JPH062073B2 - ヒアルロン酸の製造法 - Google Patents

ヒアルロン酸の製造法

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JPH062073B2 JP8094985A JP8094985A JPH062073B2 JP H062073 B2 JPH062073 B2 JP H062073B2 JP 8094985 A JP8094985 A JP 8094985A JP 8094985 A JP8094985 A JP 8094985A JP H062073 B2 JPH062073 B2 JP H062073B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はヒアルロン酸生成能を有する微生物(以下、ヒ
アルロン酸生産菌という。)によるヒアルロン酸の製造
法に関する。さらに詳しくは溶菌酵素または溶菌酵素お
よび界面活性剤を添加した培養液でヒアルロン酸生産菌
を培養し、ヒアルロン酸を該培養液中に生成、蓄積せし
め、これを採取することによるヒアルロン酸の製造法に
関する。
ヒアルロン酸は関節、硝子体、臍帯、軟骨、皮膚、鳥類
のとさかなどの結合組織中にその構成成分として存在
し、組織の柔軟性、構造維持、細胞の代謝調節などに重
要な機能を果たしている。また、該ヒアルロン酸は非常
に大きい高分子物質であり、その溶液は強い粘弾性を持
ち、保水作用を有するところから、化粧品、創傷治療
剤、眼薬、関節炎治療薬として広い用途がある。
従来、該ヒアルロン酸は工業的にはにわとりのとさか、
牛の目の硝子体、もしくは臍帯または鯨の軟骨などから
抽出法により得られている。しかし、これら生体から抽
出法により得たヒアルロン酸は蛋白質やコンドロイチン
等のムコ多糖と複合体を形成しているので、分離精製に
複雑な工程を必要とし、またヒアルロニダーゼが混在す
ることが多いので、抽出、精製工程中で該ヒアルロン酸
が分解されて分子量が低下し、粘度および保水性が低く
なるといつた欠点がある。このため培養法によりヒアル
ロン酸を生産する試みが特開昭58−56692号公報
に開示されている。
本発明者はヒアルロン酸の製造にかかわる上述の問題点
を解決するべく鋭意研究し、ヒアルロン酸生産菌を培養
するにあたり、該培養液に血清を添加した培養液を用い
ることにより、該ヒアルロン酸の生産性が大巾に高まる
ことを見い出し、特願昭59−185150号として提
案した。しかしながら、この方法は血清がロツト間によ
り品質にばらつきがあり、かつ他の培地材料にくらべて
高価なため、ヒアルロン酸の製造コストが高くなること
が否めない。
本発明者は安価にかつヒアルロン酸の生産性を大巾に高
めることのできる製造方法について鋭意研究をつづけ
た。その結果、ヒアルロン酸生産菌を培養するに際し、
該培養液に溶菌酵素または溶菌酵素および界面活性剤を
添加した培養液を用いてヒアルロン酸生産菌を培養する
ことにより、製造コストを低下させ、かつヒアルロン酸
の生産性を大巾に高めることができることを見い出し、
この知見にもとづいて本発明を完成した。
本発明で用いる溶菌酵素および界面活性剤はロツト間の
ばらつきがほとんどないので、常に一定の品質および生
産量が確保できる。
以上の記述から明らかなように、本発明の目的は、ヒア
ルロン酸の生産性を安定かつ大巾に高め、しかも安価に
ヒアルロン酸を製造する方法を提供することである。
本発明は以下の構成を有する。
(1)溶菌酵素を添加してなる培養液にて、ヒアルロン
酸生成能を有する微生物を培養して、該培養液中にヒア
ルロン酸を生育蓄積せしめ、これを採取することを特徴
とするヒアルロン酸の製造法。
(2)溶菌酵素および界面活性剤を添加してなる培養液
にて、ヒアルロン酸生成能を有する微生物を培養して、
該培養液中にヒアルロン酸を生成蓄積せしめ、これを採
取することを特徴とするヒアルロン酸の製造法。
本発明に用いるヒアルロン酸生産菌としては、 ストレプトコツカス・ピオゲネス (Streptococcus pyogenes), ストレプトコツカス・エクイ (Streptococcus equi), ストレプトコツカス・エクイシミリス (Streptococcus equisimilis) ストレプトコツカス・デイスガラクテイエ (Streptococcus dysgalactiae), ストレプトコツカス・ズーエピデミカス (Streptococcus zooepidemicus), パスツレラ・マルトシダ (Pasteurella multocida), などがあげられる。
本発明に用いる溶菌酵素は溶菌活性をもつすべての酵素
が利用できるが、リゾチームが最も好ましい。培養液に
添加する該溶菌酵素の量は特に制限されないが、好まし
くは、培養液1当り100〜2500単位、より好ま
しくは300〜20000単位、最も好ましくは500
〜1000単位である。溶菌酵素の添加量が少なすぎる
とヒアルロン酸の生成、蓄積が少なくなり、また該添加
量が多すぎると溶菌作用が大きくなり、ヒアルロン酸生
産菌の生育が阻害されるので好ましくない。
さらに該溶菌酵素の添加時期は、添加しようとする培養
液を加圧蒸気滅菌法などで滅菌したのち、冷却し、温度
が45℃以下になつた時点で無菌的に培養液に添加する
のが好ましい。
本発明に用いる界面活性剤としては、臭化セチルトリメ
チルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、ツイーン
80(商品名、花王化学(株)製)、ツイーン90(商
品名、花王化学(株)製)、ラウリル硫酸ナトリウム、
トライトンX−100(商品名、ロームアンドハース
(株)製)、スパン80(商品名、花王化学(株)
製)、スパン90(商品名、花王化学(株)製)、ノニ
オン(商品名、日本油脂(株)製)、スルホコハク酸ジ
エチルヘキシルなどをあげることができる。培養液に加
える該界面活性剤の添加量は好ましくは培養液1当り
0.5〜10gで、より好ましくは0.5〜3g、最も
好ましくは1.0〜2.0gである。該界面活性剤は培
養液を加圧蒸気で滅菌する前に培養液に添加する。
本発明にあつては、溶菌酵素または溶菌酵素および界面
活性剤を添加する前の培養液の成分としては、ヒアルロ
ン酸生産菌を培養するおに通常用いられる培養液を用い
ればよく、例えばブドウ糖2.0〜3.0%、リン酸1
カリウム0.3%、リン酸2カリウム0.2%、チオ硫
酸ナトリウム0.01%、硫酸マグネシウム7水塩0.
01%、亜硫酸ナトリウム0.002%、塩化コバルト
0.001%、塩化マンガン0.001%、消泡剤0.
5%を含む成分でpH6.0〜8.5の培養液を用いるこ
とができる。(ただし%はいずれも重量をg、容量を
とした重量/容量%を表わし、以下特にことわらない限
り%は上述の重量/容量%を表わす。) 本発明のヒアルロン酸の製造は、まず溶菌酵素および界
面活性剤を含まない培養液または界面活性剤を含み、溶
菌酵素を含まない培養液を加圧蒸気滅菌法などで滅菌し
たのち、冷却し、該培養液の温度が45℃以下になつた
時点で溶菌酵素を無菌的に該培養液に添加し、ついでヒ
アルロン酸生産菌を無菌的に該培養液に接種する。つい
でヒアルロン酸生産菌を接種した培養液を通気撹拌もし
くは静置して温度25℃〜40℃、好ましくは30℃〜
35℃の温度で、pH6.5〜8.0、好ましくは7.0
に制御してヒアルロン酸生産菌を1〜2日間培養したの
ち、該培養液にさらに糖成分を3%追加してさらに1〜
2日間培養してヒアルロン酸を生成、蓄積させる。その
後、該培養液を遠心分離もしくは過によつて除菌した
のち、該液を限外過もしくは透析することによつて
低分子量物質を除去する。ついで低分子量物質を除去し
た液にメタノール、エタノールなどのアルコールを添
加して、ヒアルロン酸の粗組成物を沈澱させ、該沈澱ヒ
アルロン酸を再び水に溶解させたのち、臭化セチルトリ
メチムアンモニウムを添加して該臭化セチルトリメチル
アンモニウムによる分画沈澱、ついでイオン交換クロマ
トグラフイー、ゲル過クロマトグラフイーなど公知の
精製手段によつて、生成したヒアルロン酸を精製する方
法により行なわれる。
本発明の溶菌酵素または溶菌酵素および界面活性剤を添
加してなる培養液を用いた培養法を用いることにより、
該溶菌酵素または溶菌酵素および界面活性剤を添加しな
い通常の培養液を用いた培養法(比較例)にくらべヒア
ルロン酸の生産性を培養液1当り4〜5倍と大巾に向
上させることができ、かつ血清を用いる培養法にくらべ
て、ヒアルロン酸の製造原価を1/20以下に下げること
が可能となつた。また、用いる溶菌酵素および界面活性
剤は、ロツト間の品質のばらつきがほとんどないので、
常に一定の品質、生産量でヒアルロン酸の製造が可能と
なり画期的なヒアルロン酸の製造法である。また本発明
により得られるヒアルロン酸は不純物の含有量がきわめ
て少なく、高純度のヒアルロン酸であり、医薬品、化粧
品の用途に好適に使用することができる。
以上記述したように本発明に係るヒアルロン酸の製造法
は安定的に純度の高いヒアルロン酸をきわめて高い生産
性で製造できる方法であることが確認された。
以下実施例および比較例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれにより限定されるものではない。
なお、本発明で用いたストレプトコツカス・ズーエピデ
ミカムは農林水産省家畜衛生試験場より入手し、ストレ
プトコツカス・エクイは東京大学医学部附属医科学研究
所より入手した。
実施例1 ブドウ糖2.0%、酵母エキス0.5%、ペプトン1.
5%、リン酸1カリウム0.3%、リン酸2カリウム
0.2%、チオ硫酸ナトリウム0.011%、硫酸マグ
ネシウム7水塩0.01%、亜硫酸ナトリウム0.00
2%、塩化コバルト0.001%、塩化マンガン0.0
01%、大豆油0.5%からなるpH7.0の培養液1.
5を内容積3.0のミニジヤーフアーメンターに注
入し、120℃で15分間加熱滅菌し、室温まで冷却し
たのち、卵白リゾチーム0.75mg(675単位)を無
菌的に該培養液に添加し、ついでストレプトコツカス・
ズーエピデミカスの前培養液0.1を接種し、毎分3
00回転、通気量0.7vvm、温度35℃でpH7.0に
なるように自動制御して24時間培養した。その後、ブ
ドウ糖の50%水溶液100mlをさらに該培養液に無菌
的に加えて、上述の培養条件下にさらに26時間培養し
たのち、該培養液にイオン交換水3.2を加えて撹拌
し、ついで遠心分離して菌体を除去した。得られた上澄
液を中空糸限外過機で1.6に濃縮し、さらにイオ
ン交換水に対して透析した。この液に酢酸ナトリウム
0.5%を加え、さらにエチルアルコール5を加えて
ヒアルロン酸を含む多糖類を沈澱させたのち遠心分離に
より分取した。分取したヒアルロン酸を含む多糖類をイ
オン交換水0.5に溶解させ、4%の臭化セチルトリ
メチルアンモニウム水溶液0.23を添加して生成し
た沈澱を分取した。ついで該沈澱を0.3モル/濃度
の塩化ナトリウム水溶液40mlに分散し、遠心分離した
のち、上澄液に120mlのエチルアルコールを添加し、
生成した沈澱を分取した。この分取した沈澱をイオン交
換水に溶解したのち、イオン交換クロマトグラフイー法
で精製し、7.8gの精製ヒアルロン酸ナトリウムの白
色粉末を得た。培養液1当り5.2gの生産量であつ
た。この精製ヒアルロン酸ナトリウムの蛋白質含有量は
0.05重量%であつた。また、ウベローデ粘度計によ
る極限粘度は〔η〕=17.3dl/gで分子量0,00
5,000ダルトンであることが確認された。
実施例2 ブドウ糖2.0%、酵母エキス0.5%、ペプトン1.
5%、リン酸1カリウム0.3%、リン酸2カリウム
0.2%、チオ硫酸ナトリウム0.011%、硫酸マグ
ネシウム7水塩0.01%、亜硫酸ナトリウム0.00
2%、塩化コバルト0.001%、塩化マンガン0.0
01%、大豆油0.5%からなるpH7.0の培養液
1.5を内容積3.0のミニジャーファーメンター
に注入し、120℃で15分間加熱滅菌し、室温まで冷
却したのち、卵白リゾチーム0.73mg(675単位)
を無菌的に該培養液に添加し、ついでストレプトコカッ
ス・エクイの前培養液0.1を接種し、実施例1に準
拠した培養条件、培養方法で培養した。その後、該培養
液を実施例1準拠した方法で精製処理し、6.4gの精
製ヒアルロン酸ナトリウムの白色粉末を得た。培養液1
当たり4.2gの生産量であった。
実施例3 ブドウ糖2.0%、酵母エキス0.5%、ペプトン1.
5%、リン酸1カリウム0.3%、リン酸2カリウム
0.2%、チオ硫酸ナトリウム0.011%、硫酸マグ
ネシウム7水塩0.01%、亜硫酸ナトリウム0.00
2%、塩化コバルト0.001%、塩化マンガン0.0
01%、大豆油0.5%からなるpH7.0の培養液1.
5に界面活性剤としてツイーン80(商品名)0.7
gを加えたのち、該培養液を内容積3.0のミニジヤ
ーフアーメンターに注入し、120℃、15分間加熱滅
菌し、室温まで冷却したのち、卵白リゾチーム0.4mg
(360単位)を無菌的に添加し、ついでストレプトコ
ツカス・ズーエピデミカスの前培養液0.1を接種
し、実施例1に準拠した培養条件、培養方法で培養し
た。その後、該培養液を実施例1に準拠した方法で精製
処理し、8.0gの精製ヒアルロン酸ナトリウムの白色
粉末を得た。培養液1当り5.3gの生産量であつ
た。この精製ヒアルロン酸ナトリウムの蛋白質含有量は
0.04重量%であつた。また、ウベローデ粘度計によ
る極限粘度は〔η〕=15.0dl/gで分子量837,000ダ
ルトンであることが確認された。
実施例4 ブトウ糖2.0%、酵母エキス0.5%、ペプトン1.
5%、リン酸1カリウム0.3%、リン酸2カリウム
0.2%、チオ硫酸ナトリウム0.011%、硫酸マグ
ネシウム7水塩0.01%、亜硫酸ナトリウム0.00
2%、塩化コバルト0.001%、塩化マンガン0.0
01%、大豆油0.5%および界面活性剤としてツイー
ン80を1.5gを加えたpH7.0の培養液1.5
を内容積3.0のミニジャーファーメンターに注入
し、120℃で15分間加熱滅菌し、室温まで冷却した
のち、卵白リゾチーム0.73mg(675単位)を無菌
的に該培養液に添加し、ついてストレプトコッカス・エ
クイの前培養液0.1を接種し、実施例1に準拠した
培養条件、培養方法で培養した。その後、該培養液を実
施例1に準拠した方法で精製処理し、6.9gの精製ヒ
アルロン酸ナトリウムの白色粉末を得た。培養液1当
たり4.6gの生産量であった。
比較例1 ブトウ糖2.0%、酵母エキス0.5%、ペプトン1.
5%、リン酸1カリウム0.3%、リン酸2カリウム
0.2%、チオ硫酸ナトリウム0.011%、硫酸マグ
ネシウム7水塩0.01%、亜硫酸ナトリウム0.00
2%、塩化コバルト0.001%、塩化マンガン0.0
01%、大豆油0.5%からなるpHの培養液1.5を
内容積3.0のミニジヤーフアーメンターに注入した
のち、120℃、15分間加熱滅菌し、室温まで冷却し
たのち、ストレプトコツカス・ズーエピデミカスの前培
養液0.1を接種し、実施例1に準拠した培養条件、
培養方法で培養した。その後、該培養液を実施例1に準
拠した方法で精製処理し、1.5gの精製ヒアルロン酸
ナトリウムの白色粉末を得た。培養液1当り1.0g
の生産量であつた。この精製ヒアルロン酸ナトリウムの
蛋白質含有量は0.03重量%であつた。またウベロー
デ粘度計による極限粘度は〔η〕=12.0dl/gで分子
量628,000ダルトンであることが確認された。
比較例2 ブドウ糖2.0%、酵母エキス0.5%、ペプトン1.
5%、リン酸1カリウム0.3%、リン酸2カリウム
0.2%、チオ硫酸ナトリウム0.011%、硫酸マグ
ネシウム7水塩0.01%、亜硫酸ナトリウム0.00
2%、塩化コバルト0.001%、塩化マンガン0.0
01%、大豆油0.5%からなるpH7.0の培養液
1.5を内容積3.0のミニジャーファーメンター
に注入し、120℃で15分間加熱滅菌し、室温まで冷
却したのち、ストレプトコッカス・エクイの前培養液
0.1を無菌的に接種し、実施例1に準拠して培養し
た。その後該培養液を実施例1に準拠して精製処理し、
1.4gの精製ヒアルロン酸ナトリウムの白色粉末を得
た。培養液1当たり0.93gの生産量であった。こ
の精製ヒアルロン酸ナトリウムの蛋白質含有量は0.0
3重量%であった。また、ウベローデ粘度計による極限
粘度は12.0dl/gで分子量628,000ダルトンで
あることが確認された。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶菌酵素を添加してなる培養液にて、ヒア
    ルロン酸生成能を有する微生物を培養して、該培養液中
    にヒアルロン酸を生成蓄積せしめ、これを採取すること
    を特徴とするヒアルロン酸の製造法。
  2. 【請求項2】溶菌酵素および界面活性剤を添加してなる
    培養液にて、ヒアルロン酸生成能を有する微生物を培養
    して、該培養液中にヒアルロン酸を生成蓄積せしめ、こ
    れを採取することを特徴とするヒアルロン酸の製造法。
  3. 【請求項3】溶菌酵素としてリゾチームを用いる特許請
    求の範囲第1項記載のヒアルロン酸の製造法。
  4. 【請求項4】溶菌酵素としてリゾチームを用いる特許請
    求の範囲第2項記載のヒアルロン酸の製造法。
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