JPH054125B2 - - Google Patents
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- JPH054125B2 JPH054125B2 JP59088189A JP8818984A JPH054125B2 JP H054125 B2 JPH054125 B2 JP H054125B2 JP 59088189 A JP59088189 A JP 59088189A JP 8818984 A JP8818984 A JP 8818984A JP H054125 B2 JPH054125 B2 JP H054125B2
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Description
(技術分野)
本発明は血液体外循環において、血液に酸素を
添加し、二酸化炭素を除去するための人工肺、特
に長時間血液を循環させても血液中の血漿が酸素
側に浸出することがなく、しかもガス交換能の高
い人工肺に関するものである。 (従来技術およびその問題点) 近年、人工肺に用いるための選択的分離性と高
流量透過性にすぐれた分離膜を作成する目的で、
多孔質体表面に特定の対象物質に対して高選択分
離透過性を有する高分子を均一な薄膜状に形成さ
せた複合分離膜およびその製造法が数多く提案さ
れている 従来の複合膜は、選択分離層成分が多孔性支持
体表面の微細孔内へ浸透しているために、かなり
厚い浸透層を有している。その様に厚い浸透層の
ゆえに透過流量が極めて小さいものであつた。 例えば、特開昭53−86684(英国特許公開
7707583号)に於いて芳香族ポリスルホンの多孔
性中空糸を、ポリジメチルシロキサンとその1/10
量の硬化剤をn−ペンタンに溶解した溶液に浸漬
し、その後加熱乾燥する事により、ポリジメチル
シロキサンを硬化重合させてシリコーンゴムと成
し、それにより芳香族ポリスルホン多孔性中空糸
の外表面にシリコーンゴム薄膜をコーテイングし
た気体分離用複合分離膜を得ている。しかしなが
ら、この複合分離膜にあつてはコーテイングされ
たシリコーンゴムが多孔性基材表面の細孔中に極
めて厚く侵入しており、従つて、例えば酸素富化
膜として使用した場合の透過性能は約105ml/
24HRS・m2・Kg/cm2と極めて小さく、実用に供する 為には約100倍ほど透過速度を向上させなければ
ならないものである。 或いはまた、選択分離層形成性分が微細孔内へ
容易に侵入する為に微細孔を有する表面を完全に
被覆することが困難にならざるを得ず、この様に
被覆の不完全な箇所はつまりピンホールとなり、
この様にピンホールを有する複合分離膜において
は選択分離層の本来の分離性能を得ることは不可
能になる。 この点の改良に関し、特公昭56−25451におい
ては、多孔性支持体の微多孔部分に、液体を含浸
させて、多孔性支持体の表面を暫時、非多孔性平
滑面になした後、その表面に、選択分離層を形成
し、しかる後、微多孔に含浸させた液体を除去す
ることにより得られる、多孔性支持体の微多孔内
部に浸透層のない複合膜構造を開示しているが、
しかしながら、含浸液により、選択分離層を形成
すべき支持体の表面がかならず一度は濡れてしま
う為、従つて、得られた複合膜の多孔性膜状基材
と、選択分離層の間の密着度は、まだ充分に完全
ではあり得ず、従つて、取り扱い中に、選択分離
層が基材からハクリするという危険性、及びその
結果として選択分離層の破損が起き得る危険性
を、根本的に解決し得るものではない。 また、特公昭48−17589は微粉状細孔形成剤を
使用することによる均質な多孔質基体と、その表
面に、侵透層なく形成された、選択透過性の、薄
い重合体フイルムより成る、2層構造の複合選択
透過膜構造を開示している。しかしながら、この
選択透過膜においては均質な多孔質基体の微細孔
の大きさは、特公昭48−17589のモデル図より明
らかなように表面においても、内部においても、
等しく、約100Åと極めて小さい為、多孔質基体
それ自体の流体透過抵抗が極めて大きく、いくら
選択透過性重合体フイルムが多孔質基体表面へ侵
透層なく、薄く形成されていて、その選択透過性
重合体フイルム自体の流体透過性は、充分大きく
とも、全体としての2層構造複合膜全体では流体
透過性は小さくならざるを得ず、まだ透過速度の
点で実用的には不満足なものである。 このような複合分離膜の形態に関しては、大別
して2種類ある。その1つは、平膜状多孔性支持
体の上に選択分離層を形成させた平膜状複合分離
膜であるが、平膜状複合分離膜の場合にはモジユ
ール化の際単位体積当りの有効膜面積を大きくは
取り得ず、従つて分離システムが大型化せざるを
得ないという本質的な問題を有している。この解
決策として考えられたのが、中空糸膜状多孔質支
持体の表面に選択分離層を形成させた複合中空糸
分離膜であるが、この場合には前記の平膜状複合
分離膜に比較して、モジユール化の際単位体積当
りの有効膜面積を10倍〜100倍大きく取り得ると
されており、従つてそれに相当して小型でコンパ
クトな分離システムの開発が可能になるという極
めて優れた利点を有しているのは明らかである。 (発明の目的) したがつて、本発明の目的は非常に薄い選択分
離層を有し、しかも選択分離層にはピンホールの
ような欠点がなくて、長時間血液を循環させても
血液中の血漿が酸素側に浸出することがなく、し
かも高透過性の複合中空糸膜からなる人工肺を提
供することである。 (発明の構成および効果) かかる本発明の目的は、膜の一方の側に血液を
流し、膜の他方の側に気体を流すことにより、膜
を介して血液と気体間でガス交換を行う人工肺で
あつて、該膜は内面側より順に選択分離層、極微
細多孔層および多孔層が形成された、上記3層を
有する複合中空糸であり、該選択分離層は平均厚
さが0.01〜5μで、かつ血液中の血漿の気体側への
浸出を阻止する非多孔性ちみつ層であり、該極微
細多孔層は24000倍の走査型電子顕微鏡写真では
孔の存在を確認できない表面を有するが、該選択
分離層よりも少なくとも10倍の流体透過性を有
し、かつ厚さが0.08μ以下であり、そして該多孔
層は巨大空胞を除いて孔径0.1〜1μの孔から構成
された、50%以上の空孔率を有するスポンジ構造
であり、かつ厚さが10〜500μである複合中空糸
分離膜であることを特徴とする人工肺によつて達
成される。 本発明の人工肺に使用する複合中空糸分離膜の
特徴とするところは、選択分離層、極微細多孔層
および多孔層の3層から構成され、中空糸の内面
側から順に選択分離層、極微細多孔層および多孔
層が配列され、かつそれぞれの層が以下述べるよ
うな構造を有することである。 まず、本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離
膜においては選択分離層が内面に形成されている
ことである。従来の複合中空糸分離膜では一般的
に選択分離層が該中空糸の外表面に形成されてい
た。その様な複合中空糸分離膜を実際に使用する
に際し相互の複合中空糸が外表面において接触す
る等により選択分離層がハクリする、或いは破損
する等種々の損傷を受け易いとか、極めて取扱い
性が困難であるとかの不利益を生ずるのは明らか
である。 本発明では、多孔性中空糸膜基材内面に選択分
離層を有するので、上述のような欠点を有してい
ないのである。 以下、本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離
膜を構成する3層について順を追つて説明する。 (i) 選択分離層 本発明においては、選択分離層は、非多孔性
のちみつ構造を有し、選択分離層構成ポリマが
極微細多孔層、さらには多孔層に、実質的に侵
入しないように形成されていることが重要であ
り、この侵透層の有無は、走査型電顕の観察に
て確認し得る。また、その平均厚みは、0.1〜
2μの範囲にあることが必要であり、かつまた
厚みの変動率が25%以下でなければならない。
この平均厚み及びその変動率は少くとも25箇所
を、走査型電顕にする観察することにより求め
られる。厚さが2μを超える場合には透過量が
小さいものになり不適切である。一方、0.01μ
より薄い場合には選択分離層自体の強度が小さ
くなりすぎ取り扱い中に容易に破損してピンホ
ールを生ずる危険性が大であり、好ましくな
い。操作性に優れた高流量透過性の複合中空糸
分離膜である為には厚みが0.05〜0.8μの範囲に
あることがより望ましい。 更にまた、従来の複合中空糸分離膜にあつて
は、選択分離層は極めて厚みむらの多い構造で
あるのが普通である。 例えば、本発明者が先に出願した特願昭56−
137282の実施例(1)に依つて得られる多孔性中空
糸膜状基材の外表面に形成されたシリコンゴム
薄膜の厚みむらについてみると、後述の比較例
における第2表に示すように 変動率=σ/x=0.266 と極めて大きい。 この様に、厚みむらが大きいと例えば酸素富
化膜として実際に使用する際には、通常加圧操
作あるいは減圧操作を行う必要があるが、その
際より膜厚の薄い部分が集中的に応力を受けて
容易に破損し、所定の濃縮性能を発揮し得な
い。従つて、厚みむらは小さくなければならな
い。 本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離膜の
構造上の特徴の1つは、内表面に形成された高
分子薄膜の厚みむらが極めて少いという点であ
り、この為いかなる加圧操作、あるいは減圧操
作を受けようとも応力が特定箇所へ集中すると
いうことがなく、従つて操作時に高分子薄膜が
破損するという前記の様な欠点を完全に解決し
得る優れた形態である。 この厚みむらに関しては、走査電顕で内表面
の少くとも25箇所の厚みを詳細に観察すること
により容易に測定できるが、本発明にあつては
その25箇所の厚みの平均値()に対する標準
偏差(σ)の比(変動率)が 変動率=σ/x≦0.25 より好ましくは 変動率=σ/x≦0.20 であり、極めて厚みむらの少いものである。 かかる選択分離層を形成するポリマーとして
は、複合中空糸の分離目的に従い、ポリジメチ
ルシロキサン、ポリジフエニルシロキサン、ポ
リメチルフエニルシロキサン等のポリオルガノ
シロキサン類、及びポリ−4−メチルペンテン
−1、ポリテトラフルオロエチレン、フルフリ
ルアルコール樹脂、セルロースアセテート、セ
ルローストリアセテート、ポリ−4−ビニルピ
リジン等々種々の高選択分離透過性を有する高
分子を用い得るが、ポリシロキサン系ポリマー
が酸素透過速度定数があらゆるポリマーの中で
最も大であるという意味で適したポリマーであ
る。 更に、この様な鎖状ポリオルガノシロキサン
を架橋触媒にて3次元架橋して強度物性及び耐
溶剤性を向上させたシリコンゴムは、鎖状ポリ
オルガノシロキサンより成る選択分離層より
も、その強度物性が更に向上している為により
