JPH0630608B2 - エチル―α―グルコシドの製造方法 - Google Patents

エチル―α―グルコシドの製造方法

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JPH0630608B2
JPH0630608B2 JP23029290A JP23029290A JPH0630608B2 JP H0630608 B2 JPH0630608 B2 JP H0630608B2 JP 23029290 A JP23029290 A JP 23029290A JP 23029290 A JP23029290 A JP 23029290A JP H0630608 B2 JPH0630608 B2 JP H0630608B2
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憲司 芳川
一也 山本
績 神原
茂孝 岡田
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Ezaki Glico Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (1)産業上の利用分野 本発明は、エチル−α−グルコシドの効率的な製造方法
に関するものである。
(2)従来の技術とその課題 酒やミリンはそれ自体飲料とするほか、調理や食品加工
などにおいて呈味改善に使用されている。本発明者ら
は、この効果が酒やミリンのいずれの成分にかかわって
いるかを分析して研究したところ、主成分であるアルコ
ールやブドウ糖以外の微量成分の一つであるエチル−α
−グルコシド(以下、EGと表記する)が魚介類の生ぐ
ささ(魚臭)や畜肉の臭いの改善などに効果のあること
が判明した。
従来、アルコール溶液中でカビ、酵母などから得られる
α−グルコシダーゼなどをマルトース、マルトトライオ
ース、水飴などに作用させると加水分解作用に平行し
て、アルコールにもグルコシル基が転移しEGを生成す
ることが知られている。たとえば、ミリンの製造におい
ては蒸煮モチ米を米麹と混合し、20%程度のアルコー
ル溶液中で反応させる。この際、麹中のα−アミラーゼ
がまず澱粉を分解しマルトースを主とするオリゴ糖を生
じ、ついでα−グルコシダーゼによりEGを生成するも
のと考えられる。日本酒の醸造中にも類似した作用が起
こりEGを生成する。しかし、この条件で生成するEG
の濃度はせいぜい1%前後という低水準である。
(3)課題解決の手段 そこで本発明者らは、鋭意、EGの効率的な製造方法に
ついて検討したところ、カビ類のα−グルコシダーゼを
酵素反応がほとんど進行しないと考えられる高濃度エチ
ルアルコール溶液中で特定の基質に作用させると、予想
外にすぐれた反応性を示すだけでなく、加水分解作用が
ほとんどおこらず、エチルアルコールにだけ特異的に転
移作用がおこる新事実を発見し、EGを高能率に生産す
る技術を確立することが出来た。すなわちα−グルコシ
ダーゼは高濃度のアルコール、たとえば40%以上のア
ルコール濃度中においても有効に反応すること。また、
この条件で基質、たとえばマルトースの加水分解はほと
んどおこらず、マルトースからは主としてEGとグルコ
ースが生成することが判明した。以下、本発明を詳細に
説明する。
本発明における基質としてはマルトースの他、産業的に
はオリゴ糖の混合糖液、たとえばマルトース、マルトト
ライオースの混合物や、水飴、場合によっては澱粉を使
い、これにα−アミラーゼを加え上記反応と平行させて
も良い。また還元性末端を水素還元した糖質も使用でき
る。この場合グルコースの生成が少ないので還元糖を含
まないEGを安価に作る方法として採用できる。本発明
において、かかるα−アミラーゼ分解物や還元性末端を
水素還元した物を併せて糖類の分解物ということとす
る。
本反応に使用できる酵素はα−グルコシダーゼである
が、中でもα−1,6−グルコシル転移酵素といわれるカ
ビ類の一種Asp.nigerの生産するα−グルコシダーゼが
好適である。酵母由来のα−グルコシダーゼは、カビ由
来に比較してアルコール耐性が低く、あまり好ましくな
