JPH05178837A - 新規抗生物質ピエリシジンb5及びピエリシジンb5 n−オキシド並びにそれらの製造法 - Google Patents

新規抗生物質ピエリシジンb5及びピエリシジンb5 n−オキシド並びにそれらの製造法

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JPH05178837A
JPH05178837A JP18468591A JP18468591A JPH05178837A JP H05178837 A JPH05178837 A JP H05178837A JP 18468591 A JP18468591 A JP 18468591A JP 18468591 A JP18468591 A JP 18468591A JP H05178837 A JPH05178837 A JP H05178837A
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piericidin
oxide
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JP18468591A
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Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Hiroshi Nishioka
浩 西岡
Tsutomu Sawa
力 澤
Masa Hamada
雅 濱田
Hiroshi Osanawa
博 長縄
Kazuo Umezawa
一夫 梅澤
Yoshikazu Takahashi
良和 高橋
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Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 既知のピエリシジン関連物質よりも、イノシ
トールリン脂質代謝回転阻害性、抗腫瘍性、抗菌活性に
於て優れており、毒性等の副作用の少い新規の抗生物質
を提供する。 【構成】 式(I)で表わされるピエリシジンB、式
(I′)で表わされるピエリシジンB N−オキシ
ド、ストレプトミセス属に属するピエリシジンB生産
菌を培養してその培養物から式(I)又は式(I′)の
化合物を採取することによるそれらの化合物の製造法、
ならびに式(I)の化合物又は式(I′)の化合物を有
効成分とするイノシトールリン脂質回転阻害剤、抗腫瘍
剤ならびに抗菌剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な抗生物質に関し、
より具体的にはイノシトールリン脂質代謝回転阻害活
性、癌細胞増殖阻害活性を有する新規な抗生物質、ピエ
リシジンB及びピエリシジンB N−オキシド並び
にそれらの製造法及び用途に関する。また、本発明は抗
菌活性を有する新規抗生物質ピエリシジンB N−オ
キシドを有効成分とする殺菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物の産生する抗腫瘍性物質及び抗菌
性物質に関しては既に多数の有用な化合物が実用化され
ているが、これらは薬効及び副作用の点では必ずしも満
足できるものではなく、より有効な新規の抗腫瘍性及び
抗菌性物質の提供が待たれている。
【0003】ピエリシジン関連物質は既に多くの化合物
が発見されている〔「アグリカルチュラル・バイオロジ
カル・ケミストリー(Agricultural an
dBiological Chemistry)」27
巻、576−582頁(1963年)〕、〔「同前」4
1巻、849−862頁(1977年)〕が、既知のピ
エリシジン関連物質のいづれも毒性が強く、抗菌活性も
低い。また、イノシトールリン脂質代謝回転は種々のホ
ルモン、細胞増殖因子及びras、src等の癌遺伝子
によって活性化される細胞内情報伝達機構であり〔「サ
イエンス」(Science)」231巻、407−4
10頁(1986年)〕、この代謝回転を阻害する物質
は制癌活性を有する〔「プロシーディングズ・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オ
ブ・ザ・USA(Proceedings of Th
e National Academy of Sci
ences OF THE USA)」82巻、905
7−9061頁(1988年)〕ことが期待される。
【0004】
【発明が解決すべき課題】本発明は上記の希求に応える
ことのできる新規な抗生物質を提供することを目的とす
るものである。そして、先に、本発明者らは、ストレプ
トミセス属に属する一菌株の培養液中に抗菌活性、抗腫
瘍活性およびイノシトールリン脂質代謝回転の阻害活性
をもつ物質が産生され蓄積されていることを認め、その
物質を単離してそれの化学構造が下記の式(A):