薄膜化し得るという大きな長所を有している。 (ii) 極微細多孔層および多孔層 次に、選択分離層に隣接する極微細多孔層に
関しては、その表面には、24000倍の走査型電
顕写真でも、孔の存在は確認できない程の極め
て超微細の多孔構造層であることが必要であ
る。そして、極微細多孔層自体の流体透過性は
選択分離層の流体透過性の少くとも10倍であ
り、かつその厚みは0.08μ以下でなければなら
ぬ。極微細多孔層の表面の孔サイズが、24000
倍の走査型電顕写真で、確認できる程度以上の
大きさの場合には、実用時に例えば加圧操作を
受けた場合極めて薄く形成された選択分離層が
破損してピンホールを生じる可能性が増大し、
望ましくない。従つて、極微細多孔層の表面の
孔サイズは小さければ小さい程、望ましい訳で
あるが、しかしながら、あまりにち密になりす
ぎてはかえつて流体透過の際の抵抗になり望ま
しくない。またその意味で、極微細多孔層自体
の流体透過性は選択分離層のそれの少なくとも
10倍が必要であり、またその厚みも0.08μ以下
と、薄くなくてはならぬ。 更に、極微細多孔層に隣接する多孔層に関し
ては、特別な巨大空胞を除いて、主として0.1
〜1μの大きさの孔の集積より成るスポンジ構
造より成り、空孔率が50%以上でその厚みは
10μ〜500μでなければならない。そしてこの様
な構造的特徴は、走査型電顕にて容易に確認出
来る。スポンジ構造の孔サイズが0.1μより小さ
い場合には、多孔層自体の流体透過抵抗が大き
くなりすぎ望ましくない。逆にスポンジ構造の
孔サイズが1μより大きい場合には、実用時の
耐圧性が低下し、複合膜の支持体としての役割
を果たさなくなる。空孔率に関しても例えば含
水率の測定により求められるが、この値が50%
より小さい場合は、流体透過抵抗が大きくなり
望ましくない。厚みに関しては、10μより薄い
場合は、複合膜全体としての強度が小さくなり
実用性に劣る。500μより大きい場合は、かな
り太い複合中空糸になり、従つて、コンパクト
な分離膜モジユールを作成し難くなり好ましく
ない。 選択分離層の支持体としての、これら極微細
多孔層、及び多孔層を形成すべき素材として
は、支持体としての力学的強度物性を有すれば
充分であるので、この意味で、例えばポリビニ
ルアルコール、芳香族ポリスルホン、ポリイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン等広汎な高分
子物質が使用可能であるし、それらの中、相溶
性の有るものを種々混合して使用することも又
可能である。とりわけ、中空糸成型性に優れた
また耐熱性も良好である等種々の利点を有する
芳香族ポリスルホンが特に望ましいものであ
る。 以上述べたような3層構造を有する本発明の
人工肺に用いる複合中空糸分離膜にあつては、
前述の特公昭48−17589号に開示された2層構
造の複合膜とは異なり、選択分離層が、24000
倍の走査電顕写真でも、孔の存在が確認できな
い程の極微細多孔層の上に、形成されている
為、使用時に加圧操作等を行なつても選択分離
層が破損して、ピンホールを生ずるということ
も全くない。そして、極微細多孔層の厚みは
0.08μ以下と極めて薄く、従つて極微細多孔層
自体の流体透過抵抗は充分小さいものである。
さらに、支持多孔層の孔サイズが、0.1〜1μの
かなり大きいスポンジ構造でありかつ空孔率も
50%以上と大きく従つて、支持多孔層自体の流
体透過性も充分大きいという利点を有する。従
つて、3層構造複合中空糸膜全体としても、流
体透過速度は優れて大きく、かつ耐圧性等の実
用性にも優れている。 次に本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離膜
の製造法について述べる。本発明で用いる中空糸
分離膜の製造法の特徴とするところは、微細孔を
形成し得る細孔形成用ポリマーを、最初から多孔
性中空糸膜状基材を形成すべきマトリツクスポリ
マーと相互に相溶させた形で特に内面が非多孔性
の中空糸膜状物に成形し、この非多孔性中空糸膜
状物の非多孔性内表面に特定の物質に対して高選
択分離透過性を有する高分子成分を、例えば溶液
状態にて塗布することにある。かくすることによ
り、内表面が細孔の存在しない平滑面である為細
孔内への侵入ということも当然あり得ずその結
果、従来の中空糸複合膜を作成する方法において
は到底到達し得なかつた程の極めて超薄膜の選択
分離層を、ピンホールを全く生ずることなく形成
する事が可能である。そして、その後細孔形成用
ポリマーを排出除去することにより、中空糸基材
を多孔化させ、複合中空糸分離膜が得られる。以
下、本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離膜の
製法を順に追つて述べる。 (i) 非多孔性中空糸基材の製造 本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離膜を
得るためにはマトリツクスポリマーと細孔形成
用ポリマーとを両者に対して相溶性の高い共通
溶媒を用いて均一に混合した後、中空糸膜状物
に成形し、しかる後この共通溶媒を取り去り、
結果としてマトリツクスポリマーと細孔形成用
ポリマーとが極めて均一に混合された非多孔性
中空糸膜状基材を得ることである。 微細孔を形成すべきポリマーについては、多
孔性中空糸膜状基材を形成すべきマトリツクス
ポリマーと相容性が充分に高く、混合成形可能
なポリマーであれば特に制限を受けることなく
使用し得る。とりわけ芳香族ポリスルホンとポ
リビニルピロリドンの組合せの場合が相容性が
極めて良好であり、従つてポリビニルピロリド
ンの抽出により形成される細孔の大きさが極め
て微細なものであり、選択分離層の支持体とし
て実に好適なものである。 また細孔形成用ポリマーとして、上記以外に
ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポ
リアクリルアミドも使用可能なものである。 上記中空糸分離膜の製造法において重要なこ
とは、微細孔を形成するべき細孔形成用ポリマ
ーと多孔質中空糸膜状基材を形成すべきマトリ
ツクスポリマーとの相容性が極めて優れている
ことであり、このことにより後で細孔形成用ポ
リマーを抽出除去したときに、中空糸基材が微
細な孔からなる多孔体とすることができる。 もし、相溶性のよくない場合には多孔性支持
体の後から形成される細孔がかなり大きくな
る。この場合には、せつかく形成した高分子薄
膜状選択分離層をその内表面に有する複合分離
膜を実用に供した場合、せつかく形成した選択
分り層が破損し、本来期待されるべき分離性能
を発揮し得なくなるという事態を招来し易い。
従つて、せつかく多孔質基材内表面の微細孔に
侵入することがない様に、極めて薄く形成され
たピンホールのない選択分り層を有する複合中
空糸分離膜が実用に供され、期待される本来の
分離性能を発揮する為には、例えば抽出により
後から形成される微細孔はその大きさにおいて
充分に対さいものである事が必須であり、従つ
てこの為には多孔質中空糸膜状基材を形成すべ
きマトリツクスポリマーと充分に相容性の良好
な細孔形成用ポリマーを微細孔形成剤として選
択するのが肝要である。 マトリツクスポリマーと細孔形成用ポリマー
の比率に関しては、重量比で100:25から100:
200が望ましく、更に100:50から100:100の範
囲にあるのが好適である。マトリツクスポリマ
ーに対する細孔形成用ポリマーの比率が100:
25より小さい時には、細孔形成用ポリマーを除
去して得られる微細孔の数が少く、従つてこれ
を用いて得られる複合中空糸分離膜の透過量が
小さいものになり実用性に劣る。一方、マトリ
ツクスポリマーに対する細孔形成用ポリマーの
比率が100:200より大きい時には、細孔形成用
ポリマーを除去して得られる微細孔の数が極め
て多くなりすぎ、従つてこれを用いて得られる
複合中空糸分離膜の透過量においては充分、大
きくて実用性の高いものであるが、しかしなが
ら多孔性部分の割合が極めて大きくなりすぎ
て、マトリツクスポリマーが形成する多孔性中
空糸膜状基材の相対的な強度が低下し、選択分
離層の強度支持体としての役割を充分にはたし
得なくなり、不適切である。 前述のようにマトリツクスポリマーと細孔形
成用ポリマーを選択し、所定割合に混合し、両
者の共通溶媒に溶解して紡糸原液を作成する。
この紡糸原液を環状ノズルより凝固浴中へ吐出
成形して非多孔性の中空糸を得ることができ
る。 一例として、ポリビニルピロリドン、或いは
ポリエチレングリコールを細孔形成用ポリマー
として選んだ場合、これらは例えばジメチルホ
ルムアミド等を溶媒に選ぶことにより、容易に
芳香族ポリスルホンと極めて良好に均一に相容
し、この均一相容紡糸原液を内面に、常温の水
を注入しながら環状ノズルより水凝固浴中へ吐
出し中空糸膜状物に成形後、共通溶媒であるジ
メチルホルムアミド等を取り去つてやると、結
果としつ微細孔形成用ポリマーとしてのポリビ
ニルピロリドン、或いはポリエチレングリコー
ルと多孔性中空糸膜状基材を形成すべきマトリ
ツクスポリマーとしての芳香族ポリスルホンと
が極めて均一に混合された非多孔性中空糸幕状
膜材が得られる。 この紡糸原液を環状構造ノズルより凝固浴中
へ吐出成形するに際し、内面を早く凝固させる
のが重要で、このため中空糸内面に内面凝固剤
として、特に水または水を主成分とする凝固剤
を注入しながら吐出成形するのが好ましい。内
面凝固剤として例えば、ジメチルホルムアミド
水溶液(ジメチルホルムアミドが50重量%以
上)をとくに50℃以上の高温で用いる場合に
は、内面の凝固がおそく、得られた中空糸基材
から細孔形成用ポリマーを抽出後において、内
面の孔が大きくなり、極微細多孔層が得にくく
なり、適切でない。 (ii) 選択分離層の形成 この様にして得られた非多孔性中空糸膜状基
材の非多孔性内表面に、特定の物質に対して、
高選択分離透過性を有する高分子成分を薄膜状
に作成する。 高分子薄膜成分としては、既に述べた様に複
合中空糸の分離目的に従い、ポリオルガノシロ
キサン類、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポ
リテトラフルオロエチレン、フルフリルアルコ
ール樹脂、セルロースアセテート、セルロース
トリアセテート、ポリ−4−ビニルピリジン
等々、種々の高選択分離透過性を有する高分子
を用い得るが、酸素透過速度定数が最も大きい
という意味で、ポリオルガノシロキサンが適し
ているし、更にまた強度物性が一層向上してい
るという点において、この様な鎖状ポリオルガ
ノシロキサンを架橋触媒にて、3次元架橋した
シコンゴムが最も望ましいものである。これら
のポリマーは通常適当な溶媒に溶解して用いら
れるが用いる混合溶液の濃度に関しては1〜50
重量%、好ましくは3〜30重量%である。あま
り低濃度になりすぎると、ピンホールの発生を
招来し易く好ましくない。逆にあまりに高濃度
