JPH06192525A - サーモクロミック樹脂組成物 - Google Patents

サーモクロミック樹脂組成物

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Publication number
JPH06192525A
JPH06192525A JP35901692A JP35901692A JPH06192525A JP H06192525 A JPH06192525 A JP H06192525A JP 35901692 A JP35901692 A JP 35901692A JP 35901692 A JP35901692 A JP 35901692A JP H06192525 A JPH06192525 A JP H06192525A
Authority
JP
Japan
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meth
vinylidene fluoride
resin composition
hexafluoropropylene copolymer
polymer
Prior art date
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Pending
Application number
JP35901692A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Muramatsu
淳一 村松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurabe Industrial Co Ltd
Original Assignee
Kurabe Industrial Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH06192525A publication Critical patent/JPH06192525A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い温度域において、使用面に接着、塗布、
印刷などを行うことにより簡単に周囲温度に応じた表示
を行うことができ、単独の使用でも温度変化に応じた調
光機能を有する安価でかつ実用的であり、さらには耐熱
性に優れたサーモクロミック樹脂組成物を提供する。 【構成】 低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系重合
体との混合物からなり、100℃以下の曇点を有するこ
と。また、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系重合
体との混合物からなり、前記混合物が架橋剤により架橋
されてなること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LCST型の相図を示
し転移温度を境にして透明度が変化する、すなわち光透
過性が変化する特性を有するサーモクロミック樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリマーブレンドの相溶−相分離
現象を利用したサーモクロミック樹脂組成物が提案され
ている。このポリマーブレンド系では、相溶状態ではブ
レンドされたポリマー同士が分子レベルで均一に混合し
て透明であるが、相分離状態ではミクロ相分離構造を形
成するため光は散乱され白濁する。LCST型の相図を
有するポリマーブレンド系は、低温側では1相で透明で
あるが、転移温度より高温側では2相に分離して不透明
となる、というサーモクロミック機能を有している。
【0003】従来、フッ化ビニリデン系ポリマーとメタ
クリル酸エステル系ポリマーとを組み合わせたポリマー
ブレンドにおいて、LCST型の相図を有し、相溶−相
分離が可逆的に起こる系が種々知られている。たとえ
ば、フッ化ビニリデン系ポリマーにフッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロアセトン共重合体を用いたものとして、
特開昭61−190546号公報、特公昭63−657
06号公報、特開昭62−188037号公報、特公平
4−49176号公報に開示されたものがある。
【0004】上記特開昭62−188037号公報にお
いては、メチルメタクリレート重合体、エチルメタクリ
レート重合体との組み合わせで、それぞれ235℃、2
14℃の曇点を有することが示されており、フッ化ビニ
リデン系ポリマーとしてフッ化ビニリデン−トリフルオ
ロエチレン共重合体としたものも曇点を有することが実
施例に示されている。さらに同特開昭62−18803
7号公報においては、フッ化ビニリデン重合体、フッ化
ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロイソブテン共重合体、フッ
化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、或いはフッ化ビニリデンと前記モノマーとの3元共
重合体においても相溶−相分離によるサーモクロミック
機能が得られるとしている。また、前記特公昭63−6
5706号公報においても同様の一連のフッ化ビニリデ
ン系ポリマーが記載されている。
【0005】また、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
アセトン−テトラフルオロエチレン共重合体を用いたも
のとして、特開昭63−159459号公報にはメチル
メタクリレート重合体との組み合わせで170℃の曇点
を有することが示されている。さらに、フッ化ビニリデ
ン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体を用いたものとして、特開平3−36092
号公報、特開平3−42278号公報にはメチルメタク
リレート重合体との組み合わせにより147℃、125
℃の曇点を有することが示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のポリマ
ーの組み合わせをサーモクロミック樹脂組成物として適
用しようとした場合、次のような問題がある。すなわ
ち、ヘキサフルオロアセトンを原材料としたフッ化ビニ
リデン系ポリマーは特殊なポリマーで工業製品としての
入手が困難であり、従って実験室レベルで合成する必要
があるが安定した品質で大量に合成することは難しく、
必然的に非常に高価なものとなり実用に向かない。また
ヘキサフルオロアセトンは有毒物質であり取扱いには細
心の注意が必要である。またより広い温度域、特にエネ
ルギー的にみてより少ないエネルギーである低温域にお
いて相溶−相分離現象を得たいとする観点からは、前述
のフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体とメチルメタクリレート重
合体とを組み合わせたもの(147℃、125℃の曇
点)よりさらに一層低温域での曇点の発現が望まれる。
さらに耐熱性の観点からは、従来示されているポリマー
ブレンド系は熱可塑性であるため加熱により変形や流動
のおそれがあり十分な耐熱性を保持しているとはいえな
い。
【0007】本発明は上述の問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的とするところは、広い温度
域において、使用面に接着、塗布、印刷などを行うこと
により簡単に周囲温度に応じた表示を行うことができ、
単独の使用でも温度変化に応じた調光機能を有する安価
でかつ実用的であり、さらには耐熱性に優れたサーモク
ロミック樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】LCST型相図を示し相
溶−相分離が可逆的に起こるという特徴を有するフッ化
ビニリデン系ポリマーとメタクリル酸エステル系重合体
とのポリマーブレンド系において、上記目的を達成すべ
く鋭意検討を進めた結果、以下の手段により上記目的を
達成できることを見出し本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明によるサーモクロミック
樹脂組成物は、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体とメタクリル酸エステル系重合体
との混合物からなり、100℃以下の曇点を有するこ
と、を特徴としている。また、本発明の他の態様におけ
るサーモクロミック樹脂組成物は、低粘度フッ化ビニリ
デン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とメタクリル
酸エステル系重合体との混合物からなり、前記混合物が
架橋剤により架橋されてなること、を特徴としている。
【0010】本発明において低粘度フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体とは、室温で半液状
のポリマーを意味し、室温で固体のポリマーの粘度がム
ーニー粘度で規定されるのに対し、本発明での低粘度フ
ッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体は
液体の粘度の概念がそのまま適用される。具体的には本
発明による低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体の粘度は、50〜100℃における粘
度が5000〜1ps、好ましくは1000〜10ps
の範囲のものであり、かかる共重合体の一例としては、
100℃での粘度が2000cpsであるもの、60℃
での粘度が500psであるものが工業製品として入手
可能である。
【0011】メタクリル酸エステル系重合体としては、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリ
ル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル
酸2−ブチル、メタクリル酸t−ブチルの重合体、又は
前記モノマーの2種以上を任意に組み合わせた共重合体
が好ましく用いられる。ここで、メタクリル酸エステル
系重合体は、そのガラス転移点(Tg)が−30〜50
℃、好ましくは−20〜40℃、さらに好ましくは−1
5〜20℃のものが用いられる。ガラス転移点が50℃
を越えるものでは100℃以下の曇点を有する組成物を
得ることができない。一方、−30℃未満のものでは低
粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体との相溶性に乏しい。
【0012】低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体とメタクリル酸エステル系重合体と
の混合物の混合比率は任意の比率が可能であるが、固体
のサーモクロミック樹脂組成物を得るには、メタクリル
酸エステル系重合体の重量百分率を30%以上、使用す
るメタクリル酸エステル系重合体の種類や単独重合体で
あるか共重合体であるかによっても異なるが、好ましく
は40〜90%、さらに好ましくは50〜80%とする
ことが望ましい。30%未満の場合、ポリマーブレンド
物はタック性を示すようになり、経済性の観点からもメ
タクリル酸エステル系重合体の含有率が高いほど有利で
ある。一方、90%を越えると相溶−相分離現象を示す
臨界点が高くなり低温域での曇点の発現が難しくなる。
【0013】本発明によるサーモクロミック樹脂組成物
は、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体とメタクリル酸エステル系重合体との混合物
からなり、100℃以下、さらには80℃以下の曇点を
有するものである。このように低温度において相溶−相
分離現象が発現されるので、極めて低エネルギーレベル
でのサーモクロミック機能の利用が可能である。なお、
曇点が室温以下では利用に際し不具合があるので、曇点
の下限としては室温より高い、具体的には40℃以上、
好ましくは50℃以上であることが望ましい。
【0014】次に、本発明の他の態様において、低粘度
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
とメタクリル酸エステル系重合体との混合物が、架橋剤
により架橋されてなるサーモクロミック樹脂組成物は、
その3次元網目構造のために耐熱性に優れている。ここ
で用いる架橋剤としては、多官能(メタ)アクリル酸エ
ステル又は官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル
が好ましい。このうち、サーモクロミック樹脂組成物の
成形と同時に架橋する場合には多官能(メタ)アクリル
酸エステルを、組成物を一旦成形したのち架橋する場合
には官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルを、そ
れぞれ架橋剤として用いる。このように用途に応じて架
橋剤を選択できる。
【0015】ここで、多官能(メタ)アクリル酸エステ
ルとしては、架橋剤として作用するものであれば特に限
定されるわけではないが、例えば、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、グリセリンジ(メタ)アクリレート、EO変性ビス
フェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性テトラ
ブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジブロモ
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパ
ン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキ
シ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メ
タ)アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリエトキ
シ)フェニル〕プロパン、ポリエチレングリコール#2
00ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
#400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ール#600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコール#1000ジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。この
多官能(メタ)アクリル酸エステルの添加量は、相溶−
相分離現象に影響を与えないかぎりその上限は特に限定
されないが、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体とメタクリル酸エステル系重合体と
の混合物100重量部に対し、好ましくは10重量部以
下、より好ましくは7重量部以下、さらに好ましくは
0.05〜5重量部の範囲である。あまり添加量が少な
いと架橋による耐熱性向上の効果が発揮されない。
【0016】他方、官能基を有する(メタ)アクリル酸
エステルとしては、架橋剤として作用するものであれば
特に限定されるわけではないが、例えば、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク
酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、
モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッド
ホスフェート、グリセロールモノ(メタ)アクリレー
ト、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルト
リメトキシシランが挙げられる。これらの官能基を有す
る(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステ
ル系重合体に共重合により組み込まれ官能基と反応性を
もつ物質と反応させて架橋するものである。この官能基
を有する(メタ)アクリル酸エステルの添加量は、低粘
度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体とメタクリル酸エステル系重合体との混合物100重
量部に対し、好ましくは0.05〜50重量部、さらに
好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。添加量が
50重量部を越えると相溶−相分離現象が明確に発現さ
れ難くなり、一方0.05重量部未満では架橋による耐
熱性向上の効果が発揮されない。
【0017】従来のLCST型相図を示すフッ化ビニリ
デン系ポリマーとメタクリル酸エステル系ポリマーとの
ポリマーブレンド系によるサーモクロミック樹脂組成物
では、一般に、架橋した場合には相溶−相分離現象が明
確に発現されないが、本発明においては、上記のように
架橋剤を限定することによって相溶−相分離現象が可逆
的に発現されるのである。これは低粘度フッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の配合効果によ
るところが大きいためと考えられる。
【0018】
【作用】本発明のサーモクロミック樹脂組成物は、LC
ST型相図を有し転移温度を境にして透明度が変化す
る、すなわち光透過性が変化する特性を有する。この特
性を利用することにより温度変化に応じた表示作用、調
光機能作用を可能とする。
【0019】本発明の低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体とメタクリル酸エステル系
重合体との混合物からなり、100℃以下の曇点を有す
るサーモクロミック樹脂組成物において、白濁状態の樹
脂組成物を所定温度より低温側でかつ樹脂組成物の有す
るガラス転移点より高温側に徐冷すれば、樹脂組成物は
白濁状態から透明状態へと変化する。この特性により前
述の表示作用、調光機能作用を所定温度を境にして可逆
的に行うことが可能である。また白濁状態の樹脂組成物
