JPH06102574B2 - 耐熱安定性に優れた高靭性セラミック焼結体及びその製造方法 - Google Patents

耐熱安定性に優れた高靭性セラミック焼結体及びその製造方法

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JPH06102574B2
JPH06102574B2 JP60182726A JP18272685A JPH06102574B2 JP H06102574 B2 JPH06102574 B2 JP H06102574B2 JP 60182726 A JP60182726 A JP 60182726A JP 18272685 A JP18272685 A JP 18272685A JP H06102574 B2 JPH06102574 B2 JP H06102574B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は高靭性セラミック焼結体に関し、さらに詳しく
はY2O3及びCeO2あるいはCeO2を安定化剤として含むジル
コニアと、Al、Si、B及び周期律表4a、5a、6a族元素の
ホウ化物、炭化物、窒化物及びCr2O3(以上第2成
分)、あるいはさらに第3成分としてAl2O3、MgO・Al2O
3(スピネル)、3Al2O3・2SiO2(ムライト)から選ば
れた(主として)分散成分とから成り、高強度で耐摩耗
性及び熱安定性に優れ、強度及び靭性の経時劣化の極め
て少ない高靭性セラミック焼結体及びその製造方法に関
するものである。
[従来の技術及び問題点] ジルコニア焼結体は高温領域の立方晶から正方晶を経て
単斜晶に相転移をするが、その際体積変化を伴い、特に
正方晶から単斜晶への相転移の体積変化が大きく、その
ため焼結体がこの体積変化により破壊してしまうという
欠点がある。この欠点を取り除くために、ZrO2にCaO、M
gO、Y2O3などを固溶させて転移を起こさせないように
し、常温でも立方晶からなる安定化ジルコニアあるいは
立方晶と単斜晶よりなる部分安定化ジルコニアが数多く
発表されている。また、準安定相である正方晶を常温で
焼結体内に存在させた部分安定化ジルコニアが高強度を
示すことが発表されている。これは一つには機械的な外
部応力が加わった際に、準安定な正方晶から室温安定相
である単斜晶への相転移が誘起され、応力が吸収される
ことによる。
この種に常温において主として準安定な正方晶からなる
焼結体を得るための安定化剤としては、従来より主とし
てY2O3が用いられ特に高靭性、高強度を発現している。
しかし、このように主として正方晶からなる部分安定化
ジルコニアは、高温相を低温域までもたらした結果生ず
る準安定相であるため、その構造や性質が経時変化を
し、特に200℃ないし400℃という比較的低温における加
熱により単斜晶へ相転移を起こし、強度の経時劣化が極
めて大きい。また、この強度劣化は水分等の存在下では
著しく促進され、この様な特性の経時劣化が問題となっ
ている。以下このような比較的低温加熱下における経時
劣化に耐えることを「耐熱安定性」と称する。
ジルコニアの正方晶→単斜晶の相変態を利用した高靭性
セラミックについては、異なる手法として、アルミナか
らなる基質内にマイクロクラックを内蔵させ、これによ
り負荷がかかった場合に発生する応力を焼結体中に存在
するマイクロクラックによって吸収する破壊靭性の高い
セラミック成形体の製法が開示されている。(特開昭52
−86413) また、マイクロクラックの内蔵と異なり緻密な非金属超
硬物質を主体とする焼結体中に安定化剤を含まない酸化
ジルコニウム(ジルコニア)を50容量%まで内蔵させ、
強度を改善した焼結成形体が開示されている。(特開昭
54−61215) しかし、これら2つの例に含まれるジルコニアはいずれ
も安定化剤を全く含まないものであるため、靭性及び曲
げ強さの点では著しく改善されたものの、熱的には非常
に不安定である。
これに対してアルミナ、ムライト、スピネル、Si3N4、
イットリア部分安定化ジルコニア等のセラミックマトリ
ックス中にセラミック埋込み材料として安定化剤を含ま
ない単斜晶あるいは正方晶のジルコニアを5〜50容量%
含む成形体、あるいは埋込み材料として2モル%のY2O3
で安定化された主として正方晶のジルコニアを5〜30容
量%まで含むセラミック焼結成形体が開示されている
(特開昭59−64567)。しかし、前者はジルコニアに安
定化剤を含まず、後者はジルコニアをイットリアで部分
安定化したものであるため、熱的には極めて不安定であ
り容易に経時劣化を生じるという欠点がある。
また、高靭性セラミック焼結体として、Y2O3、MgO、CaO
を安定化剤として含むジルコニアにAl2O3を0.5〜60重量
%まで含む焼結体(特開昭58−32066)及びY2O3、MgO、
CaOを安定化剤として含むジルコニアにAl2O3あるいは各
種のホウ化物、炭化物、窒化物及びAl2O3を含む焼結体
(特開昭58−120571)が開示されている。
しかし、これらの開示されたジルコニア焼結体のうちMg
O、CaOを安定化剤とするものは、Y2O3を安定化剤とする
ものに比べ機械的強度が低い上、1000℃付近の長時間の
保持により、説安定化すなわち正方晶から単斜晶への変
態を生じ、その結果機械的強度の低下を生ずるため、構
造材としての用途は限られたものとなっている。さら
に、Y2O3によって安定化された高靭性ジルコニア焼結体
は、上記したように200℃〜400℃の低温において容易に
相転移を生じ、時間と共に焼結体表面より内部へ向かっ
て転移が進行し強度、靭性の劣化は著しく、強靭化のメ
カニズムが作用しなくなることはもとより、相転移に伴
う体積膨張により、マイクロクラックが発生してついに
は破壊してしまうという重大な欠陥を有し、構造材とし
ての信頼性に乏しいものである。
また、Y2O3を安定化剤とするZrO2にアルミナを含有さ
せ、HIP処理を行なうことにより、さらに曲げ強度の高
い高強度ジルコニアセラミックスの製造法が開示されて
いる(特開昭60−86073)。
同公報では、ジルコニアセラミックスの強度は改善され
ているものの、Y2O3を安定化剤とするジルコニアを主成
分としている為、200℃〜400℃における経時劣化を生じ
るという問題が依然としてある。
一方、Y2O3とCeO2を安定化剤とするジルコニア磁器及び
その製造法(特開昭60−141673)や、CeO2を安定化剤と
するジルコニア及びこれにアルミナを含有するジルコニ
ア質焼結体も開示されている。(特開昭60−108367)。
これらの公報に示されたCeO2を含有するジルコニアセラ
ミックスは、Y2O3を安定化剤とするジルコニアと比較し
て熱安定性はやや改善されているものの、強度が十分で
ないという問題があり、構造材としての用途が限られた
ものとなっている。
[発明が解決しようとする課題] このようにY2O3を安定化材として含むY2O3−ZrO2系ジル
コニアセラミックス及びこれにアルミナを含有するY2O3
−ZrO2−Al2O3系ジルコニアセラミックスは、200〜400
℃の低温における経時劣化の欠点を有しており、またY2
O3とCeO2を安定化剤とするY2O3−CeO2−ZrO2系ジルコニ
アセラミックスあるいは、CeO2を安定化剤とするCeO2−
ZrO2系、CeO2−ZrO2−Al2O3系ジルコニアセラミックス
は、経時劣化はやや改善されているが強度が低いという
欠点を有している。
またこれらのジルコニアセラミックスに共通する問題と
して、硬度が低いことにより、耐摩耗性に劣るという欠
点も有し、用途が制限されるという問題点がある。
本発明は高靭性ジルコニアのこのような問題点を解決す
べくなされたものであって、ジルコニアの熱安定性を飛
躍的に増大し熱経時劣化の無い耐久性(即ち耐熱安定
性)に優れたしかも高強度、高靭性で耐摩耗性にも優れ
た焼結体を提供し、高靭性ジルコニア焼結体の構造材と
しての性能を向上し、その用途を拡大することを目的と
するものである。
[問題点を解決するための手段] 本発明の第1発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミッ
ク焼結体は、Y2O3−CeO2またはCeO2を安定化剤として含
む主として正方晶より成る部分安定化ジルコニアに対し
て第2成分としてAl、Si、B及び周期律表4a、5a、6a族
元素のホウ化物、炭化物及び窒化物、及びCr2O3から選
ばれた1種または2種以上を1〜70内部重量%含む焼結
体であって、焼結体中に含まれる正方晶ジルコニアの結
晶粒子の平均粒子径が2μm以下であり、かつ耐熱安定
性に優れたことを要旨とするものである。
本発明の第2発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミッ
ク焼結体は、Y2O3とCeO2またはCeO2を安定化剤として含
む主として正方晶より成る部分安定化ジルコニアに対し
て前記第2成分と、さらに第3成分としてAl2O3、MgO・
Al2O3(スピネル)、2Al2O3・2SiO2(ムライト)から
選ばれた1種または2種以上を第2、第3成分の合計で
1〜70内部重量%含む焼結体であって、焼結体中に含ま
れる正方晶ジルコニアの結晶粒子の平均粒子径が2μm
以下であることを要旨とするものである。
ここに「耐熱安定性に優れた」ことは、空気中にて300
℃×300時間の熱劣化試験の後曲げ強度が100kg/mm2以上
を有することを第一義的条件とする。耐熱安定性の劣化
はその他、熱劣化試験後の単斜晶の増大によっても確認
される。
また、本発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミック焼
結体は、熱間プレスあるいは熱間静水圧プレス処理され
ることにより強度、靭性及び耐熱安定性を飛躍的に増大
できる。
本発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミック焼結体に
含まれる部分安定性ジルコニアのZrO2、YO1.5、CeO2、
の組成範囲を、添付図面に示すように正三角形に交わる
三軸にそれぞれZrO2、YO1.5、CeO2のmol%を表示した三
角座標において、 点A(ZrO287.5mol%、YO1.512mol%、CeO20.5mol%) 点B(ZrO295.5mol%、YO1.54mol%、CeO20.5mol%) 点C(ZrO295.5mol%、YO1.52mol%、CeO22.5mol%) 点D(ZrO292.0mol%、YO1.50mol%、CeO28.0mol%) 点E(ZrO284.5mol%、YO1.50mol%、CeO215.5mol%) で示された特定5組成点を結ぶ点で囲まれた範囲内の組
成とすることにより、特性を一層改善できる。
また、本発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミック焼
結体に含まれる第2成分のうちAl、Si、B及び周期律表
4a、5a、6a族元素のホウ化物、炭化物、窒化物をAlN、T
iC、TiN、、TiCN、TiB2、、Si3N4、SiC、B4C、WC、Ta
C、NbC、Cr3C2、Cr2B、ZrN、ZrB2、ZrC、HfN、HfB2、Hf
C、BNとすることができる。
本発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミック焼結体の
製造方法(第3発明)は、Y2O3とCeO2またはCeO2を安定
化剤として含むZrO2粉末、またはY2O3粉末及びCeO2粉末
及びZrO2粉末の合量またはCeO2粉末及びZrO2粉末の合量
に対し、第2成分としてAl、Si、B及び周期律表4a、5
a、6a族元素のホウ化物、炭化物及び窒化物、及びCr2O3
から選ばれた1種または2種以上の粉末をZrO2粉末また
は前記の合量に対して1〜70内部重量%の範囲で配合し
て得られた混合粉末の成形体を特定の条件下で焼結する
ものである。即ち、含まれる正方晶ジルコニアの結晶粒
子の平均結晶粒子径が2μm以下であり、かつ耐熱安定
性に優れた焼結体となるような条件下で焼結するもので
ある。
本発明の第4発明による製造方法は、第3発明における
前記第2成分に加え、さらに第3成分としてAl2O3、MgO
・Al2O3(スピネル)、3Al2O3・2SiO2(ムライト)か
ら選ばれた1種または2種以上の粉末をZrO2粉末または
前記の合量に対して第2、第3成分の合計で1〜70内部
重量%の範囲で配合して得られた混合粉末の成形体を焼
成し、含まれる正方晶ジルコニアの結晶粒子の平均粒子
径が2μm以下であり、かつ耐熱安定性に優れた焼結体
となるよう焼結することを要旨とするものである。
この、本発明の製造方法に用いられるY2O3、CeO2、ZrO2
粉末の組成割合は、添付図面に示すように正三角形に交
わる三軸にそれぞれZrO2、YO1.5、CeO2のmol%を表示し
た三角座標において、 点A(ZrO287.5mol%、YO1.512mol%、CeO20.5mol%) 点B(ZrO295.5mol%、YO1.54mol%、CeO20.5mol%) 点C(ZrO295.5mol%、YO1.52mol%、CeO22.5mol%) 点D(ZrO292.0mol%、YO1.50mol%、CeO28.0mol%) 点E(ZrO284.5mol%、YO1.50mol%、CeO215.5mol%) で示される特定5組成点を結ぶ線で囲まれた範囲内の組
成とすることができる。
また、本発明の製造方法に用いられる第2成分のうちA
i、Si、B、周期律表4a、5a、6a族元素のホウ化物、炭
化物、窒化物をAlN、TiC、TiN、TiCN、TiB2、Si3N4、Si
C、B4C、WC、TaC、NbC、Cr3C2、Cr2B、ZrN、ZrB2、Zr
C、HfN、HfB2、HfC、BNとすることができる。
さらに、本発明の製造方法に用いられるY2O3および/ま
たはCeO2を安定化剤として含むZrO2粉末は、ZrO2のゾル
および/または水溶性の塩をY2O3とCeO2を生ずる水溶性
の塩と共に溶液の状態で均一に混合した後、沈澱の形で
分離して得られたZrO2粉末とすることができる。なお、
第1発明及び第2発明を通じてZrO2の一部または全部を
HfO2で置換することができる。
[作用] 本発明の高靭性セラミック焼結体は、特定の安定化剤に
より安定化された正方晶ZrO2と所定の高弾性の第2成分
(又はさらに第3成分)の存在により、後述する実施例
の焼結体の強度、破壊靭性値、熱劣化試験結果を参照す
れば明らかなように、高強度、高靭性を発現し、従来よ
り、熱的に不安定とされる温度領域での長時間に亘る熱
劣化試験後も殆ど変化がなく、極めて高い強度を示し耐
熱安定性に著しく優れる。
これは第1に、CeO2とY2O3両者あるいはCeO2の添加によ
って安定化された正方晶ジルコニアの結晶構造が、従来
のY2O3のみによって安定化された正方晶ジルコニアよ
り、ジルコニアの高温安定相である立方晶の結晶構造に
より近くなっているためである。第2に、主として分散
成分をなす高弾性な第2成分の添加が正方晶の含有量を
高め、弾性率の上昇による破壊エネルギーの増大に寄与
し、高い強度を示すとともに第2成分の存在がZrO2の粒
界部分の強化に役立ち、また準安定正方晶ジルコニアの
安定性を高め、さらにCeO2成分の存在による安定性の相
乗効果の結果、耐熱安定性が著しく改善されるものと考
えられる。すなわち、ZrO2粒界、粒周囲に高弾性物質が
存在する微細組織となり、ZrO2粒子が周囲の高弾性物質
に取り囲まれ、体積膨張をともなう正方晶→単斜晶相転
移(熱劣化の際に生じる相転移及び、焼結体の破断時に
応力集中部分で生じる相転移現象)が生じにくくなり、
強度、熱安定性の向上に寄与するものと推察される。ま
た、第2成分の存在により硬度も改善され、ZrO2の耐摩
耗性を一段と優れたものとし、高温におけるジルコニア
焼結体の硬度、強度、クリープ等の機械的特性を改善す
るものである。
本発明の焼結体に含まれ、熱的により安定で劣化を示さ
ないY2O3−CeO2−ZrO2系及びCeO2−ZrO2系の正方晶ジル
コニアは、準安定な正方晶であるために、ZrO2粒子近傍
に応力集中を受けた場合には、低温安定相である単斜晶
への変態を生じ、応力を緩和する作用を有する。このた
め、本発明の高靭性セラミック焼結体は著しい高強度、
高靭性を示すものである。
本発明では第2成分としてAl、Si、B、周期律表4a、5
a、6a族元素のホウ化物、炭化物、窒化物あるいはCr2O3
から選ばれた1種または2種以上を含有しているので、
これらを含有しないジルコニアセラミックスと比較し、
特に硬度に優れる。また第2成分に加え、さらに第3成
分としてAl2O3、MgO・Al2O3(スピネル)、3Al2O3・2
SiO2(ムライト)より選ばれた1種または2種以上を共
存させることにより、焼結体が高まり、密度の向上と共
に焼結体中の正方晶ジルコニア結晶の安定性も優れる。
さらにこれらの第2成分(又はさらに第3成分)(以下
総称して「分散成分」とも称する。)を含有させて熱間
プレス処理あるいは熱間静水圧プレス処理されることに
より、焼結体はより緻密なものとなり、一段と顕著に
(即ち、常圧焼結の場合と比べて約1.5倍以上)強度並
びに硬度が向上する。すなわち、熱間プレス処理、ある
いは熱間静水圧プレス処理は、焼結体に含まれる気孔等
の欠陥を除去し、緻密化が一層促進される。この緻密化
は、高弾性物質の存在とあいまって、体積膨張をともな
う正方晶→単斜晶相転移(熱劣化時に生じる相転移現
象、焼結体の破断時に生じる相転移現象)がより生じに
くくなり、耐熱安定性、強度の向上に寄与するものと推
察される。なお、耐熱安定性は、熱劣化試験結果により
裏付けられ、第一義的には、熱劣化試験後の曲げ強度の
測定によって確かめられる(第1表〜第3表参照)。
本発明ではジルコニアの安定化剤としてY2O3及びCeO2あ
るいはCeO2を必要とする。Y2O3、CeO2、ZrO2の三成分の
配合量は、図面に示すような三角座標において、点A、
B、C、D、E、を結ぶ線で囲まれた範囲内で選ぶとよ
い。この範囲内であると正方晶の安定性が高く耐熱安定
性に優れるが、この範囲を外れると大幅に耐熱安定性が
低下し、また機械的特性も劣ったものとなる。すなわ
ち、点A(YO1.512mol%)よりもYO1.5を多く含むと靭
性が低下し、点B(YO1.54mol%)よりもYO1.5が少ない
場合には、耐熱安定性が失われる。点C(YO1.52mol
%、CeO22.5mol%)よりもYO1.5及びCeO2が少ない場合
は、耐熱安定性が乏しくなる。また、点D(CeO28mol
%)よりもCeO2が少ないと耐熱安定性が劣り、点E(Ce
O215.5mol%)よりもCeO2が多い場合には充分な機械的
強度が得られない。
本発明をより効果あるものとするためには、上記三成分
の配合量を図面に示すような三角座標において、 点A(ZrO287.5mol%、YO1.512mol%、CeO20.5mol%) 点H(ZrO294.5mol%、YO1.54mol%、CeO21.5mol%) 点G(ZrO294.5mol%、YO1.52.5mol%、CeO23mol%) 点F(ZrO281mol%、YO1.50mol%、CeO29mol%) 点E(ZrO284.5mol%、YO1.50mol%、CeO215.5mol%) を結ぶ実線で囲まれる範囲内に選択するとよい。なお、
Y2O3の一部をNd2O3、Yb2O3、La2O3、Er2O3等の希土類金
属酸化物で置換する事も可能である。
本発明では分散成分を1〜70内部重量%含む必要があ
る。分散成分の添加量を限定した理由は、1内部重量%
以下では添加の効果が少なく、70内部重量%以上では靭
性あるZrO2の含有量を低めるからである。
本発明をより効果あるものとするためには分散成分の添
加量を5〜50内部重量%の範囲に選択するとよい。な
お、この範囲を越えた場合、分散成分の粒径にもよるが
焼結体全体の中で分散成分も連続相となる場合がある。
これら分散成分としては、Al2O3、MgO・Al2O3(スピネ
ル)、3Al2O3・2SiO2(ムライト)(以上第3成
分)、Cr2O3、AlN、TiC、TiN、TiCN、TiB2、Si3N4、Si
C、B4C、WC、TaC、NdC、Cr3C2、Cr2B、ZrN、ZrB2、Zr
C、HfN、HfB2、HfC、BN、及びこれらの相互固溶体(以
上第2成分)が上げられ、好ましいものである。特に第
2成分としてはAlN、TiC、TiN、TiCN、TiB2、Si3N4、Si
C、B4C、WC、TaC、NdCが第3成分としてはAl2O3がよ
い。
本発明の製造方法は、通常次のように実施される。Y2O3
及びCeO2を安定化剤として含むZrO2粉末あるいはY2O3及
びCeO2及びZrO2粉末に対し、分散粉末としてAl、Si、
B、周期律表4a、5a、6a族元素のホウ化物、炭化物、窒
化物、Cr2O3から選ばれた1種または2種以上の粉末を
1〜70内部重量%の範囲で加えた粉末を粉砕混合したの
ち、あるいは分散成分としてAl、Si、B、周期律表4a、
5a、6a族元素のホウ化物、炭化物、窒化物、Cr2O3から
選ばれた1種または2種以上の粉末と、Al2O3、MgO.Al2
O3(スピネル)、3Al2O3・2SiO2(ムライト)から選
ばれた1種または2種以上の粉末を合計で1〜70内部重
量%の範囲で加えた粉末を粉砕混合したのち、必要に応
じてポリビニールアルコール等の成形助剤を加えて所定
の形状にし、分散成分が酸化物である場合は大気中、真
空中、酸素雰囲気中、水素雰囲気中、N2、アルゴンガス
等の不活性ガス雰囲気、また、分散成分が非酸化物を含
む場合には真空中、N2、アルゴンガス等の不活性ガス雰
囲気など非酸化雰囲気中で、常圧、加圧下、1350〜1650
℃で0.5〜5hr焼成する。
特に非酸化物分散成分量が多い場合には、ホットプレス
法(HP法)またはホットアイソスソタテチックプレス法
(HIP法)を適用することが好ましい。HP法の場合は非
酸化性雰囲気中で成形体をモールド内に装填し、50〜30
0kg/cm2の圧力下1350〜1650℃で焼成する。HIP法の場合
は常圧焼結、ガス加圧焼結、ホットプレス等で予め相対
密度95%以上の非通気性焼結体を得たのち、熱間静水圧
プレス内にて1000kg/cm2以上のガス圧力、1100℃以上18
00℃の温度条件にて0.5hr以上の焼結を行うことが好適
である。あるいはカプセル中に混合粉末を充填し、その
まま熱間静水圧プレス処理する方法もまた好適である。
ZrO2粉末としては、比表面積10m2/g以上、好ましくは15
m2/g以上、より好ましくは25m2/g以上のものを用いる。
本発明の部分安定化ジルコニアはZrO2のゾルおよび/ま
たは水溶性の塩を安定化剤の水溶性の塩と共に溶液の状
態で均一に混合した後沈澱の形で分離して得られた原料
を用いれば、ZrO2に安定化剤が均一に分散し、極めて微
粒子からなる易焼結性の粉体を原料とすることができ
る。この結果、微粒で均一な組成を有し、マイクロポア
の殆どない焼結体が得られ、強度及び靭性についても初
期の値が得られる。
本発明において、分散成分として使用する原料の純度は
98%以上のものが好ましいが、90〜98%のものも有効に
使用できる。粒度は極微粒の場合、平均粒径よりも比表
面積で表すことが適当であり、本発明の目的を達成する
には、比表面積5m2/g以上好ましくは10m2/g以上のもの
を使用することがよい。
なお、本発明の高靭性セラミック焼結体は、耐熱安定性
を高めるため焼結体の相対密度が95%以上が好ましく、
より好ましくは98%以上(さらに好ましくは99%以上、
最も好ましくは99.5%以上)がよい。また、相対密度が
高いほど焼結体に含まれる正方晶ジルコニアの安定性が
高まり、耐熱安定性、強度及び靭性にすぐれる。
本発明の組成を有するジルコニア焼結体は主として正方
晶より成る部分安定化ジルコニアであるので、高強度・
高靭性を示す。本来正方晶は準安定相であるため試料表
面の研削によって一部が単斜晶へ転移を生じ表面層の残
留圧縮応力により焼結体の強化に寄与する。この強化の
程度は研削による表面粗さと焼結体の粒径に依存してい
る。このため、本発明による主として正方晶よりなる部
分安定化ジルコニアとは、X線回折による結晶相の測定
において鏡面状態で正方晶系を少なくとも50%以上含む
ジルコニアをいう。正方晶系が50以下になると、靭性が
低下するので正方晶系は50%以上含まれることが必要で
ある。
本発明の焼結体は、焼結体に含まれる正方晶ジルコニア
の平均結晶粒子径が2μm以下であることが必要であ
る。好ましくは1μm以下であることが良い。さらに好
ましくは0.5μm以下が良い。平均結晶粒子径が2μm
を越えると単斜晶に変わり靭性が低下する。また、正方
晶ジルコニアの平均粒子径が小さい程、安定性が向上し
耐熱安定性に優れたものとなる。
本発明において、ジルコニアの平均結晶粒子径はCuKα
線を用いたX線回折法で行い、式として D=0.89λ/(B−b)cosθ より求めた。ここでDは求めるジルコニアの結晶粒子
径、λはCuKα線の波長で1.541、Bはジルコニアの単斜
晶(111)面あるいは正方晶(111)面の回折線の半減値
幅(ラジアン)のうち大きい方の値、bは内部標準とし
て添加する結晶粒子径3000以上のα石英の(101)面の
半減値幅(ラジアン)、θはジルコニアの半減値幅の測
定に用いた回折線の回折角2θの1/2の値である。
本発明のジルコニア焼結体のZrO2は、その一部以上全部
までHfO2によって置換しても、全く同様の特性を示すも
のである。
[実施例] 以下に本発明の実施例を説明し、本発明の効果を明らか
にする。
(実施例1) 得られる粉末が第1表の割合になるように、純度99.9%
のオキシ塩化ジルコニウムの水溶液の加水分解によって
得られたジルコニアゾル溶液に、純度99.9%の塩化イッ
トリウム、純度99.9%の塩化セリウムを加え、均一に混
合した溶液をアルカリで凝結させ水酸化物の沈澱とし、
これを脱水乾燥し、900℃にて仮焼して部分安定化ジル
コニア粉末を得た。この粉末は25m2/gの比表面積を示
す。
この粉末に平均粒径0.3μm、純度99.9%のAl2O3及び平
均粒径0.1μm、純度99.9%の微粒TiNを第1表の割合で
加え、湿式混合後乾燥させた粉末を、1.5ton/cm2の圧力
で等方的に成形し、窒素中で1400〜1650℃の温度で2時
間焼成した。得られた焼結体に含まれる正方晶のジルコ
ニアの平均結晶粒子径は全て2μm以下であった。
得られた焼結体は、3×4×40mmに切断研磨加工し、嵩
密度、結晶相、曲げ強度、及び破壊靭性並びに熱劣化試
験後の焼結体表面の結晶相及び曲げ強度を測定しその結
果を第1表に示す。
なお、各物性の測定方法として、曲げ強度はJIS規格に
従い、3×4×40mm試料片を用い、スパン30mm、クロス
ヘッド速度0.5mm/minの3点曲げにより10本の平均値を
示した。
破壊靭性は、マイクロインデンテーション法により、荷
重50kgで圧痕を入れて測定を行い、KIC値は新原らの式
を用いた。
結晶相の定量測定は、X線回折法によって行った。すな
わち、ダイヤモンドペーストにて鏡面研磨した試料の単
斜晶の(111)面と(111)面の積分強度IMと正方晶の
(111)面及び立方晶の(111)面の積分強度IT、ICより
単斜晶量は、 の式により決定した。次に焼結体を5μm以下に微粉砕
し、X線回折により同条件で単斜晶ZrO2と立方晶ZrO2の
積分強度IM*及びIC*を求めた。この微粉砕の過程で焼結
体中に存在していた正方晶ZrO2は機械的応力によりすべ
て単斜晶ZrO2へ変態すると考えられる。よって立方晶量
は、 により決定し、これより正方晶は (正方晶量)=100−{(単斜晶量)+(立方晶量)} により決定した。
熱劣化試験は、300℃の電気炉内に3000時間保持した
後、試料を取り出し物性を測定した。熱劣化試験後の単
斜晶量は、試料表面のX線回折により同様に上記(1)
式より求めた。
本実施例では、添加成分としてAl2O3とTiNの一定量(本
実施例では20重量%及び10重量%)を添加し、YO1.5を
0〜10mol%まで順次段階的に増やしながらCeO2を種々
のmol%で添加したものである。
第1表において、本発明の実施例は熱劣化試験後の曲げ
強度が、100kg/mm2以上であるが、比較例はこれよりは
るかに低い強度を示す。また同試験後の単斜晶をみる
と、大きく増大したものはいずれも曲げ強度の劣化を示
す。(以下の実施例の場合も同様) 第1表において、試料No.1〜5はYO1.5を全く添加せ
ず、CeO2の添加モル数を順次増やしたものである。比較
例であるNo.1は、ZrO2、YO1.5、CeO2のmol%を表示した
三角座標の組成点DよりもCeO2を少なく含むものである
が、熱劣化試験後の単斜晶量が多く曲げ強度が極めて低
い。また、逆に三角座標の組成点EよりもCeO2を多く含
むNo.5は、破壊靭性、曲げ強度共に低い値しか得られな
い。これに対して点Dと点Eと間の組成である本発明例
No.2〜4は相対密度、破壊靭性、曲げ強度のいずれも高
い値を示し熱劣化試験後も単斜晶への転移が見られず曲
げ強度も殆ど劣化しないことが判明した。
試料No.6〜9は、YO1.5を2.5mol%としCeO2の添加mol%
を変えたものである。比較例であるNo.6はZrO2、Y
O1.5、CeO2のmol%を表示した三角座標のABCDEの5組組
成点で囲まれた範囲よりもCeO2の少ない側に外れた組成
のものであるが、曲げ強度、破壊靭性共に高い値を示す
ものの、熱劣化試験後における単斜晶が多く強度の劣化
が甚だしい。試料No.9はZrO2、YO1.5、CeO2のmol%を表
示した三角座標のABCDEの5組成点で囲まれた範囲より
もCeO2の多い側に外れた比較例であるが、相対密度は高
いものの破壊靭性、曲げ強度に充分な値がえられない。
これに対して三角座標のABCDEの5組成点で囲まれた範
囲内にある発明例No.7〜8は、破壊靭性、曲げ強度共に
高い値が得られ、熱劣化試験によっても単斜晶への転移
が起こらず強度の劣化が見られないことが確認された。
試料No.10〜14はYO1.5組成を4mol%とし、CeO2の添加mo
l%を変化させたものである。比較例No.10はCeO2を全く
添加せず、上記三角座標のABCDEの5組成点で囲まれた
範囲外となるものであるが、曲げ強度、破壊靭性共に高
い値を示すものの、熱劣化試験後における単斜晶が多く
強度の劣化が甚だしい。また、CeO2を上記三角座標のAB
CDEの5組成点で囲まれた範囲よりも多く添加した比較
例No.14は相対密度は高いものの破壊靭性、曲げ強度に
充分な値が得られない。これに対してCeO2の添加量が上
記三角座標のABCDEの5組成点で囲まれた範囲である発
明例No.11〜13は、破壊靭性、曲げ強度共に高い値が得
られ、熱劣化試験によっても単斜晶への転移が起こら
ず、強度も劣化しないことが明らかになった。
以下同様に、試料No.15〜18はYO1.5の組成を6mol%と
し、試料No.19〜22はYO1.5の組成を8mol%として、それ
ぞれのCeO2を0〜12mol%添加したものであり、試料No.
23はYO1.5の組成を10mol%としてCeO2を2mol%添加した
ものである。CeO2を全く添加しない比較例であるNo.15
及びNo.19は、相対密度は高いものの熱劣化試験後の単
斜晶への転移が多く、曲げ強度の劣化が著しい。また、
CeO2を、ZrO2、YO1.5、CeO2のmol%を表示した三角座標
のABCDEの5組成点で囲まれた範囲よりも多く添加した
比較例であるNo.18及びNo.22では、相対密度は高いもの
の破壊靭性、曲げ強度に充分な値がえられない。これに
比較して本発明の組成範囲であるZrO2、YO1.5、CeO2のm
ol%を表示した三角座標のABCDEの5組成点で囲まれた
範囲内のYO1.5及びCeO2を含む試料No.16〜17、No.20〜2
1、No.23は、いずれも破壊靭性、曲げ強度ともに高い値
が得られ、熱劣化試験によっても単斜晶への転移が起こ
らず強度の劣化が見られないことが確認された。なお、
本発明の他の分散成分及び添加量においても本実施例と
同様の結果が得られることが確認された。NO.23は、正
方晶の下限50%に近い例を示す。
(実施例2) 25m2/gの比表面積を有する純度99%以上の単斜晶系ジル
コニアに対し、安定化剤としてY2O3、CeO2を第2表の割
合で添加し、これに分散成分として、平均粒径0.3μ
m、純度99.9%のAl2O3、平均粒径0.3μm、純99.9%の
MgO・Al2O3(スピネル)、比表面積28m2/g、Al2O3/SiO
2比が71.8/28.2の合成ムライト(3Al2O3・2SiO2)、
平均粒径0.5μm、純度99%のCr2O3及び純度98%以上、
比表面積10m2/g以上のAlN、TiC、TiN、TiCN、TiB2、Si3
N4、SiC、B4C、WC、TaC、NbC、Cr3C2、Cr2B、ZrN、Zr
B2、ZrC、HfB2、BNを第2表の割合で加え、湿式混合後
乾燥させた粉末をカーボン型に充填し、200kg/cm2、140
0〜1500℃の条件で、ホットプレス法により約1時間焼
成した。
得られた焼結体に含まれる正方晶ジルコニアの平均結晶
粒子は、総て2μm以下であった。得られた焼結体は、
実施例1と同様にして嵩密度、結晶相、曲げ強度、及び
破壊靭性並びに熱劣化試験後の結晶体表面の結晶及び曲
げ強度を測定し、結果を第2表に示した。
本実施例では、安定化剤としてYO1.5を3mol%、CeO2を6
mol%添加し、これに種々の分散成分を30重量%を加え
たものである。
試料No.28〜31、33〜34は、AlN、TiC、TiN、TiCN、Si3N
4、SiCを単独で30重量%添加したものである。また、試
料No.27、32、36〜43、45は、Al2O325重量%と、Cr
2O3、TiB2、B4C、WC、TaC、NbC、Cr3C2、Cr2B、ZrN、Zr
B2、ZrC、BNをそれぞれ5重量%添加したものであり、
試料No.44及び46は、Si3N425重量%と、HfB2またはTiN
を5重量%加えたものである。第2表から明らかなよう
に、分散成分を単独で添加したものも2種類添加したの
も、いずれもZrO2中の正方晶は約90%であり、相対密
度、破壊靭性及び曲げ強度が高く、熱劣化試験によって
も単斜晶への転移が見られず、曲げ強度も殆ど劣化しな
い。なお、試料No.47は安定化剤としてY2O3のみを含有
する比較例であるが、合計で30重量%の分散成分の添加
によっても、熱劣化が甚だしく、熱劣化試験後において
は単斜晶量が増加し、曲げ強度が著しく劣化してしま
う。
(実施例3) 得られる粉末が第3表の割合になるように、純度99.9%
のオキシ塩化ジルコニウムの水溶液の加水分解によって
得られたジルコニアゾル溶液に、純度99.9%の塩化イッ
トリウム、純度99.9%の塩化セリウムを加え、均一に混
合した溶液をアルカリで凝結させ、水酸化物の沈澱と
し、これを脱水乾燥し900℃にて仮焼して部分安定化ジ
ルコニア粉末を得た。この粉末は25m2/gの比表面積を示
す。
この粉末に、平均粒径0.3μm、純度99.9%のAl2O3、及
び比表面積10m2/g以上、純度98%以上のTiCN、SiC、Si3
N4、AlNを、分散成分として第3表の割合で加え、湿式
混合後乾燥させた粉末を、1.5ton/cm2の圧力で等方的に
成形し、1350〜1500℃の温度で2時間予備焼結するか、
あるいは200kg/cm21350〜1500℃で1時間ホットプレス
して、理論密度の95%以上の非通気性焼結体を得た。こ
の焼結体をArガス雰囲気中で2000kg/cm2の圧力下1450〜
1600℃で1時間、熱間静水圧プレス内にて焼結を行っ
た。得られた焼結体に含まれる正方晶ジルコニアの平均
粒子は総て2μm以下であった。
得られた焼結体は、実施例1と同様にして、嵩密度、結
晶相、曲げ強度、及び破壊靭性並びに熱劣化試験後の焼
結体表面の結晶及び曲げ強度を測定しその結果を第3表
に示した。なおNo.48〜52、No.60及びNo.65〜76は欠番
とする。
第3表において、試料No.53〜54は安定化剤として4mol
%のYO1.5と4mol%のCeO2を添加し、これに分散成分と
してSi3N4、Al2O3、及びAlNの3種類を合計で50〜70重
量%添加したものであり、試料No.55〜56は同じ安定化
剤量で、分散成分としてSi3N4を25〜40重量%添加した
ものである。試料No.57〜59も同じ安定化剤量で、分散
成分としてはAl2O3とSic及びTiCNを組み合わせて25〜40
重量%添加したものである。いずれの試料も相対密度、
破壊靭性及び曲げ強度共に高い数字を示し、さらに熱劣
化試験後においても単斜晶への転移が測定されず、曲げ
強度も殆ど劣化せず本発明の効果が確認された。
試料No.61〜63では、安定化剤としてYO1.5を6mol%と一
定にしCeO2を無添加の場合と添加した場合について、分
散成分の添加量を変えたものである。CeO2を全く添加し
ない試料No.61〜63では、分散成分を添加しても、熱劣
化が甚だしく、熱劣化試験後に単斜晶へ転移してしまっ
て、曲げ強度が著しく劣化してしまう。試料No.64は、
安定化剤として6モル%のYO1.5とCeO21.5mol%添加
し、分散成分を全く添加しない比較例であるが、同様に
熱劣化が生じる。
また、本実施例の試料のうち、No.55〜57、59、61につ
いて、ロックウエルスーパーフィッシャル硬度計を用い
て荷重45kgで硬度を測定しその結果を第4表に示した。
第4表より、安定化剤として4mol%のYO1.5とCeO2を添
加し、さらに分散成分を添加した本発明例である試料N
o.55〜57及び59は、安定化剤として6mol%のYO1.5のみ
を添加し、分散成分を全く添加しない比較例である試料
No.61の部分安定化ジルコニア焼結体よりも、著しく硬
度が改善されていることが判る。
[発明の効果] 本発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミック焼結体
は、Y2O3−CeO2−ZrO2系あるいはCeO2−ZrO2系の部分安
定化ジルコニアと、第2成分(Al、Si等の元素のホウ化
物、炭化物及び窒化物、Cr2O3)、あるいは第2成分に
さらに第3成分(Al2O3、スピネル、ムライト)からな
る分散成分とから成り、平均粒子径を規制することによ
り、強度を改善すると共に、耐熱安定性に優れ、強度、
靭性の熱経時劣化が極めて少ない高靭性セラミック焼結
体である。本発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミッ
ク焼結体を摺動部材として使用する場合は、3モルY2O3
部分安定化ジルコニア焼結体として比較して、約10倍以
上の耐磨耗性が得られる。本発明はこのように部分安定
化ジルコニア焼結体の硬度を改善し、耐磨耗性も一段と
優れるものである。さたに分散成分の添加により、高温
において従来のジルコニア焼結体を比較し、硬度、強
度、クリープ等の機械的特性にも優れる。
本発明の耐熱安定性に優れた高靭性セラミック焼結体
は、このように常温及び高温において優れた特性を有す
るので、熱可塑性樹脂やセラミックスの射出成型機用の
耐摩耗性セラミックススクリュウ、真ちゅうロッドや銅
管シェル等の熱間押出しダイス、ガスタービン部品、デ
ィーゼルエンジン部品等の内燃機関、ポンプ部品、工業
用カッター、切削工具、粉砕機械用部品、摺動部材、人
工骨、人工歯、鋳造セラミックによる人工歯のブリッジ
芯材料、人工歯根、ゲージ等の機械工具への応用及び実
用化と性能向上に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はZrO2、YO1.5、CeO2の組成範囲を示す三角座標

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Y2O3とCeO2またはCeO2を安定化剤として含
    む主として正方晶より成る部分安定化ジルコニアに対し 第2成分として、Al、Si、B及び周期律表4a、5a、6a族
    元素のホウ化物、炭化物及び窒化物、及びCr2O3から選
    ばれた1種または2種以上を1〜70内部重量%含む焼結
    体であって、 焼結体中に含まれる正方晶ジルコニアの結晶粒子の平均
    粒子径が2μm以下であり、かつ耐熱安定性に優れたこ
    とを特徴とする高靭性セラミック焼結体。
  2. 【請求項2】熱間プレス法あるいは熱間静水圧プレス法
    で焼結されたことを特徴とする特許請求の範囲第1項に
    記載の高靭性セラミック焼結体。
  3. 【請求項3】部分安定化ジルコニアは、これに含まれる
    Y2O3とCeO2が添付図面に示すように正三角形に交わる三
    軸にそれぞれZrO2、YO1.5、CeO2のmol%を表示した三角
    座標において、 点A(ZrO287.5mol%、YO1.512mol%、CeO20.5mol%) 点B(ZrO295.5mol%、YO1.54mol%、CeO20.5mol%) 点C(ZrO295.5mol%、YO1.52mol%、CeO22.5mol%) 点D(ZrO292.0mol%、YO1.50mol%、CeO28.0mol%) 点E(ZrO284.5mol%、YO1.50mol%、CeO215.5mol%) で示された特定5組成点を結ぶ点で囲まれた範囲内の組
    成にある特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の高靭
    性セラミック焼結体。
  4. 【請求項4】前記第2成分が、AlN、TiC、TiN、TiCN、T
    iB2、Si3N4、SiC、B4C、WC、TaC、NbC、Cr3C2、Cr2B、Z
    rN、ZrB2、ZrC、HfN、HfB2、HfC、BN及びCr2O3から選択
    された1種以上である特許請求の範囲第1項乃至第3項
    のいずれかに記載の高靭性セラミック焼結体。
  5. 【請求項5】300℃大気中に3000時間保持試験後の焼結
    体に含まれるジルコニアの単斜晶量が30%以下である特
    許請求の範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載の高靭
    性セラミック焼結体。
  6. 【請求項6】Y2O3とCeO2またはCeO2を安定化剤として含
    む主として正方晶より成る部分安定化ジルコニアに対
    し、 第2成分としてAl、Si、B及び周期律表4a、5a、6a族元
    素のホウ化物、炭化物及び窒化物、及びCr2O3から選ば
    れた1種または2種以上と 第3成分として、Al2O3、MgO・Al2O3(スピネル)、3A
    l2O3・2SiO2、(ムライト)から選ばれた1種または2
    種以上とを第2、第3成分合計で1〜70内部重量%含む
    焼結体であって、 焼結体中に含まれる正方晶ジルコニアの結晶粒子の平均
    粒子径が2μm以下であり、かつ耐熱安定性に優れたこ
    とを特徴とする高靭性セラミック焼結体。
  7. 【請求項7】Y2O3とCeO2またはCeO2を安定化剤として含
    むZrO2粉末、またはY2O3粉末及びCeO2粉末及びZrO2粉末
    の合量、またはCeO2粉末及びZrO2粉末の合量に対し、 第2成分として、Al、Si、B及び周期律表4a、5a、6a族
    元素のホウ化物、炭化物及び窒化物、及びCr2O3から選
    ばれた1種または2種以上の粉末をZrO2粉末または前記
    の合量に対して1〜70内部重量%の範囲で配合して得ら
    れた混合粉末の成形体を、 含まれる正方晶ジルコニアの結晶粒子の平均粒子径が2
    μm以下であり、かつ耐熱安定性に優れた焼結体となる
    よう焼結することを特徴とする高靭性セラミック焼結体
    の製造方法。
  8. 【請求項8】Y2O3、CeO2、ZrO2の組成割合は、添付図面
    に示すように正三角形に交わる三軸にそれぞれZrO2、YO
    1.5、CeO2のmol%を表示した三角座標において、 点A(ZrO287.5mol%、YO1.512mol%、CeO20.5mol%) 点B(ZrO295.5mol%、YO1.54mol%、CeO20.5mol%) 点C(ZrO295.5mol%、YO1.52mol%、CeO22.5mol%) 点D(ZrO292.0mol%、YO1.50mol%、CeO28.0mol%) 点E(ZrO284.5mol%、YO1.50mol%、CeO215.5mol%) で示された特定5組成点を結ぶ点で囲まれた範囲内の組
    成にある特許請求の範囲第7項に記載の高靭性セラミッ
    ク焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】前記第2成分が、AlN、TiC、TiN、TiCN、T
    iB2、Si3N4、SiC、B4C、WC、TaC、NbC、Cr3C2、Cr2B、Z
    rN、ZrB2、ZrC、HfN、HfB2、HfC、BN及びCr2O3から選択
    された1種以上である特許請求の範囲第7項または第8
    項に記載の高靭性セラミック焼結体の製造方法。
  10. 【請求項10】Y2O3とCeO2またはCeO2を安定化剤として
    含むZrO2粉末は、ZrO2のゾルおよび/または水溶性の塩
    をY2O3とCeO2を生ずる水溶性の塩と共に溶液の状態で均
    一に混合した後、沈澱の形で分離して得られたZrO2粉末
    である特許請求の範囲第7項ないし第9項のいずれかに
    記載の高靭性セラミック焼結体の製造方法。
  11. 【請求項11】Y2O3とCeO2またはCeO2を安定化剤として
    含むZrO2粉末、またはY2O3粉末及びCeO2粉末及びZrO2粉
    末の合量、またはCeO2粉末及びZrO2粉末の合量に対し、 第2成分としてAl、Si、B及び周期律表4a、5a、6a族元
    素のホウ化物、炭化物及び窒化物、及びCr2O3から選ば
    れた1種または2種以上の粉末と、 第3成分としてAl2O3、MgO・Al2O3(スピネル)、3Al2
    O3・2SiO2(ムライト)から選ばれた1種または2種以
    上とを ZrO2粉末または前記の合量に対して第2、第3成分の合
    計で1〜70内部重量%の範囲で配合して得られた混合粉
    末の成形体を焼成し、 含まれる正方晶ジルコニアの結晶粒子の平均粒子径が2
    μm以下であり、かつ耐熱安定性に優れた焼結体となる
    よう焼結することを特徴とする高靭性セラミック焼結体
    の製造方法。
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