の場合には、形成される薄膜の厚みが概して大
になり勝ちであり透過流量の低下を招き望まし
くない。 本発明の人工肺に用いる複合分離膜において
は、多孔性中空糸の内表面に形成された選択分
離層が極めて薄くかつその厚みむらが極めて少
く、均一な厚みを有するという点が重要であ
る。 本発明者は、この点について種々検討した結
果、全く意外にも、例えば架橋触媒を含むポリ
シロキサン系プレポリマー溶液を該中空糸基材
の内表面に供給し、自然滴下させて液抜きを行
い、その後該中空糸の内表面に気体を通過さ
せ、しかる後架橋処理を施して中空糸内表面に
3次元架橋シリコンゴム薄膜を形成させること
により、該薄膜の厚みむらの変動率が 変動率=σ/x≦0.25 更に望ましくは、 変動率=σ/x≦0.20 と極めて少く、均一に形成されていることが判
明した。 この中空糸内表面に気体を通過させた時に起
こる現象については、その機構は明確ではない
が、選択分離層を形成すべきコート原液の通液
後、気体を通過させると、コート原液中の揮発
性溶剤が気体通過に伴い蒸発することによるコ
ート原液の濃縮勝作用と、一方、コート原液が
気体の通過に伴い、ぬぐい取られる作用とが複
雑に関連し合つたものと思われる。 しかしながら、この様な、極めて厚みムラの
少い均一な薄膜の形成は、従来の技術では、と
うてい達し得なかつたものであり、上記の本発
明により、そしてとりわけ、コート原液の中空
糸内面への通液後、気体を通過させる、という
工程の発見により、始めて可能になつたもので
ある。そして、中空糸内表面へのコート原液の
通液と、それに引続いての気体の通過という工
程を2回以上、何回も繰り返すのが、特に、厚
みムラの少い選択分離層を得るに際し有効であ
る。また、コート原液をその内面に通液するに
際し、中空糸のコート原液の入口端面に近接し
て、例えば100メツシユ程度の金アミを設置す
ると、コート原液通液後に、その金アミの細か
い目の中に、コート原液が、大量に保持され、
しかる後、気体を通過させると、中空糸の入口
端面に近接した金アミの目の中に保持されたコ
ート原液が、非常に効率よく濃縮されながら中
空糸内表面へ供給される為か、上記の、コート
原液の通液と、それに引続いての気体の通過と
いう工程を、何回も、繰り返す際に、その繰り
返し回数を効率よく低減し得る。もちろん上記
の100メツシユ程度の金アミの設置は1例であ
り、中空糸の入口端面近くにて、コート原液を
保持し得る、液溜め機構であれば、その種類に
何ら制限はない。 そして、この用いるべき気体としては、種々
の観点より空気を用いるのが有利であり、0.1
〜50m/secの線速度で1sec以上通過させれば
良い。 0.1m/sec以下の微速の場合には厚みむらを
低減する効果が少い。逆に50m/sec以上の極
めて高速の場合には、内表面に供給された混合
溶液が吹き飛ばされてしまい、逆にまた厚みむ
らを招来するので望ましくない。時間に関して
は、1回あたり1sec以上行えば充分である。 なお、上述のような選択分離層形成のための
コーテイング操作は中空糸をたばねてモジユー
ルを形成してから行なつてもよく、モジユール
形成前の中空糸に対して行なつてもよい。 (iii) 細孔形成用ポリマーの抽出 上述のように選択分離層を形成した後、中空
糸の外表面を例えば水或いはエタノール、メタ
ノールと接触させることにより、容易に細孔形
成用ポリマーであるポリビニルピロリドン或い
はポリエチレシグリコールを抽出除去すること
ができる。 抽出除去方法に関しては、水抽出が最も簡易
であり、その意味でポリビニルピロリドン、或
いはポリエチレングリコール等の水溶性高分子
を細孔形成用ポリマーとして使用すると、水に
よる抽出が可能であり便利である。しかしなが
ら短時間に抽出しようとする場合には、通常沸
騰水の如き熱水にて抽出しなければならず、そ
の抽出時にせつかく形成した選択分り層が抽出
水の対流等により破損したり、あるいははくり
したりする危険性がある。この危険性を回避す
る為には、例えば60℃ぐらいの割と低温でも、
充分な抽出速度を有するエタノールとかメタノ
ールを抽出溶媒として使用するのが望ましい。
もちろん、抽出溶媒を選択する場合、マトリツ
クスポリマー、及び内表面の選択分り層部分を
溶解しない抽出溶媒を用いねばならぬ事は言う
までもない。その結果として、流体透過性は、
選択分離層よりも少くとも10倍大きいが、その
表面には、24000倍の走査型電顕写真でも、孔
の存在が確認できない程、ちみつなかつ厚みが
0.08μ以下と極めて薄い。極微細多孔層と、そ
れに隣接する、巨大空胞を除いて、0.1〜1μの
スポンジ構造よりなり、空孔率が50%以上で、
その厚みが10〜500μである多孔層とより成る、
多孔性中空糸基材が形成される。 膜型人工肺としては、内面側より、酸素ガス
透過性能、および炭酸ガス透過性能に優れた選
択分離層、極微細多孔層、多孔層の順に、3層
より構成される複合中空糸であることが肝要で
あり、とりわけ、その表面には24000倍の走査
型電顕写真でも、孔の存在は確認できないが、
流体透過性は選択分離層より少くとも10倍であ
り、かつその厚みが0.08μ以下であるような、
極微細多孔層の存在が、実用的に優れた膜型人
工肺を得る為の必須不可欠の要件であることが
認められた。すなわち、極微細多孔層がその表
面には24000倍の走査型電顕写真でも、孔の存
在は確認できない程の、微細多孔性ではありな
がらも、なおかつ、ち密な層である為、微視的
に見た場合、凹凸のない極めて平滑な面である
為、従つてその上に形成される選択分離層も、
その厚みにおいて充分に薄く、なおかつ厚みム
ラも少いものとなるのである。 上記の、極微細多孔層の存在を欠いた、つまり
選択分離層と、多孔層の2層より構成される従来
の複合中空糸膜型人工肺にあつては(特開昭52−
15483号、特開昭54−160098号参照)、選択分離層
を形成すべき多孔層の表面が、微視的に見た場合
どうしても、凹凸のある、極めて平滑とは言い難
い面である為その上に形成される選択分離層が、
どうしても、その厚みにおいて、厚い層になりが
ちであり、また、厚みむらも生じ易い。 人工肺に用いられる複合中空糸分離膜において
は、選択分離層は平均厚さが0.01〜5μの非多孔ち
みつ層であればよく、酸素富化膜として用いられ
る場合ほどの厳密さは要求されない。しかし、厚
さが0.01μ以下の場合には、選択分離層が余りに
薄くなりすぎて、破損し易く、実用性に乏しい。
5μより厚い場合には、ガス交換速度に劣り、こ
れも又、実用的でない。また選択分離層に厚みム
ラのある場合は、より薄い部分に応力が集中し易
く、選択分離層の破損を生じ易い。したがつて、
厚さ斑の少ない方が望ましく、前述の変動率が25
%以下であることが望ましい。そして、特にガス
交換速度の大きい膜型人工肺が必要な場合には、
選択分離層を構成するポリマー成分が極微細多孔
層に侵入していないように選択分離層が形成され
ることが望ましい。かくすることによつて、選択
分離層の厚みが、一層薄いものになり、従つて、
一層、ガス交換速度の大きい、極めて優れた膜型
人工肺を得ることが出来る。 本発明の、3層構造よりなる複合中空糸膜を用
いて成る複合中空糸膜型人工肺の、極微細多孔
層、及び多孔層の素材に関しては、これまでに述
べて来たのと同じ理由により、芳香族ポリスルホ
ンが、特に望ましいし、また選択分離層の素材に
関しても、血液適合性に優れ、かつ酸素透過速
度、及び炭酸ガス透過速度の極めて優れたポリオ
ルガノシロキサン系ポリマーが望ましいし、とり
わけ、3次元架橋されたポリオルガノシロキサン
系ポリマーが、強度がより強いという意味で特に
望ましいものである。また3層構造よりなる複合
中空糸膜を多数束状にして用いて、例えば円筒状
の膜型人工肺モジユールを常法により容易に作製
し得るし、この円筒状膜型人工肺モジユールを組
込んだ膜型人工肺システムを形成し得る。 かかる人工肺は次のようにして用いられる。ま
ず患者の静脈より脱血された静脈血を貯溜する静
脈リザーバーから、例えば血液ローラーポンプに
て、多管式熱交換器を経由させて、温度を一定に
調整した血液を、膜型人工肺モジユールの中空糸
内面側に送入し、中空糸外表面側に接触循環され
ている酸素ガスとの間で(酸素ガス/炭酸ガス)
の交換を行つて、所定の酸素ガスを移行増加せし
めた血液を送血ラインにて患者の動脈へ返すこと
によつて人工肺としての機能が達成される。人工
肺の他、上記のような機器が具備されて人工肺シ
ステムが形成される。また、円筒状膜型人工肺モ
ジユールの、静脈血入口に、多管式熱交換器を
も、一体取付けした複合型モジユールが、更に簡
便であり実用的である。また上記以外の例えば再
循環ラインの様な付帯設備を必要に応じ設置する
ことは何ら差しつかえない。 以下、本発明を実施例を以つて具体的に説明す
るが、実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明
は実施例のみに限定されるものではない。 〔実施例〕 実施例 1 芳香族ポリスルホン(商品名:ユーデルポリス
ルホン:P−1700:ユニオン・カーバイド社製)
100重量部と、ポリビニルピロリドン100重量部
を、それらの共通溶媒であるジメチルホルムアミ
ド500重量部に混合溶解して紡糸原液を作成した。
この原液を環状ノズルより吐出し、中空部に水を
供給することによつて中空糸状に成形し、紡糸後
の中空糸を水浴中を通過させながらジメチルホル
ムアミドを取り除き、その後、乾燥する事により
最終的に芳香族ポリスルホン100重量部と、ポリ
ビニルピロリドン100重量部が極めて均一に混合
された、外径800μ、内径500μ、膜厚150μの非多
孔性中空糸状膜基材を得た。 一方、常温硬化型のシリコーンゴム(商品名:
シルポツト184w/c:ダウコーニング社製)と、
その1/10量の硬化触媒をn−ペンタンに溶解して
10重量%のシリコーン溶液を調整した。この様に
作成したシリコーン溶液を、前述の非多孔性中空
糸膜状基材200本を、束状にしたものの、各個の
中空糸の内表面側に、約30ml/minの供給速度で
約3分間供給した。その後自然滴下にて、シリコ
ーン溶液の液抜きをした後空気を15m/secの線
速で約1分間通過させた。この工程を10回繰り返
した。この後、100℃×1HRの架橋処理を行い、
この後、60℃のエタノールに16時間浸漬して、ポ
リビニルピロリドンの抽出除去を行つた。この様
な方法により、最終的に、芳香族ポリスルホンか
ら形成された極微細多孔層と、それに隣接する多
孔層より成る多孔性中空糸膜状基材と、その内表
面に、内表面の極微細多孔層に実質的に浸透する
ことがない様に、かつ該中空糸内表面の円周方
向、及び繊維軸方向のいずれにおいても、極めて
厚みむらがなく形成されたシリコーンゴム薄膜の
選択分り層とより成る複合中空糸分離膜を得た。 得られた複合中空糸分離膜の構造に関し、まず