をガラス転移点以下に急冷することにより白濁状態を保
持することも可能である。上記所定温度はポリマー系列
素材を構成する物質を選択することにより、また、低粘
度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体とメタクリル酸エステル系重合体との混合比を選択す
ることにより任意に設定することができる。
【0020】さらに多官能(メタ)アクリル酸エステル
又は官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルからな
る架橋剤によって本発明のサーモクロミック樹脂組成物
に3次元網目構造を付与する場合には、加熱による変
形、流動が抑制され耐熱性が向上する。従って、特に耐
熱性の要求される用途で使用するのに好適である。この
サーモクロミック樹脂組成物は、3次元網目構造を有す
るにもかかわらず所定温度を境にしてそれより高温側で
白濁変化を生じ、表示体、若しくは調光材料として十分
な機能をもつ。さらに、白濁状態にある前記手段により
架橋したサーモクロミック樹脂組成物を所定温度より低
温側でかつ樹脂組成物の有するガラス転移点より高温側
にすれば、樹脂組成物は白濁状態から透明状態へと速や
かに変化する。このような特性により前述の表示作用、
調光機能作用を所定温度を境にして可逆的に行うことが
可能である。また白濁状態にある前記手段により架橋し
たサーモクロミック樹脂組成物をガラス転移点以下に急
冷することにより白濁状態を保持することも可能であ
る。上記所定温度はポリマー系列素材を構成する物質を
選択することにより、また、低粘度フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体とメタクリル酸エス
テル系重合体との混合比を選択することにより任意に設
定することができる。
【0021】本発明のサーモクロミック樹脂組成物の利
用は、前述の表示作用、調光機能に限定されることな
く、透明−白濁状態の変換を利用できるものであればそ
の用途に制限はない。例えば、記録媒体へ利用するとき
は、低温度、すなわち低エネルギーで透明−白濁状態の
変換を実現できることから極めて有利である。なお、サ
ーモクロミック樹脂組成物を所定温度以上に昇温する方
法としては特に制限はなく、通常用いられる各種ヒータ
ー、温風などの他、レーザー光、電磁波などを用いても
よい。
【0022】
【実施例】以下の実施例は、本発明をさらに具体的に説
明するためのものである。本発明はこれらの実施例によ
り限定されるものではない。実施例1 メタクリル酸エステル系重合体としてポリメタクリル酸
nブチルを使用する。また、フッ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体としては粘度の異なる3種
類(A,B,C)を用意した。フッ化ビニリデン−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体Aは100℃におけるム
ーニー粘度(ML1+10)が97で室温で固体であり、フ
ッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体B
は100℃におけるムーニー粘度(ML1+10)が66で
室温で固体であり、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体Cは100℃における粘度が200
0cpsで室温で半液状である。
【0023】上記ポリメタクリル酸nブチルとフッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Aとを重
量比率7:3としてメチルエチルケトンに合計3重量%
の濃度になるように溶解させるとともに、プレパラート
上にキャスト成膜を行なってキャスト膜を得た。また、
ポリメタクリル酸nブチルとフッ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体B、ポリメタクリル酸nブ
チルとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体Cについても同様の工程を経てキャスト膜を得
た。
【0024】その結果、ポリメタクリル酸nブチルとフ
ッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体C
との混合物の場合には透明なキャスト膜が得られたのに
対して、ポリメタクリル酸nブチルとフッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Aとの混合物、ポ
リメタクリル酸nブチルとフッ化ビニリデン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体Bとの混合物の場合には2相
に分離して均一なキャスト膜を得ることは出来なかっ
た。すなわち、半液状のフッ化ビニリデン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体Cの場合だけがポリメタクリル
酸nブチルと相溶性であることが判明した。
【0025】また、これらをDSC(示差走差熱量計)
によって測定したところ、フッ化ビニリデン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体A,Bを使用したものはガラ
ス転移点が2つ観測されたのに対して、フッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Cを使用したも
のは単独のガラス転移点が観察されその曇点(白濁変化
する温度)は60℃であった。つまり、前述のポリメタ
クリル酸nブチルとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体Cの混合物は所定温度60℃での表
示体、調光材料として機能することが可能なサーモクロ
ミック樹脂組成物である。また、ポリメタクリル酸nブ
チルに代えてポリメタクリル酸tブチルを使用した場
合、曇点は90℃であった。さらに、ポリメタクリル酸
nブチルとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体Cを1:1の重量比率とした他は上記と同様
にして得られた組成物では、曇点は50℃であった。
【0026】実施例2 メタクリル酸エステル系重合体としてメタクリル酸エチ
ルとメタクリル酸nブチルを使用するものとし、メタク
リル酸エチルとメタクリル酸nブチルをモル比率2:3
とした混合物を用意した。そして、該混合物7.0gと
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
C3.0gを試験管に入れフッ化ビニリデン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体Cを溶解したのち、重合開始
剤としてのジラウロイルパーオキサイド0.05gを入
れ窒素置換後、試験管を封止し70℃で7時間塊状重合
を行った。
【0027】得られた重合体組成物は、室温で無色透明
であり加熱すると100℃で白濁し曇点が発現した。ま
た、DSCにより単独のガラス転移点をもつことを確認
した。よって、所定温度100℃での表示体、調光材料
として機能することが可能な樹脂組成物であることがわ
かった。さらに、メタクリル酸エチルとメタクリル酸n
ブチルをモル比率1:4とした他は上記と同様にして得
られた組成物では、曇点は75℃であった。
【0028】実施例3 メタクリル酸エステル系重合体としてメタクリル酸メチ
ルとメタクリル酸nブチルを使用するものとし、メタク
リル酸メチルとメタクリル酸nブチルをモル比率1:1
とした混合物を5.0g用意した。そして、フッ化ビニ
リデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体C5.0g
を溶解しモノマー溶液とした。厚さ2mmのガラス板を
塩化ビニルパッキンを用いて間隔3mmに保持し、注入
口を除き全体をシールした。これを止め金により固定し
た後、窒素置換と真空脱泡した前記モノマー溶液を前記
注入口から流し込み注入口を直ちに閉鎖してから70℃
の温水浴で7時間キャスト重合してキャスト板を得た。
【0029】得られたキャスト板は室温で無色透明であ
り加熱すると100℃で白濁し曇点が発現した。また、
室温に徐冷すると再び無色透明なキャスト板に戻ること
を確認した。また、DSCにより単独のガラス転移点を
もつことを確認した。よって、所定温度100℃での表
示体、調光材料として機能することが可能な樹脂組成物
であることがわかった。さらに、メタクリル酸メチルと
メタクリル酸nブチルをモル比率1:4とした他は上記
と同様にして得られた組成物では、曇点は65℃であっ
た。
【0030】実施例4 まず、メタクリル酸エチルと、多官能メタクリレートと
してエチレングリコールジメタクリレートを使用するも
のとし、メタクリル酸エチルを8.0g、およびエチレ
ングリコールジメタクリレートを0.1g試験管に入れ
てフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体C2.0gを溶解した後、ジラウロイルパーオキサイ
ド0.05gを入れて窒素置換後、試験管を封止し70
℃で7時間塊状重合を行った。
【0031】得られた重合体組成物は室温で無色透明で
あり加熱すると190℃で白濁した。また、加熱しても
変形や流動は見られなかった。白濁した樹脂組成物を室
温に放置するとすみやかに無色透明に戻った。この樹脂
組成物をメチルエチルケトン中に入れ24時間放置後の
重量の残率を測定したところ、重量残率は83.9%で
あり架橋していることが確認された。比較として、実施
例3の樹脂組成物をメチルエチルケトン中に入れ24時
間放置したところ実施例3の樹脂組成物は完全に溶解し
た。すなわち、本実施例4の樹脂組成物は、190℃で
の表示体、調光材料として機能することが可能な樹脂組
成物であるとともに、加熱によっても変形や流動の見ら
れない耐熱性の良好な樹脂組成物であることが判った。
【0032】実施例5 多官能メタクリレートとして1,10−デカンジオール
ジメタクリレートを使用するものとし、メタクリル酸エ
チルとメタクリル酸nブチルをモル比率1:1とした混
合物7.0g、および1,10−デカンジオールジメタ
クリレート0.05gを試験管に入れてフッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体C3.0gを溶
解した後、ジラウロイルパーオキサイド0.05gを入
れ窒素置換後、試験管を封止し70℃で7時間塊状重合
を行った。
【0033】得られた重合体組成物は室温で無色透明で
あり加熱すると140℃で白濁した。また、加熱しても
変形や流動は見られなかった。白濁した樹脂組成物を室
温に放置するとすみやかに無色透明に戻った。この樹脂
組成物をメチルエチルケトン中に入れ24時間放置後の
重量の残率を測定したところ、重量残率は83.4%で
あり架橋していることが確認された。すなわち、本実施
例の樹脂組成物は、140℃での表示体、調光材料とし
て機能することが可能な樹脂組成物であるとともに、加
熱によっても変形や流動の見られない耐熱性の良好な樹
脂組成物であることが判った。
【0034】実施例6 この実施例は、多官能メタクリレートとしてポリエチレ
ングリコール#600ジメタクリレート0.1gを使用
したこと以外は実施例5と同様の条件としたものであ
る。得られた重合体組成物は室温で無色透明であり加熱
すると130℃で白濁した。また、加熱しても変形や流
動は見られなかった。白濁した樹脂組成物を室温に放置
するとすみやかに無色透明に戻った。この樹脂組成物を
メチルエチルケトン中に入れ24時間放置後の重量の残
率を測定したところ、重量残率(ゲル分率)は85.6
%であり架橋していることが確認された。また同様に、
多官能メタクリレートとして1,4−ブタンジオールジ
メタクリレート0.1g、1,6−ヘキサンジオールジ
メタクリレート0.1g、ポリエチレングリコール#2
00ジメタクリレート0.17gを使用した場合の曇点
及びゲル分率は、それぞれ130℃,77.0%、13
0℃,76.0%、140℃,78.8%であった。
【0035】実施例7 この実施例は、実施例5における多官能メタクリレート
に換えて多官能アクリレートを用いた例でありそれ以外
は実施例5と同様の条件としたものである。多官能アク
リレートとしてエチレングリコールジアクリレート0.
1gを用いて得られた重合体組成物は、室温で無色透明
であり加熱すると130℃で白濁した。また、加熱して
も変形や流動は見られなかった。白濁した樹脂組成物を
室温に放置するとすみやかに無色透明に戻った。また、
ゲル分率は83.2%であり架橋していることが確認さ
れた。また同様に、多官能アクリレートとして1,6−
ヘキサンジオールジアクリレート0.1g、ポリエチレ
ンングリコール#400ジアクリレート0.3gを使用
した場合の曇点及びゲル分率は、それぞれ130℃,7
8.0%、130℃,83.4%であり、同様の効果を
確認した。
【0036】実施例8 本実施例は官能基を有するメタクリル酸エステルを用い
たものである。メタクリル酸エチルとメタクリル酸nブ
チルをモル比率1:1とした混合物を7.0g、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレートを0.45g、フッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Cを3.
0g、ジラウロイルパーオキサイド0.05gを溶解し
たモノマー溶液Aと前記モノマー溶液において2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートの代わりにグリシジルメタ
クリレート0.5gとしたモノマー溶液Bの2種類を用
意し、それぞれ窒素置換後、試験管を封止し70℃で7
時間塊状重合を行った。得られた固体をそれぞれ5gづ
つ取りメチルエチルケトンに溶解して混合したものをガ
ラス板上でキャスト成膜してから60℃で2時間加熱硬
化した。このようにして得られた樹脂組成物は130℃
で白濁し、また加熱によっても変形や流動の見られない
耐熱性の良好なサーモクロミック樹脂組成物であること
が判った。
【0037】実施例9 本実施例は官能基を有するメタクリル酸エステルを用い
たものである。メタクリル酸エチルを7.0g用意し、
官能基を有するメタクリル酸エステルとして3−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシランを0.1g、架橋
促進触媒としてジブチル錫ジラウレートを200pp
m、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体Cを3.0g、ジラウロイルパーオキサイド0.0
5gを溶解したモノマー溶液を用意し、窒素置換後、試
験管を封止し70℃で7時間塊状重合を行った。得られ
た固体を押し出し機で直径1mmの線状に押し出して成
型してから水蒸気雰囲気下に放置して架橋した。このよ
うにして得られた樹脂組成物は190℃で白濁し、また
加熱によっても変形や流動の見られない耐熱性の良好な
サーモクロミック樹脂組成物であることが判った。
【0038】実施例10 多官能メタクリレートとしてエチレングリコールジメタ
クリレートを使用するものとし、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸nブチルをモル比率
1:1:1とした混合物7.0gとフッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体C3.0gを試験管
に入れ、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン
共重合体Cを溶解した後、エチレングリコールジメタク
リレート0.1g、ジラウロイルパーオキサイド0.0
5gを入れて窒素置換後、試験管を封止し70℃で7時
間塊状重合を行った。このようにして得られた重合体組
成物は150℃で白濁し、また加熱によっても変形や流
動の見られない耐熱性の良好な樹脂組成物であることが
判った。
【0039】実施例11 多官能メタクリレートとしてエチレングリコールジメタ
クリレートを使用するものとし、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタ
クリル酸nブチルをモル比率1:1:1:1とした混合
物7.0gとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体C3.0gを試験管に入れ、フッ化ビニリ
デン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Cを溶解した
後、エチレングリコールジメタクリレート0.1g、ジ
ラウロイルパーオキサイド0.05gを入れて窒素置換
後、試験管を封止し70℃で7時間塊状重合を行った。
このようにして得られた重合体組成物は160℃で白濁
し、また加熱によっても変形や流動の見られない耐熱性
の良好な樹脂組成物であることが判った。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、使用
面に接着、塗布、印刷などを行うことにより簡単に周囲
温度に応じた表示を行うことができ、また単独の使用で
も温度変化に応じた調光機能を有し、しかも100℃以
下という低温域での曇点の発現が可能な、安価かつ実用
的なサーモクロミック樹脂組成物を提供することができ
る。また、架橋剤により架橋されてなるサーモクロミッ
ク樹脂組成物においては、耐熱性に優れたものを提供す
ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 サーモクロミック樹脂組成物
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LCST型の相図を示
し転移温度を境にして透明度が変化する、すなわち光透
過性が変化する特性を有するサーモクロミック樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリマーブレンドの相溶−相分離
現象を利用したサーモクロミック樹脂組成物が提案され
ている。このポリマーブレンド系では、相溶状態ではブ
レンドされたポリマー同士が分子レベルで均一に混合し
て透明であるが、相分離状態ではミクロ相分離構造を形
成するため光は散乱され白濁する。LCST型の相図を
有するポリマーブレンド系は、低温側では1相で透明で
あるが、転移温度より高温側では2相に分離して不透明
となる、というサーモクロミック機能を有している。
【0003】従来、フッ化ビニリデン系ポリマーと(メ
タ)アクリル酸エステル系ポリマーとを組み合わせたポ
リマーブレンドにおいて、LCST型の相図を有し、相
溶−相分離が可逆的に起こる系が種々知られている。た
とえば、フッ化ビニリデン系ポリマーにフッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロアセトン共重合体を用いたものとし
て、特開昭61−190546号公報、特公昭63−6
5706号公報、特開昭62−188037号公報、特
公平4−49176号公報に開示されたものがある。
【0004】上記特開昭62−188037号公報にお
いては、メチルメタクリレート重合体、エチルメタクリ
レート重合体との組み合わせで、それぞれ235℃、2
14℃の曇点を有することが示されており、フッ化ビニ
リデン系ポリマーとしてフッ化ビニリデン−トリフルオ
ロエチレン共重合体としたものも曇点を有することが実
施例に示されている。さらに同特開昭62−18803
7号公報においては、フッ化ビニリデン重合体、フッ化
ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロイソブテン共重合体、フッ
化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、或いはフッ化ビニリデンと前記モノマーとの3元共
重合体においても相溶−相分離によるサーモクロミック
機能が得られるとしている。また、前記特公昭63−6
5706号公報においても同様の一連のフッ化ビニリデ
ン系ポリマーが記載されている。
【0005】また、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
アセトン−テトラフルオロエチレン共重合体を用いたも
のとして、特開昭63−159459号公報にはメチル
メタクリレート重合体との組み合わせで170℃の曇点
を有することが示されている。さらに、フッ化ビニリデ
ン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体を用いたものとして、特開平3−36092
号公報、特開平3−42278号公報にはメチルメタク
リレート重合体との組み合わせにより147℃、125
℃の曇点を有することが示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のポリマ
ーの組み合わせをサーモクロミック樹脂組成物として適
用しようとした場合、次のような問題がある。すなわ
ち、ヘキサフルオロアセトンを原材料としたフッ化ビニ
リデン系ポリマーは特殊なポリマーで工業製品としての
入手が困難であり、従って実験室レベルで合成する必要
があるが安定した品質で大量に合成することは難しく、
必然的に非常に高価なものとなり実用に向かない。また
ヘキサフルオロアセトンは有毒物質であり取扱いには細
心の注意が必要である。またより広い温度域、特にエネ
ルギー的にみてより少ないエネルギーである低温域にお
いて相溶−相分離現象を得たいとする観点からは、前述
のフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体とメチルメタクリレート重
合体とを組み合わせたもの(147℃、125℃の曇
点)よりさらに一層低温域での曇点の発現が望まれる。
さらに耐熱性の観点からは、従来示されているポリマー
ブレンド系は熱可塑性であるため加熱により変形や流動
のおそれがあり十分な耐熱性を保持しているとはいえな
い。
【0007】本発明は上述の問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的とするところは、広い温度
域において、使用面に接着、塗布、印刷などを行うこと
により簡単に周囲温度に応じた表示を行うことができ、
単独の使用でも温度変化に応じた調光機能を有する安価
でかつ実用的であり、さらには耐熱性に優れたサーモク
ロミック樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】LCST型相図を示し相
溶−相分離が可逆的に起こるという特徴を有するフッ化
ビニリデン系ポリマーと(メタ)アクリル酸エステル系
重合体とのポリマーブレンド系において、上記目的を達
成すべく鋭意検討を進めた結果、以下の手段により上記
目的を達成できることを見出し本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明によるサーモクロミック
樹脂組成物は、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系
重合体との混合物からなり、100℃以下の曇点を有す
ること、を特徴としている。また、本発明の他の態様に
おけるサーモクロミック樹脂組成物は、低粘度フッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体と(メ
タ)アクリル酸エステル系重合体との混合物からなり、
前記混合物が架橋剤により架橋されてなること、を特徴
としている。
【0010】本発明において低粘度フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体とは、室温で半液状
のポリマーを意味し、室温で固体のポリマーの粘度がム
ーニー粘度で規定されるのに対し、本発明での低粘度フ
ッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体は
液体の粘度の概念がそのまま適用される。具体的には本
発明による低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体の粘度は、50〜100℃における粘
度が5000〜1ps、好ましくは1000〜10ps
の範囲のものであり、かかる共重合体の一例としては、
100℃での粘度が2000cpsであるもの、60℃
での粘度が500psであるものが工業製品として入手
可能である。
【0011】(メタ)アクリル酸エステル系重合体とし
ては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)ア
クリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル
酸2−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルの重合
体、又は前記モノマーの2種以上を任意に組み合わせた
共重合体が好ましく用いられる。ここで、メタクリル酸
エステル系重合体は、そのガラス転移点(Tg)が−3
0〜50℃、好ましくは−20〜40℃、さらに好まし
くは−15〜20℃のものが用いられる。ガラス転移点
が50℃を越えるものでは100℃以下の曇点を有する
組成物を得ることができない。一方、−30℃未満のも
のでは低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体との相溶性に乏しい。
【0012】低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系重
合体との混合物の混合比率は任意の比率が可能である
が、固体のサーモクロミック樹脂組成物を得るには、
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の重量百分率を3
0%以上、使用する(メタ)アクリル酸エステル系重合
体の種類や単独重合体であるか共重合体であるかによっ
ても異なるが、好ましくは40〜90%、さらに好まし
くは50〜80%とすることが望ましい。30%未満の
場合、ポリマーブレンド物はタック性を示すようにな
り、経済性の観点からも(メタ)アクリル酸エステル系
重合体の含有率が高いほど有利である。一方、90%を
越えると相溶−相分離現象を示す臨界点が高くなり低温
域での曇点の発現が難しくなる。
【0013】本発明によるサーモクロミック樹脂組成物
は、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系重合体との
混合物からなり、100℃以下、さらには80℃以下の
曇点を有するものである。このように低温度において相
溶−相分離現象が発現されるので、極めて低エネルギー
レベルでのサーモクロミック機能の利用が可能である。
なお、曇点が室温以下では利用に際し不具合があるの
で、曇点の下限としては室温より高い、具体的には40
℃以上、好ましくは50℃以上であることが望ましい。
【0014】次に、本発明の他の態様において、低粘度
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(メタ)アクリル酸エステル系重合体との混合物が、
架橋剤により架橋されてなるサーモクロミック樹脂組成
物は、その3次元網目構造のために耐熱性に優れてい
る。ここで用いる架橋剤としては、多官能(メタ)アク
リル酸エステル又は官能基を有する(メタ)アクリル酸
エステルが好ましい。このうち、サーモクロミック樹脂
組成物の成形と同時に架橋する場合には多官能(メタ)
アクリル酸エステルを、組成物を一旦成形したのち架橋
する場合には官能基を有する(メタ)アクリル酸エステ
ルを、それぞれ架橋剤として用いる。このように用途に
応じて架橋剤を選択できる。
【0015】ここで、多官能(メタ)アクリル酸エステ
ルとしては、架橋剤として作用するものであれば特に限
定されるわけではないが、例えば、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、グリセリンジ(メタ)アクリレート、EO変性ビス
フェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性テトラ
ブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジブロモ
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパ
ン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキ
シ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メ
タ)アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリエトキ
シ)フェニル〕プロパン、ポリエチレングリコール#2
00ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
#400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ール#600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコール#1000ジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。こ
の多官能(メタ)アクリル酸エステルの添加量は、相溶
−相分離現象に影響を与えないかぎりその上限は特に限
定されないが、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系
重合体との混合物100重量部に対し、好ましくは10
重量部以下、より好ましくは7重量部以下、さらに好ま
しくは0.05〜5重量部の範囲である。あまり添加量
が少ないと架橋による耐熱性向上の効果が発揮されな
い。
【0016】他方、官能基を有する(メタ)アクリル酸
エステルとしては、架橋剤として作用するものであれば
特に限定されるわけではないが、例えば、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク
酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、
モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッド
ホスフェート、グリセロールモノ(メタ)アクリレー
ト、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルト
リメトキシシランが挙げられる。これらの官能基を有す
る(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸
エステル系重合体に共重合により組み込まれ官能基と反
応性をもつ物質と反応させて架橋するものである。この
官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルの添加量
は、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系重合体との
混合物100重量部に対し、好ましくは0.05〜50
重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部の範囲で
ある。添加量が50重量部を越えると相溶−相分離現象
が明確に発現され難くなり、一方0.05重量部未満で
は架橋による耐熱性向上の効果が発揮されない。
【0017】従来のLCST型相図を示すフッ化ビニリ
デン系ポリマーと(メタ)アクリル酸エステル系ポリマ
ーとのポリマーブレンド系によるサーモクロミック樹脂
組成物では、一般に、架橋した場合には相溶−相分離現
象が明確に発現されないが、本発明においては、上記の
ように架橋剤を限定することによって相溶−相分離現象
が可逆的に発現されるのである。これは低粘度フッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の配合効
果によるところが大きいためと考えられる。
【0018】
【作用】本発明のサーモクロミック樹脂組成物は、LC
ST型相図を有し転移温度を境にして透明度が変化す
る、すなわち光透過性が変化する特性を有する。この特
性を利用することにより温度変化に応じた表示作用、調
光機能作用を可能とする。
【0019】本発明の低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体と(メタ)アクリル酸エス
テル系重合体との混合物からなり、100℃以下の曇点
を有するサーモクロミック樹脂組成物において、白濁状
態の樹脂組成物を所定温度より低温側でかつ樹脂組成物
の有するガラス転移点より高温側に徐冷すれば、樹脂組
成物は白濁状態から透明状態へと変化する。この特性に
より前述の表示作用、調光機能作用を所定温度を境にし
て可逆的に行うことが可能である。また白濁状態の樹脂
組成物をガラス転移点以下に急冷することにより白濁状
態を保持することも可能である。上記所定温度はポリマ
ー系列素材を構成する物質を選択することにより、ま
た、低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系重合体との
混合比を選択することにより任意に設定することができ
る。
【0020】さらに多官能(メタ)アクリル酸エステル
又は官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルからな
る架橋剤によって本発明のサーモクロミック樹脂組成物
に3次元網目構造を付与する場合には、加熱による変
形、流動が抑制され耐熱性が向上する。従って、特に耐
熱性の要求される用途で使用するのに好適である。この
サーモクロミック樹脂組成物は、3次元網目構造を有す
るにもかかわらず所定温度を境にしてそれより高温側で
白濁変化を生じ、表示体、若しくは調光材料として十分
な機能をもつ。さらに、白濁状態にある前記手段により
架橋したサーモクロミック樹脂組成物を所定温度より低
温側でかつ樹脂組成物の有するガラス転移点より高温側
にすれば、樹脂組成物は白濁状態から透明状態へと速や
かに変化する。このような特性により前述の表示作用、
調光機能作用を所定温度を境にして可逆的に行うことが
可能である。また白濁状態にある前記手段により架橋し
たサーモクロミック樹脂組成物をガラス転移点以下に急
冷することにより白濁状態を保持することも可能であ
る。上記所定温度はポリマー系列素材を構成する物質を
選択することにより、また、低粘度フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体と(メタ)アクリル
酸エステル系重合体との混合比を選択することにより任
意に設定することができる。
【0021】本発明のサーモクロミック樹脂組成物の利
用は、前述の表示作用、調光機能に限定されることな
く、透明−白濁状態の変換を利用できるものであればそ
の用途に制限はない。例えば、記録媒体へ利用するとき
は、低温度、すなわち低エネルギーで透明−白濁状態の
変換を実現できることから極めて有利である。なお、サ
ーモクロミック樹脂組成物を所定温度以上に昇温する方
法としては特に制限はなく、通常用いられる各種ヒータ
ー、温風などの他、レーザー光、電磁波などを用いても
よい。
【0022】
【実施例】以下の実施例は、本発明をさらに具体的に説
明するためのものである。本発明はこれらの実施例によ
り限定されるものではない。実施例1 (メタ)ア クリル酸エステル系重合体としてポリメタク
リル酸nブチルを使用する。また、フッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体としては粘度の異
なる3種類(A,B,C)を用意した。フッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Aは100℃に
おけるムーニー粘度(ML1+10)が97で室温で固体で
あり、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体Bは100℃におけるムーニー粘度(ML1+10
が66で室温で固体であり、フッ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体Cは100℃における粘度
が2000cpsで室温で半液状である。
【0023】上記ポリメタクリル酸nブチルとフッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Aとを
重量比率7:3としてメチルエチルケトンに合計3重量
%の濃度になるように溶解させるとともに、プレパラー
ト上にキャスト成膜を行なってキャスト膜を得た。ま
た、ポリメタクリル酸nブチルとフッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体B、ポリメタクリル
酸nブチルとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロ
ピレン共重合体Cについても同様の工程を経てキャスト
膜を得た。
【0024】その結果、ポリメタクリル酸nブチルと
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
Cとの混合物の場合には透明なキャスト膜が得られたの
に対して、ポリメタクリル酸nブチルとフッ化ビニリ
デン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Aとの混合
物、ポリメタクリル酸nブチルとフッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体Bとの混合物の場合
には2相に分離して均一なキャスト膜を得ることは出来
なかった。すなわち、半液状のフッ化ビニリデン−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体Cの場合だけがポリメタ
クリル酸nブチルと相溶性であることが判明した。
【0025】また、これらをDSC(示差走差熱量計)
によって測定したところ、フッ化ビニリデン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体A,Bを使用したものはガラ
ス転移点が2つ観測されたのに対して、フッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Cを使用したも
のは単独のガラス転移点が観察されその曇点(白濁変化
する温度)は60℃であった。つまり、前述のポリメタ
クリル酸nブチルとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体Cの混合物は所定温度60℃での
表示体、調光材料として機能することが可能なサーモク
ロミック樹脂組成物である。また、ポリメタクリル酸n
ブチルに代えてポリメタクリル酸tブチルを使用し
た場合、曇点は90℃であった。さらに、ポリメタクリ
ル酸nブチルとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体Cを1:1の重量比率とした他は上記
と同様にして得られた組成物では、曇点は50℃であっ
た。
【0026】実施例2 (メタ)ア クリル酸エステル系重合体としてメタクリル
酸エチルとメタクリル酸nブチルを使用するものと
し、メタクリル酸エチルとメタクリル酸nブチルをモ
ル比率2:3とした混合物を用意した。そして、該混合
物7.0gとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体C3.0gを試験管に入れフッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Cを溶解したの
ち、重合開始剤としてのジラウロイルパーオキサイド
0.05gを入れ窒素置換後、試験管を封止し70℃で
7時間塊状重合を行った。
【0027】得られた重合体組成物は、室温で無色透明
であり加熱すると100℃で白濁し曇点が発現した。ま
た、DSCにより単独のガラス転移点をもつことを確認
した。よって、所定温度100℃での表示体、調光材料
として機能することが可能な樹脂組成物であることがわ
かった。さらに、メタクリル酸エチルとメタクリル酸n
ブチルをモル比率1:4とした他は上記と同様にして
得られた組成物では、曇点は75℃であった。
【0028】実施例3 (メタ)ア クリル酸エステル系重合体としてメタクリル
酸メチルとメタクリル酸nブチルを使用するものと
し、メタクリル酸メチルとメタクリル酸nブチルをモ
ル比率1:1とした混合物を5.0g用意した。そし
て、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体C5.0gを溶解しモノマー溶液とした。厚さ2m
mのガラス板を塩化ビニルパッキンを用いて間隔3mm
に保持し、注入口を除き全体をシールした。これを止め
金により固定した後、窒素置換と真空脱泡した前記モノ
マー溶液を前記注入口から流し込み注入口を直ちに閉鎖
してから70℃の温水浴で7時間キャスト重合してキャ
スト板を得た。
【0029】得られたキャスト板は室温で無色透明であ
り加熱すると100℃で白濁し曇点が発現した。また、
室温に徐冷すると再び無色透明なキャスト板に戻ること
を確認した。また、DSCにより単独のガラス転移点を
もつことを確認した。よって、所定温度100℃での表
示体、調光材料として機能することが可能な樹脂組成物
であることがわかった。さらに、メタクリル酸メチルと
メタクリル酸nブチルをモル比率1:4とした他は上
記と同様にして得られた組成物では、曇点は65℃であ
った。
【0030】実施例4 まず、メタクリル酸エチルと、多官能メタクリレートと
してエチレングリコールジメタクリレートを使用するも
のとし、メタクリル酸エチルを8.0g、およびエチレ
ングリコールジメタクリレートを0.1g試験管に入れ
てフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体C2.0gを溶解した後、ジラウロイルパーオキサイ
ド0.05gを入れて窒素置換後、試験管を封止し70
℃で7時間塊状重合を行った。
【0031】得られた重合体組成物は室温で無色透明で
あり加熱すると190℃で白濁した。また、加熱しても
変形や流動は見られなかった。白濁した樹脂組成物を室
温に放置するとすみやかに無色透明に戻った。この樹脂
組成物をメチルエチルケトン中に入れ24時間放置後の
重量の残率を測定したところ、重量残率は83.9%で
あり架橋していることが確認された。比較として、実施
例3の樹脂組成物をメチルエチルケトン中に入れ24時
間放置したところ実施例3の樹脂組成物は完全に溶解し
た。すなわち、本実施例4の樹脂組成物は、190℃で
の表示体、調光材料として機能することが可能な樹脂組
成物であるとともに、加熱によっても変形や流動の見ら
れない耐熱性の良好な樹脂組成物であることが判った。
【0032】実施例5 多官能メタクリレートとして1,10−デカンジオール
ジメタクリレートを使用するものとし、メタクリル酸エ
チルとメタクリル酸nブチルをモル比率1:1とした
混合物7.0g、および1,10−デカンジオールジメ
タクリレート0.05gを試験管に入れてフッ化ビニリ
デン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体C3.0gを
溶解した後、ジラウロイルパーオキサイド0.05gを
入れ窒素置換後、試験管を封止し70℃で7時間塊状重
合を行った。
【0033】得られた重合体組成物は室温で無色透明で
あり加熱すると140℃で白濁した。また、加熱しても
変形や流動は見られなかった。白濁した樹脂組成物を室
温に放置するとすみやかに無色透明に戻った。この樹脂
組成物をメチルエチルケトン中に入れ24時間放置後の
重量の残率を測定したところ、重量残率は83.4%で
あり架橋していることが確認された。すなわち、本実施
例の樹脂組成物は、140℃での表示体、調光材料とし
て機能することが可能な樹脂組成物であるとともに、加
熱によっても変形や流動の見られない耐熱性の良好な樹
脂組成物であることが判った。
【0034】実施例6 この実施例は、多官能メタクリレートとしてポリエチレ
ングリコール#600ジメタクリレート0.1gを使用
したこと以外は実施例5と同様の条件としたものであ
る。得られた重合体組成物は室温で無色透明であり加熱
すると130℃で白濁した。また、加熱しても変形や流
動は見られなかった。白濁した樹脂組成物を室温に放置
するとすみやかに無色透明に戻った。この樹脂組成物を
メチルエチルケトン中に入れ24時間放置後の重量の残
率を測定したところ、重量残率(ゲル分率)は85.6
%であり架橋していることが確認された。また同様に、
多官能メタクリレートとして1,4−ブタンジオールジ
メタクリレート0.1g、1,6−ヘキサンジオールジ
メタクリレート0.1g、ポリエチレングリコール#2
00ジメタクリレート0.17gを使用した場合の曇点
及びゲル分率は、それぞれ130℃,77.0%、13
0℃,76.0%、140℃,78.8%であった。
【0035】実施例7 この実施例は、実施例5における多官能メタクリレート
に換えて多官能アクリレートを用いた例でありそれ以外
は実施例5と同様の条件としたものである。多官能アク
リレートとしてエチレングリコールジアクリレート0.
1gを用いて得られた重合体組成物は、室温で無色透明
であり加熱すると130℃で白濁した。また、加熱して
も変形や流動は見られなかった。白濁した樹脂組成物を
室温に放置するとすみやかに無色透明に戻った。また、
ゲル分率は83.2%であり架橋していることが確認さ
れた。また同様に、多官能アクリレートとして1,6−
ヘキサンジオールジアクリレート0.1g、ポリエチレ
ンングリコール#400ジアクリレート0.3gを使用
した場合の曇点及びゲル分率は、それぞれ130℃,7
8.0%、130℃,83.4%であり、同様の効果を
確認した。
【0036】実施例8 本実施例は官能基を有するメタクリル酸エステルを用い
たものである。メタクリル酸エチルとメタクリル酸n
ブチルをモル比率1:1とした混合物を7.0g、2−
ヒドロキシエチルメタクリレートを0.45g、フッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Cを
3.0g、ジラウロイルパーオキサイド0.05gを溶
解したモノマー溶液Aと前記モノマー溶液において2−
ヒドロキシエチルメタクリレートの代わりにグリシジル
メタクリレート0.5gとしたモノマー溶液Bの2種類
を用意し、それぞれ窒素置換後、試験管を封止し70℃
で7時間塊状重合を行った。得られた固体をそれぞれ5
gづつ取りメチルエチルケトンに溶解して混合したもの
をガラス板上でキャスト成膜してから60℃で2時間加
熱硬化した。このようにして得られた樹脂組成物は13
0℃で白濁し、また加熱によっても変形や流動の見られ
ない耐熱性の良好なサーモクロミック樹脂組成物である
ことが判った。
【0037】実施例9 本実施例は官能基を有するメタクリル酸エステルを用い
たものである。メタクリル酸エチルを7.0g用意し、
官能基を有するメタクリル酸エステルとして3−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシランを0.1g、架橋
促進触媒としてジブチル錫ジラウレートを200pp
m、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体Cを3.0g、ジラウロイルパーオキサイド0.0
5gを溶解したモノマー溶液を用意し、窒素置換後、試
験管を封止し70℃で7時間塊状重合を行った。得られ
た固体を押し出し機で直径1mmの線状に押し出して成
型してから水蒸気雰囲気下に放置して架橋した。このよ
うにして得られた樹脂組成物は190℃で白濁し、また
加熱によっても変形や流動の見られない耐熱性の良好な
サーモクロミック樹脂組成物であることが判った。
【0038】実施例10 多官能メタクリレートとしてエチレングリコールジメタ
クリレートを使用するものとし、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸nブチルをモル比
率1:1:1とした混合物7.0gとフッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体C3.0gを試験
管に入れ、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体Cを溶解した後、エチレングリコールジメタ
クリレート0.1g、ジラウロイルパーオキサイド0.
05gを入れて窒素置換後、試験管を封止し70℃で7
時間塊状重合を行った。このようにして得られた重合体
組成物は150℃で白濁し、また加熱によっても変形や
流動の見られない耐熱性の良好な樹脂組成物であること
が判った。
【0039】実施例11 多官能メタクリレートとしてエチレングリコールジメタ
クリレートを使用するものとし、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタ
クリル酸nブチルをモル比率1:1:1:1とした混
合物7.0gとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロ
ピレン共重合体C3.0gを試験管に入れ、フッ化ビニ
リデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体Cを溶解し
た後、エチレングリコールジメタクリレート0.1g、
ジラウロイルパーオキサイド0.05gを入れて窒素置
換後、試験管を封止し70℃で7時間塊状重合を行っ
た。このようにして得られた重合体組成物は160℃で
白濁し、また加熱によっても変形や流動の見られない耐
熱性の良好な樹脂組成物であることが判った。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、使用
面に接着、塗布、印刷などを行うことにより簡単に周囲
温度に応じた表示を行うことができ、また単独の使用で
も温度変化に応じた調光機能を有し、しかも100℃以
下という低温域での曇点の発現が可能な、安価かつ実用
的なサーモクロミック樹脂組成物を提供することができ
る。また、架橋剤により架橋されてなるサーモクロミッ
ク樹脂組成物においては、耐熱性に優れたものを提供す
ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
    プロピレン共重合体とメタクリル酸エステル系重合体と
    の混合物からなり、100℃以下の曇点を有することを
    特徴とするサーモクロミック樹脂組成物。
  2. 【請求項2】低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
    プロピレン共重合体とメタクリル酸エステル系重合体と
    の混合物からなり、前記混合物が架橋剤により架橋され
    てなることを特徴とするサーモクロミック樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記架橋剤が多官能(メタ)アクリル酸エ
    ステルである、請求項2に記載のサーモクロミック樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】前記架橋剤が官能基を有する(メタ)アク
    リル酸エステルである、請求項2に記載のサーモクロミ
    ック樹脂組成物。
JP35901692A 1992-12-25 1992-12-25 サーモクロミック樹脂組成物 Pending JPH06192525A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021085109A (ja) * 2019-11-27 2021-06-03 日本バイリーン株式会社 不織布及び自動車内装用表皮材
JP2024008219A (ja) * 2022-07-07 2024-01-19 株式会社豊田中央研究所 サーモクロミック樹脂複合材料及びそれを用いた積層体

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