JPH05111625A - 複合中空糸分離膜 - Google Patents

複合中空糸分離膜

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JPH05111625A
JPH05111625A JP10166992A JP10166992A JPH05111625A JP H05111625 A JPH05111625 A JP H05111625A JP 10166992 A JP10166992 A JP 10166992A JP 10166992 A JP10166992 A JP 10166992A JP H05111625 A JPH05111625 A JP H05111625A
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JP
Japan
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hollow fiber
thin film
membrane
polymer
separation membrane
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JP10166992A
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English (en)
Inventor
Shuzo Oyabu
修三 大薮
Shuji Kawai
収治 川井
Takehiko Okamoto
健彦 岡本
Takao Migaki
孝夫 三垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多孔性支持体表面の微細孔内への高分子薄膜
成分の侵入が全くなく、かつピンホールの全くない高分
子薄膜を有する複合中空糸分離膜を提供する。 【構成】 微細多孔質中空糸の内表面に、高分子薄膜を
被覆した複合中空糸膜であって、該高分子薄膜は該微細
多孔質中空糸の内表面細孔内に実質的に侵入しないよう
に内表面上に形成されており、該高分子薄膜の厚さの平
均値(x)が100〜20000Åの範囲にあって、か
つ標準偏差(σ)の平均厚み(x)に対する比が、 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な形態の透過速度の
極めて優れた複合中空糸分離膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、酸
素富化膜等の気体分離用の分離膜、逆浸透用の分離膜、
人工肺用の分離膜等を作成する目的で、多孔質体表面に
特定の対象物質に対して高選択分離透過性を有する高分
子を均一な薄膜状に形成させた複合分離膜が数多く提案
されている。
【0003】上記用途の分離膜においては、高流量化を
図る為に膜の厚みを極力制限する必要があるが、膜厚が
数ミクロン以下になるともはや薄膜単独での取り扱いが
極めて困難となり、強度を持たせる為の多孔性支持体が
必要となり膜は複合膜となる。
【0004】このような複合分離膜の形態に関しては、
大別して2種類ある。その1つは、平膜状の多孔性支持
体上に高分子薄膜を形成させた平膜状の複合分離膜であ
る。平膜状の複合分離膜の場合にはモジュール化の際
に、単位体積当たりの有効膜面積を大きく取ることがで
きず、モジュールが大型化するという本質的な問題を有
している。この解決策として考えられたのが、中空糸膜
状の多孔質支持体の表面に高分子薄膜を形成させた複合
中空糸分離膜であるが、この場合には前記の平膜状の複
合分離膜に比較して、単位体積当たり有効膜面積を10
倍〜100倍大きく取り得ることができるため小型でコ
ンパクトなモジュールの開発が可能になるという極めて
優れた利点を有している。
