JPH0672156B2 - 新規な心房ペプチド - Google Patents

新規な心房ペプチド

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JPH0672156B2
JPH0672156B2 JP59236542A JP23654284A JPH0672156B2 JP H0672156 B2 JPH0672156 B2 JP H0672156B2 JP 59236542 A JP59236542 A JP 59236542A JP 23654284 A JP23654284 A JP 23654284A JP H0672156 B2 JPH0672156 B2 JP H0672156B2
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    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/575Hormones
    • C07K14/58Atrial natriuretic factor complex; Atriopeptin; Atrial natriuretic peptide [ANP]; Cardionatrin; Cardiodilatin
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は有用なナトリウム排泄亢進活性を有する新規の
心房ペプチドに関する。
哺乳動物の心房の筋肉は無数の膜結合貯蔵顆粒を含有す
ることは公知である。ラツト、犬、猫そしてヒトの心房
に観察されるこれらの特徴的な分泌顆粒は、ペプチドホ
ルモン産生細胞中のものと似ている。(たとえばドボー
ルド(DeBold)ら、ジヤーナル・オブ・ヒストケミスト
リイ・アンド・サイトケミストリイ(J.Histochem.Cyto
chem.)第26巻、1094−1102頁(1978年)参照)。心房
の筋肉の粗組織抽出物を非利尿ラツトに静注すると、急
速に強力なナトリウム排泄亢進反応が起きたと報告され
ている(たとえばドボールド(DeBold)ら、ライスサイ
エンシズ(Life Sciences、)第28巻、89−94頁(1981
年)参照)。短時間の煮沸工程とセフアデツクス によ
る分画によりラツトの心房ホモジエネートの部分精製が
トリポッド(Trippodo)らにより行なわれた〔トリポツ
ド(Trippodo)ら、プロシーデイング・ソサイアテイ・
エクスペリメンタル・バイオロジカル・メデイシン(Pr
oc.Soc.Exp.Biol.Med.)第170巻、502−508頁(1982
年)〕。これらの研究者たちは総分子量3,600−44,000
ドルトンの範囲に、そして36,000−44,000ドルトンの高
分子量範囲と3,600−5,500ドルトンの低分子量範囲のと
ころナトリウム排泄活性を見出した。
最近の文献〔フエデラル・プロシーデイング(Fed.Pro
c.)第42巻(3)、抄録1870、611頁(1983年)〕でド
ボールド(DeBold)らは、彼らが“カーデイオナトリン
(Cardionatrin)I"と名づけた分子量5150ドルトンで47
個のアミノ酸の配列を有する心房ナトリウム排泄亢進ペ
プチドの精製について報告している。高速液体クロマト
グラフイー法(HPLC)によりナトリウム排泄亢進活性を
有するさらに3つのピークが得られた。
さらにあとの文献〔バイオケミストリイ・バイオフイジ
ツクス・リサーチ・コミユニテイ(Biochem.Biophys.Re
s.Comm.)第116巻(2)、696−703頁、10月31日号、19
83年)でグラマー(Grammer)らは、分子量が約3800で3
6個のアミノ酸残基を含有するラツトの心房ナトリウム
排泄亢進因子の部分精製について記載している。
ラツトの心房抽出液は低分子量画分(<10,000ドルト
ン)と高分子量画分(20,000−30,000ドルトン)に分画
され、いずれの画分も試験管内で平滑筋を弛緩させ、ラ
ツトに静脈内投与すると強力なナトリウム排泄亢進作用
があつた〔キユリー(Currie)ら、サイエンス(Scienc
e)、第221巻、71−79頁(1983年)参照〕。
発明の簡単な説明 本発明は有用きナトリウム排泄亢進活性を示す新規なペ
プチドを供する。これらの生物活性を有するペプチドは
以下のアミノ酸配列のペプチド、又はその生理学的に許
容される塩、エステル又はアミドである: R1−cys−phe−gly−gly−arg−ile−asp−arg−ile−g
ly−ala−glr−ser−gly−leu−gly−cys−asn−R2 (式中、R1=H、ser、ser−ser、及び R2=OH、ser、ser−phe−arg、ser−phe−arg−tyr)。
このペプチドの構造式の中でアミノ酸は普通用いられる
以下の略号で示してある。アミノ酸 略号 L−アラニン ala L−アルギニン arg L−アスパラギン asn L−アスパラギン酸 asp L−システイン cys L−グルタミン gln グリシン gly L−イソロイシン ile L−ロイシン leu L−メチオニン met L−フエニルアラニン phe L−プロリン pro L−セリン ser L−チロシン tyr 本発明のペプチドはこれを入手したラツトの心筋にはも
ともと存在しなかつたきわめて純粋な形で単離した。す
なわちそれらは基本的に他のペプチドや細胞性物質そし
て組織物質を含まない形で調製された。これらの新規な
心房ペプチドは、細胞容量、ナトリウム及び血管抵抗性
調節のための体液性物質に関する心房の内分泌系の研究
において医学上の重要性を示唆する生理学的特質を示
す。
特に本発明の新規なペプチドは利尿剤、ナトリウム排泄
