JPH0524860B2 - - Google Patents

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JPH0524860B2
JPH0524860B2 JP21170585A JP21170585A JPH0524860B2 JP H0524860 B2 JPH0524860 B2 JP H0524860B2 JP 21170585 A JP21170585 A JP 21170585A JP 21170585 A JP21170585 A JP 21170585A JP H0524860 B2 JPH0524860 B2 JP H0524860B2
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oxalic acid
aqueous solution
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oxalate
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Kunimasa Takahashi
Michiko Oda
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 技術分野 本発明は、ABO3型ペロブスカイト型酸化物
(ただし、AはPbを示し、BはTiおよび/または
Zrからなる群から選ばれた少なくとも1種の元
素を表わす)の製造方法に関するものである。さ
らに具体的には、本発明はABO3型ペロブスカイ
ト型酸化物の前駆体をしゆう酸塩沈殿として、し
ゆう酸水溶液をPbおよびB元素イオンを含有す
る水溶液に添加して生成せしめる反応において、
しゆう酸の添加量を水溶液中に存在するA元素
(Pb)1モル当り0.96から1.04モル、好ましくは
0.98から1.02モル、更に好ましくは0.99から1.01
モルに、B元素(Tiおよび/またはZr)1モル
当り0.48から0.52モル、好ましくは0.49から0.51
モル、更に好ましくは0.495から0.505モルの範囲
に設定することを特徴とする該しゆう酸塩沈殿の
製造において、該水溶液中に存在するPb1モルに
対して1モル、Tiおよび/またはZr1モルに対し
て0.5モルなる化学量論比を達成する量のしゆう
酸を水溶液の形で該元素群を含む水溶液に接触せ
しめることで最良の効果が得られることを特徴と
する該酸化物の製法に関する。
更に、本発明は該水溶液中に存在すべき、Pb,
Tiおよび/またはZrが硝酸塩として供給される
ことを特徴とする該酸化物の製法に関する。
更に、本発明は上記の特徴ある製法を採用する
ことで、粉体特性に優れた該酸化物粉末を優れた
反応再現性のもとで製造する方法に関する。
ABO3型ペロブスカイト型酸化物は、それ自身
あるいは2種以上のこれらの酸化物の固溶体の形
で、圧電体材料や焦電体材料として広く使用され
ている材料である。
これらの材料のほとでどは、その粉末を焼き固
めた焼結体として製品化されている。その場合の
品質は焼結の度合で著しく左右されるものであ
り、従つて良好な焼結体を与えるべき原材料とし
て粉体特性の優れた粉末が望まれている。
先行技術 ペロブスカイト型酸化物の製造方法としては、
下記の様な方法が知られている。
(1) 各成分元素の酸化物粉末を混合し、この混合
物を高温に加熱して固相反応を起させる方法。
(2) 各成分元素のイオンを含む水溶液中にしゆう
酸を滴下して各成分元素をしゆう酸塩として共
沈させ、この共沈しゆう酸塩を熱分解する方法
(例えば、米国特許第3352632号)。
(3) 各成分元素のアルコキシドの混合物を加水分
解して共沈させ、この共沈加水分解物を熱分解
する方法(例えば、特開昭60−86022号公報)。
(4) 水酸化鉛や水酸化ジルコニウムを予めアンモ
ニア水を用いて合成し、これに四塩化チタン溶