い。酵素は液体培養、固体培養したものの両者とも使用
出来る。精製された酵素はもちろん良いが粗製酵素でも
使用出来る。むしろ粗製酵素の方が不純蛋白質の存在の
ためかアルコール溶液中で安定性の良いことがしばしば
認められる。ただ酵素剤中にグルコアミラーゼが多量に
存在すると別の反応が起こりEGの収率が低下するから
好ましくない。
作用条件は特定ではないが、たとえば作用温度はアルコ
ール50%存在下で24hr反応させた場合、45℃で
最高であったが、30℃においてもその80%のEGの
生成量が認められ利用できる。また更に低温で実施する
と反応速度は低下するが最終のEGの生成量には支障が
ない。作用pHは4〜7の範囲であり、最適pHは6.0で
ある。酵素添加量は基質(マルトース)グラム(g)当
り0.5〜30u(国際単位)を添加して実験したが4
u/gを加えると十分目的を達しうる。
反応を終了した溶液中には後記する実施例1のサンプル
Aの分析結果にも見られるようにEGのほかアルコー
ル、グルコース、オリゴ糖が存在する。食品呈味剤とし
ては、そのまま或いはアルコールを除去したものが直接
使用出来る。EG以外の物質を除去するには活性炭カラ
ムのほかシリカゲルカラムも有効である。
(4)作用 Asp.niger由来のα−グルコシダーゼが予想外に高濃度
アルコール中で反応する原因は充分に判っていない。し
かしAsp.niger由来のα−グルコシダーゼは一般に構造
中に多くの糖鎖を含んでいるため、高濃度アルコール中
でも溶解ないしゲル化した状態にある。そのため他の酵
素に比較して安定的に活性を示すと考えられる。しか
し、このような条件下でよく反応することや、加水分解
作用が著しく阻害されEGの生成反応だけが促進される
現象は本研究によって初めて認められたものである。
本発明では加水分解作用が阻害されるだけでなく、水溶
液中での転移反応の主生成物であるイソマルトース、パ
ノースの生成も増大しない。そしてアルコールの転移反
応が新に発生し、この反応が優先する新事実を発見し
た。
例として、10%マルトースを基質とし、市販のα−グ
ルコシダーゼ3.9u/g(国際単位)を各種濃度のエ
チルアルコール溶液中で40℃、pH5.8で24hr反
応させた後、HPLCによりグルコース、EG、その他
オリゴ糖をそれぞれ定量分析した。分析結果から、以下
の〜に示す酵素反応が平行して起こっているものと
判断した。すなわち マルトースから2個のグルコースへの加水分解作用 マルトースからグルコースとイソマルトース、パノー
スを生成する糖転移作用 マルトースからグルコースとEGを生成する糖転移作
用 このうちの反応はイソマルトース、パノースの形成が
少量であるので無視することが出来る。とに注目す
ると、反応がよりに傾くとEG/グルコース(以
下、EG/Gと表記する)の比が1.0に近づくと考え
られる。一方よりの加水分解作用が優先すると0.
33以下となる。よってこれを指標として分析結果を表
示すると第1図のようになった。すなわちアルコール濃
度が上昇するとともにEG/Gの比は上昇し、アルコー
ル濃度が40%を越えると、その比も0.5を越える。
この数値から逆算するとマルトースの加水分解より2倍
以上速やかにアルコールへの転移作用が起こっているこ
とが判る。
アルコール濃度を更に上昇させるとEG/Gの比も上昇
する。EGの収率は低下するが80%アルコールではE
G/Gの比は0.8を越える。この数値は加水分解1に
対しアルコールへの転移作用がおよそ10倍起こってい
ることを示している。すなわち本発明を実行するにはマ
ルトースの加水分解より糖転移が優先するアルコール濃
度30%以上がよい。マルトース以外の基質としてマル
トトライオース、マルトテトラオースを基質とすると、
α−グルコシダーゼは、その非還元末端から1個ずつグ
ルコースを切り放しアルコールに転移する。このため当
然EG/Gの比はマルトースに比べて上昇するものと思
える。結果は第1表のようで予想どおりマルトースに比
べマルトテトラオースでは約2倍の数値となった。
基質濃度はかなり問題で、第2図にみられるようにむし
ろ糖濃度が低下した方がEGの収率もEG/Gの比も高
かった。
精製したEGを、市販のカビ(Asp.niger)由来α−グ
ルコシダーゼで処理するとグルコースとエチルアルコー
ルに分解される。しかしこの反応速度はマルトース加水
分解速度に比べ1/100以下できわめて低い。すなわちマ
ルトースはエチルアルコール溶液中で速やかに分解しE
Gを生ずるが出来たEGはほとんど分解されない。一度
生成したEGが反応液中に集積し、安定に存在するのは
この理由のためである。本作用によって得たEGはアー
モンドのβ−グルコシダーゼでは分解を受けないのでα
−結合であると推定された。更にガスクロマトグラフィ
ーによるアノマー分析によって構造の確認を行うことが
出来た。
(5)実施例 実施例1 マルトース100gを60%エチルアルコール1000
mに溶解し、カビ(Asp.niger)由来の市販α−グル
コシダーゼ製剤(400u/g)1gを加え懸濁して4
0℃で24時間反応した。反応液を80℃、10分間加
熱して酵素を失活させた後、遠心分離や濾過にて蛋白を
除去した上澄をサンプルA(850m)とした。また
この一部を取り、蒸留操作によりアルコールを除去した
ものをサンプルB(400m)とした。両者について
EG、グルコース、マルトース、イソマルトース、その
他の糖をそれぞれHPLCにより分離定量した。別に全
糖値をフェノール硫酸法により測定し含有%を算出する
と第2表のようであった。
いずれもEGとグルコースはほぼ同量であり他の糖質は
少量であった。サンプルAはアルコールを含有し、サン
プルBはアルコールを含まないEG含有糖液として食品
の呈味改良剤として利用できる。
サンプルBの一部を取り活性炭カラムクロマトグラフィ
ーを行うと5〜20%アルコール溶出区分に精製された
EGが溶出された。カラムクロマトグラフィーによる収
率は約80%であった。
(6)発明の効果 本発明によりエチル−α−グルコシドを従来に比しはる
かに安価に多量に生産することが出来ることとなった。
エチル−α−グルコシドは既述の通り特異な呈味成分で
あるので、調理、調味用に今後益々その広範な利用が期
待される。
【図面の簡単な説明】
第1図…エチルアルコール濃度−EG/G(又はEG)
の関係を示す図。 基質としてマルトースを10%、カビ由来のα−グルコ
シダーゼ3.9u/gを各種濃度のエチルアルコール中
で40℃、pH5.8で24時間反応させた後、HPLC
によりEGとグルコースを定量したときの図である。横
軸はエチルアルコール濃度を示す。縦軸は左側に示す数
値にて生成物中のEG/G比を折線グラフで、右側に示
す数値にて基質からのEG収率(%)を棒グラフで、そ
れぞれ表す。 第2図…基質濃度−EG/G(又はEG)の関係を示す
図。 各種濃度のマルトースを基質として、カビ由来のα−グ
ルコシダーゼ3.9u/gを50%濃度のエチルアルコ
ール中で50℃、pH5.8で24時間反応させた後、H
PLCによりEGとグルコースを定量したときの図であ
る。横軸は基質濃度を示す。縦軸は左側に示す数値にて
生成物中のEG/G比を折線グラフで、右側に示す数値
にて基質からのEG収率(%)を棒グラフで、それぞれ
表す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糖類又はその分解物を30〜80%のエチ
    ルアルコール液に溶解し、これに、Asp.niger由来のα
    −グルコシダーゼ(α−Glucosidase)を作用させて糖
    類又はその分解物にエチル基を導入させることを特徴と
    するエチル−α−グルコシドの製造方法。
  2. 【請求項2】糖類又はその分解物として、グルコース、
    マルトース、その他オリゴ糖又はそれらを含む物質を使
    用することを特徴とする特許請求の範囲(1)に記載のエ
    チル−α−グルコシドの製造方法。
JP23029290A 1990-08-30 1990-08-30 エチル―α―グルコシドの製造方法 Expired - Lifetime JPH0630608B2 (ja)

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