亢進剤、腎血管拡張剤及び平滑筋弛緩剤として治療に利
用できることを示している。すなわちこれらのペプチド
はナトリウム、尿量、腎血管拡張及び平滑筋の緊張に多
大の影響を与える。
簡単にいうと、これら新規なペプチドはラツトの心房抽
出液のゲル濾過クロマトグラフイーによる分画によつて
得られ、高分子量画分と低分子量画分を与え、そのいず
れもがナトリウム排泄活性を有している。低分子量ピー
クはナトリウム排泄亢進活性を有するピークと、腸(ヒ
ヨコの直腸)の筋肉片のみ優先的に弛緩させるか又は血
管(ウサギの大動脈)及び腸の平滑筋調製物を弛緩させ
るピークの2つのピークに分解された。この腸平滑筋弛
緩物質は逆相高速液体クロマトグラフイー(HPLC)によ
り4つのピークに分けられ、単一ピークになるまで精製
した。配列解析によりこのセリン及びグリシンに富むペ
プチドの構造が確立し、この4つの生物活性を有するペ
プチドはそれぞれアミノ末端とC末端の第1番目と第2
番目のセリンが欠如している点で互いに異なることが証
明された。このアミノ酸が21個のペプチドをアトリオペ
プチンI(atriopeptinI)と名づけ、腸切片を弛緩させ
ナトリウム排泄亢進作用及び抗利尿作用のあつたが血管
片に対して効果のなかつた他の3個のピークをそれぞれ
des−ser1−アトリオペプチンI、des−ser1,ser2−ア
トリオペプチンIそしてdes−ser21−アトリオペプチン
Iと名づけた。
同様にナトリウム排泄亢進−抗利尿作用がより強力であ
つた血管平滑筋弛緩物質はHPLCで2つの大きなピークに
分かれた。意外なことにこの2つのウサギの動脈弛緩物
質のアミノ末端の21個のアミノ酸は腸弛緩物質と同じで
あつたが、アミノ酸23個のペプチド(アトリオペプチン
IIと命名)はphe−argを有し、アミノ酸24個のペプチド
(アトリオペプチンIIIと命名)はカルボキシ末端がphe
−arg−tyrでのびていた。この密接に関連したペプチド
の群は類似の高分子量前駆体に由来すると考えられ、小
さい方のペプチドの生物学的選性と活性は、限定的連続
的な蛋白分解作用により決まるのかもしれない。
短かい方のアミノ酸21個のペプチド(アトリオペプチン
I)と命名)は腸平滑筋を弛緩するが血管の平滑筋を弛
緩させず、インビボ(in vivo)でナトリウム排泄亢進
作用及び利尿作用がある。2番目のペプチド(アトリオ
ペプチンII)は23個のアミノ酸を有しており、すなわち
21個のアミノ酸が同じでC−末端にphe−argがのびてお
り、その結果血管及び腸平滑筋を弛緩させると共にイン
ビボで強力なナトリウム排泄亢進−利尿作用のある物質
が得られる。
発明の詳細な説明 本発明は図面と共に示した好適な実施態様の詳細な説明
によりより一層理解できる。
図1は本発明の態様中の新規な心房ペプチドの腸平滑筋
弛緩活性(ヒヨコの直腸弛緩、mm)の比較をグラフに示
したものである。
図2は別の態様における新規な心房ペプチドの血管平滑
筋の弛緩(ウサギの大動脈弛緩、mm)活性の比較をグラ
フにしたものである。
本発明のペプチドはもともと凍結したラツトの心臓より
単離した。2500個のラツトの心臓から一連の工程により
目的のペプチドを単離した。この単離工程を簡単に示す
と下記の様になる: (a)哺乳動物の心房組織の粗ホモジエネートを調製し
遠心分離する、 (b)上澄液を煮沸し遠心分離する、 (c)セフアデツクス G−15樹脂を用いるゲル濾過ク
ロマトグラフイーにより上澄液の脱塩を行なう、 (d)セフアデツクス G−75樹脂を用いて蛋白画分の
ゲル濾過クロマトグラフイーを行なう、 (e)SP−セフアデツクス C−25樹脂を用いて低分子
量蛋白画分のイオン交換クロマトグラフイーを行なう、 (f)2つの主要な蛋白画分の高速液体クロマトグラフ
イーを行なう。
(g)分離した心房ペプチド画分を回収する。
上記のセフアデツクスクロマトグラフイー樹脂は公知の
物質でありフアルマシアフアインケミカルズ社(Pharma
cia Fine Chemicals)(Piscataway,NJ)より入手でき
る。
単離したペプチドのバイオアツセイはウサギの大動脈片
とヒヨコの直腸の切片を用いて生理学的に許容される条
件下で実施した。ノルエピネフリンを連続的に注入して
緊張を維持させたウサギの大動脈切片は、信頼性の高い
感度の良い定量用組織であつた。しかしカルバコール
(ムリカリン剤のひとつ)で収縮させた単離したヒヨコ
の直腸調製物を使用すると迅速簡便に測定でき、大量の
試料の試験が可能であつた。
単離したペプチドのナトリウム排泄亢進活性は、ラツト
に静注し尿中のナトリウムの割合に対する効果を測定す
ることにより求めた。
本発明者らの研究グループが開発した生物活性の測定方
法(平滑筋弛緩とナトリウム排泄亢進)はキユリー(Cu
rrie)らのサイエンス(Scienece)第221巻、71−73頁
(1983年)に記載されている。
以下の実施例により本発明を説明するが、これらは決し
て本発明を限定するものではない。下記の例においてCR
Fはヒヨコの直腸因子でありRAFはウサギの大動脈因子を
意味する。
実施例1 方 法 試験管内での平滑筋の弛緩 バイオアツセイ 1gの張力をかけたウサギの胸部大動脈
のらせん形の切片とヒヨコの直腸切片を酸素を供給した
Krebs−Henseleit溶液(37℃)で10ml/分で潅流した。
安静時の緊張は2×10-8Mノルエピネフリン(大動脈)
は又は2×10-8Mカルバコール(直腸)で誘導した。試
験物質の効果は組織の上を流れている培地にマイクロピ
ペットで添加して、ニトログリセリン(大動脈)とイソ
プロテレノール(直腸)を標準物質として用いて測定し
た。カラムの画分は凍結乾燥し、残りはバイオアツセイ
用にリン酸緩衝化生理食塩水に溶解した。
ナトリウム排泄亢進 抽出液のナトリウム排泄亢進活性
は250−300gのオスのSprague−Dawleyラツトをジアル−
ウレタンで麻酔をかけて測定した。採尿用に恥骨上シラ
ステイツク膀胱カテーテルを取りつけ、5%デキストロ
ース溶液中0.225%のNaCl溶液を38μ/分で潅流する
ために尾静脈カテーテルを使用した。1時間の平衡化時
間の後に、10分間の基準尿採取を2回行ない次に試験物
質を急速に注入し、さらに10分間の採尿を3回行なつ
た。1時間の再平衡化時間の後に試験物質の2回目の注
入を行なう第2回の採尿を完了した。重さを測つておい
た容器中で重さを測定して尿量を求めた。ナトリウム濃
度は炎光光度計で測定した。
ヒヨコ直腸因子(CRF)とウサギ大動脈因子(RAF)の調
製と精製 200匹のラツトより得た約30gずつの凍結されている心房
組織を1クオートのワーリング(Waring)ブレンダー中
でリン酸緩衝化生理食塩水で組織重量に対し10倍容量に
なるように分散させた(1分)後、Polytron PT20STで
最高速度で(20秒)撹拌しホモジエネートを調製した。
浮遊液を200×gで10分間遠心分離した。熱処理(18×1
50mm試験管中の10mlを沸騰浴に10分間浸した)の後、こ
の上澄液を再び12000×gで10分間遠心分離した。次に
(氷)酢酸を0.5Mになるように上澄液に添加し、得られ
た浮遊液を最後にもう一度遠心分離(27000×gで15分
間)して清澄化させた。上澄液をG−15セフアデツクス
カラム(8×36cm)を用いて、0.5M酢酸を600ml/時間で
流してクロマトグラフイーを行ない、蛋白画分を凍結乾
燥して濃縮した。次に600匹のラツトから取つた物質を
合わせて1つにして0.5Mの酢酸に溶解し5×90cmのG−
75セフアデツクスカラムにかけ、0.5M酢酸を96ml/時間
で流して溶出させた。前述の文献〔キユリー(Currie)
ら、サイエンス(Science)第221巻、71−73頁(1983
年)〕のアツセイ法により2つのピークに生物活性が認
められた。それらは高分子量画分(20,000−30,000)と
低分子量画分(10.000未満)の2つである。
イオン交換クロマトグラフイーにより低分子量画分をさ
らに精製した。1200匹のラツトより取つた物質を合わせ
て1つにしたものを25mM酢酸アンモニウム/500mM酢酸中
のSP−セフアデツクスC−25(乾燥重量25g、5×7cmカ
ラム)にかけた。酢酸は500mMに維持し、流速は96ml/時
間で酢酸アンモニウムが23.4mM/時間で増加する直線濃
度勾配によりクロマトグラムを得た。生物活性は2つの
主要画分にのみ見出された。ひとつは酢酸アンモニウム
150mMで溶出されるCRFと命名したピークでありヒヨコ直
腸弛緩因子(CRF)を含有しており、もうひとつは酢酸
アンモニウム270mMで溶出されるRAFと命名したピークで
ありウサギ大動脈弛緩因子(RAF)を含有していた。両
画分ともナトリウム排泄亢進活性が強かつた。
最終的な精製工程ではHPLCを使用し215nmでUV吸収を追
跡した。SP−セフアデツクスカラムより得たCRF画分とR
AF画分は何度も凍結乾燥して揮発性物質を除去し、0.1
%トリフルオロ酢酸に再溶解し、次にBrownlee RP−300
Aquoporeカラム(4.6mm×25cm)を用い1.0ml/分で下記
の濃度勾配でHPLCを行なつた。CRF:3.8分かけて0→10
%A、次に60分かけて10%A→14.8%A、次に100分か
けて14.8%A→16.4%A,CRF活性を有する3つのピーク
が113.8分に溶出した。RAF:3.6分かけて0→16%A、次
に80分かけて16%A→22.4%A。RAF活性のバンドは48.
8分に溶出した。すべての場合で溶媒A=0.1%トリフル
オロ酢酸/アセトニトリルであり、B=0.1%トリフル
オロ酢酸/H2Oである。生物活性を有する画分はVydacカ
ラム(C18、孔の大きさ300Å、4.6mm×25cm)に再注入
し、50分かける0→50%Cの濃度勾配を用いて1.0ml/分
で溶出させた。CRF試料は大きな1つのピーク(CRF−
I、29.3分)と、小さな2つのピーク(CRF−IIとCRF−
III、29.5分、29.7分)に分離した。RAF試料は大きなピ
ーク(RAF−I、31.0分)と小さなピーク(RAF−II、3
1.5分)を与えた。生成物は凍結乾燥し−20℃で保存す
ると良好な安定性を示した。
エドマン分解 上記の単離したポリペプチドはハンカピ
ラー(Hunkapiller)ら、メソツズ・イン・エンザイモ
ロジイ(Methods in Enzymol.)第91巻(1)、第36
章、アカデミツク・プレス(Academic Press)、N.Y.、
1983年の方法により、アプライド・バイオシステムズ・
モデル(Applied Biosysteme Model)470Aガスフエーズ
シークエンサーを用いて連続的に分解した。いくつか変
更した部分は溶媒のひとつのベンゼンの使用をやめたこ
と、そして系の溶媒4としてメタノールのかわりにアセ
トニトリルを用いたことである。さらに使用した変換溶
媒(試薬4)は25%トリフルオロ酢酸(H2O中v/v)であ
る。結合時間は全体で約600秒に減少させ、分解時間は8
50秒のままであつた。CRF(収率665ピコモル)、還元/
アルキル化CRF(600ピコモル)、そしてRAF(1178ピコ
モル)のそれぞれにつき1回分解を行なう1回の実験
で、このサイクルを30回以上繰返した。フエニルチオヒ
ダントインアミノ酸はハンカピラーとフツド(Hunkapil
er and Hood)、メソツズ・イン・エンザイモロジイ(M
ethods in Enzymol.)第91巻(1)、第43章、アカデミ
ツク・プレス(Academic Press)、N.Y.,1983年の方法