【0005】
【0006】で表わされるピエリシジンB N−オキ
シドであること、この物質が抗細菌活性、抗かび活性、
白血病L−1210細胞及びP388D細胞の増殖阻
害活性、一般に抗腫瘍活性を有すること、またイノシト
ールリン脂質代謝回転に対する阻害活性も有すること、
及び新規な化合物であることを知見した(特願平3−1
12123号参照)。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、イ
ノシトールリン脂質代謝回転阻害活性及び抗腫瘍活性を
もつ新規な化合物を見いだすべく、鋭意研究を進めた。
そして、本発明者らは、ストレプトミセス属に属する前
記の菌株の培養液中にイノシトールリン脂質代謝回転阻
害活性、抗腫瘍活性及び抗菌活性をもつ別の2つの物質
が産生され蓄積されていることを認め、それらの物質を
単離してそれらの化学構造が後記の式(I)で表わし得
るピエリシジンB及びピエリシジンB N−オキシ
ドであること、これらの物質がイノシトールリン脂質代
謝回転阻害活性、ヒト扁平上皮癌のA431細胞、KB
細胞の増殖阻害活性、一般に抗腫瘍活性を有すること、
また抗菌活性も有すること及び新規な化合物であること
を知見した。これらの研究の結果に基づいて、本発明を
完成した。
【0008】すなわち、第1の発明においては、式
(I):
【0009】
【0010】で表わされる化合物であるピエリシジンB
及び下記の式(I′):
【0011】
【0012】で表わされる化合物であるピエリシジンB
N−オキシドから選ばれる新規な抗生物質、ピエリ
シジンB又はピエリシジンB N−オキシドが提供
される。
【0013】また、第2の本発明では、ストレプトミセ
ス属に属するピエリシジンB又はピエリシジンB
N−オキシド生産菌を培養し、その培養物から上記の式
(I)のピエリシジンB又は式(I′)のピエリシジ
ンB N−オキシドを採取することを特徴とする、ピ
エリシジンB又はピエリシジンB N−オキシドの
製造法が提供されるものである。
【0014】本発明によるピエリシジンBは下記の理
化学的性質を有する。
【0015】 形状外観:淡黄色油状物質 質量分析:〔FAB−MS(positive)〕m/z 444
(M+H) 〔FAB−MS(negative)〕m/z 442(M−H) 分子式 :C2741NO 比旋光度:〔α〕 24=−12.5°(c 0.
2,メタノール) 紫外部吸収スペクトル:添付図面の図1に示す。
【0016】〔MeOH中〕:λmax ,nm(ε)232(31
270),237(31890),267(5010) 〔0.1N HCl−MeOH中〕:λmax ,nm(ε)
210(34960),237(30970),273(9380) 〔0.1N NaOH−MeOH中〕:λmax ,nm
(ε)238(37200) 赤外部吸収スペクトル(クロロホルム中) :添付図
面の図2に示す。
【0017】その主要吸収帯は次の通りである。
【0018】νmax ,cm−1 3530, 2980, 2950, 289
0, 2840sh, 1630, 1600, 1480,1450, 1430, 1400, 139
0, 1370, 1340, 1260, 1230sh,1200, 1140, 1110, 109
0, 1060, 1010, 980, 960, 910,890, 870 13C−NMRスペクトル(ppm,多重度,重ク
ロロホルム中):10.4q, 10.5q, 12.9q, 14.1q, 16.6q,
17.7q, 20.9t,34.4t, 35.4d, 43.1t, 53.1q, 56.1q, 6
0.6q, 92.7d,112.0s, 121.8d, 125.1d, 127.8s, 132.2
d, 132.3s,133.3d, 135.0d, 135.2s, 136.4d, 150.9s,
153.5s,154.0s H−NMRスペクトル(ppm,多重度,重クロ
ロホルム中):0.78(3H, d), 0.98(3H, t), 1.52(3H,
s),1.74(6H, s), 2.06(2H, m), 2.09(3H, s),2.65(1H,
m), 2.77(2H, d), 3.13(3H, s),3.16(1H, d), 3.77(2H,
d), 3.86(3H, s),3.96(3H, s), 5.29(1H, d), 5.34(1
H, t),5.39(1H, t), 5.51(1H, m), 6.08(1H, d) 溶解性:クロロホルム,酢酸エチル,メタノール等
に可溶、水に難溶である。
【0019】また、本発明によるピエリシジンB
−オキシドは下記の理化学的性質を有する。
【0020】 形状外観:淡黄色油状物質 質量分析:〔FAB−MS(positive) 〕m/z 460
(M+H) 〔FAB−MS(negative)〕m/z 458(M−H) 分子式 :C2741NO 比旋光度:〔α〕 24=−8.0°(c 0.
2,メタノール) 紫外部吸収スペクトル:添付図面の図3に示す。
【0021】〔MeOH中〕:λmax ,nm(ε)227(39
760),238sh(34250),246sh(23850), 267(8930) 〔0.1N HCl−MeOH中〕:λmax ,nm(ε)
214(36150),238(30310),246sh(23850), 275(6060) 〔0.1N NaOH−MeOH中 :λmax ,nm(ε)
230sh(44280),238sh(39480), 246sh(25840), 276(1287
0) 赤外部吸収スペクトル(クロロホルム中):添付図
面の図4に示す。
【0022】その主要吸収帯は次の通りである。
【0023】νmax ,cm−1 3530, 2980, 2950, 289
0, 2840sh, 1610, 1510, 1470,1430, 1390, 1350, 131
0, 1240, 1190, 1160, 1140,1120, 1100, 1090, 1070,
1020, 970, 950, 920, 890,870, 13C−NMRスペクトル(ppm,多重度,重ク
ロロホルム中):10.5q, 11.3q, 12.9q, 14.1q, 16.4q,
17.6q, 20.8t,27.1t, 35.3d, 43.2t, 56.1q, 60.9q, 6
0.9q, 92.6d,117.6s, 118.7d, 124.7d, 132.2d, 132.2
s, 133.3s,135.2s, 135.2d, 136.6d, 136.9s, 145.6s,
151.8s,158.7s H−NMRスペクトル(ppm,多重度,重クロ
ロホルム中):0.78(3H, d), 0.97(3H, t), 1.52(3H,
s),1.71(3H, s), 1.75(3H, s), 2.07(2H, m),2.16(3H,
s), 2.64(1H, m), 2.73(2H, d),3.12(3H, s), 3.15(1H,
d), 3.67(2H, d),3.69(3H, s), 3.96(3H, s), 5.19(1
H, t),5.29(1H, d), 5.34(1H, t), 5.46(1H, m),6.06(1
H, d) 溶解性:クロロホルム,酢酸エチル,メタノール等
に可溶、水に難溶である。
【0024】本発明による新規抗生物質ピエリシジンB
及びピエリシジンB N−オキシドは夫々に前述の
式(I)及び(I′)で示される化学構造を有する。
【0025】ピエリシジンB及びピエリシジンB
N−オキシドの化学構造は紫外部吸収スペクトル、質量
分析スペクトル、13C−NMRスペクトル、H−N
MRスペクトルを詳細に検討することによって前記の通
り決定された。
【0026】本発明のピエリシジンB及びピエリシジ
ンB N−オキシドは後記の生物学的性質を有する。
【0027】本発明によるピエリシジンB及びピエリ
シジンB N−オキシドはイノシトールリン脂質代謝
回転阻害活性並びにヒトの癌細胞増殖抑制活性を有し、
抗腫瘍剤として有効である。
【0028】また、ピエリシジンB N−オキシドは
グラム陽性及び陰性細菌、並びにかびに抗して抗菌活性
を示すので、抗菌剤として有効である。
【0029】試験例1 抗生物質ピエリシジンB及びピエリシジンB N−
オキシドのイノシトールリン脂質代謝回転阻害作用を次
の如く試験した。
【0030】3×10個/mlのヒト扁平上皮癌A4
31細胞を37℃で1晩培養後、トリチウムラベルされ
たイノシトールを取り込ませる。30分後、各濃度の抗
生物質ピエリシジンBあるいはピエリシジンB
−オキシドと上皮性細胞増殖因子EGF(400ng/
ml)を加え、37℃で90分間放置する。その後、T
CA不溶画分であるイノシトールリン脂質の放射能活性
を測定することにより、イノシトールリン脂質代謝回転
阻害活性を評価した。
【0031】その結果、ピエリシジンB及びピエリシ
ジンB N−オキシドのIC50値はそれぞれ10μ
