともに、ぬれ性が向上する。 (2) カチオン変性シリカ粒子の羊毛繊維表面への
結合 上記のようにして改質された羊毛に、カチオ
ン変性したシリカ粒子を供給し、羊毛繊維表面
のアニオン基にカチオン変性シリカ粒子をイオ
ン結合させる。これによつて、カチオン変性シ
リカ粒子は、繊維表面に、直接、かつ強固に固
定される。しかも、繊維表面のアニオン基があ
るところに、シリカ粒子が均一に分散した状態
で結合するため、結合したシリカ粒子の分布が
偏らない。これが、本発明の大きな特長であ
る。この結合反応は、例えばスライバー等の羊
毛製品をパツケージ染色するのと同様の要領で
カチオン変性シリカ粒子懸濁液を反応させるこ
とにより行うことができる。上記カチオン変性
シリカ粒子としては、例えば水系のコロイド溶
液として市販されているカチオン変性コロイダ
ルシリカ(CLA−530、共栄油脂化学工業社
製)等があげられる。上記カチオン変性シリカ
粒子は、1種を単独で用いても2種以上を併用
してもよい。ただし、その粒子径は、5〜50m
μ(ミリミクロン)程度に設定することが好適
である。すなわち、粒子径が5mμより小さい
ものでは得られる羊毛製品のドライ感が充分で
なく、逆に50mμより大きいものでは粗剛感が
強くなるとともにシリカ粒子が羊毛繊維表面か
ら離脱しやすくなる傾向が見られるからであ
る。また、シリカ粒子の配合量は、0.3〜2.0%
owf、特に0.6〜1.5%owfに設定することが好
適である。この範囲内で、特に好ましい麻のよ
うな風合いが得られる。 (3) 樹脂によるカチオン変性シリカ粒子の充填固
定 上記のようにしてカチオン変性シリカ粒子が
結合された羊毛に、親水性が改質された羊毛繊
維と共有結合しうるポリアミドエピクロルヒド
リン樹脂を供給し、上記シリカ粒子ごと羊毛繊
維表面を被覆する樹脂膜を形成させて、シリカ
粒子の外側を被覆して羊毛繊維表面に固定させ
る。上記樹脂膜は、共有結合によつて繊維表面
との強く一体化されているため、上記シリカ粒
子は強固に固定される。なお、形成させる樹脂
皮膜の厚みは15〜150mμ(ミリミクロン)、特
に100mμ前後にすることが好適である。上記
厚みを実現するためには、用いるポリアミドエ
ピクロルヒドリン樹脂の配合量を、0.3〜3.0%
owf、特に0.6〜1.5%owfに設定することが好
適である。 上記ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂は、
アゼチジニウムカチオンを有し、かつ水膨潤性
を備えている。 上記アゼチジニウムカチオンとは、下記に示
すような四級アンモニウムカチオンで、アニオ
ン基と共有結合を形成しやすい構造を有してい
る。 このようなアゼチジニウムカチオンを有し、
かつ水膨潤性を備えるポリアミドエピクロルヒ
ドリン樹脂としては、例えばハーコセツト57
(デイツク・ハーキユレス社製、分子量6000〜
10000)やポーラミンE−125、ポーラミン
300XC(ともに東邦化学社製、分子量8000〜
11000)等があげられる。これらの樹脂の構造
中に存在するアゼチジニウムカチオンが前記改
質された羊毛繊維のスルホン酸基(−SO3)、
カルボキシル基(−COO)等と強力な共有
結合を形成して耐久性の高い樹脂皮膜を形成す
る。したがつて、前記シリカ粒子はこの樹脂皮
膜に包みこまれるため、容易に羊毛繊維表面か
ら脱落することがなく、洗濯等を繰り返しても
その特性が変化することがない。さらに、樹脂
自体が高度に水膨潤性に富んでいるため、洗濯
時には樹脂が吸水して膨潤し、水系で羊毛繊維
が充分に柔軟性を示すようになる。したがつ
て、シリカ粒子の固定部分に無理な荷重がかか
らない。 なお、上記カチオン変性シリカ粒子の供給と
樹脂によるシリカ粒子の固定は、上記のように
別工程で行つてもよいが、同時に行つても何ら
差し支えない。 このようにして得られた羊毛製品は、シリカ
粒子の固定によつて麻に似たドライな風合いを
持ち、そのドライ感、ハード感(シヤリ感)が
洗濯を繰り返しても損なわれることがないとい
う特長を有する。したがつて、本来麻製品や羊
毛製品は水洗いに不向きとされていたが、この
羊毛製品は水洗いが可能であり、取り扱いが容
易である。 つぎに、実施例について比較例と併せて説明
する。 実施例 1 まず、羊毛スライバーに下記の条件で塩素処理
を施した。 有効塩素量:5%owf 処理機:クロイ加工機 処理温度:10℃ 上記処理によつて得られた羊毛スライバーは、
その特性が処理前に比べて下記の第1表のように
改質された。
【表】
つぎに、上記羊毛スライバーを紡績して2/48の
梳毛糸としたのち、通常のパツケージ染色を行つ
た。そして、染色に用いたパツケージ染色機を利
用し、ひき続いて下記の条件で羊毛繊維表面にカ
チオン変性シリカ粒子を結合させると同時に樹脂
皮膜を形成させた。 処理液: カチオン変性コロイダルシリカ懸濁液(CLA
−530、共栄油脂化学工業社製)固形分換算1.5
%owf ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂液(ハー
コセツト57、デイツク・ハーキユレス社製)固
形分換算2.0%owf 処理温度:20〜25℃ 処理時間:20分 PH:弱酸性(PH5.5〜5.8)で開始し、最終的に中
性〜弱アルカリ性(PH7.0〜7.5)で終了 このようにして得られた羊毛の梳毛糸と、未処
理の羊毛糸(ウール番手2/48)、麻糸(ウール
番手2/48にほぼ相当する麻番手80/2)、綿糸
(ウール番手2/48にほぼ相当する綿番手30/2)
を用い、それぞれを同一編機で同一使用の編地に
仕立てた。そして、川端式風合い試験(KES)
に従つて、曲げ特性、表面特性、圧縮特性の各値
を測定した。その結果を下記の第2表に示す。
梳毛糸としたのち、通常のパツケージ染色を行つ
た。そして、染色に用いたパツケージ染色機を利
用し、ひき続いて下記の条件で羊毛繊維表面にカ
チオン変性シリカ粒子を結合させると同時に樹脂
皮膜を形成させた。 処理液: カチオン変性コロイダルシリカ懸濁液(CLA
−530、共栄油脂化学工業社製)固形分換算1.5
%owf ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂液(ハー
コセツト57、デイツク・ハーキユレス社製)固
形分換算2.0%owf 処理温度:20〜25℃ 処理時間:20分 PH:弱酸性(PH5.5〜5.8)で開始し、最終的に中
性〜弱アルカリ性(PH7.0〜7.5)で終了 このようにして得られた羊毛の梳毛糸と、未処
理の羊毛糸(ウール番手2/48)、麻糸(ウール
番手2/48にほぼ相当する麻番手80/2)、綿糸
(ウール番手2/48にほぼ相当する綿番手30/2)
を用い、それぞれを同一編機で同一使用の編地に
仕立てた。そして、川端式風合い試験(KES)
に従つて、曲げ特性、表面特性、圧縮特性の各値
を測定した。その結果を下記の第2表に示す。
【表】
上記の結果から、実施例品は曲げに対しやや歪
みが残る傾向が見られるものの、剛性、表面特
性、圧縮特性等、総合的に見て麻に近い風合いの
ものとなつていることがわかる。 また、実施例品と、未処理品および他の処理を
施したものについて、実際の洗濯耐久性を調べる
ために、下記の素材を準備した。 <比較のために準備した素材> 未処理羊毛から紡績した梳毛糸 塩素酸化処理(有効塩素量5%owf)した羊
毛から紡績した梳毛糸 塩素酸化処理(有効塩素量2%owf)と樹脂
皮膜形成処理(ハーコセツト樹脂1.5%owf)
を施した羊毛から紡績した梳毛糸 上記3種類の素材を染色し、これにシリカおよ
び下記の樹脂で処理を施した。 <処理に用いた樹脂> a ハーコセツト樹脂(前述) 1.5%owf b シリコーン樹脂(スーパダイン300、京浜化
成社製) 5%soln c ポリウレタン樹脂(エラストロンBAP、第
一工業製薬) 1.5%owf d ポリエーテル樹脂(Basolan SW、BASF社
製) 5%soln そして、上記のように処理した各梳毛糸を編立
(横編、丸編)したのち実際の洗濯に供し、洗濯
前後における収縮の変化および風合いの変化を評
価した。その結果を下記の第3表に示す。
みが残る傾向が見られるものの、剛性、表面特
性、圧縮特性等、総合的に見て麻に近い風合いの
ものとなつていることがわかる。 また、実施例品と、未処理品および他の処理を
施したものについて、実際の洗濯耐久性を調べる
ために、下記の素材を準備した。 <比較のために準備した素材> 未処理羊毛から紡績した梳毛糸 塩素酸化処理(有効塩素量5%owf)した羊
毛から紡績した梳毛糸 塩素酸化処理(有効塩素量2%owf)と樹脂
皮膜形成処理(ハーコセツト樹脂1.5%owf)
を施した羊毛から紡績した梳毛糸 上記3種類の素材を染色し、これにシリカおよ
び下記の樹脂で処理を施した。 <処理に用いた樹脂> a ハーコセツト樹脂(前述) 1.5%owf b シリコーン樹脂(スーパダイン300、京浜化
成社製) 5%soln c ポリウレタン樹脂(エラストロンBAP、第
一工業製薬) 1.5%owf d ポリエーテル樹脂(Basolan SW、BASF社
製) 5%soln そして、上記のように処理した各梳毛糸を編立
(横編、丸編)したのち実際の洗濯に供し、洗濯
前後における収縮の変化および風合いの変化を評