を応用して高速液体クロマトグラフイーを用いて同定し
た。正確に定量するに値すると考えられるアミノ酸誘導
体について測定した平均的繰返し収率は91%であつた。
上記の方法は、1200匹のラツトの心臓の精製に用いた一
連の操作段階を与える。相対的生物活性を求めるため、
心房抽出液の弛緩活性を、血管片(ウサギ大動脈)に対
するニトログリセリンの標準曲線と、腸切片(ヒヨコ直
腸)に対するイソプロテレーに対して比較した。ラツト
の心房の最初の粗ホモジエネートは汚染がひどくて総活
性が求められなかつた。10分間の煮沸を行なうと、セフ
アデツクスG−15カラムで脱塩する前に多量の蛋白が除
去されるため、精製がはかどつた。ゲル濾過カラムより
得られた低分子量画分は、種々の画分の優先的鎮痙活性
の差違に基づきさらにイオン交換クロマトグラフイーで
分離した。すなわち各画分の10μと2つのペプチドが
存在することが証明され、そのうちひとつは腸平滑筋を
優先的に弛緩させ、もうひとつは低濃度で血管切片を優
先的に弛緩させた。しかしこの2つのピークの完全な用
量応答分析を行なうとヒヨコ直腸弛緩物質は顕著な選択
性を示し、このペプチドは高投与量でも血管弛緩剤とし
ては無効であつた。一方第2のピークは腸切片及び血管
切片のいずれにも濃度依存性弛緩を示した。優先的選択
性を示すピーク、すなわちヒヨコ直腸弛緩物質(これは
生体内でナトリウム排泄亢進−利尿活性を有していた)
を下記の如くさらに詳しく調べた。
SPセフアデツクスカラムより得られた凍結乾燥ヒヨコ直
腸活性因子(CRF)を逆相(Brownlee C18)HPLCで分画
した。CRFは3つの大きな画分(I−III)に分離した。
各画分を凍結乾燥しVYDACカラム(C18、孔の大きさ300
Å)を用いてHPLCで再度クロマトグラフイーを行なつ
た。こうして蛋白量60μgのCRF−I、25μgのCRF−I
I、そして25μgのCRF−IIIが得られた。CRF−Iは平滑
筋弛緩物質として定量すると濃度依存性弛緩を示した
が、あらかじめ収縮させた大動脈片を弛緩させなかつ
た。CRF−I蛋白を静注すると尿中ナトリウム濃度が増
加した。
精製したCRF−Iはガスフエーズシークエンス法で分析
した。実施例1で測定した密接に関連した低分子量鎮痙
性/ナトリウム排泄亢進性ペプチドの配列を下記の表11
に示す。このペプチドには多数のセリンとグリシン残基
が存在する。CRF−IIとCRF−IIIはCRF−Iに存在する1
つ又は2つのセリンが欠如しているのみなので、これら
はアミノペプチダーゼ分解産物であることを示唆してい
る。CRF−II及びCRF−IIIともに充分な生物活性を有し
ているため、腸リセプターによる認識はアミノ末端にお
ける欠如について寛容であるようである。
血管平滑筋の優先的弛緩を示したRAF−Iと命名した精
製低分子量ペプチドをガスフエーズシークエンテーター
でさらに分析した。意外なことにRAF−Iの最初の21個
のアミノ酸はCRF−Iのアミノ酸と全く同一であつた。
ペプチド中の大きな違いはカルボキシル末端にあつた。
RAF−Iは試験管内で強力な血管平滑筋弛緩剤であり、
生体内で選択的腎血管拡張剤である。RAF−1はまたナ
トリウム排泄亢進剤としてはCRF−Iよりかなり強力な
ようである。CRF−1は多量使用する必要があり、in vi
voの応答において変動がある。
表 1 アミノ酸配列 CRF−I: Ser−ser−cys−phe−gly−gly−arg−ile−asp−arg−
ile−gly−ala−gln−ser−gly−len−gly−cys−asn−
ser CRF−II:des−ser1−CRF−I CRF−III:des−ser1、ser2−CRF−I RAF−I: Ser−ser−cys−phe−gly−gly−arg−ile−asp−arg−
ile−gly−ala−gln−ser−gly−leu−gly−cys−asn−
ser21−phe−seg23 RAF−IとCRF−Iは電荷(イオン交換クロマトグラフイ
ーによる)と逆相HPLCによる易動度により容易に区別さ
れる。これらのペプチドのカルボキシ末端の配列が生物
学的特異性を規定している。CRF−Iはカルボキシ末端
が短かくなつているためその生物活性が腸平滑筋の弛緩
と弱いナトリウム排泄亢進活性に限定される。このペプ
チドは血管切片を弛緩させないし、生体内において腎抵
抗性を低下させない。一方RAF−Iの長くなつたカルボ
キシ末端は血管リセプター認識とナトリウム亢進作用と
利尿作用の開始に必要な構造的特徴と含有している。CR
FとRAFのアミノ末端の21個のアミノ酸が同一であること
はこれらのペプチドが同一の前駆体ペプチドに由来する
ことを強く示唆している。少なくとも最初の2個のセリ
ン残基のアミノペプチダーゼ分解は生物活性を大きく低
下させることはない。しかしながら、心房ペプチドのカ
ルボキシ部分の攻撃部位は最終的な生物学的応答を指令
しているようである。この蛋白分解酵素はこれらの鎮痙
性(ナトリウム排泄亢進性)ペプチドの生理学的作用の
理想的な調節部位を与える。
実施例2 材料と方法 精製の概要 1400個のラツトの凍結心房(Biotrol、Indianapolis I
N)の余分な組織(153g湿重量)を除去し、フツ化フエ
ニルメチルスルフオニル(1μ/ml、シグマ化学会社(S
igma Chemical Company)、St.Louis、MO)の存在下で1
0倍量のリン酸緩衝化生理食塩水でホモジナイズし、250
0×gで10分間遠心分離した。上澄液を10mlずつに分注
し、100℃の湯浴に10分間浸した後、10,000×g、4℃
で10分間遠心分離した。上澄液を0.5M酢酸になるように
調整し、セフアデツクスG−15カラム(8×36cm)にか
け、0.5Mの酢酸で溶出(600ml/時間)させた。カラム溶
出液を凍結乾燥した後0.5M酢酸で復元し、セフアデツク
スG−75カラム(5×90cm)にかけ96ml/時間で0.5M酢
酸で溶出させた。G−75カラムより溶出した凍結乾燥低
分子量画分を25mM酢酸アンモニウム/0.5M酢酸中SP−セ
フアデツクスC−25(20gゲル、5×7cmカラム)にか
け、0.5M酢酸中酢酸アンモニウムの直線濃度勾配(96ml
/時間で23.4mM/時間)により溶出させた。生物活性を有
する2つの画分が溶出した。ひとつは160mMで溶出しこ
れは腸平滑筋切片を弛緩させたが、血管平滑筋切片は弛
緩させなかつた。もうひとつは270mMで溶出し、これは
血管平滑筋切片及び腸平滑筋切片ともに弛緩させた。低
分子量ピークは凍結乾燥の後、溶媒A(0.1%トリフル
オロ酢酸/アセトニトリル)と溶媒B(0.1%トリフル
オロ酢酸/水)の混合液を1.0ml/分で用い、Brownlee R
P−300aguaporeカラム(4.6mm×25cm)を用いる逆相液
体クロマトグラフイーにより、各ピークをひとつずつ精
製した。
SP−セフアデツクスカラムから160mMの酢酸アンモニウ
ムで溶出した画分を3.8分かけて0−10%A、次に60分
かけて10−14.8%A、次に100分かけて14.8−16.4A%の
濃度勾配で測定した。アトリオペプチンIは15.6%Aで
溶出し、des−ser1−アトリオペプチンIは15.7%Aで
溶出し、des−ser1、ser2−アトリオペプチンIは15.7
%Aで溶出し、des−ser21−アトリオペプチンIは15.8
%で溶出した。270mMで溶出したSP−セフアデツクス画
分はHPLCで同じ濃度勾配で分離し、アトリオペプチンII
は、5.8分かけて0−16%Aそして80分かけて16−22%
の濃度勾配において19.6%Aで回収し、アトリオペプチ
ンIIIは21.1%Aで回収した。生物活性のある画分はVyd
acオクタデカシリルカラム(孔の大きさ300Å、4.6mm×
25cm)にかけ、溶媒A(アセトニトリル中0.05%トリフ
ルオロ酢酸)と溶媒B(水中0.05%トリフルオロ酢酸)
の混液を用い30分かけて0−30%の濃度勾配で1.0ml/分
で溶出させた。25分かける10−35%の濃度勾配でアトリ
オペプチンIは29.5%Aで、des−ser1−アトリオペプ
チンIは29.7%Aで、des−ser1、ser2−アトリオペプ
チンIは29.7%Aで、des−ser21−アトリオペプチンI
は29.9%Aで、アトリオペプチンIIは31.5%Aで、アト
リオペプチンIIIは32%Aで現われた。実施例1に記載
のバイオシステム・モデル(Biosystem Model)470Aガ
スフエーズシークエンサーを応用して用い、これらのペ
プチドを連続的に分解させた。以下の各化合物につき1
回の分解を行なう各実験で30回以上のサイクルを行なつ
た:還元及びアルキル化したアトリオペプチンI(収率
600ピコモル);des−ser1−アトリオペプチンI(660ピ
コモル);des−ser21−アトリオペプチンI(520ピコモ
ル);des−ser1、ser2−アトリオペプチンI(650ピコ
モル);アトリオペプチンII(1200ピコモル)、及びア
トリオペプチンIII(850Pモル)。0.4Mトリス酢酸(pH
9.0)中2.0%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)90μ
中にこれらのアトリオペプチンを溶解して還元しアルキ
ル化した。100mMジチオスレイトール10μを添加し、N
2を吹きつけ、キヤツプをして37℃で60分間インキユベ
ートした。次に120mMのヨードアセトアミド(3回再結
晶させた)の新鮮な溶液20μを加え、N2を吹きつけ、
キヤツプをし室温で10分間インキユベートした。次に煮
沸させた透析チユーブに移し、0.1%SDSで2時間透析
し、一晩再透析した後凍結乾燥を行なつた。実施例1に
記載した高速液体クロマトグラフイーを用いてフエニル
チオヒダントインアミノ酸を同定した。各サイクルにつ
き平均的サイクル収率は90%以上であり、その信号によ
り正確な定量が可能であつた。精製したペプチドの蛋白
濃度はローリイLowryら、ジヤーナル.オブ.バイオロ
ジカル.ケミストリイ(J.Biol.Chem..)第193巻、265
−276頁(1951年)の方法を用いて定量した。平滑筋バ
イオアツセイ法はキユリー(Currie)ら、サイエンス
(Science)第221巻、71−73頁(1983年)に記載の方法
により実施した。簡単に言えば、ウサギの胸部大動脈と
ヒヨコの直腸のらせん形切片を、酸素添加したKrebs−H
enseleit培地を用い10ml/分で連続的に超潅流した(37
℃。弛緩物質を検出するために、血管平滑筋製物にノル
エピネフリン(2×10-8M)を注入して安静時の緊張を
誘導した。
基準コントロールのナトリウム排泄亢進−利尿活性(U
NaV)パーセントを測定した。ナトリウム排泄亢進−利
尿作用の測定(基準コントロールのUNaVパーセント)
は、0.4mlのジアル−ウレタンで麻酔した250−300gのSp
rague−Dawleyラツトを用いて実施した。恥骨上シラス
テイツクカテーテルを尿採取のため膀胱にとりつけ、5
%デキストロース中0.225%NaClの注入(38μ/分)
用に尾静脈カテーテルを使用した。1時間の平衡化時間
の後に10分間基準尿を採取し、次に試験物質を急速に静
注し10分間の採尿をさらに3回行なつた。重さを測つて
おいた容器を用い尿の重さを測定して尿量を求めた。ナ
トリウム濃度は炎光光度法により測定した。
結 果 配列解析に充分な純度のペプチドを得るための精製実験
計画を表2に示す。ラツトの心房の最初の粗ホモジエネ
ートは汚染がひどくて総生物活性は定量できなかつた。
10分間煮沸すると、セフアデツクスG−15カラムで脱塩
する前に多量の蛋白が除去されるため精製がはかどつ
た。ゲル濾過カラムより得られた低分子量画分は、種々
の画分の電荷と優先的鎮痙活性の差違に基づき、さらに
イオン交換クロマトグラフイーで分離した。こうして各
分画を試験すると2つの大きなペプチド画分の存在が証
明され、そのうちの1つは腸平滑筋を優先的に弛緩さ
せ、もうひとつは低濃度で血管切片と腸切片を弛緩させ
た。SP−セフアデツクスカラムより得られた凍結乾燥ヒ
ヨコ直腸活性因子は逆相(Brown lee C18)HPLCを用い
て4画分に分別した。同様に血管弛緩活性を有するピー
クも2つの大きなピーク(アトリオペプチンIIとアトリ
オペプチンIII)に分かれた。各画分を凍結乾燥しVYDAC
カラムのHPLCにより再度クロマトグラフイーを行ない配
列解析を行なつた。この実施例2で測定した密接に関連
した低分子量鎮痙性/ナトリウム排泄亢進ペプチドの配
列を表3に示す。これらのペプチドは多量のセリンとグ
リシン残基を含有し、分子内ジスルフイド環を有する。
選択的に腸平滑筋に作用するが血管平滑筋には作用しな
い4つのペプチドは、アミノ末端におけるひとつ又は2
つのセリン残基の欠如、又はC末端セリンの欠如によ
り、互いに区別される。腸鎮痙剤であるとともに強力な
血管平滑筋弛緩剤であるこれらのペプチドは、アトリオ
ペプチンIIではカルボキシル末端にphe−argがのびてお
り、アトリオペプチンIIIではカルボキシル末端にphe−
arg−tyrがのびている。種々の心房ペプチドの生物活性
を定量的に比較すると、des−ser1−アトリオペプチン
I及びdes−ser1、ser2−アトリオペプチンともに活性
ペプチドなので、腸リセプターの認識はアミノ末端にお
ける欠如に対して寛容であることがわかる。しかしカル
ボキシル末端にのびているphe−argが欠如すると血管弛
緩活性がなくなり、生体内におけるナトリウム排泄亢進
−利尿活性が低下する。アトリオペプチンIIとIIIの試
験管内及び生体内活性は同程度であり、argより先にC
−末端がのびても実質的に活性は変化しないかもしれな
いことを示唆している。図1と図2は前述したようにヒ
ヨコの直腸とウサギの大動脈を用いる定量法により測定
した心房ペプチドの生物活性を定量的に比較したもので
ある。
6種類の心房ペプチドを2μg静注してラツトにおける
生体内のナトリウム排泄亢進作用を試験した。アトリオ
ペプチンIIとIIIの活性は同じであり、アトリオペプチ
ンIより若干強かつた。N−末端又はC−末端において
セリンが欠如して21個のアミノ酸のペプチドがさらに短
かくなるとナトリウム排泄亢進−利尿活性が減少した。
この生体内試験の結果を下記の表4に示す。
単離し潅流したラツトの腎臓でアトリオペプチンIIとア
トリオペプチンIIIは濃度依存性腎血管拡張作用を示し
た。phe−arg C−末端の欠如したペプチド(すなわちア
トリオペプチンI族のペプチド)は腎血管拡張剤として
は活性は低い。
当業者は本発明の開示を読んだ後は本発明の精神と範囲
から逸脱することなく他の多くの例や以下の例の変更が
可能なことは明らかであり、そのような例や変更は全て
特許請求の範囲に含まれる。すなわち生物活性に害を与
えない、ペプチドの末端(R1又はR2)の長さや組成の変
化やペプチドの個々のアミノ酸の変化は特許請求の範囲
に含まれる。
このような例や、ペプチドの末端基や個々のアミノ酸が
変化した例を説明するために以下の例を示す。
実施例3 前述した実施例2のラツトのアトリオペプチンIIとIII
に対応するヒトの合成心房ペプチドを調製した。このヒ
トアトリオペプチンは、ラツトのアトリオペプチンのイ
ソロイシンのかわりに8位にメチオニンがあることを除
いては、前述した一般式で示されるアミノ酸配列を有し
ている。カンガワ(Kangawa)ら、バイオケミストリイ
・アンド・バイオフイジツクス・リサーチ・コミユニテ
イ(Biochem.and Biophys.Res.Commun.)第118巻
(1)、131−139頁、1月13日号、1984年は、ナトリウ
ム排泄亢進、利尿及び血管弛緩活性を有するヒト心房抽
出液からのアミノ酸28個から成るペプチドの精製につい
て記載している。このペプチドのアミノ酸配列はイソロ
イシンのかわりにメチオニンがはいつていることを除く
と、フリン(Flynn)ら、同上、第117巻(3)、859−8
65頁、12月28日号、1983年に記載されているラツト心房
抽出液からの28個のアミノ酸から成る対応するペプチド
のアミノ酸配列と同じである。従つて23個及び24個のア
ミノ酸を有する本発明の合成ヒトアトリオペプチンIIと
III(ヒトAP−IIとAP−III)は下記の配列で調製した。
ヒトAP−II ヒトAP−III アトリオペプチン分子はメリフイールド(Merrifield)
の古典的固相法による1%架橋ポリスチレン支持体上で
合成した。以下の文献を参照:メリフイールド(Merrif
ield),ジヤーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソ
サイエテイ(J.Amer.Chem.Soc.)第85巻、2149−54頁
(1963年)とサイエンス(Science)第150巻、178−85
頁(1965年);スチユアートとヤングStewart and Youn
g,ソリツド・フエーズ・ペプチド・シンセシス(Solid
Phase Peptide Synthesis)、ダブリユー・エイチ・フ
リーマン・アンド・カンパニイ(W.H.Freeman&Co.)、
サンフランシスコ、1969年とアドバンシズ・イン・エン
ザイモロジイ(Advances in Enzymology)第32巻、221
−296頁、エフ・エフ・ノールド(F.F.Nold)著、イン
ターサイエンス・パプリツシヤーズ(Interscience Pub
lishers)、ニユーヨーク、1969年中のメリフイールド
(Merrifield)による総説の章;そしてエリクスンとメ
リフイールド(Ericson and Merrifield)、ザ・プロテ
インズ(The Proteins)、第2巻、255頁(ノイラスと
ヒル(Neurath and Hill)、アカデミツクプレス(Acad
emic press)、ニヨーヨーク、1976年。標準的合成サイ
クルは表5に記載してある。一般にBoc−アミノ酸(N
−保護基t−ブチルオキシカルボニルを有する)とのび
ていくペプチド鎖との結合速度は基質の性質によつて変
化するため、ペプチド樹脂をニンヒリドン呈色反応で追
跡し、反応が完了したか否かを決定した。一晩反応の後
も反応が不完全な場合は樹脂にBoc−アミノ酸とカツプ
リング剤ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)で再
度結合させた。合成に使用したN−保護されたアミノ酸
はBoc−Ser(Bzl)、Boc−Cys(4−MeBzl)、Boc−Ph
e、Boc−Gly、Boc−Arg(Tos)、Boc−Ile、Boc−Met、
Boc−Asp(OBzl)、Boc−Ala、Bco−Gln、Boc−Leu、Bo
c−Asn、Boc−Tyr−(2,6−di Cl Bzl)である。使用し
た樹脂はペプチドの酸についてはクロロメチル化ポリス
チレンであり、ペプチドのアミドについては4−メチル
ベンズヒドリルアミンである。タム(Tam)ら、テトラ
ヒドロン・レターズ(Tetrahedron Letteve)1982年、2
939頁に記載の2段階TF法によりペプチドを脱保護し樹
脂からはずし、Vydac逆相カラムを用いる中圧クロマト
グラフイーで水中5%−50%アセトニトリル(両溶媒と
も0.1%トリフルオロ酢酸で緩衝化されている)の濃度
勾配で溶出して精製した。ペプチドの純度はVydacカラ
ムを用いる分析用逆相HPLCで追跡した。精製したペプチ
ドを空気にさらしてpH8.3の酢酸アンモニウム緩衝液中
で撹拌してペプチドを環状化(システイン残基間のジス
ルフイド形成)させた。環状化の進行は分析HPLCで追跡
し、完了したとき上記の中圧カラムでペプチドを精製し
た。最終生成物は30%酢酸から凍結乾燥した。生成物の
構造はアミノ酸分析とガスフエーズシークエンス法で証
明した。生成物は2つの異なるカラム条件を用いてHPLC
で確認した。
ヒトアトリオペプチン生成物の活性は、血管平滑筋(ウ
サギの大動脈)に対するインビトロ定量とイヌにおける
生体内定量法を用い、前者では平滑筋弛緩を後者では利
尿とナトリウム排泄亢進作用を追跡して測定した。ヒト
アトリオペプチン生成物と対応するラツトアトリオペプ
チン生成物(ラツトアトリオペプチンIII=1.0)との比
較の結果を表6に要約してある。
前述の固相ペプチド合成に使用したN−保護アミノ酸は
下記のように規定する: Boc−Ser(Bzl)=t−Boc−O−ベンジル−L−セリン Boc−Cys(4−MeBzl)=t−Boc−S−4−メチルベン
ジル−L−システイン Boc−Phe=t−Boc−L−フエニルアラニン Boc−Gly=t−Boc−グリシン Boc−Arg(Tos)=t−Boc−N−トシル−L−アルギ
ニン Boc−Ile=t−Boc−L−イソロイシン Boc−Met=t−Boc−L−メチオニン Boc−Asp(OBzl)=t−Boc−アスパラギン酸−β−ベ
ンジルエステル Boc−Ala=t−Boc−L−アラニン Boc−Gln=t−Boc−L−グルタミン Boc−Leu=t−Boc−L−ロイシン Boc−Asn=t−Boc−L−アスパラギン Boc−Tyr(2,6−diClBzl)=t−Boc−O−2,6−ジクロ
ロ−ベンジル−L−チロシン イヌの腎機能試験において、ペントバルビトール麻酔し
た雑種犬にアトリオペプチンを動物の体重1kg当たり5
−30μg/分で腎動脈内注射をした。ラツトのアトリオペ
プチンIIとIII及びヒトAPIIは腎血流(電磁式流速プロ
ーブ)とナトリウム排泄(UNaV)で濃度依存性増加を
示したが、アトリオペプチンIは比較的活性が弱かつ
た。対照標準物質(ラツトアトリオペプチンIII=1.0)
では腎血流15ml/分の増加と、ナトリウム排泄200%増加
させるのに必要な量は約3ナノモルであつた。
実施例1と2及びキユリー(Currie)ら、サイエンス
(Science)第221巻、71−73頁(1983年)記載の方法に
より、ラツトのアトリオペプチンIII=1.0をコントロー
ルとして、ウサギの大動脈弛緩試験を実施した。
実施例4 アミノ末端のセリン残基が欠如しており、8位と14位の
アミノ酸がメチオニンとグルタミンではなくイソロイシ
ンとグルタミン酸であることを除いては、上記実施例3
と同様のメリフイールド(Merrifield)の古典的固相法
により合成心房ペプチドを調製した。この合成において
は8位と14位でのアミノ酸のカツプリング配列の中でN
−t−Bocで保護したメチオニンとグルタミンのかかわ
りに、同等量のN−t−Bocで保護したイソロイシンと
グルタミン酸を使用し、カツプリングサイクルを短かく
してアミノ末端における最初のセリン残基を除いた。こ
うして合成した本例の合成心房ペプチド〔des−ser1,−
glu14〕アトリオペプチンIIは次の配列を有していた: ウサギの大動脈弛緩試験では、この心房ペプチドは対照
標準物質としてのラツトのアトリオペプチンIIIの1.0に
対し、0.2であつた。
実施例5 8位のアミノ酸がメチオニンのかわりにイソロイシンで
あり、カルボキシ末端のOH基のかわりにアミノ(NH2
基であることを除いては前述の実施例3と同様に、メリ
フイールド(Merrifield)の古典的固相法を用いて合成
心房ペプチドを調製した。ペプチドアミド誘導体を得る
ために、本例ではメリフイールド(Merrifield)固相支
持体樹脂として1%架橋4−メチルベンズヒドリルアミ
ンを使用した。こうして調製した本例の合成心房ペプチ
ドアトリオペプチン−II−アミドは次の配列を有してい
た: 実施例3のように生物活性の試験を行なうと、対照標準
物質としてのラツトのアトリオペプチンIIIの1.0に対し
てこの心房ペプチドはウサギの大動脈弛緩試験で3.0、
イヌの腎血流試験及び尿流速試験で5.0であつた。
実施例6 アミノ末端のセリン残基のかわりにアセチルセリンを入
れたことを除いては前記の実施例5と同様に、メリフイ
ールド(Merrifield)の古典的固相法により合成心房ペ
プチドを調製した。このアセチルペプチド誘導体を得る
ために、水性NH4HCO3緩衝液中(pH8)で実施例5の精製
したアトリオペプチン−II−アミドを酢酸のN−ヒドロ
キシサクシニミドエステルと反応させ、得られたアセチ
ル化生成物を逆相HPLCにより精製した。こうして得られ
た本例の合成心房ペプチドは次の配列を有していた。
実施例3のように生物活性の試験を行なうと、対照標準
物質としてのラツトのアトリオペプチンIIIの1.0に対し
てこの心房ペプチドはウサギの大動脈弛緩試験で3.0、
イヌの腎血流試験及び尿の流速試験で5.0であつた。
【図面の簡単な説明】 図1は本発明の新規な心房ペプチドの腸平滑筋(ヒヨコ
の直腸)弛緩活性を示す。 図2は本発明の新規な心房ペプチドの血管平滑筋(ウサ
ギの大動脈)弛緩活性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 99:00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のアミノ酸配列より成る強力なナトリ
    ウム排泄亢進活性を有するペプチド、又はその生理学的
    に許容できる塩、エステル又はアミド: R1−cys−phe−gly−gly−arg−ile−asp−arg−ile−g
    ly−ala−gln−ser−gly−leu−gly−cys−asn−R2 (式中、R1=H、ser、ser−ser、及び R2=OH、ser、ser−phe−arg、 ser−phe−arg−tyr)。
  2. 【請求項2】R1はser−serでありR2はserである、腸平
    滑筋弛緩活性を示す、特許請求の範囲第1項記載のペプ
    チド。
  3. 【請求項3】R1はserであり、R2はserである、腸平滑筋
    弛緩活性を示す、特許請求の範囲第1項記載のペプチ
    ド。
  4. 【請求項4】R1はHであり、R2はserである、腸平滑筋
    弛緩活性を示す、特許請求の範囲第1項記載のペプチ
    ド。
  5. 【請求項5】R1はser−serであり、R2はOHである、腸平
    滑筋弛緩活性を示す、特許請求の範囲第1項記載のペプ
    チド。
  6. 【請求項6】R1はser−serであり、R2はser−phe−arg
    である、血管平滑筋弛緩活性を示す、特許請求の範囲第
    1項記載のペプチド。
  7. 【請求項7】R1はser−serであり、R2はser−phe−arg
    −tyrである、血管平滑筋弛緩活性を示す、特許請求の
    範囲第1項記載のペプチド。
  8. 【請求項8】アミノ酸第8位のileがmetで置換されてい
    る、特許請求の範囲第6項記載のペプチド。
  9. 【請求項9】アミノ酸第8位のileがmetで置換されてい
    る、特許請求の範囲第7項記載のペプチド。
  10. 【請求項10】R1がserであり、R2がser−phe−argであ
    り、glnがgluで置換されている、血管平滑筋弛緩活性を
    示す、特許請求の範囲第1項記載のペプチド。
  11. 【請求項11】カルボキシ末端のOHがアミノ基で置換さ
    れている、特許請求の範囲第6項記載のペプチド。
  12. 【請求項12】アミノ末端のセリン残基がアセチルセリ
    ンで置換されている、特許請求の範囲第11項記載のペプ
    チド。
  13. 【請求項13】下記のアミノ酸配列より成る強力なナト
    リウム排泄亢進活性を有するペプチド: R1−cys−phe−gly−gly−arg−ile−asp−arg−ile−g
    ly−ala−gln−ser−gly−leu−gly−cys−asn−R2 (式中、R1=H、ser、ser−ser、及び R2=OH、ser、ser−phe−arg、 ser−phe−arg−tyr)の調製方法において、 (a) 哺乳動物の心房組織の粗ホモジエネートを調製
    し遠心分離し、 (b) 上澄液を煮沸し遠心分離し、 (c) セファデックス G−15樹脂を用いるゲル濾過
    クロマトグラフィーにより上澄液を脱塩し、 (d) セファデックス G−75樹脂を用いて蛋白画分
    のゲル濾過クロマトグラフィーに供し、 (e) SP−セファデックス G−25樹脂を用い、低分
    子量蛋白画分をイオン交換クロマトグラフィーに供し、 (f) 2つの主蛋白画分を高速液体クロマトグラフィ
    ーに供し、 そして (g) 分離した心房ペプチド画分を回収することを特
    徴とする、上記調製方法。
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US569684 1984-01-10

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