液を加えてアンモニア水で沈殿させる多段湿式
合成法(窯業協会昭和60年之会予稿集) しかしながら、これらの方法には何らかの問題
点があつて、必ずしも満足すべきものとはいい難
い。たとえば、(1)の固相反応は高温かつ長時間が
必要であるといの製造工程上の問題があるばかり
でなく、製品粉末にも問題がある。すなわち、こ
の方法で得られる粉末は焼結し難く、従つて焼結
のためには高温の採用あるいは焼結促進剤の使用
が必要となるからである。(2)の共沈法には、各成
分のしゆう酸塩の共沈媒体である水に対する溶解
度が異なるので各成分を希望成分比で共沈させる
ことが困難であつて、単一相の組成のものが得難
いという欠点がある。また、(3)の共沈法は高純度
で均一性の高い製品が得られるという利点がある
けれども、各成分をアルコキシドとして利用する
ところからその製造が容易ではないという欠点を
免れない。また、(4)の多段湿式法は廉価な材料を
用いる方法ではあるが、仮焼品は粉砕工程を経て
焼結させる必要がある。
山村らは、これらの従来法の欠点を解消する方
法として、前述(2)のしゆう酸塩法の改良を提案し
ている。すなわち、しゆう酸はエタノールに可溶
であり、Zrイオン、Tiイオンのしゆう酸塩及び
Pb、Ba、SrまたはCaの群から選ばれたイオン
(以下これを総称してAイオンと言う)のしゆう
イオンをしゆう酸と反応させてこれらのイオンを
しゆう酸塩として共沈させること(特開昭59−
39722号公報)ならびにAイオンとZrイオンまた
は(Zr+Ti)イオンとしゆう酸塩として共沈さ
せること(特開昭59−131505号公報)によつて、
所望組成の高純度且つ均一粒度の沈澱物(ペロブ
スカイト型酸化物の前駆体)が得られ、これを熱
分解すると極めて焼結し易い活性なATiO3
AZrO3またはA(Zr・Ti)O3微粉末が得られる。
しかしながら、開示されたところによれば生成〓
焼物は再度粉砕混合しており、この粉末について
成型および1000〜1400℃での焼結を行なつてい
る。
すなわち、この先行改良技術においては、共沈
澱物の〓焼によつて得られた微粉末状のペロブス
カイト型酸化物は粒子相互で融着を起こしていて
直接金型成型に供することができないので、再粉
砕混合工程が必要であつたのである。
先行改良発明で必要であるこの再粉砕混合工程
は、工程費の増加及び不純物の混入による最終製
品の信頼性の低下をもたらすばかりでなく、ペロ
ブスカイト型酸化物粉末の特性からいつでも問題
である。すなわち、これらペロブスカイト型酸化
物粉末をポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリオキシメ
チレン樹脂、ニトリルブタジエンゴム等と複合し
て、可撓性に富む圧電フイルムや誘電フイルムを
製造する技術の開発が進められつつあるところ、
この場合には粒径分布が均一で結晶歪のない易分
散型の微粉末が必要とされているのであるが、再
粉砕混合で得た微粉末では結晶歪が生起して、期
待する性能が得られなくなることが知られている
からである。
また、誘電フイルムにおいては10μm以下、で
きれば1〜5μmの薄肉フイルムの中に微粒セラ
ミツクスを均一に分散させる必要上、粉砕品では
粒径分布巾が大きすぎてフイルムとしての信頼性
を確保できないという問題点が指摘される。
山村及び本発明者らは〓焼物微粒子の相互融着
現象について鋭意検討を加え、この先行改良技術
において、出発原料イオンの混合水溶液に少量残
存する塩素イオンが〓焼段階において微粒子の相
互融着現象を誘起している事実を見出し、更に塩
素イオン濃度を所定値以下に下げることで融着を
抑止できることを見出して先願発明(特開昭61−
174116号)を完成した。
更に本発明者らは、使用するエタノール量を激
減せしめることで製造コストを著しく低下せしめ
得る方法(特願昭60−77234号)や、エタノール
をイソプロパノール及びノルマルプロパノールに
代替して更に製造コストを低減する方法(特開昭