【0005】しかしながら、中空糸膜状の多孔質支持体
の表面に高分子薄膜を形成させた複合中空糸分離膜であ
っても、高分子薄膜が中空糸の外表面に形成された場合
には、複合中空糸分離膜を実際に使用するに際し隣接す
る複合中空糸が接触することにより高分子薄膜がハク
リ、或いは破損する等種々の損傷を受け易いとか、極め
て取扱い性が困難であるとかの不利益を生ずるのは明ら
かである。上記問題は多孔性中空糸膜の内面に高分子薄
膜を有する複合中空糸分離膜によって解決することがで
きる。
【0006】更に従来の複合膜は、高分子薄膜成分が多
孔性支持体表面の微細孔内へ浸透した構造であり、かな
り厚い浸透層を有しているゆえに透過流量が極めて小さ
いものであった。
【0007】例えば、特開昭53−86684に於いて
芳香族ポリスルホンの多孔性中空糸をポリジメチルシロ
キサンとその1/10量の硬化剤をn−ペンタンに溶解
した溶液に浸漬し、その後加熱乾燥する事により、ポリ
ジメチルシロキサンを硬化重合させてシリコーンゴムと
成し、それにより芳香族ポリスルホン多孔中空糸の外表
面にシリコーンゴム薄膜をコーティングした複合分離膜
を得ている。しかしながら、この複合分離膜にあっては
コーティングされたシリコーンゴムが多孔性基材表面の
細孔中に極めて厚く侵入しており、例えば酸素富化膜と
して使用した場合の透過性能は約10↑5ml/24H
RS・m↑2・kg/cm↑2と極めて小さく、実用に供
する為には約100倍ほど透過速度を向上させなければ
ならないものである。
【0008】また、微細孔内へ容易に侵入する為に微細
孔を完全に被覆することが困難にならざるを得ず、この
様に被覆の不完全な箇所はつまりピンホールであり、こ
の様にピンホールを有する複合分離膜においては高分子
薄膜の本来の分離性能を得ることは不可能である。
【0009】従って、本来の分離性能を得、なおかつ透
過速度が優れている為には、その複合分離膜の形態とし
ては多孔性支持体表面の微細孔内への高分子薄膜成分の
侵入が全くなく、かつピンホールの全くない様な高分子
薄膜を有する複合分離膜でなくてはならない。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、この様な状況
に鑑み、単位体積当たりの有効膜面積を大きくし、かつ
高分子薄膜の損傷が少なく、また取扱性が極めて優れて
おり、しかも高流量透過性の複合中空糸分離膜を得るた
めになされたものであって、内表面に厚みむらの少ない
高分子薄膜を有し、かつその高分子薄膜が内表面細孔中
に浸透していない全く新規な形態の複合中空糸分離膜を
得ることによって本発明の目的は達成された。
【0011】すなわち本発明は、微細多孔質中空糸の内
表面に、高分子薄膜を微細多孔質中空糸の内表面細孔に
実質的に侵入していない様に被覆した複合中空糸膜であ
って、該高分子薄膜は該微細多孔質中空糸の内表面細孔
内に実質的に侵入しないように内表面上に形成されてお
り、該高分子薄膜の厚さの平均値(x)が100〜20
000Åの範囲にあり、かつ標準偏差(σ)の平均厚み
(x)に対する比が、
【数2】 であることを特徴とする複合中空糸分離膜。
【0012】
【数3】 (通常、n≧25、少なくとも同一円周上の25個所で
測定する)
【数4】 と定義する。
【0013】まず、本発明の複合中空糸分離膜の構造に
ついて詳細に述べる。本発明の複合中空糸分離膜におい
ては、高分子薄膜成分は表面の微細孔内へ実質的に浸透
しておらず、それゆえ所定の濃縮性能及び高い透過流量
を得ることができる。この浸透層の有無は、走査型電顕
にて確認し得る。
【0014】本発明において、微細多孔質中空糸内表面
の孔の中に実質的に侵入することがない様に被覆されて
いる高分子薄膜の厚さはその平均値が100〜2000
0Åの範囲にあることが必要である。かかる厚さは通
