JPH0633309B2 - 新規なステビオール配糖体、その製造方法及びこれを用いた甘味料 - Google Patents

新規なステビオール配糖体、その製造方法及びこれを用いた甘味料

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JPH0633309B2
JPH0633309B2 JP2152842A JP15284290A JPH0633309B2 JP H0633309 B2 JPH0633309 B2 JP H0633309B2 JP 2152842 A JP2152842 A JP 2152842A JP 15284290 A JP15284290 A JP 15284290A JP H0633309 B2 JPH0633309 B2 JP H0633309B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、新規なステビオール配糖体、その製造方法
及びこれを用いた甘味料に関する。
(従来の技術) 近年、人工甘味料であるサッカリン、ズルチン、チクロ
等が安全性の点から一般食品への利用が禁止、又は規制
される傾向にある。
一方では、近年砂糖の採り過ぎによる健康上の影響が問
題にされはじめたことから、それらの問題がより少ない
天然甘味料の開発が熱望されている。
これに対して、南米パラグアイ原産のキク科植物である
ステビアから得られるステビオール配糖体は、ステビオ
サイドC、D、E及びズルコサイドA、ステビオールビ
オサイドH等7種類の混合物である。
現在、市販されているステビア甘味料は、これらの混合
物として販売されている。これらのステビオール配糖体
のうち、代表的なステビオサイドの構造式を(I)[第
1図(a)]に示す。
ステビオサイドは砂糖と異なり低カロリーの甘味料であ
り、しかも甘味は約145倍と高く、砂糖に替わる甘味料
として注目されている。
ところが、上記ステビア甘味料は、苦味、嫌味があり、
更には残味が長く尾を引くという欠点がある。これらを
改善するため、ステビオサイドの甘味度・甘味質の改良
法について、数多くの研究報告並びに特許出願がなされ
ている。具体的には、ステビオサイドにバシラス・メガ
テリウム(Bacillus megaterium)が生産するシクロデキ
ストリングルカノトランスフェラーゼ(以下、CGTaseと
記す)を用い、澱粉を糖供与体として、酵素転移を行な
うことにより、甘味質を改善する方法も提案されてい
る。このように、ステビオール配糖体の欠点を改善した
製品が生産されているが、未だ十分な成果を収めるには
至っていない。
この原因については、上述の反応においてはステビオサ
イドの13位または19位のグルコシル基にグルコースが1
〜3分子それぞれ一方に転移するもの、また両方に転移
するもの等の混合物が生成するが、このうち13位のグル
コシル基にグルコースが1〜3分子転移したものは甘味
度、味質共に改良されるが、13位のグルコシル基より、
19位のグルコシル基により多くのグルコースが転移した
生成物は、甘味度、味質が低下する等の報告がある。
そこで、本発明者らは、先にステビオサイドの19位のCO
OHにエステル結合するグルコシル基(以下、19位のグル
コシル基と記す)をガラクトースで封鎖した後、13位の
OHにエーテル結合したグルコシル基(以下、13位のグル
コシル基と記す)にグルコースを選択的に転移させる方
法を提案した(特願昭63-247371号)。
(発明が解決しようとする問題点) この方法においては19位のグルコシル基がガラクトース
で封鎖されたものの他に、13位のグルコシル基がガラク
トースで封鎖されたものも分画されずにかなり含まれて
おり、したがってこれにCGTaseを用い澱粉を糖供与体と
して酵素転移を行なうと、19位のグルコシル基がガラク
トースで封鎖されたものについては、所期の目的通りに
13位のグルコシル基に1〜3分子のグルコースが転移
し、甘味度・甘味質共にかなり改善されるが、13位のグ
ルコシル基がガラクトースで封鎖されたものについて
は、19位のグルコシル基に1〜3分子のグルコースが転
移し、この比率は10〜15%にも達し、十分に甘味質が改
善されない原因となっている。
これに対して、本発明者らは先にルブソサイド又はステ
ビオサイドの19位のグルコシル基にβ−D−フラクトフ
ラノースを結合させることにより、甘味質の改良が図ら
れることを提案した(特願平1-234675号)。