価した。その結果を下記の第3表に示す。
以上のように、本発明の羊毛製品は、カチオン
変性シリカ粒子が、改質された羊毛繊維表面にイ
オン結合によつて結合され、その状態で、繊維と
共有結合によつて強固に一体化する特殊な樹脂で
被覆され固定されているため、洗濯によつて脱落
することがない。したがつて、洗濯を繰り返して
もシリカ粒子に由来する麻のようなドライ感が長
く維持されるという、従来実現できなかつた効果
を実現するものである。
変性シリカ粒子が、改質された羊毛繊維表面にイ
オン結合によつて結合され、その状態で、繊維と
共有結合によつて強固に一体化する特殊な樹脂で
被覆され固定されているため、洗濯によつて脱落
することがない。したがつて、洗濯を繰り返して
もシリカ粒子に由来する麻のようなドライ感が長
く維持されるという、従来実現できなかつた効果
を実現するものである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 表面のクチクル層の少なくとも一部が除去さ
れてアニオン基が増加した状態の羊毛繊維表面
に、カチオン変性シリカ粒子が繊維表面のアニオ
ン基とイオン結合した状態で固定され、しかもそ
の外側が、羊毛繊維と共有結合で結合したポリア
ミドエピクロルヒドリン樹脂皮膜によつて被覆さ
れていることを特徴とする羊毛製品。 2 羊毛を塩素および酸素の少なくとも一方で酸
化処理することによりその表面のクチクル層の少
なくとも一部を除去してアニオン基を増加させる
工程と、上記羊毛をカチオン変性シリカ粒子懸濁
液で処理する工程と、上記カチオン変性シリカ粒
子懸濁液による処理と同時またはその後に上記羊
毛をポリアミドエピクロルヒドリン樹脂液で処理
する工程とを備えることを特徴とする羊毛製品の
製法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22372087A JPS6468574A (en) | 1987-09-07 | 1987-09-07 | Wool product and its production |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22372087A JPS6468574A (en) | 1987-09-07 | 1987-09-07 | Wool product and its production |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6468574A JPS6468574A (en) | 1989-03-14 |
| JPH0411667B2 true JPH0411667B2 (ja) | 1992-03-02 |
Family
ID=16802621
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP22372087A Granted JPS6468574A (en) | 1987-09-07 | 1987-09-07 | Wool product and its production |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6468574A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2618217B2 (ja) * | 1988-06-08 | 1997-06-11 | 鐘紡株式会社 | 羊毛製品 |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5994692A (ja) * | 1982-11-15 | 1984-05-31 | 東レ株式会社 | 発色性の改善された布帛及びその製造法 |
| JPS59100775A (ja) * | 1982-11-25 | 1984-06-11 | カネボウ株式会社 | 防水布 |
| JPH0235069B2 (ja) * | 1983-03-17 | 1990-08-08 | Toray Industries | Kohatsushokuseisenikozobutsunoseizohoho |
-
1987
- 1987-09-07 JP JP22372087A patent/JPS6468574A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6468574A (en) | 1989-03-14 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |