JPH0673464B2 - 光学活性なシス−イミダゾリジンジカルボン酸誘導体の製造法 - Google Patents

光学活性なシス−イミダゾリジンジカルボン酸誘導体の製造法

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JPH0673464B2
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【発明の詳細な説明】 本発明は一般式(I) (式中、Rは低級アルキル基を示す。Bzlはベンジル基
を示す。4位、5位の配位は4S、5Rの配位である。) で示される光学活性なシス−イミダゾリジンジカルボン
酸誘導体の製造法に関するものである。
すなわち本発明は一般式(II) (式中、Rは低級アルキル基を示す。Bzlはベンジル基
を示す。) で示されるシス−イミダゾリジンジカルボン酸ジエステ
ル類(以下ジエステル類と略称する。)に好アルカリ性
バシラス(Bacillus)属を含むバシラス属に属するエス
テラーゼ生産菌または好アルカリ性バシラス属を含むバ
シラス属に属するエステラーゼ生産菌由来のエステラー
ゼを接続せしめることにより、前記一般式(I)で示さ
れる光学活性シス−イミダゾリジンジカルボン酸誘導体
(以下、ハーフエステル類と略称する。)を製造する方
法を提供するものである。
一般式(I)および(II)において低級アルキル基とは
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル基等の
C1〜C6アルキル基を意味する。
本発明によって得られる光学活性ハースエステル類
(I)はビオチンおよびその他医薬品の合成中間体とし
て極めて重要な化合物である。
従来、微生物による光学活性ハーフエステル類(I)の
製造方法としては、クロモバクテリウム(Chromobacter
ium)属によるもの(特開昭58−190395)しか知られて
いなかった。
そこで本発明者らは、新たに自然界から分離された微生
物を用いてジエステル類(II)から光学活性ハーフエス
テル類(I)の製造方法を鋭意検討した。その結果、好
アルカリ性バシラス(Bacillus)属を含むバシラス属に
属するエステラーゼ生産菌または好アルカリ性バシラス
属を含むバシラス属に属するエステラーゼ生産菌由来の
エステラーゼを用いた場合、光学活性ハーフエステル類
(I)が得られることを見い出し、本発明を完成するに
至った。
本発明の方法においては、好アルカリ性バシラス(Baci
llus)属を含むバシラス属に属するエステラーゼ生産菌
または好アルカリ性バシラス属を含むバシラス属に属す
るエステラーゼ生産菌由来のエステラーゼをジエステル
類(II)に接触せしめることにより半加水分解する。こ
の際、反応は緩和な条件下で収率よく進行し、本発明の
目的化合物ハーフエステル類(I)を得ることができ、
しかも半加水分解反応は立体選択的又は特異的に進行す
る。
即ち、メソ体であるジエステル類(II)を半加水分解す
る際、2種類の光学対掌体の生成が考えられるが、本発
明の方法を用いればそれらの2種類のうちいずれか一方
の対掌体のみが過剰に生産し、さらに場合によっては一
方的に1種類の対掌体のみを生産するといういわゆる不
斉加水分解が生ずるのである。
本発明の方法により、選択的に得られるハーフエステル
類(I)は4S、5R配位をもつものであり、光学活性なd
−ビオチンに変換することができる。たとえば、その一
例は特開昭58−190395に記載されている。
本発明に用いられる微生物はバシラス属に属するバシラ
ス・エスピー(Bacillus sp.)VA−47株(微工研菌寄第
8730号)又は好アルカリ性バシラス・エスピー VA−62
株(微工研菌寄第8729号)ならびに当該微生物に紫外
線、X線、γ線等の照射、化学変異処理剤、ファージ接
触、形質転換、形質導入、接合による遺伝子組換、細胞
融合による遺伝子組換、プラスミドによる遺伝子導入な
どの変異処理を施して得られる人工変異株もしくは自然
変異株を包合するほか、バシラス属に属しジエステル類
(II)を光学活性ハーフエステル類(I)に変換する菌
株を一般に包合する。
なお、上記に例示の菌株は、いずれも新菌種であり、主
要な菌学的性状は、次の通りである。
(a) 形態的性質(肉汁寒天培地及び肉汁培地) (b) 各種培地における生育状態 (1) 肉汁寒天平板培養 (30℃、2日間) (2) 肉汁寒天斜面培養(30℃、2日間) (3) 肉汁液体培養(30℃、3日間) (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養(22℃1カ月) (5) リトマスミルク培養(30℃、1か月) (c) 生理学的性質 以上の菌学的性質に示されたように、これらの2菌株
は、好気的条件下に生育する有胞子性桿菌であることか
らバージェイズ・マニュアル・オブ・デターミネイティ
ブ・バクテリオロジー(Bergey′s Manual of Determin
ative Bacteriology)第8版の検索式に従いバシラス属
に属することは、明らかである。さらにVA−47株と同属
中の菌種を比較すると、類似菌株としてバシラス・ファ
スティディオサス(Bacillus fastidiosus)及びバシラ
ス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)があ
げられるが、バシラス・ファスティディオサスは、細胞
の大きさが直径1.5〜2.5μm、長さ3〜6μmとVA−47
株より大きく、硝酸塩の還元能もない点でVA−47株とは
異なる。バシラス・アルカロフィラスは、好アルカリ性
でpH7では生育せず、硝酸塩の還元能もない点でVA−47
株とは異なる。
またVA−62株と同属中の菌種と比較すると、類似菌とし
てバシラス・ブレビス(Bacillus brevis)及びバシラ
ス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)があ
げられるが、バシラス・ブレビスは、生育の最高温度が
40〜60℃でスターチ加水分解力がなく、耐塩性もNaCl5
%以下である点でVA−62株とは異なる。バシラス・アル
カロフィラスは、アルカリ性の培地でのみ生育する点が
VA−62株と同じであるが、ふくらみを持った胞子のうち
形成せず、硝酸塩の還元能もない点でVA−62菌とは異な
る。
以上のことから、本発明者らは、VA−47株及びVA−62株
をバシラス属に属する新菌種と認め、バシラス・エスピ
ーVA−47及びバシラス・エスピーVA−62と命名した。こ
れらの2菌株は、工業技術院微生物工業技術研究所に受
託番号微工研菌寄第8730号及び受託番号微工研菌寄第87
29号として寄託されている。
本発明に用いられる微生物を培養する培地としては、通
常行われる微生物の培養に常用される炭素源、窒素源、
無機物等を含む各種の培地を使用することができる。培
地の炭素源としては、たとえばグルコース、フラクトー
ス、シュクロース、デンプン、グリセリン、糖蜜などの
炭水化物、グルコン酸、ピルビン酸、酢酸、クエン酸、
などの有機酸類、グリシン、グルタミン酸、アラニン、
アスパラギンなどのアミノ酸類、n−パラフィンなどの
炭化水素類などである。窒素源としてはたとえば肉エキ
ス、ペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、味液、大豆粉、
ないしはその加水分解物、カゼインないしその加水分解
物、各種アミノ酸、各種アンモニウム塩、硝酸塩などで
ある。無機物の例は、リン酸塩、あるいはマグネシウ
ム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、鉄、マンガン
などの塩類である。
培養は通常好気的に行われ、振とう培養あるいは通気撹
はん培養が好適である。培養日数は、通常半日から7日
間が適当である。バシラス・エスピーVA−47株の培養温
度は、通常25〜37℃が好ましく、培養液pHは、6.5〜8
程度が好ましい。バシラス・エスピーVA−62株の培養温
度は、20〜30℃が好ましく培養液pHは、8〜10が好まし
い。
本菌株の培養により光学活性ハーフエステル類(I)を
得るには、生育の当初からあるいは後にジエステル類
(II)を培養液に添加し、培養を継続し、半加水分解を
行わせる方法が最も簡便である。基質濃度は0.1〜10%
程度が適当である。培養物中に蓄積された光学活性ハー
フエステル類(I)を単離精製するには、有機化合物の
単離精製に通常用いられる単離精製手段を適用すればよ
い。
光学活性ハーフエステル類(I)はまた本菌株の培養液
から遠心分離またはろ過等により集菌した微生物細胞を
用いて半加水分解する方法、あるいは微生物の細胞から
超音波処理、リゾチーム処理等により酵素を遊離させ冷
却下遠心分離、硫安分画、沈殿透析等によりエステラー
ゼを得てこれを用いて半加水分解する方法にても実施で
きる。これらの場合には、ジエステル類(II)を好まし
くはpH6〜9に調製した水溶液又は緩衝溶液にけん濁す
るか溶解し、ジエステル類(II)に対して微生物の細胞
もしくはエステラーゼを好ましくは0.001〜0.1重量比添
加し、好ましくは10〜40℃で撹はんすることにより反応
が進行し、通常1時間〜数日間で反応が終了する。
上述、水溶液とは硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸、酢酸、
クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、
ピリジン等の有機塩基、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウ
ム等の塩を添加した水溶液を意味する。
緩衝溶液とは、リン酸二水素カリウム・水酸化ナトリウ
ム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素ナトリウム、
フタル酸水素カリウム・塩酸、グリシン・塩化ナトリウ
ム・水酸化ナトリウム等の一般的緩衝溶液を意味し、反
応を妨げるもの以外は特に制限はない。
又、必要に応じメタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノ
ールの如きアルコール系溶媒、エーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサンの如きエーテル系溶媒、ベンゼン、
トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチル
エチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒、トリ
エチルアミン、ピリジン等のアミン系溶媒、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、又、
ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノラウレー
ト等の如き界面活性剤を添加する事もできる。
以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらにより限定されないことは勿論のこ
とである。
実施例1) 可溶性デンプン1g、酵母エキス0.5g、ペプトン0.5g、K2
HPO4、0.1g、MgSO4・7H2O0.02g、CuSO4・5H2O0.0005g、
MnCl4・4H2O0.0005g、ZnSO4・7H2O0.0001g、FeSO4・7H2
O0.0002g、蒸溜水100mlからなる溶液を希水酸化ナトリ
ウムにてpH7.6に調整した。
この液体培地を120℃にて20分間滅菌した後、バシラス
・エスピー(Bacillus sp.)VA−47株を接種し、28℃で
48時間振とう培養した。これにシス−1,3−ジベンジル
−2−オキソイミダゾリジン−4,5−カルボン酸ジメチ
ルエステル400mgを添加した後、さらに28℃で72時間振
とう反応させた。
この反応液に酢酸エチル100mlを加え、希塩酸にて酸性
とした後、セライトろ過した。ろ液を分液し、有機溶媒
層を水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、
減圧濃縮した。残さに5%重そう水20mlを加え、溶解後
エーテル20mlにて洗浄し、分液した。
水層を希硫酸にてpH2とし、析出した白色結晶をろ過
し、水にて洗浄後乾燥した。(4S、5R)−1,3−ジベン
ジル−5−メトキシカルボニル−2−オキソイミダゾリ
ジン−4−カルボン酸が、300mg得られた。
融点 149〜151℃ ▲[α]20 365▼ −28.0゜(C=1、DMF)であった。
実施例2) 可溶性デンプン1g、酵母エキス0.5g、ペプトン0.5g、K2
HPO4、0.1g、MgSO4・7H2O0.02g、CuSO4・5H2O0.0005g、
MnCl4・4H2O0.0005g、ZnSO4・7H2O0.0001g、FeSO4・7H2
O0.0002g、蒸溜水100mlからなる溶液を希水酸化ナトリ
ウムにてpH9.0に調整した。
この液体培地を120℃にて20分間滅菌した後、バシラス
・エスピー(Bacillus sp.)VA−62株を接種し、28℃で
48時間振とう培養した。これにシス−1,3−ジベンジル
−2−オキソイミダゾリジン−4,5−カルボン酸ジメチ
ルエステル400mgを添加した後、さらに28℃で72時間振
とう反応させた。
この反応液に酢酸エチル100mlを加え、希塩酸にて酸性
とした後、セライトろ過した。ろ液を分液し、有機溶媒
層を水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、
減圧濃縮した。残さに5%重そう水20mlを加え、溶解後
エーテル20mlにて洗浄し、分液した。
水層を希硫酸にてpH2とし、析出した白色結晶をろ過
し、水にて洗浄後乾燥した。(4S、5R)−1,3−ジベン
ジル−5−メトキシカルボニル−2−オキソイミダゾリ
ジン−4−カルボン酸が、320mg得られた。
融点 149〜151℃ ▲[α]20 365▼ −28.0゜(C=1、DMF)であった。
実施例3) 実施例1)で用いた液体培地10mlの入った試験管を120
℃にて20分間滅菌した後、バシラス・エスピーVA−47株
を接種し、28℃で2日間振とう培養して得た前培養5ml
ずつを、下記の培地A250mlの入った2L坂口フラスコ4本
に接種し、30℃で40時間振とう培養した。
培養液を8000rpm20分間、冷却下で遠心分離して集菌し
た。菌体を0.85%食塩水100mlにて3回洗浄(遠心分離
にて)し、洗浄湿菌体15.7gを得た。
洗浄湿菌体15.7gとシス−1,3−ジベンジル−2−オキソ
イミダゾリジン−4,5−カルボン酸ジメチルエステル5.0
gをpH8.0 0.01M−リン酸緩衝500mlにけん濁し、1規定
水酸化ナトリウム水溶液にてpH8付近に調整しながら30
℃で170時間撹はんした。
この反応液を遠心分離し、菌体と上清液に分離した(菌
体は回収)。上清液を希硫酸にてpH2とし析出した白色
結晶をろ過し、水にて洗浄後乾燥した。
(4S,5R)−1,3−ジベンジル−5−メトキシカルボニル
−2−オキソイミダゾリジン−4−カルボン酸が、4.5g
得られた。
融点 145〜147℃ ▲[α]20 365▼ −25.0゜(C=1、DMF)であった。
実施例4) 実施例1)で用いた液体培地10mlの入った試験管を120
℃にて20分間滅菌した後、バシラス・エスピーVA−62株
を接種し、28℃で2日間振とう培養して得た前培養液5m
lずつを、下記の培地B250mlの入った2L坂口フラスコ5
本に接種し、30℃で40時間振とう培養した。
培養液を800rpm20分間、冷却下で遠心分離して集菌し
た。菌体を0.85%食塩水100mlにて3回洗浄(遠心分離
にて)し、洗浄湿菌体10.5gを得た。
洗浄湿菌体10.5gとシス−1,3−ジベンジル−2−オキソ
イミダゾリジン−4,5−カルボン酸ジメチルエステル5.0
gをpH8.0 0.01M−リン酸緩衝500mlにけん濁し、1規定
水酸化ナトリウム水溶液にてpH8付近に調整しながら30
℃で100時間撹はんした。
この反応液を遠心分離し、菌体と上清液に分離した。上
清液を希硫酸にてpH2とし析出した白色結晶をろ過し、
水にて洗浄後乾燥した。
(4S,5R)−1,3−ジベンジル−5−メトキシカルボニル
−2−オキソイミダゾリジン−4−カルボン酸が、4.6g
得られた。
融点 146〜148℃ ▲[α]20 365▼ −26.0゜(C=1、DMF)であった。
実施例5) 実施例3)で回収した菌体とシス−1,3−ジベンジル−
2−オキソイミダゾリジン−4,5−カルボン酸ジメチル
エステル5.0gをpH8.0 0.01M−リン酸緩衝500mlにけん濁
し、1規定水酸化ナトリウム水溶液にてpH8付近に調整
しながら30℃で190時間撹はんした。
この反応液を遠心分離し、菌体と上清液に分離した。上
清液を希硫酸にてpH2とし析出した白色結晶をろ過し、
水にて洗浄後乾燥した。
(4S,5R)−1,3−ジベンジル−5−メトキシカルボニル
−2−オキソイミダゾリジン−4−カルボン酸が、4.4g
得られた。
融点 149〜151℃ ▲[α]20 365▼ −28.0゜(C=1、DMF)であった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rは低級アルキル基を示す。Bzlはベンジル基
    を示す。) で示されるシス−イミダゾリジンジカルボン酸ジエステ
    ル類に好アルカリ性バシラス(Bacillus)属を含むバシ
    ラス属に属するエステラーゼ生産菌または好アルカリ性
    バシラス属を含むバシラス属に属するエステラーゼ生産
    菌由来のエステラーゼを接触せしめることを特徴とする
    一般式 (式中、Rは低級アルキル基を示す。Bzlはベンジル基
    を示す。4位、5位の配位は4S、5Rの配位である。) で示される光学活性なシス−イミダゾリジンジカルボン
    酸誘導体の製造法
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