g/ml、1.1μg/mlであった。
【0032】試験例2 抗生物質ピエリシジンB及びピエリシジンB N−
オキシドの培養腫瘍細胞に対する増殖阻害作用を次の如
く試験した。
【0033】5×10個/mlのA431細胞及びK
B細胞を37℃で1晩培養後、各濃度のピエリシジンB
あるいはピエリシジンB N−オキシドを添加して
3日間培養した。その後、細胞数を算定し、細胞増殖阻
害効果を判定した。各腫瘍細胞に対するピエリシジンB
及びピエリシジンB N−オキシドのIC50
は、それぞれA431細胞においては2.0μg/m
l、0.50μg/ml、KB細胞においては0.20
μg/ml、0.33μg/mlであった。
【0034】このように本発明化合物は抗腫瘍活性を示
した。
【0035】試験例3 ピエリシジンB N−オキシドの抗菌作用を次の如く
試験した。
【0036】すなわち、ピエリシジンB N−オキシ
ドの普通栄養寒天板上での各種細菌、並びに寒天板上で
の各種カビに対する最低発育阻止濃度を日本化学療法学
会標準法によって測定した。その結果を次の第1表に示
す。
【0037】 第1表 最低発育阻止濃度 試験菌 (MIC.) (μg/ml) スタヒロコッカス・アウレウス FDA209p 12.5 スタヒロコッカス・アウレウス・スミス 25 スタヒロコッカス・アウレウス MS9610 25 ミクロコッカス・ルテウス FDA16 0.78 バチルス・アンスラシス 12.5 バチルス・ズブチリス NRRL B−558 6.25 バチルス・ズブチリス PCI 219 12.5 バチルス・セレウス ATCC 10702 12.5 コリネバクテリウム・ボビス 1810 6.25 エシエリヒア・コリ NIHJ 12.5 エシエリヒア・コリ K−12 >100 エシエリヒア・コリ BE 1121 3.13 エシエリヒア・コリ BE 1186 3.13 シゲラ・ディセンテリエ JS 11910 6.25 プロテウス・ミラビリス IFM OM−9 12.5 シュドモナス・エルギノサ A3 100 シュドモナス・エルギノサ GN315 50 クリプトコッカス・ミヤビナス F−10 50 ピリクラリヤ・オリーゼ 50 ピリクラリヤ・ササキ 1.56 キサントモナス・シトリ 3.12 キサントモナス・オリーゼ 0.78 トリコヒートン・アステロイデス 429 6.25 トリコヒートン・メンタグロヒテス F−15(833) 6.25アスペルギルス・フミガタス 25 従って、第3の本発明においては、式(I)のピエリシ
ジンB又は式(I′)のピエリシジンB N−オキ
シドを有効成分として含むことを特徴とする、イノシト
ールリン脂質代謝回転阻害剤が提供される。
【0038】第4の本発明では式(I)のピエリシジン
又は式(I′)のピエリシジンB N−オキシド
を有効成分として含むことを特徴とする抗腫瘍剤が提供
される。
【0039】また、第5の本発明では式(I′)のピエ
リシジンB N−オキシドを有効成分として含むこと
を特徴とする抗菌剤が提供される。
【0040】本発明によるピエリシジンB及びピエリ
シジンB N−オキシドはストレプトミセス属に属す
るピエリシジンB又はピエリシジンB N−オキシ
ド生産菌を培養してその培養物中にピエリシジンB
はピエリシジンB N−オキシドを蓄積させ、その後
にそれを採取することによって製造できる。
【0041】本発明の方法で使用できるストレプトミセ
ス属に属するピエリシジンB又はピエリシジンB
N−オキシド生産菌の一例には、東京都板橋区で採取さ
れた土壌より平成2年6月に微生物化学研究所において
分離された放線菌の菌株であってMJ288−OF3の
菌株番号を付された菌株がある。本菌株の菌学的特徴は
次に記載されるとおりである。
【0042】MJ288−OF3株の菌学的性状 1.形態 MJ288−OF3株は、分枝した基中菌糸より、まっ
すぐ、あるいは曲がった気菌糸を伸長する。輪生枝およ
び胞子のうは認められない。気菌糸の先端には50個以
上の胞子の連鎖を認め、胞子の大きさは約0.6〜0.
7×1.0〜1.2ミクロンであった。なお、胞子の表
面は平滑である。
【0043】2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corpor
ation of America のcolor h
armoneymanual)を用いた。
【0044】(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(2
7℃培養) うす黄〜うす黄茶[2gc,Bamboo]の発育上
に、白〜明るい灰[3fe,Silver Gray]
の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0045】(2)グルコース・アスパラギン寒天培地
(27℃培養) 発育はうす黄[2ea,Lt Wheat]〜うす黄茶
[2gc,Bamboo]、気菌糸は着生せず、溶解性
色素は認められない。
【0046】(3)グリセリン・アスパラギン寒天培地
(ISP−培地5、27℃培養) 発育はオリーブ灰[2ie,Lt Mustard T
an]、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められな
い。
【0047】(4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP
−培地4、27℃培養) うす黄茶[2gc,Bamboo]の発育上に、明るい
茶灰[5dc,Pussywillow Gray]の
気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0048】(5)チロシン寒天培地(ISP−培地
7、27℃培養) 発育は無色〜オリーブ灰[2ie,Lt Mustar
d Tan]、気菌糸は着生ぜず、溶解性色素は認めら
れない。
【0049】(6)栄養寒天培地(27℃培養) 発育は無色、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められ
ない。
【0050】(7)イースト・麦芽寒天培地(ISP−
培地2、27℃培養) うす黄茶[3ie,Camel〜3le,Cinnam
on]の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶
解性色素は認められない。
【0051】(8)オートミール寒天培地(ISP−培
地3、27℃培養) 無色の発育上に、白〜茶白の気菌糸を着生し、溶解性色
素は認められない。
【0052】(9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(27
℃培養) 無色の発育上に、白の気菌糸をわずかに着生し、溶解性
色素は認められない。
【0053】(10)スターチ寒天培地(27℃培養) うす黄[2ea,Lt Wheat]〜うす黄茶[2g
c,Bamboo]の発育上に、白の気菌糸をうっすら
と着生する。溶解性色素は認めらない。
【0054】(11)リンゴ酸石灰寒天培地(27℃培
養) 無色〜うす黄の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生
し、溶解性色素は認められない。
【0055】(12)セルロース(濾紙片添加合成液、2
7℃培養) 発育は無色、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認めらな
い。
【0056】(13)ゼラチン穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)、グルコース・
ペプトン・ゼラチン培地(27℃培養)のいずれにおい
ても、発育は無色〜うす黄、気菌糸は着生せず、溶解性
色素は認められない。
【0057】(14)脱脂牛乳(37℃培養) 発育は無色〜うす黄茶、気菌糸は着生せず、溶解性色素
も認められない。
【0058】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 イースト・スターチ寒天培地(可溶性デンプン1.0
%、イースト・エキス0.2%、紐寒天3.0%、pH
7.0)を用い、6℃、20℃、24℃、27℃、30
℃、37℃、50℃の各温度で試験した結果、6℃、5
0℃を除き、そのいずれの温度でも発育したが、生育至
適温度は27℃〜30℃付近と思われる。
【0059】(2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチ
ン培地、20℃培養:グルコース・ペプトン・ゼラチン
培地、27℃培養) 15%単純ゼラチン培地では3週間培養の観察で液化を
認めない。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地におい
ては、培養後5日目頃より液化が始まるが、その作用は
弱い。
【0060】(3)スターチの加水分解(スターチ無機
塩寒天培地およびスターチ寒天培地、いずれも27℃培
養) いずれの培地においても培養後3日目頃より水解性が認