61−251519号)を提示した。
先行技術における問題点と解決策 本発明者らはしゆう酸・アルコール系でのペロ
ブスカイト型酸化物の前駆体沈殿の合成に関して
各種改良手法を開示して来たが、いずれの方法に
おいても沈殿構成元素の存在比率の制御が重要な
課題のひとつであつた。
即ち、山村との共願発明(特開昭61−174116
号)の実施例に開示されているが、PbTiO3中の
Ti/Pb比を1.00とするために、水溶液中のTi/
Pb比を1.11に設定することで、反応溶液中に溶解
するTiに起因する最終製品における元素存在比
の変動を抑制している。この操作はエタノール使
用量を大巾に削減した特願昭60−77234号及びア
ルコールをイソプロパノールに変えた特開昭61−
251519号においても実施されている。
Tiの溶出を抑制する為に前記出願よりも繁雑
な操作をもなう方法であるが、特開昭61−251517
号に開示した乾燥アンモニアの吹き込み法の採用
によつて、溶液中のTi/Pb比とPbTiO3中の
Ti/Pb比を合致せしめることに成功している。
B元素イオン、特にTiの水溶液への再溶解現
象についてはしゆう酸塩共沈物の生成で母液中に
高濃度の硝酸が生じ、これが例えばしゆう酸チタ
ニル鉛と反応して次式に従つて多量のTiを母液
中に残存させる可能性が和久らの研究(電気通信
研究所・研究実用化報告別冊28号(1975))など
で知られている。
PbTiC(C2O42+2HNO3→PbC2O4+ TiO(NO32+H2C2O4 乾燥アンモニアガス吹き込み法はしゆう酸塩生
成反応で副生する硝酸及び上記反応で形成される
TiO(NO32を中和することで上記の好ましくな
い副反応の進行の抑制を図つたものである。しか
しながら、この方法においてはPbTiO31モルに
つき4モル生成する硝酸および反応を完結せしめ
る目的で余剰に加えられているしゆう酸を中和す
る必要があり、結果として大量のアンモニウム塩
が目的とする沈殿中に介在し、乾燥沈殿の焼成に
は工夫の必要なことも見出された。
さらに、本発明らは炭素数が4から15のアルコ
ールを用いてペロブスカイト型酸化物の前駆体と
してのしゆう酸塩沈澱反応を硝酸鉛とオキシ硝酸
チタンを含む水溶液について試みたところ、仕込
み原料で設定したTi/Pb比(原子比)が、沈澱
を焼成して得られたPbTiO3においてほぼ完全に
再現されるという、エタノールやプロパノールで
は求め得なかつた予想外の良好な結果が得られる
ことを開示した(特開昭61−251518号)。該方法
に開示した条件下では上記効果が確認されたが、
しゆう酸滴下終了後も長時間撹拌を継続したり、
過操作に長時間を要したりした場合にはTiの
再溶解がおきることがその後の検討で見出され、
生成沈殿の経時安定性に問題点のあることがわか
つた。
本発明者らはしゆう酸塩沈殿の反応液中での安
定性を確保すべく鋭意検討を加えたところ、アル
コール共存系においてはしゆう酸塩の沈殿に関し
て従来一般則として認められていた、しゆう酸/
Ti=1/1(モル比)なる量論比ではなく、しゆ
う酸/Ti=1/2(モル比)なる量論比において
定量的な沈殿形成がなされる事実を先行出願(昭
和60年9月24日付で出願した、発明の名称
「ABO3型ペロブスカイト型酸化物の製造法」な
る特許出願)にて開示した。また、該出願には
ZrもPbとの共沈殿を実行するにおいてしゆう
酸/Zr=1/2(モル比)相当のしゆう酸添加に
よつて定量的沈殿を形成することもあわせて開示
した。
発明の概要 要 旨 先行出願(昭和60年9月25日付)においてエタ
ノールやプロパノールを添加しない水溶液中では
Tiのしゆう酸塩沈殿の回収率は最高でも65重量
%であり、水溶液中の硝酸酸化チタンの濃度の増
加とともに回収率が著しく低下することを開示し
た。
本発明者らは水溶液中のオキシ硝酸チタンから
のしゆう酸塩の挙動について更に詳しく検討を加
えたところ、硝酸鉛とオキシ硝酸チタンが共存す
る水溶液に、Pb1モルに対してしゆう酸1モル、
Ti1モルに対してしゆう酸0.5モルの比率を保持す
るしゆう酸水溶液を接触せしめる時にはPbとTi
の存在比率が略1:1の沈殿を形成し得ることを
見出した。また、Zrについても、硝酸鉛が共存
する水溶液において上記Tiと同じ挙動が認めら
れることも見出し、本発明を完成するに至つた。
新規なしゆう酸量論比に関する先行概念の紹介 発明の主体である上記のTiおよびZrのしゆう
酸塩沈殿における新規な量論比に関して、先行技
術及び文献に開示された量論比を紹介しながら更
に具体的な説明を行い、本発明の区別性を明確に
する。
しゆう酸塩沈殿からのペロブスカイト型酸化物
の合成に関しては古くから研究が進められてい
る。それらの研究に共通することは、ペロブスカ
イト型酸化物を構成する元素としゆう酸の塩は
AB(C2O42・xH2Oで代表される複塩として沈殿
が得られることを前提としていることにある。特
にチタン酸バリウムに関してはクラボーにより、
BaTi(C2O42・4H2Oが確認されている(ジヤー
ナル・オヴ・リサーチ・オヴ・ザ・ナシヨナルビ
ユーロー・オヴ・スタンダーヅ,第56巻,第5
号,第289−291頁(1956年)(Journal of
Research of the National Bureau of
Standards,56,〔5〕,289−291(1956))。
また、鉛をA成分とするしゆう酸塩沈殿におい
てもPbTiO(C2O42・nH2O,PbZrO(C2O42
nH2OおよびPb(Ti,Zr)O(C2O42・nH2Oが
夫々PbTiO3,PbZrO3およびPb(Ti,Zr)O3
前駆体沈殿であることを特定した特許の請求がな
されている(米国特許3352632号公報)。上記の前
駆体沈殿を得る為の原料の組成〔しゆう酸/(A
元素+B元素)〕として、0.87〜1.33(モル/モ
ル)が実施例中に開示されている。又、反応温度
が20℃を超えると、沈殿収率が低下し、過操作
中にTiとPbの存在比が変動することを記してい
る。
前出の和久の論文においても、PbTiO
(C2O42・H2O,PbZrO(C2O42・2H2Oを分析結
果として得ており、共沈法による沈殿合成におい
てもこの量論比を満たす量のしゆう酸を添加する
実験例を記載している。又、和久らは特開昭48−
65196号公報において、沈殿剤としてしゆう酸ア
ンモンを用いてPb(Zr,Ti)O3を合成する方法
を開示しているが、ここでも硝酸鉛、硝酸チタニ
ル(TiO(NO32)、硝酸ジルコニル(ZrO
(NO32)、しゆう酸アンモンの溶液反応により
PbTiO(C2O42,PbZrO(C2O42の共沈物を作り、
共沈物を過もしくは母液全体を蒸発乾固させ、
熱分解する方法を開示している。また実施例3で
は硝酸ジルコニル0.13モル、硝酸チタニル0.07モ
ル、硝酸鉛0.2モルに対してしゆう酸アンモン0.4
モルを用いて、 Pb(Zr0.65Ti0.35)O3の組成を与える複合しゆう
酸塩を得ている。また、発明の目的として、割合
い水に溶解し易い複合しゆう酸塩の母液に残存す
る量を可能なかぎり減らして共沈物の組成のずれ
を減らすことを記し、また母液ごと蒸発乾固する
方法をとる場合も母液量が少ないため取扱いが容
易なようにすることをあげている。即ち、沈殿剤
をしゆう酸からしゆう酸アンモンに変えて、しゆ
う酸沈殿合成反応で生成する硝酸を硝酸アンモン
に中和して前出和久らの反応式によるオキシ硝酸
チタンの再生を完全に抑制しても、複合しゆう酸
塩の溶解は完全に抑止され得ず、他の溶解因子が
介在していることを示唆している。
山村らは特開昭59−39722号公報でしゆう酸−
エタノール法によるチタン酸鉛の合成法を開示し
ているが、しゆう酸の添加量はチタン酸鉛1モル
に対して2.5モルとしている。また、特開昭59−
131505号公報ではジルコニウムを含むペロブスカ
イト型酸化物粉末の製造法を開示しているが、し
ゆう酸量は、AZrO3またはA(Zr・Ti)O31モル
に対し2.5モルが好ましいとしている。
山村および本発明者らによる先行発明(特願昭
60−13910号)及び本発明者らの他の先行発明
(特願昭60−77234号,60−77235号,60−77236
号,60−77237号)においては、チタン酸鉛1モ
ルに対して4モルのしゆう酸を添加して沈殿反応
の完結をはかつている。
また、ヴエルデらもPbTiO(O2O424H2Oの熱
分解挙動に関す研究を報告している(テルモ ヒ
ミカ アクタ,第14巻(1976年)第269−278頁
(Thermochimica Acta,14(1976)269−278))。
即ち、多くの研究者が、研究の前提条件として
複合しゆう酸塩沈殿は、A元素がBa,Sr,Caか
Pbであるかにかかわらず、ABO(C2O42である
という従来の概念を受け入れて来たことが容易に
推定される。
これに対して本発明者らは先行出願(昭和60年
9月25日付出願)において、エタノール及びプロ
パノールの共存する系において、PbとTiおよ
び/もしくはZrとの組み合わせ系に限定してで
はあるが、(しゆう酸)/(A元素+B元素)=
1.5(モル比)なる組成比でしゆう酸塩沈殿が定量
的に形成され、沈殿組成の経時変化の恐れがない
ことを示した。また、その実施例において、チタ
ンのしゆう酸塩が、 (TiO)2・(NO32・C2O4 なる化合形態を有している可能性を示唆し、従来
のしゆう酸塩前駆体に関する概念および化合物形
態(Tiの量論比からは下記と考えられる) TiO・C2O4 とは、はつきりとした区別性を有することを示し
た。
本発明の新規性 本発明は、先行出願では定量的な沈殿が形成で
きなかつたしゆう酸−水を滴加剤とする系におい
て、Pbとの共沈殿反応ではTiおよび/またはZr
の硝酸塩が高い反応収率で、ペロブスカイト型酸
化物の調製に適した前駆体沈殿を与えることを見
出した点で先行出願との明らかな区別性を有す
る。
更に乾燥前駆体沈殿のX線回折,螢光X線回
折、元素分析,示差熱重量分析,熱分解ガスの質
量分析,ラマンスペクトル等による解析に基い
て、PbTiO3前駆体沈殿中のTiしゆう酸塩が、 (TiO)2・(OH)2・C2O4 なる化合形態を有する可能性を示唆できる点でも
先行出願との区別性を有する。
効 果 本発明の方法に従えば、次のような効果が得ら
れる。
(1) 目的とするペロブスカイト型酸化物のPb/
(Zr,Ti)の比率を仕込み原料の比率にほぼ完
全に一致させることができる。
(2) 生成した沈殿の母液への再溶解の恐れがない
ので、しゆう酸適下速度,反応時間,過時間
等を工業生産レベルでの最適域に合致させても
反応の再現性を充分に確保できる。
(3) 先行出願で使用が必須であつたアルコールを
まつたく使用しなくてよいので、アルコールの
回収費用(蒸留装置,蒸留にかかる変動費,回
収損失)を全面的に省略することができる。
発明の具体的説明 ペロブスカイト型酸化物前駆体沈澱の製造 本発明で対象とするペロブスカイト型酸化物は
ABO3型のものであつて、A元素がPbであり、B
元素がTiおよびZrからなる群から選ばれた少な
くとも1種の元素であるもの、である。
本発明で用いるTi及びZrはいずれもオキシ硝
酸チタン及びオキシ硝酸ジルコニウムとして反応
に供される。
本発明の方法で合成可能なペロブスカイト型酸
化物としては、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Ti・Zr)
O3を挙げることができる。
A元素たる鉛は、塩化物以外の塩、特に硝酸
塩、が最も適当である。いずれの場合にも、各種
金属イオンを溶解した水溶液において、或いは反
応後の反応系においてCl/Ti,Cl/Zrまたは
Cl/(Ti+Zr)が0.05モル/モル以下、好ましく
は0.02モル/モル以下更に好ましくは実質的に零
となるように各種原料の純度を選定することが望
ましい。
共 沈 ABO3型ペロブスカイト型酸化物の前駆体は、
A元素イオン(Pb2+)及びB元素イオンを与え
る各元素の化合物の水溶液に、しゆう酸の水溶液
を接触せしめることでPbおよびB元素のしゆう
酸塩の共沈澱体として得られる。
本発明の方法によれば、しゆう酸の添加量は原
則として、該水溶液中に含まれるA元素イオン
(本発明ではPb2+)1モルに対して1モルがしゆ
う酸塩前駆体(しゆう酸鉛)を定量的に沈澱させ
るために必要である。また、B元素イオン
(Ti4+,Zr4+)1モルに対しては0.5モルのしゆう
酸の添加が要求される。
しゆう酸添加量は水溶液中のA元素イオンに対
する理論所要量の±4%の範囲の、好ましくは±
2%の範囲のより好ましくは±1%の範囲の許容
巾をもたせることができる。B元素イオンに対し
ても、同様に理論所要量の±4%の範囲の、好ま
しくは±2%の範囲のより好ましくは±1%の範
囲の許容巾をもつてしゆう酸添加量を定めること
ができる。
本発明の基本は、B元素のしゆう酸塩沈澱が従
来考えられていた(しゆう酸/B元素=1/1
(モル比))の化学量論比で得られるのではなく、
2/1の化学量論比で得られるという発見に依つ
ているのであるから、余分のしゆう酸の共存はB
元素のしゆう酸塩沈澱の再溶解反応に関与して、
本発明の特徴を打ち消す方向に作用するので本質
的には好ましくない。従つて、該化学量論比から
のずれは小さい程好ましい。
硝酸鉛1モルに対して1.05モル、オキシ硝酸チ
タン1モルに対して0.525モルの割合いでしゆう
酸を加えた系(しゆう酸添加量が化学量論比の
105%)から得られる沈殿では鉛が過剰となり、
焼成して得られるPbTiO3粉末は赤色を呈する。
この事実からも過剰のしゆう酸の添加は本発明の
目的とするABO3型ペロブスカイト型酸化物単味
の製造には適さないことが判る。
一方、焼結助剤や結晶成長促進剤として予め酸
化鉛を過剰量加えておきたいような場合には、本
発明の開示する化学量論比を踏まえて沈殿を合成
する限り、本発明の特許請求範囲を超えたしゆう
酸添加量を用いても、それは本発明の特許請求範
囲に本質的に含まれているものといえる。
一方、化学量論比以下のしゆう酸添加は仕込み
原料基準の酸化物の収率を減少させるので、でき
る限り開示された化学量論比に近い値を選ぶこと
が望ましい。
水溶液中のPbイオン濃度は、出発原料の溶解
度上限を目安に広い範囲で選ぶことができるが、
好ましくは0.01〜0.6モル/、より好ましくは
0.05〜0.3モル/を選ぶことができる。水溶液
中のBイオン濃度はPbイオン濃度で一義的に定
まる。
しゆう酸水溶液中のしゆう酸濃度は0.01−1.0
モル/、好ましくは0.05−0.5モル/を選ぶ
ことができる。
反応温度は広い範囲から選ぶことができるが、
好ましくは0℃近傍から50℃まで、より好ましく
は0℃近傍から30℃までを選ぶことができる。水
溶液が氷結するような低温は避けねばならない。
又、水溶液中のオキシ硝酸チタンの熱的な不安定
さを考えると、オキシ硝酸チタンを含んだ後に水
溶液温度を50℃を超えて高めることは、沈殿合成
反応中にオキシ硝酸チタンの分解による沈殿も生
成する恐れが生じるので、できるだけ避けること
が望ましい。
反応は該水溶液を所定温度下で激しく撹拌して
いる中へ、しゆう酸水溶液を滴下することで進め
られる。しゆう酸水溶液は所定温度に設定して後
に滴下することが好ましい。
滴下終了後直ちに過操作に入つてもよいが、
後反応を適切な時間おこなつた後に過操作に入
ることもできる。
沈殿を過によつて分別し、白色ケーキを得、
反応によつて生成した硝酸を除くために水で適切
な洗浄を行つて沈殿中に残留する母液を可能な限
り取り除いてから洗液を別して白色ケーキを得
る。洗浄回数は適宜定めることができる。
得られた白色ケーキは乾燥後、砕解してペロブ
スカイト型酸化物前駆体粉末とする。この段階で
の砕解は、後に続く〓焼に際して、適切な量の酸
素の流通を確保する上で重要である。なお、乾燥
ケーキは弱い磨砕力で容易に微粉化できるし、こ
の段階で粒子を完全分散状態にする必要もないの
で、砕解手段からの不純物の混入の恐れはない。
ペロブスカイト型酸化物微粉末の製造 前記前駆体粉末を適当温度、たとえば500〜
1000℃、で〓焼する。この〓焼温度は低温である
ことが望ましいが、重量変化が最早認められない
温度で〓焼を行なうことが必要である。500−800
℃での〓焼が鉛の昇華をできる限り抑制する上か
らもより好ましい。
〓焼は空気の存在下でおこなうことが必要であ
るが、マツフル炉のような強制流通機構を有しな
い炉での〓焼でも目的は充分に達成できる。
〓焼時の昇温速度は0.1−50℃/分をとること
ができるが好ましくは0.5−20℃/分をとること
ができる。しゆう酸塩の分解が終る400℃近傍ま
での昇温速度は余り大きくとらない方が好まし
い。
以下実験例をもつて本発明の内容を更に具体的
に説明する。
実験例 実施例1 (PbTiO3の合成) 市販のテトライソプロピルチタン500mlを蒸留
水7000mlに滴下して水酸化物を得、これを炉過し
た後、純水1000mlで3回洗浄を繰返して水酸化チ
タンを得た。これを氷冷した市販特級濃硝酸200
mlに加え、昼夜放置過して、オキシ硝酸チタン
溶液を得た。Ti濃度をTiO2として重量分析法で
決定して、0.1304g−Ti/mlの結果が得られた。
オキシ硝酸チタン溶液300mlを特級硝酸鉛272.0g
と純水3785mlの混合溶液に加え、Ti/Pb(原子
比)=1.0の水溶液を得て、これを20℃に保持し
た。
純水4085mlにしゆう酸2水和物(純度99.5%)
155.28gを溶かし、(しゆう酸)/(Pb+Ti)=
1.5(モル/モル)に相当する滴加溶液を調製し、
20℃に保持した。
激しく撹拌している該水溶液に該滴加溶液を約
60ml/分の速度でローラーポンプを用いて滴下し
た。滴下終了後更に2時間撹拌を続け、反応を完
結せしめた。
後反応終了後加圧過器を用いて母液を分離し
て白色ケーキを得た。
得られた白色ケーキを純水4085mlに投入して砕
解・洗浄を15分間おこない、加圧過器を用いて
洗液を分離した。この操作を3回繰返して白色ケ
ーキを得た。
得られた白色ケーキを110℃で16時間空気浴オ
ーブン中で乾燥した後、擂潰機を用いて2分間砕
解してチタン酸鉛の前駆体粉末(以降「前駆体粉
末」と略称)を得た。
前駆体粉末の定性 前駆体粉末がどの様な化合物から成り立つてい
るかを種々の分析手段によつて調べた。
前駆体粉末をX線回折にて分析したところしゆ
う酸鉛の存在が確認された。チタンに由来する化
合物の同定はできなかつた。
前駆体粉末の元素分析において、鉛1.0原子に
対して、チタン0.95原子、炭素2.94原子、窒素未
検出なる存在比が確認され、しゆう酸/(Pb+
Ti)=1.46/1.95=0.75(モル/モル)となり、仕
込み原料の比率が前駆体粉末において再現されて
いることを見出した。
前駆体粉末を空気流通下、10℃/分の速度で昇
温して熱重量分析に供したところ、800℃までの
昇温で仕込み重量に対して28.1重量%の重量減少
が認められた。
前駆体粉末をHe流通下、10℃/分の速度で昇
温分解し脱離ガスの質量分析をおこなつた
(QMASS)ところ、NO2の発生は無視し得る量
であつた。
前駆体粉末をラマン分光に供したところ、結合
NO3に由来するピークは存在しなかつた。
上記各種分析結果を総合的に結びつけると、本
発明の方法で得られる前駆体粉末は PbC2O4 と (TiO)2(OH)2C2O4 なる組成物の共沈殿体から形成されている可能性
が高いことが推察された。
PbTiO3の合成 前駆体粉末をマツフル炉で250℃までは5℃/
分で昇温し、30分保持後1.5℃/分の昇温速度で
700℃に昇温し、2時間保持後徐冷し、目的とす
る酸化物を仕込み原料を基準として91重量%の収
率で得た。螢光X線回折法で酸化物のTi/Pb比
(原子比)1.02を得た。X線回折によつて正方晶
PbTiO3の生成が確認され、その結晶粒径は250
Åであつた。また、1%未満のPbTi3O7の生成が
認められた。BET比表面積は4.7m2/gであつ
た。これより平均粒子径0.16μmが求められた。
該酸化物を超音波振動装置を用いて水中に分散
せしめ、マイクロトラツクDR粒度分析計で粒度
分布を測定し、第1図に示す結果を得た。超音波
振動装置で酸化物を水中に分散し、走査型電子顕
微鏡で粒子形状を観察したところ、0.1〜0.2μm
の粒子から成り立つていることがわかつた。これ
らの粒子がところどころ弱く結合しているものが
多く観察された。
実施例2 (PbZrO3の合成) 市販硝酸ジルコニウム(純度99%)16.198gお
よび特級硝酸鉛(純度99.5%)19.973gおよび純
水300mlを混合し、Zr/Pb=1/1(原子比)の
組成を有する水溶液を得、これを20℃に保持し
た。
しゆう酸2水和物(純度99.5%)11.403gを純
水300mlに溶かして(COOH)2/(Pb+Zr)=
0.75(モル/モル)なる量のしゆう酸を含む滴加
水溶液を調製し、20℃に保持した。
該水溶液を激しく撹拌する中に、該滴加水溶液
を約8ml/分の速度で加え、白色沈殿を得、ブフ
ナー斗で吸引過して母液を分離して白色ケー
キを得た。
得られた白色ケーキを純水で実施例1に開示し
た方法で洗浄、乾燥して白色固体を得、メノウ乳
鉢で砕解して前駆体粉末を得た。
得られた前駆体粉末をマツフル炉中、2℃/分
の速度で700℃まで昇温後2時間保持して目的と
する酸化物粉末を得た。
得られた酸化物粉末のBET表面積は9.2m2/g
であつた。これより求めた平均粒子径は0.08μm
であつた。X線回折によつて、酸化物はPbZrO3
が主成分であり、少量のZrO2の存在が確認され
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、PbTiO3の粒子の粒度分布を示す図
である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ABO3型ペロブスカイト型酸化物(ただし、
    AはPbであり、BはTiおよびZrからなる群から
    選ばれた少なくとも1種の元素を表わす)を構成
    すべき元素のイオンを含む水溶液をしゆう酸水溶
    液と接触せしめて、該酸化物のしゆう酸塩沈殿を
    生成せしめたる後、該沈殿を熱分解して該酸化物
    を製造する方法において、該しゆう酸の添加量を
    水溶液中に存在するA元素(Pb)1モル当り、
    0.96から1.04モル、B元素(Tiおよび/または
    Zr)1モル当り0.48から0.52モルなる比率に定め
    ることを特徴とするABO3型ペロブスカイト型酸
    化物の製法。 2 該しゆう酸の添加量を該水溶液中に存在する
    Pb1モル当り0.98から1.02モル、Tiおよび/また
    はZr1モル当り0.49から0.51モルなる比率に定め
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    ABO3型ペロブスカイト型酸化物の製法。 3 該しゆう酸の添加量を該水溶液中に存在する
    Pb1モル当り0.99から1.01モル、Tiおよび/また
    はZr1モル当り0.495から0.505モルなる比率に定
    めることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    のABO3型ペロブスカイト型酸化物の製法。 4 該水溶液中に含まれる元素が硝酸塩として供
    給されることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載のABO3型ペロブスカイト型酸化物の製法。
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