選択分離層部分に関し、内表面の25箇所を走査型
電顕により詳細観察した所、内表面上に形成され
たシリコーンゴム薄膜の厚みは、第1表に示す通
りであつた。 得られた複合膜において、薄膜状選択分り層の
平均厚みは=3300Åであり、標準偏差は であり、従つて標準偏差(σ)の平均厚み()
に対する比(変動率)は、 変動率=σ/x=0.175 と極めて厚みむらの少い構造であり、かつシリコ
ーンゴム薄膜の選択分り層が中空糸基材の内表面
の極微細多孔層に実質的に侵入していない、全く
新規な形態であることが明瞭に観察された。
添加し、二酸化炭素を除去するための人工肺、特
に長時間血液を循環させても血液中の血漿が酸素
側に浸出することがなく、しかもガス交換能の高
い人工肺に関するものである。 (従来技術およびその問題点) 近年、人工肺に用いるための選択的分離性と高
流量透過性にすぐれた分離膜を作成する目的で、
多孔質体表面に特定の対象物質に対して高選択分
離透過性を有する高分子を均一な薄膜状に形成さ
せた複合分離膜およびその製造法が数多く提案さ
れている 従来の複合膜は、選択分離層成分が多孔性支持
体表面の微細孔内へ浸透しているために、かなり
厚い浸透層を有している。その様に厚い浸透層の
ゆえに透過流量が極めて小さいものであつた。 例えば、特開昭53−86684(英国特許公開
7707583号)に於いて芳香族ポリスルホンの多孔
性中空糸を、ポリジメチルシロキサンとその1/10
量の硬化剤をn−ペンタンに溶解した溶液に浸漬
し、その後加熱乾燥する事により、ポリジメチル
シロキサンを硬化重合させてシリコーンゴムと成
し、それにより芳香族ポリスルホン多孔性中空糸
の外表面にシリコーンゴム薄膜をコーテイングし
た気体分離用複合分離膜を得ている。しかしなが
ら、この複合分離膜にあつてはコーテイングされ
たシリコーンゴムが多孔性基材表面の細孔中に極
めて厚く侵入しており、従つて、例えば酸素富化
膜として使用した場合の透過性能は約105ml/
24HRS・m2・Kg/cm2と極めて小さく、実用に供する 為には約100倍ほど透過速度を向上させなければ
ならないものである。 或いはまた、選択分離層形成性分が微細孔内へ
容易に侵入する為に微細孔を有する表面を完全に
被覆することが困難にならざるを得ず、この様に
被覆の不完全な箇所はつまりピンホールとなり、
この様にピンホールを有する複合分離膜において
は選択分離層の本来の分離性能を得ることは不可
能になる。 この点の改良に関し、特公昭56−25451におい
ては、多孔性支持体の微多孔部分に、液体を含浸
させて、多孔性支持体の表面を暫時、非多孔性平
滑面になした後、その表面に、選択分離層を形成
し、しかる後、微多孔に含浸させた液体を除去す
ることにより得られる、多孔性支持体の微多孔内
部に浸透層のない複合膜構造を開示しているが、
しかしながら、含浸液により、選択分離層を形成
すべき支持体の表面がかならず一度は濡れてしま
う為、従つて、得られた複合膜の多孔性膜状基材
と、選択分離層の間の密着度は、まだ充分に完全
ではあり得ず、従つて、取り扱い中に、選択分離
層が基材からハクリするという危険性、及びその
結果として選択分離層の破損が起き得る危険性
を、根本的に解決し得るものではない。 また、特公昭48−17589は微粉状細孔形成剤を
使用することによる均質な多孔質基体と、その表
面に、侵透層なく形成された、選択透過性の、薄
い重合体フイルムより成る、2層構造の複合選択
透過膜構造を開示している。しかしながら、この
選択透過膜においては均質な多孔質基体の微細孔
の大きさは、特公昭48−17589のモデル図より明
らかなように表面においても、内部においても、
等しく、約100Åと極めて小さい為、多孔質基体
それ自体の流体透過抵抗が極めて大きく、いくら
選択透過性重合体フイルムが多孔質基体表面へ侵
透層なく、薄く形成されていて、その選択透過性
重合体フイルム自体の流体透過性は、充分大きく
とも、全体としての2層構造複合膜全体では流体
透過性は小さくならざるを得ず、まだ透過速度の
点で実用的には不満足なものである。 このような複合分離膜の形態に関しては、大別
して2種類ある。その1つは、平膜状多孔性支持
体の上に選択分離層を形成させた平膜状複合分離
膜であるが、平膜状複合分離膜の場合にはモジユ
ール化の際単位体積当りの有効膜面積を大きくは
取り得ず、従つて分離システムが大型化せざるを
得ないという本質的な問題を有している。この解
決策として考えられたのが、中空糸膜状多孔質支
持体の表面に選択分離層を形成させた複合中空糸
分離膜であるが、この場合には前記の平膜状複合
分離膜に比較して、モジユール化の際単位体積当
りの有効膜面積を10倍〜100倍大きく取り得ると
されており、従つてそれに相当して小型でコンパ
クトな分離システムの開発が可能になるという極
めて優れた利点を有しているのは明らかである。 (発明の目的) したがつて、本発明の目的は非常に薄い選択分
離層を有し、しかも選択分離層にはピンホールの
ような欠点がなくて、長時間血液を循環させても
血液中の血漿が酸素側に浸出することがなく、し
かも高透過性の複合中空糸膜からなる人工肺を提
供することである。 (発明の構成および効果) かかる本発明の目的は、膜の一方の側に血液を
流し、膜の他方の側に気体を流すことにより、膜
を介して血液と気体間でガス交換を行う人工肺で
あつて、該膜は内面側より順に選択分離層、極微
細多孔層および多孔層が形成された、上記3層を
有する複合中空糸であり、該選択分離層は平均厚
さが0.01〜5μで、かつ血液中の血漿の気体側への
浸出を阻止する非多孔性ちみつ層であり、該極微
細多孔層は24000倍の走査型電子顕微鏡写真では
孔の存在を確認できない表面を有するが、該選択
分離層よりも少なくとも10倍の流体透過性を有
し、かつ厚さが0.08μ以下であり、そして該多孔
層は巨大空胞を除いて孔径0.1〜1μの孔から構成
された、50%以上の空孔率を有するスポンジ構造
であり、かつ厚さが10〜500μである複合中空糸
分離膜であることを特徴とする人工肺によつて達
成される。 本発明の人工肺に使用する複合中空糸分離膜の
特徴とするところは、選択分離層、極微細多孔層
および多孔層の3層から構成され、中空糸の内面
側から順に選択分離層、極微細多孔層および多孔
層が配列され、かつそれぞれの層が以下述べるよ
うな構造を有することである。 まず、本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離
膜においては選択分離層が内面に形成されている
ことである。従来の複合中空糸分離膜では一般的
に選択分離層が該中空糸の外表面に形成されてい
た。その様な複合中空糸分離膜を実際に使用する
に際し相互の複合中空糸が外表面において接触す
る等により選択分離層がハクリする、或いは破損
する等種々の損傷を受け易いとか、極めて取扱い
性が困難であるとかの不利益を生ずるのは明らか
である。 本発明では、多孔性中空糸膜基材内面に選択分
離層を有するので、上述のような欠点を有してい
ないのである。 以下、本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離
膜を構成する3層について順を追つて説明する。 (i) 選択分離層 本発明においては、選択分離層は、非多孔性
のちみつ構造を有し、選択分離層構成ポリマが
極微細多孔層、さらには多孔層に、実質的に侵
入しないように形成されていることが重要であ
り、この侵透層の有無は、走査型電顕の観察に
て確認し得る。また、その平均厚みは、0.1〜
2μの範囲にあることが必要であり、かつまた
厚みの変動率が25%以下でなければならない。
この平均厚み及びその変動率は少くとも25箇所
を、走査型電顕にする観察することにより求め
られる。厚さが2μを超える場合には透過量が
小さいものになり不適切である。一方、0.01μ
より薄い場合には選択分離層自体の強度が小さ
くなりすぎ取り扱い中に容易に破損してピンホ
ールを生ずる危険性が大であり、好ましくな
い。操作性に優れた高流量透過性の複合中空糸
分離膜である為には厚みが0.05〜0.8μの範囲に
あることがより望ましい。 更にまた、従来の複合中空糸分離膜にあつて
は、選択分離層は極めて厚みむらの多い構造で
あるのが普通である。 例えば、本発明者が先に出願した特願昭56−
137282の実施例(1)に依つて得られる多孔性中空
糸膜状基材の外表面に形成されたシリコンゴム
薄膜の厚みむらについてみると、後述の比較例
における第2表に示すように 変動率=σ/x=0.266 と極めて大きい。 この様に、厚みむらが大きいと例えば酸素富
化膜として実際に使用する際には、通常加圧操
作あるいは減圧操作を行う必要があるが、その
際より膜厚の薄い部分が集中的に応力を受けて
容易に破損し、所定の濃縮性能を発揮し得な
い。従つて、厚みむらは小さくなければならな
い。 本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離膜の
構造上の特徴の1つは、内表面に形成された高
分子薄膜の厚みむらが極めて少いという点であ
り、この為いかなる加圧操作、あるいは減圧操
作を受けようとも応力が特定箇所へ集中すると
いうことがなく、従つて操作時に高分子薄膜が
破損するという前記の様な欠点を完全に解決し
得る優れた形態である。 この厚みむらに関しては、走査電顕で内表面
の少くとも25箇所の厚みを詳細に観察すること
により容易に測定できるが、本発明にあつては
その25箇所の厚みの平均値()に対する標準
偏差(σ)の比(変動率)が 変動率=σ/x≦0.25 より好ましくは 変動率=σ/x≦0.20 であり、極めて厚みむらの少いものである。 かかる選択分離層を形成するポリマーとして
は、複合中空糸の分離目的に従い、ポリジメチ
ルシロキサン、ポリジフエニルシロキサン、ポ
リメチルフエニルシロキサン等のポリオルガノ
シロキサン類、及びポリ−4−メチルペンテン
−1、ポリテトラフルオロエチレン、フルフリ
ルアルコール樹脂、セルロースアセテート、セ
ルローストリアセテート、ポリ−4−ビニルピ
リジン等々種々の高選択分離透過性を有する高
分子を用い得るが、ポリシロキサン系ポリマー
が酸素透過速度定数があらゆるポリマーの中で
最も大であるという意味で適したポリマーであ
る。 更に、この様な鎖状ポリオルガノシロキサン
を架橋触媒にて3次元架橋して強度物性及び耐
溶剤性を向上させたシリコンゴムは、鎖状ポリ
オルガノシロキサンより成る選択分離層より
も、その強度物性が更に向上している為により
薄膜化し得るという大きな長所を有している。 (ii) 極微細多孔層および多孔層 次に、選択分離層に隣接する極微細多孔層に
関しては、その表面には、24000倍の走査型電
顕写真でも、孔の存在は確認できない程の極め
て超微細の多孔構造層であることが必要であ
る。そして、極微細多孔層自体の流体透過性は
選択分離層の流体透過性の少くとも10倍であ