められ、その作用は強い方である。
【0061】(4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂
牛乳、37℃培養) 培養後14日目頃より凝固状を呈し3〜4日間で完了
後、ゆっくりとペプトン化が進行するが、その作用は弱
い方である。
【0062】(5)メラニン様色素の生成(トリプトン
・イースト・ブロス、ISP−培地1:ペプトン・イー
スト・鉄寒天培地、ISP−培地6:チロシン寒天培
地、ISP−培地7:いずれも27℃培養) いずれの培地でも陰性である。
【0063】(6)炭素源の利用性(プリドハム・ゴド
リーブ寒天培地、ISP−培地9:27℃培養) D−グルコース、L−アラビノース、D−フラクトース
を利用して発育し、イノシトール、ラムノース、ラフィ
ノース、D−マンニトール、ラクトースは利用しない。
D−キシロース、シュクロースは、おそらく利用しない
と思われる。
【0064】(7)リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰
寒天培地、27℃培養) 陰性である。
【0065】(8)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カ
リウム含有ペプトン水、ISP−培地8:27℃培養) 陽性である。
【0066】(9)セルロースの分解(濾紙片添加合成
液、27℃培養) 陰性である。
【0067】以上の性状を要約すると、MJ288−O
F3株は、その形態上まっすぐ、あるいは曲がった気菌
糸を伸長し、輪生枝及び胞子のうは認められない。又、
気菌糸の先端には50個以上の胞子の連鎖を認め、胞子
の表面は平滑である。種々の培地で、無色〜うす黄茶の
発育上に白の気菌糸をうっすらと着生する場合が多く、
豊富な気菌糸を着生する時は明るい灰〜明るい茶灰を呈
する。溶解性色素は認められない。メラニン様色素の生
成は陰性である。スターチの水解性は強い方、蛋白分解
力は弱い方である。
【0068】又、細胞壁に含まれる2,6−ジアミノピ
メリン酸はLL−型であった。
【0069】これらの性状より、MJ288−OF3株
は、ストレプトミセス(Streptomyces)属
に属すると考えられる。
【0070】なお、MJ288−OF3株を工業技術院
微生物工業技術研究所に寄託申請し、平成3年3月27
日、微工研菌寄第12132号として受託された。
【0071】次にピエリシジンB及びピエリシジンB
N−オキシドの製造について説明する。
【0072】本発明では、ストレプトミセス属に属する
ピエリシジンB又はピエリシジンB N−オキシド
生産菌株を栄養源含有培地に接種して好気的に発育させ
ることによってピエリシジンB又はピエリシジンB
N−オキシドを含む培養物が得られる。
【0073】栄養源としては放線菌の栄養源として使用
しうるものが使用される。栄養源として、例えば市販さ
れているペプトン、肉エキス、コーン・スティープ・リ
カー、綿実粉、落花生粉、大豆粉、酵母エキス、NZ−
アミン、カゼインの水解物、硝酸ソーダ、硝酸アンモニ
ウム、硝酸アンモニウムなどの窒素源が使用でき、また
市販されているグリセリン、しょ糖、でん粉、グルコー
ス、ガラクトース、マンノース、糖蜜などの炭水化物あ
るいは脂肪などの炭素源が使用できる。更に、食塩、リ
ン酸塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどの無機
塩を添加して使用できる。その他必要に応じて微量の金
属塩を添加することができる。
【0074】これらの添加物はピエリシジンB又はピ
エリシジンB N−オキシド生産菌が利用し、ピエリ
シジンB及び(又は)ピエリシジンB N−オキシ
ドの生産に役立つ物であればよく、公知の放線菌の培養
材料はすべて用いることができる。
【0075】ピエリシジンB及び(又は)ピエリシジ
ンB N−オキシドの生産はストレプトミセス属に属
するピエリシジンB又はピエリシジンB N−オキ
シド生産能を有する微生物が使用される。具体的には、
本発明者らの分離したストレプトミセスMJ288−O
F3株がピエリシジンB又はピエリシジンB N−
オキシド生産菌として利用でき、本株はピエリシジンB
及びピエリシジンB N−オキシドの両者を生産す
ることが本発明者等によって明らかにされているが、そ
の他の菌株については、抗生物質生産菌の単離の常法に
よって適当なものを自然界により分離することが可能で
ある。
【0076】また、ストレプトミセスMJ288−OF
3株を含めてピエリシジンB及びピエリシジンB
N−オキシドの生産菌を放射線照射その他の変異処理に
付して、ピエリシジンB及び(又は)ピエリシジンB
N−オキシドの生産能を高める余地も残されてい
る。更に遺伝子工学的手法によりピエリシジンB及び
ピエリシジンB N−オキシドの生産も可能である。
【0077】ピエリシジンB又はピエリシジンB
N−オキシドはストレプトミセス属に属するピエリシジ
ンB又はピエリシジンB N−オキシド生産菌を適