一方、レバウディオサイドAの構造式は(II)[第1図
(b)]に示す如くであるが、このレバウディオサイド
Aの含量はステビア中に含まれるステビオール配糖体の
うち、通常栽培されているもので15%程度となってい
る。レバウディオサイドAは甘味度が245倍とステビオ
サイドの約2倍近くあり、甘味質もステビオサイドより
かなりよいことから、以前から栽培法の改良研究が行な
われ、レバウディオサイドA含量の高い品質に改良さ
れ、数年前より50%含量のものも栽培されている。
しかし、このようなレバウディオサイドA高含量のもの
もα−グルコシルステビオサイドと同様に甘味度、甘味
質ともに完全なものではなく、またレバウディオサイド
A自体についてはステビオサイドより甘味質が良好であ
るため、今日に至るまでその甘味質改良に関する報告は
皆無である。
本発明者らは、先の特願平1-234675号に鑑み、レバウデ
ィオサイドAについてもβ−D−フラクトフラノースを
作用させることにより、味質が改良されるだろうことを
予測し、これに使用する酵素等について鋭意研究を重ね
た結果、先にミクロバクテリウム・エスピー.H-1(微
工研寄託菌寄第11428号)から特殊なβ−フラクトフラ
ノシル転移酵素(以下、転移酵素と記す)が生産される
ことを確認した。また、この酵素を使用することによっ
てレバウディオサイドAにβ−D−フラクトフラノース
が転移し、味質が改良されることを見出したものであ
る。
(問題点を解決するための手段) この発明は、上記知見に基づいて完成したものであり、
この発明に係る物質は、レバウディオサイドAの19位の
グルコシル基の6位に、β−D−フラクトフラノースが
2位の位置で結合した構造のステビオール配糖体、即ち
β−フラクトフラノシルレバウディオサイドAである。
具体的には、この発明に係る物質はレバウディオサイド
Aと糖供与体とを含有する水溶液又は懸濁液に、ミクロ
バクテリウム・エスピーH-1(微工研寄託 菌寄第11428
号)の生産する転移酵素を作用させることによって得ら
れる。その構造式は(III)[第2図]で表わされる。
この反応に用いるレバウディオサイドAは精製分離され
たレバウディオサイドAを使用するがそれに限定される
ものではない。
この反応に用いる糖供与体は、蔗糖、ラフィノース、ス
タキオース等が使用される。
この反応系で、レバウディオサイドAと糖供与体を含有
する水溶液又は懸濁液の濃度は、レバウディオサイドA
が1〜40%(w/w),糖供与体が約1〜50%(w/w)とし、且つ
レバウディオサイドAに対する糖供与体の比率は使用す
る糖供与体によって異なるが、0.1〜50倍の範囲とし、
好ましくは1〜5倍の範囲とする。
反応条件は、通常pH4〜8、温度は20〜70℃が適当であ
る。使用酵素活性量は反応時間と密接な関係があり、通
常5〜120時間、好ましくは5〜20時間で反応が終了す
る酵素活性量にすれば良いが、これらに限定されるもの
ではない。
(発明の効果) 前述のようにして得られた反応生成物の甘味度は、原体
のレバウディオサイドAと比較し、モル比で1.2倍とな
り、特に甘味質については、苦味が殆どなくなり、甘味
の切れも良く、まろやかさが加わり、我々が今まで開発
し、特許出願したものも含め、従来の糖転移物に比べ、
更に改善されていることを確認した。したがって、この
ようにして得られた転移生成物の反応液は、そのまま甘
味料として使用することができるが必要に応じて酵素を
失活させて濾過後、その溶液をイオン交換樹脂、例えば
H型強酸性カチオン交換樹脂及びOH型塩基性アニオン
交換樹脂を用いて脱塩し、濃縮したシラップ状の甘味料
とするか、またはこの濃縮液を乾燥して粉末状の甘味料
とすることもできる。更に、脱塩した反応溶液をカラム
クロマト法にて精製し、転移生成物を分離、採取してこ
れを甘味料とすることもできる。この際の濃縮、乾燥、
粉末化は公知の方法によれば良い。
この発明により得られたβ−フラクトフラノシルレバウ
ディオサイドAは甘味度が高く、甘味質が非常に良好で
あることから、低カロリーの飲食物、嗜好物等いわゆる
美容食、健康食、ダイエット食の甘味付けに好適であ
る。また、うがい薬、練り歯磨き等、虫歯予防用の経口
用医薬部外品への添加にも好適であり、その他医薬品も
含めて甘味を必要とする分野に自由に使用することがで
きる。
(実施例) 以下、実施例によりこの発明を具体的に説明する。
実施例1 (1)酵素の調整 蔗糖0.5%、硝酸ナトリウム0.3%、第二リン酸カリウム0.
1%、硫酸マグネシウム0.05%、塩化マグネシウム0.02%を
含む寒天斜面培地にミクロバクテリウム・エスピー.H-
1(微工研寄託 菌寄第11428号)を接種し、30℃で3日
間培養後、その1白金耳を取り蔗糖1%、酵母エキス0.05
%、ポリペプトン0.5%、硝酸ナトリウム0.3%、第二リン
酸カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.02%、(pH7.2)の
組成からなる液体培地(60ml培地/500ml肩付きフラス
コ)に植菌し、30℃で2日間振盪培養した。これを種菌
とし、同組成からなる液体培地に分注し、30℃で2日間
振盪培養した。培養終了後、培養液を遠心分離し、上清
(粗酵素液)を得た。本液にはml当たり10単位の転移酵
素を含有していた。
なお、活性測定法は次の通りである。5%蔗糖溶液(50mM
リン酸緩衝液pH6.5)200μ1に適宜希釈した酵素液200
μ1を加え、40℃、10分間作用させた後、反応液を沸騰
水に入れ、酵素を熱失活させた後、ソモギーネルソン法
により生成したグルコース、フラクトースをグルコース
として求め算出する。酵素活性は、1分間に1μmolの
蔗糖を分解する酵素量を1単位とした。
(2)転移反応 97%レバウディオサイドA(試料No.1:守田化学社製)
2.8g、蔗糖20gを20mMクエン酸緩衝液(pH5.7)に溶解
し、200mlとして後(1)にて調製した転移酵素を50単
位添加し、40℃にて16時間反応させた。この時の転移率
は82%であった。その後、酵素を加熱失活させた反応液
を吸着樹脂(商品名:ダイヤイオンHP-20:三菱化成社
製)に吸着後、80%メタノールで溶出し、未反応レバデ
ィオサイドAと転移反応生成物の混合物を分取した。こ
のうち1/2量をMeOH留去、凍結乾燥して1.34gの混合物
(試料No.2)を得た。次に上記1/2量を更に分取カラム
にてクロマト分画し、MeOH留去、凍結乾燥して0.92gの
高純度の転移反応生成物(試料No.3)を得た。
(3)構造解析 上述の方法で分画・単離した試料No.3をヨウ化リチウ
ム、2,6ルチジン、メタノール試薬を用いて、19位の
エステル結合を選択的に分解する方法により、β−D−
フラクトフラノースが19位のグルコシル基に転移してい
ることを確認した。次に1H、13C−NMR解析によりβ
−D−フラクトフラノースが2位の位置で1分子結合し
ていることを確認し、更にメチル化分析(完全メチル化
→酸加水分解→還元→アセチル化→ガスクロマトグラ
フ)から、そのβ−D−フラクトフラノースはグルコシ
ル基の6位に結合していることが確認された。
以上の結果から構造式(III)[第2図]に示すよう
に、レバウディオサイドAの19位のCOOHにエステル結合
するグルコシル基の6位にβ−D−フラクトフラノース
が2位の位置で結合したβ−フラクトフラノシルレバウ
ディオサイドAと構造決定した。
このときの13C−NMRのチャートを第3図に示す。
試験例 実施例1にて得られた試料No.2,No.3について現在市販
されているグルコース転移ステビオサイド(東洋製糖社
製)(試料No.4)、現在市販されている合成品のうち最
高の甘味度、甘味質を有するとされているアスパルテー
ム(商品名:味の素社製)、ステビオサイド、レバウデ
ィオサイドA(試料No.1)を標準品として官能検査を行
なった。
(1)甘味度試験 供試品の水溶液調製 既に報告されている文献値を基準として、各甘味度が概
略蔗糖換算3〜6%に入るように第1表に示す水溶液を
調製した。
蔗糖水溶液 下記の6種の蔗糖水溶液を調製した。
3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0(%) 試験方法 蔗糖水溶液を低濃度から順に並べ、供試水溶液と同等の
甘味を有するものを10名のパネル員に選ばせた。試験に
基づく甘味度を第2表に示す。
以上のごとく、β−フラクトフラノシルレバウディオサ
イドA(高純度品)は標準品に比べてモル比換算では約
1.2倍となった。
(2)甘味質試験 (1)の甘味度試験の結果から、各供試品について5%
蔗糖水溶液と同等甘味水溶液を調製し、それらの甘味質
(苦味、残味、まろやかさ)の検査を行なった。
まず、標準品3点について苦味、残味、まろやか
さの3項目を20名のパネルを用いて評点法(第3表)で
採点し、次にこの評点を参考とし、供試品(No.2,No.
3)2点について12名のパネルを用い、同様に採点し
た。その結果を第4表に示す。
以上のごとく、β−フラクトフラノシルレバウディオサ
イドAは、苦味、残味、まろやかさ全ての項目につい
て、アスパルテームにやや劣るものの、甘味質が非常に
良好といわれているレバウディオサイドA、グルコース
転移ステビオサイドより良質なものに改善された。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)はステビオサイド及びこの発明の
原料物質であるレバイディオサイドAの構造式、第2図
は、この発明に係る物質であるβ−フラクトフラノシル
レバウディオサイドAの構造式、第3図は試料No3の13C
−NMRのチャート、測定条件は機器:JEOL JEN GX-40
0(100MHz),溶媒:Pyridin-d5,内部標準:Tetrametyls
ilan(TMS)である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レバウディオサイドAの19位のCOOHにエス
    テル結合するβ−グルコシル基の6位に、β−D−フラ
    クトフラノースが2位の位置で結合した構造のステビオ
    ール配糖体。
  2. 【請求項2】レバウディオサイドAとβ−フラクトシル
    糖化合物とを含有する水溶液又は懸濁液に、ミクロバク
    テリウム・エスピー.H-1(微工研寄託菌寄第11428号)
    の生産するβ−フラクトフラノシル転移酵素を作用させ
    ることを特徴とするレバウディオサイドAの19位のCOOH
    にエステル結合するβ−グルコシル基の6位に、β−D
    −フラクトフラノースが2位の位置で結合した構造のス
    テビオール配糖体の製造方法。
  3. 【請求項3】レバウディオサイドAとβ−フラクトシル
    糖化合物とを含有する水溶液又は懸濁液にミクロバクテ
    リウム・エスピー.H-1(微工研寄託菌寄第11428号)の
    生産するβ−フラクトフラノシル転移酵素を作用させて
    得られたレバウディオサイドAの19位のCOOHにエステル
    結合するβ−グルコシル基の6位に、β−D−フラクト
    フラノースが2位の位置で結合した構造のステビオール
    配糖体からなる甘味料。
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