り、かつその厚みは0.08μ以下でなければなら
ぬ。極微細多孔層の表面の孔サイズが、24000
倍の走査型電顕写真で、確認できる程度以上の
大きさの場合には、実用時に例えば加圧操作を
受けた場合極めて薄く形成された選択分離層が
破損してピンホールを生じる可能性が増大し、
望ましくない。従つて、極微細多孔層の表面の
孔サイズは小さければ小さい程、望ましい訳で
あるが、しかしながら、あまりにち密になりす
ぎてはかえつて流体透過の際の抵抗になり望ま
しくない。またその意味で、極微細多孔層自体
の流体透過性は選択分離層のそれの少なくとも
10倍が必要であり、またその厚みも0.08μ以下
と、薄くなくてはならぬ。 更に、極微細多孔層に隣接する多孔層に関し
ては、特別な巨大空胞を除いて、主として0.1
〜1μの大きさの孔の集積より成るスポンジ構
造より成り、空孔率が50%以上でその厚みは
10μ〜500μでなければならない。そしてこの様
な構造的特徴は、走査型電顕にて容易に確認出
来る。スポンジ構造の孔サイズが0.1μより小さ
い場合には、多孔層自体の流体透過抵抗が大き
くなりすぎ望ましくない。逆にスポンジ構造の
孔サイズが1μより大きい場合には、実用時の
耐圧性が低下し、複合膜の支持体としての役割
を果たさなくなる。空孔率に関しても例えば含
水率の測定により求められるが、この値が50%
より小さい場合は、流体透過抵抗が大きくなり
望ましくない。厚みに関しては、10μより薄い
場合は、複合膜全体としての強度が小さくなり
実用性に劣る。500μより大きい場合は、かな
り太い複合中空糸になり、従つて、コンパクト
な分離膜モジユールを作成し難くなり好ましく
ない。 選択分離層の支持体としての、これら極微細
多孔層、及び多孔層を形成すべき素材として
は、支持体としての力学的強度物性を有すれば
充分であるので、この意味で、例えばポリビニ
ルアルコール、芳香族ポリスルホン、ポリイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン等広汎な高分
子物質が使用可能であるし、それらの中、相溶
性の有るものを種々混合して使用することも又
可能である。とりわけ、中空糸成型性に優れた
また耐熱性も良好である等種々の利点を有する
芳香族ポリスルホンが特に望ましいものであ
る。 以上述べたような3層構造を有する本発明の
人工肺に用いる複合中空糸分離膜にあつては、
前述の特公昭48−17589号に開示された2層構
造の複合膜とは異なり、選択分離層が、24000
倍の走査電顕写真でも、孔の存在が確認できな
い程の極微細多孔層の上に、形成されている
為、使用時に加圧操作等を行なつても選択分離
層が破損して、ピンホールを生ずるということ
も全くない。そして、極微細多孔層の厚みは
0.08μ以下と極めて薄く、従つて極微細多孔層
自体の流体透過抵抗は充分小さいものである。
さらに、支持多孔層の孔サイズが、0.1〜1μの
かなり大きいスポンジ構造でありかつ空孔率も
50%以上と大きく従つて、支持多孔層自体の流
体透過性も充分大きいという利点を有する。従
つて、3層構造複合中空糸膜全体としても、流
体透過速度は優れて大きく、かつ耐圧性等の実
用性にも優れている。 次に本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離膜
の製造法について述べる。本発明で用いる中空糸
分離膜の製造法の特徴とするところは、微細孔を
形成し得る細孔形成用ポリマーを、最初から多孔
性中空糸膜状基材を形成すべきマトリツクスポリ
マーと相互に相溶させた形で特に内面が非多孔性
の中空糸膜状物に成形し、この非多孔性中空糸膜
状物の非多孔性内表面に特定の物質に対して高選
択分離透過性を有する高分子成分を、例えば溶液
状態にて塗布することにある。かくすることによ
り、内表面が細孔の存在しない平滑面である為細
孔内への侵入ということも当然あり得ずその結
果、従来の中空糸複合膜を作成する方法において
は到底到達し得なかつた程の極めて超薄膜の選択
分離層を、ピンホールを全く生ずることなく形成
する事が可能である。そして、その後細孔形成用
ポリマーを排出除去することにより、中空糸基材
を多孔化させ、複合中空糸分離膜が得られる。以
下、本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離膜の
製法を順に追つて述べる。 (i) 非多孔性中空糸基材の製造 本発明の人工肺に用いる複合中空糸分離膜を
得るためにはマトリツクスポリマーと細孔形成
用ポリマーとを両者に対して相溶性の高い共通
溶媒を用いて均一に混合した後、中空糸膜状物
に成形し、しかる後この共通溶媒を取り去り、
結果としてマトリツクスポリマーと細孔形成用
ポリマーとが極めて均一に混合された非多孔性
中空糸膜状基材を得ることである。 微細孔を形成すべきポリマーについては、多
孔性中空糸膜状基材を形成すべきマトリツクス
ポリマーと相容性が充分に高く、混合成形可能
なポリマーであれば特に制限を受けることなく
使用し得る。とりわけ芳香族ポリスルホンとポ
リビニルピロリドンの組合せの場合が相容性が
極めて良好であり、従つてポリビニルピロリド
ンの抽出により形成される細孔の大きさが極め
て微細なものであり、選択分離層の支持体とし
て実に好適なものである。 また細孔形成用ポリマーとして、上記以外に
ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポ
リアクリルアミドも使用可能なものである。 上記中空糸分離膜の製造法において重要なこ
とは、微細孔を形成するべき細孔形成用ポリマ
ーと多孔質中空糸膜状基材を形成すべきマトリ
ツクスポリマーとの相容性が極めて優れている
ことであり、このことにより後で細孔形成用ポ
リマーを抽出除去したときに、中空糸基材が微
細な孔からなる多孔体とすることができる。 もし、相溶性のよくない場合には多孔性支持
体の後から形成される細孔がかなり大きくな
る。この場合には、せつかく形成した高分子薄
膜状選択分離層をその内表面に有する複合分離
膜を実用に供した場合、せつかく形成した選択
分り層が破損し、本来期待されるべき分離性能
を発揮し得なくなるという事態を招来し易い。
従つて、せつかく多孔質基材内表面の微細孔に
侵入することがない様に、極めて薄く形成され
たピンホールのない選択分り層を有する複合中
空糸分離膜が実用に供され、期待される本来の
分離性能を発揮する為には、例えば抽出により
後から形成される微細孔はその大きさにおいて
充分に対さいものである事が必須であり、従つ
てこの為には多孔質中空糸膜状基材を形成すべ
きマトリツクスポリマーと充分に相容性の良好
な細孔形成用ポリマーを微細孔形成剤として選
択するのが肝要である。 マトリツクスポリマーと細孔形成用ポリマー
の比率に関しては、重量比で100:25から100:
200が望ましく、更に100:50から100:100の範
囲にあるのが好適である。マトリツクスポリマ
ーに対する細孔形成用ポリマーの比率が100:
25より小さい時には、細孔形成用ポリマーを除
去して得られる微細孔の数が少く、従つてこれ
を用いて得られる複合中空糸分離膜の透過量が
小さいものになり実用性に劣る。一方、マトリ
ツクスポリマーに対する細孔形成用ポリマーの
比率が100:200より大きい時には、細孔形成用
ポリマーを除去して得られる微細孔の数が極め
て多くなりすぎ、従つてこれを用いて得られる
複合中空糸分離膜の透過量においては充分、大
きくて実用性の高いものであるが、しかしなが
ら多孔性部分の割合が極めて大きくなりすぎ
て、マトリツクスポリマーが形成する多孔性中
空糸膜状基材の相対的な強度が低下し、選択分
離層の強度支持体としての役割を充分にはたし
得なくなり、不適切である。 前述のようにマトリツクスポリマーと細孔形
成用ポリマーを選択し、所定割合に混合し、両
者の共通溶媒に溶解して紡糸原液を作成する。
この紡糸原液を環状ノズルより凝固浴中へ吐出
成形して非多孔性の中空糸を得ることができ
る。 一例として、ポリビニルピロリドン、或いは
ポリエチレングリコールを細孔形成用ポリマー
として選んだ場合、これらは例えばジメチルホ
ルムアミド等を溶媒に選ぶことにより、容易に
芳香族ポリスルホンと極めて良好に均一に相容
し、この均一相容紡糸原液を内面に、常温の水
を注入しながら環状ノズルより水凝固浴中へ吐
出し中空糸膜状物に成形後、共通溶媒であるジ
メチルホルムアミド等を取り去つてやると、結
果としつ微細孔形成用ポリマーとしてのポリビ
ニルピロリドン、或いはポリエチレングリコー
ルと多孔性中空糸膜状基材を形成すべきマトリ
ツクスポリマーとしての芳香族ポリスルホンと
が極めて均一に混合された非多孔性中空糸幕状
膜材が得られる。 この紡糸原液を環状構造ノズルより凝固浴中
へ吐出成形するに際し、内面を早く凝固させる
のが重要で、このため中空糸内面に内面凝固剤
として、特に水または水を主成分とする凝固剤
を注入しながら吐出成形するのが好ましい。内
面凝固剤として例えば、ジメチルホルムアミド
水溶液(ジメチルホルムアミドが50重量%以
上)をとくに50℃以上の高温で用いる場合に
は、内面の凝固がおそく、得られた中空糸基材
から細孔形成用ポリマーを抽出後において、内
面の孔が大きくなり、極微細多孔層が得にくく
なり、適切でない。 (ii) 選択分離層の形成 この様にして得られた非多孔性中空糸膜状基
材の非多孔性内表面に、特定の物質に対して、
高選択分離透過性を有する高分子成分を薄膜状
に作成する。 高分子薄膜成分としては、既に述べた様に複
合中空糸の分離目的に従い、ポリオルガノシロ
キサン類、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポ
リテトラフルオロエチレン、フルフリルアルコ
ール樹脂、セルロースアセテート、セルロース
トリアセテート、ポリ−4−ビニルピリジン
等々、種々の高選択分離透過性を有する高分子
を用い得るが、酸素透過速度定数が最も大きい
という意味で、ポリオルガノシロキサンが適し
ているし、更にまた強度物性が一層向上してい
るという点において、この様な鎖状ポリオルガ
ノシロキサンを架橋触媒にて、3次元架橋した
シコンゴムが最も望ましいものである。これら
のポリマーは通常適当な溶媒に溶解して用いら
れるが用いる混合溶液の濃度に関しては1〜50
重量%、好ましくは3〜30重量%である。あま
り低濃度になりすぎると、ピンホールの発生を
招来し易く好ましくない。逆にあまりに高濃度
の場合には、形成される薄膜の厚みが概して大
になり勝ちであり透過流量の低下を招き望まし
くない。 本発明の人工肺に用いる複合分離膜において
は、多孔性中空糸の内表面に形成された選択分
離層が極めて薄くかつその厚みむらが極めて少
く、均一な厚みを有するという点が重要であ
る。 本発明者は、この点について種々検討した結
果、全く意外にも、例えば架橋触媒を含むポリ
