JPH06104762B2 - ポリエチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂組成物

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JPH06104762B2
JPH06104762B2 JP2148575A JP14857590A JPH06104762B2 JP H06104762 B2 JPH06104762 B2 JP H06104762B2 JP 2148575 A JP2148575 A JP 2148575A JP 14857590 A JP14857590 A JP 14857590A JP H06104762 B2 JPH06104762 B2 JP H06104762B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は特定のポリエチレン系樹脂組成物に関する。特
に、耐燃料油性、耐衝撃性(とりわけ、低温における耐
衝撃性)および耐熱性にすぐれ、かつポリエチレン樹脂
やポリプロピレン樹脂などの各種ポリオレフィン樹脂、
ナイロン6、ナイロン6−6などのポリアミド樹脂、エ
チレンと酢酸ビニルとの共重合体のけん化物(EVOH)、
ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフ
タレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル樹脂やポリ塩化ビニリデン樹脂などのハロゲン含有樹
脂などの各種樹脂材料、アルミニウム、鉄などの金属材
料とすぐれた親和性または接着性を有する材料を提供す
るものであり、各種ポリエチレン系樹脂材料が使われて
いる包装容器分野、産業資材分野において有用なポリエ
チレン系樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
すでに、エチレン単独重合体またはエチレンを主成分と
するエチレン系共重合体に不飽和カルボン酸もしくはそ
の誘電体(たとえば、その無水物)をグラフト重合する
技術はよく知られている。
なかでも、アクリル酸やマレイン酸または無水マレイン
酸がグラフト重合された変性エチレン系重合体(変性ポ
リエチレン樹脂)はポリアミド樹脂(ナイロン)、エチ
レン‐酢酸ビニル共重合体のけん化物(エチレン‐ビニ
ルアルコール共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポ
リ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などの極性
樹脂やアルミニウム箔などの金属箔などの各種積層体
(フイルム、シートなど)や金属板または金属管のコー
ティングにおける接着材料として用いられ、実用に供し
ている。
また、各種充填剤や補強剤、顔料などの添加剤を配合
(添加)した複合材料に加え、異種の樹脂同志のポリマ
ーブレンドにおけるマトリックス樹脂との親和性や相溶
性および異種ポリマー相互の接着性の機能を付与する目
的でも多く使用されている。
この種の変性エチレン系重合体(変性ポリエチレン樹
脂)としてはこれまで数多く提案されているが、単一の
変性エチレン系重合体では、もはや市場が求めている種
々の性能をことごとく満足することは難しく、したがっ
て該性能を付与するために変性エチレン系重合体に種々
の他の特定のポリオレフィン樹脂類やエラストマーもし
くは極性基を有するポリマーまたは極性基を有する化合
物などを配合することが数多く提案されている。
たとえば、変性ポリオレフィン樹脂に軟質樹脂を配合し
た組成物(たとえば、特公昭55-18251号、特開昭61-132
345号、同62-18258号、特公昭60-36217号など)や変性
エチレン系重合体に他の重合体(たとえば、エチレン‐
酢酸ビニル共重合体のけん化物、熱可塑性ポリエステル
樹脂)を配合した組成物(たとえば、特開昭53-39381
号、同52-124080号、同52-103480号)が提案されてい
る。
さらに、最近では耐環境応力亀裂性(ESCR)やヒートシ
ール性、低温特性などがすぐれた性質を有する線状低密
度ポリエチレン樹脂(いわゆるL-LDPE)を変性エチレン
系重合体のベース材料や変性エチレン系重合体との配合
材として用いることにより、上記の特性の付与や耐熱性
および接着性の向上を図ることが提案されている(特開
昭57-170940号、同57-68351号、同61-276808号、同62-1
8258号、同62-25139号、同62-119247号)。
これらの提案のうち、特開昭57-170940号公報によれ
ば、密度が0.900〜0.940g/cm3であるエチレンと0.2〜20
モル%のα‐オレフィンとの中・低圧法共重合体(a)
30〜100重量%および(a)以外のポリオレフィン樹脂
(b)70〜0重量%の少なくとも一方がグラフト重合さ
れたポリオレフィン系樹脂組成物である。その目的とす
るところは、接着性および耐環境応力亀裂性(ESCR)に
すぐれたポリオレフィン系樹脂組成物を提供することで
ある。しかし、実施例1〜6および第1表に示されてい
るごとく、使われている中・低圧法ポリエチレン樹脂の
密度は0.920g/cm3であり、後記のごとく本発明の線状超
低密度ポリエチレン樹脂の密度範囲(0.890〜0.910g/cm
3)については具体的に開示されていない。しかも組成
物中のグラフト変性線状低密度ポリエチレン樹脂および
未変性線状低密度ポリエチレン樹脂の合計量は80〜100
重量%であり、組成物中に占めるこれらの樹脂の組成割
合が極めて大きい。しかも、この発明では、本発明の目
的とする耐燃料油性、耐熱性および剛性の点において、
充分に満足し得るものを得ることができない。
また、特開昭59-68351号(特公昭64-5614号)公報で
は、以上と同様の目的であり、未変性線状低密度ポリエ
チレン樹脂99.9〜65重量%とグラフト変性した線状低密
度または高密度のポリエチレン樹脂0.1〜35重量%から
なるポリエチレン樹脂組成物を用いたエチレン‐酢酸ビ
ニル共重合体のけん化物、ポリアミド樹脂または熱可塑
性ポリエステル樹脂およびポリオレフィン系樹脂との積
層物である。未変性線状低密度ポリエチレン樹脂および
グラフト変性線状低密度ポリエチレン樹脂の線状低密度
ポリエチレン樹脂として、密度が0.910〜0.960g/cm
3(好ましくは、0.915〜0.930g/cm3、実施例では、0.92
6g/cm3)の線状ポリエチレン樹脂が使われている。
同様に、特開昭61-276808号および同62-167308号公報で
は、特に密度が0.900〜0.940g/cm3の線状低密度ポリエ
チレン樹脂を用い、得られるグラフト変性物の汚染やグ
ラフト変性時に発生する架橋または酸化反応を少なく
し、グラフト効率の高い変性物を得るための製造方法を
提供するものである。また、特開昭62-18258号では、密
度が0.910g/cm3以下の気相・低圧法で製造された線状超
低密度ポリエチレン樹脂を用いたグラフト変性ポリオレ
フィン樹脂および該ポリオレフィン樹脂と異種材料との
混合物などを提供するものである。この異種材料とし
て、未変性エラストマー(たとえば、エチレン‐プロピ
レン共重合ゴム)、高圧法低密度ポリエチレン樹脂、エ
チレン‐エチルアクリレート共重合体、エチレン‐酢酸
ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリアミ
ド樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体のけん化物(エ
チレン‐ビニルアルコール共重合体)などがあげられて
いる。
さらに、特開昭62-25139号では、メルトインデックスと
メルトテンションとの積およびメルトインデックスで特
定された高圧法低密度ポリエチレン樹脂と密度が0.880
〜0.900g/cm3のエチレンとα‐オレフィンとの共重合体
(線状超低密度ポリエチレン樹脂)のアクリル酸または
無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン樹脂とからな
る組成物であり、成形加工性および接着性にすぐれた材
料を提供するものである。
また、特開昭62-10107号では、良好な接着性、ヒートシ
ール性およびそれらの耐熱保持性をあわせもつ密度が0.
890〜0.910g/cm3であり、かつ重量平均分子量/数平均
分子量が2〜15であり、しかも160℃の温度におけるメ
ルトテンションとメルトインデックスとの積が4以下の
エチレンと炭素数が4以上のα‐オレフィンとの共重合
体の変性ポリエチレン系樹脂、該変性ポリエチレン系樹
脂と未変性ポリエチレン系樹脂組成物が提案されてい
る。
さらに、特開昭61-13145号および同61-132377号では、
密度が0.860〜0.910g/cm3であり、かつ沸騰n-ヘキサン
不溶分が10重量%以上であり、しかも差動走査熱量計
(Differential Scanning Calorimeter)による最大ピ
ーク温度が100℃以上であるエチレンとα‐オレフィン
との共重合体または該共重合体を主成分とするポリオレ
フィン系樹脂との組成物100重量部に対してゴム1〜40
重量部を添加し、グラフト変性した接着性樹脂およびそ
の積層体が提案されている。
その上、特公昭60-36942号では、結晶化度が40%以上の
ポリエチレン樹脂または沸騰n-ヘキサン不溶分が80%以
上のポリプロピレンのグラフト変性物99〜50重量%と結
晶化度が5〜30%であり、かつ密度が0.870〜0.910g/cm
3のエチレン‐α‐オレフィン共重合体1〜50重量%か
らなるポリオレフィン樹脂組成物とナイロン(ポリアミ
ド樹脂)層からなる多層積層物であり、層間接着性、と
りわけ沸騰水浸漬時の層間接着性が著しく改善された積
層体を提供することが提案されている。しかし、最も好
ましい(結晶化度5〜30%、密度0.890〜0.910g/cm3
エチレン‐α‐オレフィン共重合体としては、バナジウ
ム系触媒によって重合される密度が0.870〜0.900g/cm3
であり、かつエチレンの共重合割合が85〜95モル%であ
り、しかも結晶化度が5〜30%のエチレン‐ブテン‐1
ランダム共重合体をあげている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、いずれの変性ポリエチレン樹脂またはそ
の組成物を用いたとしても、本発明が目的とする耐燃料
油性(耐ガソリン性)および耐衝撃性がすぐれ、しかも
良好な親和性および接着性を兼備する材料を提供するこ
とは極めて困難である。たとえば、低温ないし高温にお
いて長期間使用される工業缶やガソリンなどの燃料用容
器、さらに関連の自動車部材として用いられている材料
としては、上記の諸物性をことごとく充分満足するもの
でなければならず、とりわけこれらの諸物性をガソリン
などの燃料油の透過性の防止を目的とするポリアミド樹
脂などの多層ポリエチレン樹脂燃料容器(たとえば、三
種五層)に用いられているポリアミド樹脂層とポリエチ
レン樹脂層の接着層にも強く要求されており、同様にこ
れまで提案された前記発明では、充分に満足するものを
得ることができない。
すなわち、耐衝撃性を向上するためにグラフト変性ポリ
エチレン樹脂もしくはその組成物の製造に使われる合成
ゴムなどのエラストマーやバナジウム系触媒を主触媒と
して重合したエチレン‐α‐オレフィン共重合体または
密度が0.880〜0.910g/cm3である線状超低密度ポリエチ
レン樹脂を主成分とするグラフト変性ポリエチレン樹脂
もしくはその組成物では、高温において長期間にわたっ
て使用するさいの耐燃料油性が極めて劣り、またたとえ
ばグラフト変性高密度ポリエチレン樹脂単独またはグラ
フト変性高密度ポリエチレン樹脂と未変性高密度ポリエ
チレン樹脂もしくは未変性低密度ポリエチレン樹脂との
組成物では、耐燃料油性については満足することができ
たとしても、極めてすぐれた耐衝撃性を得ることが困難
であり、さらに良好な各種樹脂材料、金属材料などとの
親和性や接着性を得ることは難しい。
また、ブロー成形によって製造される大型成形物の例を
とると、通常成形時には、バリが発生し、このバリは経
済的観点から一般にはリサイクルして使用されることが
一般的である。
後記するごとく、特にポリアミド樹脂(PA)やエチレン
‐酢酸ビニル共重合体のけん化物(EVOH)などをバリヤ
ー材を用いて内容物の容器外への透過を防止する目的で
製造される多層構造物は、通常これらのバリヤー材もバ
リ中に含まれ、リサイクルされることになる。
ところで、これらのバリヤー材の耐衝撃性は、一般的に
ブロー成形に使われる比較的高分子量の高密度ポリエチ
レン樹脂に比べて大幅に劣り、特に低温における耐衝撃
性が劣るという欠点があることは知られている。したが
って、多層構造物からなる容器を工業的に、かつ経済的
に得るために耐衝撃性が劣る材料を主要材料の層にリサ
イクルするさい、容器の耐衝撃性の低下を招き、要求さ
れる性能を満足することが困難となる。
云うまでもなく、この点を解決するために新たにバリを
リサイクルするための層(バリ層)を設けたり、あるい
は主材(主として、ポリエチレン系樹脂)とバリヤー材
とを接着するための接着層に多層のバリをリサイクルす
る方法が提案されている。しかし、前者では新たな設備
を必要とする点で経済的でなく、また後者の場合では、
バリ中のPA(バリヤー材として、PAを用いる場合)がグ
ラフト変性ポリオレフィン樹脂と反応し、ゲル化を発生
したり、長期接着耐久性の点で劣るために好ましくな
い。
これらの理由により、該多層バリをリサイクルしたとし
ても、得られる製品の耐衝撃性が低下するのを防ぐ目的
で、たとえば特公昭60-34461号(特開昭54-113678
号)、特公昭61-42625号(特開昭55-91634号)のごと
く、特定の接着性がすぐれているポリオレフィン系樹脂
やポリアミド樹脂を用いることが提案されているが、こ
れらの発明では、それぞれの樹脂の長期間にわたり耐燃
料油性が劣り、実用的でない。
以上のことから、本発明はこれらの欠点をことごとく解
決し、すなわち長期間使用したとしても、高温の雰囲気
下における耐燃料油性が良好であるばかりでなく、耐衝
撃性(とりわけ、低温)についても極めてすぐれてお
り、しかも成形加工時に発生するバリのリサイクルする
さいの被リサイクル材との親和性やポリアミド樹脂など
のバリヤー材との接着性も著しくすぐれた材料を得るこ
とを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段および作用〕
本発明にしたがえば、これらの課題は、 (A)密度が0.935g/cm3以上であり、かつメルトインデ
ックス(JIS K7210にしたがい、条件が4で測定、以下
「MI」と云う〕が0.01g/10分以上である高密度ポリエチ
レン樹脂、 (B)該高密度ポリエチレン樹脂に不飽和カルボン酸お
よびその誘導体からなる群からえらばれた少なくとも一
種のモノマーがグラフトした変性ポリエチレン樹脂、 (C)主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の分岐数が5〜30
個であり、かつ密度が0.910g/cm3以上であるが、0.935g
/cm3未満であり、MIが0.1〜50g/10分であり、しかも示
差走査熱量計〔Differential Scanning Calorimeter,以
下「DSC」と云う〕法による融点が115〜130℃である線
状超低密度ポリエチレン樹脂、 ならびに (D)主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の分岐数が18〜60
個であり、かつ密度が0.890g/cm3以上であるが、0.910g
/cm3未満であり、MIが0.1〜30g/10分であり、しかもDSC
法による融点が110〜125℃ある線状超低密度ポリエチレ
ン樹脂、 からなる組成物であり、該高密度ポリエチレン樹脂およ
び変性ポリエチレン樹脂の合計量中に占める変性ポリエ
チレン樹脂の組成割合は少なくとも0.1重量%であり、
かつ該高密度ポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂
および線状低密度ポリエチレン樹脂の組成割合は2.5〜7
5重量%であり、しかも全組成物中に占める該線状超低
密度ポリエチレン樹脂の組成割合は5.0〜40重量%であ
り、全組成物中に占めるグラフトしたモノマーの組成割
合は0.001〜5.0重量%であるポリエチレン系樹脂組成
物、 によって解決することができる。以下、本発明を具体的
に説明する。
(A)高密度ポリエチレン樹脂 本発明において使われる高密度ポリエチレン樹脂および
後記の変性ポリエチレン樹脂の製造に材料として用いら
れる高密度ポリエチレン樹脂はいずれもエチレン単独ま
たはエチレンと炭素数が3〜12個(好ましくは3〜8
個)のα‐オレフィンとをいわゆるフィリップス系触媒
またはチーグラー系触媒の存在下で単独重合あるいは共
重合させることによって得られるものであり、一般には
常圧ないし約100kg/cm2の圧力で製造(中ないし低圧法
重合)されるものである。該α‐オレフィンの好ましい
ものとしては、プロピレン、ブテン‐1、ヘキセン‐
1、4-メチルペンテン‐1およびオクテン‐1があげら
れる。その共重合割合は多くとも6.5重量%であり、と
りわけ6.0重量%以下が望ましい。
この高密度ポリエチレン樹脂の主鎖の炭素原子1000個当
りの短鎖の分岐数が多くとも20個である。
また、密度は0.935g/cm3以上であり、0.937g/cm3以上が
好ましく、特に0.940g/cm3以上が好適である。密度が0.
935g/cm3未満のポリエチレン樹脂を用いると、得られる
組成物を用いて成形される製品の剛性、耐熱性、耐燃料
油性および表面硬度などの点で劣る。
さらに、MIは0.01g/10分以上であり、0.015g/10分以上
が望ましく、とりわけ0.02g/10分以上が好適である。MI
が0.01g/10分未満では、成形加工性の点でよくない。ま
た、上限は特に限定する訳ではないが、機械的強度など
の点で通常50g/10分であり、特に35g/10分以下が好まし
い。
特に、後記のグラフトされた高密度ポリエチレン樹脂で
は、MIが0.01g/10分未満では、グラフト変性条件にもよ
るが、得られるグラフトされた高密度ポリエチレン樹脂
のMIは、一般にはグラフトに使った高密度ポリエチレン
樹脂のMIよりもさらに低くなり、成形加工性が低下する
とともにグラフトされていない高密度ポリエチレン樹脂
と混合物を製造するさいの相溶性が著しく低下し、均一
な組成物を得ることができない。したがって、グラフト
変性に用いられる高密度ポリエチレン樹脂のMIとして
は、一般には0.05g/10分以上が望ましく、とりわけ0.1g
/10分以上が好適である。
これらの高密度ポリエチレン樹脂は単独で使用してもよ
く、二種以上を併合してもよい。
本発明のグラフトされた高密度ポリエチレン樹脂〔以下
「グラフト変性高密度ポリエチレン樹脂」と云う)は該
高密度ポリエチレン樹脂に後記の不飽和カルボン酸およ
び/またはその誘電体をラジカル開始剤の存在下で処理
することによって得ることができる。このさい、グラフ
トされる高密度ポリエチレン樹脂と親和性のある後記の
合成樹脂やエラストマー(ゴム)を存在させてもよい。
(B)不飽和カルボン酸およびその誘電体 本発明においてグラフト処理に用いられる不飽和カルボ
ン酸およびその誘電体としては、一塩基不飽和カルボン
酸および二塩基性不飽和カルボン酸ならびにこれらの金
属塩、アミド、イミド、エステルおよび無水物があげら
れる。これらのうち、一塩基性不飽和カルボン酸の炭素
数は一般には多くとも30個(好ましくは、25個以下)で
ある。また、その誘導体の炭素数は通常多くとも20個
(望ましくは、15個以下)である。さらに、二塩基性不
飽和カルボン酸の炭素数は一般には多くとも30個(好ま
しくは、25個以下)である。また、その誘電体の炭素数
は通常多くとも30個(望ましくは、25個以下)である。
これらの不飽和カルボン酸およびその代表例は特開昭62
-10107号公報明細書の第3頁下段右欄第8行ないし第4
頁上段右欄第12行に記載されている。
これらの不飽和カルボン酸およびその誘導体のなかで
も、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびその
無水物、5-ノルボルネン‐2,3-ジカルボン酸およびその
無水物ならびにメタクリル酸グリシジルが好ましく、特
に無水マレイン酸および5-ノルボルネン酸無水物が好適
である。
(C)ラジカル開始剤 さらに、本発明においてグラフト変性高密度ポリエチレ
ン樹脂の製造に使用されるラジカル開始剤としては、通
常その1分半減期の分解温度は100℃以上であり、103℃
以上のものが望ましく、とりわけ105℃以上のものが好
適である。好適なラジカル開始剤としては、ジクミルパ
ーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ‐第三級
‐ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル‐2,5-ジ(第三
級‐ブチルパーオキシ)ヘキサン,2,5-ジメチル‐2,5-
ジ(第三級‐ブチルパーオキシ)ヘキサン‐3、ラウロ
イルパーオキサイド、第三級‐ブチルパーオキシベンゾ
エートなどの有機過酸化物があげられる。
(D)合成樹脂およびエラストマー 本発明においてグラフト変性高密度ポリエチレン樹脂を
製造するさい、グラフトされる高密度ポリエチレン樹脂
とともにグラフトされる合成樹脂およびエラストマーは
高密度ポリエチレン樹脂と親和性のあるものである。
これらのうち、合成樹脂としては、高圧法低密度ポリエ
チレン樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン
‐アクリル酸共重合体、エチレン‐メタクリル酸共重合
体、エチレン‐メチルアクリレート共重合体、エチレン
‐エチルアクリレート共重合体、エチレン‐ブチルアク
リレート共重合体、エチレン‐メチルメタクリレート共
重合体などのエチレンと他のビニルモノマーとの共重合
体があげられる。
また、エラストマーとしては、エチレン‐プロピレン共
重合ゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエン三元共重合ゴ
ム、エチレン‐ブテン‐1共重合ゴムなどのエチレン‐
α‐オレフィン系共重合ゴム、ポリイソブチレンゴム、
ポリウレタンゴム、スチレン‐ブタジエン共重合ゴム、
ポリブタジエンゴムなどの合成ゴムおよび天然ゴムがあ
げられる。
(E)割合 本発明のグラフト変性高密度ポリエチレン樹脂を製造す
るにあたり、グラフトされる高密度ポリエチレン樹脂10
0重量部に対する不飽和カルボン酸および/またはその
誘導体ならびにラジカル開始剤の割合は下記の通りであ
る。
不飽和カルボン酸およびその誘導体では、それらの合計
量として、一般には0.01〜5.0重量部であり、0.01〜3.0
重量部が好ましく、特に0.02〜2.0重量部が好適であ
る。不飽和カルボン酸およびその誘電体の割合がそれら
の合計量として0.01重量部未満では、グラフト変性が不
充分となり、本発明の目的とする親和性または接着性の
点において問題がある。一方、5.0重量部を超えると、
得られるグラフト変性高密度ポリエチレン樹脂がゲル化
したり、着色や劣化などを招く恐れがあり、本発明の目
的の性能の向上が認められなくなる。
また、ラジカル開始剤の割合は、通常0.001〜1.0重量部
であり、0.005〜1.0重量部が望ましく、とりわけ0.005
〜0.5重量部が好適である。ラジカル開始剤の割合が0.0
01重量部未満では、グラフト変性の効果の発揮が乏し
く、グラフト変性を完全に行なうために長時間を要する
ばかりでなく、未反応物が混在する結果となる。一方、
1.0重量部を超えると、過度の分解または架橋反応を起
こすために好ましくない。
さらに、前記合成樹脂やエラストマーを用いる場合、高
密度ポリエチレン樹脂との合計量中に占める割合は一般
には多くとも15重量%であり、特に10重量%以下が好ま
しい。高密度ポリエチレン樹脂との合計量中に占める合
成樹脂および/またはエラストマーの割合が合計量とし
て15重量%を超えると、高密度ポリエチレンの基本的特
性を損なうことがある。
(F)グラフト変性高密度ポリエチレン樹脂の製造 本発明のグラフト変性高密度ポリエチレン樹脂は前記の
高密度ポリエチレン樹脂(場合により、合成樹脂および
/またはエラストマー)、不飽和カルボン酸および/ま
たはその誘導体ならびにラジカル開始剤を前記の割合の
範囲内で処理することによって製造することができる。
その処理方法は特開昭62-10107号及び特開昭61-132345
号に記載されているごとく公知の方法を採用すればよ
い。
その処理方法としては、押出機やバンバリーミキサー、
ニーダーなどを用いて処理される高密度ポリエチレン樹
脂などが溶融状態で混練する方法、適当な溶媒に高密度
ポリエチレン樹脂などのポリマーを溶解して行なう溶液
法、高密度ポリエチレン樹脂などのポリマーの粒子を懸
濁状で行なうスラリー法、あるいはいわゆる気相グラフ
ト法があげられる。
処理温度としては、高密度ポリエチレン樹脂などのポリ
マーの劣化、不飽和カルボン酸やその誘導体の分解、使
用するラジカル開始剤の分解温度などを考慮して適宜選
択されるが、前記の溶融状態で混練する方法を例にとる
と、通常100〜350℃であり、150〜300℃で望ましく、と
りわけ180〜300℃が好適である。
もちろん、このようにして本発明のグラフト変性高密度
ポリエチレン樹脂を製造することが、その性能を向上す
る目的で、特開昭62-10107号公報明細書のごとくすでに
公知の処理法、たとえばグラフト変性時あるいはグラフ
ト変性後にエポキシ化合物またはアミノ基もしくは水酸
基などを含む多管能性化合物で処理する方法、さらに加
熱や洗浄などによって未反応モノマー(不飽和カルボン
酸やその誘導体)や副生する諸成分などを除去する方法
を採用することができる。
また、本発明において用いられる後記の線状低密度ポリ
エチレン樹脂および線状超低密度ポリエチレン樹脂の製
造方法は広く知られているものであり、近年スラリー重
合法、あるいは気相重合法などによって工業的に製造さ
れ、広く利用されているものである。
(G)線状低密度ポリエチレン樹脂 本発明において使用される線状低密度ポリエチレン樹脂
は、密度が0.910〜0.935g/cm3であり、MIは0.1〜50g/10
分である。また、後記の方法で測定したDSCによる融点
が115〜130℃であり、しかも主鎖の炭素数1000個当りの
短鎖の分岐数が5〜30個を有するものである。
該線状低密度ポリエチレン樹脂は工業的に製造され、そ
の製造方法についてはよく知られているものである。と
りわけ耐環境応力亀裂性、透明性、ヒートシール性、耐
脆性、低温特性などがすぐれているために多方面にわた
って利用されているものである(たとえば、フィルムな
どの包装材料、パイプなどの工業材料)。
該線状低密度ポリエチレン樹脂はいわゆるチーグラ触媒
を使ってエチレンと後記のα‐オレフィンとを気相法、
溶液法およびスラリー法のいずれかの方法で共重合させ
ることによって製造されているものである。
該線状低密度ポリエチレン樹脂の密度は0.910g/cm3以上
であるが、0.935g/cm3未満であり、0.912g/cm3以上が好
ましく、0.935g/cm3未満が好ましく、特に0.913g/cm3
上であるが、0.935g/cm3未満が好適である。
また、MIは0.1〜50g/10分であり、0.2〜40g/10分が望ま
しく、とりわけ0.2〜30g/10分が好適である。線状低密
度ポリエチレン樹脂のMIが0.1g/10分未満では、成形加
工性がよくない。一方、50g/10分を超えると、得られる
組成物の機械的強度がよくない。
さらに、該線状低密度ポリエチレン樹脂のDSCによる融
点は115〜130℃であり、118〜130℃が好ましく、特に11
8〜125℃のものが好適である。DSCによる融点が115℃よ
りも低いと、室温における長期耐燃料油性がよくない。
一方、130℃を超えると、密度が本発明の範囲の上限を
超える。
また、該線状低密度ポリエチレン樹脂の主鎖の炭素数10
00個当りの短鎖の分岐数は5〜30個であり、とりわけ5
〜25個が好適である。主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の
分岐数が下限未満でも、上限を超えても、いずれも本発
明の組成物の均一性が不充分となって好ましくない。す
なわち、主鎖の炭素数1000個当りの該分岐の数が上記の
範囲をはずれる線状低密度ポリエチレン樹脂を使った組
成物を用いた場合、特に長期における耐燃料油性を評価
するさい、引張伸度の低下が大きいばかりでなく、これ
に耐熱性(具体的には、100℃以上の雰囲気下における
耐久性テスト)が加味された条件では、さらに物性の低
下が起ってくるが、いずれも組成物の組成の不均一性に
よるものと考えられる。
(H)線状超低密度ポリエチレン樹脂 さらに、本発明において使用される線状超低密度ポリエ
チレン樹脂は、従来知られているバナジウム触媒系を用
いて重合することによって得られる結晶化度が数%ない
し約30%の低結晶化度のエチレン‐α‐オレフィンラン
ダム共重合体(密度0.86〜0.91g/cm3)とは異なり、た
とえば特開昭57-68306号、同59-23011号、同62-109805
号各公報に記載されているような立体規則性触媒(いわ
ゆるチーグラー触媒)を用いてスラリー法または気相法
で製造される線状低密度ポリエチレン樹脂である。
本発明における線状超密度ポリエチレン樹脂は、密度が
0.890g/cm3以上であるが、0.910g/cm3未満であり、MIが
0.1〜30g/10分であり、かつDSCによる融点が110〜125℃
であり、しかも主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の分岐数
が18〜60個である線状低密度ポリエチレン樹脂である。
本発明において、該ポリエチレン系樹脂の密度が0.890g
/cm3未満では、得られる組成物の耐燃料油性の点で問題
である。一方、0.910g/cm3を超えると、得られる組成物
の耐衝撃性の点で不充分である。これらのことから密度
が0.892〜0.910g/cm3のものが好ましい。
また、該樹脂のMIが0.01g/10分未満では、成形性および
加工性の点で好ましくない。一方、30g/10分を超える
と、耐衝撃性の点で問題がある。これらのことから、MI
が0.1〜10g/10分が望ましく、とりわけ0.2〜5.0g/10分
が好適である。
さらに、DSC(約5mgのサンプルを秤量し、これをDSC測
定装置にセットし、200℃までに室温より10℃/分の昇
温速度で昇温した後、その温度で5分間保持し、ついで
10℃/分の降温速度で室温まで降温させ、さらに前記の
昇温速度で昇温した時の最大吸熱領域のピークの温度を
もって融点とする)で示される融点は110〜125℃を有す
るものである。特に、112〜125℃のものが好ましい。融
点が110℃よりも低いと、得られる組成物の耐熱性の点
で不充分である。一方、125℃よりも高いと、耐衝撃性
の改良効果が乏しい。
しかも、該ポリエチレン樹脂の主鎖の炭素数1000個当り
の短鎖の分岐数は18〜60個であり、18〜58個が望まし
く、とりわけ18〜55個が好適である。主鎖の炭素数1000
個当りの短鎖の分岐数が18個未満では、得られる耐衝撃
性の点において問題がある。一方、60個を超えると、耐
燃料油性が大幅に劣る。該線状超低密度ポリエチレン樹
脂でも、前記線状低密度ポリエチレン樹脂の場合でも、
“短鎖”とは、実質的に炭素数が1〜10個(好ましく
は、1〜6個)のアルキル基からなるものである。
加えて、耐衝撃性の改良効果の点から、該ポリエチレン
樹脂の初期の引張弾性率が2×103kgf/cm2以下(好まし
くは、1.5×103kgf/cm2)のものが好ましい。
該線状超低密度ポリエチレン樹脂および前記線状低密度
ポリエチレン樹脂はチーグラー触媒を使ってエチレンと
α‐オレフィンとを共重合させることによって得られる
ものである。該α‐オレフィンの炭素数は通常3〜12個
(好適には、3〜8個)のものが望ましい。望ましいα
‐オレフィンとしては、プロピレン、ブテン‐1、ペン
テン‐1、ヘキセン‐1、4-メチルペンテン‐1および
オクテン‐1があげられる。
(J)組成割合 本発明において、前記高密度ポリエチレン樹脂および変
性ポリエチレン樹脂の合計量中に占める変性ポリエチレ
ン樹脂の組成割合は少なくとも0.1重量%であり、1.0重
量%以上が望ましく、とりわけ2.5重量%以上が好適で
ある。高密度ポリエチレン樹脂および変性ポリエチレン
樹脂の組成割合が0.1重量%未満では、本発明の目的と
する前記樹脂材料や金属材料などとの親和性または接着
性を満足するポリエチレン系樹脂組成物を得ることがで
きない。
また、前記高密度ポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン
樹脂および線状低密度ポリエチレン樹脂の合計量中に占
める線状低密度ポリエチレン樹脂の組成割合は2.5〜75
重量%であり、5.0〜75重量%が好ましく、特に5.0〜60
重量%が好適である。高密度ポリエチレン樹脂、変性ポ
リエチレン樹脂および線状低密度ポリエチレン樹脂の合
計量中に占める線状低密度ポリエチレン樹脂の組成割合
が2.5重量%未満では、全組成物における組成物の均一
性が劣る。一方、75重量%を超えると、耐熱性および高
温における長期的耐燃料油性が劣る。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物中の前記線状超低密
度ポリエチレン樹脂の組成割合は5.0〜40重量%であ
り、5.0〜37.5重量%が望ましく、とりわけ6.0〜37.5重
量%が好適である。ポリエチレン系樹脂組成物中の線状
超低密度ポリエチレン樹脂の組成割合が5.0重量%未満
では、得られる組成物の耐衝撃性の点で劣る。一方、40
重量%を超えると、耐燃料油性(とりわけ、40℃におけ
る耐燃料油性の点で著しく低下するために好ましくな
い。
(K)組成物およびその製造方法 本発明のポリエチレン系樹脂組成物は前記高密度ポリエ
チレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエ
チレン樹脂および線状超低密度ポリエチレン樹脂がそれ
ぞれ前記組成割合の範囲内にあるものである。
一般に、ポリマー(本発明の場合では、高密度ポリエチ
レン樹脂)にモノマー(本発明の場合では、不飽和カル
ボン酸やその誘電体)をグラフト変性するさい、かなら
ずしもすべてのポリマーにモノマーがグラフトすること
は難しく、その一部がグラフトしていないポリマーが存
在する。本発明においては、グラフトしていない高密度
ポリエチレン樹脂を分離することなく、そのまま使用し
てもよい。また、グラフト処理していない高密度ポリエ
チレン樹脂をさらに配合してもよい。
また、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレ
ン樹脂および線状超低密度ポリエチレン樹脂とをあらか
じめ混合し、得られる混合物と変性ポリエチレン樹脂を
混合してもよく、全組成成分を同時に混合してもよい。
以上のいずれの場合でも、本発明のポリエチレン系樹脂
組成物中に占めるグラフトしたモノマーの割合はそれら
の合計量として0.001〜5.0重量%であり、0.01〜2.0重
量%が望ましく、とりわけ0.02〜1.0重量%が好適であ
る。ポリエチレン系樹脂組成物中に占めるグラフトした
モノマーの割合がそれらの合計量として0.001重量%未
満では、本発明の種々の効果を充分に発揮することがで
きない。一方、5.0重量%を超えたとしても、本発明の
効果をさらに向上することができない。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物を製造するにあた
り、該組成物の効果を実質的に損なわない範囲でポリオ
レフィン系樹脂の分野において一般に使用されている酸
化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止
剤、顔料(着色剤)などの添加剤を配合することができ
る。
該組成物を製造するための混合方法としては、合成樹脂
の分野において一般に行なわれている各種の混合方法、
すなわちタンブラーやヘンシェルミキサーのごとき混合
機を使ってドライブレンドする方法、押出機、ニーダ
ー、バンバリーミキサーおよびロールごとき混練機を用
いて溶融混練する方法のいずれかの方法を採用すること
ができる。このさい、これらの混合方法のうち、二つ以
上を実施することによって一層均一な組成物を得ること
ができる(たとえば、あらかじめドライブレンドし、得
られる混合物をさらに溶融混練する方法。) (L)加工方法など このようにして得られる本発明のポリエチレン系樹脂組
成物は工業缶やガソリンなどの燃料油タンクなどの容器
に応用することができ、一般にその成形方法として実施
されている中空形成法によって希望する形状に容易に賦
形することが可能であり、従来にない耐衝撃性にすぐれ
た物品を得ることができる。また、中空成形法以外に
も、キャップや種々の工業部材として射出成形法や圧縮
成形法などによって容易に種々の部品を得ることができ
る。
さらに、近年において自動車の燃料油タンクなどにポリ
エチレン樹脂が採用されるようになってきたが、これら
のタンクから燃料油の透過を防止する手段の一つとして
開発が進められているポリエチレン樹脂(PA)をバリヤ
ー層とした多層燃料油タンクにおけるバリヤー材(PA)
と主材(主として、高密度ポリエチレン樹脂)の接着層
として、本発明のポリエチレン系樹脂組成物はすぐれた
耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)と耐燃料油性を
併せ有するために特に有用である。この場合の多層構成
としては、主材をA、バリヤー材をB、本発明の組成物
をCとして、A/C/B、A/C/B/C/A、A/C/B/C/、C/B/C/Aな
どの三層またはそれ以上(もちろん、これらの構成中に
AとC層間に、たとえば中空成形で発生するバリ層を入
れた層を設けてもよい)である。
また、本発明のポリエチレン系樹脂組成物はPAなどのバ
リヤー樹脂との親和性および接着性を有するため、これ
らを主材としたC/BまたはC/B/Cの二種二層あるいは二種
三層とからなる積層物として用いることができる。
〔実施例および比較例〕
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明する。
なお、実施例および比較例において、耐衝撃性はJIS K7
110法に従い、厚さが3mmのプレス板を用い、23℃および
−35℃の温度におけるノッチ付アイゾット衝撃強度を測
定した。また、耐熱耐燃料油性(耐久性テスト)は厚さ
が2mmのプレス板から作成したJIS 2号試験片を110℃
のギヤオーブン中に120時間静置した後、40℃の市販レ
ギュラーガソリン中に2000時間浸漬した後、JIS K7113
法に従って引張破断伸度(E1)を測定し、該耐久テスト
をしない試片の引張破断伸度(E0)を測定し、低下率
(E0−E1)を計算で求めた。
なお、実施例および比較例において使った変性ポリエチ
レン樹脂は次のようにして製造した。
MIが0.9g/10分であり、密度が0.953g/cm3である粉末状
の高密度ポリエチレン樹脂〔以下「HDPE(i)」と云
う〕100重量部にラジカル開始剤として2,5-ジメチル‐
2,5-第三級‐ブチルパーオキシヘキサンを0.010重量部
を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて2分間ドライブ
レンドを行なった。ついで、得られる混合物に不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体として無水マレイン酸〔以下
「MAH」と云う〕を0.37重量部を加え、さらにヘキシェ
ルミキサーで3分間ドライブレンドを行なった。得られ
た混合物を押出機(径40mm)を使用し、265℃の樹脂温
度で溶融混練し、ペレット化して変性ポリエチレン樹脂
〔以下「変性PE(A)」と云う〕を作成した。該変性PE
(A)を赤外吸収スペクトル法〔以下「IR法」と云う〕
によって測定したグラフトされたMAHの量は0.33重量%
であった。
前記変性PE(A)を製造するさいに用いたHDPE(i)の
かわりに、MIが0.25g/10分であり、かつ密度が0.955g/c
m3である高密度ポリエチレン樹脂〔以下「HDPE(ii)」
と云う〕を使用したほかは、変性PE(A)の場合と同様
にドライブレンドおよび溶融混練を行ない、変性ポリエ
チレン樹脂〔以下「変性PE(B)」と云う〕を製造し
た。該変性PE(B)をIR法によって測定したグラフトさ
れたMAHの量は0.31重量%であった。同様に前記変性PE
(A)を製造するさいに用いたHDPE(i)のかわりに、
MIが2.0g/10分であり、かつ密度が0.944g/cm3である高
密度ポリエチレン樹脂〔以下「HDPE(iii)」と云う〕
を使ったほかは、前記と同様にドライブレンドおよび溶
融混練を行ない、変性ポリエチレン樹脂(以下「変性PE
(C)」と云う〕を製造した。該変性PE(C)をIR法に
よって測定したグラフトされたMAHの量は0.31重量%で
あった。さらに、同様に前記変性PE(A)を製造するさ
いに使ったHDPE(i)のかわりに、MIが2.0g/10分であ
り、密度が0.895g/cm3であり、DSC法による融点(m.
p.)が97℃であり、主鎖の炭素数1000個当りの分岐数
〔以下、単に「分岐数」と云う〕が70個であるエチレン
とブテン‐1との共重合体〔以下LVLDPE(a)」と云
う〕を用いたほかは、前記と同様にドライブレンドおよ
び溶融混練を行ない、ポリエチレン樹脂組成物の変性物
〔以下「変性PE(D)」と云う〕を製造した。該変性PE
(D)をIR法によって測定したグラフトされたMAHの量
は0.29重量%であった。また、線状低密度ポリエチレン
樹脂〔以下「L-LDPE」と云う〕として、密度が0.929g/c
m3であり、MIが0.890g/10分であり、DSC法による融点が
120℃であり、かつ分岐数が24個であるエチレンとブテ
ン‐1との共重合体〔以下「LLDPE(I)」と云う〕お
よび密度が0.921g/cm3であり、MFRが2.0g/10分であり、
DSC法による融点が120℃であり、しかも分岐数が19個で
あるエチレンとブテン‐1との共重合体〔以下「LLDPE
(II)」と云う〕を用いた。
さらに、線状超低密度ポリエチレン樹脂〔以下「VLDP
E」と云う〕として、チタンを含有する固体触媒成分と
有機アルミニウム化合物系からなる触媒を用いてスラリ
ー状態で重合された密度が0.903g/cm3であり、MIが1.1g
/10分であり、DSC法による融点が120℃であり、分岐数
が30個である線状超低密度ポリエチレン樹脂〔以下「LV
LDPE(a)」と云う〕ならびに該LVLDPE(a)と同様に
製造した密度が0.897g/cm3であり、MIが0.71g/10分であ
り、かつm.p.が116℃であり、しかも分岐数が37個であ
る線状超低密度ポリエチレン樹脂〔以下「LVLDPE
(b)」と云う〕を使用した。
実施例1〜10、比較例1〜7 第1表にそれぞれの種類および混合割合が示されている
変性ポリエチレン樹脂など(以下「変性物」と云う)、
高密度ポリエチレン樹脂〔以下「HDPE」と云う〕、L-LD
PEおよびLVLDPEをあらかじめヘンシェルミキサーを使っ
てドライブレンドを2分間行なった。得られた各混合物
をダルメージスクリューを装備した押出機(径50mm)を
用い、200〜210℃の範囲の樹脂温度で溶融混練しながら
ペレット状のポリエチレン系樹脂組成物(各組成物の略
称を第1表に示す)を製造した。得られた各ポリエチレ
ン系樹脂組成物をアイゾット衝撃強度および耐熱耐燃料
油性を測定するための試片を製造し、23℃および−35℃
の温度におけるアイゾット衝撃強度ならびに耐熱耐燃料
油性試験として耐久性テストを行なった引張破断伸度
(E1)および耐久性テストを行なわない試片の引張破断
伸度(E0)の測定を行なった。さらに、ポリアミド樹脂
(ナイロン6)との初期接着性および接着耐久性につい
て測定した。それらの結果を第2表に示す。
以上のようにした得られた本発明のポリエチレン系樹脂
組成物を評価するために後記の参考例および比較例によ
って得られたポリエチレン系樹脂組成物などを対照例と
し、ポリアミド樹脂との接着性について対比することに
よって本発明の効果を明らかにする。
〔参考例および対照例〕
接着性は、径がそれぞれ内層および外層用として40mmお
よび中間層用として30mmの二台押出機と二種三層の多層
Tダイを装備した多層共押出装置を用い、ナイロン6
(東レ社製、商品名アミラン CM1046)を厚さが0.10mm
の中間層を、また実施例または比較例で作成したポリエ
チレン系樹脂組成物などを各層の厚さが0.20mmである内
外層とした二種三層のシートを成形温度が230℃で作成
した。得られた各シートの試片(幅10mm、長さ150mm)
についてナイロン6の界面でテンシロン型引張試験機を
用いて剥離速度が50mm/分でT型剥離を行なって処理前
として剥離抵抗値(kg/cm幅)を求めた。さらに接着性
についての耐熱耐燃料油性の評価として、前記と同様の
各多層切片を110℃のオーブン中に96時間静置した後、4
0℃の市販レギュラーガソリン中に2000時間浸漬した
後、同様にしてナイロン6との接着性を処理後として求
めた。それらの結果を第3表に示す。
〔発明の効果〕 本発明のポリエチレン径樹脂組成物は、下記のごとき効
果を発揮する。
(1)常温における耐衝撃性がすぐれていることはもち
ろんのこと、低温(たとえば、−35℃)における耐衝撃
性についても良好である。
(2)耐熱耐燃料油性がすぐれている。
(3)ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、EVOH、熱可
塑性ポリエステル樹脂などの各種樹脂材料や各種金属と
の親和性および接着性が良好であり、とりわけポリエチ
レン樹脂とポリアミド樹脂との間に本発明の組成物を介
在させた積層物を作成することもできる。該積層物は耐
熱耐燃料油性がすぐれている。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物は以上のごとき効果
を発揮するため多方面にわたって利用することができ
る。とりわけ、前記の各種樹脂材料や各種金属材料と接
着、あるいはそれらの間に介在させて各分野にわたって
利用することができる代表的な用途を下記に示す。
(1)ガソリンタンクのごとき燃料油を用いる各種容器
やその他の部品。
(2)各種包装材料。
(3)各種産業資材。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:06 23:26 51:06)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)密度が0.935g/cm3以上であり、かつ
    メルトインデックスが0.01g/10分以上である高密度ポリ
    エチレン樹脂、 (B)該高密度ポリエチレン樹脂に不飽和カルボン酸お
    よびその誘導体からなる群からえらばれた少なくとも一
    種のモノマーがグラフトした変性ポリエチレン樹脂、 (C)主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の分岐数が5〜30
    個であり、かつ密度が0.910g/cm3以上であるが、0.935g
    /cm3未満であり、メルトインデックスが0.1〜50g/10分
    であり、しかも示差走査熱量計法による融点が115〜130
    ℃である線状低密度ポリエチレン樹脂、 ならびに (D)主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の分岐数が18〜60
    個であり、かつ密度が0.890g/cm3以上であるが、0.910g
    /cm3未満であり、メルトインデックスが0.1〜30g/10分
    であり、しかも示差走査熱量計法による融点が110〜125
    ℃である線状超低密度ポリエチレン樹脂、 からなる組成物であり、該高密度ポリエチレン樹脂およ
    び変性ポリエチレン樹脂の合計量中に占める変性ポリエ
    チレンの組成割合は少なくとも0.1重量%であり、かつ
    該高密度ポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂およ
    び線状低密度ポリエチレン樹脂の合計量中に占める線状
    低密度ポリエチレン樹脂の組成割合は2.5〜75重量%で
    あり、しかも全組成物中に占める該線状超低密度ポリエ
    チレン樹脂の組成割合は5.0〜40重量%であり、全組成
    物中に占めるグラフトしたモノマーの割合は0.001〜5.0
    重量%であるポリエチレン系樹脂組成物。
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