常、少なくとも25箇所を走査型電顕により観察するこ
とにより求められる。20000Åを超える場合には透
過量が小さいものになり不適切である。一方、100Å
より薄い場合には薄膜自体の強度が小さくなりすぎ取り
扱い中に容易に破損してピンホールを生ずる危険性が大
であり、好ましくない。操作性に優れた高流量透過性の
複合中空糸分離膜である為には厚みが500〜8000
Åの範囲にあることがより望ましい。
【0015】更にまた、従来の複合中空糸分離膜にあっ
ては、高分子薄膜は極めて厚みむらの多い構造であるの
が普通である。例えば、本発明者が先に出願した特願昭
56−137282の実施例(1)に依って得られる多
孔性中空糸膜基材の外表面に形成されたシリコンゴム薄
膜の厚みむらについてみると、第1表に示すような結果
であった(走査型電顕により観察した結果)。
【0016】
【表1】 表1から明らかなように、概略3000〜7000Åの
範囲に厚さがばらついている。すなわち、
【数5】
【数6】 であり、従って標準偏差(σ)の平均厚み(x)に対す
る比が
【数7】 と極めて大きい。
【0017】この様に、厚みむらが大きいと例えば酸素
富化膜として実際に使用する際には、通常加圧操作ある
いは減圧操作を行う必要があるが、その際より膜厚の薄
い部分が集中的に応力を受けて容易に破損し、所定の濃
縮性能を発揮し得ない。従って、厚みむらは小さくなけ
ればならない。
【0018】本発明の複合中空糸分離膜の構造上の特徴
の1つは、内表面に形成された高分子薄膜の厚みむらが
極めて少ないという点であり、この為いかなる加圧操
作、あるいは減圧操作を受けようとも応力が特定箇所へ
集中するということがなく、従って操作時に高分子薄膜
が破損するという前記の様な欠点を完全に解決し得る優
れた形態である。
【0019】この厚みむらに関しては、走査電顕で内表
面の少なくとも25箇所の厚みを詳細に観察することに
より容易に測定できるが、本発明にあってはその25箇
所の厚みの平均値(x)に対する標準偏差(σ)の比が
【数8】 より好ましくは
【数9】 であり、極めて厚みむらの少ないものである。ちなみに
本発明の代表的な複合中空糸分離膜について、その内表
面の25箇所を走査電顕で詳細に観察することにより得
られる厚みのバラツキを表2に記す。
【0020】
【表2】
【0021】表2に示された高分子薄膜の平均厚みはx
=3300 であり、標準偏差(σ)は
【数10】 であり、従って標準偏差(σ)の平均厚み(x)に対す
る比は
【数11】 と極めて厚みむらの少ないものである。
【0022】上述のような高分子薄膜の支持体である微
細多孔質中空糸基材としては、その空孔率が含水量から
計算して40〜80%であることが耐圧性、及び透過量
の面より望ましい。また内表面の孔サイズに関しては、
同様に耐圧性、及び透過量の面より20〜1000Å、
望ましくは50〜500Åが良い。更にまた内表面の開
孔率に関しても5〜50%、更には5〜30%が支持体
としての強度の面より望ましい。
【0023】一方、微多孔質中空糸を形成すべき素材と
しては、その要求される性能としてその内表面に細孔内
に実質的に侵入しない様に被覆された高分子薄膜の破損
を防止し、取り扱いを容易にするに足るだけの力学的強
度物性を有すれば充分であり、この意味で例えばポリビ
ニルアルコール、芳香族ポリスルホン、ポリイミド、ポ
リエーテルエーテルケトン等広汎な高分子物質が使用可
能であるし、それらの中、相容性の有るものを種々混合
して使用することも又可能である。とりわけ、中空糸成
型性に優れまた耐熱性も良好である等種々の利点を有す
る芳香族ポリスルホンが特に望ましいものである。
【0024】高分子薄膜成分に関しても複合中空糸の分
離目的に従い、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニ
ルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等のポリ
オルガノシロキサン類、及びポリ−4−メチルペンテン
−1、ポリテトラフルオロエチレン、フルフリルアルコ
ール樹脂、セルロースアセテート、セルローストリアセ
テート、ポリ−4−ビニルピリジン等々種々の高選択分
離透過性を有する高分子を用い得るが、例えば複合中空
糸分離膜が特に酸素富化膜及び人工肺の場合には、ポリ
シロキサン系ポリマーが酸素透過速度定数があらゆるポ
リマーの中で最も大であるという意味で適したポリマー
である。
【0025】更に、この様な鎖状ポリオルガノシロキサ
ンを架橋触媒にて3次元架橋して強度物性及び耐溶剤性
を向上させたシリコンゴムは、鎖状ポリオルガノシロキ
サンより成る高分子薄膜よりも、その強度物性が更に向
上している為により薄膜化し得るという大きな長所を有
しており、本発明の目的用途の主たる1つである酸素富
化膜用としては最も適したものである。
【0026】本発明の複合中空糸分離膜の用途に関して
は、薄膜を形成する高分子成分の分離性能に応じて酸素
富化膜、及び人工肺等の種々の気体分離膜に適用できる
のはもちろんのこと、その他逆浸透膜等種々の広汎な分
離用途に使用し得る優れたものである。
【0027】次に本発明の複合中空糸分離膜の製造法に
ついて説明する。本発明者らは上述の複合中空糸分離膜
の製造法について鋭意検討の結果、微細孔を形成し得る
細孔形成用ポリマーを、最初から多孔性中空糸膜状基材
を形成すべきマトリックスポリマーと相互に相溶させた
形で非多孔性の中空糸膜状物に成形し、この非多孔性中
空糸膜状物の非多孔性内表面に特定の物質に対して高選
択分離透過性を有する高分子成分を、例えば溶液状態に
て塗布すれば、この場合には内表面が細孔の存在しない
平滑面である為細孔内への侵入ということも当然あり得
ずその結果、従来の中空糸複合膜を作成する方法におい
ては到底到達し得なかった程の極めて超薄膜を、ピンホ
ールを全く生ずることなく形成する事が可能になる事を
見出した。
【0028】本発明の製造法の特徴の一つは、微細孔を
形成すべき細孔形成用ポリマーと多孔質中空糸膜状基材
を形成すべきマトリックスポリマーとの相容性が極めて
優れており、従ってマトリックスポリマーと細孔形成用
ポリマーの重量比が100:25〜100:200、好
ましくは100:50〜100:100と、比較的少量
の添加混合においてもそれを例えば抽出除去する事によ
り極めて微細な孔を容易に形成し得るという点に在る。
【0029】もし、多孔性支持体の後から形成される細
孔がかなり大きい場合には、せっかく形成した高分子薄
膜をその内表面に有する複合分離膜を実用に供した場
合、例えば酸素富化膜の如き気体分離膜の場合にあって
は加圧あるいは減圧操作を適用するのが普通であり、そ
の様な加圧操作時、あるいは減圧操作時にせっかく形成
した高分子薄膜が破損し、本来期待されるべき分離性能
を発揮し得なくなるという事態を招来し易い。従って、
せっかく多孔質基材内表面の微細孔に侵入することがな
い様に、極めて薄く形成されたピンホールのない高分子
薄膜を有する複合中空糸分離膜が実用に供され、例え加
圧操作及び減圧操作を受けても全く膜破損をおこさず、
期待される本来の分離性能を発揮する為には、例えば抽
出により後から形成される微細孔はその大きさにおいて
充分に小さいものである事が必須であり、従ってこの為
には多孔質中空糸膜状基材を形成すべきマトリックスポ
リマーと充分に相容性の良好な細孔形成用ポリマーを微
細孔形成剤として選択するのが肝要である。
【0030】微細孔を形成すべきポリマーについては、
多孔性中空糸膜状基材を形成すべきマトリックスポリマ
ーと相容性が充分に高く、混合成形可能なポリマーであ
れば特に制限を受けることなく使用し得る。とりわけ芳
香族ポリスルホンとポリビニルピロリドンの組合せの場
合が相容性が極めて良好であり、従ってポリビニルピロ
リドンの抽出により形成される細孔の大きさが極めて微
細なものであり、高分子薄膜の支持体として前記の説明
に照らし合わせて考えても実に好適なものである。ま
た、マトリックスポリマーと細孔形成用ポリマーとを均
一に混合成形して、非多孔性中空糸膜状基材を得る一方
法として両者に対して相容性の高い共通溶媒を用いて均
一混合した後、中空糸膜状物に成形し、しかる後この共
通溶媒を取り去り、結果としてマトリックスポリマーと
細孔形成用ポリマーとが極めて均一に混合された非多孔
性中空糸膜状基材を得るという方法も実際的に優れた方
法である。
【0031】一例として、ポリビニルピロリドン、或い
はポリエチレングリコールを細孔形成用ポリマーとして
選んだ場合、これらは例えばジメチルホルムアミド、或
いはジメチルアセトアミド等を溶媒に選ぶことにより、
容易に芳香族ポリスルホンと極めて良好に均一に相容
し、この均一相容混合物を中空糸膜状物に成形後、共通
溶媒であるジメチルホルムアミド等を取り去ってやる
と、結果として微細孔形成用ポリマーとしてのポリビニ
ルピロリドン、或いはポリエチレングリコールと多孔性
中空糸膜状基材を形成すべきマトリックスポリマーとし
ての芳香族ポリスルホンとが極めて均一に混合された非
多孔性中空糸膜状基材が得られる。
【0032】この様にして得られた非多孔性中空糸膜状
基材の非多孔性表面に、特定の物質に対して、高選択分
離透過性を有する高分子成分を薄膜に作成した後、反対
の他面を、例えば水或いはエタノール、メタノールと接
触させることにより、容易にポリビニルピロリドン或い
はポリエチレングリコールを抽出除去し、結果として極
めて微細な孔を均一に形成することが出来る。
【0033】抽出除去方法に関しては、水抽出が最も簡
易であり、その意味でポリビニルピロリドン、或いはポ
リエチレングリコール等の水溶性高分子を細孔形成用ポ
リマーとして使用すると、水による抽出が可能であり便
利である。しかしながら短時間に抽出しようとする場合
には、通常沸騰水の如き熱水にて抽出しなければなら
ず、その抽出時にせっかく形成した高分子薄膜が抽出水
の対流等により破損したり、あるいははくりしたりする
危険性がある。この危険性を回避する為には、例えば6
0℃ぐらいの割と低温でも、充分な抽出速度を有するエ
タノールとかメタノールを抽出溶媒として使用するのが
望ましい。もちろん、抽出溶媒を選択する場合、マトリ
ックスポリマー、及び内表面の高分子薄膜部分を溶解し
ない抽出溶媒を用いねばならぬ事は言うまでもない。ま
た細孔形成用ポリマーとして、上記以外にポリアクリル
酸、ポリアクリルアミドも使用可能なものである。
【0034】本発明において、マトリックスポリマーと
細孔形成用ポリマーの比率に関しては、重量比で10
0:25から100:200が望ましく、更に100:
50から100:100の範囲にあるのが好適である。
マトリックスポリマーに対する細孔形成用ポリマーの比
率が100:25より小さい時には、細孔形成用ポリマ
ーを除去して得られる微細孔の数が少なく、従ってこれ
を用いて得られる複合中空糸分離膜の透過量が小さいも
のになり実用性に劣る。一方、マトリックスポリマーに
対する細孔形成用ポリマーの比率が100:200より
大きい時には、細孔形成用ポリマーを除去して得られる
微細孔の数が極めて多くなりすぎ、従ってこれを用いて
得られる複合中空糸分離膜の透過量においては充分、大
きくて実用性の高いものであるが、しかしながら多孔性
部分の割合が極めて大きくなりすぎて、マトリックスポ
リマーが形成する多孔性中空糸膜状基材の相対的な強度
が低下し、高分子薄膜の強度支持体としての役割を充分
にはたし得なくなり、不適切である。上記の理由によ
り、マトリックスポリマーと細孔形成用ポリマーの混合
比率に関しては100:50〜100:100が更に望
ましいものである。
【0035】高分子薄膜成分としては、既に述べた様に
複合中空糸の分離目的に従い、ポリオルガノシロキサン
類、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリテトラフルオ
ロエチレン、フルフリルアルコール樹脂、セルロースア
セテート、セルローストリアセテート、ポリ−4−ビニ
ルピリジン等々、種々の高選択分離透過性を有する高分
子を用い得るが、例えば複合中空糸分離膜が特に酸素富
化膜の場合には、酸素透過速度定数が最も大きいという
意味で、ポリオルガノシロキサンが適しているし、更に
また強度物性が一層向上しているという点において、こ
の様な鎖状ポリオルガノシロキサンを架橋触媒にて、3
次元架橋したシリコンゴムが最も望ましいものである。
【0036】更に、本発明の特徴の他の1つは、多孔性
中空糸の内表面に形成された高分子薄膜がその厚みむら
が極めて少なく、均一な厚みを有するという点である。
本発明者は、この点について種々検討した結果、全く意
外にも架橋触媒を含むポリシロキサン系プレポリマー溶
液を該中空糸基材の内表面に供給し、自然滴下させて液
抜きを行い、その後該中空糸の内表面に気体を通過さ
せ、しかる後架橋処理を施して中空糸内表面に3次元架
橋シリコンゴム薄膜を形成させることにより、該薄膜の
厚みむらが
【数12】 更に望ましくは
【数13】 と極めて少なく、均一に形成されていることが判明し
た。この様な、極めて厚みむらの少ない均一な薄膜の形
成は、従来の技術ではとうてい達し得なかったものであ
り、前述の本発明によりはじめて可能になった。
【0037】そして、この用いるべき気体としては、種
々の観点より空気を用いるのが有利であり、0.1〜5
0m/secの線速度で1sec以上通過させれば良
い。空気の線速に関しては、0.1m/sec以下の微
速の場合には厚みむらを低減する効果が少い。逆に50
m/sec以上の極めて高速の場合には、内表面に供給
された混合溶液が吹き飛ばされてしまい、逆にまた厚み
むらを招来するので望ましくない。時間に関しては、1
sec以上行えば充分である。
【0038】用いる混合溶液の濃度に関しては1〜50
重量%、好ましくは3〜30重量%である。あまりに低
濃度になりすぎると、ピンホールの発生を招来し易く好
ましくない。逆にあまりに高濃度の場合には、形成され
る薄膜の厚みが概して大になり勝ちであり透過流量の低
下を招き望ましくない。
【0039】以下、本発明を実施例を以って具体的に説
明するが、実施例は、本発明の一態様にすぎず、本発明
は実施例にのみ限定されるものでは無い。
【0040】
【実施例】
実施例1 芳香族ポリスルホン(商品名:ユーデルポリスルホン:
P−1700:ユニオン・カーバイド社製)の100重
量部と、ポリビニルピロリドンの100重量部を、それ
らの共通溶媒であるジメチルホルムアミドの500重量
部に混合溶解し、充分脱泡した後、環状ノズルより吐出
成形し、中空部に水を供給しながら水浴中を通過させな
がらジメチルホルムアミドを取り除いて後、乾燥する事
により最終的に芳香族ポリスルホン100重量部と、ポ
リビニルピロリドン100重量部が極めて均一に混合さ
れた、外径800μ、内径500μ、膜厚150μの非
多孔性中空糸状膜基材を得た。
【0041】一方、常温硬化型のシリコーンゴム(商品
名:シルポット184W/C:ダウコーニング社製)
と、その1/10量の硬化触媒をn−ペンタンに溶解し
て10重量%のシリコーン溶解液を調整した。この様に
作成した10重量%のシリコーン溶液を、前述の非多孔
性中空糸膜状基材の内表面側に、約30ml/minの
供給速度で約3分間供給し、その後自然滴下にて、シリ
コーン溶液の液抜きをした後空気を15m/secの線
速で約1分間通過させた。この後、100℃×1HRの
架橋処理を行い、この後、60℃のエタノールに16時
間浸漬して、ポリビニルピロリドンの抽出除去を行っ
た。
【0042】この様な方法により、最終的に芳香族ポリ
スルホンより成る多孔性中空糸膜状基材とその内表面
に、内表面の細孔内に実質的に浸透することがない様
に、かつ該中空糸内表面の円周方向、及び繊維軸方向の
いずれにおいても、極めて厚みむらがなく形成されたシ
リコーンゴム薄膜とより成る複合中空糸分離膜を得た。
【0043】得られた複合中空糸分離膜の構造に関し、
内表面の25箇所を走査型電顕により詳細観察した所、
内表面上に形成されたシリコーンゴム薄膜の厚みは、前
述の表2に示す通りであった。
【0044】得られた複合膜において、薄膜の平均厚み
はx=3300 であり、標準偏差は
【数14】 であり、従って標準偏差(σ)の平均厚み(x)に対す
る比は、
【数15】 と極めて厚みむらの少ない構造であり、かつシリコーン
ゴム薄膜が中空糸基材の内表面の細孔内に実質的に侵入
していない、全く新規な形態であることが明瞭に観察さ
れた。
【0045】次に得られた複合中空糸分離膜を、酸素富
化膜として使用した場合の透過性能について詳細に述べ
る。先に述べた内表面に平均3300 のシリコーンゴ
ム薄膜を有する複合中空糸分離膜の内表面上に、7kg
/cm↑2ゲージ圧に加圧した空気を供給し、空気中の
酸素とチッ素の選択分離を行わせた。透過ガスの組成を
ガスクロにて分析した所、酸素=約33vol%、チッ
素=約67vol%であった。
【0046】この酸素濃縮度は、全くピンホールのない
シリコーンゴムフィルムに7kg/cm↑2ゲージ圧の
加圧空気を供給した場合の酸素濃縮度と全く一致し、こ
の事実より、芳香族ポリスルホンより成る多孔性中空糸
膜状基材の内表面に形成されたシリコーンゴム薄膜は、
全くピンホールの如き欠陥を有さず、また加圧時におい
て膜破損を生ずることも全くなく、本来の分離性能を充
分に発揮していることが明らかである。また酸素濃度約
33vol%の酸素富化空気の透過流量も、約2×10
↑7ml/24HRS・m↑2・kg/cm↑2と優れて
実用的であり、従ってこの様にして得られた複合中空糸
分離膜は、酸素富化として極めて優れたものである。
【0047】比較例1 実施例1と同様にして、芳香族ポリスルホン100重量
部と、ポリビニルピロリドン100重量部が均一に混合
された、外径800μ、内径500μ、膜厚150μの
非多孔性中空糸膜状基材を得た。このものを、60℃の
エタノールに16時間浸漬することにより、先ずポリビ
ニルピロリドンの抽出除去を行うことにより、芳香族ポ
リスルホンより成る多孔性中空糸膜状基材を得た。これ
の内表面側に、実施例1と同様に作成した10重量%の
シリコーン溶液を約30ml/minの供給速度で約3
分間供給し、その後自然滴下にてシリコーン溶液の液抜
きをした後、空気を約15m/secの線速で約1分間
通過させた。この後、100℃×1HRの架橋処理を行
うことにより、複合中空糸分離膜を得た。
【0048】このものの内表面に7kg/cm↑2ゲー
ジ圧の加圧空気を供給して分離を行わせた所、透過ガス
の組成に関しては、酸素=約33vol%、チッ素=約
67vol%であり、一応ピンホールのない複合中空糸
分離膜が得られたものの、透過ガスの流量が約10↑6
ml/24HRS・m↑2・kg/cm↑2と極めて小さ
く、とうてい実用に耐え得ないものであった。この中空
糸複合膜の断面を走査電顕で観察した所、多孔性中空糸
基材の内表面に約4μの極めて厚いシリコーンゴムの侵
入層が形成されているのが明らかに観察された。この4
μという極めて厚い、細孔内へのシリコーンゴムの侵入
層の形成の為に、上記の様に得られる透過ガスの流量が
極めて小さくならざるを得ず、従って極めて実用性に乏
しい複合中空糸膜にならざるを得なかったと思われる。
【0049】一方、透過ガス流量を高める為には、シリ
コーンゴム侵入層の厚みを軽減してやれば良いと考えら
れ、その為には用いるシリコーン溶液の濃度を下げてや
れば良いと考えられたので、シリコーン溶液の濃度を一
桁下げて1重量%のシリコーン溶液を用いて上記と全く
同じ実験を行った所、透過ガスの流量は約10↑9ml
/24HRS・m↑2・kg/cm↑2と極めて大きかっ
たにも関わらず、その組成をガスクロで分析した所、酸
素=約21vol%、チッ素=約79vol%と全く濃
縮されておらず、つまりこの様な作成方法における複合
中空糸分離膜に関しては、多孔性中空糸基材の内表面に
形成されたシリコーンゴム膜は極めて多くのピンホール
を有しており、本来の分離性能を全く発揮し得ないもの
である。
【0050】比較例2 芳香族ポリスルホン100重量部と、ポリビニルピロリ
ドン100重量部が均一に混合された、外径640μ、
内径320μ、膜厚160μの非多孔性中空糸膜基材を
得た。
【0051】一方、常温硬化型のシリコーンゴム(商品
名:シルポット184W/C:ダウコーニング社製)
と、その1/10量の硬化触媒をn−ペンタンに溶解し
て30重量%のシリコーン溶液を調整した。この様に作
成した30重量%のシリコーン溶液に、前述の非多孔性
中空糸状膜基材をその端部を封じて、中空糸の内側にシ
リコーン溶液が侵入しない状態で10分間浸漬した後、
100℃で60分間、熱風乾燥することにより非多孔性
中空糸の外表面においてシルポット184W/Cを硬化
重合させた。この後、再度30重量%のシリコーン溶液
に浸漬し、その後100℃で60分間、熱風乾燥するこ
とにより非多孔性中空糸の外表面において、芳香族ポリ
スルホン基材と強固に結合したピンホールの全くないシ
リコーンゴム超薄膜を作成した。
【0052】次にこの様にして得られた非多孔性複合中
空糸の内側に、60℃のエタノールを通して内表面より
ポリビニルピロリドンを抽出除去することにより、最終
的に芳香族ポリスルホンより成る多孔性中空糸状膜基材
と、その外表面に形成されたシリコーンゴム薄膜とより
成る中空糸状複合分離膜を得た。このもののシリコーン
ゴム薄膜の厚みに関して、25箇所の厚みを走査型電顕
で詳細観察したところ、前記の表1の結果を得た。
【数16】
【数17】 であり、従って標準偏差(σ)の平均厚み(x)に対す
る比が
【数18】 と極めて大きく、またまた厚みむらの大きい構造のもの
であった。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明の複合中空糸分離膜
は、内表面に厚みむらの少ない高分子薄膜を有し、かつ
該高分子薄膜が内表面細孔中に浸透していないという新
規な構造を有しているため流量透過性に優れ、各種の流
体処理用の分離膜として好適である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細多孔質中空糸の内表面に、高分子薄
    膜を被覆して複合中空糸膜であって、該高分子薄膜は該
    微細多孔質中空糸の内表面細孔内に実質的に侵入しない
    ように内表面上に形成されており、該高分子薄膜の厚さ
    の平均値(x)が100〜20000Åの範囲にあっ
    て、かつ標準偏差(σ)の平均厚み(x)に対する比が 【数1】 であることを特徴とする複合中空糸分離膜。
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JP5978998B2 (ja) * 2011-04-01 2016-08-24 東レ株式会社 複合半透膜、複合半透膜エレメントおよび複合半透膜の製造方法

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