シロキサン系プレポリマー溶液を該中空糸基材
の内表面に供給し、自然滴下させて液抜きを行
い、その後該中空糸の内表面に気体を通過さ
せ、しかる後架橋処理を施して中空糸内表面に
3次元架橋シリコンゴム薄膜を形成させること
により、該薄膜の厚みむらの変動率が 変動率=σ/x≦0.25 更に望ましくは、 変動率=σ/x≦0.20 と極めて少く、均一に形成されていることが判
明した。 この中空糸内表面に気体を通過させた時に起
こる現象については、その機構は明確ではない
が、選択分離層を形成すべきコート原液の通液
後、気体を通過させると、コート原液中の揮発
性溶剤が気体通過に伴い蒸発することによるコ
ート原液の濃縮勝作用と、一方、コート原液が
気体の通過に伴い、ぬぐい取られる作用とが複
雑に関連し合つたものと思われる。 しかしながら、この様な、極めて厚みムラの
少い均一な薄膜の形成は、従来の技術では、と
うてい達し得なかつたものであり、上記の本発
明により、そしてとりわけ、コート原液の中空
糸内面への通液後、気体を通過させる、という
工程の発見により、始めて可能になつたもので
ある。そして、中空糸内表面へのコート原液の
通液と、それに引続いての気体の通過という工
程を2回以上、何回も繰り返すのが、特に、厚
みムラの少い選択分離層を得るに際し有効であ
る。また、コート原液をその内面に通液するに
際し、中空糸のコート原液の入口端面に近接し
て、例えば100メツシユ程度の金アミを設置す
ると、コート原液通液後に、その金アミの細か
い目の中に、コート原液が、大量に保持され、
しかる後、気体を通過させると、中空糸の入口
端面に近接した金アミの目の中に保持されたコ
ート原液が、非常に効率よく濃縮されながら中
空糸内表面へ供給される為か、上記の、コート
原液の通液と、それに引続いての気体の通過と
いう工程を、何回も、繰り返す際に、その繰り
返し回数を効率よく低減し得る。もちろん上記
の100メツシユ程度の金アミの設置は1例であ
り、中空糸の入口端面近くにて、コート原液を
保持し得る、液溜め機構であれば、その種類に
何ら制限はない。 そして、この用いるべき気体としては、種々
の観点より空気を用いるのが有利であり、0.1
〜50m/secの線速度で1sec以上通過させれば
良い。 0.1m/sec以下の微速の場合には厚みむらを
低減する効果が少い。逆に50m/sec以上の極
めて高速の場合には、内表面に供給された混合
溶液が吹き飛ばされてしまい、逆にまた厚みむ
らを招来するので望ましくない。時間に関して
は、1回あたり1sec以上行えば充分である。 なお、上述のような選択分離層形成のための
コーテイング操作は中空糸をたばねてモジユー
ルを形成してから行なつてもよく、モジユール
形成前の中空糸に対して行なつてもよい。 (iii) 細孔形成用ポリマーの抽出 上述のように選択分離層を形成した後、中空
糸の外表面を例えば水或いはエタノール、メタ
ノールと接触させることにより、容易に細孔形
成用ポリマーであるポリビニルピロリドン或い
はポリエチレシグリコールを抽出除去すること
ができる。 抽出除去方法に関しては、水抽出が最も簡易
であり、その意味でポリビニルピロリドン、或
いはポリエチレングリコール等の水溶性高分子
を細孔形成用ポリマーとして使用すると、水に
よる抽出が可能であり便利である。しかしなが
ら短時間に抽出しようとする場合には、通常沸
騰水の如き熱水にて抽出しなければならず、そ
の抽出時にせつかく形成した選択分り層が抽出
水の対流等により破損したり、あるいははくり
したりする危険性がある。この危険性を回避す
る為には、例えば60℃ぐらいの割と低温でも、
充分な抽出速度を有するエタノールとかメタノ
ールを抽出溶媒として使用するのが望ましい。
もちろん、抽出溶媒を選択する場合、マトリツ
クスポリマー、及び内表面の選択分り層部分を
溶解しない抽出溶媒を用いねばならぬ事は言う
までもない。その結果として、流体透過性は、
選択分離層よりも少くとも10倍大きいが、その
表面には、24000倍の走査型電顕写真でも、孔
の存在が確認できない程、ちみつなかつ厚みが
0.08μ以下と極めて薄い。極微細多孔層と、そ
れに隣接する、巨大空胞を除いて、0.1〜1μの
スポンジ構造よりなり、空孔率が50%以上で、
その厚みが10〜500μである多孔層とより成る、
多孔性中空糸基材が形成される。 膜型人工肺としては、内面側より、酸素ガス
透過性能、および炭酸ガス透過性能に優れた選
択分離層、極微細多孔層、多孔層の順に、3層
より構成される複合中空糸であることが肝要で
あり、とりわけ、その表面には24000倍の走査
型電顕写真でも、孔の存在は確認できないが、
流体透過性は選択分離層より少くとも10倍であ
り、かつその厚みが0.08μ以下であるような、
極微細多孔層の存在が、実用的に優れた膜型人
工肺を得る為の必須不可欠の要件であることが
認められた。すなわち、極微細多孔層がその表
面には24000倍の走査型電顕写真でも、孔の存
在は確認できない程の、微細多孔性ではありな
がらも、なおかつ、ち密な層である為、微視的
に見た場合、凹凸のない極めて平滑な面である
為、従つてその上に形成される選択分離層も、
その厚みにおいて充分に薄く、なおかつ厚みム
ラも少いものとなるのである。 上記の、極微細多孔層の存在を欠いた、つまり
選択分離層と、多孔層の2層より構成される従来
の複合中空糸膜型人工肺にあつては(特開昭52−
15483号、特開昭54−160098号参照)、選択分離層
を形成すべき多孔層の表面が、微視的に見た場合
どうしても、凹凸のある、極めて平滑とは言い難
い面である為その上に形成される選択分離層が、
どうしても、その厚みにおいて、厚い層になりが
ちであり、また、厚みむらも生じ易い。 人工肺に用いられる複合中空糸分離膜において
は、選択分離層は平均厚さが0.01〜5μの非多孔ち
みつ層であればよく、酸素富化膜として用いられ
る場合ほどの厳密さは要求されない。しかし、厚
さが0.01μ以下の場合には、選択分離層が余りに
薄くなりすぎて、破損し易く、実用性に乏しい。
5μより厚い場合には、ガス交換速度に劣り、こ
れも又、実用的でない。また選択分離層に厚みム
ラのある場合は、より薄い部分に応力が集中し易
く、選択分離層の破損を生じ易い。したがつて、
厚さ斑の少ない方が望ましく、前述の変動率が25
%以下であることが望ましい。そして、特にガス
交換速度の大きい膜型人工肺が必要な場合には、
選択分離層を構成するポリマー成分が極微細多孔
層に侵入していないように選択分離層が形成され
ることが望ましい。かくすることによつて、選択
分離層の厚みが、一層薄いものになり、従つて、
一層、ガス交換速度の大きい、極めて優れた膜型
人工肺を得ることが出来る。 本発明の、3層構造よりなる複合中空糸膜を用
いて成る複合中空糸膜型人工肺の、極微細多孔
層、及び多孔層の素材に関しては、これまでに述
べて来たのと同じ理由により、芳香族ポリスルホ
ンが、特に望ましいし、また選択分離層の素材に
関しても、血液適合性に優れ、かつ酸素透過速
度、及び炭酸ガス透過速度の極めて優れたポリオ
ルガノシロキサン系ポリマーが望ましいし、とり
わけ、3次元架橋されたポリオルガノシロキサン
系ポリマーが、強度がより強いという意味で特に
望ましいものである。また3層構造よりなる複合
中空糸膜を多数束状にして用いて、例えば円筒状
の膜型人工肺モジユールを常法により容易に作製
し得るし、この円筒状膜型人工肺モジユールを組
込んだ膜型人工肺システムを形成し得る。 かかる人工肺は次のようにして用いられる。ま
ず患者の静脈より脱血された静脈血を貯溜する静
脈リザーバーから、例えば血液ローラーポンプに
て、多管式熱交換器を経由させて、温度を一定に
調整した血液を、膜型人工肺モジユールの中空糸
内面側に送入し、中空糸外表面側に接触循環され
ている酸素ガスとの間で(酸素ガス/炭酸ガス)
の交換を行つて、所定の酸素ガスを移行増加せし
めた血液を送血ラインにて患者の動脈へ返すこと
によつて人工肺としての機能が達成される。人工
肺の他、上記のような機器が具備されて人工肺シ
ステムが形成される。また、円筒状膜型人工肺モ
ジユールの、静脈血入口に、多管式熱交換器を
も、一体取付けした複合型モジユールが、更に簡
便であり実用的である。また上記以外の例えば再
循環ラインの様な付帯設備を必要に応じ設置する
ことは何ら差しつかえない。 以下、本発明を実施例を以つて具体的に説明す
るが、実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明
は実施例のみに限定されるものではない。 〔実施例〕 実施例 1 芳香族ポリスルホン(商品名:ユーデルポリス
ルホン:P−1700:ユニオン・カーバイド社製)
100重量部と、ポリビニルピロリドン100重量部
を、それらの共通溶媒であるジメチルホルムアミ
ド500重量部に混合溶解して紡糸原液を作成した。
この原液を環状ノズルより吐出し、中空部に水を
供給することによつて中空糸状に成形し、紡糸後
の中空糸を水浴中を通過させながらジメチルホル
ムアミドを取り除き、その後、乾燥する事により
最終的に芳香族ポリスルホン100重量部と、ポリ
ビニルピロリドン100重量部が極めて均一に混合
された、外径800μ、内径500μ、膜厚150μの非多
孔性中空糸状膜基材を得た。 一方、常温硬化型のシリコーンゴム(商品名:
シルポツト184w/c:ダウコーニング社製)と、
その1/10量の硬化触媒をn−ペンタンに溶解して
10重量%のシリコーン溶液を調整した。この様に
作成したシリコーン溶液を、前述の非多孔性中空
糸膜状基材200本を、束状にしたものの、各個の
中空糸の内表面側に、約30ml/minの供給速度で
約3分間供給した。その後自然滴下にて、シリコ
ーン溶液の液抜きをした後空気を15m/secの線
速で約1分間通過させた。この工程を10回繰り返
した。この後、100℃×1HRの架橋処理を行い、
この後、60℃のエタノールに16時間浸漬して、ポ
リビニルピロリドンの抽出除去を行つた。この様
な方法により、最終的に、芳香族ポリスルホンか
ら形成された極微細多孔層と、それに隣接する多
孔層より成る多孔性中空糸膜状基材と、その内表
面に、内表面の極微細多孔層に実質的に浸透する
ことがない様に、かつ該中空糸内表面の円周方
向、及び繊維軸方向のいずれにおいても、極めて
厚みむらがなく形成されたシリコーンゴム薄膜の
選択分り層とより成る複合中空糸分離膜を得た。 得られた複合中空糸分離膜の構造に関し、まず
選択分離層部分に関し、内表面の25箇所を走査型
電顕により詳細観察した所、内表面上に形成され
たシリコーンゴム薄膜の厚みは、第1表に示す通
りであつた。 得られた複合膜において、薄膜状選択分り層の
平均厚みは=3300Åであり、標準偏差は であり、従つて標準偏差(σ)の平均厚み()
に対する比(変動率)は、 変動率=σ/x=0.175 と極めて厚みむらの少い構造であり、かつシリコ