当な培地で好気的に培養し、その培養物から目的物を採
取することによって製造することができる。使用しうる
培養温度はピエリシジンB又はピエリシジンBN−
オキシド生産菌の発育が実質的に阻害されずに該抗生物
質を生産しうる範囲であれば、特に制約されるものでな
く、使用する生産菌に応じて選択できるが、好ましくは
25−30℃の範囲内の温度を挙げることが出来る。
【0078】培養時間は、通常、抗生物質ピエリシジン
又はピエリシジンB N−オキシドが十分に蓄積
するまで継続することができ、使用生産菌や、培地組
成、培養温度により異なるが、通常は48−96時間の
培養で目的の抗生物質を得ることができる。
【0079】かくして、培養物中に蓄積された抗生物質
ピエリシジンB及び(又は)ピエリシジンB N−
オキシドは、培養後に必要により、濾過、遠心分離など
のそれ自体公知の分離方法によって菌体を除去し、その
濾液上澄から適当な有機溶媒を用いた溶媒抽出法や、吸
着、高速液体クロマトグラフィー、向流分配法を利用し
たクロマトグラフィーを単独でまたは、組み合わせて使
用することにより単離精製して採取することができる。
【0080】ここに用いられる有機溶媒としては、クロ
ロホルム、酢酸エチルなど、抗生物質ピエリシジンB
及び(又は)ピエリシジンB N−オキシドを溶解で
き、水に実質的に不溶なものを挙げることができる。ま
た、吸着クロマトグラフィー担体としては、活性炭、シ
リカゲル、多孔性ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂
を用いることができる。
【0081】また、分離した菌体からは、適当な有機溶
媒を用いた溶媒抽出法や菌体破砕による溶出法により菌
体から抽出し上記と同様に単離、精製して採取すること
ができる。ここに用いられる有機溶媒としてはメタノー
ル、アセトンなど、抗生物質ピエリシジンB及びピエ
リシジンB N−オキシドを溶解でき、菌体を破壊で
きるものを挙げることができる。
【0082】かくして、前記した抗生物質ピエリシジン
及びピエリシジンB N−オキシドが得られる。
【0083】次の実施例により本発明を更に詳しく説明
する。
【0084】実施例1.抗生物質ピエリシジンB及び
ピエリシジンB N−オキシドの製造 寒天斜面培地に培養したストレプトミセスMJ288−
OF3株(微工研菌寄第12132号)を、シュークロ
ース4.0%、味の素プロリッチ2.5%、NaCl
0.25%、CaCO(沈降性)0.32%、CuS
・5HO0.0005%、MnCl・4H
0.0005%、ZnSO・7HO 0.000
5%を含む液体培地(pH7.4に調製)を500ml
容三角フラスコに110mlずつ分注し、常法により1
20℃で20分間滅菌したものに接種し、その後、27
℃で3日間振盪培養した。これにより、種母培養液を得
た。
【0085】この種母培養液を、同様に500ml容三
角フラスコに110mlずつ分注滅菌した同上組成の培
地成分を含む液体培地に2%接種し、27℃で4日間振
盪培養した。
【0086】この様にして得られた培養液を遠心分離器
にかけ菌体を分離し、この菌体にアセトン1lを加え、
撹拌後濾過した。この濾液を減圧下で濃縮したあと、先
の遠心上清液(10.8l)と合わせ酢酸エチル(14
l)でピエリシジンB及びピエリシジンB N−オ
キシドを抽出した。
【0087】この抽出液を減圧下に濃縮し、得られた残
渣4.65gをシリカゲルカラム(200ml)にかけ
て、ピエリシジンBをクロロホルム、ピエリシジンB
N−オキシドをクロロホルム−メタノール(50:
1)で展開溶出した。
【0088】第1にピエリシジンB物質の単離精製を
以下の如く行なった。
【0089】ピエリシジンB含有画分を集め、減圧下
に濃縮して得られた油状物(716.0mg)を、再度
シリカゲルカラム(30ml)にかけてトルエン−酢酸
エチル(10:1)で展開溶出した。この溶出活性画分
を集め、濃縮後、セファデックスLH−20(150m
l)にかけて酢酸エチルで展開して精製した。次に溶出
画分を濃縮し、遠心分配クロマトグラフ(centri
fugal partition chromatog
raph:CPC 三鬼エンジニアリング社製)により
分離精製した。溶媒系としてヘキサン−アセトニトリル
混合溶媒(1:1)の下層を固定相に、上層を移動相に
用いて精製を行なった。更に、溶媒系をヘキサン−アセ
トニトリル−28%アンモニア水混合溶媒(125:1
25:1)に変え、再度、遠心分配クロマトグラフを行
ないピエリシジンB物質を6.3mg得た。
【0090】第2にピエリシジンB N−オキシド物
質の単離精製を以下の如く行なった。
【0091】ピエリシジンB N−オキシドを含む画
分を集め、濃縮物(976.4mg)を再度、シリカゲ
ルカラム(40ml)にかけて、クロロホルム−メタノ
ール(30:1)で溶出した。この溶出液を減圧下で濃
縮し得られた油状物(523.0mg)を遠心分配クロ
マトグラフを用いて精製を行なった。溶媒系としてクロ
ロホルム−メタノール−水混合溶媒(5:6:4)の下
層を固定相に、上層を移動相に使用した。次に活性画分
を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:センシュ
ーパックODS、30φ×250mm;溶媒系:85%
メタノール水)にかけ、39.9mgのピエリシジンB
N−オキシドを油状物として得た。
【0092】
【発明の効果】本発明のピエリシジンB及びピエリシ
ジンB N−オキシド物質はヒト癌細胞の増殖やイノ
シトールリン脂質代謝回転を阻害し、細胞情報伝達系に
関連した新しいタイプの抗腫瘍物質として期待される優
れた新規物質である。更に、イノシトールリン脂質代謝
回転を介した細胞内シグナル情報伝達系を解明する上に
おいて、より重要な試薬になり得る可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗生物質ピエリシジンBの紫外部吸
収スペクトルを示す。なお、実線はメタノール中の吸収
スペクトルを、大破線は0.1N NaOH−メタノー
ル中の吸収スペクトルを、また破線は0.1N HCl
−メタノール中の吸収スペクトルを表わす。
【図2】ピエリシジンB(クロロホルム中)の赤外部
吸収スペクトルを示す。
【図3】本発明の抗生物質ピエリシジンB N−オキ
シドの紫外部吸収スペクトルを示す。なお、実線はメタ
ノール溶液中で測定した吸収スペクトルを示し、大破線
は、0.1N NaOH−メタノール溶液中で測定した
スペクトルを示し、破線は、0.1N HCl−メタノ
ール溶液中で測定したスペクトルを示す。
【図4】ピエリシジンB N−オキシド(クロロホル
ム中)の赤外部吸収スペクトルを示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正内容】
【0073】栄養源としては放線菌の栄養源として使用
しうるものが使用される。栄養源として、例えば市販さ
れているペプトン、肉エキス、コーン・スティープ・リ
カー、綿実粉、落花生粉、大豆粉、酵母エキス、NZ−
アミン、カゼインの水解物、硝酸ソーダ、硝酸アンモニ
ウム、酸アンモニウムなどの窒素源が使用でき、また
市販されているグリセリン、しょ糖、でん粉、グルコー
ス、ガラクトース、マンノース、糖蜜などの炭水化物あ
るいは脂肪などの炭素源が使用できる。更に、食塩、リ
ン酸塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどの無機
塩を添加して使用できる。その他必要に応じて微量の金
属塩を添加することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 17/12 8931−4B //(C12P 17/12 C12R 1:465) 7804−4B (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号 (72)発明者 長縄 博 東京都大田区田園調布本町3番17号 (72)発明者 梅澤 一夫 東京都渋谷区広尾3丁目1番2−505号 (72)発明者 高橋 良和 東京都多摩市桜ケ丘3丁目2番地の3

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(I): で表わされる化合物であるピエリシジンB及び下記の
    式(I′): で表わされる化合物であるピエリシジンB N−オキ
    シドからなる群から選ばれる抗生物質、ピエリシジンB
    又はピエリシジンB N−オキシド。
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属に属するピエリシジ
    ンB又はピエリシジンB N−オキシド生産菌を培
    養し、その培養物から請求項1に示された式(I)のピ
    エリシジンB又は式(I′)のピエリシジンB
    −オキシドを採取することを特徴とする、ピエリシジン
    又はピエリシジンB N−オキシドの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1に示された式(I)の抗生物質
    ピエリシジンB又は式(I′)のピエリシジンB
    N−オキシドを有効成分とするイノシトールリン脂質代
    謝回転阻害剤。
  4. 【請求項4】 請求項1に示された式(I)の抗生物質
    ピエリシジンB又は式(I′)のピエリシジンB
    N−オキシドを有効成分とする抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】 請求項1に示された式(I′)の抗生物
    質ピエリシジンBN−オキシドを有効成分とする抗菌
    剤。
JP18468591A 1991-07-24 1991-07-24 新規抗生物質ピエリシジンb5及びピエリシジンb5 n−オキシド並びにそれらの製造法 Pending JPH05178837A (ja)

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