ーンゴム薄膜の選択分り層が中空糸基材の内表面
の極微細多孔層に実質的に侵入していない、全く
新規な形態であることが明瞭に観察された。
【表】
【表】
次に、得られた複合中空糸膜の内表面より、極
微細多孔層を破壊しない様に注意しながら、シリ
コンゴム薄膜をはくりさせ、露出した極微細多孔
層について、24000倍の走査型電顕観察を行つた。
得らえた写真を第3図に示すが、24000倍で、孔
は確認できない程、ち密な構造であり、かつその
厚みは、同写真より約0.05μである。第3図には、
同時に、多孔層の様子も合せて示すが、0.1〜1μ
の孔の集積体よりなるスポンジ構造であることが
明瞭である。この多孔層部分の空孔率は含水率よ
り76%と測定された。 次に得られた複合中空糸分離膜を、酸素富化膜
として使用した場合の透過性能について詳細に述
べる。 先に述べた内表面に平均3300Åのシリコーンゴ
ム薄膜の選択分り層を有する複合中空糸分離膜の
内表面上に、7Kg/cm2ゲージ圧に加圧した空気を
供給し、空気中の酸素とチツ素の選択分離を行わ
せた。透過ガスの組成をガスクロにて分析した
所、酸素=約35vol%、チツ素=約65vol%であつ
た。この酸素濃縮度は、全くピンホールのないシ
リコーンゴムフイルムに7Kg/cm2ゲージ圧の加圧
空気を供給した場合の酸素濃縮度と全く一致し、
この事実より、芳香族ポリスルホンより成る多孔
性中空糸膜状基材の内表面に形成されたシリコー
ンゴム薄膜は、全くピンホールの如き欠陥を有さ
ず、また加圧時においても膜破損を生ずることも
全くなく、本来の分離性能を充分に発揮している
ことが明らかである。また酸素濃度約35vol%の
酸素富化空気の透過流量も、約2×103ml/
24HRS・m2・Kg/cm2と優れて実用的である。また、 上記の内表面より、シリコンゴム薄膜をハクリさ
せたものについて、7Kg/cm2ゲージ圧に加圧した
空気を供給した時の、空気透過量は3×1011ml/
24HRS・m2・Kg/cm2であり、先述の富化空気透過量 の1500倍であつた。ちなみにこの、内表面からシ
リコンゴム薄膜をハクリさせた、極微細多孔層
と、多孔層の2層より成る中空糸基材の空気透過
性に関しては、多孔層の方は、0.1〜1μのスポン
ジ構造よりなり、かつ空孔率も76%と極めて大き
く、つまり、空気透過抵抗は極めて小さく、極微
細多孔層の空気透過抵抗に比して、無視できる。
従つて、上記の3×1011ml/24HRS・m2・Kg/cm2と いう空気透過量は、極微細多孔層によつて律せら
れる空気透過量である。 比較例 1 実施例1と同様にして、芳香族ポリスルホン
100重量部と、ポリビニルピロリドン100重量部が
均一に混合された、外径800μ、内径500μ、膜厚
150μの非多孔性中空糸膜状基材を得た。このも
のを、60℃のエタノールに16時間浸漬することに
より、先ずポリビニルピロリドンの抽出除去を行
うことにより、芳香族ポリスルホンより成る多孔
性中空糸膜状基材を得た。このものの内表面を、
24000倍の走査型電顕で観察した所、厚さ0.05μの
極微細多孔層が観察されたが、孔の存在は確認で
きなかつた。またそれに隣接する多孔層も明瞭に
観察されたが先の実施例1に記載したのと実質的
に同じ構造であつた。この様な多孔性中空糸基材
の200本を束状にしたものの、各個の中空糸の内
表面に、実施例1と同様に作成した10重量%のシ
リコーン溶液を約30ml/minの供給速度で約3分
間供給し、その後自然滴下にてシリコーン溶液の
液抜きをした後、空気を約15m/secの線速で約
1分間通過させた。この工程を10回繰り返した。
この後、100℃で1HRの架橋処理を行うことによ
り、複合中空糸分離膜を得た。 このものの内表面に7Kg/cm2ゲージ圧の加圧空
気を供給して分離を行わせた所、透過ガスの組成
に関しては、酸素=約35vol%、チツ素=約65vol
%であり、一応ピンホールのない複合中空糸分離
膜が得られたものの、透過ガスの流量が約106
ml/24HRS・m2・Kg/cm2と極めて小さく、とうてい 実用に耐え得ないものであつた。この中空糸複合
膜の断面を走査電顕で観察した所、多孔性中空糸
基材の内表面に極微細多孔層内、及び多孔層内へ
約4μの極めて厚いシリコーンゴムの侵入層が形
成されているのが明らかに観察された。この4μ
という極めて厚い、細孔内へのシリコーンゴムの
侵入層の形成の為に、上記の様に得られる透過ガ
スの流量が極めて小さくならざるを得ず、従つて
極めて実用性に乏しい複合中空糸膜にならざるを
得なかつたと思われる。 一方、透過ガス流量を高める為には、シリコー
ンゴム侵入層の厚みを軽減してやれば良いと考え
られ、その為には用いるシリコーン溶液の濃度を
下げてやれば良いと考えられたので、シリコーン
溶液の濃度を一桁下げて1重量%のシリコーン溶
液を用いて上記と全く同じ実験を行つた所、透過
ガスの流量は約103ml/24HRS・m2・Kg/cm2と極め て大きかつたにも関わらず、その組成をガスクロ
で分析した所、酸素=約21vol%、チツ素=約
79vol%と全く濃縮されておらず、つまりこの様
な作成方法における複合中空糸分離膜に関して
は、多孔性中空糸基材の内表面に形成されたシリ
コーンゴム膜は極めて多くのピンホールを有して
おり、本来の分離性能を全く発揮し得ないもので
ある。 比較例 2 芳香族ポリスルホン100重量部と、ポリビニル
ピロリドン100重量部が均一に混合された、外径
640μ、内径320μ、膜厚160μの非多孔性中空糸膜
基材を得た。 一方、常温硬化型のシリコーンゴム(商品名:
シルポツト184w/c:ダウコーニング社製)と、
その1/10量の硬化触媒をn−ペンタンに溶解して
30重量%のシリコーン溶液を調整した。 この様に作成した30重量%のシリコーン溶液
に、前述の非多孔性中空糸状膜基材をその端部を
封じて、中空糸の内側にシリコーン溶液が侵入し
ない状態で10分間浸漬した後、100℃で60分間、
熱風乾燥することにより非多孔性中空糸の外表面
においてシルポツト184w/cを硬化重合させた。
この後、再度30重量%のシリコーン溶液に浸漬
し、その後100℃で60分間、熱風乾燥することに
より非多孔性中空糸の外表面において、芳香族ポ
リスルホン基材と強固に結合したかつピンホール
の全くないシリコーンゴム超薄膜を作成した。次
にこの様にして得られた非多孔性複合中空糸の内
側に、60℃のエタノールを通して内表面よりポリ
ビニルピロリドンを抽出除去することにより、最
終的に芳香族ポリスルホンより成る多孔性中空糸
状膜基材と、その外表面に形成されたシリコーン
ゴム薄膜の選択分離層とより成る中空糸状複合分
離膜を得た。このもののシリコーンゴム薄膜の厚
みに関して、25箇所の厚みを走査型電顕で詳細観
察したところ、第2表の結果を得た。 であり、従つて標準偏差(σ)の平均厚み()
に対する比(変動率)が 変動率=σ/x=0.266 と極めて大きく、また厚みむらの大きい構造のも
のであつた。
微細多孔層を破壊しない様に注意しながら、シリ
コンゴム薄膜をはくりさせ、露出した極微細多孔
層について、24000倍の走査型電顕観察を行つた。
得らえた写真を第3図に示すが、24000倍で、孔
は確認できない程、ち密な構造であり、かつその
厚みは、同写真より約0.05μである。第3図には、
同時に、多孔層の様子も合せて示すが、0.1〜1μ
の孔の集積体よりなるスポンジ構造であることが
明瞭である。この多孔層部分の空孔率は含水率よ
り76%と測定された。 次に得られた複合中空糸分離膜を、酸素富化膜
として使用した場合の透過性能について詳細に述
べる。 先に述べた内表面に平均3300Åのシリコーンゴ
ム薄膜の選択分り層を有する複合中空糸分離膜の
内表面上に、7Kg/cm2ゲージ圧に加圧した空気を
供給し、空気中の酸素とチツ素の選択分離を行わ
せた。透過ガスの組成をガスクロにて分析した
所、酸素=約35vol%、チツ素=約65vol%であつ
た。この酸素濃縮度は、全くピンホールのないシ
リコーンゴムフイルムに7Kg/cm2ゲージ圧の加圧
空気を供給した場合の酸素濃縮度と全く一致し、
この事実より、芳香族ポリスルホンより成る多孔
性中空糸膜状基材の内表面に形成されたシリコー
ンゴム薄膜は、全くピンホールの如き欠陥を有さ
ず、また加圧時においても膜破損を生ずることも
全くなく、本来の分離性能を充分に発揮している
ことが明らかである。また酸素濃度約35vol%の
酸素富化空気の透過流量も、約2×103ml/
24HRS・m2・Kg/cm2と優れて実用的である。また、 上記の内表面より、シリコンゴム薄膜をハクリさ
せたものについて、7Kg/cm2ゲージ圧に加圧した
空気を供給した時の、空気透過量は3×1011ml/
24HRS・m2・Kg/cm2であり、先述の富化空気透過量 の1500倍であつた。ちなみにこの、内表面からシ
リコンゴム薄膜をハクリさせた、極微細多孔層
と、多孔層の2層より成る中空糸基材の空気透過
性に関しては、多孔層の方は、0.1〜1μのスポン
ジ構造よりなり、かつ空孔率も76%と極めて大き
く、つまり、空気透過抵抗は極めて小さく、極微
細多孔層の空気透過抵抗に比して、無視できる。
従つて、上記の3×1011ml/24HRS・m2・Kg/cm2と いう空気透過量は、極微細多孔層によつて律せら
れる空気透過量である。 比較例 1 実施例1と同様にして、芳香族ポリスルホン
100重量部と、ポリビニルピロリドン100重量部が
均一に混合された、外径800μ、内径500μ、膜厚
150μの非多孔性中空糸膜状基材を得た。このも
のを、60℃のエタノールに16時間浸漬することに
より、先ずポリビニルピロリドンの抽出除去を行
うことにより、芳香族ポリスルホンより成る多孔
性中空糸膜状基材を得た。このものの内表面を、
24000倍の走査型電顕で観察した所、厚さ0.05μの
極微細多孔層が観察されたが、孔の存在は確認で
きなかつた。またそれに隣接する多孔層も明瞭に
観察されたが先の実施例1に記載したのと実質的
に同じ構造であつた。この様な多孔性中空糸基材
の200本を束状にしたものの、各個の中空糸の内
表面に、実施例1と同様に作成した10重量%のシ
リコーン溶液を約30ml/minの供給速度で約3分
間供給し、その後自然滴下にてシリコーン溶液の
液抜きをした後、空気を約15m/secの線速で約
1分間通過させた。この工程を10回繰り返した。
この後、100℃で1HRの架橋処理を行うことによ
り、複合中空糸分離膜を得た。 このものの内表面に7Kg/cm2ゲージ圧の加圧空
気を供給して分離を行わせた所、透過ガスの組成
に関しては、酸素=約35vol%、チツ素=約65vol
%であり、一応ピンホールのない複合中空糸分離
膜が得られたものの、透過ガスの流量が約106
ml/24HRS・m2・Kg/cm2と極めて小さく、とうてい 実用に耐え得ないものであつた。この中空糸複合
膜の断面を走査電顕で観察した所、多孔性中空糸
基材の内表面に極微細多孔層内、及び多孔層内へ
約4μの極めて厚いシリコーンゴムの侵入層が形
成されているのが明らかに観察された。この4μ
という極めて厚い、細孔内へのシリコーンゴムの
侵入層の形成の為に、上記の様に得られる透過ガ
スの流量が極めて小さくならざるを得ず、従つて
極めて実用性に乏しい複合中空糸膜にならざるを
得なかつたと思われる。 一方、透過ガス流量を高める為には、シリコー
ンゴム侵入層の厚みを軽減してやれば良いと考え
られ、その為には用いるシリコーン溶液の濃度を
下げてやれば良いと考えられたので、シリコーン
溶液の濃度を一桁下げて1重量%のシリコーン溶
液を用いて上記と全く同じ実験を行つた所、透過
ガスの流量は約103ml/24HRS・m2・Kg/cm2と極め て大きかつたにも関わらず、その組成をガスクロ
で分析した所、酸素=約21vol%、チツ素=約
79vol%と全く濃縮されておらず、つまりこの様
な作成方法における複合中空糸分離膜に関して
は、多孔性中空糸基材の内表面に形成されたシリ
コーンゴム膜は極めて多くのピンホールを有して
おり、本来の分離性能を全く発揮し得ないもので
ある。 比較例 2 芳香族ポリスルホン100重量部と、ポリビニル
ピロリドン100重量部が均一に混合された、外径
640μ、内径320μ、膜厚160μの非多孔性中空糸膜
基材を得た。 一方、常温硬化型のシリコーンゴム(商品名:
シルポツト184w/c:ダウコーニング社製)と、
その1/10量の硬化触媒をn−ペンタンに溶解して
30重量%のシリコーン溶液を調整した。 この様に作成した30重量%のシリコーン溶液
に、前述の非多孔性中空糸状膜基材をその端部を
封じて、中空糸の内側にシリコーン溶液が侵入し
ない状態で10分間浸漬した後、100℃で60分間、
熱風乾燥することにより非多孔性中空糸の外表面
においてシルポツト184w/cを硬化重合させた。
この後、再度30重量%のシリコーン溶液に浸漬
し、その後100℃で60分間、熱風乾燥することに
より非多孔性中空糸の外表面において、芳香族ポ
リスルホン基材と強固に結合したかつピンホール
の全くないシリコーンゴム超薄膜を作成した。次
にこの様にして得られた非多孔性複合中空糸の内
側に、60℃のエタノールを通して内表面よりポリ
ビニルピロリドンを抽出除去することにより、最
終的に芳香族ポリスルホンより成る多孔性中空糸
状膜基材と、その外表面に形成されたシリコーン
ゴム薄膜の選択分離層とより成る中空糸状複合分
離膜を得た。このもののシリコーンゴム薄膜の厚
みに関して、25箇所の厚みを走査型電顕で詳細観
察したところ、第2表の結果を得た。 であり、従つて標準偏差(σ)の平均厚み()
に対する比(変動率)が 変動率=σ/x=0.266 と極めて大きく、また厚みむらの大きい構造のも
のであつた。
【表】
【表】
実施例 2
実施例1で得られた、内面に平均3300Åのシリ
コンゴム薄膜を有する外径800μ、内径500μ、膜
厚150μの複合中空糸分離膜の150本を、並行に束
状に集束し、それを、酸素ガスの入り口と、出口
を有する透明円筒状のポリカーボネート製容器に
充てんし、その後、複合中空糸束の両端と、ポリ
カーボネート製円筒容器の端部を、樹脂を用い
て、気体等の漏れがない様に接着成型した後、複
合中空糸束の両端部を切断することにより、各々
の中空糸の内孔部を開口させた。この様にして有
効長=10cm、有効内表面積=240cm2の、極めて小
型の複合中空糸型人工肺を試作した。 この様な複合中空糸型人工肺の、中空糸内面側
に、新鮮な牛血を、230ml/minの流量で通過さ
せ、一方、中空糸の外表面に、ポリカーボネート
製容器の酸素ガス入り口より導入した酸素ガス
を、230ml/minの流量で通過させ、複合中空糸
膜を介して、酸素ガスの交換を行わしめた。ガス
交換時間は24時間であつた。 この時の、牛血中への酸素ガス移動量は、ガス
交換開始後15分の時点で63ml/min・m2、24時間
後で58ml/min・m2と実測され、極めて大きな酸
素ガス透過速度が、長時間安定に維持された。 また、この間に血液中の血漿成分や水分が中空
糸外表面へ浸出してくるといつた問題もなく、終
了後の返血時にも中空糸の詰りは認められなかつ
た。酸素加された血液の溶血度は低く、微小血栓
の発生も十分に低いレベルであり、本発明による
シリコンゴム薄膜を内表面に有する複合中空糸型
人工肺は、長時間の使用に耐える優れた人工肺で
あつた。
コンゴム薄膜を有する外径800μ、内径500μ、膜
厚150μの複合中空糸分離膜の150本を、並行に束
状に集束し、それを、酸素ガスの入り口と、出口
を有する透明円筒状のポリカーボネート製容器に
充てんし、その後、複合中空糸束の両端と、ポリ
カーボネート製円筒容器の端部を、樹脂を用い
て、気体等の漏れがない様に接着成型した後、複
合中空糸束の両端部を切断することにより、各々
の中空糸の内孔部を開口させた。この様にして有
効長=10cm、有効内表面積=240cm2の、極めて小
型の複合中空糸型人工肺を試作した。 この様な複合中空糸型人工肺の、中空糸内面側
に、新鮮な牛血を、230ml/minの流量で通過さ
せ、一方、中空糸の外表面に、ポリカーボネート
製容器の酸素ガス入り口より導入した酸素ガス
を、230ml/minの流量で通過させ、複合中空糸
膜を介して、酸素ガスの交換を行わしめた。ガス
交換時間は24時間であつた。 この時の、牛血中への酸素ガス移動量は、ガス
交換開始後15分の時点で63ml/min・m2、24時間
後で58ml/min・m2と実測され、極めて大きな酸
素ガス透過速度が、長時間安定に維持された。 また、この間に血液中の血漿成分や水分が中空
糸外表面へ浸出してくるといつた問題もなく、終
了後の返血時にも中空糸の詰りは認められなかつ
た。酸素加された血液の溶血度は低く、微小血栓
の発生も十分に低いレベルであり、本発明による
シリコンゴム薄膜を内表面に有する複合中空糸型
人工肺は、長時間の使用に耐える優れた人工肺で
あつた。
第1図は本発明の人工肺に用いる複合中空糸分
離膜のモデル図である。第1図において、1は選
択分離層、2は極微細多孔層、3は多孔層を示
す。 第2図は本発明の人工肺に用いる複合中空糸分
離膜の断面構造の一態様を示す24000倍の走査型
電顕写真である。第3図は本発明の人工肺に用い
る複合中空糸分離膜の内面より選択分離層をはく
りすることにより露出された極微細多孔層の一態
様を示す24000倍の走査型電顕写真である。第4
図は第3図に示された極微細多孔層を真横から観
察した24000倍の電顕写真である。
離膜のモデル図である。第1図において、1は選
択分離層、2は極微細多孔層、3は多孔層を示
す。 第2図は本発明の人工肺に用いる複合中空糸分
離膜の断面構造の一態様を示す24000倍の走査型
電顕写真である。第3図は本発明の人工肺に用い
る複合中空糸分離膜の内面より選択分離層をはく
りすることにより露出された極微細多孔層の一態
様を示す24000倍の走査型電顕写真である。第4
図は第3図に示された極微細多孔層を真横から観
察した24000倍の電顕写真である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 膜の一方の側に血液を流し、膜の他方の側に
気体を流すことにより、膜を介して血液と気体間
でガス交換を行う人工肺であつて、該膜は内面側
より順に選択分離層、極微細多孔層および多孔層
が形成された、上記3層を有する複合中空糸であ
り、該選択分離層は平均厚さが0.01〜5μで、かつ
血液中の血漿の気体側への浸出を阻止する非多孔
性ちみつ層であり、該極微細多孔層は24000倍の
走査型電子顕微鏡写真では孔の存在を確認できな
い表面を有するが、該選択分離層よりも少なくと
も10倍の流体透過性を有し、かつ厚さが0.08μ以
下であり、そして該多孔層は巨大空胞を除いて孔
径0.1〜1μの孔から構成された、50%以上の空孔
率を有するスポンジ構造であり、かつ厚さが10〜
500μである複合中空糸分離膜であることを特徴
とする人工肺。 2 該複合中空糸分離膜の選択分離層が該極微細
多孔層内に侵入することなく、該極微細多孔層上
に形成された厚さ変動率25%以下の選択分離層で
ある特許請求の範囲第1項記載の人工肺。 3 該極微細多孔層および多孔層が実質的に芳香
族ポリスルホンよりなる層である特許請求の範囲
第1項記載の人工肺。 4 該選択分離層が三次元架橋されたポリオルガ
ノシロキサン系ポリマーよりなる層である特許請
求の範囲第1項記載の人工肺。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP59088189A JPS60232204A (ja) | 1984-04-30 | 1984-04-30 | 人工肺 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP59088189A JPS60232204A (ja) | 1984-04-30 | 1984-04-30 | 人工肺 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS60232204A JPS60232204A (ja) | 1985-11-18 |
| JPH054125B2 true JPH054125B2 (ja) | 1993-01-19 |
Family
ID=13935951
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP59088189A Granted JPS60232204A (ja) | 1984-04-30 | 1984-04-30 | 人工肺 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS60232204A (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6849183B2 (en) | 2002-08-13 | 2005-02-01 | Transvivo, Inc. | Method and apparatus for therapeutic apheresis |
| US6899692B2 (en) * | 2001-10-17 | 2005-05-31 | Transvivo, Inc. | Plasmapheresis filter device and catheter assembly |
-
1984
- 1984-04-30 JP JP59088189A patent/JPS60232204A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS60232204A (ja) | 1985-11-18 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |